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「近鉄鳥羽線」の版間の差分

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路線は山沿いに展開され、JR[[参宮線]]とルートは並行しない(ただし、[[池の浦駅]] - 鳥羽駅間については、ほぼ並行している)。[[宮町駅]] - [[伊勢市駅]] - 鳥羽駅間では競合するJR参宮線より運賃が高いが、近鉄の方が運転本数が多く、終電時刻も遅くなっている。また、比較的新しい路線のため、踏切がなく道路とは完全に立体交差化されているが、全線開通時には鳥羽駅から約250m西、現在[[国道42号]]との立体交差あたりに、参宮線と共同の小浜踏切が存在していた<ref>「近鉄鳥羽線で初事故 トラック 一方通行の踏切へ進入」中日新聞 1970年(昭和45年)3月9日付 10版 15面、「近鉄鳥羽線で初の事故 トラックと衝突」伊勢新聞 1970年(昭和45年)3月9日付 7面</ref>。
路線は山沿いに展開され、JR[[参宮線]]とルートは並行しない(ただし、[[池の浦駅]] - 鳥羽駅間については、ほぼ並行している)。[[宮町駅]] - [[伊勢市駅]] - 鳥羽駅間では競合するJR参宮線より運賃が高いが、近鉄の方が運転本数が多く、終電時刻も遅くなっている。また、比較的新しい路線のため、踏切がなく道路とは完全に立体交差化されているが、全線開通時には鳥羽駅から約250m西、現在[[国道42号]]との立体交差あたりに、参宮線と共同の小浜踏切が存在していた<ref>「近鉄鳥羽線で初事故 トラック 一方通行の踏切へ進入」中日新聞 1970年(昭和45年)3月9日付 10版 15面、「近鉄鳥羽線で初の事故 トラックと衝突」伊勢新聞 1970年(昭和45年)3月9日付 7面</ref>。


鳥羽線では[[スルッとKANSAI]]カード及び[[Jスルー|Jスルーカード]]は利用できないが、[[2007年]][[4月1日]]から[[PiTaPa]]が導入され、同時に[[ICOCA]]とも相互利用が可能となった。2015年9月現在、[[宇治山田駅]]と[[五十鈴川駅]]、[[鳥羽駅]]には[[自動改札機]]を、朝熊駅と池の浦駅には簡易改札機を設置して対応している。また[[2013年]][[3月23日]]より[[TOICA]]・[[manaca]]などの[[ICカード]]が[[乗車カード#交通系ICカード全国相互利用サービス|全国相互利用サービス]]により利用可能である。
鳥羽線では[[スルッとKANSAI]]カード及び[[Jスルーカード]]は利用できないが、[[2007年]][[4月1日]]から[[PiTaPa]]が導入され、同時に[[ICOCA]]とも相互利用が可能となった。2015年9月現在、[[宇治山田駅]]と[[五十鈴川駅]]、[[鳥羽駅]]には[[自動改札機]]を、朝熊駅と池の浦駅には簡易改札機を設置して対応している。また[[2013年]][[3月23日]]より[[TOICA]]・[[manaca]]などの[[ICカード]]が[[乗車カード#交通系ICカード全国相互利用サービス|全国相互利用サービス]]により利用可能である。


=== 路線データ ===
=== 路線データ ===

2016年9月23日 (金) 12:21時点における版

近畿日本鉄道 鳥羽線
池の浦 - 鳥羽間を走る伊勢志摩ライナー。 手前の非電化単線の線路はJR参宮線
池の浦 - 鳥羽間を走る伊勢志摩ライナー。
手前の非電化単線の線路はJR参宮線
基本情報
日本の旗 日本
所在地 三重県伊勢市鳥羽市
起点 宇治山田駅
終点 鳥羽駅
駅数 5駅
路線記号 M
開業 1969年12月15日
所有者 近畿日本鉄道
運営者 近畿日本鉄道
車両基地 明星検車区
使用車両 車両の節を参照
路線諸元
路線距離 13.2 km
軌間 1,435 mm
線路数 複線
電化方式 直流1,500 V 架空電車線方式
閉塞方式 自動閉塞式
保安装置 近鉄型ATS
最高速度 130 km/h
テンプレートを表示
停車場・施設・接続路線
STR
M 山田線
STRq KRZo STRlg
JR東海参宮線
BHF+GRZq LSTR
0.0 M74 宇治山田駅
WBRÜCKE
勢田川
TUNNEL1
虎尾山トンネル
TUNNEL1
永代山トンネル
SKRZ-Au
伊勢自動車道
BHF
1.9 M75 五十鈴川駅
WBRÜCKE
五十鈴川
BHF
4.9 M76 朝熊駅
eDST
四郷信号所 -1975
TUNNEL1
四郷トンネル
BHF
10.6 M77 池の浦駅
STR LSTR
STRrg KRZo STRrf
JR東海:参宮線
STR STR
鳥羽線
13.2 M78 鳥羽駅
STR
M 志摩線

