「〈小市民〉シリーズ」の版間の差分
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: 船戸高校の男子生徒。新聞部に所属し、2年時には部長を務めるが、3年時のあるきっかけを境に、受験勉強も兼ねて引退した。常悟朗とは小学校時代の同級生の間柄だが、特別親しいわけではない腐れ縁の仲。角刈りの顔は四角く、2年の時には体全体も四角くなった大柄な体格で膂力のある男性。 |
: 船戸高校の男子生徒。新聞部に所属し、2年時には部長を務めるが、3年時のあるきっかけを境に、受験勉強も兼ねて引退した。常悟朗とは小学校時代の同級生の間柄だが、特別親しいわけではない腐れ縁の仲。角刈りの顔は四角く、2年の時には体全体も四角くなった大柄な体格で膂力のある男性。 |
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: 正義感と義侠心に溢れ、無骨ながらも誰に対しても正直さで向き合う裏表のない性格で、相手が困ったことになれば率先して行動する。小学生時代の常悟朗を知り、その時は嫌な奴だと思いながらも認めていたが、別々だった中学を経て、小市民を心掛けるようになった常悟朗のことは腹に一物を抱えて性質が悪くなったと否定的に見ている。卑怯なことは見過ごせず、女子の物を盗む輩を良く思っていない。基本的に大雑把だが、思慮深い一面も見せる。小 |
: 正義感と義侠心に溢れ、無骨ながらも誰に対しても正直さで向き合う裏表のない性格で、相手が困ったことになれば率先して行動する。小学生時代の常悟朗を知り、その時は嫌な奴だと思いながらも認めていたが、別々だった中学を経て、小市民を心掛けるようになった常悟朗のことは腹に一物を抱えて性質が悪くなったと否定的に見ている。卑怯なことは見過ごせず、女子の物を盗む輩を良く思っていない。基本的に大雑把だが、思慮深い一面も見せる。小佐内から評されるように常悟朗に頼み事をしたり、時には意図せずに謎を振りまく。前述のように常悟郎とは親友と言える仲ではないが、常悟郎が頼れる唯一の人物であり、彼が助けを求めた時にはすぐさま駆けつけ、共に事件に巻き込まれている。「友達100人」が自慢の交友関係が幅広い姉・千里がいる。 |
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== 用語 == |
== 用語 == |
2015年12月19日 (土) 12:43時点における版
〈小市民〉シリーズ | |
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ジャンル | 日常の謎、青春ミステリ |
小説 | |
著者 | 米澤穂信 |
出版社 | 東京創元社 |
レーベル | 創元推理文庫 |
刊行期間 | 2004年12月 - |
巻数 | 既刊4巻 |
漫画:春期限定いちごタルト事件 | |
原作・原案など | 米澤穂信 |
作画 | 饅頭屋餡子 |
出版社 | スクウェア・エニックス |
掲載誌 | 月刊Gファンタジー |
レーベル | Gファンタジーコミックス |
発表号 | 2007年5月号 - 2009年1月号 |
巻数 | 全2巻 |
その他 | 不定期連載 |
漫画:夏期限定トロピカルパフェ事件 | |
原作・原案など | 米澤穂信(原作) 山崎風愛(構成) |
作画 | おみおみ |
出版社 | スクウェア・エニックス |
掲載誌 | 月刊Gファンタジー |
レーベル | Gファンタジーコミックス |
発表号 | 2010年3月号 - 2011年2月号 |
巻数 | 全2巻 |
テンプレート - ノート | |
プロジェクト | 漫画 |
ポータル | 文学、漫画 |
『〈小市民〉シリーズ』(しょうしみんシリーズ)は、米澤穂信の推理小説のシリーズ。創元推理文庫(東京創元社)より2004年12月から刊行されている。
概要
中学時代に問題事を推理したがる性格で苦い経験をした高校生・小鳩常悟朗と、常吾朗と似た境遇を送った同級生の小佐内ゆきの、「小市民」を目指すために互恵関係を結んだコンビが、平和な高校生活を求めながらも日常の中で発生した事件の謎に挑む様を描く。主人公であり探偵役でもある小鳩常悟朗の一人称で語られるが、もう一人の主人公である小佐内ゆきの心情はブラックボックスにすることがシリーズを続ける方向性となっている[1]。
作品は基本的にはいくつかの短編が組み合わさった、連作ミステリーとなっており、文庫形式で発表されている。『さよなら妖精』が文庫より高価な単行本として発売されたため、次作はデビュー当時のファンである中高生に手に取って貰えるようにという著者の考えにより文庫形式で『春期限定いちごタルト事件』が刊行された。また「小市民」というフレーズはプロット検討段階では存在せず、執筆中にふと浮かび上がり定着したものであり、「元安楽椅子探偵と元ハードボイルド探偵(行動派)の話」が執筆前のコンセプトとなっている[2]。当初は『春期限定―』の単発のみの予定だったが、春という形で上梓したからにはと夏秋冬と続けるシリーズ化され[1]、「春期」「夏期」「秋期」「冬期」の4巻で完結する予定[3]。
