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「スバル・EJ型エンジン」の版間の差分

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2017年4月20日 (木) 08:34時点における版

スバル・EJ型エンジン
EJ15型水平対向4気筒エンジン
生産拠点 富士重工業
製造期間 1989年1月 - 現在
タイプ 水平対向4気筒SOHC16バルブ
水平対向4気筒DOHC16バルブ
排気量 1.5L
1.6L
1.8L
2.0L
2.2L
2.5L
テンプレートを表示

EJ型エンジンとは、富士重工業水平対向4気筒ガソリンエンジン系列である。

EA型エンジンの後継機種として、現在に至る。現在、EJ15、EJ16、EJ18、EJ22は製造終了し、このうち、EJ15はDOHCロングストローク設計を用いた後継のEL15に引き継がれた。また、残りのEJ20、EJ25のDOHCエンジンは可変バルブタイミング機構・AVCSを搭載している[1]ボアピッチは113mm。

ここでは便宜上、スバル・アルシオーネSVXに搭載された発展バージョンであるEG33水平対向6気筒エンジンも併せて記述する。

概要

EA型エンジンがクランクシャフトを支持するベアリングが3つであったのに対して、EJ型エンジンでは5つとなり高出力化へと対応した。しかし、このためにクランクシャフト長が延び、ボアピッチが広くなっている。ボア拡大により排気量を大幅に上げることが可能となったが、実際の性能との関連によらず『ショートストロークのために低回転域のトルクが細い』と評されることが多い。

構造的特徴

直系の先祖となるEA型エンジン(スバル1000から搭載)と同じく水冷方式を採用し、コンパクトネスを重視したため隣接するシリンダー間が比較的狭くクランクシャフトは薄いウェブ、大きなクランクピン-ジャーナルのオーバーラップを持つ形状をしており、俗に剃刀クランクと呼ばれることもある。切れ角を伴うフロントタイヤ間に搭載されるため、横幅へのサイズ的要求もありストロークをあまり大きくすることはできず、ショートストローク・ビックボアなプロフィールを持つ。[2]

一般的なエンジンにあるメインベアリングキャップは存在せず、対向するシリンダーブロックがこれを兼ねるため、支持剛性は高いものとなる。開放口は下側のオイルパン取り付け部のみである。左右シリンダーブロックはクランクシャフト軸にて分割され、一般的なエンジンにおけるハーフスカート形状をしており、ボルト結合されている。

この構造によりコンロッドキャップをシリンダブロック内で分離することが困難であり、コンロッド-ピストンを一体でシリンダーから抜くことは難しいため、シリンダーブロックの前後にはピストンピンの脱着を行うサービスホールが設けられている(ピストンピン取り外し用に専用工具が設定されている。)。分解・組み立ての際にはここを通してピストンとコンロッドを分離し、コンロッドはクランクシャフトに組み付いた状態で脱着する。

動弁機構はSOHC、DOHCでタイミングベルトを介しクランクシャフトより駆動されるが、左右バンクを1本で駆動するため非常に長いベルトを採用している。バルブ自体の駆動方法は年式によって変わり、特にDOHCでは内点支持型ロッカーアーム駆動に始まり、ダイレクトプッシュ式に変わってからも、HLA[3]による自動弁隙間調整機構付から、アウタシム調整式、インナシム調整式と変更され、近年では動弁系の軽量化と精度向上、部品点数削減のためバルブリフタが弁隙間調整用のシムをかねるタイプが標準となった[4]

型式

EJ15

  • 種類:SOHC 16バルブ EGI
  • 排気量:1,493cc
  • ボア: 85.0 mm
  • ストローク: 65.8 mm
  • 圧縮比:9.4 - 10.0
出力・トルク
  • (1)71kW(97PS)/6,000rpm 129.4N·m(13.2kgf·m)/3,600rpm
  • (2)75kW(102PS)/5,600rpm 136.3N·m(13.9kgf·m)/4,000rpm
  • (3)70kW(95PS)/5,200rpm 140.2N·m(14.3kgf·m)/3,600rpm
  • (4)74kW(100PS)/5,200rpm 142N·m(14.5kgf·m)/4,000rpm
搭載車種(車両型式)

EL15

スバル・EL15を参照。

EJ16

  • 種類:SOHC 16バルブ EGI
  • 排気量:1,597cc
  • ボア: 87.9 mm
  • ストローク: 65.8 mm
  • 圧縮比:9.4 - 10.0
出力・トルク
  • 74kW(100PS)/6,000rpm 138.3N·m(14.1kgf·m)/4,500rpm
搭載車種(車両型式)
  • インプレッサ(E-GC3/4,E-GF3/4)

