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[[File:Shatir500.jpg|thumb|イブン・シャーティルの惑星の運行モデル]] |
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'''イブン・シャーティル'''（{{transl|ar|ALA|Ibn al-Shāṭir}}; 1305年頃 - 1375年頃）は、14世紀のムスリムの天文学者である<ref name="非西洋科学史事典" />。長年[[ダマスクス]]の大モスク（[[ウマイヤ・モスク]]）のムワッキト（時守。[[アザーン]]や[[ムアッズィン]]の項参照。）を務め、計時に関する著作、宇宙構造論に関する著作がある<ref name="非西洋科学史事典" />。イブン・シャーティルの宇宙構造論は『[[アルマゲスト]]』の宇宙モデルに独創的な創見を付け加えたものであるが、[[天動説]]の一種ではある<ref name="非西洋科学史事典" />。イブン・シャーティルの理論が16世紀の[[ニコラウス・コペルニクス|コペルニクス]]に影響を与えたか否か、影響を与えたとしたらどのような点においてかといった議論が、[[科学史]]研究上のトピックの一つになっている<ref name="Roberts1966" />。 |
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==生涯== |
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'''イブン・アル＝シャーティル'''（[[アラビア語]] علاء الدين علي بن ابراهيم ابن الشاطر الموقّت ‘Alā' al-Dīn ‘Alī b. Ibrāhīm '''Ibn al-Shāṭir''' al-Muwaqqat、[[1304年]] – [[1375年]]）は14世紀、[[マムルーク朝]]下の[[歴史的シリア|シリア]]を中心に活躍した[[天文学者]]である。[[ダマスクス]]の[[ウマイヤド・モスク]]の宗教的な計時係（موقت muwaqqit)を務め、[[モスク]]の尖塔を使った巨大な[[日時計]]を製作した<ref name="WDL">{{cite web |url = http://www.wdl.org/en/item/11360/ |title = Epistles, Gospels, and Popular Readings in the Tuscan Language |website = [[World Digital Library]] |date = 1495-06-27 |accessdate = 2013-09-04 }}</ref>。 |
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イブン・シャーティルの生涯についての研究は、King (2008) や Charette (2003) によると、Wiedeman (1928) が最も詳しく<ref name="King2008" /><ref name="Charetet2003" />、世に出ている概説本はみな Wiedeman (1928) を根拠にしている<ref name="Charetet2003" />。 |
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イブン・シャーティルは、1305年前後に[[ダマスクス]]で生まれ、1375年前後に同地で没した<ref name="非西洋科学史事典" />。ヒジュラ暦704年第1ラビー月13日（西暦1304年10月13日）に生まれたとするのが多数説であるが、{{ill2|サラーフッディーン・サファディー|en|Al-Ṣafadī|label=サファディー}}という同時代の年代記作家がイブン・シャーティル本人から生年月日をヒジュラ暦705年シャアバーン月15日（1306年3月1日）と聞いたと書いている<ref name="Charetet2003" />。 |
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[[天文学]]上の最も重要な著作は『新天文表』（Zīj al-Jadīd） と『根本を確かにすることの最高の願いの書』（Kitāb Nihāyat al-Su'ūl fī Tashīl al-Uṣūl）である。特に後者の『最高の願いの書』の中で[[太陽]]や[[惑星]]の運動を説明をした。このモデルは[[天動説]]であるけれども、[[天動説#プトレマイオスの体系|クラウディオス・プトレマイオスのモデル]]における離心円や[[エカント]]点を排除し、複数の[[従円と周転円|周転円]]を用いて惑星運動の[[円軌道]]からのずれを説明しており、これは『[[天球の回転について]]』で[[ニコラウス・コペルニクス]]が用いた数学的な方法と同一であった<ref name="WDL"/>。現在まだ定説となってはいないが、シャーティルの[[ナスィールッディーン・トゥースィー#業績|トゥースィーの対円]]について書かれた[[ギリシャ語]]の写本が15世紀の[[イタリア]]にもたらされたとされている。 |
