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「ミラクル・ニール!」の版間の差分

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| 製作総指揮 = マイク・メダヴォイ<br>クリス・チェサー<br>ベン・ホワイト<br>マーク・サンデル<br>エドワード・シモンズ<br>ケント・ウォルウィン<br>ディーン・ゴールドバーグ<br>デヴィッド・ロジャース<br>ジェイソン・ギャレット<br>ジェレミー・マーテル
| 製作総指揮 = マイク・メダヴォイ<br>クリス・チェサー<br>ベン・ホワイト<br>マーク・サンデル<br>エドワード・シモンズ<br>ケント・ウォルウィン<br>ディーン・ゴールドバーグ<br>デヴィッド・ロジャース<br>ジェイソン・ギャレット<br>ジェレミー・マーテル
| ナレーター =
| ナレーター =
| 出演者 = [[サイモン・ペグ]]<br>[[ケイト・ベッキンセール]]<br>{{仮リンク|サンジーヴ・バスカー|en|Sanjeev Bhaskar}}<br>[[ロブ・リグル]]<br>[[エディー・イザード]]<br>{{仮リンク|ジョアンナ・ラムレイ|en|Joanna Lumley}}<br>テリー・ジョーンズ<br>[[ジョン・クリーズ]]<br>[[テリー・ギリアム]]<br>[[マイケル・ペイリン]]<br>[[エリック・アイドル]]<br>[[ロビン・ウィリアムズ]]
| 出演者 = [[サイモン・ペグ]]<br>[[ケイト・ベッキンセール]]<br>{{仮リンク|サンジーヴ・バスカー|en|Sanjeev Bhaskar}}<br>[[ロブ・リグル]]<br>[[エディー・イザード]]<br>{{仮リンク|ジョアンナ・ラムリー|en|Joanna Lumley}}<br>テリー・ジョーンズ<br>[[ジョン・クリーズ]]<br>[[テリー・ギリアム]]<br>[[マイケル・ペイリン]]<br>[[エリック・アイドル]]<br>[[ロビン・ウィリアムズ]]
| 音楽 = [[ジョージ・フェントン]]
| 音楽 = [[ジョージ・フェントン]]
| 主題歌 =
| 主題歌 =
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| 配給 = {{Flagicon|GBR}} {{仮リンク|ライオンズゲート・フィルムズ|en|Lionsgate Films}}<br>{{Flagicon|JPN}} [[シンカ・エンターテインメント|シンカ]]
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| 上映時間 = 85分<!--Theatrical runtime: 85:31--><ref>{{cite web | url=http://bbfc.co.uk/releases/absolutely-anything-film | title=''ABSOLUTELY ANYTHING'' (12A) | work=[[British Board of Film Classification]] | date=12 June 2015 | accessdate=1 December 2015}}</ref>
| 上映時間 = 85分
| 製作国 = {{GBR}}<ref>{{cite web|url=http://www.bfi.org.uk/films-tv-people/559ef262e155d|title=Absolutely Anything (2015)|work=[[British Film Institute]]|accessdate=2016-05-12}}</ref>
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| 言語 = [[英語]]<br>[[フランス語]]
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| 興行収入 = {{flagicon|World}}380万ドル<!--$3.8 million--><ref>{{cite web | url=http://www.boxofficemojo.com/movies/?page=intl&id=absolutelyanything.htm | title=Absolutely Anything - International Box Office Results | work=[[Box Office Mojo]] | publisher=[[Internet Movie Database]] | date=30 November 2015 | accessdate=1 December 2015}}</ref>
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『'''ミラクル・ニール!'''』(原題: ''Absolutely Anything'')は、[[2015年]]に[[イギリス]]で製作された[[サイモン・ペグ]]主演の[[コメディ映画]]。[[モンティ・パイソン]]の[[テリー・ジョーンズ]]が監督を務め、他のパイソン・メンバーも[[声優]]として出演している。この作品は[[ロビン・ウィリアムズ]]の最後の出演作品となった。
『'''ミラクル・ニール!'''』({{lang-en-short|"''Absolutely Anything''"}})は、[[2015年]]に[[イギリス]]で製作された[[サイモン・ペグ]]主演の[[SF映画|SF]]・[[コメディ映画]]。[[モンティ・パイソン]]の[[テリー・ジョーンズ]]が監督を務め、他のメンバーも[[声優]]として出演している。パイソンズが揃って映画に出演するのは、1983年に公開された『[[人生狂騒曲]]』以来のことであった{{r|bcdb}}。またこの作品は[[ロビン・ウィリアムズ]]の最後の出演作品となった<ref>{{cite web|url=https://natalie.mu/owarai/news/182448|title=関根勤がロビン・ウィリアムズとの思い出語る「サービス精神感じた」|date=2016-04-05|work=映画ナタリー|accessdate=2018-03-28}}</ref><ref>{{cite news|url=http://www.cnn.com/2014/08/12/showbiz/celebrity-news-gossip/robin-williams-posthumous-movies |title=Robin Williams leaves behind four films to be released |publisher=CNN.com |date= |accessdate=2014-08-15}}</ref><ref name="bcdb">{{cite web|last=Koch |first=Dave |url=http://blog.bcdb.com/trailer-for-robin-williams-last-film-8748/ |title=Trailer For Robin Williams Last Film |publisher=Big Cartoon News |date= |accessdate=2015-05-20}}</ref>。他には[[ケイト・ベッキンセール]]、{{仮リンク|サンジーヴ・バスカー|en|Sanjeev Bhaskar}}、[[ロブ・リグル]]などが出演した。脚本はジョーンズと{{仮リンク|ギャヴィン・スコット|en|Gavin Scott}}が共筆した。


[[主要撮影]]は2014年3月24日に始まり、同年5月12日に完了した。イギリスでは{{仮リンク|ライオンズゲート・フィルムズ|en|Lionsgate Films|label=ライオンズゲートUK}}が配給を担当し、2015年8月14日に公開された。日本では[[2016年]][[4月2日]]に[[渋谷シネクイント]]で先行公開された後、翌週の[[4月9日]]に全国公開された<ref name=日本公式>[[#外部リンク|公式サイト]]</ref><ref>{{cite web|url=https://natalie.mu/eiga/news/175019|title=サイモン・ペッグが謎の女装姿披露、「ミラクル・ニール!」公開日決定|date=2016-02-05|accessdate=2018-03-28|work=映画ナタリー}}</ref>。作品は全世界で380万ドルの興行収入を上げた。
日本では[[2016年]][[4月9日]]に全国公開された<ref name=日本公式>[[#外部リンク|公式サイト]]</ref>。


