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「日本音楽著作権協会」の版間の差分

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=== マスメディアの批判記事 ===
=== マスメディアの批判記事 ===
2005年9月17日特大号で[[週刊ダイヤモンド]]は、「企業レポート 日本音楽著作権協会(ジャスラック) 使用料1000億円の巨大利権 音楽を食い物にする呆れた実態」と題する記事を掲載し<ref>{{PDFlink|[http://web.archive.org/web/20070211233817/http://i.yimg.jp/i/evt/magazine/news/08.pdf 企業レポート 日本音楽著作権協会(ジャスラック) 使用料1000億円の巨大利権 音楽を食い物にする呆れた実態(週刊ダイヤモンド 2005.9)]}}(2007年2月11日時点の[[インターネットアーカイブ|アーカイブ]])</ref>、JASRACによる著作物使用料の徴収や配分と[[文部科学省]][[官僚]]の[[天下り]]が続く組織運営のあり方に問題があると主張した。文部科学省から役員の天下りが50年以上続いている<ref group="注釈">2006年10月人事で事務局出身プロパーの加藤衛常務理事が理事長に昇任し、記事で批判された天下り人事の系譜が途絶えた。</ref>、JASRACの役員報酬を決める役員審議会が非公開である、法外に高い報酬を受け取っている、使用料の徴収方法、などの問題点を挙げ、「JASRACの職員が営業中の店に入り『ドロボー』と大声で叫び営業妨害とも言える[[やくざ]]まがいの徴収方法を取った」「年間の利益が20万円弱の店に550万円もの使用料を徴収した」事例を紹介している。<!-- とりあえず鈎括弧に入れましたが、記事の内容と照らしあわせて正確な内容になっているか確認ください。 -->
2005年9月17日特大号で[[週刊ダイヤモンド]]は、「企業レポート 日本音楽著作権協会(ジャスラック) 使用料1000億円の巨大利権 音楽を食い物にする呆れた実態」と題する記事を掲載し<ref>{{PDFlink|[http://web.archive.org/web/20070211233817/http://i.yimg.jp/i/evt/magazine/news/08.pdf 企業レポート 日本音楽著作権協会(ジャスラック) 使用料1000億円の巨大利権 音楽を食い物にする呆れた実態(週刊ダイヤモンド 2005.9)]}}(2007年2月11日時点の[[インターネットアーカイブ|アーカイブ]])</ref>、JASRACによる著作物使用料の徴収や配分と[[文部科学省]][[官僚]]の[[天下り]]が続く組織運営のあり方に問題があると主張した。文部科学省から役員の天下りが50年以上続いている<ref group="注釈">2006年10月人事で事務局出身プロパーの加藤衛常務理事が理事長に昇任し、記事で批判された天下り人事の系譜が途絶えた。</ref>、JASRACの役員報酬を決める役員審議会が非公開である、法外に高い報酬を受け取っている、使用料の徴収方法、などの問題点を挙げ、「JASRACの職員が営業中の店に入り『ドロボー』と大声で叫び営業妨害とも言える[[やくざ]]まがいの徴収方法を取った」「年間の利益が20万円弱の店に550万円もの使用料を徴収した」事例を紹介している。<!-- とりあえず鈎括弧に入れましたが、記事の内容と照らしあわせて正確な内容になっているか確認ください。 -->


2005年11月11日にJASRACは、記事内容に裏付けがないほか恣意的に古い情報を用いるなど読者の悪印象を誘導しているとして、計約4300万円の[[損害賠償]]と[[名誉毀損|名誉]]回復措置の謝罪広告掲載を[[東京地方裁判所]]に提訴し<ref>JASRACのプレスリリース「[http://www.jasrac.or.jp/release/05/11_1.html 株式会社ダイヤモンド社に対する訴訟の提起について]」 (2005.11.11)</ref>、2008年2月13日に東京地裁は、記事表現や体裁はかなり一方的かつ独断的で調査不足、誤解、悪意に基づく構成の疑念などからJASRACの主張を全面的に認めて計550万円の支払いを命じたが、謝罪広告の掲載は必要ないとした<ref>JASRACプレスリリース「[http://www.jasrac.or.jp/release/08/02_2.html 株式会社ダイヤモンド社に対する訴訟について]」 (2008.2.13)</ref>。
2005年11月11日にJASRACは、記事内容に裏付けがないほか恣意的に古い情報を用いるなど読者の悪印象を誘導しているとして、計約4300万円の[[損害賠償]]と[[名誉毀損|名誉]]回復措置の謝罪広告掲載を[[東京地方裁判所]]に提訴し<ref>JASRACのプレスリリース「[http://www.jasrac.or.jp/release/05/11_1.html 株式会社ダイヤモンド社に対する訴訟の提起について]」 (2005.11.11)</ref>、2008年2月13日に東京地裁は、記事表現や体裁はかなり一方的かつ独断的で調査不足、誤解、悪意に基づく構成の疑念などからJASRACの主張を全面的に認めて計550万円の支払いを命じたが、謝罪広告の掲載は必要ないとした<ref>JASRACプレスリリース「[http://www.jasrac.or.jp/release/08/02_2.html 株式会社ダイヤモンド社に対する訴訟について]」 (2008.2.13)</ref>。