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イブン・シャーティル（イブヌッシャーティル）のナサブでもっぱら知られるが<ref name="非西洋科学史事典" /><ref name="Roberts1966" />、本名はアリー、父の名はイブラーヒーム、祖父の名はムハンマド、曾祖父の名はヒマーム・アビー・ムハンマド、高祖父の名はイブラーヒーム・アンサーリーといい、アラーウッディーンの尊号、ムワッキトの職名があった<ref name="非西洋科学史事典" /><ref name="Charetet2003" />。それらを繋げた名前は、例えば、イブヌッシャーティル，アラーウッディーン・アリー・ブン・イブラーヒーム，アル・ムワッキト（{{rtl翻字併記|ar|علاء الدين علي بن ابراهيم ابن الشاطر الموقّت|‘Alā' al-Dīn ‘Alī b. Ibrāhīm, Ibn al-Shāṭir, al-Muwaqqit}}）である<ref name="非西洋科学史事典" />。また、クンヤとしてアブル・ハサンも知られている<ref name="Roberts1966" /><ref name="Charetet2003" />。 |
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== 脚註 == |
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イブン・シャーティルは6歳のときに父が亡くなり、祖父に育てられたと伝わる<ref name="King2008" />。祖父は孫に[[象牙]]細工を教えた<ref name="King2008" />。イブン・シャーティルには象牙細工師を意味するムタッイムという尊号もある<ref name="Charetet2003" />。イブン・シャーティルは10歳の頃にエジプトの[[アレクサンドリア]]や[[カイロ]]へ行き、天文学を学んだ<ref name="King2008" />。{{ill2|ハインリヒ・ズーター|en|Heinrich Suter|label=ズーター}} (1900) は、イブン・シャーティルのエジプト遊学の動機を、{{ill2|アブー・アリー・ハサン・ムッラークシー|en|Abu Ali al-Hasan al-Marrakushi}}が1280年ごろにカイロですぐれた{{ill2|天文表 (イスラーム科学)|en|zij|label=天文表}}と観測器具を制作していたことにあったのではないかと推測する<ref name="King2008" />。 |
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== 関連項目 == |
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* [[ナスィールッディーン・トゥースィー]] |
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その後、イブン・シャーティルは、ムワッキト（{{transl|ar|ALA|al-muwaqqit}}）の職名が示すように、[[ダマスクス]]の大モスク（[[ウマイヤ・モスク]]）のムワッキトを務めるようになった<ref name="King2008" />。同僚に{{ill2|シャムスッディーン・アブー・アブドゥッラー・ハリーリー|en|Shams al-Dīn Abū Abd Allāh al-Khalīlī}}がいる<ref name="非西洋科学史事典" />。 |
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==著作== |
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[[File:Ibn-al-shatir2.gif|thumb|イブン・シャーティルの月の運行モデル]] |
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イブン・シャーティルは、大きく分けて、計時の学（{{transl|ar|ʿilm al-mīqāt}}）、計時のための観測器械、天文理論の3分野にわたり、多数のキターブ（本）とリサーラ（論文）を著し、また、{{ill2|天文表 (イスラーム科学)|en|zij|label=ズィージ（天文表）}}を作成した<ref name="King2008" />。このうち、計時の学に関する著作は、同僚の{{ill2|シャムスッディーン・アブー・アブドゥッラー・ハリーリー|en|Shams al-Dīn Abū Abd Allāh al-Khalīlī|label=ハリーリー}}の同分野の著作に比べると、重要性が低い<ref name="非西洋科学史事典" />。 |
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他方で、計時のための観測器械に関する著作については、15世紀から18世紀にかけての約300年間、イスラーム圏における天体観測に関する学術の中心地であったシリア、エジプト、トルコで広く読み継がれた<ref name="King2008" />。イブン・シャーティルの観測器具、特に[[アストロラーブ]]は、[[球面天文学]]における標準的な問題をすべて解決しており、中世イスラーム圏の精密科学発展の到達点を示すものであるという評（『[[ブリタニカ百科事典]]』）もある<ref name="mactutor" />。 |
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計時のための観測器具の著作の受容とは対照的に、天文理論に関する論文は、イブン・シャーティルの没後、シリアでもエジプトでもほとんど受容されなかったようである<ref name="King2008" />。ところが、16世紀のコペルニクスの天文理論や天文常数の一部がイブン・シャーティルのものと同じであることが、20世紀に入ってから判明し、注目されるようになった<ref name="King2008" />。イブン・シャーティルの天文理論に関する研究は1950年代に端緒についた<ref name="King2008" />。 |
