「どうぶつしょうぎ」の版間の差分
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相手のライオンを取る「キャッチ」か、または、自分のライオンを相手陣の1段目に移動させる「トライ」(移動した次の手でライオンが取られる場合は除く)(将棋の[[入玉]]に相当)で勝利となる。千日手(手番が全く同じ状態が3回現れる)は引き分け。 |
相手のライオンを取る「キャッチ」か、または、自分のライオンを相手陣の1段目に移動させる「トライ」(移動した次の手でライオンが取られる場合は除く)(将棋の[[入玉]]に相当)で勝利となる。千日手(手番が全く同じ状態が3回現れる)は引き分け。 |
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将棋とは異なり、「二ひよこ」(将棋の[[二歩]]に相当)や「打ちひよこ詰め」(将棋の[[打ち歩詰め]]に相当)、敵陣1段目のひよこ打ち(将棋の[[行き所のない駒]]に相当)は反則ではない。連続ライオン手の千日手(将棋の[[ |
将棋とは異なり、「二ひよこ」(将棋の[[二歩]]に相当)や「打ちひよこ詰め」(将棋の[[打ち歩詰め]]に相当)、敵陣1段目のひよこ打ち(将棋の[[行き所のない駒]]に相当)は反則ではない。連続ライオン手の千日手(将棋の[[千日手#連続王手の千日手|連続王手の千日手]]に相当)も反則ではなく引き分けとなる。 |
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=== 駒の動き === |
=== 駒の動き === |
2016年11月29日 (火) 00:25時点における版
どうぶつしょうぎは、3×4の盤面を用い、駒の動きを簡略化した将棋類である[1]。主に将棋が普及していない世代への将棋普及のために、女流棋士の北尾まどかがルールを考案し[2]、同じく女流棋士の藤田麻衣子がデザインした。2008年、その2人が所属していた日本女子プロ将棋協会(LPSA)が発表して人気となった。
ルール
使用する駒は、「ライオン」「ぞう」「きりん」「ひよこ」の4種類である。将棋と同様に、プレーヤーは交互に盤上の自分の駒の一つを移動させるか、または、次に述べる自分の持ち駒を盤上の空いているマスに置く。
駒を進めたいマスに相手の駒がいる場合、その駒を取って持ち駒にすることができる。持ち駒は、自分の手番で自由に使える。但し「にわとり」を取った場合でも将棋で成駒を取った場合と同様打つときは成る前の状態(ひよこ)で打たなければならない。
相手のライオンを取る「キャッチ」か、または、自分のライオンを相手陣の1段目に移動させる「トライ」(移動した次の手でライオンが取られる場合は除く)(将棋の入玉に相当)で勝利となる。千日手(手番が全く同じ状態が3回現れる)は引き分け。
将棋とは異なり、「二ひよこ」(将棋の二歩に相当)や「打ちひよこ詰め」(将棋の打ち歩詰めに相当)、敵陣1段目のひよこ打ち(将棋の行き所のない駒に相当)は反則ではない。連続ライオン手の千日手(将棋の連続王手の千日手に相当)も反則ではなく引き分けとなる。
駒の動き
LPSAが作成頒布している駒にはそれぞれ駒に赤い丸印がついており、その方向に1マスずつ進むことができる。
元の駒 | 動き | 成駒 | 動き | ||||||||||||||||||||
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ライオン |
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隣接する8マスのいずれかに進むことができる。 将棋の玉将(王将)に相当する。 |
- | - | - | ||||||||||||||||||
ぞう |
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斜めの4マスのいずれかに進むことができる。 将棋の角行に似ているが一度に1コマしか移動できない。猫刄と同じ動きである。 |
- | - | - | ||||||||||||||||||
きりん |