鳥羽線(とばせん)は、三重県伊勢市宇治山田駅から三重県鳥羽市鳥羽駅までを結ぶ近畿日本鉄道(近鉄)の鉄道路線

概要

山田線志摩線との間を結ぶ路線である。伊勢中川駅から賢島駅までの路線は一体の路線として運用されているが、歴史的経緯により3つの路線に分かれている。なお、山田線に跨って乗車する場合は、建設費回収のための加算運賃が適用される。

路線は山沿いに展開され、JR参宮線とルートは並行しない(ただし、池の浦駅 - 鳥羽駅間については、ほぼ並行している)。宮町駅 - 伊勢市駅 - 鳥羽駅間では競合するJR参宮線より運賃が高いが、近鉄の方が運転本数が多く、終電時刻も遅くなっている。また、比較的新しい路線のため、踏切がなく道路とは完全に立体交差化されているが、全線開通時には鳥羽駅から約250m西、現在国道42号との立体交差あたりに、参宮線と共同の小浜踏切が存在していた[1]

鳥羽線ではスルッとKANSAIカード及びJスルーカードは利用できないが、2007年4月1日からPiTaPaが導入され、同時にICOCAとも相互利用が可能となった。2015年9月現在、宇治山田駅五十鈴川駅鳥羽駅には自動改札機を、朝熊駅と池の浦駅には簡易改札機を設置して対応している。また2013年3月23日よりTOICAmanacaなどのICカード全国相互利用サービスにより利用可能である。

路線データ

  • 路線距離(営業キロ):13.2km
  • 軌間:1435mm
  • 駅数:5駅(起終点駅含む)
  • 複線区間:全線
  • 電化区間:全線電化(直流1500V)
  • 閉塞方式:自動閉塞式
  • 最高速度:130km/h(一部の特急)、120km/h(特急)、110km/h(一般種別)

全線、名古屋統括部(旧名古屋営業局)の管轄である。

運行形態

大阪・京都・名古屋方面からの多数の特急列車が通る。急行系の列車は、大阪方面からの快速急行、大阪・名古屋方面からの急行が五十鈴川駅まで、朝夕は鳥羽駅まで直通する。大阪方面との快速急行は、奈良線のそれとは異なり、難波線に乗り入れておらず、阪神線との相互直通運転も実施していないため、難波線・阪神線とは鶴橋駅で乗り換える必要がある。布施駅大阪上本町駅でも乗り換え可能だが、この2駅では対面乗り換えはできない。

昼間時間帯は快速急行が運転されず、五十鈴川駅以南は急行も運転されないため特急・普通のみが運転される。特急をのぞく各列車は線内の各駅に停車する。

当線は急勾配が多いが、池の浦駅 - 鳥羽間をのぞいて半径600m未満の急曲線がなく、平面線形が良好で高速運転に適しているため、下り列車の一部は最高速度130km/hで走行している。全線所要時間はノンストップ特急で9分(表定速度88km/h)、五十鈴川停車の場合は11分(表定速度72km/h)、快速急行以下(各駅停車)でも14分(表定速度56km/h)となり、短距離路線ながら表定速度は高い。

運行本数

日中1時間あたりの運行本数は以下のようになっている。

日中の運行パターン
駅名

種別
山田線直通 宇治山田 五十鈴川 鳥羽 志摩線直通
運行本数 特急 名古屋線名古屋駅 1本 賢島駅
大阪線大阪難波駅 1本 賢島駅→
←名古屋線名古屋駅 1本  
←名古屋線名古屋駅 1本(上りのみ)  
←大阪線大阪上本町駅 1本  
急行 ←名古屋線名古屋駅 1本  
←大阪線大阪上本町駅 1本  
普通 ←名古屋線白塚駅 2本 賢島駅→