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イブン・シャーティルは、最初、[[クラウディオス・プトレマイオス|プトレマイオス]]が『[[アルマゲスト]]』等で示した宇宙モデルに忠実にしたがった天文表を作成しようとしたようである<ref name="非西洋科学史事典" />。しかしこれは写本が伝世していない<ref name="非西洋科学史事典" />。その後イブン・シャーティルは、プトレマイオスが提供した[[天文常数]]とは異なるパラメータを用いて『天文観測についての注釈の書』（''{{transl|ar|ALA|Taʿlīq al‐arṣād}}''）を書いたが、これも現代に伝わる写本が存在しない<ref name="非西洋科学史事典" />。 |
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その後に書かれた『原理の修正における究極の探求の書』（''{{transl|ar|ALA|Nihāyat al‐suʾl fī taṣḥīḥ al‐uṣūl}}'', 根本を確かにすることの最高の願いの書<ref name="Yajima1977" />）は前著の解説であり、前著で開示したパラメータに理論的背景を与える内容である<ref name="非西洋科学史事典" />。これは写本が現代に伝わった<ref name="非西洋科学史事典" />。さらに、その後に書かれた『新天文表』（''{{transl|ar|ALA|al‐Zīj al‐jadīd }}'', シャーティル天文表<ref name="Yajima1977" />）はイブン・シャーティル最後の著作であり、これも写本が現代に伝世した<ref name="非西洋科学史事典" />。『新天文表』に記載の数値は、イブン・シャーティルの新理論と新しい天文常数に適合する数値である<ref name="非西洋科学史事典" />。なお、現存する著書には、日没から夜明けまでの時間の長さや[[サラート|マグリブの礼拝]]の時刻が書かれているが、これらの数値や時刻はすべて、[[北緯34度線|北緯34度の地点]]（ダマスクスより20キロメートルほど北）における数値や時刻である<ref name="非西洋科学史事典" />。 |
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==計時器具== |
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[[File:Ommayad Mosque - panoramio.jpg|thumb|イブン・シャーティルの日時計が設置されている[[ウマイヤ・モスク]]の「花嫁のミナレット」（写真右上の塔）]] |
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{{see also|時計の歴史}} |
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「花嫁のミナレット」という通称がある[[ウマイヤ・モスク|ダマスクスの大モスク]]の北壁に付設された[[ミナレット]]には、イブン・シャーティルが制作した[[日時計]]が設置されている<ref name="非西洋科学史事典" />。21世紀現在、そこに置かれている物は19世紀末に設置された精密なレプリカであるが、オリジナルは{{ill2|ダマスクス国立博物館|en|National Museum of Damascus}}の中庭にある<ref name="非西洋科学史事典" />。イブン・シャーティルがウマイヤ・モスクのミナレットにこれを設置したのは、1371年のことだと伝わっている<ref>{{cite book|url={{Google books|c-3kCgAAQBAJ|Neues von vorgestern: Die ganze Geschichte der alltäglichen Dinge |plainurl=1 |page=PT20}}|title=Neues von vorgestern: Die ganze Geschichte der alltäglichen Dinge |first=Greg |last=Jenner |publisher=BASTEI LÜBBE |date=2016 |ISBN=9783732523238}} p.20</ref>。 |
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イブン・シャーティルの日時計は、幅2メートル、奥行1メートルの方形の[[大理石]]であり、複数の曲線が大理石表面に彫られている<ref name="非西洋科学史事典" />。中央に設置された[[グノーモン]]は、ダマスクスにおいて{{ill2|天の極|en|Celestial poles}}の方向と平行になるような角度がつけられており、その影が指す位置をムワッキトが上記曲線を頼りに読むことによって、[[定時法]]で時刻を知ることが可能になっている<ref name="非西洋科学史事典" />。かつて、グノーモンが{{ill2|天の極|en|Celestial poles}}を指す日時計はヨーロッパ人の発明であると信じられていた時代があったが、イブン・シャーティルの日時計は、そのようなヨーロッパ優越史観をくつがえす客観的証拠の一つになっている<ref name="非西洋科学史事典" />。 |
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また、[[アレッポ]]には「宝石箱」（{{transl|ar|ALA|ṣandūq al‐yawāqīt}}）という通称を持つ、イブン・シャーティルによって制作されたもう一つの日時計が保管されている<ref name="非西洋科学史事典" />。この日時計は、12センチメートル角の大きさで、[[歴史的シリア|シリア地方]]における、おおよその[[サラート|ズフルとアスルの礼拝]]（午前と正午過ぎの礼拝）の時間を示す<ref name="非西洋科学史事典" />。さらに、[[方位磁針]]を有し、[[歴史的シリア|シリア地方]]における大まかな[[キブラ]]もわかるようになっている<ref name="非西洋科学史事典" />。 |