2017年9月4日 (月) 13:42時点における版

日本音楽著作権協会
日本音楽著作権協会本部
日本音楽著作権協会本部
団体種類 一般社団法人
設立 1939年11月18日
所在地 〒151-8540
東京都渋谷区上原3-6-12
北緯35度40分4.5秒 東経139度40分48.8秒 / 北緯35.667917度 東経139.680222度 / 35.667917; 139.680222
法人番号 4011005003025 ウィキデータを編集
起源 大日本音楽著作権協会
主要人物 いではく(会長)[1]
船村徹(名誉会長)[2]
浅石道夫(理事長)
活動地域 日本の旗 日本
主眼 音楽の著作権者の権利を擁護し、あわせて音楽の著作物の利用の円滑を図り、もって音楽文化の普及発展に資すること
活動内容
  • 音楽の著作物の著作権に関する管理事業
  • 音楽著作物に関する外国著作権管理団体等との連絡及び著作権の相互保護
  • 私的録音録画補償金に関する事業
  • 著作権思想の普及事業、音楽著作権に関する調査研究
  • 音楽文化の振興に資する事業
収入 1116億7004万1471円(2016年4月)
基本財産 6億1518万1288円(2016年4月)
ボランティア人数 0人(2014年4月)
従業員数 483人(2016年4月)[3]
会員数 1万7268件(2016年4月)[3]
ウェブサイト http://www.jasrac.or.jp/
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一般社団法人日本音楽著作権協会(にほんおんがくちょさくけんきょうかい、英語: Japanese Society for Rights of Authors, Composers and Publishers)は、日本の著作権等管理事業法を設立根拠法に、音楽著作権の集中管理事業を日本国内において営む一般社団法人である。英称の略称から「JASRAC(ジャスラック)」と呼ばれる。以下、この記事では「JASRAC」と表記する。

概要

音楽(楽曲、歌詞)の著作権を持つ作詞者作曲者音楽出版者から録音権・演奏権などの著作権の信託を受けて、音楽の利用者に対する利用許諾(ライセンス)、利用料の徴収と権利者への分配、著作権侵害の監視、著作権侵害者に対する法的責任の追及などを主な業務としている。社団法人であるため一般社団・財団法人法に基づいて非営利目的の運営が法律により定められている。

本部は東京都渋谷区古賀政男音楽文化記念財団が所有するビル内に設置され、22の支部が日本全国の主要都市に設置されている。JASRACは現存する日本国内の著作権管理事業者としては最も古く、1939年に設立された大日本音楽著作権協会をその前身とする。

音楽著作権の管理業務

概要

音楽著作権の管理をJASRACに委託しようとする作曲者、作詞者、音楽出版者は、自らが保有する音楽著作権の支分権の全部または一部をJASRACに移転する (信託契約約款3条1項) 。JASRACは、作曲者等から著作権の移転を受けて、自らが著作権を保有し、著作権の対象である著作物(楽曲、歌詞)の利用を希望する者に対して利用許諾を行う。著作物を利用した利用者からは使用料を対価として徴収し、6パーセント - 30パーセントの管理手数料[4] を控除した上で、委託者に分配する。このように、JASRACの著作権管理は「信託」によるものであり、作曲者、作詞者、音楽出版者が「委託者」、JASRACが「受託者」、音楽の利用者が「受益者」に相当する。

著作物の利用には、著作権の効力が及ぶ利用形態で、喫茶店・レストラン・ダンス教室(1971年より社交ダンス教室、2015年より全てのダンス教室に対象拡大)・歌謡教室(2016年より)カラオケ(1987年より、1997年からは通信カラオケにも対象拡大)・フィットネスクラブ(2011年より)・カルチャーセンター(2012年より)・音楽教室(2018年より予定)・コンサート会場等[5]における不特定多数または特定多数向けの音楽の演奏、CD・DVD・映画・オルゴールなどへの音楽の複製、テレビやラジオによる音楽の放送、インターネットによる音楽配信などがある。

