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「精神障害の診断と統計マニュアル」の版間の差分

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ひとつの目標は、有名な[[ローゼンハン実験]]を含む多くの批判を受けて精神医学の診断の均一性と信頼性を改善するというものであった。精神医学的な診断が欧州とアメリカ合衆国で著しく異なっていたことを示した研究の後に、アメリカと他の国とで標準的な診断の実施の必要性も存在した<ref name="PMID5774702">{{cite journal|url=http://ajp.psychiatryonline.org/cgi/reprint/125/10S/30|pmid=5774702|author-separator=,|author-name-separator=|volume=10 Suppl|date=April 1969|pages=21–9|last1=Cooper|first1=JE|last2=Kendell|first2=RE|last3=Gurland|first3=BJ|last4=Sartorius|first4=N|last5=Farkas|first5=T|title=Cross-national study of diagnosis of the mental disorders:some results from the first comparative investigation|journal=The American Journal of Psychiatry}}</ref>。
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他の診断と、障害の新しい分類の可能性は、スピッツァーを委員長して委員会の一致によって認められた。重要な目的は、[[病因学]]的な仮説よりも、口語の英語による記述的な言葉遣いに基づく分類であるが、その分類手法は特定の基礎病理を反映した分類では、それぞれの固有の症状の様式を想定している。[[精神力学]]や[[生理学]]の見解は破棄され、[[規制]]や[[立法]]のモデルをとった。新しい「多軸評定」は、単なる[[診断]]よりも統計的な集団調査により適するようにと意図された<!--引用なので少し省略--><ref name="Revolution"/>。[[人格障害]]は、精神遅滞と共にII軸に位置づけられた<ref name=Oldham/>。
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2016年6月28日 (火) 13:12時点における版

精神障害の診断と統計マニュアル(せいしんしょうがいのしんだんととうけいマニュアル、英語: Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, DSM)は、精神障害の分類英語版のための共通言語と標準的な基準を提示するものであり、アメリカ精神医学会によって出版された書籍である。DSMは当初、統計調査のために作成された。DSMの第3版より、明確な診断基準を設けることで、精神科医間で精神障害の診断が異なるという診断の信頼性の問題に対応した[1][2]

概要

DSMは、世界保健機関による疾病及び関連保健問題の国際統計分類(ICD)とともに、国際的に広く用いられている[3]。いずれも記述精神医学であり[4]、「特定の状態が特定の期間に存在する」という具体的な診断基準を設けた操作的診断基準に属する。疾病の解明に加え、各々の医師等の間における結果の比較を可能とし、また、疫学的調査に有用である。「したがって、極言すれば、診断基準は元々、個々の患者での診断を正確に行うために作られたものではない」(塩入俊樹・岐阜大学精神科、当時) と言うことも出来る[2]

明示的な診断基準がないため、以前の診断基準では、アメリカと欧州、また日本での東西によって診断の不一致が見られた[1][2]。このような診断の信頼性の問題により、明示的な診断基準を含む操作的診断基準が1980年のDSM-IIIから採用され、操作主義の精神医学への導入であり画期的ではあった。一方で、恣意的に適用されてはならないといった弱点はいまだ存在する[1]。依然として、どの基準が最も妥当性があるかという問題の解決法を持たず、他の診断基準体系との間で診断の不一致が存在するため、原理的に信頼性の問題から逃れられないという指摘が存在する[1]

DSMは、その日本語訳書において「精神障害/疾患の診断・統計マニュアル」と訳されている。「精神障害/疾患の分類と診断の手引」の訳は、DSMの早見表のものである。最新のDSMは第5版で、2013年5月18日に出版された。日本語訳は2014年6月30日に「DSM-5 精神疾患の分類と診断の手引」は同10月23日に出版された。

DSMは精神医学上の診断カテゴリーと基準の標準化に貢献したとして称賛されてきたが、一方で論争と批判も生み出した。批判者には、アメリカ国立精神衛生研究所(NIMH)も含まれ、DSMは非科学的で主観的なシステムを叙述するものだと主張している[5]。診断カテゴリの妥当性 (統計)英語版信頼性 (精神測定)英語版、外面的な症状に依存すること、カテゴリー間および正常とのあいだの人為的な境界線の使用、文化的バイアスの可能性、人としての苦悩を医療の対象としてしまうこと--これらに関する諸問題が、現在も存在しつづけている[6][7][8][9][10][11]

DSMの出版には厳格な著作権管理が行われ、アメリカ精神医学会は年間500万ドル以上、通算1億ドル以上をもたらしている[12]

用途

多くの精神福祉の専門家は、患者を評定した後、確定と患者の診断を伝える手助けにこのマニュアルを用いる;一般的にアメリカにおける病院やクリニック、保険会社は患者を治療するためにDSMの診断を要求する。DSMはこのように臨床的に広く用いられ、また患者のカテゴリーとして研究目的で診断基準が用いられる。特定の障害における研究は、障害のためのDSMの基準の一覧に一致する症状を有する患者を募集する。66か国での精神科医の国際的調査が、ICD-10[要リンク修正]とDSM-IVの使用を比較し前者が臨床診断に、後者は研究での評価により頻繁に用いられていた[13]

DSM-5と、以前の版は、アメリカ精神医学会(APA)の登録商標である[7][14]

DSMは単なる診断基準であり、さらに客観的な指標として得点化する場合には評価尺度が用いられることがある。うつ病におけるハミルトンうつ病評価尺度のような特定疾患に対応したものが存在する。