シリーズは漫画化もされている。『春期限定いちごタルト事件』は饅頭屋餡子によって『月刊Gファンタジー』(スクウェア・エニックス)にて2007年5月号から2009年1月号まで不定期連載された。『夏期限定トロピカルパフェ事件』は2009年2月に漫画化が発表され[4]、構成/山崎風愛・作画/おみおみによって同誌2010年3月号より連載されていた。
既刊
- 春期限定いちごタルト事件
- 2004年12月24日初版発行 ISBN 4-488-45101-2
- シリーズ第1弾。高校1年の春に起こった出来事を描く。
- 夏期限定トロピカルパフェ事件
- 2006年4月14日初版発行 ISBN 4-488-45102-0
- シリーズ第2弾。高校2年の夏に起こった出来事を描く。
- 秋期限定栗きんとん事件 (上)(下)
- 上巻:2009年2月27日初版発行 ISBN 978-4-488-45105-9 / 下巻:2009年3月13日初版発行 ISBN 978-4-488-45106-6
- シリーズ第3弾。高校2年の秋から高校3年の秋までに起こった出来事を描く。
コミック版
作画:饅頭屋餡子、スクウェア・エニックス、Gファンタジーコミックス
- 春期限定いちごタルト事件(前)2008年2月27日発売 ISBN 978-4-7575-2230-5
- 羊の着ぐるみ(初出:『月刊Gファンタジー』2007年5月号)
- For your eyes only(初出:『月刊Gファンタジー』2007年9月号・10月号)
- おいしいココアの作り方(初出:『月刊Gファンタジー』2007年12月号)
- 春期限定いちごタルト事件(後)2009年2月27日発売 ISBN 978-4-7575-2487-3
- 小市民の休日(初出:『月刊Gファンタジー』2008年4月号、コミック版の原作書き下ろし)
- はらふくるるわざ(初出:『月刊Gファンタジー』2008年8月号)
- 孤狼の心(初出:『月刊Gファンタジー』2008年11月号・12月号、2009年1月号)
構成:山崎風愛・作画:おみおみ、スクウェア・エニックス、Gファンタジーコミックス
- 夏期限定トロピカルパフェ事件(前)2010年8月27日発売 ISBN 978-4-7575-2983-0
- 〜まるで綿菓子のよう〜(初出:『月刊Gファンタジー』2010年3月号)
- 狐、狼の皮をかぶる 〜シャルロットだけはぼくのもの 前編〜(初出:『月刊Gファンタジー』2010年4月号)
- スイーツ戦線異常あり 〜シャルロットだけはぼくのもの 後編〜(初出:『月刊Gファンタジー』2010年5月号)
- バーガー屋で会いましょう 〜シェイク・ハーフ 前編〜(初出:『月刊Gファンタジー』2010年6月号)
- いわゆるひとつの堂島マジック 〜シェイク・ハーフ 後編〜(初出:『月刊Gファンタジー』2010年7月号)
- 本日、休甘日 〜激辛大盛〜(初出:『月刊Gファンタジー』2010年8月号)
- 夏期限定トロピカルパフェ事件(後)2011年2月26日発売 ISBN 978-4-7575-3152-9
- 消えた小市民 〜おいで、キャンディーをあげる 前編〜(初出:『月刊Gファンタジー』2010年9月号)
- 捕らわれの狼姫 〜おいで、キャンディーをあげる 中編〜(初出:『月刊Gファンタジー』2010年10月号)
- 二人の王子、見参 〜おいで、キャンディーをあげる 後編〜(初出:『月刊Gファンタジー』2010年11月号)
- ぼくたちのSummer Memory 〜スイート・メモリー 前編〜(初出:『月刊Gファンタジー』2010年12月号)
- ぼくたちのRapturous Memory 〜スイート・メモリー 中編〜(初出:『月刊Gファンタジー』2011年1月号)
- ぼくたちのSweet-Bitter Memory 〜スイート・メモリー 後編〜(初出:『月刊Gファンタジー』2011年2月号)
主な登場人物
小鳩 常悟朗 ()- 船戸高校の男子生徒。鷹羽中学出身。高い推理力と、自らの周りに起きた日常の謎を解きたがる性分の持ち主で、中学までは望んで「名探偵」として自ら問題事に首を突っ込み解決して注目されることに悦を感じていたが、そのことでかえって相手の反発や恨みを招き疎んじられた経験(中には「一人でこい」という趣旨のメモを寄越されたこともある)がトラウマとなり、高校では推理から離れ「小市民」としての生活を心がけようとしている。しかし自分の意思如何に関わらずに謎に見舞われ、自身のたがが外れてしまい推理を披露してしまうことがしばしば。自身は自らの解きたがりな性分を「狐」に例えている。