== あらすじ ==
== あらすじ ==
[[地球外生命|地球外生命体]]を求めて打ち上げられた探査船が、遠い宇宙の果てにいるエイリアンたちの「評議会」(声:[[モンティ・パイソン]])へ届く。彼らは地球人の無能さに呆れ、これまでの星と同じように地球を消滅させることにするが、1度は機会を与えるべきだとする銀河法の規定により、適当に1人の地球人を選んで「ほとんど何でも」("Absolutely Anything") 叶えることのできる力を授けると決める{{efn|group="注"|この時候補者として[[サラ・ペイリン]]の顔が一瞬写っている<ref>{{cite web|url=https://io9.gizmodo.com/absolutely-anythings-biggest-crime-is-going-absolutely-1725348700|accessdate=2018-03-28|title=Absolutely Anything's Biggest Crime Is Going Absolutely Nowhere|date=2015-08-20|first=James|last=Whitbrook}}</ref>。}}。彼らに選ばれたニール(演:[[サイモン・ペグ]])は冴えない中学校教師で、フラットの規則を破ってオス犬・デニスを飼っており、隣人のキャサリン(演:[[ケイト・ベッキンセール]])に気がある。当初自分が力を得たことに気付いていなかったニールだったが、同僚の理科教師レイ(演:{{仮リンク|サンジーヴ・バスカー|en|Sanjeev Bhaskar}})との会話でふと口にした「自分のクラスが宇宙船に襲われて消滅すればいい」との言葉が現実になってしまう。力の存在に気付いたニールは、正確に話さないと思い通りの結果になってくれない力に手こずるが、その使い方を習得しようと試みる。理想の身体を手に入れたり、愛犬デニス(声:[[ロビン・ウィリアムズ]])に喋れる能力と理性的な思考回路を授けたり、レイが心を寄せる体育教師に彼を崇拝させたりと、ニールの使い道はどれもしょうもなく、宇宙の果てのエイリアンたちは地球人たちを嘲笑する。
{{要あらすじ}}

ニールの隣人キャサリンは、書評番組制作会社で働いており、[[セクハラ]]上司(演:{{仮リンク|ロバート・バサースト|en|Robert Bathurst}})やパーティ以来付きまとわれているグラント大佐(演:[[ロブ・リグル]])に辟易している。ある日彼女は友人の勧めに乗り、酔っ払った状態でニールの家に押しかけ一夜を明かすが、その様子をキャサリンの[[ストーカー]]と化したグラント大佐に目撃される{{efn|ニールは自分の力のおかげと喜ぶが、この時銀河パワーの不調によりニールは力を失っており、この一件は全くの偶然だった。|group="注"}}。翌日謝罪に来たキャサリンは、キッチンで喋るデニスの声を聞いてニールが[[ゲイ]]だと勘違いしてしまう。この夜キャサリンは、フラットに押しかけてきたグラント大佐を振り切ってニールと会食するが、大佐の闖入に激怒してニールの部屋を出て行く。ニールから力について聞いた大佐は、彼を気絶させてデニスもろとも自分のフラットへと連れて行く。

翌朝ニールとの会話通りのオフィスを手に入れたキャサリンは、彼の力が本物だと気付き、お礼を言うため帰宅する。乱闘の後ニールが大佐に連れ去られたことを知った彼女は、[[ワードローブ]]に隠れていたレイと共に、大佐に貰った鍵を頼りに救出に向かう{{efn|レイはニールの言葉から、体育教師に神と崇められるほど崇拝されており、彼女たち一派から逃げるためニールのフラットに忍び込んでいた。|group="注"}}。グラント大佐はニールを拘束して、デニスを人質に自分の望みを叶えるよう迫っており、駆けつけたキャサリンに自分を愛させるよう求める。ニールは大佐の願いを叶えつつも、隙をついて彼を犬に変えて窮地を脱するが、力でとんだ騒動に遭ったキャサリンとレイに嫌われてしまう。

ニールは心を入れ替えて善行に力を使おうとするが、言い方が悪く全て裏目に出てしまう。力に辟易したニールは[[テムズ川]]に飛び込んで自殺未遂を起こす。失敗後デニスと公園に立ち寄ったニールは、デニスから犬は飼い主の命令に従うのだから自分に力を授ければいいと勧められる。ニールがデニスに力を与えた頃、「評議会」では地球の滅亡が決まるが、彼らが実行に移そうとしたところで、力の源を破壊して2度と同じようなことが起きないようにしてほしいとデニスが唱え、銀河パワーもろとも「評議会」は消滅する。その後ニールはフラットに戻り、力を失ったことを明かした上でキャサリンを食事に誘って了承されるのだった。