なお、日本国内には、診断基準にDSMではなく、ICD-10を採用している病院もある。日本の行政においてはICD-10が用いられている[15]

統計

DSMはICD-10における「精神および行動の障害」にほぼ相当する。DSMの「Mental Disorder(精神障害)」は非常に幅広い概念である。DSM-IVでは374種類の障害が含まれる[注 1]。したがって、DSMに記載されたあらゆる精神障害の有病率を合計すると、著しく高い数値となってしまう。また、精神障害の有病率を調査する場合、特定の障害に絞り込んで調査することが一般的である[注 2]

2005年、WHO世界精神保健調査は、DSM-IVの4つの診断カテゴリに含まれる19種類の(軽症例を含めた)障害について、米国人の生涯有病率[注 3]を46.4%[注 4]、12ヶ月有病率[注 5]を26.2%[注 6]と報告している[18][16][17]

歴史

アメリカ合衆国における精神障害の分類を発達させる初期の推進力は、統計情報の収集の必要性であった。最初の公的な試みは1840年アメリカ合衆国人口調査英語版であり、「白痴/狂気」のただ1つのカテゴリーが用いられた。3年後には、アメリカ統計学会アメリカ合衆国下院に対して公に抗議し、多くの町でアフリカ系アメリカ人の全員が精神異常とされているなどの誤りが指摘されたが、基本的には役に立たなかった[要出典]

1844年には、精神異常のためのアメリカ施設医療管理協会(en:Association of Medical Superintendents of American Institutions for the Insane)が組織され、1892年にアメリカ医療心理学会(American Medico-Psychological Association)に改名し、1921年に現在のアメリカ精神医学会(American Psychiatric Association)となる[要出典]

エドワード・ジャービスと後にフランシス・アマサ・ウォーカー英語版は、人口調査を1870年の2巻から、1880年の25巻にまで拡大した。フレデリック・H・ワインが指名され書いた582ページの巻書は、「第10回人口調査を反映したアメリカ合衆国人口の不全者、依存症と非行者分類の報告」(Report on the Defective, Dependent, and Delinquent Classes of the Population of the United States, As Returned at the Tenth Census, June 1, 1880)と名づけられた(1888年に出版された)。ワインは精神疾患の7区分を用いた:認知症(dementia)、飲酒癖(en:Dipsomania、アルコールの渇望の制御不能)、てんかん(epilepsy)躁病(mania)、うつ病(melancholia)、偏執狂(monomania)、不全まひ(paresis)。これらの区分は協会に採用された[19]

1917年に、精神衛生国家委員会(National Commission on Mental Hygiene)と共に、APAは精神病院のため新しいマニュアルを開発し、『精神異常のために施設で使用する統計のマニュアル』(Statistical Manual for the Use of Institutions for the Insane)と命名された。これは22の診断が含まれ長い年月にわたりAPAによって改定されることになる[20]ニューヨーク医学アカデミー英語版と共に、APAはアメリカの全般的な医療指針における精神医学的な用語集の小区分を提供し、その『疾患の標準分類用語集』(Standard Classified Nomenclature of Disease)は「スタンダード」と呼ばれる[21]

DSM-I (1952年)

第二次世界大戦では、兵士の選別、処理、評価、治療において米国の精神科医の大規模な関与が見られた。このことは、精神科施設や伝統的な臨床的な視点から焦点を移動させた。精神科医の准将ウィリアム・C・メニンガー英語版が率いる委員会は、メディカル203と名付けられた新しい分類構想を開発し、それは1943年に軍医総監・オフィス英語版の主導で陸軍省技術告示として刊行された[22]。DSM-Iの序文にはアメリカ海軍が独自のいくつかの小さな改定を行ったと記されている。兵役から帰還した精神科医によって多くの病院などに導入された[要出典]

1949年に、世界保健機関疾病及び関連保健問題の国際統計分類(ICD、International Statistical Classification of Diseases)の第6版を公表し、この時はじめて精神障害の節が設けられた。DSM-Iの序文には軍の用語集に似た慣習で分類されていると記されている。多くの文章はメディカル203と同一であった[22]。このマニュアルは130ページで106の精神障害が一覧にされた[23]。そこには「人格障害」(personality disturbance)のいくつかの分類が含まれ、「神経症」(神経質、自我異質的英語版)とは区別された[24]。同性愛者は1974年5月まで、DSMに残った[25]

DSM-II (1968年)

1960年代、精神疾患自体の概念に多くの課題が存在した。これらの課題はトーマス・サズ英語版のような精神科医からもたらされ、彼の主張は精神疾患は、道徳的な衝突を偽装するために用いらている神話であるということである;アーヴィング・ゴッフマンのような社会学者からは、精神疾患は、単に非体制者を社会的に決め付け制御する方法の例であるとされた;行動主義心理学者は、識別できない現象であるという精神医学の原理的な信頼性に挑んだ;また同性愛権利活動家からは、同性愛を精神障害として記載するAPAを批判した。ローゼンハン実験が『サイエンス』誌にて公開され多くの注目を集め、精神医学の診断の有効性における攻撃だとみなされた[26]

