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=== 「入浴」の際の注意 === |
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[[File:Advertencias_de_seguridad_del_Mar_Muerto.jpg|thumb|right|300px|「死海での安全な入浴」に係る英字注意看板。<br />1.入水の際にジャンプや[[飛び込み]]は絶対するな。<br />2.可能な限り[[桟橋]]を利用して入水せよ。<br />3.入水の際はできるだけ静かにしゃがむか横臥せよ。<br />4.絶対に頭を水に浸けるな。<br />5.絶対に自分自身や周辺の人に水飛沫を掛けるな。<br />6.絶対に死海の水を飲むな - もしも死海の水を飲んでしまった場合は、直ちに[[ライフガード]]か応急手当要員に助けを求める事。<br />6.入浴中は飲料水を頻繁に飲む事。]] |
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死海を訪れる観光者の多くは死海の湖面へ自らの体を浮かべる「入浴」(Bathing)を楽しむが、現地の注意看板にも敢えて「Swimming」ではなく「Bathing」という言葉が使われている事からも分かる通り、死海での「遊泳」は決して推奨されない行為である。 |
死海を訪れる観光者の多くは死海の湖面へ自らの体を浮かべる「入浴」(Bathing)を楽しむが、現地の注意看板にも敢えて「Swimming」ではなく「Bathing」という言葉が使われている事からも分かる通り、死海での「遊泳」は決して推奨されない行為である。 |
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2017年8月29日 (火) 00:00時点における版
死海 | |
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所在地 | イスラエル、 ヨルダン |
位置 | 北緯31度30分 東経35度30分 / 北緯31.500度 東経35.500度座標: 北緯31度30分 東経35度30分 / 北緯31.500度 東経35.500度 |
面積 | 940 km2 |
周囲長 | 135 km |
最大水深 | 433 m |
平均水深 | 145 m |
貯水量 | 1,738 km3 |
水面の標高 | -405 m |
淡水・汽水 | 塩湖 |
湖沼型 | - |
プロジェクト 地形 |
死海(しかい、アラビア語: البحر الميت, ヘブライ語: יָם הַמֶּלַח)は、アラビア半島北西部に位置する塩湖。西側にイスラエル、東側をヨルダンに接する。湖面の海抜はマイナス418mと、地表で最も低い場所である。歴史的に様々な名前で呼ばれたが、現在の英語名 (The Dead Sea) はアラビア語名に由来する。
形成
死海は、東アフリカを分断する大地溝帯が紅海からアカバ湾を通ってトルコに延びる断層のほぼ北端に位置している。死海を含むヨルダン渓谷は、白亜紀以前にはまだ海であったと推定されている。その後の海底隆起により、パレスチナ付近の高原が形成されると同時に、ヨルダン渓谷付近に断層が生じたと考えられている。この断層の西側はアフリカプレートで、東側はアラビアプレートである。前者が後者を圧縮したことにより、断層を挟んで後者が北へ動いた。死海の水源は唯一ヨルダン川である。年間降水量は50mmから100mmと極端に少なく、気温は夏が32°Cから39°C、冬でも20°Cから23°Cと非常に高いため、湖水の蒸発が水分供給を上回る状態で、高い塩分濃度が生まれた。
塩分
海水の塩分濃度が約3%であるのに対し、死海の湖水は約30%の濃度を有する。1リットルあたりの塩分量は230gから270gで、湖底では428gである。この濃い塩分濃度のため、湖水の比重が大きくなり、結果、浮力も大きいので、人が死海に入って沈むことは極めて困難である。(ただし、慌ててもがくなどして大量の水を飲んで溺死することはある[1]。)また後述の例を除き、生物の生息には不向きな環境であるため、湧水の発生する1か所を除き、魚類の生息は確認されていない。死海という名称の由来もここにある。しかし、緑藻類のドナリエラ (Dunaliella salina) や古細菌類の高度好塩菌の生息は確認されている。
死海からは流れ出る川がなく、比較的高温で乾燥した気候であり、年間を通じて大量の水が蒸発するため塩分濃度が高くなっている。また内陸の巨大湖の特徴として、周囲の土壌に元来含まれていた塩分が雨によって流され、下流の湖で凝縮する形となった結果、塩湖が形成されたと考えられている。死海についてはこの他に、ヨルダン川および主に周囲から涌き出る温泉から塩分が供給されているとも考えられている。