== キャスト ==
== キャスト ==
※括弧内は日本語吹替
※括弧内は日本語吹替
* ニール・クラーク - [[サイモン・ペグ]]<ref name="screendaily1">{{cite web|last=Wiseman |first=Andreas |url=http://www.screendaily.com/news/distribution/lionsgate-uk-takes-absolutely-anything/5070128.article?blocktitle=LATEST-FILM-NEWS&contentID=40562 |title=Lionsgate UK takes Terry Jones' sci fi comedy Absolutely Anything &#124; News &#124; Screen |publisher=Screendaily.com |date= |accessdate=2014-03-29}}</ref>([[横島亘]])
* ニール・クラーク - [[サイモン・ペグ]]([[横島亘]])
* キャサリン - [[ケイト・ベッキンセール]]([[田中敦子 (声優)|田中敦子]])
* キャサリン - [[ケイト・ベッキンセール]]{{r|screendaily1}}([[田中敦子 (声優)|田中敦子]]<ref>{{cite web|url=https://natalie.mu/eiga/news/261547|title=「吹替王国」で田中敦子を特集、「攻殻機動隊2.0」など4作放送|date=2017-12-22|accessdate=2018-03-28|work=映画ナタリー}}</ref>
* レイ - {{仮リンク|サンジーヴ・バスカー|en|Sanjeev Bhaskar}}
* レイ - {{仮リンク|サンジーヴ・バスカー|en|Sanjeev Bhaskar}}{{r|screendaily1}}
* グラント - [[ロブ・リグル]]
* グラント - [[ロブ・リグル]]{{r|screendaily1}}
* ジェームズ - {{仮リンク|ロバート・バサースト|en|Robert Bathurst}}
* ジェームズ - {{仮リンク|ロバート・バサースト|en|Robert Bathurst}}
* 校長 - [[エディー・イザード]]
* 校長 - [[エディー・イザード]]{{r|screendaily1}}
* フェネッラ - {{仮リンク|ジョアンナ・ラムレイ|en|Joanna Lumley}}
* フェネッラ - {{仮リンク|ジョアンナ・ラムリー|en|Joanna Lumley}}{{r|screendaily1}}
* ロージー - マリアンヌ・オルダム
* ロージー - マリアンヌ・オルダム
* ドロシー - {{仮リンク|エマ・ピアソン|en|Emma Pierson}}
* ドロシー - {{仮リンク|エマ・ピアソン|en|Emma Pierson}}
* フィオナ - {{仮リンク|ミーラ・サイアル|en|Meera Syal}}
* フィオナ - {{仮リンク|ミーラ・サイアル|en|Meera Syal}}
* 犬のデニス - モジョ
* 犬のデニス - モジョ
* 犬のデニスの声 - [[ロビン・ウィリアムズ]]([[岩崎ひろし]])
* 犬のデニスの声 - [[ロビン・ウィリアムズ]]{{r|screendaily1}}([[岩崎ひろし]])
* 宇宙人の声 - [[モンティ・パイソン]]
* 宇宙人の声 - [[モンティ・パイソン]]
** チーフ宇宙人の声 - [[ジョン・クリーズ]]([[楠見尚己]])
** チーフ宇宙人の声 - [[ジョン・クリーズ]]{{r|screendaily1}}([[楠見尚己]])
** 武闘派宇宙人の声 - [[テリー・ギリアム]]([[落合弘治]])
** 武闘派宇宙人の声 - [[テリー・ギリアム]]{{r|screendaily1}}([[落合弘治]])
** はつらつギャットの声 - [[エリック・アイドル]]([[金光宣明]])
** はつらつギャットの声 - [[エリック・アイドル]]{{r|deadline100914}}<ref name="gfm">{{cite web|last=Films |first=GFM |url=http://www.gfmfilms.co.uk/news/eric-idle/ |title=Eric Idle |publisher=GFM Films|date= |accessdate=2014-02-20|deadlink=2018-03-28|archiveurl=https://web.archive.org/web/20140819084020/http://www.gfmfilms.co.uk/news/eric-idle/|archivedate=2014-08-19}}</ref>([[金光宣明]])
** 知性派宇宙人の声、バンの運転手 - [[テリー・ジョーンズ]]([[樫井笙人]])
** 知性派宇宙人の声、バンの運転手 - [[テリー・ジョーンズ]]{{r|screendaily1}}([[樫井笙人]])
** 穏健派宇宙人の声 - [[マイケル・ペイリン]](岩崎ひろし)
** 穏健派宇宙人の声 - [[マイケル・ペイリン]]{{r|screendaily1}}(岩崎ひろし)
* カメオ出演 - [[ブライアン・コックス (物理学者)|ブライアン・コックス]]<ref>{{cite web|url=https://www.stuff.co.nz/entertainment/film/film-reviews/73841371/review-absolutely-anything|title=Review: Absolutely Anything |work=stuff.co.nz|accessdate=2018-03-28|date=2015-11-11|first=JAMES|last=CROOT}}</ref>


== スタッフ ==
== スタッフ ==
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== 製作 ==
== 製作 ==
=== 発展 ===
{{節スタブ|date=2016年3月}}
2014年3月、[[テリー・ジョーンズ]]は『[[エンパイア (雑誌)|エンパイア]]』誌のインタビューでこの映画について語っている。ジョーンズは、荒れた中学校の教師を務めるニールが主人公で、彼が望んだことを何でも実現する力を手に入れる話だと明かした{{r|empireonline1}}。ジョーンズは、ニールについて、友人とのたわいない会話で口にした「宇宙船が4年C組を襲って消滅させればいい」という言葉が現実になり、やっと力を得たことに気付くのだと述べていた<ref name="empireonline1">{{cite web |url=http://www.empireonline.com/interviews/interview.asp?IID=1858 |title=Terry Jones On His New Sci-Fi Comedy Absolutely Anything |publisher=Empireonline.com |date= |accessdate=2014-07-08|archiveurl=https://web.archive.org/web/20140328131406/http://www.empireonline.com/interviews/interview.asp?IID=1858|archivedate=2014-03-28|deadlink=2018-03-28}}</ref>。
監督の[[テリー・ジョーンズ]]この作品について「存命するパイソンズが勢揃いする最後の映画だろう」と語っている<ref group="注">なお、パイソンズのメンバーである[[グレアム・チャップマン]]は既に物故者となっている。</ref><ref name=日本公式 /><ref>{{cite news|url=http://cinema.pia.co.jp/news/168630/66219/|title=伝説のユニット“モンティ・パイソン”が映画『ミラクル・ニール』に集結!|date=2016-03-16|newspaper=ぴあ映画生活|publisher=[[ぴあ]]|accessdate=2016-03-17}}</ref>パイソンズが揃って映画出演するのは、[[1983年]]の『[[人生狂騒曲|モンティ・パイソン 人生狂騒曲]]』以来である


ジョーンズは作品について、[[ハーバート・ジョージ・ウェルズ|H・G・ウェルズ]]の『{{仮リンク|奇蹟を行う男|en|The Man Who Could Work Miracles (story)}}』から着想を得たとしつつも、「それから得たものは全て変更した」と述べている{{r|empireonline1}}。また脚本は{{仮リンク|ギャヴィン・スコット|en|Gavin Scott}}と書き始めてから20年以上になるものだったとし、「自分の本当の子どものように感じている」({{lang-en-short|I just think it's my own baby really.|links=no}})とまでした{{r|empireonline1}}。また、CGではなく実際の犬を起用したことについても触れ、「[[ダグラス・アダムズ]]が死ぬ前なら、脚本を読んで犬のデニスのシーンが1番面白いと言うんだろうな」とした{{r|empireonline1}}。
この作品は、[[2015年]][[8月14日]]に本国[[イギリス]]で公開された<ref>{{cite web|url=http://www.imdb.com/title/tt1727770/releaseinfo?ref_=tt_ov_inf|title=Absolutely Anything (2015) Release Info|publisher=[[インターネット・ムービー・データベース|IMDb]]|accessdate=2016-03-18}}{{en icon}}</ref>。