とはいえ、APAはICD(第8版、1968年)の精神障害の章の次の重要な改定と密接に関連しており、そのことはDSMの改定版の推進を決定した。そして1968年に公開され、182の障害が挙げられ、134ページの長さであった。DSM-Iとかなり似ていた。「反応」(reaction)の用語は破棄され、「神経症」(neurosis)の用語は維持された。DSM-IもDSM-IIも、主として精神力学的精神医学が反映されていたが[27]クレペリンの分類の手法から生物学的な視点と概念を含んでいた。特定の障害に対する症状は詳細には規定されなかった。多くは、神経症と精神病との区別に基づく、葛藤による広い反映や生活の問題への不適応な反応とみなされた。(概略として、不安/うつは、大きく現実に触れており、幻覚/妄想は現実から切断され生じている) 社会学と生物学的な知識が組み込まれ、正常と異常の間の境界は明確には強調されなかった[28]。人格障害が感情的苦痛を伴わなかったという見解は破棄された[24]

影響力のある1974年の論文は、ロバート・スピッツァージョセフ・L・フレイス英語版によるもので、彼らはDSM第2版(DSM-II)が信頼性の低い手段であることを実証した[29]

DSM-II第7版、1974年

ロナルド・バイエルが記述しているように、精神科医と同性愛権利活動家については、APAに対する同性愛権利活動家の明確な抗議が、サンフランシスコで大会が開かれた1970年にはじまった。活動家は、スピーカーを遮断したり、同性愛を精神障害とみなす精神科医を罵ることで大会を邪魔した[30]

この活動は、1960年代からの精神医学的な診断の正当性に挑んだ広い反精神医学運動の文脈で生じた。反精神医学活動家は同じAPAの大会に抗議し、標語や知的基盤を共有した[31][32]

DSM-III (1980年)

1974年、DSMの新しい改定版を作成するという決定がなされ、ロバート・スピッツァーが特別委員会の委員長に選出された。きっかけは、DSMの用語集を世界保健機関が出版する疾病及び関連保健問題の国際統計分類(ICD、International Statistical Classification of Diseases)と一致させるというものであった。この改定版は、スピッツァーと彼の選出した委員会のメンバーの影響力と管理の下で、はるかに広い委任となった[33]。 ひとつの目標は、有名なローゼンハン実験を含む多くの批判を受けて精神医学の診断の均一性と信頼性を改善するというものであった。精神医学的な診断が欧州とアメリカ合衆国で著しく異なっていたことを示した研究の後に、アメリカと他の国とで標準的な診断の実施の必要性も存在した[34]

この基準では、主にセントルイス・ワシントン大学ニューヨーク州精神医学研究所英語版における研究志向的な精神医学のグループによって開発されていた研究診断基準(RDC)とフェイナー基準英語版から、多くの精神障害が採用された。 他の診断と、障害の新しい分類の可能性は、スピッツァーを委員長して委員会の一致によって認められた。重要な目的は、病因学的な仮説よりも、口語の英語による記述的な言葉遣いに基づく分類であるが、その分類手法は特定の基礎病理を反映した分類では、それぞれの固有の症状の様式を想定している。精神力学生理学の見解は破棄され、規制立法のモデルをとった。新しい「多軸評定」は、単なる診断よりも統計的な集団調査により適するようにと意図された[27]人格障害は、精神遅滞と共にII軸に位置づけられた[24]

最終的に1980年に出版されたDSM-IIIは、494ページと265の診断カテゴリーを挙げた。国際的に広く急速に用いられ、精神医学における革命あるいは変革と呼ばれた[27][28]。一方で、ロバート・スピッツァーは、後にアダム・カーティス英語版とのインタビューで、自らの仕事を批判し、深刻な精神的な問題のないであろう人口の20~30%の医療化につながったことに言及した[35]

DSM-IIIができると、アメリカでもイギリスでも、(抗うつ薬プロザックの)イーライリリーが資金援助を行い、アメリカではうつ病を啓発するために小冊子800万部とポスター20万枚が配布された[36]

DSM-III-R (1987年)

1987年、DSM-III-RがDSM-IIIの改定版として出版され、これはスピッツァーが監督したものである。カテゴリーは改名また再編され、基準には大きな変更があった。6つのカテゴリーが削除され他のものが追加された。議論となった診断は、月経前不快気分障害(pre-menstrual dysphoric disorder)と自虐的人格障害のようなものであり、検討され破棄された[27][37]。DSM-III-Rは総計して292[38]の診断を含み、567ページの長さであった[要出典]

DSM-IV (1994年)

1994年、DSM-IVが出版され、886ページ中に374[38]の障害が挙げられた。編集委員会の委員長はアレン・フランセスであった。4人の心理学者を含めた27人での運営委員会が導入された。この運営委員会は、5~16人からなる13の作業グループを形成した。各々の作業グループには、約20人の助言者が居た[要説明]。この作業グループは、3段階の工程を実施した:最初に、各々のグループは、広範な文献レビューを行う;次に、研究者からデータを要求し、保守的に受けると共に基準が変更を要するかの決定を分析する;最後に、臨床診療の診断に関連する他施設実地試験を行った[39][40]

DSM-IV-TR (2000年)

2000年には、DSM-IVの「テキスト改訂版」(text revision)が出版され、DSM-IV-TRとして知られている。診断カテゴリーと診断のための大部分の基準に変更はなかった[41]。各々の診断における追加の情報の一節と、ICDとの整合性を保つための診断コードが更新された。5軸からなる体系をまとめた。第1軸は臨床的障害を取り入れる。第2軸はパーソナリティ障害精神遅滞を取り扱う。残りの軸は、医療的な評価のための診断基準の機能的な必要性に応じ、医学的、心理社会的、環境的、また幼少期の要因を取り扱う。DSM-IV-TRは374[38]の診断を含み、943ページの長さであった[要出典]

