「日本を、取り戻す。」の版間の差分
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安倍晋三は2013年の著書でこの言葉について「これは単に[[民主党 (日本 1998-2016)|民主党]]政権から日本を取り戻すという意味ではありません。敢えて言うなら、これは[[戦後]]の歴史から、日本という国を日本国民の手に取り戻す戦いであります」と説明した<ref>安倍『新しい国へ 美しい国へ 完全版』2013年1月20日第1刷発行、254ページ</ref><ref>[[百地章]] [http://seiron-sankei.com/2284 憲法を国民の手に─96条改正はその第一歩] 2013年07月15日 03:00 [[正論_(雑誌)|正論]]2013年8月号掲載</ref>。 |
安倍晋三は2013年の著書でこの言葉について「これは単に[[民主党 (日本 1998-2016)|民主党]]政権から日本を取り戻すという意味ではありません。敢えて言うなら、これは[[戦後]]の歴史から、日本という国を日本国民の手に取り戻す戦いであります」と説明した<ref>安倍『新しい国へ 美しい国へ 完全版』2013年1月20日第1刷発行、254ページ</ref><ref>[[百地章]] [http://seiron-sankei.com/2284 憲法を国民の手に─96条改正はその第一歩] 2013年07月15日 03:00 [[正論_(雑誌)|正論]]2013年8月号掲載</ref>。 |
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自民党の[[石破茂]]らは「日本を、取り戻す。」の対象として「いまからだいたい20年くらい前の日本をイメージして」いると石破が2013年3月に述べた<ref>[http://www.jpwa.or.jp/jpwa/pdf/201303_01.pdf 特別講演「日本を、取り戻す。」] [[日本医薬品卸業連合会]]会報誌『月刊卸薬業』Vol.37 NO.3 (2013)138ページ</ref>。「過去のどこかの時点の日本を取り戻すということではありません」と石破は2013年6月に述べた<ref>[http://shuchi.php.co.jp/article/1511 石破茂 日本を、取り戻す。] 2013年06月28日 公開</ref>。[[日本共産党]]の[[志位和夫]]はこのフレーズを使用する自民党を「「戦前を取り戻そう」という勢力」と表現した<ref>[http://www.jcp.or.jp/web_jcp/2014/07/post-57.html 日本共産党創立92周年記念講演会] 2014年7月15日</ref>。[[山崎雅弘]]によれば、安倍と[[日本会議]]は戦前日本の「失政」などを批判しない一方で戦後日本について否定的であり、両者が「「取り戻したい」と考えるところの「輝かしい日本」とは、昭和初期の日本、戦前・戦中の日本である」<ref>[[山崎雅弘]]『日本会議 戦前回帰への情念』集英社新書 pp.110-111 |
自民党の[[石破茂]]らは「日本を、取り戻す。」の対象として「いまからだいたい20年くらい前の日本をイメージして」いると石破が2013年3月に述べた<ref>[http://www.jpwa.or.jp/jpwa/pdf/201303_01.pdf 特別講演「日本を、取り戻す。」] [[日本医薬品卸業連合会]]会報誌『月刊卸薬業』Vol.37 NO.3 (2013)138ページ</ref>。「過去のどこかの時点の日本を取り戻すということではありません」と石破は2013年6月に述べた<ref>[http://shuchi.php.co.jp/article/1511 石破茂 日本を、取り戻す。] 2013年06月28日 公開</ref>。[[日本共産党]]の[[志位和夫]]はこのフレーズを使用する自民党を「「戦前を取り戻そう」という勢力」と表現した<ref>[http://www.jcp.or.jp/web_jcp/2014/07/post-57.html 日本共産党創立92周年記念講演会] 2014年7月15日</ref>。[[山崎雅弘]]によれば、安倍と[[日本会議]]は戦前日本の「失政」などを批判しない一方で戦後日本について否定的であり、両者が「「取り戻したい」と考えるところの「輝かしい日本」とは、昭和初期の日本、戦前・戦中の日本である」<ref>[[山崎雅弘]]『日本会議 戦前回帰への情念』集英社新書 pp.110-111 ISBN 978-4-08-720842-9 </ref>。 |
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== 受容 == |
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2016年11月29日 (火) 00:49時点における版