特急

日中は1時間あたり大阪難波駅発着の阪伊乙特急近鉄名古屋駅発着の名伊乙特急が1本ずつ、五十鈴川駅始発の名伊乙特急が1本、一部時間帯に京都駅発着列車が1本運転され、合計2 - 4本運転されている。休日の一部時間帯は甲特急も加わり、合計5本が運転されている。おおむね半数以上の列車が志摩線賢島駅まで直通している。阪伊・名伊甲特急は五十鈴川駅を通過する。2012年の3月のダイヤ変更までは阪伊乙特急と京伊特急は一部が併結運転をしており、京伊特急のうち、阪伊乙特急に連結しない単独運転のものは五十鈴川駅を通過していた。編成両数は4両 - 8両で運転されているが、年始時期など多客時の増結を考慮して宇治山田駅・五十鈴川駅・鳥羽駅のホーム長は10両分を確保している。

2009年3月20日時点では日中の特急は鳥羽駅折り返しを含めて鳥羽線内で1時間あたり4 - 5本が運転されていたが、2010年のダイヤ変更で日中の鳥羽駅折り返し列車が山田線宇治山田駅折り返しに短縮された。2014年9月21日のダイヤ変更では宇治山田駅を始発駅とする列車のうち、早朝の阪伊・名伊乙特急の一部、日中の名伊乙特急が五十鈴川発に変更された。ただし、日中の乙特急は年末年始などの多客期は鳥羽駅まで延長されている。また、終夜運転の際は宇治山田行き・五十鈴川発・鳥羽駅発着の乙特急が運転されているが、五十鈴川行きの列車は異常時をのぞき運転されない。

編成の向きが阪伊・京伊特急と名伊特急では異なっており、前者は賢島寄り、後者は名古屋寄りが1号車になっている。これらは中川短絡線を経由する名阪特急の編成に合わせているためである[* 1]

快速急行・急行

快速急行は宇治山田駅 - 五十鈴川駅間で朝5時台の五十鈴川駅発と朝10時台(平日のみ)・夜21時台(休日のみ)・22時台(平日のみ)の五十鈴川駅到着列車のみ運転されており、五十鈴川駅 - 鳥羽駅間は朝6時から9時までと夕方18時から夜22時までの通勤・通学時間帯のみ、主に近鉄名古屋駅発着の急行が乗り入れている。大阪上本町駅発着列車と近鉄名古屋駅発着列車を合わせて、宇治山田駅 - 五十鈴川駅間は約30分間隔、五十鈴川駅 - 鳥羽駅間は約120分間隔で運転されている。朝夕の急行停車を考慮して、特急が通過する朝熊駅池の浦駅のホーム長は6両分を確保している。早朝の一部列車に五十鈴川駅で乙特急と緩急接続する急行がある。

編成両数は大阪線直通・名古屋線直通列車ともに種別・行先を問わず6両が基本で、早朝と夜間、日中の大阪線直通の一部列車は4両で運転されている。異常時の突発的な運用変更がない限りは原則として2610系5200系などのトイレ付きの車両が充当されている。

2016年3月19日のダイヤ変更までは五十鈴川駅 - 鳥羽駅間にも快速急行が運転されていた。2003年までは日中の鳥羽駅発着も設定されていたが、2004年のダイヤ変更で快速急行・急行は宇治山田駅・五十鈴川駅での折り返しが増え、鳥羽駅を始発駅とする上り列車は朝方のみになった。2011年3月のダイヤ変更まで1本設定されていた鳥羽発の快速急行が2012年3月のダイヤ変更にて松阪駅始発に短縮される形で廃止され、その他の快速急行も宇治山田駅発着に短縮および急行に変更されたため、快速急行の鳥羽線乗り入れがさらに減少し、2013年3月のダイヤ変更で朝の鳥羽行き快速急行が急行に格下げ・宇治山田駅終着となったことから、平日の鳥羽行き快速急行が消滅した。その後、最後まで休日1本のみ設定されていた鳥羽行き快速急行が2016年3月19日変更で廃止された。 一方、五十鈴川駅発着列車は朝上りと夕刻の少数のみであったが2014年9月21日変更で宇治山田駅始発・終着で五十鈴川駅まで回送されていた列車が営業運転されるようになったため、日中に当線内での急行の設定が1駅のみ復活した。2016年3月19日現在、鳥羽駅を始発駅とする大阪上本町行きの急行は平日・休日ともに各1本、名古屋行きの急行は平日に5本・休日に4本設定され、鳥羽駅終着の急行は平日・休日共に6本設定されている。