=== キャスティング ===
ニールの愛犬デニスの声は[[ロビン・ウィリアムズ]]が演じていたが、公開の1年前に亡くなっており<ref>{{cite news|url=http://www.bbc.com/news/entertainment-arts-28765693|title=Robin Williams death: Police confirm suicide|date=2014-08-13|newspaper=[[BBCニュース|BBC News]]|publisher=[[英国放送協会|BBC]]|accessdate=2016-03-18}}</ref>、この作品は彼の出演する最後の作品となっている<ref group="注">彼が映像で実際に出演している最後の作品は、『[[ナイト ミュージアム/エジプト王の秘密]]』である。</ref>。
2010年9月14日、映画の製作が初めて公表され、[[ジョン・オリバー]]と[[ロビン・ウィリアムズ]]、また[[モンティ・パイソン]]から[[ジョン・クリーズ]]、[[マイケル・ペイリン]]、[[テリー・ギリアム]]が出演すると報じられた<ref name="deadline100914">{{cite web|last=Fleming |first=Mike |url=http://www.deadline.com/2010/09/phoenix-sets-laffer-with-monty-pythons-terry-jones-and-daily-shows-john-oliver/ |title=Phoenix Sets Laffer With Monty Python's Terry Jones And Daily Show's John Oliver |publisher=[[Deadline.com]] |date=2010-09-14 |accessdate=2014-03-29}}</ref>。また[[エリック・アイドル]]の出演は、遅れて2014年2月に正式発表された{{r|gfm}}。2012年1月には、撮影が同年春から始まることが発表され<ref>{{cite web|url=https://variety.com/2012/film/news/pic-reunites-monty-python-members-1118049265/ |title=Pic reunites Monty Python members |publisher=[[バラエティ (アメリカ合衆国の雑誌)|Variety]] |date=2012-01-26 |accessdate=2014-03-29}}</ref>、2013年12月11日には、主演のニール・クラークを[[サイモン・ペグ]]が演じると報じられた<ref>{{cite web|url=http://collider.com/simon-pegg-monty-python-absolutely-anything/ |title=Simon Pegg Joins Monty Python in ABSOLUTELY ANYTHING |publisher=Collider |date=2013-11-20 |accessdate=2014-03-29}}</ref>。2014年2月26日には[[ケイト・ベッキンセール]]<ref>{{cite web|first=NANCY|last=TARTAGLIONE |url=http://www.deadline.com/2014/02/kate-beckinsale-joins-simon-pegg-monty-python-troupe-for-absolutely-anything/ |title=Kate Beckinsale Joins Simon Pegg, Monty Python Troupe For 'Absolutely Anything' |publisher=Deadline.com |date= |accessdate=2014-03-29}}</ref>、同年3月19日には[[ロブ・リグル]]の参加が明らかになった<ref>{{cite web|url=http://www.comingsoon.net/news/movienews.php?id=116232 |title=Rob Riggle Joins Most of Monty Python's Absolutely Anything |publisher=ComingSoon.net |date=2014-03-19 |accessdate=2014-03-29}}</ref>。


ジョーンズはこの作品について「存命するパイソンズが勢揃いする最後の映画だろう」と語っている<ref group="注">なお、パイソンズのメンバーである[[グレアム・チャップマン]]は既に物故者となっている。</ref><ref name=日本公式 /><ref>{{cite news|url=http://cinema.pia.co.jp/news/168630/66219/|title=伝説のユニット“モンティ・パイソン”が映画『ミラクル・ニール』に集結!|date=2016-03-16|newspaper=ぴあ映画生活|publisher=[[ぴあ]]|accessdate=2016-03-17}}</ref>パイソンズが揃って映画出演するのは、[[1983年]]の『[[人生狂騒曲|モンティ・パイソン 人生狂騒曲]]』以来のことだった{{r|bcdb}}
== 日本での公開 ==
[[2015年]][[9月21日]]、第8回[[したまちコメディ映画祭in台東]]の特別招待作品として上映された<ref name=したまち>{{cite web|url=http://www.shitacome.jp/2015/program/program_absolutely_anything.shtml|title=特別招待作品『Absolutely Anything(原題)』 - 第8回したまちコメディ映画祭in台東|publisher=第8回[[したまちコメディ映画祭in台東]]|accessdate=2016-03-17}}</ref>。上映にはゲストとして、[[モンティ・パイソン]]の熱狂的ファンでもある[[関根勤]]が招かれており<ref name=したまち />、この席で邦題が『ミラクル・ニール!』に決定したと発表された<ref>{{cite news|url=http://eiga.com/news/20150922/11/|title=パイソンズ再結集の映画は邦題「ミラクル・ニール!」に決定|date=2015-09-22|newspaper=映画ニュース|publisher=[[映画.com]]|accessdate=2016-03-17}}</ref><ref>{{cite news|url=http://www.cinematoday.jp/page/N0076736|title=サイモン・ペッグ×モンティ・パイソン映画、邦題は『ミラクル・ニール!』に決定|date=2015-09-24|newspaper=映画ニュース|publisher=シネマトゥデイ|author=坂田正樹|accessdate=2016-03-17}}</ref>。この上映に際して、[[マイケル・ペイリン]]出演のオリジナルムービーが製作されている{{refnest|group="注"|ペイリンが、ジョーンズが「靴下履けない病」にかかり来日できないと詫びるストーリー<ref>{{YouTube|Vji8-T04D0Y|したコメ欠席お詫び映像!by モンティ・パイソン}}</ref>ペイリンは、[[空飛ぶモンティ・パイソン]]で主にジョーンズとスケッチを書いていた。}}。


ニールの愛犬デニスの声を担当したウィリアムズ公開の1年前に亡くなっており<ref>{{cite news|url=http://www.bbc.com/news/entertainment-arts-28765693|title=Robin Williams death: Police confirm suicide|date=2014-08-13|newspaper=[[BBCニュース|BBC News]]|publisher=[[英国放送協会|BBC]]|accessdate=2016-03-18}}</ref>、この作品は彼の出演する最後の作品となっている彼が映像で実際に出演している最後の作品は、『[[ナイト ミュージアム/エジプト王の秘密]]』であるアフレコはウィリアムズが自殺する約1ヶ月前に行われたという<ref>{{cite web|url=http://top.tsite.jp/entertainment/cinema/i/28147228/index|title=新作映画『ミラクル・ニール』観るべき3つの理由――誰もが共感できるヒューマンコメディ|date=2016-04-01|work=T-SITE NEWS|accessdate=2018-03-28|publisher=[[TSUTAYA]]|author=内田涼}}</ref>。
[[2016年]][[4月2日]]には渋谷シネクイントにて先行公開され、その後同[[4月9日|9日]]に全国公開される予定である<ref name=日本公式 /><ref>{{cite web|url=http://www.eigakan.org/theaterpage/schedule.php?t=457|title=ミラクル・ニール! 劇場情報|publisher=映画館に行こう!|accessdate=2016-03-17}}</ref>。