死海の水は塩化ナトリウム以外の塩分も多量に含んでおり、苦味が強い。にがりの主成分である塩化マグネシウムも多く含んでいるため、「世界の果てまでイッテQ!」の企画で死海の水による豆腐作りが行われたこともある。
歴史
ヘブライ語では「ים המלח」(塩の海)と呼ばれ、聖書には「アラバの海」、「東の海」などと記される。
マカバイオスは、マサダ要塞を死海の近くの断崖絶壁の山上に築く。ヘロデ大王はマサダ要塞を改修したが、73年、ローマ軍の攻撃を受けて破壊される(ユダヤ戦記参照)。このとき、クムラン洞窟に修道士たちが死海文書を保存していた話は特に有名である。
死海の航海の最古の記録は、1世紀頃のタキトゥスとヨセフスによるものがある。マダバの聖ジョージ教会にあるモザイク地図には、死海と死海で生産された塩を積んだ船が描かれている。十字軍の遠征が行われたころ、死海を航行する船に対して税が徴収された記録も残っている。
1848年に、アメリカ海軍のリンチ (W.F.Lynch) 率いる探検隊がヨルダン川と死海をボートで探検した。この時に史上初めて死海の深さが測定され、死海が深さ400m以上の湖であることが発見された。
産業
周辺の井戸水に多く含まれる臭化マグネシウムから臭素が産出される。アメリカのアーカンソー州ユニオン郡の地下水から臭素が得られるようになるまで世界最大の臭素産出地だった。現在も輸出額では世界第一位である。20世紀に入り、死海の豊富な塩分から採取される塩化カリウムを利用した化学肥料の生産が活発化した。この化学肥料の多くはヨルダンから日本に輸出されている。また死海付近には天然ガスの埋蔵が確認され、今後ガス田開発が計画されている。
死海の周囲の砂浜からは、死海の塩分を多量に含んだ泥が採取され、化粧品や石鹸の添加物としても珍重されている。一部のバスソルトなどにも死海の塩が利用されている。
伝説
旧約聖書のソドムとゴモラは神が硫黄の火で燃やしたと伝えられるが、一方でその廃墟は死海南部の湖底に沈んだとも信じられている。これは、「シディムの谷」と「アスファルト」に関する創世記の描写と、死海南部の状況が似通っていることなどから、一般にもそう信じられているが、その一方で、死海南岸付近に点在する遺跡と結びつけようとする研究者も存在する。特に、死海東南部に存在する前期青銅器時代の都市遺跡Bab edh-Dhraをソドム、Numeiraをゴモラとする説が有力である。
観光
死海の湖岸はリゾート化が進んでおり、沿岸のイスラエル、パレスチナ、ヨルダンはいずれも死海地域の観光開発に力を入れている。イスラエル側(死海西岸)の主要観光都市としては、上死海のエン・ゲディ、下死海のエン・ボケックがある [2] 。ヨルダン側は特に1990年代後半からのイスラエルとの関係改善を受け、2000年代に入ってホテルの建築ラッシュが起こった。
ヨルダン側には、温泉地のハママート・マイーン(マイーン温泉)、洗礼者ヨハネがイエス・キリストに洗礼を施したとされる洗礼地の遺跡アル=マグタス、そのヨハネとサロメの伝説のあるムカーウィル(マケラス)、ロトの洞窟、ムジブ渓谷 (Wadi al-Mujib) および野生動物保護区、モーセの伝説で名高いネボ山、死海博物館(死海パノラマ)、モザイク画で有名なマダバなどの観光地がある。
「入浴」の際の注意
死海を訪れる観光者の多くは死海の湖面へ自らの体を浮かべる「入浴」(Bathing)を楽しむが、現地の注意看板にも敢えて「Swimming」ではなく「Bathing」という言葉が使われている事からも分かる通り、死海での「遊泳」は決して推奨されない行為である。
死海の湖水は余りにも塩分濃度が高い為に人体が浮力を失って溺れる可能性は皆無とされているが、入浴中誤って湖水を飲み込んでしまった場合、体内のナトリウムバランスが急速に崩壊するばかりでなく、内蔵に化学熱傷を引き起こす場合があり、万一湖水が肺に入ってしまうと肺炎に類似した肺機能障害を引き起こして死に至る場合がある。この状態から回復するには、輸液と利尿剤の積極投与、必要に応じて人工透析や酸素吸入を実施する場合すらあるという、大がかりな救命救急措置が必要となってしまう。マーゲン・ダビド公社(MDA)の統計によれば、2010年(8月時点)中イスラエル国内で水難事故でMDAの救急車に救護された人は117人で、そのうち23人が死亡しているが、死海での救護者数は21人と地中海沿岸の83人に比べれば少ない一方、ガリラヤ湖(11人)と紅海(2人)を足した数の2倍近い割合の事故者を例年出しており、イスラエル国内では2番目に危険な遊泳地として認知されている程である[3]。
