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|名称 = インドシュモクザメ |
|名称 = インドシュモクザメ |
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|目 = [[メジロザメ目]] {{Sname||Carcharhiniformes}} |
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|属 = '''インドシュモクザメ属''' |
|属 = '''インドシュモクザメ属''' {{Snamei|Eusphyra}}<br>[[テオドール・ギル|T. N. Gill]], 1862 |
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|種 = '''インドシュモクザメ''' |
|種 = '''インドシュモクザメ''' {{Snamei|E. blochii}} |
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|学名 = {{Snamei|Eusphyra blochii}}<br />({{AUY|Cuvier|1816}}) |
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|生息図キャプション = 分布<ref name="last and stevens"/> |
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|status_ref=<ref name=iucn>Simpfendorfer, C.A. 2003. [http://www.iucnredlist.org/apps/redlist/details/41810/0 ''Eusphyra blochii'']. In: IUCN 2011. IUCN Red List of Threatened Species. Version 2011.1. <www.iucnredlist.org>. Downloaded on 08 July 2011.</ref> |
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|シノニム = |
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* ''Zygaena blochii'' <small>G. Cuvier, 1816</small> |
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* ''Zygaena laticeps'' <small>Cantor, 1837</small> |
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* ''Zygaena latycephala'' <small>van Hasselt, 1823</small> |
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'''インドシュモクザメ''' ''Eusphyrna blochii'' (印度撞木鮫、英: [[:w:Winghead shark|Winghead shark]])は、[[メジロザメ目]][[シュモクザメ科]]に属する[[サメ]]。'''インドシュモクザメ属''' ''Eusphyra'' はインドシュモクザメ1種のみ。[[インド洋]]から西[[太平洋]]の熱帯海域の沿岸部に生息する。全長1.9 m。非常に長いハンマー型の頭部をもち、他種と見間違えることはない。胎盤形成型の[[胎生]]。東南アジアなどで漁獲され、数は減少している。 |
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'''インドシュモクザメ''' {{Snamei|Eusphyra blochii}} は[[シュモクザメ科]]に属する[[サメ]]の一種。最大1.9mで、体は細長く、第一[[背鰭]]は高い。ハンマー型の頭部(”cephalofoil”)は非常に長く、全長の半分の長さに達する。この頭部により[[立体視]]や[[嗅覚]]能力、[[電気受容器]]や[[機械受容器]]の量が向上していると考えられている。 |
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==分布・生息域== |
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[[Image:Winghead Shark DistMap.png|250px|none]] |
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[[インド洋]]から[[東南アジア]]、[[太平洋]]西部にかけての熱帯から亜熱帯海域に分布する。[[大陸棚]]や[[島嶼]]の周辺海域に生息する。 |
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[[インド太平洋]]西部の沿岸に分布し、[[硬骨魚]]や[[甲殻類]]・[[頭足類]]を食べる。[[胎生]]で、毎年6-25匹の仔を産む。人には危害を加えない。漁業により個体数が減少している地域が多く、[[IUCN]]は[[保全状況]]を[[準絶滅危惧]]としている。 |
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==形態== |
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最大で全長186 cm<ref name=fishbase>[http://www.fishbase.org/summary/Eusphyra-blochii.html ''Eusphyra blochii''] Froese, R. and D. Pauly. Editors. 2011.FishBase. World Wide Web electronic publication. www.fishbase.org, version (06/2011).</ref>。頭部のハンマーは弓状で極度に細長く、体長の半分程にもなる。 |
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== 分類 == |
