「マグヌス・リンドベルイ」の版間の差分
m cewbot: 修正ウィキ文法 69: ISBNの構文違反 |
|||
32行目: | 32行目: | ||
1980年代に[[ライヴエレクトロニクス]]の経験を経た後、[[アンサンブル]]のための「ウア」、[[オーケストラ]]のための「キネティクス」、[[アコーディオン]]ソロのための「リードの遊び」などの代表作を作曲。[[スペクトル楽派]]からの影響を受けつつ、単純な基音上の倍音に固執せず様々な音場を自由自在に駆け回る作風を展開した。この才能をいち早く日本で評価したのが[[武満徹]]であり、まだ若いリンドベルイに東洋初の委嘱を授けた。リンドベルイも「武満さんは世界でもいち早く評価してもらった<ref>[https://www.operacity.jp/concert/award/judge/profile2004/index.php 外部リンク]</ref>作曲家の一人なので、この恩を死ぬまで忘れない」と語っている。 |
1980年代に[[ライヴエレクトロニクス]]の経験を経た後、[[アンサンブル]]のための「ウア」、[[オーケストラ]]のための「キネティクス」、[[アコーディオン]]ソロのための「リードの遊び」などの代表作を作曲。[[スペクトル楽派]]からの影響を受けつつ、単純な基音上の倍音に固執せず様々な音場を自由自在に駆け回る作風を展開した。この才能をいち早く日本で評価したのが[[武満徹]]であり、まだ若いリンドベルイに東洋初の委嘱を授けた。リンドベルイも「武満さんは世界でもいち早く評価してもらった<ref>[https://www.operacity.jp/concert/award/judge/profile2004/index.php 外部リンク]</ref>作曲家の一人なので、この恩を死ぬまで忘れない」と語っている。 |
||
スペクトル楽派の流行が終わると、「クラリネット五重奏曲」以後は古典音楽からの影響が顕著となり、遂には「ネオ・シベリウス楽派<ref>After Sibelius: Studies in Finnish Music, Tim Howell; Publisher: Routledge; ISBN |
スペクトル楽派の流行が終わると、「クラリネット五重奏曲」以後は古典音楽からの影響が顕著となり、遂には「ネオ・シベリウス楽派<ref>After Sibelius: Studies in Finnish Music, Tim Howell; Publisher: Routledge; ISBN 978-0754651772</ref><ref>[https://www.groene.nl/includes/2012_Out%20of%20the%20Box.pdf Interview met Richard. Rijnvos]</ref>」などと称されるような流麗な書法に変化した。「クラリネット協奏曲」、「ピアノ協奏曲」、「オーケストラのための協奏曲」などはそうした書法で貫かれている。だが、彼本人は「現代音楽の凶暴なノイズ性は大好き<ref>[https://www.operacity.jp/concert/award/result/result2004/index.php 外部リンク]</ref>」であり、初期は非常に速い速度で音群を動かす書式の達人で、「キネティックス」はその頂点の作品であった。「20世紀的観点の前衛作曲家」的な視点が、ともすると孤立した印象も与える21世紀現在、現在の彼の方向性は、[[エサ=ペッカ・サロネン|サロネン]]、[[ヨウニ・カイパイネン|カイパイネン]]、[[ジョン・アダムス]]、[[スティーヴ・ライヒ|ライヒ]]、等のまなざしと共に注目されていると言える。 |
||
「四分音符二つ、六分音符三つ」で形成されるブルックナーリズムにあやかって、彼は「六分音符三つ、八分音符八つ」(大抵はこの二分の一の縮小)といったリズム・カデンツを多くのセクションで多用している。近年の作品はオーケストラ作品の委嘱が多く、かつての室内アンサンブルや独奏曲で鳴らした速度には頼らなくなってきている。現代音楽の流行からも彼の音楽は離れており、伝統的な旋律や和声とともに、三和音やオクターブもかなりの頻度で現れる。その音色の明るさは現在も健在である。作品はブージー・アンド・ホークスから出版されている。 |
「四分音符二つ、六分音符三つ」で形成されるブルックナーリズムにあやかって、彼は「六分音符三つ、八分音符八つ」(大抵はこの二分の一の縮小)といったリズム・カデンツを多くのセクションで多用している。近年の作品はオーケストラ作品の委嘱が多く、かつての室内アンサンブルや独奏曲で鳴らした速度には頼らなくなってきている。現代音楽の流行からも彼の音楽は離れており、伝統的な旋律や和声とともに、三和音やオクターブもかなりの頻度で現れる。その音色の明るさは現在も健在である。作品はブージー・アンド・ホークスから出版されている。 |
2016年11月15日 (火) 17:13時点における版
マグヌス・リンドベルイ Magnus Lindberg | |
---|---|
from dsc_3811.jpg | |
基本情報 | |
生誕 |
1958年6月27日(66歳) フィンランド ウーシマー州 ヘルシンキ |
ジャンル | 現代音楽 |
職業 |
作曲家 ピアニスト |
担当楽器 | ピアノ |
マグヌス・リンドベルイ(Magnus Lindberg,1958年6月27日 - ,発音はマニュス・リンドベリと聞き取られることが多い)はフィンランドの現代音楽の作曲家、ピアニスト。