次のDSM-5において定義が変更されることが判明した結果、APAに対して根拠に基づく医療の方法を用いて再調査を行うべきという50の精神福祉団体による請願が出された[42]。一方で、APAはそれに関して声明を出していない[43]

DSM-5 (2013年)

DSMの第5版、DSM-Vは2012年12月1日に、アメリカ精神医学会(APA)の理事委員会にて承認され[44]、2013年5月18日に公開された[45]。 DSM-5は広範に診断が修正され、一部では定義を広げ、他の場合には定義を狭めた[46]。DSM-5は、20年ぶりとなるマニュアルの主要な改定で[47]ローマ数字方式は、改定番号を明確にするために中止されている。第5版における大きな変更は、統合失調症の亜型の削除案である[48][49]。改定作業中に、APAのウェブサイトは、見直しと議論のためにDSM-5のいくつかの一節を定期的に掲載していた[50]

障害定義

一般的には「Mental Illness(心の病)」と呼ばれるが、専門的には「Mental Disorder(精神障害)」が使われる。DSMでは、「Mental Disease(精神疾患)」ではなく、「Mental Disorder(精神障害)」という用語を採用している。日本語版ではDSM-IV以降、「Mental Disorder(精神障害)」が「精神疾患」に訳し変えられた[51]。精神医学用語の「疾患」は本項の「disorder(障害)」という概念であり、医学用語の「disease(疾患)」とは異なる概念である。前者は行動科学上の異常を意味し、後者は病理学上の異常を意味している[52]。また、「disorder(障害)」は「disease(疾患)」より軽い失調状態を意味している[53]。精神障害とは苦悩や異常を伴う心理的症候群または行動様式である[54]

「正常」「精神障害」の境界線が曖昧であることは、「精神障害」が存在しないことを必ずしも意味しない。また、20世紀末における生物学的精神医学の立場は、「すべての精神活動は、脳の活動に由来する。精神疾患を特徴づける行動障害は、その原因が環境起源であっても、脳機能の障害である[注 7]」とするものであった[56][55]。実際、近年においては、遺伝子解析、認知機能、脳画像、精神生理学、精神薬理学、動物モデル、血液生化学検査などを組み合わせた統合的なアプローチが行われ、それらから得られた生物学的な所見の診断への応用研究により、病因・病態研究から、新薬の開発と臨床試験も行われていると、富山大学医学部 (2012年当時) の倉知正佳は述べている[56]

2013年、DSM-IVのアレン・フランセス編纂委員長は、精神障害は本物の病気でも架空の神話でもなく、両者の中間だと説明している[57]

DSM-III及びDSM-III-R

DSM-III、DSM-III-Rの精神障害の定義は、DSM-IVと基本的に同じである[58][59][60][61]

DSM-IV及びDSM-IV-TR

DSM-IVの「精神障害の定義」は「どのような定義によっても『精神障害』の概念に正確な境界線を引くことができないことを認めなければならない[注 8]」と注意している[60][61]。各種精神障害は、臨床的に有意な行動、心理的症候群、様式として概念化されているが[62][60][61]、死別反応等の予測可能で文化的に容認された反応であってはならない[62][60][61]。政治的、宗教的、性的等の逸脱した行動や社会的な葛藤も個人的な機能不全がなければ精神障害ではない[62][60][61]。各診断カテゴリが一つの実体を表わしているという仮定はなく[63][60][61]、ある精神障害と他の精神障害、精神障害と正常は連続的に繋がっている[60][61]。また、同一の精神障害を有する各人が全ての重要な点で似ているという仮定もない[60][61]。統合失調症患者(schizophrenics)が存在するのではなく[63][60][61]、統合失調症 (schizophrenic disorder)の診断基準を満たす症状を有する人々がいるだけである[63][60][61]

DSM-IVでは「統合失調症患者」という人間を分類する表現は誤解を招くため[60][61]、「統合失調症を有する人」というぎこちないがより正確な表現を採用するとしている[60][61]

DSM-IV-TR

カテゴリー化

DSM-IVはカテゴリー分類体系である。そのカテゴリーは原型であり、その原型に近似した関係にある患者が、その障害を有すると考えられる。DSM-IVは「精神障害のそれぞれのカテゴリーは、絶対的な境界を持つまったく別の実態であるという前提はない」と記している。しかし、孤立した、軽度かつ非基準的な(障害に挙げられていない)症状は重要とされていない[64]。修飾子が時に用いられ、それは、ある障害の軽度、中等度、重度の状態といったものである。その障害のほぼ半数は、症状が「社会的、職業的、あるいは他の機能的な領域において、臨床的に有意に苦痛あるいは障害」となっているのに十分でなければならない。 とはいえ、チック症から苦痛基準と、いくつかの性的倒錯自我同調的英語版に自然であるので削除した。それぞれの障害のカテゴリーには、ICD-10手続コード化方式英語版を受け継ぐ数値コードがあり、(保険を含む)医療サービスの管理目的で用いられる[要出典]

多軸評定

DSM-IVは、それぞれの精神医学的な診断を障害の異なる側面あるいは身体障害に関した5次元(軸)に構造化している。

  • 第I軸:パーソナリティ障害や精神遅滞を除いたすべての心理的な診断。
  • 第II軸:パーソナリティ障害と精神遅滞。
  • 第III軸:一般的な医学的状態;急性の医学的状態と身体障害。
  • 第IV軸:その障害の一因となっている心理社会的および環境的な要因。
  • 第V軸:機能の全体的評定尺度あるいは、18歳未満の子供と青少年のための小児用総合評価尺度英語版