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1785年、ドイツの[[博物学者]][[マルクス・エリエゼル・ブロッホ]]は''Squalus zygaena''(現在の[[シロシュモクザメ]]の[[シノニム]])の1個体を記録した。1817年の『{{仮リンク|動物界 (キュヴィエ)|fr|Règne animal (Cuvier)|label=動物界}}』 において、フランスの[[動物学者]][[ジョルジュ・キュヴィエ]]は、ブロッホの記録した個体に"''z. nob. Blochii''" の名で言及し、シロシュモクザメとは別種であることを明らかにした、キュヴィエは本種に適切な[[学名]]を与えなかったが、1822年に[[アシル・ヴァランシエンヌ]]が別の標本を記録した時には、キュヴィエを命名者とする形で ''Zygaena Blochii nobis'' の学名が用いられている<ref name="cuvier"/><ref name="compagno"/>。 |
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餌生物は小魚や頭足類、甲殻類<ref name=compagno>Compagno, L.J.V. 1984. FAO species catalogue. Vol. 4. Sharks of the world. An annotated and illustrated catalogue of shark species known to date. FAO Fish. Synop. No. 125, vol. 4. pp.540-541.</ref>。 |
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1862年、[[テオドール・ギル]]は新たに ''Eusphyra'' 属を設立し、本種を含めた。この名は[[ギリシャ語]]の ''eu''(真の)・''sphyra''(鎚)に由来する<ref name="gill"/><ref name="fishbase"/>。だが、当時の専門家は本種をそれまで通り[[シュモクザメ属]]に含めることを好んだ。''Eusphyra'' 属は1948年に[[w:Henry Bryant Bigelow|Henry Bigelow]]と[[w:William Charles Schroeder|William Schroeder]]により復帰され、1979-1988年に[[レオナルド・コンパーニョ]]によってさらなる分類学的研究が行われた。だが現在でも、本種の学名は ''Sphyrna blochii'' とされることがある<ref name="compagno"/><ref name="martin"/>。他の英名としてはarrowhead・arrow headed hammerhead shark・slender hammerheadなどがある<ref name="fishbase"/>。 |
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[[胎生]]。[[胎盤]]を形成する。産仔数は6〜11尾(6尾が多い)<ref name=compagno/>。産まれたときのサイズは32〜45cm<ref name=compagno/>。110cm程度で成熟する<ref name=iucn/>。 |
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シュモクザメ科はメジロザメ科と近縁である。かつては、最初に[[ウチワシュモクザメ]]のようなcephalofoilが小さいグループが出現し、その中から本種のような長大なcephalofoilを持つ派生的なグループが進化したと考えられてきた。だが、[[アロザイム]]・[[mtDNA]]・[[核DNA]]を用いた[[分子系統]]解析からは逆の結果が得られ、本種や[[ヒラシュモクザメ]]のような長大なcephalofoilが先に進化したと考えられるようになっている。[[分子時計]]からは、本種が他のシュモクザメ類から分岐したのは、1500-2000万年前の[[中新世]]であると推定される<ref name="martin"/><ref name="lim et al"/><ref name="cavalcanti"/>。 |
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== 形態 == |
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頭部のcephalofoilは細長く、少し後退角がついている。左右の幅は全長の40–50%に達する。吻はcephalofoilより少し前に突き出す。各鼻孔の前方にも隆起がある。鼻孔は口の2倍程度の長さで、cephalofoilの前縁に沿うように位置している。眼は丸くて[[瞬膜]]を備え、cephalofoilの前方の角に位置する。口は比較的小さく弧を描く。片側の[[歯列]]は上顎で15–16、下顎で14で、顎の中央には1列の小さな正中歯があることもある。各歯は小さくて縁は滑らかで、三角形の傾いた尖頭を持つ。[[鰓裂]]は5対で、第5鰓裂は[[胸鰭]]の基部に位置する<ref name="last and stevens"/><ref name="compagno"/><ref name="last et al"/><ref name="randall"/>。 |
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体は細く流線型で、第一[[背鰭]]は鎌型で細く非常に高い。[[胸鰭]]・第二背鰭はこれよりかなり小さい。第一背鰭は胸鰭の基底の上から、第二背鰭は[[臀鰭]]の基底の後ろ1/3から起始する。臀鰭は第二背鰭よりもさらに1/2程度長い。[[尾柄]]の背面には、[[尾鰭]]の基部から前方に溝が走る。尾鰭上葉は下葉より長く、後縁の先端に欠刻を持つ<ref name="last and stevens"/><ref name="randall"/>。皮膚は重なり合った[[皮歯]]に覆われ、各皮歯には後縁の鋸歯に続く3本の隆起線が走る<ref name="mello et al"/>。背面は灰褐色から灰色、腹面は灰白色。鰭に模様はない<ref name="last and stevens"/>。最大で1.9mになる<ref name="last et al"/>。 |
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== 分布 == |
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[[インド太平洋]]西部の[[熱帯]]域で見られ、東は[[ペルシャ湾]]から、東南アジア一帯・[[ニューギニア]]・[[クイーンズランド州]]北部、北は[[台湾]]、南は[[西オーストラリア州]]の[[モンテベロ諸島]]までに分布する<ref name="compagno"/><ref name="last and stevens"/>。沿岸に近い浅瀬に生息し、[[河口]]域にも入る<ref name="fishbase"/>。 |