略歴
現代音楽の振興と宣伝を目的としたグループ「耳を開け! Korvat auki!」のメンバーとして活躍。彼のほか、カイヤ・サーリアホやエサ=ペッカ・サロネンらがこのグループのメンバーであった。1986年にユネスコ作曲家国際会議で第1位受賞後、国際的な委嘱に恵まれた活動を精力的に行っている。来日して武満徹作曲賞の審査員を務めてもいる。また、グループ「耳を開け!」時代からそうであったように、自作のピアノ協奏曲のピアノパートを担当するほどのピアノの腕前の持ち主でもある。
作風
1980年代にライヴエレクトロニクスの経験を経た後、アンサンブルのための「ウア」、オーケストラのための「キネティクス」、アコーディオンソロのための「リードの遊び」などの代表作を作曲。スペクトル楽派からの影響を受けつつ、単純な基音上の倍音に固執せず様々な音場を自由自在に駆け回る作風を展開した。この才能をいち早く日本で評価したのが武満徹であり、まだ若いリンドベルイに東洋初の委嘱を授けた。リンドベルイも「武満さんは世界でもいち早く評価してもらった[1]作曲家の一人なので、この恩を死ぬまで忘れない」と語っている。
スペクトル楽派の流行が終わると、「クラリネット五重奏曲」以後は古典音楽からの影響が顕著となり、遂には「ネオ・シベリウス楽派[2][3]」などと称されるような流麗な書法に変化した。「クラリネット協奏曲」、「ピアノ協奏曲」、「オーケストラのための協奏曲」などはそうした書法で貫かれている。だが、彼本人は「現代音楽の凶暴なノイズ性は大好き[4]」であり、初期は非常に速い速度で音群を動かす書式の達人で、「キネティックス」はその頂点の作品であった。「20世紀的観点の前衛作曲家」的な視点が、ともすると孤立した印象も与える21世紀現在、現在の彼の方向性は、サロネン、カイパイネン、ジョン・アダムス、ライヒ、等のまなざしと共に注目されていると言える。
「四分音符二つ、六分音符三つ」で形成されるブルックナーリズムにあやかって、彼は「六分音符三つ、八分音符八つ」(大抵はこの二分の一の縮小)といったリズム・カデンツを多くのセクションで多用している。近年の作品はオーケストラ作品の委嘱が多く、かつての室内アンサンブルや独奏曲で鳴らした速度には頼らなくなってきている。現代音楽の流行からも彼の音楽は離れており、伝統的な旋律や和声とともに、三和音やオクターブもかなりの頻度で現れる。その音色の明るさは現在も健在である。作品はブージー・アンド・ホークスから出版されている。
主要作品
管弦楽
- Sculpture II (1981)
- Kraft for small solo ensemble and orchestra (1983–85)
- Kinetics (1988–89)
- Marea (1989–90)
- Corrente II (1992)
- Aura (in memoriam Witold Lutosławski) (1994)
- Arena (1995)
- Feria (1997)
- Cantigas (1997-1999)
- Fresco (1997-1998)
- Parada (2001)
- Bright Cecilia: Variations on a Theme by Purcell (2002)
- Chorale (2002)
- Concerto for Orchestra (2003)
- Tribute (2004)
- Sculpture (2005)
- Seht die Sonne (2007)
- EXPO (2009)
- Al largo (2010)
- Era (2013)
- Vivo (2015)
- Two Episodes (2016)
大室内アンサンブル
- Ritratto (1979–83)
- Tendenza (1982)
- Joy (1989–90)
- Corrente (1992)
- Coyote Blues (1996)
- Engine 1996)
- Corrente - China Version (2000)
- Bubo bubo (2002)
- Jubilees (2002)
- Counter Phrases (2002-2003)
- Souvenir (2010)
- Red House (2013)
- Aventures (2013)
協奏曲
- Away for solo clarinet, string orchestra, piano and percussion (1994)
- Piano Concerto No. 1 (1991/94)
- Campana In Aria for horn and orchestra (1998)
- Cello Concerto No. 1 (1999)
- Clarinet Concerto (2002)
- Violin Concerto No. 1 (2006)[6]
- Piano Concerto No. 2 (2011–12)
- Cello Concerto No. 2 (2013)
- Violin Concerto No. 2 (2015)
吹奏楽
- Zungenstimmen for wind orchestra (1994)
- Gran Duo for wind orchestra (1999-2000)
- Ottoni for brass ensemble (2005)
室内楽