第I軸障害は以下を含む、うつ病不安障害躁うつ病ADHD自閉症自閉症スペクトラム障害神経性無食欲症神経性大食症統合失調症

第II軸障害はパーソナリティ障害を含む:妄想性パーソナリティ障害スキゾイドパーソナリティ障害統合失調型パーソナリティ障害境界性パーソナリティ障害反社会性パーソナリティ障害自己愛性パーソナリティ障害演技性パーソナリティ障害回避性パーソナリティ障害依存性パーソナリティ障害強迫性パーソナリティ障害;さらに精神遅滞。

第III軸障害は以下を含む、 ほかの障害に類似した現存する病気あるいは発現している症状を悪化させうる、脳損傷や他の医学/身体的な障害。

注意

DSM-IV-TRは、連邦政府の法的な命令の実現のために作成されたものであるので、臨床研修を欠いた人による使用はその内容の不適切な活用につながる、と言明する。診断基準の適切な使用には豊富な臨床研修を必要とし、またその内容は「料理本を使うように簡単に適用することはできない」[65]。 APAは、診断名は、専門家の間での「使いやすい略語」として主に用いることに言及している。 非専門家には情報を入手するためにだけDSMを閲覧すべきと忠告している[要出典]

批判

アメリカでは、DSM-IIIが登場した1980年頃から、精神科を志望する精神科医が減少している。この事象は、DSMのマニュアル化された診断がかえって精神医学の面白みをなくしてしまったからだとする意見もある[66]

1998年、アメリカ国立精神衛生研究所英語版統合失調症研究センターで所長を務めたこともあるローレン・モシャー博士は「DSM-IVは、精神医学が概して医学によって認められるように模造して作ったものである。内部の者はそれが科学的というよりも政治的な書物であると知っています。…DSM-IVはその最大の欠陥にもかかわらず権威ある書物となり、カネを生み出すベストセラーになった[注 9]」と述べている[67][68]

2009年、『医学書院医学大辞典第2版』は「DSM」の項目内で、日本においてもDSM-IIIから賛否両論だが、操作的診断基準の一つとして広く併用され始めていると説明している[69]

2009年、帝京大学内海健准教授は「言ってみるならば、DSMとはきわめて高度な議論の末に、とてつもなく粗末な妥協の産物が産み落とされた、そうした代物である」と述べている[70]

2011年には、イギリス心理学会がAPAに対して、DSM-5は賞賛よりも懸念があるとし、大部分が症状を伴う社会規範に基づいており、すべて主観的な判断に頼っているとし、数値がなく、多くの研究者が診断の信頼性、妥当性、予後値、併存疾患の問題に悩まされていることを伝えた[71]

これに続き、アメリカ心理学会の32部門・人間性心理学会は、DSM-5修正のための同盟を組織し[72]、1週間で2,000人以上の心理学者、心理士、精神衛生の専門家の署名が集まった。

2012年の指摘では、記述的精神医学の妥当性を向上させることが不可欠であるとし、DSM-5のような方法では重症度を判断できないため、生物学の多くの分野で広く使用されるような数学的モデルを使用するよう提案を行っている[4]

2013年、大野裕(DSM-IV日本語訳者である)は、DSM-5で軽度の障害を含めたため、人間が自然に持っている「こころの力」を見落とす危険性が高くなっていると主張する[73]

2014年の日本精神科診断学会における挨拶において、会長である上野修一は、現在の(DSM等の)操作的診断基準について、誰でも分かりやすく診断できる点で高く評価される一方、生物学的な基盤に基づかないこと、治療に直結しないこと、拡大解釈されていることを弱点として挙げている。とくに、診断と治療が遊離している点に関しては、現在の診断基準が経年疲労している印象があると述べている[74]

DSM-IIIRと同じ時期に出た抗うつ薬のフルオキセチン(プロザック)は、うつ病の定義のあいまいさから売り上げが急増し、DSMが製薬会社のマーケティングに使われてしまう危険性が認識された[75]。アレン・フランセスは、慎重に作成したDSM-IVによってADHDの診断が15%増加すると見込んだが、実際には3倍に増加し、小児の双極性障害は40倍に、自閉症は20倍に、成人の双極性障害は2倍となった[76]。このような診断のインフレはとどまるところを知らず、DSM-5の登場によりさらになる過剰診断と不適切な診察が増加されると推察される[77]。なぜなら、DSM-IIIの最高責任者であったロバート・スピッツァーが指摘するようにDSM-5では、議論の透明性をなくしたため安全で質の高いものに仕上げることができなくなり、アレン・フランセスの指摘するように、このDSM-5は正常な人にまで誤って診断を下すという診断のインフレを促し、適切でない薬の使用を助長する危険性をはらんだまま出版に至ったのである[78]

2013年、アメリカ国立精神衛生研究所(NIMH)の所長であるトーマス・インセルによれば、DSM-5は現在において最良のものではあるが科学的妥当性を欠いており、精神医学的な診断を作り替えるための研究領域基準(RDoC、Research Domain Criteria)の作成を進めている[79][80]。 臨床的な合意に基づいた現在の診断は症状に頼っており、 定義は神経生物学を反映しておらず[81]、診断カテゴリーは神経科学や遺伝学の調査結果と一致しておらず、こうした問題は生物学的な指標に基づかない初期の診断システムにおいて発生する既知の問題である[82]。RDoCは、神経科学や遺伝学に基づくだけでなく、治療成績の向上なども視野に入れている[82]