=== 撮影と音楽 ===
[[主要撮影]]は2014年3月24日から5月12日に行われた<ref>{{cite web|url=http://www.studiosystemnews.com/on-the-set-for-32414/ |title=‘On The Set’ For 3/24/14: Nicole Kidman Starts ‘Strangerland’, ‘Frankenstein’ Wraps For 20th Century Fox |publisher=Studiosystemnews.com |date= |accessdate=2014-03-29}}</ref><ref>{{cite web|last=Rosser |first=Michael |url=http://www.screendaily.com/news/absolutely-anything-wraps-shoot/5071550.article |title=Terry Jones’ Absolutely Anything starring Simon Pegg wraps shoot |publisher=Screendaily.com |date=2014-05-12 |accessdate=2014-07-08}}</ref>。ジョーンズは6週間にわたる[[ロンドン]]での撮影で、自宅に程近い{{仮リンク|ホーンジー・レーン|en|Hornsey Lane}}の廃校にスタジオを建てて拠点とし、[[アールズ・コート]]のフラットで内装を撮影したと明かした<ref>{{cite web|last=Doctor |first=Film |url=http://filmdoctor.co.uk/2015/04/15/in-conversation-terry-jones-director-absolutely-anything-monty-python-and-the-holy-grail-life-of-brian-wind-in-the-willows/ |title=Terry Jones In Conversation |publisher=Filmdoctor.co.uk |date=2015-05-01 |accessdate=2014-07-08|quote=It was 6 weeks shoot and it was shot in London. We took over a disused school in Hornsey Lane, which is not far from my house. We built the studios in there and used it as a base. Then, we shot the interiors of the flats in Earl’s Court.}}</ref>。2018年3月28日には、{{仮リンク|ライオンズゲート・フィルムズ|en|Lionsgate Films|label=ライオンズゲートUK}}がイギリス国内の配給を担当すると発表された{{r|screendaily1}}。

映画の[[サウンドトラック]]として、[[カイリー・ミノーグ]]は "''Absolutely Anything and Anything At All''" を書き下ろし、シングルカットした<ref>{{cite web|url=https://itunes.apple.com/us/album/absolutely-anything-anything/id1024984178?app=itunes&ign-mpt=uo%3D4 |title=iTunes - Music - Absolutely Anything and Anything At All (From "Absolutely Anything") - Single by Kylie Minogue |publisher=iTunes |date=|accessdate=2015-08-08}}</ref>。この曲のミュージックビデオは、ミノーグ自身のYouTubeチャンネルに投稿されている。

== 封切り ==
この作品は、[[2015年]][[8月14日]]に本国[[イギリス]]で公開された<ref>{{cite web|url=http://www.imdb.com/title/tt1727770/releaseinfo?ref_=tt_ov_inf|title=Absolutely Anything (2015) Release Info|publisher=[[インターネット・ムービー・データベース|IMDb]]|accessdate=2016-03-18}}{{en icon}}</ref>。

日本では、[[2015年]][[9月21日]]、第8回[[したまちコメディ映画祭in台東]]の特別招待作品として上映された<ref name=したまち>{{cite web|url=http://www.shitacome.jp/2015/program/program_absolutely_anything.shtml|title=特別招待作品『Absolutely Anything(原題)』 - 第8回したまちコメディ映画祭in台東|publisher=第8回[[したまちコメディ映画祭in台東]]|accessdate=2016-03-17}}</ref>。上映にはゲストとして、[[モンティ・パイソン]]の熱狂的ファンでもある[[関根勤]]が招かれており<ref name=したまち />、この席で邦題が『ミラクル・ニール!』に決定したと発表された<ref>{{cite news|url=http://eiga.com/news/20150922/11/|title=パイソンズ再結集の映画は邦題「ミラクル・ニール!」に決定|date=2015-09-22|newspaper=映画ニュース|publisher=[[映画.com]]|accessdate=2016-03-17}}</ref><ref>{{cite news|url=http://www.cinematoday.jp/page/N0076736|title=サイモン・ペッグ×モンティ・パイソン映画、邦題は『ミラクル・ニール!』に決定|date=2015-09-24|newspaper=映画ニュース|publisher=シネマトゥデイ|author=坂田正樹|accessdate=2016-03-17}}</ref><ref>{{cite web|url=https://natalie.mu/eiga/news/160770|title=モンティ・パイソン×サイモン・ペッグのコメディ来春公開、関根勤も太鼓判|date=2015-09-22|work=映画ナタリー|accessdate=2018-03-28}}</ref>。この上映に際して、[[マイケル・ペイリン]]出演、ジョーンズが「靴下履けない病」にかかり来日できないと詫びるストーリーのオリジナルムービーが製作されている<ref>{{YouTube|Vji8-T04D0Y|したコメ欠席お詫び映像!by モンティ・パイソン}}</ref>ペイリンは、[[空飛ぶモンティ・パイソン]]で主にジョーンズとスケッチを書いていた[[2016年]][[4月2日]]には渋谷シネクイントにて先行公開され、その後同[[4月9日|9日]]に全国公開された<ref name=日本公式 /><ref>{{cite web|url=http://www.eigakan.org/theaterpage/schedule.php?t=457|title=ミラクル・ニール! 劇場情報|publisher=映画館に行こう!|accessdate=2016-03-17}}</ref>


== 評価・興行収入 ==
== 評価・興行収入 ==
[[Rotten Tomatoes]]において、作品には43件のレビューが寄せられ、支持率は19%、平均得点は10点満点中3.7点の「腐った」映画評価となっている<ref>{{cite web |url=http://www.rottentomatoes.com/m/absolutely_anything/ |title=Absolutely Anything (2015) |work=[[Rotten Tomatoes]] |publisher=[[Flixster]] |accessdate=2018-03-28}}</ref>。主要な映画評論家の評価を加重平均して100点満点のスコアを出すサイト[[Metacritic]]では、9件のレビューに基づいて31点が付けられた<ref>{{cite web |url=http://www.metacritic.com/movie/absolutely-anything |title=Absolutely Anything Reviews |work=[[Metacritic]] |publisher=[[CBS Interactive]] |accessdate=2018-03-28}}</ref>。
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『[[ガーディアン]]』紙の{{仮リンク|ピーター・ブラッドショー|en|Peter Bradshaw}}は5つ星中1つ星の評価で、「安っぽく陰気なSFコメディ」と銘打った評論の中で、「一流のキャストを揃え、[[テリー・ジョーンズ]]が監督し、[[モンティ・パイソン|パイソンズ]]が身の毛がよだつ異星人として[[カメオ出演]]した。しかしこの低予算英国映画はただ憂鬱なだけで、[[ダグラス・アダムズ]]のSFコメディもどきで、陰鬱な脚本と安っぽく陰気な価値しかない並みの子ども向けテレビ番組のようだ。とてつもない量の才能がここにある。行き場を失っているのは悲しいことだ」と酷評した<ref>{{cite web|title=Absolutely Anything review - cheap and cheerless sci-fi comedy|url=https://www.theguardian.com/film/2015/aug/13/absolutely-anything-review-cheap-and-cheerless-sci-fi-comedy|work=[[ガーディアン|The Guardian]]|accessdate=28 May 2016|quote=There’s a blue-chip cast here, and it’s directed by Terry Jones; the Pythons have cameos, as creepy alien creatures. But this low-budget Brit film is just depressing, a sub-Douglas Adams sci-fi comedy which looks like mediocre kids’ TV with a dismal script and cheap’n’cheerless production values. }}</ref>。『{{仮リンク|ザ・リスト (雑誌)|label=ザ・リスト|en|The List (magazine)}}』のジェームズ・モットラムも1つ星を付け、「これがスクリーンに映る最後のパイソン共演作になるとしたらとても悲しいことだ」と述べた<ref>{{cite web|title=Simon Pegg and Kate Beckinsale head up an awful sci-fi comedy from Terry Jones|url=https://film.list.co.uk/article/73448-absolutely-anything/|work=The List|accessdate=28 May 2016|quote=It’d be very sad if this is the last Python collaboration to hit screens.}}</ref>。

