「タホ川」の版間の差分
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{{Infobox 河川 |
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[[ファイル:Tejo do Castelo Almourol.JPG|right|250px|thumb|ポルトガルのアルモーロル城からの眺め]] |
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|名称=タホ川/テージョ川 |
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[[ファイル:Alcántara Dam.jpg|175px|thumb|right|アルカンタラダム]] |
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|画像=[[File:Tejo do Castelo Almourol.JPG|250px]] |
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[[ファイル:Alcantara bridge in the night.jpg|175px|thumb|right|ライトアップされたアルカンタラ橋の夜景]] |
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|画像説明= ポルトガルのアルモーロル城から見た河川 |
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'''タホ川'''([[スペイン語]]:{{lang|es|el Tajo}} {{pronounced|ˈtaxo}})、'''テージョ川'''([[ポルトガル語]]:{{lang|pt|o Tejo}} {{pronounced|ˈtɛʒu}} テージュ)は、[[イベリア半島]]で最も長い全長1,008km<ref>各言語版によって記載されている数値が異なるので注意を要する。[[w:en:Tagus|英語版]]では1038km、[[w:es:Tajo|スペイン語版]]では1008km,[[w:de:Tajo|ドイツ語版]]や[[w:pt:Rio Tejo|ポルトガル語版]]では1007km。流域面積等の数値も同様である。</ref>の[[川]]である。そのうち上流側の約700kmが[[スペイン]]にあり、河口側の約300kmが[[ポルトガル]]領である。間の47kmは両国の国境となっている。<!--川の長さが不詳なので「約」にしておく--> |
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|水系等級= |
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|水系=タホ川水系 |
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|種別= |
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|延長=1,007<ref name=britannica>{{cite web |url=http://global.britannica.com/place/Tagus-River |title=Tagus River |publisher=ブリタニカ百科事典 |accessdate=2015-11-27}}</ref> |
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|標高=1,593 |
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|流量=500 |
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|観測所= |
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|流域面積=80,600<ref name=britannica/> |
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|水源= [[イベリコ山系]]{{仮リンク|ウニベルサーレス山地|en|Montes Universales}}、[[アラゴン州]][[テルエル県]]{{仮リンク|フリアス・デ・アルバラシン|en|Frías de Albarracín}} |
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|河口= [[大西洋]]([[リスボン]]都市圏) |
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|流域={{ESP}} / {{POR}}<br>[[File:SpainTajoBasin.png|250px]]<br>タホ川流域の地図 |
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|脚注= |
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|出典= |
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|地図= [[File:Rio tejo.svg|250px]] |
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}} |
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'''タホ川'''({{lang-es|el Tajo}}, {{pronounced|ˈtaxo}})または'''テージョ川'''({{lang-pt|o Tejo}}, {{pronounced|ˈtɛʒu}} テージュ)は、[[イベリア半島]]中央部を西に向かって流れて[[大西洋]]に注いでいる[[河川]]{{sfn|Penn|2001|p=277}}。全長はイベリア半島最長、流域面積はイベリア半島第2位の河川である。 |
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== 地理 == |