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== 生態 == |
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[[ファイル:Eusphyra blochii Day.jpg|thumb|upright=1.2|''Fauna of British India'' (1889) のイラスト。非常に長いcephalofoilを持つが、その機能は不明である。]] |
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長大なcephalofoilの機能については、様々な[[仮説]]が提唱されている。 |
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* 眼が長いcephalofoilの先端についていることで、他のどのシュモクザメよりも広い、[[メジロザメ]]類の4倍に達する48°もの[[両眼視]]角を持つ。このために高度な[[奥行き]]知覚が可能で、狩りに役立っていると考えられている<ref name="mccomb et al"/>。 |
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* 体に対する鼻孔の長さはシュモクザメとしては最大である。長い鼻孔はより多くの[[嗅覚受容体]]を持ち、より多くの水を調べることで匂い[[分子]]を検出する能力を高めることができる。全長1mの個体は、理論的には毎秒2300cm<sup>3</sup>の水を鼻孔に流すことができる。[[嗅覚]]に関する他の利点として、左右の鼻孔間の距離を広げることで、匂いが来る方向を判別しやすくなることが挙げられる<ref name="kajiura et al"/>。 |
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* [[電気受容器]]の[[ロレンチーニ器官]]と[[機械受容器]]の[[側線]]を収めるスペースを増やすことで、獲物が発する[[電場]]や水流の検出力が上がる<ref name="compagno"/>。 |
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本種のcephalofoilは長すぎて、他のシュモクザメのように、水中での運動性を高めるために用いるのは困難であると推測される<ref name="nakaya"/>。 |
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主に海底近くで獲物を探す。最も多く捕食するのは小魚で、次に[[甲殻類]]、[[頭足類]]が続く<ref name="last and stevens"/><ref name="stevens and lyle"/>。[[寄生虫]]として[[条虫]]の {{Snamei||Callitetrarhynchus blochii}} <ref name="pramanik and manna"/>・{{Snamei||Heteronybelinia heteromorphi}} <ref name="palm"/>・{{Snamei||Otobothrium carcharidis}} ・{{Snamei||Otobothrium mugilis}}<ref name="schaeffner and beveridge"/>・{{Snamei||Phoreiobothrium puriensis}}<ref name="srivastav and capoor"/>・{{Snamei||Phyllobothrium blochii}}<ref name="srivastav and srivastava"/>、[[回虫]]の{{Snamei||Hysterothylacium ganeshi}}<ref name="lakshmi and sreeramulu"/>・{{Snamei||Pseudanisakis}} 属の一種<ref name="arthur and ahmed"/>・{{Snamei||Raphidascaroides blochii}}<ref name="bruce et al"/>・{{Snamei|Terranova (genus)|Terranova}} 属の一種<ref name="arthur and ahmed"/>、[[ウオジラミ属]]の{{Snamei||Caligus furcisetifer}}<ref name="margolis et al"/>、[[アイメリア属]]の{{Snamei||Eimeria zygaenae}}<ref name="chakravarty and mandal"/>が知られている。 |
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=== 生活史 === |
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他のシュモクザメ同様に[[胎生]]で、胎児は[[胎盤]]によって母体に栄養される。成体雌は右側の[[卵巣]]のみが機能するが、[[子宮]]は両側が機能する。妊娠中は、胎児1個体につき1個の仕切りが子宮内に形成される。[[ムンバイ]]周辺では、交尾は[[モンスーン]]期の7-8月に行われ<ref name="appukuttan"/>、雄は雌に噛み付いて交尾を促す。雌は毎年繁殖する。産仔数は6-25で、母体の大きさにつれて増える。[[妊娠期間]]は、インド西部では8–9ヶ月、オーストラリア北部では10–11ヶ月になる<ref name="last and stevens"/><ref name="stevens and lyle"/><ref name="devadoss"/>。妊娠中の雌は互いに争うことが報告されている<ref name="compagno"/>。 |
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他のサメと同様、初期の胎児は[[卵黄]]によって成長する。4.0-4.5cmになるとcephalofoilと鰭の形成が始まる。12-16cm頃に卵黄をほぼ使い切り、[[卵黄嚢]]と子宮壁に襞が生じ始める。その後、この襞は結合して胎盤となる。この時点では、胎児の発達は完了しておらず無色ではあるが、成体の基本的な特徴は備えている。cephalofoilは体にそって背中側に折り畳まれ、鰓裂からは長い[[外鰓]]が突き出す。20-29cmになると胎盤の形成が完了し、最初の歯、皮歯が生え、皮膚に色素が現れ、外鰓が縮小を始める。30cmになると、姿は成体とほぼ同じになる<ref name="appukuttan"/><ref name="devadoss"/>。 |
