「基礎的財政収支」の版間の差分
→日本: 加筆 |
|||
5行目: | 5行目: | ||
基礎的財政収支が均衡していれば、毎年の政策的な経費が税収などの毎年の収入でまかなわれていることになる。この場合、この年の債務の増加は利払い分だけであり、利子率と経済成長率が同じであれば公債の対[[国内総生産|GDP]]比は一定となる。 |
基礎的財政収支が均衡していれば、毎年の政策的な経費が税収などの毎年の収入でまかなわれていることになる。この場合、この年の債務の増加は利払い分だけであり、利子率と経済成長率が同じであれば公債の対[[国内総生産|GDP]]比は一定となる。 |
||
基礎的財政収支が改善していく方向であれば、国債残高対名目GDP比の上昇スピードは抑えられ、財政破綻にはならない<ref>[http://web.archive.org/web/20130318091351/http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20130314/dms1303140708000-n1.htm 【日本の解き方】財務省「国債費試算」の真実 3%成長で消費増税も不要]ZAKZAK 2013年3月14日(2013年3月18日時点の[[インターネット |
基礎的財政収支が改善していく方向であれば、国債残高対名目GDP比の上昇スピードは抑えられ、財政破綻にはならない<ref>[http://web.archive.org/web/20130318091351/http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20130314/dms1303140708000-n1.htm 【日本の解き方】財務省「国債費試算」の真実 3%成長で消費増税も不要]ZAKZAK 2013年3月14日(2013年3月18日時点の[[インターネットアーカイブ]])</ref>。 |
||
== 債務残高との関係 == |
== 債務残高との関係 == |
2017年9月4日 (月) 19:26時点における版
財政 |
---|
カテゴリ |
基礎的財政収支(きそてきざいせいしゅうし、Primary balance)とは、政府会計において、過去の債務に関わる元利払い以外の支出と、公債発行などを除いた収入との収支である。プライマリー・バランスともいう。
概要
基礎的財政収支が均衡していれば、毎年の政策的な経費が税収などの毎年の収入でまかなわれていることになる。この場合、この年の債務の増加は利払い分だけであり、利子率と経済成長率が同じであれば公債の対GDP比は一定となる。
基礎的財政収支が改善していく方向であれば、国債残高対名目GDP比の上昇スピードは抑えられ、財政破綻にはならない[1]。
債務残高との関係
名目経済成長率と名目金利が等しく税率が規模に対して一定であれば、基礎的財政収支が均衡することで債務残高の名目GDP比が一定になる。
名目成長率および金利との関係
基礎的財政収支が均衡しても名目経済成長率よりも名目金利が高ければ、政府債務残高の名目GDP比は上昇し続ける。骨太の方針を巡っては、名目経済成長率と名目金利のどちらが高いかが議論となった。
学者の見解
経済学者の竹中平蔵は「名目GDP成長率が名目金利よりも高かった場合、基礎収支が赤字でなければ、財政の破綻回避できる」と指摘している[2]。竹中は「通常の場合、金利よりもGDPの伸びは高くなるため、(経済成長すれば)財政健全化が進むこととなる。しかし、プライマリーバランスが赤字のままだと、財政破綻する懸念が高まる。重要なのは、金利を支払う前の財政収支をゼロ以上にし、国債残高が増えないようにすることである。金利の方が経済成長率よりも高い場合はこの通りにはいかないが、通常は金利以外に新規の国債発行をしないようにすれば、債務の負担は年々相対的に減ることとなる」と指摘している[3]。
日本
経済学者の飯田泰之は、プライマリーバランスの赤字は、名目成長率を高めれば税収が増えてやがて黒字化に向かうが、社会保障についてはそのことと別に考えなければならないと指摘している[4]。
明治大学国際総合研究所フェローの岡部直明は「OECD諸国で、財政目標をプライマリー・バランスに置いている国は日本以外存在しない。国債の利払い・発行を含めた財政収支の対GDP比、長期債務残高の対GDP比が国際比較の基準となっている。財政の出口戦略としては、財政目標をプライマリー・バランスではなく、国際基準に見合った目標に変えていくべきである」と指摘している[5]。
日本
小泉内閣、安倍内閣、福田内閣はプライマリーバランスの達成期限を2011年度としていたが、その後に金融危機が起こったため、麻生内閣は目標の先送りを行っている[6]。
2014年10月30日、安倍晋三首相は、衆院予算委員会の集中審議で、基礎的財政収支の赤字を2015年度に、対GDP比で2010年度から半減させる財政健全化目標について、「国際公約とは違う。何が何でも絶対という約束は果たせない」と述べた[7]。
2015年2月12日、内閣府は「中長期の経済財政に関する試算」を経済財政諮問会議に提出し、2020年度の基礎的財政収支について、名目経済成長率3%・消費税率10%では黒字化は困難であると試算している[8]。
脚注
- ^ 【日本の解き方】財務省「国債費試算」の真実 3%成長で消費増税も不要ZAKZAK 2013年3月14日(2013年3月18日時点のインターネットアーカイブ)
- ^ 竹中平蔵 『竹中教授のみんなの経済学』 幻冬舎、2000年、116頁。
- ^ 竹中平蔵 『あしたの経済学』 幻冬舎、2003年、182-183頁。
- ^ 検証! 財務省のメディア戦略と消費税増税ロジックSYNODOS -シノドス- 2014年4月1日
- ^ 岡部直明 『ベーシック日本経済入門』 日本経済新聞社・第4版〈日経文庫〉、2009年、107-108頁。
- ^ 原田泰・大和総研 『新社会人に効く日本経済入門』 毎日新聞社〈毎日ビジネスブックス〉、2009年、41頁。
- ^ 衆院予算委:安倍首相「財政健全化目標は国際公約と違う」毎日新聞 2014年10月30日
- ^ 政治・社会 【日本の解き方】 「高成長でも赤字」強調して何が何でも増税に導く財政当局の思惑((1/2ページ)ZAKZAK 2015年2月18日