牛津厚信は[[映画.com]]に寄せた評論で、「努力すればするほど状況悪化を招くシュールな展開にはパイソンっぽさが感じられ」るとしたほか、「「しょーもない」どころか、映画史的にも類を見ない偉大な珍作と言うべきなのかもしれない」と結んだ<ref>{{cite web|url=http://eiga.com/movie/82612/critic/|publisher=[[映画.com]]|accessdate=2018-03-28|date=2016-03-22|title=伝説的なコメディ俳優が揃い踏みした、かつてない偉大な珍作}}</ref>。


== 脚注 ==
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=== 注釈 ===
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=== 出典 ===
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== 外部リンク ==
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* [http://miracle-neil.jp/ 映画『ミラクル・ニール!』公式サイト]
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[[Category:2015年の映画]]
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2018年3月28日 (水) 15:03時点における版

ミラクル・ニール!
Absolutely Anything
監督 テリー・ジョーンズ
脚本 テリー・ジョーンズ
ギャヴィン・スコット英語版
製作 ビル・ジョーンズ
ベン・ティムレット
製作総指揮 マイク・メダヴォイ
クリス・チェサー
ベン・ホワイト
マーク・サンデル
エドワード・シモンズ
ケント・ウォルウィン
ディーン・ゴールドバーグ
デヴィッド・ロジャース
ジェイソン・ギャレット
ジェレミー・マーテル
出演者 サイモン・ペグ
ケイト・ベッキンセール
サンジーヴ・バスカー英語版
ロブ・リグル
エディー・イザード
ジョアンナ・ラムリー英語版
テリー・ジョーンズ
ジョン・クリーズ
テリー・ギリアム
マイケル・ペイリン
エリック・アイドル
ロビン・ウィリアムズ
音楽 ジョージ・フェントン
撮影 ピーター・ハナン
編集 ジュリアン・ロッド
製作会社 Bill and Ben Productions
GFM Films
Premiere Picture
配給 イギリスの旗 ライオンズゲート・フィルムズ
日本の旗 シンカ
公開 イギリスの旗 2015年8月14日
日本の旗2016年4月2日(先行公開)・4月9日(全国公開)
上映時間 85分[1]
製作国 イギリスの旗 イギリス[2]
言語 英語
フランス語
興行収入 世界の旗380万ドル[3]
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ミラクル・ニール!』(: "Absolutely Anything")は、2015年イギリスで製作されたサイモン・ペグ主演のSFコメディ映画モンティ・パイソンテリー・ジョーンズが監督を務め、他のメンバーも声優として出演している。パイソンズが揃って映画に出演するのは、1983年に公開された『人生狂騒曲』以来のことであった[4]。またこの作品は、ロビン・ウィリアムズの最後の出演作品となった[5][6][4]。他にはケイト・ベッキンセールサンジーヴ・バスカー英語版ロブ・リグルなどが出演した。脚本はジョーンズとギャヴィン・スコット英語版が共筆した。

主要撮影は2014年3月24日に始まり、同年5月12日に完了した。イギリスではライオンズゲートUKが配給を担当し、2015年8月14日に公開された。日本では2016年4月2日渋谷シネクイントで先行公開された後、翌週の4月9日に全国公開された[7][8]。作品は全世界で380万ドルの興行収入を上げた。

あらすじ

地球外生命体を求めて打ち上げられた探査船が、遠い宇宙の果てにいるエイリアンたちの「評議会」(声:モンティ・パイソン)へ届く。彼らは地球人の無能さに呆れ、これまでの星と同じように地球を消滅させることにするが、1度は機会を与えるべきだとする銀河法の規定により、適当に1人の地球人を選んで「ほとんど何でも」("Absolutely Anything") 叶えることのできる力を授けると決める[注釈 1]。彼らに選ばれたニール(演:サイモン・ペグ)は冴えない中学校教師で、フラットの規則を破ってオス犬・デニスを飼っており、隣人のキャサリン(演:ケイト・ベッキンセール)に気がある。当初自分が力を得たことに気付いていなかったニールだったが、同僚の理科教師レイ(演:サンジーヴ・バスカー英語版)との会話でふと口にした「自分のクラスが宇宙船に襲われて消滅すればいい」との言葉が現実になってしまう。力の存在に気付いたニールは、正確に話さないと思い通りの結果になってくれない力に手こずるが、その使い方を習得しようと試みる。理想の身体を手に入れたり、愛犬デニス(声:ロビン・ウィリアムズ)に喋れる能力と理性的な思考回路を授けたり、レイが心を寄せる体育教師に彼を崇拝させたりと、ニールの使い道はどれもしょうもなく、宇宙の果てのエイリアンたちは地球人たちを嘲笑する。

ニールの隣人キャサリンは、書評番組制作会社で働いており、セクハラ上司(演:ロバート・バサースト英語版)やパーティ以来付きまとわれているグラント大佐(演:ロブ・リグル)に辟易している。ある日彼女は友人の勧めに乗り、酔っ払った状態でニールの家に押しかけ一夜を明かすが、その様子をキャサリンのストーカーと化したグラント大佐に目撃される[注釈 2]。翌日謝罪に来たキャサリンは、キッチンで喋るデニスの声を聞いてニールがゲイだと勘違いしてしまう。この夜キャサリンは、フラットに押しかけてきたグラント大佐を振り切ってニールと会食するが、大佐の闖入に激怒してニールの部屋を出て行く。ニールから力について聞いた大佐は、彼を気絶させてデニスもろとも自分のフラットへと連れて行く。

翌朝ニールとの会話通りのオフィスを手に入れたキャサリンは、彼の力が本物だと気付き、お礼を言うため帰宅する。乱闘の後ニールが大佐に連れ去られたことを知った彼女は、ワードローブに隠れていたレイと共に、大佐に貰った鍵を頼りに救出に向かう[注釈 3]。グラント大佐はニールを拘束して、デニスを人質に自分の望みを叶えるよう迫っており、駆けつけたキャサリンに自分を愛させるよう求める。ニールは大佐の願いを叶えつつも、隙をついて彼を犬に変えて窮地を脱するが、力でとんだ騒動に遭ったキャサリンとレイに嫌われてしまう。

