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扁桃炎
	膿栓と腫大・発赤した扁桃が認められる
概要
診療科	家庭医療, 感染症内科学, 耳鼻咽喉科学
分類および外部参照情報
ICD-10	J03, J35.0
ICD-9-CM	463
DiseasesDB	13165
eMedicine	ent/314
Patient UK	扁桃炎
MeSH	D014069
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2014年2月2日 (日) 10:53時点における版

扁桃炎（へんとうえん）は扁桃上の常在菌が活動して炎症を起こす病気である。扁桃腺炎ともいわれる^{[注釈 1]}。常在菌には溶連菌やブドウ球菌、肺炎球菌などがあり、溶連菌感染の場合は合併症を起こしやすい。他にウイルス感染で起こることもある。主に小児期に起こりやすいが、大人になっても感染する例もあり、また常在菌であるため、体力が低下した際などに再発することもある。治療には主に抗生物質が用いられる。再発頻度が高い（年に3-4回以上）場合は扁桃摘出の手術が行われることもある。

扁桃炎が起こる原因

「扁桃」も参照

扁桃には、免疫細胞が多く^[2]、細菌が、鼻や口から気管や肺へ侵入する^[3]病原体やウイルス、細菌に対しての防御機能を果たすが、一方で^[2]、表面に腺窩が多いため細菌の巣になりやすく、感染源となってしまうこともある^[3]。扁桃が病原体に感染し、炎症が起きた状態が扁桃炎（急性扁桃炎）である。扁桃を腫らし始めるのは2－3歳ごろからで、6－9歳でピークを迎える^[1]。扁桃は口の奥にあり、ここが炎症を起こすと赤くなり、白い膿栓が付くこともある^[2]。

口蓋扁桃は4歳から8歳の時期に最も活発になり、大きさも最大になるが、その後、徐々に小さくなり。大人ではほとんどわからなくなる。大人になっても扁桃が小さくならずに炎症が続き、ある程度の大きさを保っているのを、慢性扁桃炎と呼ぶ。この場合、扁桃に病原菌が常在していると、抵抗力が弱った時や、新たに細菌の侵入を受けた時などに、扁桃にある病原菌の力が体の抵抗力を上回るため、扁桃炎が起きる^[3]。

症状

主な症状としては38度以上の発熱、咽頭の痛み、悪寒戦慄、倦怠感、頭痛、関節痛に加え^[2]、顎の下や頚部のリンパ節の腫れなどで、痛みが耳や側頭部に広がることもある^[4]。高熱を出すため、高熱に特徴的な症状が多い^[2]。扁桃炎は鼻かぜから起こることもあり、また、扁桃炎がもとで鼻や喉頭、気管などに炎症が起こって、結果的に風邪の症状となるため、扁桃を腫らす傾向のある人は風邪をひきやすい、あるいは、風邪をひくとすぐ咽頭が腫れるとみなされがちである^[3]。また関節痛が出ることもある^[3]。風邪に続いて起こることが多い。また膿栓が広がって、扁桃の表面にある陰窩を白色の膜で覆うようになる。これを陰窩性扁桃炎という。原因となるのは溶連菌、ブドウ球菌、肺炎球菌等があげられる。しかし事前に風邪を引いている段階で抗生物質が用いられると、原因が特定できない場合も多い^[4]。

急性扁桃炎で、さらに奥にある扁桃に炎症が及ぶと扁桃周囲炎となる。扁桃周囲炎は、急性扁桃炎が治りかけたころに手当てを怠り、悪化した結果の症状で、高熱と激しい咽頭の痛みがある。片側の口蓋扁桃の上に膿瘍ができ、赤く腫れて化膿するため口臭が強くなる^[4]。

扁桃炎を起こすウイルス

^[2]

扁桃炎を起こす細菌

溶連菌感染の場合の合併症として、下記の3つがあげられる。

急性糸球体腎炎

体が急にむくみ、尿が出ない、あるいは血尿や蛋白尿が出たりするなどの症状がある。塩分を制限して、安静にしておく必要がある。

アレルギー性紫斑病

打撲したわけでもないのに、下肢に出血班が出たり、関節痛や腹痛を起こしたりする。この病気は原因不明の血管の炎症であるが、溶連菌が一部関与しているといわれる。

リウマチ熱

発熱と関節痛があり、湿疹が出たり、また皮下に結節ができることもある。心臓への影響が大きく、心臓そのものの炎症である心炎、リウマチ性弁膜症を起こす。舞踏病を起こすこともある。 ^[2]

慢性扁桃炎

慢性扁桃炎は、年に何回も扁桃炎を繰り返して高熱を出す。扁桃のくぼみに細菌が蓄積され、これが原因で全身感染を起こすこともある。また、扁桃腺周囲炎の状態で膿がたまると扁桃腺周囲膿瘍になる。このような症状は溶連菌感染によるものが多いとされるが、他に黄色ぶどう球菌や肺炎球菌、およびウイルスによるものがある。暴飲暴食や過労、咽頭の乾燥などが主な原因で、血液検査をすると、白血球数の増加とCRP値（炎症の程度を示す検査値）の上昇が認められる。また、細菌検査をすれば発生原因となる菌が検出される^[1]。他にワンサン・アンギーナ、単核細胞性アンギーナ、無顆粒細胞性アンギーナがあり、単核細胞性アンギーナは、骨髄の病気である伝染性単核症によって引き起こされる^[4]。

