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{{出典の明記|date=2021年3月}}
[[ファイル:INT BROWSERS USED.png|thumb|330px|[http://www.w3schools.com/browsers/browsers_stats.asp W3Schools]によるウェブブラウザの利用統計]]
[[ファイル:Timeline of web browsers.svg|thumb|330px|主なブラウザによるメジャーリリースのスケジュール]]
[[ファイル:Timeline of web browsers.svg|thumb|330px|主なブラウザによるメジャーリリースのスケジュール]]
'''ブラウザ戦争'''(ブラウザせんそう)とは、[[ウェブブラウザ]]を提供する各社・各団体による市場シェア争奪戦のことを指す。一般には、1990年代に起きた[[Internet Explorer]]と[[Netscape Navigator (ネットスケープコミュニケーションズ)|Netscape Navigator]]の猛烈な競争を'''第一次ブラウザ戦争'''<ref name="getnews20160422">{{Cite web|和書|url=http://getnews.jp/archives/1449260|title=ブラウザ戦争、HTML5の標準化、ブラウザの未来──歴史を語り尽くすWebブラウザ談義【後編】|publisher=[[ガジェット通信]]|date=2016-04-22|accessdate=2017-02-14}}</ref><ref name="gihyo20160711">{{Cite web|和書|url=https://gihyo.jp/book/pickup/2016/0046|title=Firefox OSの「これまで」と「これから」|publisher=[[技術評論社]]|date=2016-07-11|accessdate=2017-02-14}}</ref>、2004年頃から2014年頃にかけて起きた、Google・Apple・MicrosoftなどのIT業界での大企業を巻き込んだ、ブラウザベンダによる最新のWeb標準の実装競争、および動作速度の高速化の競争のことを'''第二次ブラウザ戦争'''<ref name="itmedia20120202">{{Cite web|和書|url=https://atmarkit.itmedia.co.jp/ait/articles/1202/02/news132.html|title=「汎用のUI技術」として広がるHTML5|date=2012-02-02|publisher=[[ITmedia|@IT]]|accessdate=2017-02-14}}</ref>と呼ぶことが多い。
[[ファイル:Browser Wars (en).svg|thumb|330px|1996〜2009年の複数のブラウザーの市場占有率]]
[[ファイル:Browser Market Map June 2015.svg|thumb|330px|2015年6月の複数のブラウザーの国別占有率<br />
{{col|
{{Legend|#0B610B|[[Google Chrome]]}}
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|
{{Legend|#0101DF|[[Internet Explorer]]}}
{{Legend|#FF0000|[[Opera]]}}
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{{Legend|#D8D8D8|情報なし}}
}}]]
'''ブラウザ戦争'''(ブラウザせんそう)とは、[[ウェブブラウザ]]を提供する各社・各団体による市場シェア争奪戦のことを指す。


== 初期のブラウザ争 ==
== 第一次ブラウザ争 ==
[[ファイル:Browser Wars (en).svg|thumb|330px|1996年から2009年までの複数のブラウザーの市場占有率]]
一般には、1990年代に起きた[[Internet Explorer]]と[[Netscape Navigator (ネットスケープコミュニケーションズ)|Netscape Navigator]]の猛烈な競争を'''[[#第一次ブラウザ戦争|第一次ブラウザ戦争]]'''、2004年以降[[Mozilla Firefox]]([[Gecko]]系)や[[Safari]]、[[Google Chrome]]に代表される[[WebKit]]系および[[Presto]]系ブラウザの[[Opera]]が市場シェアを拡大することでInternet Explorerに脅威を与え始めたことを'''[[#第二次ブラウザ戦争|第二次ブラウザ戦争]]'''と呼ぶことが多い。
最初の戦争は、Internet ExplorerかNetscape Navigatorの二択から始まった。
=== 1990 - 1994年 ===
1990年代初頭、非常に簡単な[[グラフィカルユーザインタフェース]](GUI)を備えたウェブブラウザが入手可能になった。一番初めに流行したのは[[NCSA]]によって作られた[[NCSA Mosaic]]だった<ref name="gihyo20160711" />。Spry MosaicやSpyglass Mosaicのように、NCSAからマスターライセンスを供与された数社は商業用ブラウザとしてライセンスを販売した。


NCSA Mosaic開発者の1人である[[マーク・アンドリーセン]]<ref name="gihyo20160711" />はMosaic Communications Corporationを設立し、Mozillaというコードネームの新しいブラウザを作った(これは[[Mozilla Application Suite]]とは別物である)。NCSAとの法的問題の解決にあたり、社名を[[ネットスケープコミュニケーションズ|Netscape Communications]]、ブラウザ名を[[Netscape Navigator (ネットスケープコミュニケーションズ)|Netscape Navigator]](NN)と改めた。NNは使い勝手や見た目がNCSA Mosaicのそれに酷似していた。制限や金銭の支出なしにダウンロードが可能だった事も功を奏し、ほどなく市場を支配した。
1990年代初頭、非常に簡単な[[グラフィカルユーザインタフェース]] (GUI) を備えたウェブブラウザが入手可能になった。一番初めに流行したのは[[NCSA]]によって作られた[[NCSA Mosaic]]だった。Spry MosaicやSpyglass Mosaicのように、NCSAからマスターライセンスを供与された数社は商業用ブラウザとしてライセンスを販売した。


1995年〜1998年、NNはもっとも幅広く使われる主要なブラウザになった。
NCSA Mosaic開発者の1人である[[マーク・アンドリーセン]]はMosaic Communications Corporationを設立し、Mozillaというコードネームの新しいブラウザを作った(これは[[Mozilla Application Suite]]とは別物である)。NCSAとの法的問題の解決にあたり、社名を[[ネットスケープコミュニケーションズ|Netscape Communications]]、ブラウザ名をNetscape Navigatorと改めた。Netscape Navigatorは使い勝手や見た目がNCSA Mosaicのそれに酷似していた。制限や金銭の支出なしにダウンロードが可能だった事も功を奏し、ほどなく市場を支配した。

== 第一次ブラウザ戦争 ==
1990年代前半、[[Netscape Navigator (ネットスケープコミュニケーションズ)|Netscape Navigator]](NN)はもっとも幅広く使われる主要なブラウザであった。


=== 1995 - 1997年 ===
1995年に発売された[[Microsoft Windows 95]]はそれまでの[[Microsoft Windows|Windows]]との大きな違いの1つとしてNOS(Network Operating System)機能を実装したことが挙げられる。ネットワークプロトコルとしてインターネットで標準となっている[[インターネット・プロトコル・スイート|TCP/IP]]も実装されたことから、ウェブブラウザをインストールするだけでWindows 95でウェブを利用する事が可能となった。それにより、[[World Wide Web]]は一般に普及し始めた。
1995年に発売された[[Microsoft Windows 95]]はそれまでの[[Microsoft Windows|Windows]]との大きな違いの1つとしてNOS(Network Operating System)機能を実装したことが挙げられる。ネットワークプロトコルとしてインターネットで標準となっている[[インターネット・プロトコル・スイート|TCP/IP]]も実装されたことから、ウェブブラウザをインストールするだけでWindows 95でウェブを利用可能となった。それにより、[[World Wide Web]]は一般に普及し始めた。


この頃、[[マイクロソフト|Microsoft]]は[[Internet Explorer]](IE)の基礎となるNCSA MosaicのライセンスをNCSAから取得した。IE 1.0は[[Microsoft Plus!|Microsoft Windows 95 Plus!]]の一部として1995年8月にWindows 95と同時に発売された。
この頃、[[マイクロソフト|Microsoft]]は[[Internet Explorer]](IE)の基礎となるNCSA MosaicのライセンスをNCSAから取得した。IE 1.0は[[Microsoft Plus!|Microsoft Windows 95 Plus!]]の一部として1995年8月にWindows 95と同時に発売された。


NNの新バージョン(後の[[Netscape Navigator (ネットスケープコミュニケーションズ)|Netscape Communicator]])とIEは激しいシェア争いを繰り広げ頻繁なバージョンアップを繰り返すこととなる。しかし、安定性や安全性の向上より他方との差別化を優先したため、頻繁な[[クラッシュ (コンピュータ)|クラッシュ]]や[[セキュリティホール]]、[[ウェブ標準]]とは異なる[[HTMLレンダリングエンジン]]で[[エンドユーザー|ユーザ]]に混乱をもたらすこととなる。
Netscape Navigatorの新バージョン(後のNetscape Communicator)とIEは激しいシェア争いを繰り広げ頻繁なバージョンアップを繰り返すこととなる。しかし、安定性や安全性の向上より他方との差別化を優先したため、頻繁な[[クラッシュ (コンピュータ)|クラッシュ]]や[[セキュリティホール]]、[[ウェブ標準]]とは異なる[[HTMLレンダリングエンジン]]で[[エンドユーザー|ユーザ]]に混乱をもたらすこととなる。