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出産は、ムンバイと[[パランギペッタイ]]では5-6月、[[マンナール湾]]では3-4月、オーストラリア北部では2-3月に行われる。胎児は尾から先に産まれ、[[総排泄孔]]を抜けるまではcephalofoilは折り畳まれている<ref name="stevens and lyle"/><ref name="appukuttan"/><ref name="devadoss"/>。出生時は32-47cmで<ref name="last et al"/>、雄は1.0-1.1 m、雌は1.1-1.2 mで[[性成熟]]する<ref name="last et al"/><ref name="devadoss"/>。寿命は最低でも21年<ref name="smart et al"/>。 |
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== 人との関わり == |
== 人との関わり == |
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人には無害である。分布域の大部分で[[刺し網]]・[[地曳網]]・[[張り網]]・[[延縄]]・[[釣り]]などによって漁獲される。鰭が[[フカヒレ]]としてアジアに輸出されるほか、肉は食用に、肝臓は[[肝油]]、[[粗]]は[[魚粉]]に加工される<ref name="last and stevens"/><ref name="compagno"/>。特に[[タイランド湾]]やインド・インドネシアなど、特に本種に対する漁業が盛んな地域では、個体数が減少している事例証拠がある。[[IUCN]]は[[保全状況]]を[[準絶滅危惧]]とし、漁業の盛んな地域では[[危急種]]となりそうだとしている。オーストラリア沿岸では漁獲されることは稀であるため、この地域では[[軽度懸念]]とされている<ref name="iucn"/>。 |
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人にとって危険ではない<ref name=fishbase/>。生息海域では漁獲対象になり、とくに東南アジアでは多く漁獲される。生息数は減少傾向にある<ref name=iucn/>。 |
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== 脚注 == |
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{{reflist |
{{reflist|30em|refs= |
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<ref name="appukuttan">{{cite journal |author=Appukuttan, K.K. |year=1978 |title=Studies on the developmental stages of hammerhead shark ''Sphyrna (Eusphyrna) blochii'' from the Gulf of Mannar |journal=Indian Journal of Fisheries |volume=25 |issue=1–2 |pages=41–52}}</ref> |
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<ref name="arthur and ahmed">{{cite book |title=Checklist of the Parasites of Fishes of Bangladesh (FAO Fisheries Technical Paper 369/1) |publisher=Food and Agriculture Organization of the United Nations |author=Arthur, J.J.R.; Ahmed, A.T.A. |year=2002 |isbn=9251048541 |page=44}}</ref> |
|||
<ref name="bruce et al">{{cite journal |author=Bruce, N.L.; Cannon, L.R.G.; Adlard, R. |year=1994 |title=Synoptic checklist of ascaridoid parasites (Nematoda) from fish hosts |journal=Invertebrate Taxonomy |volume=8 |pages=583–674 |doi=10.1071/IT9940583 |issue=3}}</ref> |
|||
<ref name="cavalcanti">{{cite journal |author=Cavalcanti, M.J. |title=A Phylogenetic Supertree of the Hammerhead Sharks (Carcharhiniformes: Sphyrnidae) |journal=Zoological Studies |volume=46 |issue=1 |pages=6–11 |year=2007}}</ref> |
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<ref name="chakravarty and mandal">{{cite journal |author=Chakravarty, M.; Mandal, A.K. |year=1961 |title=A new coccidium, ''Eimeria zygaenae'' n. sp. from hammer headed shark, ''Zygaena blochii'' |journal=Proceedings of the 48th Indian Science Congress (Roorkee) |issue=Part III |page=abstract 93}}</ref> |
|||
<ref name="compagno">{{cite book |author=Compagno, L.J.V. |year=1984 |title=Sharks of the World: An Annotated and Illustrated Catalogue of Shark Species Known to Date |publisher=Food and Agricultural Organization of the United Nations |isbn=9251013845 |pages=540–541}}</ref> |