DSMは、症状の合意に基づいて診断するため、例えば内科等の病気とは異なり、客観的な計測基準を持たず、まだ診断の信頼性妥当性が不足している[80][1]。DSMは、現状では、生物学的な基盤に基づいておらず[74]、生物学的な指標を持たない[82]。また、神経生物学を反映しておらず[81]、カテゴリは神経科学や遺伝学の調査と一致していない[要出典]

2013年に、DSM第4版の作成委員長であるアレン・フランセスは2冊の著作を出版した。『正常を救え:精神科の診断の暴走、DSM-5、大手製薬会社、そして当たり前の生活の医療化に反対するある内部関係者の抵抗』[83]と『精神科診断のエッセンス』[84]である。『正常を救え』では、精神障害を客観的に診断できる検査は存在しないため懸念があり、実際に製薬会社に大きく利用され、診断の大幅な増加と過剰診断、薬の過剰摂取事故につながっていることを指摘している[85][注 10]。『精神科診断のエッセンス』は基本的には過剰診断にならないようにするための諸注意であるが、DSMをバイブルのようにして奴隷のように従うものというよりは指針でしかなく、異なった文化では異なった分類さえも必要となる可能性もあり、患者の役に立つよう柔軟に役立てるようとの日本向けの序文があり[86]、過剰診断や流行の診断に注意し、さらにDSM-5には安全性と科学的妥当性が十分ではなく、科学的根拠に基づくものでもない[要検証]ため、治療を予測できることもないとし、診断の不正使用に注意すべきことが警告されている[87]。このフランセスの2冊の日本語訳者には、DSM-IV日本語訳者である大野裕も名を連ねる。斎藤学のような精神科医も「診断のインフレ」と題する論文を公開しており、この言葉を広めたフランセスに言及し、また双極性障害といった診断の流行、薬価の高い薬をより有病率の高い障害へと拡大し、人気講師による講習会を通して、精神科に売り込んでいく様を描写している[88]

フランセスによれば、精神医学的な診断は、客観的な生物学的検査でなく、誤りがちな主観的な判断に頼っているためである[43]。新しいDSM-5は十分な科学的根拠を欠いており、新しい精神科の薬よりも危険性が高い可能性がある[89]。製薬会社は、DSMの緩い診断基準を使ってマーケティングしてきたし、診断が拡大されれば製薬会社の販売促進につながり、有害な副作用を持つ薬の不要な使用が増加してしまう[89]。障害の早期発見は素晴らしいが、障害を診断できるとされてしまえば、現在の非特異的な診断手段と潜在的に危険な治療法の組み合わせでは間違いであり、その前に非常に特異的な、ほぼ確実な生物学的検査と、リスク/ベネフィット比が確実に良くなる必要があるとしている[90]。まだ診断の安全性と有効性を監視するための効果的なシステムは存在していない[89]

定義・病因

1970年代、100年経っても病因が不明なため、精神病は医学的な疾患と異なると見なされ、精神病の存在自体が議論されていた[91]

1998年、ミシガン大学エリオット・ヴァレンスタイン名誉教授は、精神障害生化学的、解剖学的、機能的な指標が発見されているという主張について、過去から現在の研究例を交え、実際には証明されていないと説明している。また、精神障害の主な原因について、心理社会的要因と生物学的要因が精神保健の専門職の意見を二分しており、一方が優勢になると他方が盛り返し、交互に優勢になることが繰り返されてきたと述べている[92]

2000年、ニューヨーク州立大学トーマス・サズ英語版名誉教授は、疾患(disease)の病理学的定義を身体の病変(物質的異常)と説明し、脳は身体器官なので疾患になり得るが、精神は身体器官ではないため、比喩的な意味を除いて疾患にはなり得ないと述べている。精神的病気は行動科学上の存在であって病理学上の存在ではなく、精神的病気の有無を証明できる客観的検査もないと指摘している。また、客観的検査によって証明された場合は精神的病気から身体疾患に再分類されると指摘し、実例として、「神経梅毒」「脳損傷」「中毒症」「感染症」「てんかん」を挙げている[52]

2002年、アメリカ精神医学会はDSM-Vに向けて『DSM-V研究行動計画』を出版した。同書は、DSM-III以降の「精神障害の定義」について、精神障害と正常を画定できず、実用的ではないと評している。また、精神障害の検査指標の候補提案は多数あるが、発見された指標は一つもないと説明している。[93]

2005年、日本においては、精神障害の診断に光トポグラフィー神経科学的な客観的根拠を持たせようとする研究がある[94]。ただし、現在の神経科学等では、脳内の物理現象がどのように精神障害として具現化するのか因果関係が未だはっきりしない点も残っている。

2010年、京都府立医科大学大学院の中前貴(医学博士[95])は、精神障害の病因について、生物学的、心理学的、社会学的要素に対し理論中立的な立場を取る「生物心理社会モデル英語版」が現在の精神医学における中心的モデルであり、1970年代に体系的に発展し、DSM-IIIに導入されたと述べている[96]。DSMでは多軸評定によって生物心理社会的アプローチを提供している[97][98][99]

2010年、DSM-IVのアレン・フランセス編集委員長は、WIRED英語版で、「精神障害の定義は存在しません。戯言です。つまり、定義などできないということです[注 11]」などと発言している[100]

2011年、『ネイチャー』誌の論説は、精神障害の客観的指標(生物学的指標)に関する主張は多数あるが、脳波fMRI光トポグラフィ等のいずれも追試による再現性が低いと指摘している[101]