- Musik för två pianon (Music for Two Pianos) (1976)
- Arabesques for flute, oboe, clarinet, bassoon, and horn (1978)
- Quintetto dell' estate for flute, clarinet, violin, cello and piano (1979)
- Linea d'ombra for small ensemble (1981)
- "...de Tartuffe, je crois..." for piano quintet (1981)
- Action-Situation-Signification for small ensemble and electronics (1982)
- Ablauf for clarinet and percussion (1983)
- Metal Work for accordion and percussion (1984)
- UR for small ensemble (1986)
- Moto for cello and piano (1990)
- Steamboat Bill Jr. for clarinet and cello (1990)
- Clarinet Quintet (1992)
- Duo Concertante for solo clarinet, solo cello and ensemble (1992)
- Decorrente for small ensemble (1992)
- Kiri for clarinet, cello, percussion and electronics (1993)
- Related Rocks for two pianos, percussion and electronics (1997)
- Dos Coyotes for cello and piano (2002)
- Konzertstück for cello and piano (2006)
- Trio for clarinet, cello and piano (2008) (also arranged for violin, cello and piano (2011–12))
- Acequia Madre for clarinet and piano (2012) (also arranged for viola and piano)
独奏
- Klavierstück for piano (1977)
- Ground for harpsichord (1983)
- Stroke for cello (1984)
- Twine for solo piano (1988)
- リードの遊び for solo accordion (1990)
- Jubilees for piano (2000)
- Partia for cello solo (2001)
- Etude I for piano (2001)
- Mano a mano for guitar (2004)
- Etude II for piano (2004)
- Fratello for piano (2016)
声楽
- Jag vill breda vingar ut for mezzo-soprano and piano (1977–78)
- Untitled for chamber chorus a cappella (1978)
- Songs from North and South for children's chorus a cappella (1993-2008)
- Graffiti for chamber chorus and orchestra (2008–09)
- Accused for soprano and orchestra (2014)
脚注
- ^ 外部リンク
- ^ After Sibelius: Studies in Finnish Music, Tim Howell; Publisher: Routledge; ISBN 978-0754651772
- ^ Interview met Richard. Rijnvos
- ^ 外部リンク
受賞歴
- ユネスコ国際作曲家会議グランプリ(1986)
- イタリア賞(1986)
- ロイヤルフィルハーモニック協会作曲賞(1992)
参考文献
- Howell, Tim. 2006. After Sibelius: Studies in Finnish Music, Chapter 9, pp 231–262. Aldershot and Vermont: Ashgate Publishing, Ltd. ISBN 978-0-7546-5177-2
- Nieminen, Risto. 1993. Magnus Lindberg. Paris: Ircam, Centre Georges-Pompidou. ISBN 978-2-85850-732-0
- Stenius, Caterina. 2006. Chaconne: En bok om Magnus Lindberg och den nya musiken. Med verkförteckning av Risto Nieminen. Helsinki: Söderströms. ISBN 951-52-2356-3