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縦・横の4マスのいずれかに進むことができる。 将棋の飛車に似ているが一度に1コマしか移動できない。嗔猪と同じ動きである。 |
- | - | - | ||||||||||||||||||
ひよこ |
|
前の1マスにのみ進むことができる。 相手陣の1段目まで進むと裏返り(成り)、「にわとり」になる。 将棋の歩兵に相当する。 |
にわとり |
|
斜め後ろ以外の6マスのいずれかに進むことができる。 将棋のと金に相当し、金将と同じ動きである。 |
初期配置
下図の強調書体で表されている駒が先手の駒である。先手駒と後手駒は向かい合うかたちで配置される。
A | B | C | |
き | ラ | ぞ | 1 |
ひ | 2 | ||
ひ | 3 | ||
ぞ | ラ | き | 4 |
コンピューターによる解析
東京大学情報基盤センター准教授の田中哲朗は、コンピュータを用いた「起こりうる全局面(246,803,167局面)」の解析により(計算時間はパソコンで5時間半)、両者が最善を尽くした場合(二人零和有限確定完全情報ゲームも参照)、78手で後手の勝利となる、すなわち、後手にミスがない限り後手必勝となるという結果を2009年6月に発表した[3]。田中の報告によれば、実質的には1手パスとなる「敵陣1段目のひよこ打ち」が勝利のために有効な局面が68局面存在した。
歴史
2008年1月頃、LPSA所属女流棋士である藤田麻衣子が、初心者用将棋盤駒として動物をモチーフにした本将棋の盤駒をデザインする。歩=ひよこ、と金=にわとり、王=ライオン、角=ぞう、飛車=きりんはこのときにデザインされ、動く方向に印がつけられた。全く同時期に当時LPSA所属女流棋士だった北尾まどかが初心者用に3×4の盤面をはじめ、いくつかの簡易将棋を考案する。デザイン、ルールはその後に変わったものがある。
同年6月頃、LPSA主催の「小学生女流将棋名人戦」にて藤田デザインの動物駒を用いてリレー将棋を行う[4]。同年8月10日、ボードゲーム7種の会にて北尾考案のルールと、藤田デザインを合体させた3×4shogiとして発表する。将棋棋士の森内俊之も対局する[5]。またこのときは北尾考案、藤田デザインの5×5将棋を試験販売した。しかしこれはのちに北尾自身によって必勝法が解明されたため、お蔵入りとなった。 11月、おもちゃフォーラムにてどうぶつしょうぎを試験販売。販売に用意した分はすべて午前中に売り切れた[6]。同年12月、LPSAオンラインショップにて発売開始。
2009年6月15日、北尾がLPSA退会し、フリーの女流棋士となるが、どうぶつしょうぎは北尾・藤田・LPSAの三者が協力して事業を継続する[7]。同年9月、幻冬舎エデュケーションが一般発売[8]。日本ボードゲーム大賞では日本産ボードゲーム最高の5位に入り、ゆうもあ賞を受賞した[9]
2010年3月31日で、藤田もLPSAを退会し女流棋士を引退[10]。4月1日、小学館の『小学一年生』5月号に、紙製の将棋板と同じく紙製の組立式駒とはじめてブック(ルール解説書)が付録として付いた。9月1日からLPSAの販売離脱があり、北尾・藤田にて普及を続けている[11]。
2010年、株式会社ライブログより、iTunes App StoreおよびGoogle Playにて「どうぶつしょうぎ(通常版)」と「どうぶつしょうぎDX」が配信開始となったが、2011年4月でLPSAの製品版とは異なるデザインに変更となった。
2012年2月、株式会社ねこまど(代表取締役に北尾まどか)、株式会社ギンビスより「たべっ子どうぶつどうぶつしょうぎパッケージ」として数量限定で発売[12]。箱の裏面に将棋盤、側面に駒が印刷されており、切り取って遊べるデザインとなっている。
2012年春には、iTunes App Storeにて「どうぶつしょうぎ(公式)」が配信開始(350円)、LPSAの製品版と同様のデザインのアプリケーションが復活した。また、2013年にはオンライン対戦専用アプリの「どうぶつしょうぎウォーズ」も配信開始された。
2013年3月、株式会社ねこまど(代表取締役に北尾まどか)、丸川製菓より「どうぶつしょうぎフーセンガム」が発売。
大会
- 1dayトーナメントでは不定期に「どうぶつしょうぎカップ」が開催されており、第23回・第33回に開催された。2009年4月23日の第23回ではプロ棋士の中田功が優勝している[13]。