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その全長は文献によって異なるが、[[ブリタニカ百科事典]]は1,007kmとしており、スペイン領を716km、スペイン=ポルトガル国境を47km、ポルトガル領を275km流れてから[[リスボン]]都市圏で[[大西洋]]に注ぐ<ref name=britannica/>。流域面積は80,600km<sup>2</sup>であり、[[ドゥエロ川]](ドウロ川)に次いでイベリア半島第2位である。季節による流量差が大きく、春季と流量が乏しい夏季で約10倍の差がある{{sfn|池上|牛島|神吉|金七|2001|p=222}}。 |
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流域の経済は牧畜などの農業が主体である{{sfn|池上|牛島|神吉|金七|2001|p=222}}。1970年代までには水力発電や灌漑を目的としたダムが数多く建設された{{sfn|池上|牛島|神吉|金七|2001|p=222}}。ダムが多い場所では流れがとても細くなるが、アルモーロル城を過ぎると広大な沖積谷に入り、しばしば氾濫をおこす。港町の[[リスボン]]周辺には巨大な河口が形成されている。主要な支流には[[ハラマ川]]、{{仮リンク|アルベルチェ川|en|Alberche}}、{{仮リンク|アラゴン川 (タホ川水系)|label=アラゴン川|en|Alagón (river)}}などがある{{sfn|池上|牛島|神吉|金七|2001|p=222}}。主要な支流はすべてが右岸(北側)から合流する。 |
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=== 主要な沿岸都市 === |
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; スペイン |
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* [[アランフエス]] |
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* [[トレド]] |
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* [[タラベーラ・デ・ラ・レイナ]] |
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* [[アルカンタラ]] |
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; ポルトガル |
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* {{仮リンク|アブランテス|en|Abrantes}} |
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* {{仮リンク|サンタレム|en|Santarém, Portugal}} |
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* [[アルマダ (ポルトガル)|アルマダ]] |
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* [[リスボン]] |
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=== 地質 === |
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タホ川/テージョ川下流部は断層線上にあり、断層のずれは過去に数多くの地震を起こしている。もっともよく知られた地震は1309年の地震、{{仮リンク|1531年リスボン地震|en|1531 Lisbon earthquake}}、{{仮リンク|1755年リスボン地震|en|1755 Lisbon earthquake}}などである<ref>{{cite book|first=William Herbert|last=Hobbs|title=Earthquakes: An Introduction to Seismic Geology|publisher=D. Appleton and Company|location=NewYork|year=1907|pages=142–144}} [https://books.google.com/books?id=TmAJAAAAIAAJ&pg=PA142&dq=Tagus&lr=&as_brr=3&ei=nogySYy7MIjcygTRy4X8Bw#PPR3,M1 Downloadable Google Books]</ref>。 |
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== 流路 == |
== 流路 == |
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=== スペイン === |
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スペイン東部[[アラゴン州]][[テルエル県]]のアルバラシン山地に源を発し、[[アランフエス]]、[[トレド]]、[[タラベーラ・デ・ラ・レイナ]]を流れ、50kmほどスペインとポルトガルの国境を形成したあとポルトガルに入り「テージョ川」と名前を変えて、[[コンスタンシア]]、[[サンタレン]]、[[リスボン]]を経て[[大西洋]]に注ぐ。 |
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[[File:Alcántara Dam.jpg|thumb|left|アルカンタラ・ダム]] |
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タホ川の水源は[[イベリコ山系]]{{仮リンク|ウニベルサーレス山地|en|Montes Universales}}にあり、行政区域としてはスペインの[[アラゴン州]][[テルエル県]]{{仮リンク|フリアス・デ・アルバラシン|en|Frías de Albarracín}}である。テルエル県と[[カスティーリャ=ラ・マンチャ州]][[クエンカ県]]の県境を北西に向かって流れ、その後クエンカ県と[[グアダラハラ県]]の県境をやはり北西に向かって流れる。 |
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== 橋梁 == |