普通

終日運転され、ほぼ1時間あたり2本の約30分間隔で運転されている。多くが山田線伊勢中川駅 - 志摩線賢島駅間の運転で、ラッシュ時と夜間に伊勢中川駅・明星駅 - 宇治山田駅・五十鈴川駅・鳥羽駅間の列車、昼間以降に名古屋線白塚駅 - 賢島駅間を直通する列車がある。この白塚駅 - 賢島駅間の列車は、下り列車は基本的に白塚駅を出発する時点から賢島行きとして運転されるのに対し、上り列車については賢島駅から伊勢中川行きとして運転され、伊勢中川駅到着後に列車番号を変更し、白塚行きとして継続運転するのが基本である。その他にも、早朝に鳥羽線内の区間運転や伊勢中川駅 - 鳥羽駅間を運転した列車が伊勢中川駅で系統変更を行い、名古屋線近鉄名古屋駅まで直通する列車がある。

編成両数は3両[* 2]または4両、6両で運転されている一部列車をのぞき2両編成でワンマン運転を実施している。4両編成は、2012年3月20日のダイヤ変更で、2往復(休日は1往復)設定されていた鳥羽線内の区間運転列車が平日18時台の鳥羽発1本をのぞいて廃止された。なお6両編成も鳥羽線内の区間運転列車が毎日朝の宇治山田発1本のみである。

運転距離は比較的長いがトイレは設置されていない。ただし、平日18時台の鳥羽発宇治山田行きは名古屋線急行の折り返し、また毎日朝の宇治山田発鳥羽行きは大阪線急行を種別変更したものであるため、トイレ付きの車両で運転されている。

観光列車「つどい」

2013年10月に開催される第62回伊勢神宮式年遷宮に合わせ、2013年10月5日から運転されている観光列車[2]。土休日の日中2往復のみ山田線伊勢市駅から志摩線賢島駅にて運転されており、鳥羽線内では宇治山田駅と五十鈴川駅、鳥羽駅に停車している[2]。車両は専用形式の2013系が充当される[2]

過去にあった種別

区間快速急行

2012年3月19日まで、大阪上本町駅から山田線松阪駅間に区間快速急行が運転されていたが、年末年始の終夜運転では青山町駅・松阪駅発着を延長運転する形式で、宇治山田駅・五十鈴川駅発着が運転されていた。

準急

1983年3月18日のダイヤ変更まで、近鉄名古屋駅から鳥羽駅間に準急が運転されていた。鳥羽線内は各駅に停車していた。

終夜運転

大晦日から元旦にかけての終夜運転は、ここ最近では大阪・京都・名古屋から伊勢方面への特急、大阪・名古屋方面から伊勢方面への急行が運転されているほか(伊勢神宮の参拝順序の関係からか、賢島直通の特急以外では下りは宇治山田行、上りは五十鈴川発が多い)、普通が30 - 60分間隔で運転される形態となっている。また、山田線明星駅始発の大阪線名張駅直通の普通列車が鳥羽駅始発に変更されている。時刻については近鉄の公式サイトでも掲載されている。

2011年度は志摩スペイン村のカウントダウンイベントが中止されたために特急の賢島駅直通列車が無くなって五十鈴川駅始発か鳥羽駅折り返しとなり、賢島駅へは普通列車2往復の運転にとどまった。

2012年度は、前年まで運転されていた志摩線直通の特急および普通列車が無くなったため、特急はすべて五十鈴川駅および鳥羽駅折り返しとし、名古屋線直通急行は鳥羽駅発着の列車が毎時1本運転され、大阪線直通の急行・快速急行は23時以降6時台までの全列車が宇治山田駅終着・五十鈴川駅始発(1時台のみ鳥羽駅始発急行)として運転された。快速急行・急行が鳥羽線普通列車の役割となったため、23時以降は4時台まで普通列車は運転されなかった。また、これまで鳥羽駅始発として運転されていた大阪線名張駅直通の普通列車は宇治山田駅始発に短縮して運転された。