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中東地域の天文学史の専門家、{{ill2|デイヴィッド・A・キング (科学史学者)|en|David A. King (historian)|label=デイヴィッド・A・キング}}によると、{{ill2|サラーフッディーン・サファディー|en|Al-Ṣafadī|label=サファディー}}という同時代の年代記作家が、イブン・シャーティルの制作した「[[アストロラーブ]]」について記述している<ref name="King2008" /><ref name="King1983" />。キングによるとサファディーの記述は曖昧かつ難解であるが、おおむね次のようなことが書かれている<ref name="King2008" />。「サファディーがイブン・シャーティルの家を訪ねたところ、ムワッキトは自分が制作した『アストロラーブ』を見せてくれた。それはアーチ状の長さ35センチメートル程度のもので、壁に設置されており、可動部が1日で一周する。さらに、[[定時法]]と[[不定時法]]の両方で時を報せる。おそらく機構部は壁の裏にあると思われる」<ref name="King2008" />。アストロラーブというよりは時計と思われるこの機械は現存せず、この機械に関するサファディーの難解な記述以上の情報は存在しない<ref name="King2008" />。 |
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==天文理論== |
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[[File:EquantShatir.svg|thumb|青い破線がイブン・シャーティルの惑星の運行モデル。黒い実線は[[クラウディオス・プトレマイオス|プトレマイオス]]のモデル。]] |
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イブン・シャーティルが『原理の修正における究極の探求の書』で示した諸天体の[[年周運動]]の説明モデルは、[[クニドスのエウドクソス]]の周転円モデルをさらに高次にしたものである<ref name="Yajima1977" />。不動の原点を中心にして等速円運動する点Pを中心にして等速円運動する点Qを措定する<ref name="Yajima1977" />。地球は不動の原点にある<ref name="Yajima1977" />。ここで点Q上に惑星があると考えるとエウドクソスのモデルであるが、イブン・シャーティルは点Qを中心に等速円運動する点Rを考えた<ref name="Yajima1977" />。つまり周転円の周りをさらに回る小周転円を措定し、さらに必要であれば、小周転円上の点を中心とする第3次、第4次の小周転円を措定する<ref name="Yajima1977" />。 |
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イブン・シャーティルは、外惑星の運行は周転円4つまでで説明できるとした<ref name="Yajima1977" />。内惑星になるとさらに必要になり、水星の運行の説明には[[従円と周転円]]をあわせて6つを要している<ref name="Yajima1977" />。 |
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上記イブン・シャーティルの天文理論には、離心円説と擬心（[[エカント]]）説、どちらも採用されていない<ref name="Yajima1977" />。イブン・シャーティルの天文理論は非プトレマイオス型の（non-Ptolemaic）ジオセントリック・モデルである<ref name="非西洋科学史事典" />。プトレマイオスの天文理論は、特に[[月]]の運行に関して観測結果との不整合が大きいことが、約1000年の間、多くの学者を悩ませてきたが、2次周転円を用いるイブン・シャーティルの説明モデル（上掲の写本の写真参照）には、見かけ上、この弱点がなかった<ref name="King2008" />。 |
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''Kitāb Nihāyat al-Su'ūl fī Tashīl al-Uṣūl'' の西洋近代語への翻訳は、1950年代に Kennedy, Roberts et al. により初めてなされた<ref name="非西洋科学史事典" />。これにより、[[コペルニクス]]の ''Commentariolus'' における惑星の運行モデルがイブン・シャーティルのものと類似しており（コペルニクスはヘリオセントリック・モデル）、天文常数が一致していることがわかった<ref name="非西洋科学史事典" />。精密科学知（天文常数のような数値）の異同は知識の伝播を実証する<ref>{{cite book |和書|title=古代の精密科学|last=ノイゲバウアー|first=オットー|authorlink=オットー・ノイゲバウアー|translator=[[矢野道雄]], [[斎藤潔]]|publisher=[[恒星社厚生閣]]|series=科学史選書|date=1984-01|isbn=978-4769906803}} 序文</ref>。