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リスボンのテージョ川河口部には[[4月25日橋]]<ref>かつては[[アントニオ・サラザール|サラザール]]橋と呼ばれていた。</ref>と[[ヴァスコ・ダ・ガマ橋]]が架かる。ヴァスコ・ダ・ガマ橋は全長が17.2kmあり、ヨーロッパで最も長い橋として知られている。 |
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アルト・タホ自然公園で南西に向きを変え、グアダラハラ県南部の{{仮リンク|マール・デ・カスティーリャ|en|Mar de Castilla}}(カスティーリャの海)と呼ばれる地域に至る。マール・デ・カスティーリャはエントレペーニャス貯水池とブエンディア貯水池の総称であり、いずれもイベリア半島有数の規模を持つ貯水池である。エントレペーニャス貯水池のダム近くには{{仮リンク|サセドン|en|Sacedón}}の町があり、サセドンはタホ川流域にある初めての比較的規模の大きな町である。マール・デ・カスティーリャ付近からは南東に向かって{{仮リンク|タホ=セグラ運河|en|Trasvase Tajo-Segura}}が築かれ、[[ムルシア]]などを流れて地中海に注ぐ[[セグラ川]]とタホ川が結ばれている。 |
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[[ファイル:Rio tejo.svg|175px|thumb|left|流路]] |
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<br clear="all"/> |
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[[File:1 toledo spain evening sunset 2014.jpg|thumb|right|350px|トレドの夜景とタホ川]] |
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マール・デ・カスティーリャではグアディエーラ川を集め、[[マドリード州]]と[[トレド県]]の境界を南西に向かって流れる。マドリード首都圏の南側には[[アランフエス]]の町があり、アランフエスは流域にある初めての都市である。アランフエスを過ぎると北方から[[ハラマ川]]が合流する。ハラマ川はマドリード首都圏の東端を流れる河川であり、[[マドリード]]市街地を流れる[[マンサナーレス川]]を支流に持つ。 |
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その後左岸からアルゴドール川を集め、流域のスペイン領部分で最大の都市[[トレド]]に至る。中世にはイベリア半島の文化的中心地だったトレドの旧市街は三方をタホ川に囲まれた場所にあり、タホ川の流れを自然の要塞として活用している。トレド周辺の中流部では灌漑や水力発電用のダムで堰きとめられている{{sfn|Penn|2001|p=277}}。トレドを過ぎると北方から[[グアダラマ川]]を集め、[[タラベーラ・デ・ラ・レイナ]]の郊外ではやはり北方から{{仮リンク|アルベルチェ川|en|Alberche}}を集める。タラベーラ・デ・ラ・レイナからスペイン=ポルトガル国境までの流域は細長く伸びる貯水池が連続しており、アスタン貯水池、{{仮リンク|バルデカニャス貯水池|en|Embalse de Valdecañas}}、{{仮リンク|トレホン=タホ貯水池|en|Torrejon Dam}}、{{仮リンク|アルカンタラ貯水池|en|Alcántara Dam}}、セディーリョ貯水池のうちで明確に「湖」の形状を有しているのはバルデカニャス貯水池のみである。トレホン=タホ貯水池の内部では[[グレドス山脈]]から流れてきたティエタル川を集め、アルカンタラ貯水池の内部ではアルモンテ川と{{仮リンク|アラゴン川 (タホ川水系)|label=アラゴン川|en|Alagón (river)}}を集める。 |
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=== ポルトガル === |
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[[File:VV Rodão Setembro 2010-7a.jpg|thumb|right|スペイン=ポルトガル国境付近]] |
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スペイン=ポルトガル国境を47km流れた後にポルトガル領に入るが、ポルトガル語ではテージョ川と呼ばれる。ポルトガル領に入ると南西に向きを変え{{sfn|Penn|2001|p=277}}、テージョ川は{{仮リンク|ヴィラ・ヴェーニャ・デ・ロドン|en|Vila Velha de Ródão}}、{{仮リンク|アブランテス|en|Abrantes}}の町を流れ、{{仮リンク|コンスタンシア (ポルトガル)|label=コンスタンシア|en|Constância}}では{{仮リンク|ゼゼレ川|en|Zêzere River}}を集める。{{仮リンク|エントロンカメント|en|Entroncamento}}付近で南西に向きを変え、この町は長く伸びる河口の先端部であるとされる。河口から約130km(80mil)にあるアブランテスまでの区間は船舶が遡行可能である{{sfn|Penn|2001|p=277}}{{sfn|池上|牛島|神吉|金七|2001|p=222}}。 |
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右岸の[[サンタレン]]を越えると、川幅が広がって潟湖となる{{sfn|Penn|2001|p=277}}。[[リスボン]]首都圏を右岸に見るテージョ川河口は{{仮リンク|テージョ川河口自然保護区|en|Tagus Estuary Natural Reserve}}に指定されている。右岸(北岸)のリスボンと左岸(南岸)の[[アルマダ (ポルトガル)|アルマダ]]を結ぶ橋としては、ヨーロッパ有数の吊り橋である[[4月25日橋]](旧称サラザール橋){{sfn|Penn|2001|p=277}}と[[ヴァスコ・ダ・ガマ橋]]が架かっており、全長17.2kmのヴァスコ・ダ・ガマ橋はヨーロッパでもっとも長い橋である。リスボン首都圏西方で大西洋に注ぐ。リスボン都市圏のテージョ川河口部は鉄鋼、造船、石油精製などの重工業が盛んであり、近年では観光業を含むサービス業も行われている{{sfn|Penn|2001|p=277}}。河口の入口には無人島のブージオ島があり、{{仮リンク|ブージオ灯台|pt|Faro do Bugio}}が建っている。 |
