「タレット (建築)」の版間の差分

削除された内容追加された内容

インライン

2016年11月15日 (火) 16:49時点における版

タレット（英語: Turret）は、中世の城や城壁などの建築物で、壁から張り出して上に向かって伸びている小さい塔。語源はイタリア語の torretta（小塔）、およびラテン語の turris（塔）。日本語で小塔と表記されることもある。城を防御する側が隣接する壁に対して援護射撃するための突き出た場所を提供するのに使われた。大型の側防塔に比して比較的安価に建てられるため、戦術上有利な地点に設ける必要不可欠な施設となっていった^[1]。13世紀になると、タレットの一種であり、建物の隅部の胸壁より上部に造られる張り出し櫓（Bartizan）が多く造られるようになった^[1]。軍事的意味が薄れると、装飾として使われるようになっていった。

右の写真のように、タレットの上部が狭間胸壁となっているものや、尖った屋根があるものなど、その上部構造には様々なものがある。建物の他の部分より高いタレットは、階段付きの場合もある。しかし、タレットは必ずしも他の部分より高いとは限らない。その場合タレット内は通常の部屋の一部となっている。例えばこちらにある Chateau de Chaumont のタレットがそのようになっている。他にも現代の建築物でタレットのような形状を使っているものもある。

建築物には塔とタレット（小塔）の両方がある場合もある。塔とタレットの違いは高さではなく、タレットが建物の壁面から張り出しているという点にある。従ってタレットを作ることによって建物に力が余分にかかることになり、その大きさは建設時のテクノロジーによって制限される。古いタレットは持ち送りで支持されていた。

日本の城では櫓に相当する建築物である。

ギャラリー

ニューアーク城（en）の建物の角にある持ち送りで支持されたタレット
ニューヨーク市ブルックリン区パーク・スロープ地区にあるタレット
アムステルダムの Het Schip にあるタレット
パースのバルハウジー城（en）のタレット
スレート葺き屋根のタレット
スコットランドのエディンバラにある Donaldson's College のタレット
キューバのハバナ港を守る古い要塞のタレット
銅板の屋根のタレット
デンバーのとある建物にあるタレット
ケンブリッジ大学クイーンズ・カレッジのタレットに挟まれた門

参考文献

^ ^a ^b マルコム・ヒスロップ Dr. Malcolm Hislop 著『歴史的古城を読み解く』（桑平幸子訳） ISBN 978-4-88282-912-6

[Malcolm_Hislop-1] マルコム・ヒスロップ Dr. Malcolm Hislop 著『歴史的古城を読み解く』（桑平幸子訳） ISBN 978-4-88282-912-6

[1]

@@ 1行目: / 1行目: @@
 [[ファイル:turret (architecture) 1.jpg|thumb|スコットランドの領主館にあるタレット（赤い部分）]]
-'''タレット'''（{{lang-en|Turret}}）は、[[中世]]の[[城]]や[[城壁]]などの建築物で、壁から張り出して上に向かって伸びている小さい[[塔]]。語源は[[イタリア語]]の ''torretta''（小塔）、および[[ラテン語]]の ''turris''（塔）。日本語で'''小塔'''と表記されることもある。城を防御する側が隣接する壁に対して援護射撃するための突き出た場所を提供するのに使われた。大型の[[側防塔]]に比して比較的安価に建てられるため、戦術上有利な地点に設ける必要不可欠な施設となっていった<ref name="Malcolm Hislop">マルコム・ヒスロップ Dr. Malcolm Hislop 著 『歴史的古城を読み解く』（桑平幸子訳） ISBN978-4-88282-912-6</ref>。13世紀になると、タレットの一種であり、建物の隅部の[[胸壁]]より上部に造られる[[張り出し櫓]]（Bartizan）が多く造られるようになった<ref name="Malcolm Hislop" />。軍事的意味が薄れると、装飾として使われるようになっていった。
+'''タレット'''（{{lang-en|Turret}}）は、[[中世]]の[[城]]や[[城壁]]などの建築物で、壁から張り出して上に向かって伸びている小さい[[塔]]。語源は[[イタリア語]]の ''torretta''（小塔）、および[[ラテン語]]の ''turris''（塔）。日本語で'''小塔'''と表記されることもある。城を防御する側が隣接する壁に対して援護射撃するための突き出た場所を提供するのに使われた。大型の[[側防塔]]に比して比較的安価に建てられるため、戦術上有利な地点に設ける必要不可欠な施設となっていった<ref name="Malcolm Hislop">マルコム・ヒスロップ Dr. Malcolm Hislop 著 『歴史的古城を読み解く』（桑平幸子訳） ISBN 978-4-88282-912-6</ref>。13世紀になると、タレットの一種であり、建物の隅部の[[胸壁]]より上部に造られる[[張り出し櫓]]（Bartizan）が多く造られるようになった<ref name="Malcolm Hislop" />。軍事的意味が薄れると、装飾として使われるようになっていった。
 右の写真のように、タレットの上部が[[狭間胸壁]]となっているものや、尖った屋根があるものなど、その上部構造には様々なものがある。建物の他の部分より高いタレットは、階段付きの場合もある。しかし、タレットは必ずしも他の部分より高いとは限らない。その場合タレット内は通常の部屋の一部となっている。例えば[http://www.ontarioarchitecture.com/turret.htm こちら]にある Chateau de Chaumont のタレットがそのようになっている。他にも現代の建築物でタレットのような形状を使っているものもある。

2016年11月15日 (火) 16:49時点における版

ギャラリー

関連項目

参考文献