その他のどうぶつしょうぎ
上記の3×4マスのどうぶつしょうぎ以外にも、同じ意匠の駒を用いた将棋がある。
ごろごろどうぶつしょうぎ
- 上記のどうぶつしょうぎとの違い
初期配置
下図の強調書体で表されている駒が先手の駒である。先手駒と後手駒は向かい合うかたちで配置される。
A | B | C | D | E | |
ね | い | ラ | い | ね | 1 |
2 | |||||
ひ | ひ | ひ | 3 | ||
ひ | ひ | ひ | 4 | ||
5 | |||||
ね | い | ラ | い | ね | 6 |
おおきな森のどうぶつしょうぎ
ルールは本将棋と同じ。
- 上記のどうぶつしょうぎとの違い
- 盤面が9×9の81マスになる。
- いぬ(金将)・ねこ(銀将)・うさぎ(桂馬)・いのしし(香車)が加わる。ライオンといぬ以外は「成り」ができる点も本将棋と同じ。成駒はこちらを参照。
- 上記のどうぶつしょうぎと異なり、きりんは縦横に1マスに限らず何マスでも動け(飛車)、ぞうは斜めに1マスに限らず何マスでも動ける(角行)。またうさぎは桂馬と同じ動きができる。そのため進行方向は○(1マスのみ)、△(何マスでも可)とジャンプを示すマーク(桂馬と同じ)の3種類で示される。
- 自陣、敵陣が1段から3段に増えている。
- 勝利条件はキャッチのみで、トライはない。
- 「二ひよこ」(将棋の二歩に相当)や「打ちひよこ詰め」(将棋の打ち歩詰めに相当)、敵陣1段目のひよこ・いのしし打ち及び敵陣1・2段目のうさぎ打ち(行き所のない駒)が禁止されている。
関連書籍
- どうぶつしょうぎのほん 幻冬舎エデュケーション・幻冬舎 文章:北尾まどか 絵:藤田麻衣子 2010年7月13日発売 ISBN 978-4344977334
- どうぶつしょうぎQ 1 キャッチと王手 文章:北尾まどか, 川崎智秀 絵:藤田麻衣子 2011年9月29日発売 ISBN 978-4344975965
- どうぶつしょうぎQ 2 王手と詰み 文章:北尾まどか, 川崎智秀 絵:藤田麻衣子 2012年9月25日発売 ISBN 978-4344976290
- どうぶつしょうぎドリル 文章:北尾まどか, とみたやえこ 絵:藤田麻衣子 2014年6月30日発売 ISBN 978-4344977822
脚注
- ^ 村上耕司「どうぶつしょうぎ人気――日本女子プロ将棋協会、親子らに普及活動」『朝日新聞』2009年9月2日付夕刊、第3版、第7面
- ^ 北尾まどか (2009年5月1日). “どうぶつしょうぎの輪☆”. 2009年5月3日閲覧。
- ^ 「どうぶつしょうぎ」の完全解析 田中哲朗 2010年9月14日閲覧
- ^ “第2回小学生女流将棋名人戦・名古屋大会”. 2009年9月16日閲覧。
- ^ 藤田麻衣子 (2008年8月20日). “ボードゲーム7種の会”. 2009年9月16日閲覧。
- ^ 藤田麻衣子 (2008年11月5日). “ひとこと日記#165”. 2009年9月16日閲覧。
- ^ 北尾まどか女流初段 退会のお知らせ
- ^ どうぶつしょうぎ」9月初旬市販化決定
- ^ 世界のボードゲームを広める会ゆうもあ. “日本ボードゲーム大賞2009 ゆうもあ賞 決定”. 2010年9月1日閲覧。
- ^ LPSA (2010年2月15日). “『藤田麻衣子女流1級 引退と退会のお知らせ”. 2010年9月1日閲覧。
- ^ LPSA. “『LPSAでの「どうぶつしょうぎ」販売中止のお知らせ』”. 2010年9月1日閲覧。
- ^ “株式会社ねこまど 株式会社ギンビス プレスリリース” (PDF). ギンビス (2011年12月26日). 2012年3月23日閲覧。
- ^ 第23回1DAYトーナメント・どうぶつしょうぎカップ
参考文献
- “どうぶつしょうぎ・ルール概要”. 2009年5月3日閲覧。
- TETSU. “どうぶつしょうぎ”. 詰将棋メモ. 2009年5月3日閲覧。
関連項目
外部リンク
- 公式ウェブサイト
- 田中哲朗「「どうぶつしょうぎ」の完全解析」『研究報告ゲーム情報学』2009-GI-22第3号、情報処理学会、2009年6月19日、1-8頁、2009年7月19日閲覧。
- オンライン対局サイト (3x4 shogi)