マイクロソフトはIEの新バージョン2.0を1995年11月、1996年8月にはバージョン3.0を無償で公開し、新たに発売されるWindowsに組み込まれることとなる。Netscape Navigatorは当時シェアウェアとして有料であったがIEは無償で公開されていた。IEでは基本的に売り上げが無い以上、Windowsなど他のマイクロソフト製品の売り上げから開発費が出ているとして、マイクロソフト製品が不当価格として批判も出るようになった。
Microsoft1995年11月にIEの新バージョン2.0を、1996年8月にはバージョン3.0を無償で公開し、新たに発売されるWindowsに組み込まれることとなる。NNは当時シェアウェアとして有料であったがIEは無償で公開されていた。IEでは基本的に売り上げが無い以上、Windowsなど他のMicrosoft製品の売り上げから開発費が出ているとして、Microsoft製品が不当価格として批判も出るようになった。それに加え、IEを抱き合わせてWindowsを販売しているとして独占禁止法に違反するとして提訴も行われるようになった。


=== 1998 - 2000年 ===
それに加え、IEを抱き合わせてWindowsを販売しているとして独占禁止法に違反するとして提訴も行われるようになった。しかし標準的な文章形式の1つとなったHTML表示機能とNOS機能はOSの標準的な機能と考えられるようになっており、その2つを組み合わせればウェブブラウザになることから、OSへの抱き合わせ批判は意味を持たないものとなってしまっていった。
[[Microsoft Windows 98|Windows 98]](正確にはWindows 95の最終バージョン)からはInternet ExplorerがWindowsにOSの一つの機能として搭載されるようになったこともあり、市場におけるWindowsの圧倒的シェアを背景にブラウザのシェア争い自体が意味を持たないものとなってしまっていった。


また、当時は[[HyperText Markup Language|HTML]]の手書きにより制作されたサイトが多かったが、そのようなHTMLの中には正しく記述されていないものも少なくなかった。Netscape NavigatorはそのようなHTMLの表示の補正を積極的に行わなかったが、それに対してIEは積極的に補正を行った。同時に、[[Cascading Style Sheets|CSS]]の処理もNNは対応が遅れていた。結果として、NNでは[[レイアウト]]がずれているがIEではまともに表示できているというページが多く出現することとなり、NN離れを加速する一因となった。
[[Microsoft Windows 98|Windows 98]](正確にはWindows 95の最終バージョン)からはIEがWindowsにOSの1機能として搭載されるようになったこともあり、市場におけるWindowsの圧倒的シェアを背景にブラウザのシェア争い自体が意味を持たないものとなってしまっていった。


また、[[JavaScript]]についてもアクセスAPIとしてNNが採用したレイヤーは非常に使い勝手が悪く、IEのアクセスAPIであるDOM<ref group="note">このDOMは[[World Wide Web Consortium|W3C]]標準の[[Document Object Model|DOM]]とは別物。ただし、W3CのDOMでは機能追加に伴って記法が変わった程度で、設計はほぼIEのDOMを踏襲している。</ref>と比較して完全に劣っていた。この2種類のアクセスAPIはまったく互換性がなかったため、コストの問題からどちらかしか対応できない場合に、より優れた仕様であるIEのDOMを制作者が採用するようになった。
また、当時は[[HyperText Markup Language|HTML]]の手書きにより制作されたサイトが多かったが、そのようなHTMLの中には正しく記述されていないものも少なくなかった。Netscape NavigatorはそのようなHTMLの表示の補正を積極的に行わなかったが、それに対してIEは積極的に補正を行った。同時に、[[Cascading Style Sheets|CSS]]の処理も Netscape Navigatorは対応が遅れていた。結果として、Netscape Navigatorでは[[レイアウト]]がずれているがIEではまともに表示できている、というページが多く出現することとなり、Netscape Navigator離れを加速する一因となった。


そのような理由により2000年〜2004年にはIEが市場シェアのほぼすべてを獲得して'''第一次ブラウザ戦争'''は終結とされる。アメリカでは[[独占禁止法]]違反による裁判が行われたが、裁判がNNやその他のブラウザのシェア回復に寄与することはなかった。
また、[[JavaScript]]についてもアクセスAPIとしてNetscape Navigatorが採用した[[レイヤー]]は非常に使い勝手が悪く、IEのアクセスAPIである[[Document Object Model|DOM]]と比較して完全に劣っていた。(このDOMは[[World Wide Web Consortium|W3C]]標準のDOMとは別物。ただし、W3CのDOMでは機能追加に伴って記法が変わった程度で設計はほぼIEのDOMを踏襲している)。この2種類のアクセスAPIはまったく互換性がなかったため、コストの問題からどちらかしか対応できない場合により優れた仕様であるIEのDOMを製作者が採用するようになった。

そのような理由により2000年にはIEが市場シェアのほぼすべてを獲得して'''第一次ブラウザ戦争'''は終結とされる。米国では[[独占禁止法]]違反による裁判が行われたが、裁判がNetscape Navigatorやその他のブラウザのシェア回復に寄与することはなかった。


== 第二次ブラウザ戦争 ==
== 第二次ブラウザ戦争 ==
[[File:Usage share of web browsers (Source StatCounter).svg|left|thumb|[[:en:StatCounter|StatCounter]]による2009年以降のブラウザシェアの変動]]
=== IEのセキュリティ問題と次世代ブラウザの登場 ===
次の戦争は、Internet Explorer・Opera・Mozilla Firefox・Safari・Google Chromeの五択の戦争になり、混迷を極めた。
<!--将来にわたってこの記事が参照されることを考えると、「新世代」ブラウザなどの表現の方が適当なように思います-->ウェブブラウザの市場シェアをほぼ独占するに至ったMicrosoft Internet Explorer 6.0は、その後に開発が停滞し、新しさに欠ける状況が長く続く事になった。また、圧倒的なシェアを占めたことで、同ブラウザが採用する技術である[[ActiveX]]を悪用する[[キーロガー]]や[[バックドア]]を始め、同ブラウザの[[セキュリティホール]]を狙った[[コンピュータウイルス]]や[[スパイウェア]]などが多数登場するようになり、セキュリティ問題がクローズアップされるようになった。だが、先述のシェア独占後の開発の停滞のために、IEのセキュリティ問題のいくつかが遅々として解消されない状況が続いた。
=== Internet Explorer覇権の後退 ===
<!--将来にわたってこの記事が参照されることを考えると、「新世代」ブラウザなどの表現の方が適当なように思います-->ウェブブラウザの市場シェアをほぼ独占するに至ったMicrosoftによるInternet Explorerだが、6.0のあたりから開発が停滞し、新しさに欠ける状況が長く続く事になった。また、圧倒的なシェアを占めたことで、同ブラウザが採用する技術である[[ActiveX]]を悪用する[[キーロガー]]や[[バックドア]]を始め、同ブラウザの[[セキュリティホール]]を狙った[[コンピュータウイルス]]や[[スパイウェア]]などが多数登場するようになり、[[コンピューターセキュリティ]]問題がクローズアップされ、またIE専用サイトの増加によるブラウザ互換性への批判もされるようになった。だが、先述のシェア独占後の開発の停滞のために、IEの問題は遅々として解消されない状況が続いた。


そのような状況下で、[[タブブラウザ|タブブラウジング]]機能や[[フィードリーダー]]機能など、多様な新機能を搭載する次世代ブラウザとして、[[Mozilla Foundation]]による[[Mozilla Firefox]]、[[オペラ・ソフトウェア|Opera Software]]による[[Opera]]<ref>Opera自体は、1995年にリリースされている。</ref>、[[アップル (企業)|アップル]]による[[Safari]]、[[Google]]による[[Google Chrome]]が登場した。これらのブラウザは新機能を搭載しているだけでなく、自前の[[HTMLレンダリングエンジン|レンダリングエンジン]]を持っており<ref>いわゆる[[IEコンポーネントブラウザ]]は自前のレンダリングエンジンを持っていないものが多。</ref>、IEのセキュリティホールとして問題になったActiveXを採用していないため、ActiveXに起因するセキュリティ問題は原理的に発生しない(各々のブラウザ固有のセキュリティホールは存在し得る)。
そのような状況下で、[[タブブラウザ|タブブラウジング]]機能や[[フィードリーダー]]機能など、多様な新機能を搭載する次世代ブラウザとして、[[Mozilla Foundation]]による[[Mozilla Firefox]]、[[オペラ・ソフトウェア|Opera Software]]による[[Opera]]<ref group="note">Opera自体は、1995年にリリースされている。</ref>、[[Apple]]による[[Safari]]が登場した。これらのブラウザは新機能を搭載しているだけでなく、自前の[[HTMLレンダリングエンジン|レンダリングエンジン]]を持っており<ref group="note">いわゆる[[IEコンポーネントブラウザ]]は自前のレンダリングエンジンを持っていないものが多かった。</ref>、IEのセキュリティホールとして問題になったActiveXを採用していないため、ActiveXに起因するセキュリティ問題は発生しない(各々のウェブブラウザ固有のセキュリティホールは存在る)。