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<ref name="cuvier">{{cite book |author=Cuvier, G. |year=1816 |title=Le Règne Animal distribué d'après son organisation pour servir de base à l'histoire naturelle des animaux et d'introduction à l'anatomie comparée |publisher=Deterville |page=127}}</ref> |
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<ref name="devadoss">{{cite journal |title=Observations on the breeding and development of some sharks |author=Devadoss, P. |journal=Journal of the Marine Biological Association of India |volume=30 |issue=1–2 |pages=121–131 |year=1988}}</ref> |
|||
<ref name="fishbase">{{cite web |editor=Froese, R.; Pauly, D. |year=2011 |url=http://fishbase.org/summary/Eusphyra-blochii.html |title=''Eusphyra blochii'', Winghead shark |publisher=FishBase |accessdate=May 18, 2013}}</ref> |
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<ref name="gill">{{cite journal |author=Gill, T.N. |year=1862 |title=Analytical synopsis of the order of Squali; and revision of the nomenclature of the genera |journal=Annals of the Lyceum of Natural History of New York |volume=7 |pages=371–408 |doi=10.1111/j.1749-6632.1862.tb00166.x}}</ref> |
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<ref name="iucn">{{IUCN2 |assessors=Simpfendorfer, C.A. |year=2003 |id=41810 |title=''Eusphyra blochii'' |version=2012.2}}</ref> |
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<ref name="kajiura et al">{{cite journal |title=Olfactory morphology of carcharhinid and sphyrnid sharks: Does the cephalofoil confer a sensory advantage? |author=Kajiura, S.M.; Forni, J.B.; Summers, A.P. |journal=Journal of Morphology |volume=264 |issue=3 |pages=253–263 |doi=10.1002/jmor.10208 |year=2005 |pmid=15549717}}</ref> |
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<ref name="lakshmi and sreeramulu">{{cite journal |author=Lakshmi, I.R.; Sreeramulu, K. |year=2007 |title=''Hysterothylacium ganeshi'' n. sp (Nematoda-Anisakidae) from the intestine of Shark, ''Sphyrna blochii'' (Cuvier) |journal=Geobios |volume=34 |issue=1 |page=29}}</ref> |
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<ref name="last and stevens">{{cite book |author=Last, P.R.; Stevens, J.D. |title=Sharks and Rays of Australia |edition=second |year=2009 |publisher=Harvard University Press |isbn=0674034112 |pages=288}}</ref> |
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<ref name="last et al">{{cite book |title=Sharks and Rays of Borneo |publisher=CSIRO Publishing |year=2010 |isbn=978-1-921605-59-8 |pages=134–135 |author=Last, P.R.; White, W.T.; Caire, J.N.; Dharmadi; Fahmi; Jensen, K.; Lim, A.P.F.; Manjaji-Matsumoto, B.M.; Naylor, G.J.P.; Pogonoski, J.J.; Stevens, J.D.; Yearsley, G.K.}}</ref> |
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<ref name="lim et al">{{cite journal |author=Lim, D.D.; Motta, P.; Mara, K.; Martin, A.P. |year=2010 |title=Phylogeny of hammerhead sharks (Family Sphyrnidae) inferred from mitochondrial and nuclear genes |journal=Molecular Phylogenetics and Evolution |volume=55 |issue=2 |pages=572–579 |doi=10.1016/j.ympev.2010.01.037 |pmid=20138218}}</ref> |