音楽の無許諾利用である著作権侵害の監視も業務の一環で、無許諾による音楽利用を発見した場合、利用許諾契約の締結を求めるほかに過去利用分を遡及して使用料の請求を行う。損害賠償請求や使用差止請求などの民事訴訟手続や、告訴などの刑事手続に至る事例もある。著作権侵害に対する法的措置は、喫茶店やレストランにおける無許諾演奏が最も多い。2005年度事業報告書では演奏権侵害に対する法的措置の総件数は2995件で3129店だが、市場の縮小や適法利用率の向上から2009年度は1713件、2010年度は1043件、2011年度は970件と減少している[6][7]。近年はインターネット上で違法に配信されている歌詞や音声ファイルを発見するシステムである「J-MUSE」を2000年10月に導入し、違法配信をするウェブサイトの管理者には個別に警告の電子メールを送付している[8]

利用形態ごとの状況

放送

著作権のうち、放送権(著作権法23条1項、公衆送信権の一種)の管理をJASRACに委託している者の作品を放送するには、JASRACの許諾が必要である。

NHK民放はJASRACと包括的契約利用許諾契約を締結しており、JASRACは各放送局の年間放送事業収入の1.5パーセントを放送使用料として徴収している[9]。2006年度にJASRACが放送局から徴収した使用料は255億円であった[10]。JASRACが放送事業者から徴収した使用料は、15パーセントの管理手数料[4] が控除された上で委託者に分配されている。

包括的利用許諾契約は音楽作品を利用する放送事業者にとっては利便性が高い契約形態である一方で、放送権の管理分野で99パーセントという圧倒的なシェアをもつJASRACが放送局に対して包括的利用許諾契約を認めた場合、他の著作権管理団体との公正な競争が危惧されている。詳細は、「包括的利用許諾契約の運用」節を参照のこと。

インターネット

インターネット配信サイトでは違法な投稿や配信が多発し、削除依頼による適時削除でも違法状態の継続がみられたが、2008年4月にニコニコ動画、10月にYouTube2010年7月にUstream、など、各動画サイトと包括的利用許諾契約を締結してサイト収入の2パーセントを著作権料として徴収しており、今後も契約先の増加させる方針[11]である。

Winnyなどファイル共有ソフトのネットワークでは、著作権侵害コンテンツを公開しているユーザへ削除を求めるなどコンピュータソフトウェア著作権協会と協力活動している[12]

私的録音録画補償金の分配業務

JASRACは著作権者の地位を有しており著作権に基づく私的録音録画補償金を請求する権利を有する(著作権法30条2項)が、私的録音録画補償金請求権はJASRACではなく私的録音補償金管理協会 (SARAH) と私的録画補償金管理協会 (SARVH) が行使する (著作権法104条の2) 。

私的録音補償金

SARAHは補償金をJASRACに36パーセント、実演家団体の日本芸能実演家団体協議会に32パーセント、レコード製作者団体の日本レコード協会に32パーセント、それぞれ分配する。2006年度のJASRAC配分は4億1000万円である。

私的録音対象には音楽著作物と言語著作物があり、JASRAC配分補償金は音楽著作物に係るものと言語著作物に係るものに区分され、2006年度は音楽区分約3億9000万円、言語区分約1700万円[13]である。音楽区分補償金は10パーセントの管理手数料を控除後に権利者へ分配されるが、非委託者分は当該者の請求により分配しており[14]、非委託者である音楽著作権(録音権)管理事業者のイーライセンスジャパン・ライツ・クリアランスへ2006年度に約411万円が分配されている。言語区分補償金は日本脚本家連盟へ分配され、連盟規程により各権利者に分配される。

私的録画補償金

SARVHは補償金をJASRACに16パーセント、日本脚本家連盟、NHKと日本民間放送連盟など映像関連7団体から構成される映像製作者委員会、などに合計52パーセント、日本芸能実演家団体協議会に29パーセント、日本レコード協会に3パーセント、それぞれ分配する。2007年度のJASRAC配分は2億400万円である。JASRAC配分補償金は管理手数料を控除後に権利者へ分配されていたが、2012年訴訟で敗訴してSARVHは解散し、制度破綻した。