新興ブラウザ、特にMozilla Firefoxの人気があがり、2005年から2006年にかけてブラウザシェアが従来に比べて大きく変動した。2006年12月の時点で、世界的市場で見たIEのシェアは8割強、Mozilla Firefoxのシェアは1割強であった<ref>{{Cite web|url=http://www.e-janco.com/PressRelease/press_release20060124Browser.htm|title=Firefox Snags Over 12% of the Browser Market|publisher=Janco Associates, Inc.|accessdate=2017-02-13}}</ref>。市場シェアが減少したとはいえ、依然としてIEが圧倒的優位な状況であることに変わりはなかった。また、日本やアメリカではIEが特に独占的なシェアを持っており、[[ヨーロッパ]]や[[オーストラリア]]などと比べると他社製ブラウザのシェアはまだあまり伸びていなかった{{要出典範囲|date=2023年2月|(日本などの場合Microsoft製品に依存する傾向が強いため、[[ブラウザ]]以外でも[[マイクロソフト|Microsoft]]製品を重視する傾向が見られた)}}。
さらに、<!--次世代-->ブラウザは[[World Wide Web Consortium|W3C]]などによる[[ウェブ標準]]への準拠が求められているが、IE 6のウェブ標準への準拠度は、他のブラウザと比較して低いという状況になっていった。その結果、ウェブ標準への準拠度が高いMozilla FirefoxやOperaは、大きなアドバンテージを得る事になった。たとえば、2007年3月当時のOperaの最新版は、Windows対応ブラウザで唯一[[Acid2]]に合格しており、また開発中のFirefox 3においてもAcid2に合格したと報告があった。その後の2009年1月時点では、IE、Firefox、Opera、Safari、Google Chromeの最新の正式リリース版において、Acid2に合格していないのはIE 7のみという状況となった。


これに対し、ヨーロッパではIEのシェアが多数派ではあるが確実な減少傾向にあり、Mozilla Firefoxが市場シェアの20%を突破するなど(一部国では40%を突破)、IE以外のブラウザがシェアを伸ばしていた<ref>{{Cite web|和書|url=https://web.archive.org/web/20170213164324/http://news.mynavi.jp/news/2006/12/11/005.html|title=欧州で増加するFirefoxの利用、23.2%のユーザーが利用|author=末岡洋子|publisher=[[マイナビニュース]]|date=2006-12-11|accessdate=2017-02-13}}</ref>。
=== 2005年から2006年にかけて ===
新興ブラウザ、特にMozilla Firefoxの人気があがり、2005年から2006年にかけてブラウザシェアが従来に比べて大きく変動した。2006年12月の時点で、世界的市場で見たIEのシェアは8割強、Mozilla Firefoxのシェアは1割強である<ref>[http://www.e-janco.com/PressRelease/press_release20060124Browser.htm Firefox Snags Over 12% of the Browser Market]</ref>。市場シェアが減少したとはいえ、依然としてIEが圧倒的優位な状況であることに変わりはない。また、日本や米国ではIEが特に独占的なシェアを持っており、[[ヨーロッパ]]や[[オーストラリア]]などと比べると他社製ブラウザのシェアはまだあまり伸びていない(日本などの場合マイクロソフト製品に依存する傾向が強いため、ブラウザ以外でもMS製品を重視する傾向が見られる)。


IE以外に対応しないサイトも多かったため、[[IEコンポーネントブラウザ]]も流行した。
これに対し、ヨーロッパではIEのシェアが多数派ではあるが確実な減少傾向にあり、Mozilla Firefoxが市場シェアの20%を突破するなど(一部国では40%を突破)、IE以外のブラウザがシェアを伸ばしている<ref>[http://journal.mycom.co.jp/news/2006/12/11/005.html 欧州で増加するFirefoxの利用、23.2%のユーザーが利用]</ref>。


=== Google Chromeの躍進 ===
このような市場シェアにおける動向の違いについては、ヨーロッパなどではマイクロソフトによる市場支配に対する警戒感が日本に比べて高いことなどもあり、その違いが市場シェアの違いを生んでいるのではないか、といった指摘もある。
[[2008年]]にGoogleが[[Google Chrome]]を発表すると、ブラウザ戦争は徐々にChormeの優勢に向かっていった<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.excite.co.jp/News/it_g/20110816/Slashdot_11_08_16_0132239.html|title=第三次ブラウザ戦争が起きる?|date=2011-08-16|publisher=[[エキサイト|エキサイトニュース]]|accessdate=2018-05-04|archiveurl=https://web.archive.org/web/20180505065650/https://www.excite.co.jp/News/it_g/20110816/Slashdot_11_08_16_0132239.html|archivedate=2011-08-16}}</ref>。[[2010年]]9月のNetApplications社の世界ブラウザシェア調査によると、Internet Explorerは一時盛り返しを見せたものの再び減少し59.65%、次いでMozilla Firefoxが22.96%、Google Chromeはシェアを増やし約8%になった。かつては第3位にいたSafari(5.27%)やブラウザ競争の頃から開発が続けられていたOpera(2.39%)などこちらも伸び悩みがちになってきていたが、ユーザー数はある程度いた<ref>{{Cite web |url=http://marketshare.hitslink.com/browser-market-share.aspx?qprid=0&qptimeframe=M&qpsp=140 |title=Net Applications|Browser market share |accessdate=2010年10月14日 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20101010021302/http://marketshare.hitslink.com/browser-market-share.aspx?qprid=0&qptimeframe=M&qpsp=140 |archivedate=2010年10月10日 }}</ref>。


[[2011年]]になると、'''Internet Explorer 9'''正式版が[[3月15日]]に、'''Mozilla Firefox 4'''正式版も[[3月22日]]に、'''Opera 11.10'''が4月12日にそれぞれ公開された。しかしIE 9はWindows XPをサポートしないことや、[[東北地方太平洋沖地震]]による日本語版公開延期の影響で、ダウンロード数でFirefox 4に引き離された<ref>{{Cite news|url=https://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1103/24/news018.html|title=Firefox 4、公開24時間ダウンロード数はIE9の約3倍の710万本|newspaper=[[ITmedia]]|author=佐藤由紀子|date=2011-03-24|accessdate=2023-02-16}}</ref>。
=== 次世代ブラウザに対するMicrosoft側の動向 ===
他社製ブラウザがシェアを伸ばす中で、Microsoftは[[Microsoft Windows Vista|Windows Vista]]から投入する予定であったIE 7を、[[Microsoft Windows XP|Windows XP Service Pack 2]]に対しても提供するよう方針を変更した。


この後、Mozilla Firefoxは「バージョンアップを頻繁に行うので、数ヶ月ごとに更新を行っていただきたい」という趣旨を発表。企業向けには、メジャーバージョンアップを1年ごとに行いその間のマイナーアップデートを行う延長サポート版(Extended Support Release)を提供していた<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.mozilla.jp/business/downloads/|title=延長サポートについて|publisher=Mozilla Japan|accessdate=2017-02-13}}{{リンク切れ|date=2023-02}}</ref><ref group="note">[[2015年]]時点でこれらの延長サポートの恩恵に与っている企業がどれだけあったのかは不明。2017年現在は、すべてHTML5に対応したブラウザに切り替えている。</ref>。
IE 7では、ActiveX機能を実装した上で標準ではオフとしており、[[フィッシング (詐欺)|フィッシング]]防御フィルタを装備するなど、求められてきたセキュリティ対策が多く盛り込まれている。またタブブラウザ機能やRSSリーダー機能の装備に加えてWeb標準への準拠も進むなど、次世代ブラウザとしての機能を満たすものとしても期待されている。ただし、MicrosoftはIE 7を企業などで多く使われている[[Microsoft Windows 2000|Windows 2000]]に対応させないと表明しており、企業市場においてIE 7はIE 6の完全な代替とはなり得ないといった問題も残している。


'''Safari'''のWindows版は[[2012年]][[5月9日]]リリースの5.1.7を最後に開発が終了した。また、Windows 8の新しいUIは市場に受け入れられず<ref>{{Cite news|url=https://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1310/25/news004.html|title=8.1 Previewで問い直す、Windowsトレンドと今、情シスが持つべき着眼点|author=TechTargetジャパン運営事務局|newspaper=ITmedia|date=2013-10-25|accessdate=2023-02-16}}</ref>、Windows XPのシェアがあまり下がらず、結果古いままのIEのシェアをさらに下げることにつながった。
なお、IE 7は[[2006年]][[10月18日]]に英語版(日本語版は[[11月2日]])の正式版が公開された。