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<ref name="margolis et al">{{cite journal |author=Margolis, L.; Kabata, Z.; Parker, R.R. |year=1975 |title=Catalogue and synopsis of ''Caligus'', a genus of Copepoda (Crustacea) parasitic on fishes |journal=Bulletin of the Fisheries Research Board of Canada |volume=192 |pages=1–117}}</ref> |
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<ref name="martin">{{cite web |author=Martin, R.A. |year=1998 |url=http://www.elasmo-research.org/education/topics/ng_hh_taxonomy.htm |title=Recent Changes in Hammerhead Taxonomy |publisher=ReefQuest Centre for Shark Research |accessdate=May 18, 2013}}</ref> |
|||
<ref name="mccomb et al">{{cite journal |title=Enhanced visual fields in hammerhead sharks |author=McComb, D.M.; Tricas, T.C.; Kajiura, S.M. |journal=Journal of Experimental Biology |volume=212 |issue=24 |pages=4010–4018 |doi=10.1242/jeb.032615 |year=2009}}</ref> |
|||
<ref name="mello et al">{{cite journal |author=Mello, W.C.; de Carvalho, J.J.; Brito, P.M.M. |year=2013 |title=Microstructural morphology in early dermal denticles of hammerhead sharks (Elasmobranchii: Sphyrnidae) and related taxa |journal=Acta Zoologica |volume=94 |pages=147–153 |doi=10.1111/j.1463-6395.2011.00547.x |issue=2}}</ref> |
|||
<ref name="nakaya">{{cite journal |author=Nakaya, K. |year=1995 |title=Hydrodynamic function of the head in the hammerhead sharks (Elasmobranchii: Sphyrnidae) |journal=Copeia |pages=330–336 |doi=10.2307/1446895 |volume=1995 |issue=2}}</ref> |
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<ref name="palm">{{cite journal |author=Palm, H.W. |year=1999 |title=''Nybelinia'' Poche, 1926, ''Heteronybelinia'' gen. nov. and ''Myxonebelinia'' gen. nov. (Cestoda: Trypanorhyncha) in the collections of The Natural History Museum, London |journal=Bulletin of the Natural History Museum, London (Zoology series) |volume=65 |issue=2 |pages=133–153}}</ref> |
|||
<ref name="pramanik and manna">{{cite journal |author=Pramanik, P.B.; Manna, B. |year=2006 |title=''Callitetrarhynchus blochii'' new species (Cestoidea: Lacistorhynchidae) from ''Sphyrna blochii'' Cuvier, 1817 from Bay of Bengal at Digha coast, India |journal=Journal of Natural History |volume=2 |issue=2 |pages=10–15}}</ref> |
|||
<ref name="randall">{{cite book |title=Coastal Fishes of Oman |author=Randall, J.E. |publisher=University of Hawaii Press |year=1995 |isbn=0824818083 |page=38}}</ref> |
|||
<ref name="schaeffner and beveridge">{{cite journal |author=Schaeffner, B.C.; Beveridge, I. |year=2013 |title=Redescriptions and new records of species of ''Otobothrium'' Linton, 1890 (Cestoda: Trypanorhyncha) |journal=Systematic Parasitology |volume=84 |issue=1 |pages=17–55 |doi=10.1007/s11230-012-9388-1 |pmid=23263940}}</ref> |
|||
<ref name="smart et al">{{cite journal |author=Smart, J.J.; Harry, A.V.; Tobin, A.J.; Simpfendorfer, C.A. |year=2012 |title=Overcoming the constraints of low sample sizes to produce age and growth data for rare or threatened sharks |journal=Aquatic Conservation: Marine and Freshwater Ecosystems |volume=23 |issue=1 |pages=124–134 |doi=10.1002/aqc.2274}}</ref> |