14世紀シリアの天文学知の16世紀ヨーロッパへの西漸については、1950年代から1980年代にかけて、Otto Neugebauer, Edward Kennedy, Willy Hartner, Noel Swerdlow, George Saliba といった科学史の専門家が活発に議論したが<ref>{{cite web|first=George |last=Saliba |url=http://www.columbia.edu/~gas1/project/visions/case1/sci.2.html |title=Whose Science is Arabic Science in Renaissance Europe? |date=1999 |accessdate=2018-10-02}}</ref>、イブン・シャーティルの著作のみでは結論が出せないという結論を見るに至った<ref name="非西洋科学史事典" />。ただし、コペルニクスが水星の軌道を説明するのに、6個の円（5個の周転円と1個の従円）を描くイブン・シャーティルの説明モデルと同一のモデルをよく理解できていないまま、''Commentariolus'' に書き写していることは確かである<ref name="非西洋科学史事典" />。 |
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==出典== |
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<ref name="mactutor">{{MacTutor|id=Arabic_mathematics|title=Arabic mathematics : forgotten brilliance?|accessdate=2018-10-02}}</ref> |
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<ref name="Charetet2003">{{Citation|title=Mathematical instrumentation in fourteenth-century Egypt and Syria: the illustrated treatise of Najm al-Dīn al-Mīṣrī |first1=François |last1=Charette |publisher=BRILL |year=2003 |isbn= 978-90-04-13015-9 |url={{Google books|dgQNMNJe6B4C|Mathematical instrumentation in fourteenth-century Egypt and Syria: the illustrated treatise of Najm al-Dīn al-Mīṣrī |plainurl=1}}}} p.16</ref> |
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<ref name="非西洋科学史事典">{{Cite encyclopedia|url={{Google books|raKRY3KQspsC|Encyclopaedia of the History of Science, Technology, and Medicine in Non-Western Cultures|plainurl=1|page=PA412}}|title=Ibn al-Shāṭir |first=David K. |last=King |encyclopedia=Encyclopaedia of the History of Science, Technology, and Medicine in Non-Western Cultures |editor1-first=Helaine|editor1-last=Selin |publisher=Springer |year=1997|isbn= 978-0-7923-4066-9}}</ref> |
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<ref name="Roberts1966">{{cite journal|first=Victor |last=Roberts |title=The Planetary Theory of Ibn al-Shāṭir |journal=Isis |volume=57 |issue=2 |date=1966 |pages=208-219 |jstor=227960}}</ref> |
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<ref name="King1983">{{Cite journal|first=David A. |last=King |year=1983 |title=The Astronomy of the Mamluks |journal=Isis |volume=74 |issue=4 |pages=531–555 [545–546] |doi=10.1086/353360 |ref=harv}}</ref> |
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<ref name="King2008">{{cite encyclopedia|title=Ibn Al-Shatir, ‘Ala’ Al-Din Abu’l-Hasan ‘Ali Ibn Ibrahim |encyclopedia=Complete Dictionary of Scientific Biography. . Encyclopedia.com. |accessdate=September 20, 2018 |url=http://www.encyclopedia.com/science/dictionaries-thesauruses-pictures-and-press-releases/ibn-al-shatir-ala-al-din-abul-hasan-ali-ibn-ibrahim |first=David A. |last=King |year=2008 }}</ref> |