2012年、Google ChromeはMozilla Firefoxに追いつき、2014年にはそのシェアが50%を突破し揺るぎない地位に納まったことで、第二次ブラウザ戦争は終結したといわれる状況になった<ref>{{Cite web|和書|url=https://japan.zdnet.com/article/35058241/|title=実は2014年に終結していた?--ブラウザ戦争の現状をおさらい|publisher=[[ZDNet]]|language=日本語|date=2014-12-25|accessdate=2023-02-16}}</ref>。
=== 2006年以降(ポスト第二次ブラウザ戦争) ===
==== 2006年 - 2007年 ====
'''[[Internet Explorer#Internet Explorer 7|IE 7]]'''の正式版が公開されると、それに対抗するかのごとく同年[[10月24日]]に'''[[Mozilla Firefox#Firefox 2.0|Firefox 2]]'''がリリースされ、[[12月19日]]には'''Opera 9.10'''がリリースされた。このときはWindows XP/Vista向けインターネットブラウザーはIE・Firefox・Operaの競争であった。


2016年にGoogle Chromeの市場占有率がトップとなり、Internet Explorerを上回り、ブラウザ業界に君臨した<ref>{{Cite news|url=https://www.nikkei.com/article/DGXLASGN03H0M_T00C16A5000000/|title=ブラウザーのシェア、グーグル「クローム」が首位に|publisher=[[日本経済新聞]]|date=2016-05-03|accessdate=2023-02-16}}</ref>。
[[2007年]]に入ると'''Opera 9.20'''が[[4月11日]]にリリースされ、その後β版ながらも[[6月11日]]に'''[[Safari|Safari for Windows]]'''がリリースされ、翌年[[2008年]][[3月18日]]に正式版がリリースされた。


[[ファイル:StatCounter-browser-ww-monthly-202112-202112-map.png|サムネイル|330x330ピクセル|2021年12月現在の複数のブラウザーの国別占有率
==== 2008年 ====
{{Col|{{Legend|#00C000|[[Google Chrome]]}}
2008年3月18日に'''Safari for Windows'''が正式リリースされ、IE・Firefox・Operaの競争にSafariが加わると、マイクロソフト陣営も'''[[Internet Explorer#Internet Explorer 8|IE 8]]'''の開発に着手し、[[3月11日]]にBeta1(英語版のみ)を公開した。その後[[6月12日]]に'''Opera 9.50'''、[[6月17日]]に'''Mozilla Firefox 3'''がリリースされた。
{{Legend|#808080|[[Safari]]}}
{{Legend|#7AAFFF|[[Microsoft Edge]]}}}}]]


=== 終戦後の動向 ===
[[8月28日]]に'''IE 8 Beta2'''が公開され、直後の[[9月2日]]にはGoogle社がSafariと同様のレンダリングエンジンであるWebKitを採用した'''[[Google Chrome]]'''のβ版をリリースし、[[12月4日]]にはOpera社がアルファ版ながら'''Opera 10.00'''を公開した。この点で、Windows XP/Vista向けブラウザーが、旧来のIE・Firefox・Operaの競争に加え、Safariが加わり、さらにGoogle Chromeが加わる事になると予想される。
Mozilla FirefoxはFirefox Quantumをローンチし<ref>{{Cite web|和書|url=https://wired.jp/2017/12/06/firefox-quantum-review/|title=Chromeよ、さらば。ベストブラウザーの座は「Firefox Quantum」に交代だ:『WIRED』US版レヴュー|publisher=[[WIRED (雑誌)|WIRED]]|date=2017-12-06|accessdate=2023-02-16}}</ref>、セキュリティやプライバシー保護などを打ち出した。


Operaは独自レンダリングをやめ[[Chromium]]をベースにしたものに変更し、スマートフォン向けにOpera Touchをローンチした。
==== 2009年 - 2010年 ====
[[2009年]]になると、'''IE 8'''正式版が[[3月20日]]に公開された。また'''Mozilla Firefox 3.5'''も[[6月30日]]に正式版が公開された。'''Google Chrome'''は、[[5月21日]]に2.0の安定版、[[9月15日]]に3.0の安定版が公開された。また、'''Safari'''4.0も[[6月9日]]にリリースされている。


2014年末にMicrosoftは新ブラウザの発表を予告、第三次ブラウザ戦争勃発かとも予測されたが<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.adcip.com/2015web|title=ウェブの世界に起こるであろう2つの大きな変化|website=www.aibsc.jp|date=2015-01-15|accessdate=2018-05-04}}</ref>、その後登場した[[Microsoft Edge]]はChromiumベースでの開発へ転換、2019年にはChromiumを何らかの形で使用するブラウザが75%に達した。
[[2010年]]には、'''Mozilla Firefox 3.6'''が[[1月21日]]に公開され、次いでエクステンション(拡張機能)をサポートした'''Google Chrome 4.0'''の安定版が[[1月26日]]に公開された。そしてWebの新規格である[[HTML5]]に対応<ref>IE9は一部のみの対応が発表されている。</ref>したものとして[[7月4日]]に'''Mozilla Firefox 4.0 Beta版'''が、[[9月2日]]には'''Google Chrome 6.0'''の安定版が、[[9月15日]]には'''IE 9Beta版'''が公開されるなどブラウザだけというよりも機能性の充実など選択の多様性を帯びてきたようである。


元Operaスタッフによる[[Vivaldi (ウェブブラウザ)|Vivaldi]]、Goannaエンジン搭載[[Pale Moon]]、QtWebEngine搭載の[[Otter Browser]]、Dooble、[[Falkon]]、元Mozillaスタッフによる[[Brave (ウェブブラウザ)|Brave]]など新しいブラウザは生まれ続けているが、どれもGoogle Chromeの牙城は崩せていない<ref>{{Cite web |url = https://blog.mozilla.org/blog/2018/12/06/goodbye-edge/|title = Goodbye, EdgeHTML |publisher = blog.mozilla.org |date = 2018-12-06 |accessdate = 2019-07-14}}</ref>。
NetApplications社の2010年9月現在の世界ブラウザシェア調査によると、IEは一時盛り返しを見せたものの再び6割を下回って59.65%、次いでMozilla Firefoxが22.96%と頭打ちの傾向となっている。逆にGoogle Chromeはシェア約8%にまで到達し、着実に第3位としての地位を築きあげている。そして、かつては第3位にいたSafari(5.27%)やブラウザ競争の頃から開発が続けられているOpera(2.39%)などこちらも伸び悩みがちになってきている<ref>[http://marketshare.hitslink.com/browser-market-share.aspx?qprid=0&qptimeframe=M&qpsp=140 Net Applications|Browser market share]</ref>。


==== 2011年 - 2012年 ====
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
[[2011年]]になると、'''IE 9'''正式版が[[3月15日]]に、'''Mozilla Firefox 4'''正式版も[[3月22日]]に、'''Opera 11.10'''が4月12日にそれぞれ公開された。しかしIE 9はWindows XPをサポートしないことや、[[東北地方太平洋沖地震]]による日本語版公開延期の影響で、ダウンロード数でFirefox 4に引き離された格好となっている<ref>[http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1103/24/news018.html Firefox 4、公開24時間ダウンロード数はIE9の約3倍の710万本(ITmedia)]</ref>。
=== 注釈 ===
<references group="note" />


=== 出典 ===
この後、Firefoxは「バージョンアップを頻繁に行うので、数ヶ月ごとに更新を行っていただきたい」という趣旨を発表。バージョンアップの数字がChromeなみに更新される割には、質的にそれほど変化がないというChrome同様の状況を生み出している。企業向けには、メジャーバージョンアップを1年ごとに行いその間のマイナーアップデートを行う延長サポート版(Extended Support Release)を提供している<ref>[http://www.mozilla.jp/business/downloads/ 延長サポートについて]</ref>
<ref>2015年現在これらの延長サポートの恩恵に預かっている企業がどれだけあるのかは不明で、現在はHTML5に対応したブラウザに切り替えているはずである。</ref>。

最速の描画を宣伝することが、ブラウザ戦争の鍵になっていたのも過去の話であり、2012年当時でIEの描画がかなり速くなったことに伴い、PCのスペックがよほど古くない限りはブラウザ間でそれほど速さが違わないという現象も指摘されるようになった。このころからWEBサイトはプラグイン、アニメーション、そしてjavaを「不用意に」増量したものが多くなり、[[2ちゃんねる]]元管理人の[[西村博之]]は「お洒落を目指して、使いづらくなるサイトが多い」という指摘を行っている(その原因のひとつであるjavaの脆弱性については後述)。