|||
<ref name="srivastav and capoor">{{cite journal |author=Srivastav, A.K.; Capoor, V.N. |year=1982 |title=On a new cestode, ''Phoreiobothrium puriensis'' n. sp |journal=Indian Journal of Helminthology |volume=34 |issue=1–2 |pages=82–85}}</ref> |
|||
<ref name="srivastav and srivastava">{{cite journal |author=Srivastav, A.K.; Srivastava, B.K. |year=1988 |title=On a new cestode, ''Phyllobothrium blochii'' sp. n. (Phyllobothriidae, Cestoda) from the elasmobranch fish, ''Zygaena blochii'' (Cuvier) (Carchariidae, Euselachii) from Puri, Orissa (India) |journal=Helminthologia |volume=25 |pages=89–94}}</ref> |
|||
<ref name="stevens and lyle">{{cite journal |author=Stevens, J.D.; Lyle, J.M. |title=Biology of three hammerhead sharks (''Eusphyra blochii'', ''Sphyrna mokarran'' and ''S. lewini'') from Northern Australia |journal=Australian Journal of Marine and Freshwater Research |volume=40 |issue=2 |pages=129–146 |year=1989 |doi=10.1071/MF9890129}}</ref> |
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}} |
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== 外部リンク == |
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==関連項目== |
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{{ |
{{Commons category|Eusphyra blochii}} |
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*[http://shark-references.com/species/view/Eusphyra-blochii "Species description of ''Eusphyra blochii''" at Shark-References.com] |
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*[[シュモクザメ]] |
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*[[ロレンチーニ器官]] |
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{{DEFAULTSORT:いんとしゆもくさめ}} |
{{DEFAULTSORT:いんとしゆもくさめ}} |
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[[Category: |
[[Category:シュモクザメ科]] |
2015年1月7日 (水) 19:29時点における版
インドシュモクザメ | |||||||||||||||||||||
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保全状況評価[1] | |||||||||||||||||||||
NEAR THREATENED (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) | |||||||||||||||||||||
分類 | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Eusphyra blochii (Cuvier, 1816) | |||||||||||||||||||||
シノニム | |||||||||||||||||||||
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英名 | |||||||||||||||||||||
Winghead shark | |||||||||||||||||||||
分布[2]
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インドシュモクザメ Eusphyra blochii はシュモクザメ科に属するサメの一種。最大1.9mで、体は細長く、第一背鰭は高い。ハンマー型の頭部(”cephalofoil”)は非常に長く、全長の半分の長さに達する。この頭部により立体視や嗅覚能力、電気受容器や機械受容器の量が向上していると考えられている。
インド太平洋西部の沿岸に分布し、硬骨魚や甲殻類・頭足類を食べる。胎生で、毎年6-25匹の仔を産む。人には危害を加えない。漁業により個体数が減少している地域が多く、IUCNは保全状況を準絶滅危惧としている。
分類
1785年、ドイツの博物学者マルクス・エリエゼル・ブロッホはSqualus zygaena(現在のシロシュモクザメのシノニム)の1個体を記録した。1817年の『動物界』 において、フランスの動物学者ジョルジュ・キュヴィエは、ブロッホの記録した個体に"z. nob. Blochii" の名で言及し、シロシュモクザメとは別種であることを明らかにした、キュヴィエは本種に適切な学名を与えなかったが、1822年にアシル・ヴァランシエンヌが別の標本を記録した時には、キュヴィエを命名者とする形で Zygaena Blochii nobis の学名が用いられている[3][4]。