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<ref name="Yajima1977">{{cite book|和書|first=祐利|last=矢島|authorlink=矢島祐利|title=アラビア科学史序説|publisher=[[岩波書店]]|date=1977-03-25}} pp.214-215</ref> |
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==発展資料== |
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{{further reading}} |
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* Wiedemann, E.“Ibn al-Shâṭir, ein arabischer Astronom aus dem 14. Jahrhundert,” in ''Sitzungsberichte der physikalisch medizinischen Sozietät in Erlangen'' 60 (1928), 317–326, repr in his ''Aufätze arabischen Wissenschaftsgeschichte II'' (Hildesheim, 1970), 729–738. (ドイツ語) |
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{{Normdaten}} |
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[[Category:イスラム科学]] |
[[Category:イスラム科学]] |
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[[Category: |
[[Category:天文学者]] |
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[[Category:シリア史の人物]] |
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[[Category:14世紀の学者]] |
[[Category:14世紀の学者]] |
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[[Category:1300年代生]] |
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[[Category:1370年代没]] |
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[[Category:天文学に関する記事]] |
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2018年10月2日 (火) 12:06時点における版
イブン・シャーティル（Ibn al-Shāṭir; 1305年頃 - 1375年頃）は、14世紀のムスリムの天文学者である[1]。長年ダマスクスの大モスク（ウマイヤ・モスク）のムワッキト（時守。アザーンやムアッズィンの項参照。）を務め、計時に関する著作、宇宙構造論に関する著作がある[1]。イブン・シャーティルの宇宙構造論は『アルマゲスト』の宇宙モデルに独創的な創見を付け加えたものであるが、天動説の一種ではある[1]。イブン・シャーティルの理論が16世紀のコペルニクスに影響を与えたか否か、影響を与えたとしたらどのような点においてかといった議論が、科学史研究上のトピックの一つになっている[2]。
生涯
イブン・シャーティルの生涯についての研究は、King (2008) や Charette (2003) によると、Wiedeman (1928) が最も詳しく[3][4]、世に出ている概説本はみな Wiedeman (1928) を根拠にしている[4]。
イブン・シャーティルは、1305年前後にダマスクスで生まれ、1375年前後に同地で没した[1]。ヒジュラ暦704年第1ラビー月13日（西暦1304年10月13日）に生まれたとするのが多数説であるが、サファディーという同時代の年代記作家がイブン・シャーティル本人から生年月日をヒジュラ暦705年シャアバーン月15日（1306年3月1日）と聞いたと書いている[4]。
イブン・シャーティル（イブヌッシャーティル）のナサブでもっぱら知られるが[1][2]、本名はアリー、父の名はイブラーヒーム、祖父の名はムハンマド、曾祖父の名はヒマーム・アビー・ムハンマド、高祖父の名はイブラーヒーム・アンサーリーといい、アラーウッディーンの尊号、ムワッキトの職名があった[1][4]。それらを繋げた名前は、例えば、イブヌッシャーティル，アラーウッディーン・アリー・ブン・イブラーヒーム，アル・ムワッキト（アラビア語: علاء الدين علي بن ابراهيم ابن الشاطر الموقّت, ラテン文字転写: ‘Alā' al-Dīn ‘Alī b. Ibrāhīm, Ibn al-Shāṭir, al-Muwaqqit）である[1]。また、クンヤとしてアブル・ハサンも知られている[2][4]。
イブン・シャーティルは6歳のときに父が亡くなり、祖父に育てられたと伝わる[3]。祖父は孫に象牙細工を教えた[3]。イブン・シャーティルには象牙細工師を意味するムタッイムという尊号もある[4]。イブン・シャーティルは10歳の頃にエジプトのアレクサンドリアやカイロへ行き、天文学を学んだ[3]。ズーター (1900) は、イブン・シャーティルのエジプト遊学の動機を、アブー・アリー・ハサン・ムッラークシーが1280年ごろにカイロですぐれた天文表と観測器具を制作していたことにあったのではないかと推測する[3]。