また、'''Safari'''のWindows版は[[2012年]][[5月9日]]リリースの5.1.7を最後に開発が終了した。また、鳴り物入りの宣伝とともに現れたWindows8の新しいUIは市場に受け入れられず<ref>[http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1310/25/news004.html 8.1 Previewで問い直す、Windowsトレンドと今、情シスが持つべき着眼点]</ref>、Windows XPのシェアがあまり下がらず、結果古いままのIEのシェアをさらに下げることにつながり、主な乗り換え先としてChromeが選択されている。

Google Chromeは徐々にシェアを伸ばし、Firefoxはかつてほどの勢いを失ってはいるが、根強い支持は残っている。

== 第三次ブラウザ戦争 ==
OperaがPrestoエンジンの開発の終了を宣言。同時にGeckoからフォークされたServoエンジンとWebkitからフォークされた[[Blink (レンダリングエンジン)|Blinkエンジン]]の開発がほぼ同時にアナウンスされたことで、ブラウザの主なエンジンはTrident系、Webkit系あるいはGecko系に集約されることになった。

この時期の大きな特徴は'''IEが2012年度を最後に、ブラウザ・シェアの首位から滑り落ちた'''ことと、'''マイクロソフトがIEを捨て新ブラウザ[[Microsoft Edge|Edge]]を発表したこと'''である。EdgeのスクリーンショットもほとんどChromeの外観と変わらず、独創性のなさが指摘されている。また、新型ブラウザのあいだでは[[HTML5]]は着実に浸透しており、JavaもFlashもいらなくなることを目指している。

=== 2013年 ===
前述の通り、OperaがPrestoエンジンを放棄したことに加えOperaが磐石とされた地域も一斉にChromeに乗り換える現象が多発している。IEのシェアの減少には歯止めがかかっておらず、2013年現在ではChromeのシェアがIEを逆転した状況が依然として続き、上半期は常に差が引き離され続けていた。Chromeのシェアは2013年中に40%を超えた。

Opera Nextは2013年5月27日にリリースされたが、豊富なカスタマイズ機能は「後で揃える」と棚上げされ、メールクライアントとP2P機能は一律でカットされて、「Operaのレイアウトを真似たChromium」が世に放たれた(メールクライアントはオプションで設置が可能)。Prestoはオープンソースにはなっていないので、事実上Prestoエンジンのブラウザは絶滅した。

2013年現在はOperaではなく、Firefoxが「最も解凍後のサイズの軽いブラウザ」である<ref>これよりも軽いブラウザは存在する(Qupzillaなど)が、Qupzillaを含むQtWebEngineベースのブラウザはすべてQt5への移行を宣言しており、Firefoxが最も軽くなる状況は変わっていない。</ref>。Operaの趣旨変えとSafariの支持力の急激な低下に基づき、ブラウザ戦争は「IE, Firefox & Chromium project」の戦いを経て、搭載エンジン「Trident系列, Gecko系列 & Webkit系列」同士の争いへ変わっている。

大きくIEを引き離したChromeは2013年の7月に43.12%の普及<ref>gs.statcounter.com調べ</ref>率でピークを迎えた後、普及率がブラウザ公開後はじめて下降した。2013年11月現在は40%前後で推移している。ただし、IEは首位奪還を果たしていない。Firefoxは新UI「Australis」を発表後普及が下落の一方であり、デザインも不評で2013年11月の時点でシェアが20%を切っている。

Javaの脆弱性が世界中で指摘され、その後も繰り返し脆弱性が発覚しセキュリティアップデートが行われている。こうした経緯から、WebサイトからJavaをカットしてFlashへ切り替える傾向が見られてきたが、FlashもJava同様に繰り返し脆弱性が発覚しセキュリティアップデートが頻繁に繰り替えされており、2013年には[[iPad]]を初めとしたFlashが対応しないタブレット端末の急速な普及とともに[[HTML5]]がFlashを駆逐しつつある。この時点でChromeとIEは不幸にもflashを組み込んだ形で出荷しており、両者の将来性に疑問が附された。

=== 2014年 ===
IE11が一定の評価を受けたことと、Chromeの描画速度の低下に伴い、どちらかのブラウザを使うかで悩むユーザーが増えたと見られている。ChromeのデザインがSpartanに影響を与えたという点では、先駆性があったとみるべきだろうが、「描画の速さ」はどのブラウザもあまり問題にならなくなっている。Chromiumはすでにflashを外している。

Firefoxはバージョン29から、新UIのAustralisに全面移行された。この新UIを採用した「解凍後のブラウザのサイズ」は69.2MB前後(2016年3月現在は90.0MBを超えた。)とやや増加したが、依然として総サイズが大きくないブラウザのひとつである。20%で普及率は横ばいであるが[[ドイツ]]を中心とした国々では人気が高い。しかし、「もう伸びしろがない」と言われるほど開発は膠着しており、アップデートが頻繁に行われる割には大した改良は見られない。

ブラウザ戦争には関与のない新ブラウザの開発も依然として行われ続けており、[[Otter Browser]]は生まれたばかりである。しかし、ブラウザ戦争に関与しているブラウザの速度をこれらは超えなくなっており、最速を謳った[[QtWeb]]も開発が中断している。(ただし、2016年3月時点のOtter BrowserとPale Moonの最新版は、レンダリングエンジンが刷新されたためブラウザ戦争に関与しているソフトウェアの描画速度を超えている。)

Googleによる個人情報の採集を嫌い、新ブラウザは検索エンジンに[[DuckDuckGo]]を採用し始めている。[[ロシア]]を含むキリル文字圏では[[Yandex]]検索エンジンが一定の支持を得ており、Chromiumベースの[[Yandex Browser]]の開発も進んでいる。

=== 2015年 ===
新ブラウザの開発はすすんでおり、Operaの初代開発者は2015年1月に[[Vivaldi (ウェブブラウザ)|Vivaldi]]をたちあげた。QtWebEngineを搭載したブラウザの開発が目立っており、まず[[Otter Browser]]が2015年1月に先陣を切り、[[QupZilla]]、[[Dooble]]がこれに続いている。OperaそのものはChromiumに吸収されたが、Opera制作のノウハウは複数のブラウザに受け継がれた。近年のブラウザはあらかじめツールをインストールしなくとも、ユーザーがカスタマイズした[[Easylist]]で[[広告]]をカットできるようになっている。近年はadguardも人気があり、Yandex Browserに標準で搭載されている。

[[Windows 10]]はInternet Explorerの企業向け版と新型ブラウザEdgeの二つのブラウザが同時に出荷された。将来的にはIEは淘汰されることになっているが、まだ残っている。TridentエンジンからフォークされたEdgeエンジンを搭載予定で、これで描画速度に向上が見込めるとしているが、Chromium系の速度にすら及ばない。現在は[[マイクロソフト]]社の'''[[EdgeHTML|Edge]]'''、[[Mozilla]]社の'''[[Servo]]'''、そして[[Qt]]の'''[[QtWebEngine]]'''の三つの描画エンジンによるプロジェクトが進行している。ただし、Trident系のブラウザは唯一ソースを公開しておらず、Webkit系のブラウザのシェアに押されて苦戦が続いている。

[[フォント]]のレンダリングに[[DirectWrite]]を拡張機能抜きで標準搭載したChromiumの支持は上がる一方であり、フォントの整形にすらユーザーのカスタマイズを必須とするFirefoxの支持は下がり続けているが、開発は行われている。Firefoxが開発当初に大優勢だったのは、表示速度云々ではなく、「すべての地球上の言語を表示できる唯一のブラウザ」を目指したからである。これをEdgeやInternet Explorerが実現したのは2015年に入ってからであり、Firefoxの先駆性がうかがえる。<ref>かつては[[クメール語]]の表示がIEでは完璧に行えず、クメール語対応を謳ったおかげでFirefoxユーザーが激増したことがある。</ref>Opera、Google Chrome、Qupzillaなどはいまだにいくつかの言語を2015年時点では完全には表示できていない。Gecko系のFirefox派生ブラウザも活発ではないが[[Light]]、[[Pale Moon]]などは開発を継続しており、市場シェアが下がろうとも根強い支持がいまだに残っている。

2015年現在は、Trident系のブラウザが約40%(徐々に減少中)、Gecko系のブラウザが約20%(横ばい)、Webkit系のブラウザが約40%(急激に上昇中)、といった割合で普及している。555点満点のHTML5テストにおいて、ほかのブラウザが上手く対応できない中、Google Chromeはすでに521点を超えている。EdgeはWindows 10に搭載されたものの、IEの復権を担うことになっていないばかりかHTML5テストの点数も450点台で相変わらず低く、多くのサイトでは優秀なブラウザだとは思われていない。拡張機能やオープンソース化などの時代の流れに、取り残された感は否めない。

