相模原障害者施設殺傷事件

相模原障害者施設殺傷事件
場所	神奈川県相模原市緑区
座標	北緯35度36分49.93秒 東経139度12分45.99秒
日付	2016年7月26日 午前2時30分頃 (未明)
攻撃手段	刃物で刺す
武器	刃物
死亡者	19人
負傷者	26人

相模原障害者施設殺傷事件（さがみはら しょうがいしゃしせつさっしょうじけん）とは2016年（平成28年）7月26日未明に神奈川県相模原市緑区で発生した大量殺人事件である。

事件

2016年7月26日午前2時50分、神奈川県相模原市緑区にある障害者施設の職員から「男が侵入した」と通報があった。警察官が駆けつけたところ、少なくとも十数人の入所者が刺されていた。同日8時30分時点の報道によると、相模原市消防局が19人の死亡を確認、他に26人が負傷（うち20人は重傷）しており、死亡した19人全員が施設の入所者である。

事件のあった障害者施設の敷地の面積は3万890平方メートル。居住区や作業スペースなどが設けられている。

被疑者の男性は午前3時すぎに神奈川県警察本部津久井警察署に出頭し、殺人未遂と建造物侵入の疑いで逮捕。その後、殺人容疑に切り替えて調べる方針。男性は26歳で、施設の元職員だと話しているという。平成ならびに第二次世界大戦後の日本において、1人の人間が一日のうちに犯し、被疑者が逮捕された大量殺人事件で、死者19人は過去最多の人数である。男性は逮捕後の取り調べに対し「ナイフで刺したことは間違いない」と容疑を認めた上で、「施設を辞めさせられて恨んでいた」とも話しているという

神奈川県警によると居住棟の1階の窓ガラスが割れており、そばにハンマーが落ちていた。県警は男性がハンマーを使って施設に侵入したものとみて調べている。なお、神奈川県警は被害者全員が障害者である事情を鑑み、被害者らの家族の希望に配慮して、被害者らの名前は公表しないことを決めた。

被疑者

被疑者は2月14日に衆議院議長公邸を訪れ、衆議院議長の大島理森あてに殺害計画を書いた書簡を渡そうとしていた。この手紙は職員が受け取り、内容を確認してうえで衆議院議長に報告ののち、警察に通報した。衆議院事務総長の向大野新治はこの対応に問題はなかったと説明した。また、2月19日に勤務中に障害者施設職員に対して障害者殺害をほのめかす言葉を話したことから、翌19日に障害者施設が警察に通報し、相模原市は「他人を傷つけるおそれがある」と判断して、精神保健福祉法に基づき容疑者を措置入院とした（同日、勤務先の障害者施設を自己都合により自主退職）。2人の指定医が措置入院中の2月20日に容疑者の尿と血液を検査したところ、大麻の陽性反応が出たため、正式に措置入院となったが、指定医は「症状の改善が優先」として警察には通報せず、入院から12日後の3月2日に容疑者に症状がなくなったことや医師の診断から退院となった。

反応

日本国内

政府

• 安倍晋三内閣総理大臣は事件に対し「心からご冥福とお見舞いを申し上げる。真相解明に政府も全力を挙げたい」と述べた。また菅義偉官房長官は「関係省庁と協力して再発防止策の検討を早急に行いたい」と記者会見上で述べた。

国内メディア

• 『沖縄タイムス』の7月27日の社説では、被疑者の事件前の言動と行政の対応に言及した上で、“今回の事件は障がい者を標的にした犯罪「ヘイトクライム」である。”と述べている。

海外

• アメリカのホワイトハウスは「障害者施設で事件が起きたことに強い嫌悪感を感じる」という主旨の声明を発表している。
• ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は「無防備な障害者に対する犯罪は、その残忍さと冷徹さで衝撃を与えた」と弔電を出している。
• ローマ法王フランシスコは事件で人命が失われたことに「悲嘆」を表明し、「困難な時における癒し」を祈願した。

脚注

出典

以下の出典において、記事名に実名が使われている場合、その箇所を本項目で用いている同人物の仮名または伏字に置き換えて表記。また時刻は日本標準時とする。

関連項目

• 福祉施設
• 障害者支援施設
• 津山事件