沿革

プラーゲ旋風

日本は1899年ベルヌ条約に加盟して著作権法も施行されていたが、生演奏の他に録音媒体も再生ごとに使用料を支払う概念は皆無であった。1931年に旧制一高のドイツ人教師であったウィルヘルム・プラーゲが主にヨーロッパの著作権管理団体より日本での代理権を取得したと主張して東京に著作権管理団体「プラーゲ機関」を設立し、放送局オーケストラなど楽曲を使用するすべての事業者に楽曲使用料の請求を始めた。

プラーゲの要求する使用料は当時法外で手法が法的手段を含む強硬であることから、日本国外の楽曲使用が事実上困難になった。日本放送協会もプラーゲ機関との契約交渉が不調で1年以上海外の楽曲を放送できなくなった。プラーゲは日本の音楽作家に対しても著作権管理の代行を働きかけ始めた。プラーゲの目的は金銭ではなく著作権の適正運用だったとも言われているが、楽曲利用者との溝は埋めることができずに日本人作家の代理権取得は更なる反発を招いた。一連は「プラーゲ旋風」と呼ばれ日本における著作権集中管理のきっかけとなった。

仲介業務法の成立

事態打開のため1939年に、著作権管理の仲介業務は内務省の許可を得た者に限るとする「著作権ニ関スル仲介業務ニ関スル法律」(仲介業務法)が施行されてJASRAC前身の大日本音楽著作権協会も設立され、翌年1940年に業務が開始された。プラーゲは著作権管理業務から排除されて同法違反で罰金刑を受け、1941年に離日した。文化庁は大日本音楽著作権協会ほか4団体に仲介業務の許可を与えて他の参入を認めず、音楽著作権の仲介は大日本音楽著作権協会の独占業務となった。

仲介業務法の終焉とJASRACの今後

データカードダスに表記されている許諾マーク

著作権の一元管理は効率が高いシステムとして運用されてきたが、音楽ソフトのデジタル化やネットワーク化の進展などからJASRACの非効率性が指摘され、カラオケでも使用料や権利者への分配方法が決しないままビジネスが先行する弊害を招いた。旧来の録音演奏、楽譜出版と、ゲーム着信メロディネット配信などの区分管理にJASRACの著作権信託が未対応な不備を改める求め[15]などもみられることから、2000年著作権等管理事業法が成立して2001年に施行され、イーライセンスジャパン・ライツ・クリアランス(コピナビ)、ダイキサウンドなどの株式会社が音楽著作権管理事業に参入した。旧来の仲介業務法と異なり管理団体の設立が許可制から登録制に緩和されたが、JASRACの占有は大きい。

著作権政策への影響

私的録音補償金の対象機器拡大議論

JASRACは私的録音補償金対象機器の拡大を行政へ働いており、2005年4月28日の文化庁文化審議会著作権分科会法制問題小委員会で新たにデジタルオーディオプレーヤー私的録音録画補償金制度の対象とするように要請したが、大半の所有者はコンパクトディスクの購入や音楽配信サービスからダウンロードなど正規に入手した音楽データをプレーヤーに複製(いわゆるメディアシフト)しており、「権利者の損失は無い」「著作権料の二重取り」など否定的意見が多く、2005年9月以降まで結論が先送りされている[16]

一般社団法人に移行

2010年に一般社団法人へ移行した。[17]

問題点・批判・裁判

包括的利用許諾契約の運用

JASRACは非営利目的の運営が法律により定められている一般社団法人だが、スナックやジャズ喫茶、ライブハウスなどでJASRAC管理曲を演奏する場合の使用料負担が重過ぎるとの批判がある。JASRACは包括的利用許諾契約[18]締結を求めているが、包括的利用許諾契約は演奏回数ではなく店舗の客席数や床面積に応じて一律に演奏使用料が決定されるため、JASRAC管理曲の利用頻度が低い店舗は使用料の負担比率が高まり不評である。飲食店等には演奏曲目を記載した演奏利用明細書の提出を原則求めておらず、演奏楽曲権利者への確実な分配が危惧されるほかに、使用料の支払者に対し権利者への配分情報が開示されていないなどの批判もある。

包括的利用許諾契約は他著作権管理事業者との公正競争を阻害するとの指摘もある。JASRAC管理曲を放送する場合に放送事業者は包括的利用許諾契約か個別契約のいずれかを選択し、包括契約では放送事業収入の1.5パーセントをJASRACに支払えば管理曲を無制限に放送可能[9][19]であるため、管理曲を大量に放送する事業者は包括的契約が一般的で他事業者の参入が困難になると公正取引委員会は判断した。