ニールは心を入れ替えて善行に力を使おうとするが、言い方が悪く全て裏目に出てしまう。力に辟易したニールはテムズ川に飛び込んで自殺未遂を起こす。失敗後デニスと公園に立ち寄ったニールは、デニスから犬は飼い主の命令に従うのだから自分に力を授ければいいと勧められる。ニールがデニスに力を与えた頃、「評議会」では地球の滅亡が決まるが、彼らが実行に移そうとしたところで、力の源を破壊して2度と同じようなことが起きないようにしてほしいとデニスが唱え、銀河パワーもろとも「評議会」は消滅する。その後ニールはフラットに戻り、力を失ったことを明かした上でキャサリンを食事に誘って了承されるのだった。

キャスト

※括弧内は日本語吹替

スタッフ

製作

発展

2014年3月、テリー・ジョーンズは『エンパイア』誌のインタビューでこの映画について語っている。ジョーンズは、荒れた中学校の教師を務めるニールが主人公で、彼が望んだことを何でも実現する力を手に入れる話だと明かした[15]。ジョーンズは、ニールについて、友人とのたわいない会話で口にした「宇宙船が4年C組を襲って消滅させればいい」という言葉が現実になり、やっと力を得たことに気付くのだと述べていた[15]

ジョーンズは作品について、H・G・ウェルズの『奇蹟を行う男英語版』から着想を得たとしつつも、「それから得たものは全て変更した」と述べている[15]。また脚本はギャヴィン・スコット英語版と書き始めてから20年以上になるものだったとし、「自分の本当の子どものように感じている」(英: I just think it's my own baby really.)とまでした[15]。また、CGではなく実際の犬を起用したことについても触れ、「ダグラス・アダムズが死ぬ前なら、脚本を読んで犬のデニスのシーンが1番面白いと言うんだろうな」とした[15]

キャスティング

2010年9月14日、映画の製作が初めて公表され、ジョン・オリバーロビン・ウィリアムズ、またモンティ・パイソンからジョン・クリーズマイケル・ペイリンテリー・ギリアムが出演すると報じられた[12]。またエリック・アイドルの出演は、遅れて2014年2月に正式発表された[13]。2012年1月には、撮影が同年春から始まることが発表され[16]、2013年12月11日には、主演のニール・クラークをサイモン・ペグが演じると報じられた[17]。2014年2月26日にはケイト・ベッキンセール[18]、同年3月19日にはロブ・リグルの参加が明らかになった[19]

ジョーンズはこの作品について「存命するパイソンズが勢揃いする最後の映画だろう」と語っているが[注 2][7][20]、パイソンズが揃って映画出演するのは、1983年の『モンティ・パイソン 人生狂騒曲』以来のことだった[4]

ニールの愛犬デニスの声を担当したウィリアムズは公開の1年前に亡くなっており[21]、この作品は彼の出演する最後の作品となっている(彼が映像で実際に出演している最後の作品は、『ナイト ミュージアム/エジプト王の秘密』である)。アフレコはウィリアムズが自殺する約1ヶ月前に行われたという[22]

撮影と音楽

主要撮影は2014年3月24日から5月12日に行われた[23][24]。ジョーンズは6週間にわたるロンドンでの撮影で、自宅に程近いホーンジー・レーン英語版の廃校にスタジオを建てて拠点とし、アールズ・コートのフラットで内装を撮影したと明かした[25]。2018年3月28日には、ライオンズゲートUKがイギリス国内の配給を担当すると発表された[10]

映画のサウンドトラックとして、カイリー・ミノーグは "Absolutely Anything and Anything At All" を書き下ろし、シングルカットした[26]。この曲のミュージックビデオは、ミノーグ自身のYouTubeチャンネルに投稿されている。

封切り

この作品は、2015年8月14日に本国イギリスで公開された[27]

日本では、2015年9月21日に、第8回したまちコメディ映画祭in台東の特別招待作品として初上映された[28]。上映にはゲストとして、モンティ・パイソンの熱狂的ファンでもある関根勤が招かれており[28]、この席で邦題が『ミラクル・ニール!』に決定したと発表された[29][30][31]。この上映に際して、マイケル・ペイリン出演で、ジョーンズが「靴下履けない病」にかかり来日できないと詫びるストーリーのオリジナルムービーが製作されている[32](ペイリンは、『空飛ぶモンティ・パイソン』で主にジョーンズとスケッチを書いていた)。2016年4月2日には渋谷シネクイントにて先行公開され、その後同9日に全国公開された[7][33]

評価・興行収入

Rotten Tomatoesにおいて、作品には43件のレビューが寄せられ、支持率は19%、平均得点は10点満点中3.7点の「腐った」映画評価となっている[34]。主要な映画評論家の評価を加重平均して100点満点のスコアを出すサイトMetacriticでは、9件のレビューに基づいて31点が付けられた[35]

ガーディアン』紙のピーター・ブラッドショー英語版は5つ星中1つ星の評価で、「安っぽく陰気なSFコメディ」と銘打った評論の中で、「一流のキャストを揃え、テリー・ジョーンズが監督し、パイソンズが身の毛がよだつ異星人としてカメオ出演した。しかしこの低予算英国映画はただ憂鬱なだけで、ダグラス・アダムズのSFコメディもどきで、陰鬱な脚本と安っぽく陰気な価値しかない並みの子ども向けテレビ番組のようだ。とてつもない量の才能がここにある。行き場を失っているのは悲しいことだ」と酷評した[36]。『ザ・リスト英語版』のジェームズ・モットラムも1つ星を付け、「これがスクリーンに映る最後のパイソン共演作になるとしたらとても悲しいことだ」と述べた[37]

牛津厚信は映画.comに寄せた評論で、「努力すればするほど状況悪化を招くシュールな展開にはパイソンっぽさが感じられ」るとしたほか、「「しょーもない」どころか、映画史的にも類を見ない偉大な珍作と言うべきなのかもしれない」と結んだ[38]