2012年、DSM-IVのアレン・フランセス編纂委員長は「残念なことに、精神医学における生物学的検査というのは未だにありません。…現在のところ、症状記述に頼るしかありません」と述べている[102]。また、DSMの改訂後に定義が拡大解釈されたことについて、「米国では数多くの勢力が(DSMの)変更点を丹念に研究しながら、どのようにしたら自分たちが考えている特定の目的に合わせて曲解できるかと待ちかまえているのです」と述べている[103][104]

2013年、DSM-5のデヴィッド・クッファー編纂委員長は、精神障害の生物学的、遺伝学的な指標の同定には程遠いと述べている[105][106]

2013年、国立精神・神経医療研究センター樋口輝彦理事長・総長は、精神障害の原因について、「ほとんどわかっていないのが現実です」と述べている[107]

2014年、日本精神神経学会の岩田仲生理事は、精神障害の生物学的研究について、「精神医学研究にみるべきものはない,そもそもレベルが低い,報告される内容も真理とかけ離れており再現性も乏しい,研究費を投入するだけ無駄ではないか〔ママ〕」といった指摘は概ね事実だが、進歩には研究が欠かせないと述べている[108]

有病率

1994年、カリフォルニア大学のスチュアート・カーク(Stuart Kirk)教授とカリフォルニア州立大学のハーブ・カチンス(Herb Kutchins)教授は、DSM-IVに関して、精神障害の診断には客観的検査(生物学的検査)がないため、アメリカ精神医学会の裁量で新たな障害を大量に作り出すことが可能であり、また、誰もが精神障害になり得ると指摘している。「このマニュアルにもとづいて、ミシガン大学が今年、調査を実施した。米国人の半数が精神障害を有するという結果が出たが、これは何ら驚くべきことではない[注 12]」と述べている[63][109]

訳語

1950年、精神衛生法において「精神障害」の概念が提起され、「精神障害」の語は行政や医療関係者の間で法律用語として定着した[110]

1988年、DSM-III-R日本語版は「Mental Disorder」を「精神障害」と訳している[111]

1993年、精神保健法(旧精神衛生法)における「精神障害者」の定義が「精神病者(中毒性精神病者を含む。)、精神薄弱者及び精神病質者」から「精神分裂病、中毒性精神病、精神薄弱、精神病質その他の精神疾患を有する者」に変更され、「精神疾患」の語も使用されるようになった[112]

1996年、DSM-IV日本語版は「Mental Disorder(精神障害)」を「精神疾患」に訳し変えた[51]

2003年、文部科学省は医学用語の標準化に向けて『学術用語集医学編』を日本医学会との共編で出版した[注 13]。同書は「Mental Disorder」「Mental Disease」「Psychosis」を順に「精神障害」「精神疾患」「精神病」と訳している。また、「Mental Illness」という用語はない。[115][114]

2007年、日本医学会は医学用語の標準化に向けて『日本医学会医学用語辞典英和第3版』を出版した[注 14]。同書は「Mental Disorder」「Diagnostic And Statistical Manual of Mental Disorder」を「精神障害」「精神障害の診断と統計の手引き」と訳している。また、「Mental Disease」「Mental Illness」を共に「精神疾患」と訳している。日本医学会分科会の日本精神神経学会も作成に参加している[117]

2008年、日本精神神経学会は精神科学術用語を収載した『精神神経学用語集改訂6版』を出版した。同書は「Mental Disorder」「Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders」を「精神障害」「精神障害の診断と統計の手引き」と訳している。また、「Mental Disease」「Mental Illness」「精神疾患」という学術用語はない[118]日本神経学会の『神経学用語集改訂第3版』も同じである[119]

2013年、元関西学院大学教授で精神科医の野田正彰は、DSM-IV日本語版で「Mental Disorder(精神障害)」が「精神疾患」に訳し変えられた結果、疾患(disease)と混同され、診断が確立したかのような誤解が蔓延していったと指摘している。また、意図的な誤訳と評している[120]。他書でも同様の説明をしている[121]

2013年、東京都立松沢病院の針間博彦は日本精神神経学会学会誌で、「障害」のスティグマ化は「disorder」「disability」を共に「障害」と訳したことが一因とも考えられると述べている。DSM-IV日本語版はスティグマ化した「障害」を避けて「Mental Disorder(精神障害)」を「精神疾患」に訳し変えたのかもしれないが、「疾患(disease)」であるかのような誤解を与えかねないと指摘している。「disorder」「disability」「disease」の混同を防ぐため、訳語の変更を提案している[122]

2014年、DSM-5日本語版は「訳者の序」で、最大の課題は用語統一だが、DSM-IVの翻訳作業と違って日本精神神経学会の支援を得られたと説明している。日本精神神経学会が編集した「DSM-5 病名・用語翻訳ガイドライン(初版)[注 15]」や『精神神経学用語集改訂6版[注 16]』に準拠しており、その他の新用語は監訳者の責任で訳している[123]。ただし、書名の『精神疾患の診断・統計マニュアル[124]』『精神障害の診断と統計の手引き[125]』のように、準拠していない用語もある。

DSMの日本語訳

Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders の訳として、「精神障害の診断と統計の手引き[126][127][128][125]」「精神障害のための診断と統計のマニュアル[129]」「精神疾患の診断と分類の手引き[130]」などがある。日本語訳書は「精神障害/疾患の診断・統計マニュアル」と訳している。単にDSMと呼ぶときは、これを指す。DSMには他の障害との鑑別のための注釈が含まれる。