=== 2016年 ===
QtWebEngineの最大のメリットは「拡張機能のためのバックグラウンド・メモリを使わない」ことである。これはChromiumをはじめとした派生ブラウザはバックグラウンドでメモリを使えるだけ使い、拡張機能を増やせばさらに使う、という悪循環がVivaldi開発本部から指摘<ref>[http://news.mynavi.jp/articles/2015/05/25/vivalditomita/ vivaldi]</ref>された。これを苦にしたVivaldiもバックグラウンドのメモリは減らすように努めているが、元がChromiumであるためさほど減らない。QtWebEngineのバックグラウンドメモリも、確かに同様の症状がみられるが、こちらはアドオンがもともと搭載されておらずその分だけ快速になる。

このメリットが発揮されるのはQt5.6以降である。QupZilla、Otter Browser、Doobleは大きな転換点を2016年の3月に迎えた。Webkit系エンジンを何らかの形で使用するブラウザの国際使用率はすでに56%以上に達している。EdgeはWebkit完全互換を進めているせいでユーザーエージェントが最も煩雑な仕様と化しており、Tridentエンジンの存在価値がわからなくなってきた。インターネットブラウザ後進国と呼ばれた日本ですら、ChromeユーザーとIE&Edgeユーザーの比率は、2016年に入って遂に逆転<ref>[http://www.nikkei.com/article/DGXLASGN03H0M_T00C16A5000000/ chrome]</ref>している。

2016年2月29日には、QtWebkitに頼らず[[QtWebEngine]]のみで起動する初のブラウザ(Otter Browser)が現れた。Qtの予想通り、Blinkエンジンを搭載したChromium準拠のブラウザよりメモリ使用率は60-70%に抑えられていることが特徴である。その一方Geckoエンジンの改造版といえる[[Goanna]]エンジン準拠のPale Moon26.1.1、Prestoエンジン準拠のOpera12.18(Windows10搭載フォントに完全に対応)が2016年にリリースされており、こちらも旧来からの使用者を手放していない。ただし、Operaは[[セキュリティ]]企業の[[Qihoo 360]]、[[オンラインゲーム]]企業の[[Kunlun Tech]]、[[投資ファンド]]の[[Golden Brick]]および[[Yonglian]]に買収されることが発表されており、今後のPrestoエンジンの開発は不透明なままである。

2016年3月現在解凍後のサイズの最も低いブラウザはOpera12.18で、34.0MBを切っているが今後の更新は不透明。その次に低いブラウザはPale Moon26.1.1で64bit版ですら60.0MBを切っている。このため、現時点ではGoanna2.0は開発が続行されている最速のレンダリングエンジンになっている。3月31日にようやくOtter Browserよりはバグの少なさで知られるQupzillaの2.0.0が発表され、正式にQtWebEngineに対応。サイズはそれなりに重くなってしまい軽量ブラウザではなくなったが、[[Blink]]のようなメモリ浪費は全くない。開発に大人数を要さないという点においてQtWebEngineを元とした[[Liri Browser]]、[[Qutebrowser]]、vanillaなどのシンプルなブラウザ群が一斉に誕生した感がある。しかし、QtWebEngineそのものに疑問を呈してOtter BrowserはQtWebkitを正式版に<ref>QtWebkit版とQyWebEngine版を両方用意するといった二重の手間をかけている。</ref>戻し、DoobleはQtWebkitのままで開発を続行している事にみられるように、Qtの開発姿勢を巡っていくらかの混乱があるようである。Qt公式は、5.7.0でQtWebkitを復活させている。

QtWebEngineとGoogle Chromeの[[html5test]]の成績は2016年6月までの旧ヴァージョンによる採点で521点に引き上げるのは非常に早かったが、その後半年以上点数に伸びが見られなかった。ただし、2016年7月にhtml5testが採点基準を変更したことに伴い、より辛口の点数がつけられるようになったので注意されたい。2016年7月現在の採点は、Qt5.7.0で487点、Chromium Version 54で501点である。2016年の9月にようやくChromiumが[[ゴート語]]と[[ブギス語]]に対応し、Firefoxから10年遅れで「MediaWiki上のすべての言語」を表示することを実現した。QtWebEngineの低迷がささやかれる中、2016年の年末までにVivaldiがPDF出力と画像スナップショットに1.7.704.3 で試験的に対応しており、徐々に「アドオン頼みのブラウザ」からの脱却を図っていることが伺えた。

=== 2017年 ===

== Windows以外の環境でのブラウザ戦争 ==
=== Macintosh ===
[[Mac OS]]では1997年までは、[[Netscape Navigator (ネットスケープコミュニケーションズ) | Netscape Navigator]]が標準ブラウザであったが、マイクロソフトとの提携により、[[Internet Explorer for Mac]]が標準となり、Netscapeはシェアを落とすことになる。

従来のMac OSの後継として[[OPENSTEP]](標準ブラウザは[[OmniWeb]])の技術を中核に開発された[[macOS]]でも、IE for Macは[[Mac OS X v10.2]]までは標準ブラウザとして搭載されたが、[[2003年]]にアップルが[[Safari]]をリリースしてから、IE for Macのアップデートは行われなくなり、[[2007年]]に公開を終了した。以降、macOSではSafariとFirefoxがシェアを占めるようになり、[[シイラ (ウェブブラウザ)|シイラ]](2009年に開発終了)やOmniWeb(独自エンジンから移行 ), [[Sleipnir]], [[Opera]], [[Google Chrome]]など、[[WebKit]]および[[Blink (レンダリングエンジン)|Blink]]エンジンを利用したブラウザがいくつか登場している。また、[[2006年]]にはGeckoエンジンを搭載したmacOS専用ブラウザである[[Camino]](初期の名称はChimera)が登場したがシェアが取れず2013年に開発終了した。OmniWebは2015年現在もtest buildsで更新を終えてはいないが、他のブラウザの圧力に押されている。

=== UNIX系OS ===
[[Unix系 | UNIX系OS]]では[[Netscapeシリーズ | Netscape Navigator]]が長らく標準であり、競合相手も特に見当たる事が無かったが、Netscapeシリーズの開発停滞により、Netscapeの流れを汲む[[Mozilla Firefox]]と新興勢力の[[Opera]]にシフトしていくようになる。その後、[[オープンソース]]故に開発競争が起きた事で[[X Window System]]の[[デスクトップ環境]]の乱立により、そのデスクトップ環境標準のブラウザで[[Gecko]]・[[KHTML]]・[[WebKit]]/[[Blink (レンダリングエンジン)|Blink]]をベースに開発されている。メジャーなブラウザとしては[[クロスプラットフォーム]]である、Mozilla Firefox、Google Chrome、Operaが広く利用されている。

また、UNIX・[[Linux]]ネイティブのブラウザとして[[Konqueror]]・[[Midori (ウェブブラウザ)|Midori]]等があり、これらも一定の人気を得ている。多くの[[Linuxディストリビューション]]で、Mozilla Firefoxを元にして作られたブラウザ([[Iceweasel]]など)が標準ブラウザとして採用されている。

2013年現在に入っても多くのLinux環境では圧倒的にFirefoxが選ばれていることもあって、ブラウザの乗り換えはWindowsやMacほど進んでいない。なお、Epiphanyが[[Web (ウェブブラウザ)|Web]]へ名称を変更している。

== ブラウザ戦争にて競合するブラウザの一覧 ==
{| class="wikitable"
|+ '''Windows環境におけるブラウザ'''
! !! colspan="5" |競合するブラウザ一覧 (太字は主流のブラウザ)
|-
! 1993年 - 1996年
| '''NCSA Mosaic''' || Netscape Navigator || colspan="4" |
|-
! 1996年 - 1998年 第一次ブラウザ戦争<br />(IE3世代 - IE4世代)
| Internet Explorer || '''Netscape Navigator''' || colspan="4" |
|-
! 1998年 - 2006年 第二次ブラウザ戦争<br />(IE5世代 - IE7世代)
| '''Internet Explorer''' || Mozilla Firefox || Opera || colspan="3" |
|-
! 2006年 - 2010年 第二次ブラウザ戦争<br />(IE7世代 - IE9世代)
| '''Internet Explorer''' || Mozilla Firefox || Opera || Safari
|-
! 2010年 - 2012年 第二次ブラウザ戦争<br />(IE9世代 - IE10世代)
| '''Internet Explorer''' || Mozilla Firefox || Google Chrome || Opera
|-
! 2012年 - 2014年 第三次ブラウザ戦争<br />(IE10世代 - IE11登場)
| Internet Explorer || '''Google Chrome''' || Mozilla Firefox || Opera
|-
! 2015年 - 第三次ブラウザ戦争<br />(Spartan登場)
| Internet Explorer<br/>Edge || '''Chromium<br/>(Google Chrome含む)''' || Mozilla Firefox ||
|}