2008年4月23日に公正取引委員会はJASRACへ立ち入り調査し[20][21]2009年2月27日に独占禁止法違反を認定して排除措置を命令した[22][23][24]が、2009年7月9日に東京高裁はJASRACによる執行免除の申し立てを認め、8月6日にJASRACは保証金1億円を一括で供託して命令確定まで執行停止された[25]

排除命令に対してJASRACは審判を申立て、2012年6月12日に公正取引委員会は排除命令を取り消す審判を行った[26]。これに対してイーライセンスが申し立てた審決取消し訴訟で、2013年11月1日に東京高等裁判所の飯村敏明裁判長[注釈 1]はこの審決の認定は実質的証拠に基づかないものでありその判断にも誤りがあるとして審決を取り消した[27][28]。11月13日にJASRACは上告し[29]、「イーライセンス対公正取引委員会の裁判に訴訟の結果により権利を害される第三者」(行政事件訴訟法22条1項)として訴訟に参加している。

2015年4月28日に最高裁判所は公正取引委員会の上告を棄却し、JASRACが新規参入を著しく妨げているとする高裁判決を認める[30]と判決して確定判決となり、公正取引委員会は審決を見直した[31]

委託者による権利侵害のチェック体制

2005年にプロ野球阪神タイガース私設応援団であった中虎連合会が、作者不詳だった阪神タイガース応援歌『ヒッティングマーチ一番』及び『ヒッティングマーチ二番』の作詞と作曲者を「中虎連合会」としてJASRACに届出して使用料の分配を不正に受けていたことが発覚した[32]

JASRAC の著作権信託契約約款7条1項は、委託対象の著作権が委託者のものであり他人の著作権を侵害していないことを保証する責は、受託者のJASRACではなく委託者にあるとしている。この事件からJASRAC内部の不正チェック体制不備も指摘され、JASRACは作者不詳の楽曲と作品名が同一もしくは極めて似ている作品に対するチェックを強化することを発表した[33]

マスメディアの批判記事

2005年9月17日特大号で週刊ダイヤモンドは、「企業レポート 日本音楽著作権協会(ジャスラック) 使用料1000億円の巨大利権 音楽を食い物にする呆れた実態」と題する記事を掲載し[34]、JASRACによる著作物使用料の徴収や配分と文部科学省官僚天下りが続く組織運営のあり方に問題があると主張した。文部科学省から役員の天下りが50年以上続いている[注釈 2]、JASRACの役員報酬を決める役員審議会が非公開である、法外に高い報酬を受け取っている、使用料の徴収方法、などの問題点を挙げ、「JASRACの職員が営業中の店に入り『ドロボー』と大声で叫び営業妨害とも言えるやくざまがいの徴収方法を取った」「年間の利益が20万円弱の店に550万円もの使用料を徴収した」事例を紹介している。

2005年11月11日にJASRACは、記事内容に裏付けがないほか恣意的に古い情報を用いるなど読者の悪印象を誘導しているとして、計約4300万円の損害賠償名誉回復措置の謝罪広告掲載を東京地方裁判所に提訴し[35]、2008年2月13日に東京地裁は、記事表現や体裁はかなり一方的かつ独断的で調査不足、誤解、悪意に基づく構成の疑念などからJASRACの主張を全面的に認めて計550万円の支払いを命じたが、謝罪広告の掲載は必要ないとした[36]

インターネット上での評価

動画共有サイトでの批判動画や「カスラック」などの揶揄が散見される[11]