その後、イブン・シャーティルは、ムワッキト（al-muwaqqit）の職名が示すように、ダマスクスの大モスク（ウマイヤ・モスク）のムワッキトを務めるようになった[3]。同僚にシャムスッディーン・アブー・アブドゥッラー・ハリーリーがいる[1]。
著作
イブン・シャーティルは、大きく分けて、計時の学（ʿilm al-mīqāt）、計時のための観測器械、天文理論の3分野にわたり、多数のキターブ（本）とリサーラ（論文）を著し、また、ズィージ（天文表）を作成した[3]。このうち、計時の学に関する著作は、同僚のハリーリーの同分野の著作に比べると、重要性が低い[1]。
他方で、計時のための観測器械に関する著作については、15世紀から18世紀にかけての約300年間、イスラーム圏における天体観測に関する学術の中心地であったシリア、エジプト、トルコで広く読み継がれた[3]。イブン・シャーティルの観測器具、特にアストロラーブは、球面天文学における標準的な問題をすべて解決しており、中世イスラーム圏の精密科学発展の到達点を示すものであるという評（『ブリタニカ百科事典』）もある[5]。
計時のための観測器具の著作の受容とは対照的に、天文理論に関する論文は、イブン・シャーティルの没後、シリアでもエジプトでもほとんど受容されなかったようである[3]。ところが、16世紀のコペルニクスの天文理論や天文常数の一部がイブン・シャーティルのものと同じであることが、20世紀に入ってから判明し、注目されるようになった[3]。イブン・シャーティルの天文理論に関する研究は1950年代に端緒についた[3]。
イブン・シャーティルは、最初、プトレマイオスが『アルマゲスト』等で示した宇宙モデルに忠実にしたがった天文表を作成しようとしたようである[1]。しかしこれは写本が伝世していない[1]。その後イブン・シャーティルは、プトレマイオスが提供した天文常数とは異なるパラメータを用いて『天文観測についての注釈の書』（Taʿlīq al‐arṣād）を書いたが、これも現代に伝わる写本が存在しない[1]。
その後に書かれた『原理の修正における究極の探求の書』（Nihāyat al‐suʾl fī taṣḥīḥ al‐uṣūl, 根本を確かにすることの最高の願いの書[6]）は前著の解説であり、前著で開示したパラメータに理論的背景を与える内容である[1]。これは写本が現代に伝わった[1]。さらに、その後に書かれた『新天文表』（al‐Zīj al‐jadīd , シャーティル天文表[6]）はイブン・シャーティル最後の著作であり、これも写本が現代に伝世した[1]。『新天文表』に記載の数値は、イブン・シャーティルの新理論と新しい天文常数に適合する数値である[1]。なお、現存する著書には、日没から夜明けまでの時間の長さやマグリブの礼拝の時刻が書かれているが、これらの数値や時刻はすべて、北緯34度の地点（ダマスクスより20キロメートルほど北）における数値や時刻である[1]。
計時器具
「花嫁のミナレット」という通称があるダマスクスの大モスクの北壁に付設されたミナレットには、イブン・シャーティルが制作した日時計が設置されている[1]。21世紀現在、そこに置かれている物は19世紀末に設置された精密なレプリカであるが、オリジナルはダマスクス国立博物館の中庭にある[1]。イブン・シャーティルがウマイヤ・モスクのミナレットにこれを設置したのは、1371年のことだと伝わっている[7]。
イブン・シャーティルの日時計は、幅2メートル、奥行1メートルの方形の大理石であり、複数の曲線が大理石表面に彫られている[1]。中央に設置されたグノーモンは、ダマスクスにおいて天の極の方向と平行になるような角度がつけられており、その影が指す位置をムワッキトが上記曲線を頼りに読むことによって、定時法で時刻を知ることが可能になっている[1]。かつて、グノーモンが天の極を指す日時計はヨーロッパ人の発明であると信じられていた時代があったが、イブン・シャーティルの日時計は、そのようなヨーロッパ優越史観をくつがえす客観的証拠の一つになっている[1]。
また、アレッポには「宝石箱」（ṣandūq al‐yawāqīt）という通称を持つ、イブン・シャーティルによって制作されたもう一つの日時計が保管されている[1]。この日時計は、12センチメートル角の大きさで、シリア地方における、おおよそのズフルとアスルの礼拝（午前と正午過ぎの礼拝）の時間を示す[1]。さらに、方位磁針を有し、シリア地方における大まかなキブラもわかるようになっている[1]。
中東地域の天文学史の専門家、デイヴィッド・A・キングによると、サファディーという同時代の年代記作家が、イブン・シャーティルの制作した「アストロラーブ」について記述している[3][8]。キングによるとサファディーの記述は曖昧かつ難解であるが、おおむね次のようなことが書かれている[3]。「サファディーがイブン・シャーティルの家を訪ねたところ、ムワッキトは自分が制作した『アストロラーブ』を見せてくれた。それはアーチ状の長さ35センチメートル程度のもので、壁に設置されており、可動部が1日で一周する。さらに、定時法と不定時法の両方で時を報せる。おそらく機構部は壁の裏にあると思われる」[3]。アストロラーブというよりは時計と思われるこの機械は現存せず、この機械に関するサファディーの難解な記述以上の情報は存在しない[3]。
天文理論
イブン・シャーティルが『原理の修正における究極の探求の書』で示した諸天体の年周運動の説明モデルは、クニドスのエウドクソスの周転円モデルをさらに高次にしたものである[6]。不動の原点を中心にして等速円運動する点Pを中心にして等速円運動する点Qを措定する[6]。地球は不動の原点にある[6]。ここで点Q上に惑星があると考えるとエウドクソスのモデルであるが、イブン・シャーティルは点Qを中心に等速円運動する点Rを考えた[6]。つまり周転円の周りをさらに回る小周転円を措定し、さらに必要であれば、小周転円上の点を中心とする第3次、第4次の小周転円を措定する[6]。