- 本来は柔和な優男然とし、ややシニカルでひねた一面もある性格だが、学校内では小市民として振る舞うことを心掛け、儀礼的無関心を以てクラスに溶け込めるように努めている。その反面、人の名前を覚えられない悪癖がある。苦手ではないものの小佐内程には甘いもの好きではないが、高2の夏に食べた洋菓子店〈ジェフベック〉のシャルロットは好みの味ということもあり、いたく気に入っている。
- 推理を確実なものとする決め手を見出した際は、「僕が思うに○○○で片がつく」の口上を述べる。推理法の一つとして、推理が詰めに入ったら緊張感を保ちつつも集中を解き、思考を問題の外側に向けて答えを見つけるやり方を用いている。
小佐内 () ゆき- 船戸高校の女子生徒。髪形は尼そぎ、背が低く非常に幼い外見をしている。常悟朗とは中学3年の頃から行動を共にし、後述の本性により(少々様相が異なるようだが)常悟朗と同様の失敗を抱えているため、彼と「互恵関係」を結び共に小市民を目指している。普段は大人しめで、人見知りしやすい控えめな女性で、彼以上に小市民の振舞いを心掛けており、時折謎を解きたがる常悟朗を白い目でみることがしばしば。かなりの甘いもの好きで、その話題になると喜びの表情を浮かべ饒舌になり、またそれに関する知識にも精通している。学校外では特徴的なファッションを着こなし、帽子を必ず被って「変装」している。
- 前述の性格の裏には甘いものと同様に「復讐」を愛し、受けた仕打ちを忘れない執念深さと、やられたら何倍にもしてやり返す本性が秘められている。それに伴う行動力と狡猾な頭脳を有し、一度危害を加えられ復讐を決意すれば相手を奸計に嵌め、立場的、精神的にも根深いダメージを与える。そうした様から常吾朗からは「狼」に形容されている。
堂島 健吾 ()- 船戸高校の男子生徒。新聞部に所属し、2年時には部長を務めるが、3年時のあるきっかけを境に、受験勉強も兼ねて引退した。常悟朗とは小学校時代の同級生の間柄だが、特別親しいわけではない腐れ縁の仲。角刈りの顔は四角く、2年の時には体全体も四角くなった大柄な体格で膂力のある男性。
- 正義感と義侠心に溢れ、無骨ながらも誰に対しても正直さで向き合う裏表のない性格で、相手が困ったことになれば率先して行動する。小学生時代の常悟朗を知り、その時は嫌な奴だと思いながらも認めていたが、別々だった中学を経て、小市民を心掛けるようになった常悟朗のことは腹に一物を抱えて性質が悪くなったと否定的に見ている。卑怯なことは見過ごせず、女子の物を盗む輩を良く思っていない。基本的に大雑把だが、思慮深い一面も見せる。小佐内から評されるように常悟朗に頼み事をしたり、時には意図せずに謎を振りまく。前述のように常悟郎とは親友と言える仲ではないが、常悟郎が頼れる唯一の人物であり、彼が助けを求めた時にはすぐさま駆けつけ、共に事件に巻き込まれている。「友達100人」が自慢の交友関係が幅広い姉・千里がいる。
用語
船戸 ()高校- 常悟朗達が通う公立の高校。難関校と位置付けられているが、公立故に中学で受験者数が調整されているため、倍率は1.2倍を超えない。全体図は横棒の一方が右、もう一方が左にずれた片仮名のエを形どり、それぞれ北棟と南棟に分類される。
木良 ()市- シリーズの舞台となる常悟朗達が住む街。中心街は碁盤の目状に道が出来ており、十字路が多く、またメインストリートとなる「三夜通り」では夏に「三夜通り祭り」が開かれ、屋台が軒並み並ぶ。列車は東西に走り、駅は木良駅しかなく、周辺は高架線路となっており、駅前はバスターミナルがある。木良市のバスは市内一律210円だが、市営と運営のバスでは料金の払い方はそれぞれ先払いと後払いとなっている。
- 春期限定いちごタルト事件
- 夏期限定トロピカルパフェ事件
- それぞれシリーズ作品のタイトルでありながら、作中では常悟朗と小佐内の身に起きた事件の通称として用いられる。「春期限定いちごタルト事件」は小佐内の自転車が不良グループの下っ端に盗まれたことからある犯罪が明らかとなった事件を、「夏期限定トロピカルパフェ事件」は小佐内が誘拐された事件を指す。前者は小佐内が進んでこの呼称を用い、常悟朗も釣られてそう呼ぶようになったが、後者は常悟朗が自発的に呼んでいる。
出典
- ^ a b 『2010本格ミステリ・ベスト10』内の著者のインタビューより
- ^ 『野性時代』第56号(2008年7月号)、角川書店、2008年6月12日、54頁。
- ^ 「畢生の十周年企画 100の質問」「Q3:シリーズ物の完結予定、または新しいシリーズなどの予定はあるのでしょうか。」
- ^ 米澤穂信『春期限定いちごタルト事件(後)』東京創元社、2004年12月24日。ISBN 4-488-45101-2。
外部リンク
- GFantasy Website 春期限定いちごタルト事件 -月刊Gファンタジーオフィシャルサイト
- 担当編集に質問状:「春期限定いちごタルト事件」日常の不思議な謎をマンガで(まんたんウェブ) - 毎日jp(毎日新聞) - 漫画版「春期限定いちごタルト事件」担当インタビュー、2008年4月7日の記事