東海地震への対応

鳥羽線は、東海地震に対する地震防災対策強化地域に関わっており、東海地震の警戒宣言が発令された場合、全線において列車の運転が中止されることになっている[3]

車両

鳥羽線の列車は、大阪線との直通列車は基本的に大阪線所属の車両が使用され、それ以外の列車は基本的に名古屋線所属の車両が使用されている。ただし、夜間最終の五十鈴川駅始発の快速急行は名古屋線所属の車両が使用される。

また、ワンマン列車にはいずれも名古屋線所属車両である1201系・1230系・1240系・1259系・1440系・9000系(ワンマン対応車のみ)が使用されている。

歴史

現在の志摩線は参宮線を延長するような形で沿線住民の交通手段のほか奥志摩への観光客の誘致を目的として1929年志摩電気鉄道が開業した路線で、軌間は鳥羽駅で接続する参宮線に合わせて1067mmの狭軌とされた。志摩電気鉄道は、陸運統制令による戦時統制の勧奨の流れを受けて、1944年(昭和19年)に三重県内の中小私鉄統合で設立された三重交通の路線となる。

その一方で、山田線は参宮急行電鉄(参急)の手により、現在の大阪線と合わせて大阪から伊勢神宮への参詣鉄道とするために建設が行われ、1931年に宇治山田駅までの全線が開業した。

戦後の高度成長期に入り、近鉄は伊勢志摩方面の観光事業を推し進め、当時の近鉄線の終点であった宇治山田駅の1番線ホームをバスが横付けして停車できるよう改造し、1961年(昭和36年)4月から近鉄特急の到着に合わせて、三重交通と近鉄が共同出資した三重急行の賢島行きの特急バスが接続するといったようなことも行い、客誘致に努めていた。 しかし、本格的に事業を進めるには、やはり大阪・名古屋方面から直接アクセスできるほうがよく、三重交通志摩線は三重交通の鉄道事業の三重電気鉄道への分離の後に、1965年に近鉄へ合併し、同社の志摩線となった。その上で、山田線と志摩線をつなぐ鳥羽線を建設し、志摩線も軌間1435mmの標準軌に改めて、賢島駅まで特急を直通させることにした。

全線が開業したのは1970年だが、当初は需要・工期の面から単線だった。この開業は、当時まだ京都方面から直通急行列車が乗り入れており、ある程度の活況を見せていた国鉄参宮線に打撃を与え、完全なローカル線へ転落させる要因となった。開通から5年後の1975年に全線複線化を達成している。

  • 1967年(昭和42年)
    • 7月12日:近鉄が山田線を賢島まで延長する計画を公表。計画当初は「宇治山田 - 鳥羽間の路線を新設し志摩線を改良する」案と「宇治山田から山越えして賢島へ直行する」案の2案があった[4]
    • 8月9日:山田線の賢島までの延長に関して、「鳥羽が観光の拠点となっている」ことや「志摩線を活用することで建設費を節約できること」などを理由に宇治山田駅 - 鳥羽駅間の路線を新設することを表明[5]
    • 8月11日:標準軌で複線を目標とするなど、計画の具体的内容を発表。但し、完成当初の全線複線化は困難としている[6]
    • 9月11日:伊勢市岩渕 - 鳥羽市鳥羽間 鉄道敷設免許申請[7]
    • 12月23日:伊勢市岩渕 - 鳥羽市鳥羽間 鉄道敷設免許認可[8]
  • 1968年(昭和43年)5月20日:鳥羽線建設工事に着手[8]
  • 1969年(昭和44年)12月15日:宇治山田駅 - 五十鈴川駅間が開業。
  • 1970年(昭和45年)3月1日:五十鈴川駅 - 鳥羽駅間が開業し全通。志摩線との直通運転開始。
  • 1971年(昭和46年)12月25日:宇治山田駅 - 五十鈴川駅間複線化。
  • 1975年(昭和50年)
    • 4月11日:五十鈴川駅 - 朝熊駅間複線化。
    • 12月20日:朝熊駅 - 鳥羽駅間複線化。同区間にあった四郷信号所廃止。
  • 2007年(平成19年)4月1日:各駅でPiTaPaICOCAの取り扱い開始。
  • 2010年(平成22年)4月1日:宇治山田駅 - 鳥羽駅間の全線で名古屋列車運行管理システム「KRONOS」(クロノス)の運用開始[9]