イブン・シャーティルは、外惑星の運行は周転円4つまでで説明できるとした[6]。内惑星になるとさらに必要になり、水星の運行の説明には従円と周転円をあわせて6つを要している[6]。
上記イブン・シャーティルの天文理論には、離心円説と擬心（エカント）説、どちらも採用されていない[6]。イブン・シャーティルの天文理論は非プトレマイオス型の（non-Ptolemaic）ジオセントリック・モデルである[1]。プトレマイオスの天文理論は、特に月の運行に関して観測結果との不整合が大きいことが、約1000年の間、多くの学者を悩ませてきたが、2次周転円を用いるイブン・シャーティルの説明モデル（上掲の写本の写真参照）には、見かけ上、この弱点がなかった[3]。
Kitāb Nihāyat al-Su'ūl fī Tashīl al-Uṣūl の西洋近代語への翻訳は、1950年代に Kennedy, Roberts et al. により初めてなされた[1]。これにより、コペルニクスの Commentariolus における惑星の運行モデルがイブン・シャーティルのものと類似しており（コペルニクスはヘリオセントリック・モデル）、天文常数が一致していることがわかった[1]。精密科学知（天文常数のような数値）の異同は知識の伝播を実証する[9]。14世紀シリアの天文学知の16世紀ヨーロッパへの西漸については、1950年代から1980年代にかけて、Otto Neugebauer, Edward Kennedy, Willy Hartner, Noel Swerdlow, George Saliba といった科学史の専門家が活発に議論したが[10]、イブン・シャーティルの著作のみでは結論が出せないという結論を見るに至った[1]。ただし、コペルニクスが水星の軌道を説明するのに、6個の円（5個の周転円と1個の従円）を描くイブン・シャーティルの説明モデルと同一のモデルをよく理解できていないまま、Commentariolus に書き写していることは確かである[1]。
出典
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad King, David K. (1997). "Ibn al-Shāṭir". In Selin, Helaine (ed.). Encyclopaedia of the History of Science, Technology, and Medicine in Non-Western Cultures. Springer. ISBN 978-0-7923-4066-9。
- ^ a b c Roberts, Victor (1966). “The Planetary Theory of Ibn al-Shāṭir”. Isis 57 (2): 208-219. JSTOR 227960.
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p King, David A. (2008). "Ibn Al-Shatir, 'Ala' Al-Din Abu'l-Hasan 'Ali Ibn Ibrahim". Complete Dictionary of Scientific Biography. . Encyclopedia.com. 2018年9月20日閲覧。
- ^ a b c d e f Charette, François (2003), Mathematical instrumentation in fourteenth-century Egypt and Syria: the illustrated treatise of Najm al-Dīn al-Mīṣrī, BRILL, ISBN 978-90-04-13015-9 p.16
- ^ O'Connor, John J.; Robertson, Edmund F., “Arabic mathematics : forgotten brilliance?”, MacTutor History of Mathematics archive, University of St Andrews 2018年10月2日閲覧。.
- ^ a b c d e f g h i j 矢島, 祐利『アラビア科学史序説』岩波書店、1977年3月25日。 pp.214-215
- ^ Jenner, Greg (2016). Neues von vorgestern: Die ganze Geschichte der alltäglichen Dinge. BASTEI LÜBBE. ISBN 9783732523238 p.20
- ^ King, David A. (1983). “The Astronomy of the Mamluks”. Isis 74 (4): 531–555 [545–546]. doi:10.1086/353360.
- ^ ノイゲバウアー, オットー 著、矢野道雄, 斎藤潔 訳『古代の精密科学』恒星社厚生閣〈科学史選書〉、1984年1月。ISBN 978-4769906803。 序文
- ^ Saliba, George (1999年). “Whose Science is Arabic Science in Renaissance Europe?”. 2018年10月2日閲覧。
発展資料
- Wiedemann, E.“Ibn al-Shâṭir, ein arabischer Astronom aus dem 14. Jahrhundert,” in Sitzungsberichte der physikalisch medizinischen Sozietät in Erlangen 60 (1928), 317–326, repr in his Aufätze arabischen Wissenschaftsgeschichte II (Hildesheim, 1970), 729–738. (ドイツ語)