急性扁桃炎が慢性化したのが慢性扁桃炎である。慢性扁桃炎には突然急性化する場合があり、急性の症状を、1年に3回から5回にわたり繰り返す場合を特に習慣性扁桃炎と呼ぶ。習慣性扁桃炎では、病巣感染といって関節や腎臓、皮膚など、ほかの部位にも病気が起こることがある^[1]。

慢性扁桃炎の種類

慢性扁桃腺炎は「習慣性扁桃炎」、「慢性単純性扁桃炎」、そして「扁桃病巣感染症」の３種類に分けられる。

習慣性扁桃炎

子供に多い。3歳頃から発症が始まり、6歳位がピークとなる。通常成人するまでには納まるが、大人になってから発症することもある。
＜症状＞

咽頭痛
高熱
嚥下痛
耳放散痛
倦怠感

ただし、安定期に症状が出ることはない。 ^[5]

慢性単純性扁桃炎

ほとんどの場合、大人が感染する。原因は飲酒・喫煙などで、急性扁桃腺炎からそのまま移行することもある。
＜症状＞

咽頭の痛み
微熱
乾燥
刺激物をとるとしみる
喉に異物感

^[5]

扁桃病巣感染症

腎臓、皮膚、関節などの病気を併発する。
＜症状＞

^[5]

治療方法

合併症を避けるためにも、医師の治療を受ける方がいい。安静、うがい、湿布、口内錠やトローチなどに加え、水分や、抗体の産生が促されるビタミンCが必要である。薬物としては抗生物質に加え、炎症を抑える抗プラスミン剤、非ステロイド系抗炎症剤が用いられる。他にルゴール液の塗布もある^[4]。日頃はよくうがいをし、不規則な生活を慎むことが大事である。またのどの痛みがある場合は、入浴、飲酒、喫煙は避けるべきである^[3]。

ウイルスが原因の場合は、単純ヘルペス以外は特効薬がないので、抗生物質を使用せずに、症状に応じた治療が行われる。単純ヘルペスの場合は、水疱瘡と同じ薬アシクロビル（ゾビラックス）、バラシクロビル（バルトレックス）などを用いる。EBウイルスが原因の伝染性単核症による扁桃炎は、肝炎を起こしたり肝臓が腫れたりすることがあり、また発熱が続いたりもする。発熱に対しては解熱剤、関節痛には痛み止めの内服薬や湿布薬などが用いられる^[2]。

細菌が原因で起こる扁桃炎は、抗生物質による治療が行われる。当該の細菌にもっとも効果の高い抗生物質を使用するために、綿棒でノドをこすり、その綿棒を培地に入れて、3日間ほど細菌を繁殖させるが、溶血性連鎖球菌（溶連菌）では、迅速審査により15分程度で判ることがある。溶連菌による扁桃炎の場合は、除菌が望ましく、ペニシリン系抗生物質を10日間、またはセフェム系抗生物質を5日間使う^[2]。またアジスロマイシン（ジスロマック）を用いることもある^[6]。

また、扁桃を腫らす頻度が高い場合は扁桃摘出術を行うことがある^[3]。これは病巣感染を防ぐためである。病巣感染で要注意なのは、関節では関節リューマチ、腎臓では腎炎やIgA腎症などの合併症である。扁桃摘出の手術については、習慣性扁桃炎で、1年に4回以上扁桃腺を腫らすような場合^[1]、第三度肥大くらいでものを飲み込みにくい、あるいは呼吸がしづらい場合は受けた方がいい。この時にアデノイドも摘出することがある。手術は全身麻酔または局所麻酔で行われ、術後1週間は安静にして、1か月ほど経ってから元の生活に戻して行く^[4]。

扁桃膿瘍の場合は、膿汁の排泄が目的となる。膿瘍がどこにあるか、どのような状態であるかを考慮したうえで、注射針で穿刺吸引する場合と、局所麻酔後にメスで切開する場合とがある^[7]。

注釈

^ 元々は扁桃腺とよばれていたが、分泌腺ではないので「扁桃」が正式名称である。扁桃には、口蓋扁桃（こうがいへんとう）、舌扁桃（ぜつへんとう）、咽頭扁桃（いんとうへんとう＝アデノイド）、耳管扁桃（じかんへんとう）などの種類があるが、一般に扁桃と云えば口蓋扁桃のことである^[1]。

脚注

^ ^a ^b ^c ^d ^e ^f 扁桃腺について
^ ^a ^b ^c ^d ^e ^f ^g ^h ⁱ ^j 扁桃炎の症状・原因・治療[子供の病気All About]
^ ^a ^b ^c ^d ^e ^f ^g 慢性扁桃炎：耳鼻咽喉科の病気 | 医療財団法人神尾記念病院
^ ^a ^b ^c ^d ^e ^f 小学館・家庭医学大事典編纂委員会『ホーム・メディカ家庭医学大事典』小学館、1992年。884-890頁。
^ ^a ^b ^c 慢性扁桃腺炎
^ アジスロマイシン：ジスロマック
^ 扁桃周囲膿瘍（扁桃周囲炎）- gooヘルスケア