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ポルトガルのテージョ川左岸部は歴史的に{{仮リンク|アレンテージョ|en|Alentejo}}と呼ばれるが、これは「テージョ川を超えた場所」を意味する。現在の[[サンタレン県]]にほぼ相当する地域には、1936年から1976年までリバテージョ県が存在したが、これは「テージョ川の上流」を意味する。テージョ川とドウロ川はそれぞれポルトガルの大西洋岸と内陸部を結び、国内を地理的に結び付けている{{sfn|Penn|2001|p=277}}。テージョ川はポルトガルの領域を二分しており、テージョ川以北は山地が支配的であるが、テージョ川以南は起伏のある低地で占められている{{sfn|Penn|2001|p=277}}。テージョ川以北はより降水量が多く、トウモロコシ、ライムギ、ブドウなどの作物が植えられているが、テージョ川以南は乾燥して暑く、コムギ、オートムギ、コルクガシなどが植えられている{{sfn|Penn|2001|p=277}}。テージョ川以南では穀物は灌漑を必要とする{{sfn|Penn|2001|p=277}}。 |
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[[File:Lisboa-lisbon- panorama.jpg|thumb|center|600px|リスボン市街地]] |
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== 歴史 == |
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1996年から2001年には、タホ川/テージョ川河口でペッパー・レック(胡椒の難破船)という通称を持つノッサ・セニョーラ・ドス・マルティレス号の難破船発掘が行われた。この船は黒胡椒の貿易船であり、1606年にタホ川/テージョ川河口で難破した。岩礁と接触したことで浸水して難破したが、イベリア半島本土に近かったことから犠牲者は出なかった。1993年にはポルトガル国立考古学博物館が海底で残骸を発見し、サン・ジュリアン・ダ・バラ2世によって難破船の場所が特定された。2008年にアフリカ大陸のナミビア沖で別の難破船が発見されるまで、16世紀と17世紀初頭におけるポルトガルのインド貿易船としてはトレジャーハンターに略奪されていない唯一の船がノッサ・セニョーラ・ドス・マルティレス号だった。 |
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タホ川/テージョ川は[[リスボン]]の入口を防衛しているため、スペイン帝国・ポルトガル帝国それぞれにとって戦略的価値の高い河川だった。例えば1587年、イギリスの海賊である[[フランシス・ドレーク]]はアンダルシア地方の[[カディス]]の襲撃に成功した後に、しばらくの間タホ川/テージョ川に近づいた<ref>Garrett Mattingly, ''The Armada'', 118-119</ref>。 |
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== 文化 == |
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[[File:Lisbon SPOT 1015.jpg|thumb|right|リスボン市街地とタホ川]] |
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テージョ川はポルトガルのいくつもの歌や物語に登場する。共和政ローマの抒情詩人[[ガイウス・ウァレリウス・カトゥルス]]、帝政ローマの詩人[[オウィディウス]]、帝政ローマの風刺詩人[[ユウェナリス]]などが作品にテージョ川の砂金を登場させている。 |
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17世紀イギリスの詩人[[リチャード・クラショー]]の詩『Saint Mary Magdalene, or the Weeper』には、マグダラのマリアの銀の涙を望む「金の」タホ川/テージョ川が登場する。20世紀初頭のポルトガル人作家[[フェルナンド・ペソア]]は、「テージョ川は僕の村を流れる川より美しいが、テージョ川は僕の村を流れる川より美しくない」という書き出しを持つ詩を書いた<ref>{{cite book |last=Pessoa |first=Fernando |author2=Richard Zenith, Translator |title=Fernando Pessoa and Co.: Selected Poems |year=1999 |publisher= Grove Press|isbn= 9780802136275 |pages= 55 }}</ref>。[[ファド]]には「私の髪は白くなったが、テージョ川はいまだに若々しい」という歌詞が登場する曲がある。 |
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== 支流 == |
== 支流 == |
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=== 左岸(南岸) === |
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''下流より記載(*印は左岸合流)'' |
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* {{仮リンク|グアディエーラ川|en|Guadiela}} |
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* {{仮リンク|アルゴドール川|en|Algodor River}} |
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* {{仮リンク|ヘバロ川|en|Gévalo}} |
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* {{仮リンク|イボール川|en|Ibor}} |
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* {{仮リンク|アルモンテ川|en|Almonte (river)}} |
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* {{仮リンク|サロール川|en|Salor River}} |