1862年、テオドール・ギルは新たに Eusphyra 属を設立し、本種を含めた。この名はギリシャ語の eu(真の)・sphyra(鎚)に由来する[5][6]。だが、当時の専門家は本種をそれまで通りシュモクザメ属に含めることを好んだ。Eusphyra 属は1948年にHenry BigelowとWilliam Schroederにより復帰され、1979-1988年にレオナルド・コンパーニョによってさらなる分類学的研究が行われた。だが現在でも、本種の学名は Sphyrna blochii とされることがある[4][7]。他の英名としてはarrowhead・arrow headed hammerhead shark・slender hammerheadなどがある[6]。
シュモクザメ科はメジロザメ科と近縁である。かつては、最初にウチワシュモクザメのようなcephalofoilが小さいグループが出現し、その中から本種のような長大なcephalofoilを持つ派生的なグループが進化したと考えられてきた。だが、アロザイム・mtDNA・核DNAを用いた分子系統解析からは逆の結果が得られ、本種やヒラシュモクザメのような長大なcephalofoilが先に進化したと考えられるようになっている。分子時計からは、本種が他のシュモクザメ類から分岐したのは、1500-2000万年前の中新世であると推定される[7][8][9]。
形態
頭部のcephalofoilは細長く、少し後退角がついている。左右の幅は全長の40–50%に達する。吻はcephalofoilより少し前に突き出す。各鼻孔の前方にも隆起がある。鼻孔は口の2倍程度の長さで、cephalofoilの前縁に沿うように位置している。眼は丸くて瞬膜を備え、cephalofoilの前方の角に位置する。口は比較的小さく弧を描く。片側の歯列は上顎で15–16、下顎で14で、顎の中央には1列の小さな正中歯があることもある。各歯は小さくて縁は滑らかで、三角形の傾いた尖頭を持つ。鰓裂は5対で、第5鰓裂は胸鰭の基部に位置する[2][4][10][11]。
体は細く流線型で、第一背鰭は鎌型で細く非常に高い。胸鰭・第二背鰭はこれよりかなり小さい。第一背鰭は胸鰭の基底の上から、第二背鰭は臀鰭の基底の後ろ1/3から起始する。臀鰭は第二背鰭よりもさらに1/2程度長い。尾柄の背面には、尾鰭の基部から前方に溝が走る。尾鰭上葉は下葉より長く、後縁の先端に欠刻を持つ[2][11]。皮膚は重なり合った皮歯に覆われ、各皮歯には後縁の鋸歯に続く3本の隆起線が走る[12]。背面は灰褐色から灰色、腹面は灰白色。鰭に模様はない[2]。最大で1.9mになる[10]。
分布
インド太平洋西部の熱帯域で見られ、東はペルシャ湾から、東南アジア一帯・ニューギニア・クイーンズランド州北部、北は台湾、南は西オーストラリア州のモンテベロ諸島までに分布する[4][2]。沿岸に近い浅瀬に生息し、河口域にも入る[6]。
生態
長大なcephalofoilの機能については、様々な仮説が提唱されている。
- 眼が長いcephalofoilの先端についていることで、他のどのシュモクザメよりも広い、メジロザメ類の4倍に達する48°もの両眼視角を持つ。このために高度な奥行き知覚が可能で、狩りに役立っていると考えられている[13]。
- 体に対する鼻孔の長さはシュモクザメとしては最大である。長い鼻孔はより多くの嗅覚受容体を持ち、より多くの水を調べることで匂い分子を検出する能力を高めることができる。全長1mの個体は、理論的には毎秒2300cm3の水を鼻孔に流すことができる。嗅覚に関する他の利点として、左右の鼻孔間の距離を広げることで、匂いが来る方向を判別しやすくなることが挙げられる[14]。
- 電気受容器のロレンチーニ器官と機械受容器の側線を収めるスペースを増やすことで、獲物が発する電場や水流の検出力が上がる[4]。
本種のcephalofoilは長すぎて、他のシュモクザメのように、水中での運動性を高めるために用いるのは困難であると推測される[15]。
主に海底近くで獲物を探す。最も多く捕食するのは小魚で、次に甲殻類、頭足類が続く[2][16]。寄生虫として条虫の Callitetrarhynchus blochii [17]・Heteronybelinia heteromorphi [18]・Otobothrium carcharidis ・Otobothrium mugilis[19]・Phoreiobothrium puriensis[20]・Phyllobothrium blochii[21]、回虫のHysterothylacium ganeshi[22]・Pseudanisakis 属の一種[23]・Raphidascaroides blochii[24]・Terranova 属の一種[23]、ウオジラミ属のCaligus furcisetifer[25]、アイメリア属のEimeria zygaenae[26]が知られている。
生活史
他のシュモクザメ同様に胎生で、胎児は胎盤によって母体に栄養される。成体雌は右側の卵巣のみが機能するが、子宮は両側が機能する。妊娠中は、胎児1個体につき1個の仕切りが子宮内に形成される。ムンバイ周辺では、交尾はモンスーン期の7-8月に行われ[27]、雄は雌に噛み付いて交尾を促す。雌は毎年繁殖する。産仔数は6-25で、母体の大きさにつれて増える。妊娠期間は、インド西部では8–9ヶ月、オーストラリア北部では10–11ヶ月になる[2][16][28]。妊娠中の雌は互いに争うことが報告されている[4]。
他のサメと同様、初期の胎児は卵黄によって成長する。4.0-4.5cmになるとcephalofoilと鰭の形成が始まる。12-16cm頃に卵黄をほぼ使い切り、卵黄嚢と子宮壁に襞が生じ始める。その後、この襞は結合して胎盤となる。この時点では、胎児の発達は完了しておらず無色ではあるが、成体の基本的な特徴は備えている。cephalofoilは体にそって背中側に折り畳まれ、鰓裂からは長い外鰓が突き出す。20-29cmになると胎盤の形成が完了し、最初の歯、皮歯が生え、皮膚に色素が現れ、外鰓が縮小を始める。30cmになると、姿は成体とほぼ同じになる[27][28]。
出産は、ムンバイとパランギペッタイでは5-6月、マンナール湾では3-4月、オーストラリア北部では2-3月に行われる。胎児は尾から先に産まれ、総排泄孔を抜けるまではcephalofoilは折り畳まれている[16][27][28]。出生時は32-47cmで[10]、雄は1.0-1.1 m、雌は1.1-1.2 mで性成熟する[10][28]。寿命は最低でも21年[29]。
人との関わり
人には無害である。分布域の大部分で刺し網・地曳網・張り網・延縄・釣りなどによって漁獲される。鰭がフカヒレとしてアジアに輸出されるほか、肉は食用に、肝臓は肝油、粗は魚粉に加工される[2][4]。特にタイランド湾やインド・インドネシアなど、特に本種に対する漁業が盛んな地域では、個体数が減少している事例証拠がある。IUCNは保全状況を準絶滅危惧とし、漁業の盛んな地域では危急種となりそうだとしている。オーストラリア沿岸では漁獲されることは稀であるため、この地域では軽度懸念とされている[1]。
脚注
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