{| class="wikitable"
|+ '''Mac OS環境におけるブラウザ'''
! !! colspan="6" | 競合するブラウザ一覧 (太字は主流・斜体字は今までの主流)
|-
! 1994年 - 1996年
| '''Netscape Navigator''' || Internet Explorer for Mac || NCSA Mosaic || colspan="3" |
|-
! 1996年 - 1998年
| '''Netscape Navigator''' || Internet Explorer for Mac || Cyberdog || colspan="3" |
|-
! 1998年 - 2003年
| '''Internet Explorer for Mac''' || ''Netscape Navigator'' || iCab || Opera ||colspan="2" |
|-
! 2003年 - 2007年
| '''Safari''' || ''Internet Explorer for Mac'' || Mozilla Firefox || Opera || OmniWeb ||
|-
! 2007年 - 2010年
| '''Safari''' || Mozilla Firefox || Camino || Opera || OmniWeb || Sunrise
|-
! 2010年 - 2013年
| '''Safari''' || Google Chrome || Mozilla Firefox || Camino || Opera || OmniWeb
|-
! 2013年 -
| '''Safari''' || Chromium<br/>(Google Chrome含む) || Mozilla Firefox || OmniWeb || Dooble || QupZilla
|}

{| class="wikitable"
|+ '''UNIX系OS環境におけるブラウザ'''
! !! colspan="5" | 競合するブラウザ一覧 (太字はメジャーなブラウザ)
|-
! Firefox・Opera登場期
| '''Netscape Navigator''' || '''Mozilla Firefox''' || '''Opera''' || colspan="2" |
|-
! 2012年まで
| '''Mozilia Firefox''' || '''Opera''' || [[Galeon]] (Gecko)|| [[Konqueror]]など (KHTML)|| [[Web (ウェブブラウザ)|Epiphany]] (WebKit)
|-
! 2013年 -
| '''Mozilia Firefox''' || [[Konqueror]]など (KHTML)|| [[Web (ブラウザ)]]など (WebKit)|| Chromium<br />(Google Chrome含む) ||
|}

==参考文献==
*ブラウザ戦争をめぐるソースは真偽不明のものがあまりにも多すぎるため、書籍に限定している。
**Der 'Browser-Krieg' - Eine Wettbewerbsstrategische Analyse ISBN 978-3656620631
**Browser Wars ISBN 978-5514008049
**Browser Wars ISBN 978-6130226015

== 脚注 ==
<references/>
<references/>


237行目: 83行目:
{{Wikinews|Opera Software、Microsoftを独禁法違反でECに申し立て}}
{{Wikinews|Opera Software、Microsoftを独禁法違反でECに申し立て}}
* [[ウェブブラウザの一覧]]
* [[ウェブブラウザの一覧]]
* [[コーラ戦争]]
* [[ビデオ戦争]]
* [[HY戦争]]
* [[日本におけるゲーム機戦争]]
* [[規格争い]] - [[市場占有率]] - [[コンピュータ分野における対立]]


==外部リンク==
== 外部リンク ==
* [https://gs.statcounter.com/ StatCounter Global Stats] – tracks the market share of browsers including mobile from over 4 billion
===統計===
* [http://gs.statcounter.com/ StatCounter Global Stats] tracks the market share of browsers including mobile from over 4 billion
* [https://www.w3schools.com/browsers/ W3Schools] - current market share of browsers and their versions, desktop and mobile
* [http://yourbrowser.is/browser-market-share/ Browser Market Share] – current market share of browsers and their versions, desktop and mobile
===冗談===
* [http://stephenbrooks.org/games/browserwars/ stephenbrooks.org – browserwars] – a multiplayer browser game, shows the logo of the browsers used



{{ウェブブラウザ}}
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{{Internet Explorer}}
{{Normdaten}}
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[[Category:ウェブブラウザ]]
[[Category:ウェブブラウザ]]
[[Category:コンピュータ分野における議論と対立]]
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[[Category:ビジネスにおける競合・対立関係]]
[[Category:World Wide Web]]
[[Category:World Wide Web]]
[[Category:インターネットの歴史]]
[[Category:インターネットの歴史]]

2024年11月27日 (水) 16:01時点における最新版

主なブラウザによるメジャーリリースのスケジュール

ブラウザ戦争(ブラウザせんそう)とは、ウェブブラウザを提供する各社・各団体による市場シェア争奪戦のことを指す。一般には、1990年代に起きたInternet ExplorerNetscape Navigatorの猛烈な競争を第一次ブラウザ戦争[1][2]、2004年頃から2014年頃にかけて起きた、Google・Apple・MicrosoftなどのIT業界での大企業を巻き込んだ、ブラウザベンダによる最新のWeb標準の実装競争、および動作速度の高速化の競争のことを第二次ブラウザ戦争[3]と呼ぶことが多い。

第一次ブラウザ戦争

[編集]
1996年から2009年までの複数のブラウザーの市場占有率

最初の戦争は、Internet ExplorerかNetscape Navigatorの二択から始まった。

1990 - 1994年

[編集]

1990年代初頭、非常に簡単なグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を備えたウェブブラウザが入手可能になった。一番初めに流行したのはNCSAによって作られたNCSA Mosaicだった[2]。Spry MosaicやSpyglass Mosaicのように、NCSAからマスターライセンスを供与された数社は商業用ブラウザとしてライセンスを販売した。

NCSA Mosaic開発者の1人であるマーク・アンドリーセン[2]はMosaic Communications Corporationを設立し、Mozillaというコードネームの新しいブラウザを作った(これはMozilla Application Suiteとは別物である)。NCSAとの法的問題の解決にあたり、社名をNetscape Communications、ブラウザ名をNetscape Navigator(NN)と改めた。NNは使い勝手や見た目がNCSA Mosaicのそれに酷似していた。制限や金銭の支出なしにダウンロードが可能だった事も功を奏し、ほどなく市場を支配した。

1995年〜1998年、NNはもっとも幅広く使われる主要なブラウザになった。

1995 - 1997年

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1995年に発売されたMicrosoft Windows 95はそれまでのWindowsとの大きな違いの1つとしてNOS(Network Operating System)機能を実装したことが挙げられる。ネットワークプロトコルとしてインターネットで標準となっているTCP/IPも実装されたことから、ウェブブラウザをインストールするだけでWindows 95でウェブを利用可能となった。それにより、World Wide Webは一般に普及し始めた。

この頃、MicrosoftInternet Explorer(IE)の基礎となるNCSA MosaicのライセンスをNCSAから取得した。IE 1.0はMicrosoft Windows 95 Plus!の一部として1995年8月にWindows 95と同時に発売された。

Netscape Navigatorの新バージョン(後のNetscape Communicator)とIEは激しいシェア争いを繰り広げ頻繁なバージョンアップを繰り返すこととなる。しかし、安定性や安全性の向上より他方との差別化を優先したため、頻繁なクラッシュセキュリティホールウェブ標準とは異なるHTMLレンダリングエンジンユーザに混乱をもたらすこととなる。

Microsoftは1995年11月にIEの新バージョン2.0を、1996年8月にはバージョン3.0を無償で公開し、新たに発売されるWindowsに組み込まれることとなる。NNは当時シェアウェアとして有料であったがIEは無償で公開されていた。IEでは基本的に売り上げが無い以上、Windowsなど他のMicrosoft製品の売り上げから開発費が出ているとして、Microsoft製品が不当価格として批判も出るようになった。それに加え、IEを抱き合わせてWindowsを販売しているとして独占禁止法に違反するとして提訴も行われるようになった。

1998 - 2000年

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Windows 98(正確にはWindows 95の最終バージョン)からはInternet ExplorerがWindowsにOSの一つの機能として搭載されるようになったこともあり、市場におけるWindowsの圧倒的シェアを背景にブラウザのシェア争い自体が意味を持たないものとなってしまっていった。

また、当時はHTMLの手書きにより制作されたサイトが多かったが、そのようなHTMLの中には正しく記述されていないものも少なくなかった。Netscape NavigatorはそのようなHTMLの表示の補正を積極的に行わなかったが、それに対してIEは積極的に補正を行った。同時に、CSSの処理もNNは対応が遅れていた。結果として、NNではレイアウトがずれているがIEではまともに表示できているというページが多く出現することとなり、NN離れを加速する一因となった。

また、JavaScriptについてもアクセスAPIとしてNNが採用したレイヤーは非常に使い勝手が悪く、IEのアクセスAPIであるDOM[note 1]と比較して完全に劣っていた。この2種類のアクセスAPIはまったく互換性がなかったため、コストの問題からどちらかしか対応できない場合に、より優れた仕様であるIEのDOMを制作者が採用するようになった。

そのような理由により2000年〜2004年にはIEが市場シェアのほぼすべてを獲得して第一次ブラウザ戦争は終結とされる。アメリカでは独占禁止法違反による裁判が行われたが、裁判がNNやその他のブラウザのシェア回復に寄与することはなかった。