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* {{仮リンク|セベール川|en|Sever (river)}} |
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* {{仮リンク|ソライア川|en|Sorraia River}} |
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=== 右岸(北岸) === |
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* {{仮リンク|ガーリョ川|en|Gallo River}} |
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* [[ハラマ川]] |
* [[ハラマ川]] |
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** [[マンサナーレス川]] |
** [[マンサナーレス川]] |
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* {{仮リンク|グアダラマ川|en|Guadarrama (river)}} |
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** [[エナレス川]] (*) |
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* {{仮リンク|アルベルチェ川|en|Alberche}} |
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** [[ロソヤ川]] |
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* {{仮リンク|ティエタル川|en|Tiétar (river)}} |
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* {{仮リンク|アラゴン川 (タホ川水系)|label=アラゴン川|en|Alagón (river)}} |
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* {{仮リンク|ゼゼレ川|en|Zêzere River}} |
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== 脚注 == |
== 脚注 == |
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{{Reflist}} |
{{Reflist}} |
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== |
== 参考文献 == |
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* {{cite book|和書 |
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*[https://rsis.ramsar.org/ris/211 Estuário do Tejo | Ramsar Sites Information Service] |
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|last=池上 |first=岑夫 |
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|last2=牛島 |first2=信明 |
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|last3=神吉 |first3=敬三 |
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|last4=金七 |first4=紀男 |
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|title=新版増補 スペイン・ポルトガルを知る事典 |
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|publisher=平凡社 |
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|year=2001 |
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|others=編者はほかに小林一宏、フアン・ソペーニャ、浜田滋郎、渡部哲郎 |
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|isbn= |
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|ref=harv |
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}} |
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* {{cite book |
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|last=Penn |first=James R |
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|title=Rivers of the World: A Social, Geographical, and Environmental Sourcebook |
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|publisher=ABC-Clio Inc |
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|year=2001 |
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|isbn=978-1576070420 |
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|ref=harv |