EJ18

  • 種類:SOHC 16バルブ SPFI/EGI
  • 排気量:1,820cc
  • ボア: 87.9 mm
  • ストローク: 75.0 mm
  • 圧縮比:9.5 - 9.7
出力・トルク
  • (1)81kW(110PS)/6,000rpm 149.1N·m(15.2kgf·m)/3,200rpm
  • (2)85kW(115PS)/6,000rpm 154.0N·m(15.7kgf·m)/4,500rpm
  • (3)88kW(120PS)/5,600rpm 163.8N·m(16.7kgf·m)/3,600rpm
搭載車種(車両型式)
  • インプレッサ(E-GC5/6,E-GF5/6)
  • レガシィ(E-BC2/3,E-BD2/3,E-BF2/3,E-BG2/3)

EJ20

スバル・EJ20を参照。

EJ22

  • 種類:SOHC/DOHC 16バルブ EGI NA/ターボ
  • 排気量:2,212cc
  • ボア: 96.9 mm
  • ストローク: 75.0 mm
  • 圧縮比:NA:9.5 - 9.7 ターボ:8.0
出力・トルク
  • NA
    • (1)99kW(135PS)/5,500rpm 186.3N·m(19.0kgf·m)/4,000rpm
    • (2)99kW(135PS)/5,500rpm 186.3N·m(19.0kgf·m)/4,500rpm
  • ターボ
    • (1)206kW(280PS)/6,000rpm 362.8N·m(37.0kgf·m)/3,200rpm
搭載車種(車両型式)

EJ25

  • 種類:SOHC/DOHC 16バルブ EGI NA/ターボ
  • 排気量:2.457L
  • ボア: 99.5 mm
  • ストローク: 79.0 mm
  • 圧縮比:NA:9.5 - 10.0 ターボ:8.2 - 9.5
出力・トルク
  • NA
    • (1)118kW(160PS)/6,000rpm 210.8N·m(21.5kgf·m)/2,800rpm
    • (2)129kW(175PS)/6,000rpm 230.5N·m(23.5kgf·m)/3,800rpm
    • (3)123/125kW(167/170PS)/6,000rpm 235.4/238.0N·m(24.0/24.3kgf·m)/2,800rpm
    • (4)121kW(165PS)/5,600rpm 226N·m(23.0kgf·m)/4,400rpm
    • (5)130kW(177PS)/6,000rpm 229N·m(23.4kgf·m)/4,400rpm
    • (6)125kW(170PS)/5,600rpm 229N·m(23.4kgf·m)/4,000rpm
  • ターボ
    • (1)195kW(265PS)/5,600rpm 378N·m(38.5kgf·m)/3,600rpm
    • (2)195kW(265PS)/5,600rpm 350N·m(35.7kgf·m)/2,400rpm
    • (3)210kW(285PS)/5,600rpm 392N·m(40.0kgf·m)/2,000-4,800rpm
    • (4)210kW(285PS)/6,000rpm 350N·m(35.7kgf·m)/2,000-5,600rpm
搭載車種(車両型式)

EG33

スバル・EG33型エンジン
EG33型水平対向6気筒エンジン
生産拠点 富士重工業
製造期間 1991年8月 - 1996年11月
タイプ 水平対向6気筒DOHC24バルブ
排気量 3.3L
テンプレートを表示

スバル・アルシオーネSVXの専用エンジンとして設計された水平対向6気筒エンジン。ブロックはEJ22に2気筒を追加して6気筒とし(ER27と同じ手法)、シリンダーヘッドとバルブトレーンには新設計の狭角DOHCが採用された。EZ36の登場までの間、スバルブランドの市販エンジン(乗用車用)では最大排気量だった。

  • 種類:DOHC 24バルブ EGI NA
  • 排気量:3,318cc
  • ボア: 96.9 mm
  • ストローク: 75.0 mm
  • 圧縮比:10.0
出力・トルク
  • 日本仕様 240PS/6,000rpm、31.5kgf·m/4,800rpm
  • 米国仕様[5] 230hp/5,400rpm
搭載車種(車両型式)

脚注

  1. ^ 詳細はスバルの可変動弁機構を参照のこと。
  2. ^ ただし、レオーネに搭載されていた1.8LのEA81と比較すると、ボアピッチは拡大しているし、またボア径は不変のままストロークのみ15mm延長されており、よりスクエアに近くはなっている。
  3. ^ Hydraulic Lash Adjuster の略。油圧を利用し常にバルブクリアランスがゼロに保たれる機構。
  4. ^ シムレスリフタ。厚さ(カム摺動面からバルブ軸接触面までの厚さ)の違うリフタを多数用意し、シムではなくリフタ自体でバルブクリアランスを調整するタイプ。
  5. ^ 燃費対策で日本仕様に対してバルブスプリングが柔らかい