第二次ブラウザ戦争

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StatCounterによる2009年以降のブラウザシェアの変動

次の戦争は、Internet Explorer・Opera・Mozilla Firefox・Safari・Google Chromeの五択の戦争になり、混迷を極めた。

Internet Explorer覇権の後退

[編集]

ウェブブラウザの市場シェアをほぼ独占するに至ったMicrosoftによるInternet Explorerだが、6.0のあたりから開発が停滞し、新しさに欠ける状況が長く続く事になった。また、圧倒的なシェアを占めたことで、同ブラウザが採用する技術であるActiveXを悪用するキーロガーバックドアを始め、同ブラウザのセキュリティホールを狙ったコンピュータウイルススパイウェアなどが多数登場するようになり、コンピューターセキュリティ問題がクローズアップされ、またIE専用サイトの増加によるブラウザ互換性への批判もされるようになった。だが、先述のシェア独占後の開発の停滞のために、IEの問題は遅々として解消されない状況が続いた。

そのような状況下で、タブブラウジング機能やフィードリーダー機能など、多様な新機能を搭載する次世代ブラウザとして、Mozilla FoundationによるMozilla FirefoxOpera SoftwareによるOpera[note 2]AppleによるSafariが登場した。これらのブラウザは新機能を搭載しているだけでなく、自前のレンダリングエンジンを持っており[note 3]、IEのセキュリティホールとして問題になったActiveXを採用していないため、ActiveXに起因するセキュリティ問題は発生しない(各々のウェブブラウザ固有のセキュリティホールは存在する)。

新興ブラウザ、特にMozilla Firefoxの人気があがり、2005年から2006年にかけてブラウザシェアが従来に比べて大きく変動した。2006年12月の時点で、世界的市場で見たIEのシェアは8割強、Mozilla Firefoxのシェアは1割強であった[4]。市場シェアが減少したとはいえ、依然としてIEが圧倒的優位な状況であることに変わりはなかった。また、日本やアメリカではIEが特に独占的なシェアを持っており、ヨーロッパオーストラリアなどと比べると他社製ブラウザのシェアはまだあまり伸びていなかった(日本などの場合Microsoft製品に依存する傾向が強いため、ブラウザ以外でもMicrosoft製品を重視する傾向が見られた)[要出典]

これに対し、ヨーロッパではIEのシェアが多数派ではあるが確実な減少傾向にあり、Mozilla Firefoxが市場シェアの20%を突破するなど(一部国では40%を突破)、IE以外のブラウザがシェアを伸ばしていた[5]

IE以外に対応しないサイトも多かったため、IEコンポーネントブラウザも流行した。

Google Chromeの躍進

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2008年にGoogleがGoogle Chromeを発表すると、ブラウザ戦争は徐々にChormeの優勢に向かっていった[6]2010年9月のNetApplications社の世界ブラウザシェア調査によると、Internet Explorerは一時盛り返しを見せたものの再び減少し59.65%、次いでMozilla Firefoxが22.96%、Google Chromeはシェアを増やし約8%になった。かつては第3位にいたSafari(5.27%)やブラウザ競争の頃から開発が続けられていたOpera(2.39%)などこちらも伸び悩みがちになってきていたが、ユーザー数はある程度いた[7]

2011年になると、Internet Explorer 9正式版が3月15日に、Mozilla Firefox 4正式版も3月22日に、Opera 11.10が4月12日にそれぞれ公開された。しかしIE 9はWindows XPをサポートしないことや、東北地方太平洋沖地震による日本語版公開延期の影響で、ダウンロード数でFirefox 4に引き離された[8]

この後、Mozilla Firefoxは「バージョンアップを頻繁に行うので、数ヶ月ごとに更新を行っていただきたい」という趣旨を発表。企業向けには、メジャーバージョンアップを1年ごとに行いその間のマイナーアップデートを行う延長サポート版(Extended Support Release)を提供していた[9][note 4]

SafariのWindows版は2012年5月9日リリースの5.1.7を最後に開発が終了した。また、Windows 8の新しいUIは市場に受け入れられず[10]、Windows XPのシェアがあまり下がらず、結果古いままのIEのシェアをさらに下げることにつながった。

2012年、Google ChromeはMozilla Firefoxに追いつき、2014年にはそのシェアが50%を突破し揺るぎない地位に納まったことで、第二次ブラウザ戦争は終結したといわれる状況になった[11]

2016年にGoogle Chromeの市場占有率がトップとなり、Internet Explorerを上回り、ブラウザ業界に君臨した[12]

2021年12月現在の複数のブラウザーの国別占有率
  Safari

終戦後の動向

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Mozilla FirefoxはFirefox Quantumをローンチし[13]、セキュリティやプライバシー保護などを打ち出した。

Operaは独自レンダリングをやめChromiumをベースにしたものに変更し、スマートフォン向けにOpera Touchをローンチした。

2014年末にMicrosoftは新ブラウザの発表を予告、第三次ブラウザ戦争勃発かとも予測されたが[14]、その後登場したMicrosoft EdgeはChromiumベースでの開発へ転換、2019年にはChromiumを何らかの形で使用するブラウザが75%に達した。

元OperaスタッフによるVivaldi、Goannaエンジン搭載Pale Moon、QtWebEngine搭載のOtter Browser、Dooble、Falkon、元MozillaスタッフによるBraveなど新しいブラウザは生まれ続けているが、どれもGoogle Chromeの牙城は崩せていない[15]

脚注

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注釈

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  1. ^ このDOMはW3C標準のDOMとは別物。ただし、W3CのDOMでは機能追加に伴って記法が変わった程度で、設計はほぼIEのDOMを踏襲している。
  2. ^ Opera自体は、1995年にリリースされている。
  3. ^ いわゆるIEコンポーネントブラウザは自前のレンダリングエンジンを持っていないものが多かった。
  4. ^ 2015年時点でこれらの延長サポートの恩恵に与っている企業がどれだけあったのかは不明。2017年現在は、すべてHTML5に対応したブラウザに切り替えている。

出典

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  1. ^ ブラウザ戦争、HTML5の標準化、ブラウザの未来──歴史を語り尽くすWebブラウザ談義【後編】”. ガジェット通信 (2016年4月22日). 2017年2月14日閲覧。
  2. ^ a b c Firefox OSの「これまで」と「これから」”. 技術評論社 (2016年7月11日). 2017年2月14日閲覧。
  3. ^ 「汎用のUI技術」として広がるHTML5”. @IT (2012年2月2日). 2017年2月14日閲覧。
  4. ^ Firefox Snags Over 12% of the Browser Market”. Janco Associates, Inc.. 2017年2月13日閲覧。
  5. ^ 末岡洋子 (2006年12月11日). “欧州で増加するFirefoxの利用、23.2%のユーザーが利用”. マイナビニュース. 2017年2月13日閲覧。
  6. ^ 第三次ブラウザ戦争が起きる?”. エキサイトニュース (2011年8月16日). 2011年8月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年5月4日閲覧。
  7. ^ Net Applications|Browser market share”. 2010年10月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年10月14日閲覧。
  8. ^ 佐藤由紀子 (2011年3月24日). “Firefox 4、公開24時間ダウンロード数はIE9の約3倍の710万本”. ITmedia. https://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1103/24/news018.html 2023年2月16日閲覧。 
  9. ^ 延長サポートについて”. Mozilla Japan. 2017年2月13日閲覧。[リンク切れ]
  10. ^ TechTargetジャパン運営事務局 (2013年10月25日). “8.1 Previewで問い直す、Windowsトレンドと今、情シスが持つべき着眼点”. ITmedia. https://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1310/25/news004.html 2023年2月16日閲覧。 
  11. ^ 実は2014年に終結していた?--ブラウザ戦争の現状をおさらい”. ZDNet (2014年12月25日). 2023年2月16日閲覧。
  12. ^ “ブラウザーのシェア、グーグル「クローム」が首位に”. 日本経済新聞. (2016年5月3日). https://www.nikkei.com/article/DGXLASGN03H0M_T00C16A5000000/ 2023年2月16日閲覧。 
  13. ^ Chromeよ、さらば。ベストブラウザーの座は「Firefox Quantum」に交代だ:『WIRED』US版レヴュー”. WIRED (2017年12月6日). 2023年2月16日閲覧。
  14. ^ ウェブの世界に起こるであろう2つの大きな変化”. www.aibsc.jp (2015年1月15日). 2018年5月4日閲覧。
  15. ^ Goodbye, EdgeHTML”. blog.mozilla.org (2018年12月6日). 2019年7月14日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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  • StatCounter Global Stats – tracks the market share of browsers including mobile from over 4 billion
  • W3Schools - current market share of browsers and their versions, desktop and mobile