「精神障害/疾患の分類と診断の手引」と訳されているものは、DSMの早見表であるQuick Reference to the Diagnostic Criteria from DSM の訳である。つまり「DSMの診断基準の早見参照」である。DSM-III-Rでは、「早見参考書」のいわゆる「ミニD」として言及されている[131]。『DSM-IV精神疾患の分類と診断の手引』の原著者の序において、日本語訳者による序においても、いわゆる「ミニD」と説明され、分類と診断基準だけを収録したものである[132]

#参考文献を参照のこと。

脚注

  1. ^ 例えば、日本の障害年金の認定要領(「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」 平成25年6月1日改正 p. 43)にあるような狭義の<精神障害>(「統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害」、「気分(感情)障害」、「症状性を含む器質性精神障害」、「てんかん」、「知的障害」、「発達障害」)などとは大きく異なる点に注意しなければならない
  2. ^ WHO世界精神保健調査(WMH)など
  3. ^ 調査時点までの生涯に診断基準を満たす症状がある人の割合。
  4. ^ 「不安障害(8種類)」が28.8%、「気分障害(3種類)」が20.8%、「衝動制御の障害(4種類)」が24.8%、「物質関連障害(4種類)」が14.6%である。また、「いずれかの精神障害」が46.4%である。[16]
  5. ^ 過去12ヶ月間に診断基準を満たす症状がある人の割合。
  6. ^ 「不安障害(8種類)」が18.1%、「気分障害(3種類)」が9.5%、「衝動制御の障害(4種類)」が8.9%、「物質関連障害(4種類)」が3.8%である。また、「いずれかの精神障害」が26.2%である。[17]
  7. ^ 原文:“All mental processes, ... derive from operations of the brain. ... behavioral disorders that characterize psychiatric illness are disturbances of brain function, even in those cases where the causes of the disturbances are clearly environmental in origin.” [55]
  8. ^ 原文:“it must be admitted that no definition adequately specifies precise boundaries for the concept of ‘mental disorder.’” [60][61]
  9. ^ 原文:“DSM IV is the fabrication upon which psychiatry seeks acceptance by medicine in general. Insiders know it is more a political than scientific document... DSM IV has become a bible and a money making best seller — its major failings notwithstanding.” [67]
  10. ^ DSM第4版の作成委員長であるアレン・フランセスは、『正常を救え』の該当ページにおいて、以下のようなことを例示し指摘している。「診断のインフレ」というのは章のタイトルでもあり、彼によって繰り返し用いられている表現である。彼は「精神疾患の爆発的流行」や「有病率が急上昇する」という表現を用いている。彼はDSM第4版を慎重に作成することでADHDが15%増加すると見込んだが、製薬会社が高価な新薬を出して3倍に増加したため、DSMに「過剰診断」(原文の用語)の警告を載せるべきであったとしている。双極性II型障害の定義には欠点があったため、製薬会社のマーケティングにより、双極性障害は総じて、小児双極性障害は40倍、成人の双極性障害は2倍となり、DSMにこの障害を含めてよかったのだろうかとしている。軽々しい診断が過量服薬を起こしているとか、診断のインフレが多くの薬の処方につながっており、それに伴って起こる過量服薬による死亡が防ごうとされていないという趣旨のことを述べている。
  11. ^ 原文:“there is no definition of a mental disorder. It’s bullshit. I mean, you just can’t define it.” [100]
  12. ^ 原文:“Is it any wonder that a survey this year by the University of Michigan, based on the manual, found that half of all Americans suffered from psychiatric disorders.” [63]
  13. ^ 一般社会の人々を対象とした用語集であり、法令、学会、新聞等で使用される医学用語を収載している[113][114]
  14. ^ 医学・医療関係者による教育、研究、診療、医療行政等における利用を想定しているが、一般利用に向けて一般社会(雑誌、新聞、ラジオ、テレビ、インターネット等)で使用される医学用語にもできる限り対応している[116]
  15. ^ 日本精神神経学会精神科病名検討連絡会「DSM‒5 病名・用語翻訳ガイドライン(初版)」『精神神経学雑誌』第116巻第6号、日本精神神経学会、2014年、429‒457。 
  16. ^ 日本精神神経学会・精神科用語検討委員会編 『精神神経学用語集』 (改訂6版) 新興医学出版社、2008年6月15日。ISBN 978-4880026817

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参考文献

DSM各版

DSM各版の診断基準の早見表

DSMがテーマ

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  • アレン・フランセス 著、大野裕(監修) 編『〈正常〉を救え―精神医学を混乱させるDSM-5への警告』青木創(翻訳)、講談社、2013年10月。ISBN 978-4062185516 Saving Normal:An Insider's Revolt Against Out-of-Control Psychiatric Diagnosis, DSM-5, Big Pharma, and the Medicalization of Ordinary Life, 2013
  • アレン・フランセス『精神疾患診断のエッセンス―DSM-5の上手な使い方』金剛出版、2014年3月。ISBN 978-4772413527 Essentials of Psychiatric Diagnosis, Revised Edition:Responding to the Challenge of DSM-5®, The Guilford Press, 2013.
  • 医学書院DSM-5をめぐって─Dr. Allen Francesに聞く」『精神医学』第54巻、第8号、医学書院、2012年8月http://ej.islib.jp/ejournal/1405102246.html 

その他

関連項目

外部リンク