「日本を、取り戻す。」(にほんをとりもどす)は、2012年から安倍晋三と自由民主党が使ったキャッチコピーの一つである。2012年の第46回衆議院議員総選挙と2013年の第23回参議院議員通常選挙で自民党のキャッチコピーとして使われた[1][2]。同衆院選の自民党政権公約の題名でもあった[3]。両選挙に先立って自民党の安倍晋三が2012年自由民主党総裁選挙でこのフレーズを使った[4][5]。
分析
このスローガンの下で自民党が2012年に第46回衆議院議員総選挙を大勝したことについて、東京女子大学の李津娥はこのフレーズが「有権者それぞれが思い描く「日本の良かった時」」を想起させ[6]、「長期自民党政権で経済も好調だった「あの時代」に戻りたいという有権者の願望」に合致した結果ではないかとした[7]。一橋大学の稲葉哲郎は、40歳以上の自民党支持者に響くフレーズだったと分析した[6]。赤木智弘は、バブル崩壊に社会に出、バブル時代を経験し損った世代が「取り戻す」という表現に共鳴したと分析した[8]。関西学院大学の阿部潔は、2011年の東日本大震災によって「多数の日本人が物理的のみならず心理的に傷を負っていた」("many Japanese people were damaged, not only physically but also psychologically")ために「取り戻す」という表現が魅力的に聞こえたのではないかと分析した[9]。
意図・解釈
安倍晋三は2013年の著書でこの言葉について「これは単に民主党政権から日本を取り戻すという意味ではありません。敢えて言うなら、これは戦後の歴史から、日本という国を日本国民の手に取り戻す戦いであります」と説明した[10][11]。
自民党の石破茂らは「日本を、取り戻す。」の対象として「いまからだいたい20年くらい前の日本をイメージして」いると石破が2013年3月に述べた[12]。「過去のどこかの時点の日本を取り戻すということではありません」と石破は2013年6月に述べた[13]。日本共産党の志位和夫はこのフレーズを使用する自民党を「「戦前を取り戻そう」という勢力」と表現した[14]。山崎雅弘によれば、安倍と日本会議は戦前日本の「失政」などを批判しない一方で戦後日本について否定的であり、両者が「「取り戻したい」と考えるところの「輝かしい日本」とは、昭和初期の日本、戦前・戦中の日本である」[15]。
受容
テレビCMで安倍晋三が「取り戻す」と話すときの発音が「トリモロス」に聞こえるとしてネット掲示板で話題になった[16]。選挙プランナーの野沢高一は安倍の滑舌の悪さはかえって「親しみやすさ」や「一生懸命さを印象付け」、CMの視聴者に好印象を与えたのではないかと推測した[6]。
脚注
- ^ 「「実感を、その手に。」いつ? 自民、参院選へポスター発表」朝日新聞朝刊2013年6月12日4ページ
- ^ 「参院選 与野党キャッチフレーズ戦 ねじれ解消VS反アベノミクス」読売新聞東京夕刊2013年7月6日1ページ
- ^ 集団的自衛権、行使可能に…自民党の政権公約 (2012年11月21日08時19分 読売新聞)
- ^ 「自民新ポスター、「二枚看板」強調 安倍・石破氏の写真あしらう」朝日新聞朝刊2012年10月26日4ページ
- ^ 新ポスターを発表 「日本を、取り戻す。」 自民党平成24年10月25日
- ^ a b c 「圧勝自民 イメージ戦略 計算ずくの選挙広告」東京新聞(小倉貞俊、林啓太)2012年12月19日[1]
- ^ 李津娥 多様化するメディア環境と政治広告(<特集>現代のメディアとネットワークにおける政治参加) マス・コミュニケーション研究 (85), 25-41, 2014-07-31
- ^ 「自民党 安倍晋三総裁 何を<取り戻す>のか」毎日新聞2012年12月13日東京夕刊2ページ
- ^ Abe, Kiyoshi, 阿部, 潔 A Critique of Japan’s Political-cultural Nostalgia and its Impasse 関西学院大学社会学部紀要 (124), 79-89, 2016-03
- ^ 安倍『新しい国へ 美しい国へ 完全版』2013年1月20日第1刷発行、254ページ
- ^ 百地章 憲法を国民の手に─96条改正はその第一歩 2013年07月15日 03:00 正論2013年8月号掲載
- ^ 特別講演「日本を、取り戻す。」 日本医薬品卸業連合会会報誌『月刊卸薬業』Vol.37 NO.3 (2013)138ページ
- ^ 石破茂 日本を、取り戻す。 2013年06月28日 公開
- ^ 日本共産党創立92周年記念講演会 2014年7月15日
- ^ 山崎雅弘『日本会議 戦前回帰への情念』集英社新書 pp.110-111 ISBN 978-4-08-720842-9
- ^ 「ネットでCM論争 「トリモロス」VS. うつろな目 総選挙」週刊朝日2012年12月28日号121ページ