脚注

注釈

  1. ^ テリー・ジョーンズ監督の、実の息子である[7]
  2. ^ なお、パイソンズのメンバーであるグレアム・チャップマンは既に物故者となっている。

出典

  1. ^ ABSOLUTELY ANYTHING (12A)”. British Board of Film Classification (12 June 2015). 1 December 2015閲覧。
  2. ^ Absolutely Anything (2015)”. British Film Institute. 2016年5月12日閲覧。
  3. ^ Absolutely Anything - International Box Office Results”. Box Office Mojo. Internet Movie Database (30 November 2015). 1 December 2015閲覧。
  4. ^ a b c Koch, Dave. “Trailer For Robin Williams Last Film”. Big Cartoon News. 2015年5月20日閲覧。
  5. ^ 関根勤がロビン・ウィリアムズとの思い出語る「サービス精神感じた」”. 映画ナタリー (2016年4月5日). 2018年3月28日閲覧。
  6. ^ “Robin Williams leaves behind four films to be released”. CNN.com. http://www.cnn.com/2014/08/12/showbiz/celebrity-news-gossip/robin-williams-posthumous-movies 2014年8月15日閲覧。 
  7. ^ a b c d 公式サイト
  8. ^ サイモン・ペッグが謎の女装姿披露、「ミラクル・ニール!」公開日決定”. 映画ナタリー (2016年2月5日). 2018年3月28日閲覧。
  9. ^ Whitbrook, James (2015年8月20日). “Absolutely Anything's Biggest Crime Is Going Absolutely Nowhere”. 2018年3月28日閲覧。
  10. ^ a b c d e f g h i j k l Wiseman, Andreas. “Lionsgate UK takes Terry Jones' sci fi comedy Absolutely Anything | News | Screen”. Screendaily.com. 2014年3月29日閲覧。
  11. ^ 「吹替王国」で田中敦子を特集、「攻殻機動隊2.0」など4作放送”. 映画ナタリー (2017年12月22日). 2018年3月28日閲覧。
  12. ^ a b Fleming, Mike (2010年9月14日). “Phoenix Sets Laffer With Monty Python's Terry Jones And Daily Show's John Oliver”. Deadline.com. 2014年3月29日閲覧。
  13. ^ a b Films, GFM. “Eric Idle”. GFM Films. 2014年8月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年2月20日閲覧。
  14. ^ CROOT, JAMES (2015年11月11日). “Review: Absolutely Anything”. stuff.co.nz. 2018年3月28日閲覧。
  15. ^ a b c d e Terry Jones On His New Sci-Fi Comedy Absolutely Anything”. Empireonline.com. 2014年3月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年7月8日閲覧。
  16. ^ Pic reunites Monty Python members”. Variety (2012年1月26日). 2014年3月29日閲覧。
  17. ^ Simon Pegg Joins Monty Python in ABSOLUTELY ANYTHING”. Collider (2013年11月20日). 2014年3月29日閲覧。
  18. ^ TARTAGLIONE, NANCY. “Kate Beckinsale Joins Simon Pegg, Monty Python Troupe For 'Absolutely Anything'”. Deadline.com. 2014年3月29日閲覧。
  19. ^ Rob Riggle Joins Most of Monty Python's Absolutely Anything”. ComingSoon.net (2014年3月19日). 2014年3月29日閲覧。
  20. ^ “伝説のユニット“モンティ・パイソン”が映画『ミラクル・ニール』に集結!”. ぴあ映画生活 (ぴあ). (2016年3月16日). http://cinema.pia.co.jp/news/168630/66219/ 2016年3月17日閲覧。 
  21. ^ “Robin Williams death: Police confirm suicide”. BBC News (BBC). (2014年8月13日). http://www.bbc.com/news/entertainment-arts-28765693 2016年3月18日閲覧。 
  22. ^ 内田涼 (2016年4月1日). “新作映画『ミラクル・ニール』観るべき3つの理由――誰もが共感できるヒューマンコメディ”. T-SITE NEWS. TSUTAYA. 2018年3月28日閲覧。
  23. ^ ‘On The Set’ For 3/24/14: Nicole Kidman Starts ‘Strangerland’, ‘Frankenstein’ Wraps For 20th Century Fox”. Studiosystemnews.com. 2014年3月29日閲覧。
  24. ^ Rosser, Michael (2014年5月12日). “Terry Jones’ Absolutely Anything starring Simon Pegg wraps shoot”. Screendaily.com. 2014年7月8日閲覧。
  25. ^ Doctor, Film (2015年5月1日). “Terry Jones In Conversation”. Filmdoctor.co.uk. 2014年7月8日閲覧。 “It was 6 weeks shoot and it was shot in London. We took over a disused school in Hornsey Lane, which is not far from my house. We built the studios in there and used it as a base. Then, we shot the interiors of the flats in Earl’s Court.”
  26. ^ iTunes - Music - Absolutely Anything and Anything At All (From "Absolutely Anything") - Single by Kylie Minogue”. iTunes. 2015年8月8日閲覧。
  27. ^ Absolutely Anything (2015) Release Info”. IMDb. 2016年3月18日閲覧。(英語)
  28. ^ a b 特別招待作品『Absolutely Anything(原題)』 - 第8回したまちコメディ映画祭in台東”. 第8回したまちコメディ映画祭in台東. 2016年3月17日閲覧。
  29. ^ “パイソンズ再結集の映画は邦題「ミラクル・ニール!」に決定”. 映画ニュース (映画.com). (2015年9月22日). http://eiga.com/news/20150922/11/ 2016年3月17日閲覧。 
  30. ^ 坂田正樹 (2015年9月24日). “サイモン・ペッグ×モンティ・パイソン映画、邦題は『ミラクル・ニール!』に決定”. 映画ニュース (シネマトゥデイ). http://www.cinematoday.jp/page/N0076736 2016年3月17日閲覧。 
  31. ^ モンティ・パイソン×サイモン・ペッグのコメディ来春公開、関根勤も太鼓判”. 映画ナタリー (2015年9月22日). 2018年3月28日閲覧。
  32. ^ したコメ欠席お詫び映像!by モンティ・パイソン - YouTube
  33. ^ ミラクル・ニール! 劇場情報”. 映画館に行こう!. 2016年3月17日閲覧。
  34. ^ Absolutely Anything (2015)”. Rotten Tomatoes. Flixster. 2018年3月28日閲覧。
  35. ^ Absolutely Anything Reviews”. Metacritic. CBS Interactive. 2018年3月28日閲覧。
  36. ^ Absolutely Anything review - cheap and cheerless sci-fi comedy”. The Guardian. 28 May 2016閲覧。 “There’s a blue-chip cast here, and it’s directed by Terry Jones; the Pythons have cameos, as creepy alien creatures. But this low-budget Brit film is just depressing, a sub-Douglas Adams sci-fi comedy which looks like mediocre kids’ TV with a dismal script and cheap’n’cheerless production values.”
  37. ^ Simon Pegg and Kate Beckinsale head up an awful sci-fi comedy from Terry Jones”. The List. 28 May 2016閲覧。 “It’d be very sad if this is the last Python collaboration to hit screens.”
  38. ^ 伝説的なコメディ俳優が揃い踏みした、かつてない偉大な珍作”. 映画.com (2016年3月22日). 2018年3月28日閲覧。

外部リンク


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