入浴の際には現地に複数言語表記で立てられている「安全な入浴」に関する注意看板を熟読し、最低限看板に書かれている事項は順守すべきであるが、他にも死海を複数回訪れている旅行者の間では、入浴に当たっては次のような事にも注意が必要であると周知されている[4]。
- 湖岸には鋭く尖った岩や岩塩が多い為、ビーチサンダルなどの履物を必ず履く事。
- 身体に切り傷などの外傷がある場合は激痛を伴う事から入浴を避ける。男性の場合最低でも入浴の二日前からシェービングは控える。
- やはり激痛を伴う事から、眼や粘膜など皮膚の弱い部分に湖水を掛ける事は厳に避ける。
- 塩分濃度が高すぎる為に衣服や水着はしばしば脱色してしまう事から、できるだけ古着や色褪せた水着を持参する事が望ましい。
なお、近年では死海の環境問題の啓発の為、特別な訓練を受けたスイマーが集団遠泳を行うイベントが毎年行われているが、死海の水の誤飲は直ちに命の危機に直結する事から、一般的な海水浴用水中眼鏡やシュノーケルは使用できず、代わりに特別な構造のシュノーケル付きフルフェイス型水中眼鏡が着用される。それでも塩分濃度の高さから水中眼鏡が肌に触れる部分に裂傷や肌荒れを起こす場合があり、浸透圧の差により水に触れている皮膚から体内の水分が急速に失われていく(この際、皮膚表面に灼熱感を感じる者もいる)為、30-45分に一度は水中眼鏡を外して水分補給や食事を取る必要があり、その際にも眼や口に死海の水が入らないように細心の注意を払う必要があるなど、死海での水泳は熟練したスイマーが協力した上で十分な後援体制の下で行う事が不可欠という代物で、世界で最も挑戦的かつ過酷な海水浴であるとも認知されている[5]。
湖面低下問題
20世紀中頃から湖面の低下が観測されており、「近年中に、中央部分に突き出した半島部分(リサン半島)が対岸とくっつき、2つの湖となってしまうのではないか」など、この現状を危惧する声が一部で上がっている。その原因については、イスラエルの建国(1948年)以降、農業の盛んな同国による、ヨルダン川上流部での大規模な灌漑用水の利用によるものであろうと一般に考えられている。また、死海南部での取水によるカリウム生産も水位低下の一因と考えられている。原因不明の降雨不足や、近隣のホテルが大量の井戸水を使用するようになったことも一因とされる。イスラエル地質調査所によれば、平均で1年に1メートルのペースで湖面が低下しており、2004年には海抜マイナス417メートルだったのが、2014年には同428メートルとなっているという。環境団体の中には、2050年までに完全に干上がると主張するものもある[6]。
死海の湖面の低下に連動して起こる海岸部の地盤沈下の問題も顕在化してきている。ホテルの立地している場所や農地で発生している地盤沈下は、経済面にも影響することが懸念される。
現在、湖面の低下による死海の消滅を阻止するため、紅海と死海を結ぶ運河を建設し、紅海の海水を死海に取り入れる計画が進行している(レッドデッドプロジェクト)。ヨルダンによる計画では、アカバ付近で海水を取水し、利用可能な真水を取り出した残りの濃い塩水を死海に放水することが構想されている[7]。
2013年12月9日、イスラエル、ヨルダン、パレスチナ自治政府の3地域は、アメリカ合衆国ワシントンD.C.にある世界銀行本部において水資源の分配計画に署名した。この計画には紅海の水を死海に取り込むパイプラインの設置についても含まれており、パイプラインは全長180kmでヨルダン領内に設置される予定。完成まで約3年を見通しており、世界銀行などからの融資でまかなう建設費は3億ドルから4億ドル(日本円で約309億円から412億円)と試算されている[8]。
脚注
- ^ 死海で死亡は中国人女性観光客、溺れる? イスラエル
- ^ 『地球の歩き方 E 05、イスラエル 2013~2014』(ダイヤモンド・ビッグ社)
- ^ Think That Swimming in Dead Sea Is Safe? Think Again - ハアレツ、2010年8月19日。
- ^ Ten Dead Sea Tips - ナショナルジオグラフィック、2009年5月19日
- ^ What is faster: Swimming in the Dead Sea with a full face mask or in the Ocean with goggles? - swim-west.com。
- ^ “死海、死の淵に 生活用水くみ上げで水位低下、20年余で消滅か”. 産経新聞. (2014年3月27日) 2014年3月27日閲覧。
- ^ Jordan to refill shrinking Dead Sea デイリー・テレグラフ 2009年10月13日(2012年3月28日閲覧)
- ^ 「紅海から死海にパイプライン=水位低下防止、水供給で協力」 時事通信 (2013年12月10日 9時40分)