駅一覧

  • 全駅三重県に所在
  • ●:停車、|:通過
  • 普通列車は省略:各駅に停車。快速急行・急行ともに鳥羽線内は各駅に停車
  • 特急列車は近鉄特急の記事を参照のこと。
  • #印の駅は列車待避可能駅。
駅番号 駅名 駅間キロ 営業キロ 急行 快速急行 接続路線 所在地
直通運転区間 宇治山田駅から
○普通…名古屋線白塚駅まで
○急行…大阪線大阪上本町駅、名古屋線近鉄名古屋駅まで
○快速急行…大阪線大阪上本町駅まで
M74 宇治山田駅 - 0.0 近畿日本鉄道:M 山田線(直通運転:上記参照) 伊勢市
M75 五十鈴川駅# 1.9 1.9  
M76 朝熊駅 3.0 4.9  
M77 池の浦駅 5.7 10.6     鳥羽市
M78 鳥羽駅# 2.6 13.2   近畿日本鉄道:M 志摩線(普通のみ直通運転)
東海旅客鉄道:参宮線
  • 単線時代は朝熊駅 - 池の浦駅間の四郷トンネル宇治山田寄りに列車行き違いのための四郷信号所があった。

脚注

注釈

  1. ^ 名阪特急運用の設定が存在しない50000系「しまかぜ」23000系「伊勢志摩ライナー」は除く。
  2. ^ 朝の上り1本のみ。ちなみにこの列車は鳥羽駅始発伊勢中川行きで、伊勢中川駅到着後に近鉄名古屋行き普通列車として継続運転する。

出典

  1. ^ 「近鉄鳥羽線で初事故 トラック 一方通行の踏切へ進入」中日新聞 1970年(昭和45年)3月9日付 10版 15面、「近鉄鳥羽線で初の事故 トラックと衝突」伊勢新聞 1970年(昭和45年)3月9日付 7面
  2. ^ a b c 鉄道ファン』2014年1月号 {第633号} p.56 - p61
  3. ^ 東海地震に関するお知らせ - 近畿日本鉄道
  4. ^ 「近鉄、賢島まで乗り入れ 45年完成めざす 鳥羽経て志摩線を活用か」伊勢新聞 1967年(昭和42年)7月14日付 1面
  5. ^ 「鳥羽経由ルートに決まる 近鉄志摩乗り入れ 用地買収、協力求む 泉副社長、地元で表明」- 伊勢新聞 1967年(昭和42年)8月10日付 1面
  6. ^ 「来年2月から着工 近鉄山田線延長 広軌で複線を目標 鳥羽駅舎 地元の声聞いて」- 伊勢新聞 1967年(昭和42年)8月13日付 1面
  7. ^ 「三重県史 資料編 現代2 産業・経済」p894-896
  8. ^ a b 「近畿日本鉄道 最近20年のあゆみ」(1980年発行)p353-423(年譜)
  9. ^ 名古屋列車運行管理システム「KRONOS」が運用開始します (PDF) - 近畿日本鉄道プレスリリース 2010年3月30日

参考文献

  • 「まるごと近鉄ぶらり沿線の旅」(著者・編者 徳田耕一、出版・発行 河出書房新社 2005年) ISBN 4309224393
  • カラーブックス「日本の私鉄 近鉄1」(著者・編者 諸河久・杉谷広規、出版・発行 保育社 1998年) ISBN 458650904X
  • カラーブックス「日本の私鉄 近鉄2」(著者・編者 諸河久・山辺誠、出版・発行 保育社 1998年) ISBN 4586509058
  • 「近鉄時刻表 各号」(著者・編者 近畿日本鉄道、出版・発行 同左)
  • 「鉄道ピクトリアル'03年1月号増刊 特集:近畿日本鉄道」(著者・編者 電気車研究会 出版・発行 同左)
  • 「近畿日本鉄道 最近20年のあゆみ」1980年(昭和55年)10月1日発行、発行者:近畿日本鉄道株式会社
  • 「三重県史 資料編 現代2 産業・経済」1992年(平成4年)3月31日発行、編集・発行:三重県

関連項目