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}} |
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== 外部リンク == |
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{{Commonscat|Tagus}} |
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* [http://www.chtajo.es/ タホ川水利組合] {{es icon}} |
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* [https://rsis.ramsar.org/ris/211 Estuário do Tejo] ラムサール条約 {{en icon}} |
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{{Spain-stub}} |
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{{Portugal-stub}} |
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{{commons|Tagus}} |
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{{DEFAULTSORT:たほかわ}} |
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[[Category:ポルトガルの河川 |
[[Category:ポルトガルの河川]] |
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[[Category:スペインの河川 |
[[Category:スペインの河川]] |
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[[Category:ポルトガルのラムサール条約登録地]] |
[[Category:ポルトガルのラムサール条約登録地]] |
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[[Category:リスボンの地理 |
[[Category:リスボンの地理]] |
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[[Category:ヨーロッパの複数の国を流れる河川 |
[[Category:ヨーロッパの複数の国を流れる河川]] |
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[[Category:国境を流れる河川]] |
[[Category:国境を流れる河川]] |
2016年1月21日 (木) 05:50時点における版
タホ川/テージョ川 | |
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ポルトガルのアルモーロル城から見た河川 | |
水系 | タホ川水系 |
延長 | 1,007[1] km |
平均流量 | 500 m3/s |
流域面積 | 80,600[1] km2 |
水源 | イベリコ山系ウニベルサーレス山地、アラゴン州テルエル県フリアス・デ・アルバラシン |
水源の標高 | 1,593 m |
河口・合流先 | 大西洋(リスボン都市圏) |
流域 |
スペイン / ポルトガル タホ川流域の地図 |
タホ川(スペイン語: el Tajo, 発音: [ˈtaxo])またはテージョ川(ポルトガル語: o Tejo, 発音: [ˈtɛʒu] テージュ)は、イベリア半島中央部を西に向かって流れて大西洋に注いでいる河川[2]。全長はイベリア半島最長、流域面積はイベリア半島第2位の河川である。
地理
その全長は文献によって異なるが、ブリタニカ百科事典は1,007kmとしており、スペイン領を716km、スペイン=ポルトガル国境を47km、ポルトガル領を275km流れてからリスボン都市圏で大西洋に注ぐ[1]。流域面積は80,600km2であり、ドゥエロ川(ドウロ川)に次いでイベリア半島第2位である。季節による流量差が大きく、春季と流量が乏しい夏季で約10倍の差がある[3]。
流域の経済は牧畜などの農業が主体である[3]。1970年代までには水力発電や灌漑を目的としたダムが数多く建設された[3]。ダムが多い場所では流れがとても細くなるが、アルモーロル城を過ぎると広大な沖積谷に入り、しばしば氾濫をおこす。港町のリスボン周辺には巨大な河口が形成されている。主要な支流にはハラマ川、アルベルチェ川、アラゴン川などがある[3]。主要な支流はすべてが右岸(北側)から合流する。
主要な沿岸都市
- スペイン
- ポルトガル
地質
タホ川/テージョ川下流部は断層線上にあり、断層のずれは過去に数多くの地震を起こしている。もっともよく知られた地震は1309年の地震、1531年リスボン地震、1755年リスボン地震などである[4]。
流路
スペイン
タホ川の水源はイベリコ山系ウニベルサーレス山地にあり、行政区域としてはスペインのアラゴン州テルエル県フリアス・デ・アルバラシンである。テルエル県とカスティーリャ=ラ・マンチャ州クエンカ県の県境を北西に向かって流れ、その後クエンカ県とグアダラハラ県の県境をやはり北西に向かって流れる。
アルト・タホ自然公園で南西に向きを変え、グアダラハラ県南部のマール・デ・カスティーリャ(カスティーリャの海)と呼ばれる地域に至る。マール・デ・カスティーリャはエントレペーニャス貯水池とブエンディア貯水池の総称であり、いずれもイベリア半島有数の規模を持つ貯水池である。エントレペーニャス貯水池のダム近くにはサセドンの町があり、サセドンはタホ川流域にある初めての比較的規模の大きな町である。マール・デ・カスティーリャ付近からは南東に向かってタホ=セグラ運河が築かれ、ムルシアなどを流れて地中海に注ぐセグラ川とタホ川が結ばれている。
マール・デ・カスティーリャではグアディエーラ川を集め、マドリード州とトレド県の境界を南西に向かって流れる。マドリード首都圏の南側にはアランフエスの町があり、アランフエスは流域にある初めての都市である。アランフエスを過ぎると北方からハラマ川が合流する。ハラマ川はマドリード首都圏の東端を流れる河川であり、マドリード市街地を流れるマンサナーレス川を支流に持つ。