ライブハウスの音楽著作権利用料の支払い裁判

2009年9月にファンキー末吉が運営するロックバーにJASRACから送付された使用料徴収法は、ライブハウスで演奏された楽曲の印税がアーティストへ正しく分配されるか否か不鮮明だ、「これではヤクザのみかじめと同じである。ちゃんと著作権者に分配しろよ!!」と[37][38]自身のブログで苦言した。末吉が弁護士とともに交渉中、2013年11月にJASRACは「著作権侵害差止等請求事件」として提訴した[39][40]。同年12月に末吉の支援者らが「ファンキー末吉に対するJASRACの訴訟はスラップではないか?」と『ファンキー末吉 支援者の会』[41]を興し、江川ほーじんも「徴収する法は有るが、分配するシステムが存在していない。」と非難している[42]。2016年3月25日、東京地方裁判所ではライヴハウスとして定常的に利用していることから、いわゆるカラオケ法理の適用範囲であり、配分率などは作曲者としてのファンキー末吉とJASRACの問題でありライブハウス経営者としての問題ではないとし本裁判では審議されず、また自身の作曲や作詞した楽曲を演奏した場合においても、JASRACとの信託契約でこれら権利は信託されており、信託の仕組み上請求主体から現著作権者であっても使用料の請求が行われることとなることを認定された。但し請求の700万余りより大幅に減額された、著作権利用料280万余りのみ賠償を認められ、訴訟費用はそれぞれが負担することとされた[43][44]。2016年10月19日、知的財産高等裁判所の判決では、地裁判決を踏襲し賠償金が算出方式の変更に伴い550万余りに変わった他、訴訟費用もファンキー末吉側が1審2審とも負担することを判決として出された[45][46]

音楽教育を守る会

2017年河合楽器製作所島村楽器山野楽器、開進堂楽器、宮地商会、ヤマハ音楽振興会全日本ピアノ指導者協会らが、音楽教室での演奏にJASRACが著作権料を求める事に反対する団体『音楽教育を守る会』を設立し[47][48]、音楽教室での練習などは「演奏権」に該当しない、JASRACの方針は著作権法の目的「文化の発展に寄与する」に沿わない、としている[48]

集約化されている利点

著作権保有者から委託されて著作権の管理を行っているJASRACの解体を叫ぶ声もある。しかし、そうなった場合でも歌手、作曲家や作詞家の持つ著作権自体が無くなる訳では無いため、著作権者が音楽の利用者を各々で調査して著作権使用料の徴集する為の部署を用意し、更に徴集や調査役の人件費を新たに支出することが必要になる。音楽の利用者側も利用するために音楽ごとにどの団体がその著作権管理を委託されているかを調査することになるため、実際に現在でも一部の有名な楽曲が管理団体を別に移ったことによってテレビやラジオなどメディア、カラオケ業者などの大口利用者にとって利用料の振込窓口の複雑化を招くことで別の著作権管理団体へ委託後に利用者が激減した事例も出てきている。新規参入が許可された以降もJASRACが著作権者の著作権管理の委託先に選ばれているのは、管理団体が増えてもスケールメリット[49]で、結局包括契約で一曲当たりの費用が安い上に使える楽曲が膨大にあるJASRACに利用者は走るため、管理楽曲の少ないその他の著作権団体とは使用契約をためらう業者が多いことで他を選ぶと著作権者の音楽利用料による収益が激減する現実がある。結局、著作権や利用者が個別で利用に対する徴集や調査など把握が小規模団体では難しい音楽の著作権では自由競争させようとすることで余計に著作権者や利用者への負担になってしまう皮肉がある[50][51]

アノニマスによるサイバー攻撃

2012年6月27日に違法ダウンロード刑事罰化の抗議として、アノニマスからサイバー攻撃の被害を被る[52]

広報活動

役員

  • 会長:いではく(作詞家)
  • 名誉会長:船村徹(作曲家)
  • 理事長(法人代表者):浅石道夫
  • 常務理事:大橋健三
  • 理事:渡辺俊幸(作曲家)

歴代会長

歴代理事長

脚注

注釈

  1. ^ 、公正取引委員会は行政委員会として準司法的機能を有し、審決に不服がある場合には東京高等裁判所に上訴することになっていたが2013年12月からは準司法的機能を失った。
  2. ^ 2006年10月人事で事務局出身プロパーの加藤衛常務理事が理事長に昇任し、記事で批判された天下り人事の系譜が途絶えた。

出典

  1. ^ JASRAC会長に作詞家のいではく氏 千昌夫さんの「北国の春」など手がける - 産経ニュース、2016年4月1日
  2. ^ JASRAC新会長に作曲家・都倉俊一さん」 asahi.com、2010年8月12日。(2010年8月17日時点のアーカイブ
  3. ^ a b JASRACの概要 JASRAC
  4. ^ a b 管理手数料規程別表
  5. ^ ヤマハ対JASRAC、著作者はどちら側に立つか東洋経済オンライン 2017年8月9日
  6. ^ "平成22年度事業報告書" (PDF) (Press release). 日本音楽著作権協会. 13 December 2012. p. 14.
  7. ^ "平成23年度事業報告書" (PDF) (Press release). 日本音楽著作権協会. 13 December 2012. p. 10.
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関連項目

外部リンク