その後左岸からアルゴドール川を集め、流域のスペイン領部分で最大の都市トレドに至る。中世にはイベリア半島の文化的中心地だったトレドの旧市街は三方をタホ川に囲まれた場所にあり、タホ川の流れを自然の要塞として活用している。トレド周辺の中流部では灌漑や水力発電用のダムで堰きとめられている[2]。トレドを過ぎると北方からグアダラマ川を集め、タラベーラ・デ・ラ・レイナの郊外ではやはり北方からアルベルチェ川を集める。タラベーラ・デ・ラ・レイナからスペイン=ポルトガル国境までの流域は細長く伸びる貯水池が連続しており、アスタン貯水池、バルデカニャス貯水池、トレホン=タホ貯水池、アルカンタラ貯水池、セディーリョ貯水池のうちで明確に「湖」の形状を有しているのはバルデカニャス貯水池のみである。トレホン=タホ貯水池の内部ではグレドス山脈から流れてきたティエタル川を集め、アルカンタラ貯水池の内部ではアルモンテ川とアラゴン川を集める。
ポルトガル
スペイン=ポルトガル国境を47km流れた後にポルトガル領に入るが、ポルトガル語ではテージョ川と呼ばれる。ポルトガル領に入ると南西に向きを変え[2]、テージョ川はヴィラ・ヴェーニャ・デ・ロドン、アブランテスの町を流れ、コンスタンシアではゼゼレ川を集める。エントロンカメント付近で南西に向きを変え、この町は長く伸びる河口の先端部であるとされる。河口から約130km(80mil)にあるアブランテスまでの区間は船舶が遡行可能である[2][3]。
右岸のサンタレンを越えると、川幅が広がって潟湖となる[2]。リスボン首都圏を右岸に見るテージョ川河口はテージョ川河口自然保護区に指定されている。右岸(北岸)のリスボンと左岸(南岸)のアルマダを結ぶ橋としては、ヨーロッパ有数の吊り橋である4月25日橋(旧称サラザール橋)[2]とヴァスコ・ダ・ガマ橋が架かっており、全長17.2kmのヴァスコ・ダ・ガマ橋はヨーロッパでもっとも長い橋である。リスボン首都圏西方で大西洋に注ぐ。リスボン都市圏のテージョ川河口部は鉄鋼、造船、石油精製などの重工業が盛んであり、近年では観光業を含むサービス業も行われている[2]。河口の入口には無人島のブージオ島があり、ブージオ灯台が建っている。
ポルトガルのテージョ川左岸部は歴史的にアレンテージョと呼ばれるが、これは「テージョ川を超えた場所」を意味する。現在のサンタレン県にほぼ相当する地域には、1936年から1976年までリバテージョ県が存在したが、これは「テージョ川の上流」を意味する。テージョ川とドウロ川はそれぞれポルトガルの大西洋岸と内陸部を結び、国内を地理的に結び付けている[2]。テージョ川はポルトガルの領域を二分しており、テージョ川以北は山地が支配的であるが、テージョ川以南は起伏のある低地で占められている[2]。テージョ川以北はより降水量が多く、トウモロコシ、ライムギ、ブドウなどの作物が植えられているが、テージョ川以南は乾燥して暑く、コムギ、オートムギ、コルクガシなどが植えられている[2]。テージョ川以南では穀物は灌漑を必要とする[2]。
歴史
1996年から2001年には、タホ川/テージョ川河口でペッパー・レック(胡椒の難破船)という通称を持つノッサ・セニョーラ・ドス・マルティレス号の難破船発掘が行われた。この船は黒胡椒の貿易船であり、1606年にタホ川/テージョ川河口で難破した。岩礁と接触したことで浸水して難破したが、イベリア半島本土に近かったことから犠牲者は出なかった。1993年にはポルトガル国立考古学博物館が海底で残骸を発見し、サン・ジュリアン・ダ・バラ2世によって難破船の場所が特定された。2008年にアフリカ大陸のナミビア沖で別の難破船が発見されるまで、16世紀と17世紀初頭におけるポルトガルのインド貿易船としてはトレジャーハンターに略奪されていない唯一の船がノッサ・セニョーラ・ドス・マルティレス号だった。
タホ川/テージョ川はリスボンの入口を防衛しているため、スペイン帝国・ポルトガル帝国それぞれにとって戦略的価値の高い河川だった。例えば1587年、イギリスの海賊であるフランシス・ドレークはアンダルシア地方のカディスの襲撃に成功した後に、しばらくの間タホ川/テージョ川に近づいた[5]。
文化
テージョ川はポルトガルのいくつもの歌や物語に登場する。共和政ローマの抒情詩人ガイウス・ウァレリウス・カトゥルス、帝政ローマの詩人オウィディウス、帝政ローマの風刺詩人ユウェナリスなどが作品にテージョ川の砂金を登場させている。
17世紀イギリスの詩人リチャード・クラショーの詩『Saint Mary Magdalene, or the Weeper』には、マグダラのマリアの銀の涙を望む「金の」タホ川/テージョ川が登場する。20世紀初頭のポルトガル人作家フェルナンド・ペソアは、「テージョ川は僕の村を流れる川より美しいが、テージョ川は僕の村を流れる川より美しくない」という書き出しを持つ詩を書いた[6]。ファドには「私の髪は白くなったが、テージョ川はいまだに若々しい」という歌詞が登場する曲がある。
支流
左岸(南岸)
右岸(北岸)
脚注
- ^ a b c “Tagus River”. ブリタニカ百科事典. 2015年11月27日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k Penn 2001, p. 277.
- ^ a b c d e 池上 et al. 2001, p. 222.
- ^ Hobbs, William Herbert (1907). Earthquakes: An Introduction to Seismic Geology. NewYork: D. Appleton and Company. pp. 142–144 Downloadable Google Books
- ^ Garrett Mattingly, The Armada, 118-119
- ^ Pessoa, Fernando; Richard Zenith, Translator (1999). Fernando Pessoa and Co.: Selected Poems. Grove Press. pp. 55. ISBN 9780802136275
参考文献
- 池上, 岑夫、牛島, 信明、神吉, 敬三、金七, 紀男『新版増補 スペイン・ポルトガルを知る事典』編者はほかに小林一宏、フアン・ソペーニャ、浜田滋郎、渡部哲郎、平凡社、2001年。
- Penn, James R (2001). Rivers of the World: A Social, Geographical, and Environmental Sourcebook. ABC-Clio Inc. ISBN 978-1576070420
外部リンク
- タホ川水利組合
- Estuário do Tejo ラムサール条約