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+扁桃炎（へんとうえん）は扁桃上の常在菌が活動して炎症を起こす病気である。扁桃腺炎ともいわれる{{Refnest|group="注釈"|元々は扁桃腺とよばれていたが、分泌腺ではないので「扁桃」が正式名称である。扁桃には、口蓋扁桃（こうがいへんとう）、舌扁桃（ぜつへんとう）、咽頭扁桃（いんとうへんとう＝アデノイド）、耳管扁桃（じかんへんとう）などの種類があるが、一般に扁桃と云えば口蓋扁桃のことである<ref name=tonsils>[http://www.wavej.com/tonsils/ 扁桃腺について]</ref>。}}。常在菌には[[化膿レンサ球菌|溶連菌]]や[[ブドウ球菌]]、[[肺炎レンサ球菌|肺炎球菌]]などがあり、溶連菌感染の場合は合併症を起こしやすい。他にウイルス感染で起こることもある。主に小児期に起こりやすいが、大人になっても感染する例もあり、また常在菌であるため、体力が低下した際などに再発することもある。治療には主に抗生物質が用いられる。再発頻度が高い（年に3-4回以上）場合は扁桃摘出の手術が行われることもある。
-'''扁桃炎'''（へんとうえん）は[[扁桃|扁桃]]上の[[常在菌]]が活動して[[炎症]]を起こす病気。'''扁桃腺炎'''ともいわれる。
+==扁桃炎が起こる原因==
-活動する菌は[[化膿レンサ球菌|溶血性連鎖球菌]]が多く、ほかには[[黄色ブドウ球菌]]、[[肺炎双球菌]]などが確認されている。一度感染すると菌が完全になくなることはなく、体力が低下した際などに再発する。通常は[[抗生物質]]投与で治癒する。再発頻度が多い（年に3-4回）場合は扁桃摘出術をすすめられる。扁桃摘出術は[[全身麻酔]]を施し、術後1週間程度で退院する。
+{{see also|扁桃}}
+[[扁桃]]には、[[免疫系|免疫]][[細胞]]が多く<ref name=allabout>[http://allabout.co.jp/gm/gc/374174/　扁桃炎の症状・原因・治療[子供の病気]All About]</ref>、[[細菌]]が、[[鼻]]や[[口]]から[[気管]]や[[肺]]へ侵入する<ref  name=Kamio>[http://www.kamio.org/otorhinology-disease/chronic-tonsillitis/ 慢性扁桃炎：耳鼻咽喉科の病気 | 医療財団法人 神尾記念病院]</ref>[[病原体]]や[[ウイルス]]、[[細菌]]に対しての防御機能を果たすが、一方で<ref name=allabout/>、表面に[[扁桃陰窩|腺窩]]が多いため細菌の巣になりやすく、感染源となってしまうこともある<ref name=Kamio/>。扁桃が病原体に感染し、炎症が起きた状態が扁桃炎（急性扁桃炎）である。扁桃を腫らし始めるのは2－3歳ごろからで、6－9歳でピークを迎える<ref name=tonsils/>。扁桃は口の奥にあり、ここが炎症を起こすと赤くなり、白い[[膿栓]]が付くこともある<ref name=allabout>[http://allabout.co.jp/gm/gc/374174/　扁桃炎の症状・原因・治療[子供の病気]All About]</ref>。
+口蓋扁桃は4歳から8歳の時期に最も活発になり、大きさも最大になるが、その後、徐々に小さくなり。大人ではほとんどわからなくなる。大人になっても扁桃が小さくならずに炎症が続き、ある程度の大きさを保っているのを、慢性扁桃炎と呼ぶ。この場合、扁桃に病原菌が常在していると、抵抗力が弱った時や、新たに細菌の侵入を受けた時などに、扁桃にある病原菌の力が体の抵抗力を上回るため、扁桃炎が起きる<ref name=Kamio/>。
+==症状==
+[[File:Blausen 0860 Tonsils&Throat Anatomy.png|thumb|180px|right|通常時（左）と扁桃炎（右）の比較図。扁桃炎に罹ると咽喉と扁桃が赤く腫れて白い膿栓があらわれる。]]
+主な症状としては38度以上の発熱、[[咽頭]]の痛み、[[悪寒]][[ふるえ|戦慄]]、 [[疲労#疲労の分類|倦怠感]]、[[頭痛]]、[[関節痛]]に加え<ref name=allabout/>、[[顎]]の下や[[首|頚部]]の[[リンパ節]]の腫れなどで、痛みが[[耳]]や側頭部に広がることもある<ref name=medical>小学館・家庭医学大事典編纂委員会 『ホーム・メディカ 家庭医学大事典』小学館、1992年。884-890頁。</ref>。高熱を出すため、高熱に特徴的な症状が多い<ref name=allabout/>。扁桃炎は鼻かぜから起こることもあり、また、扁桃炎がもとで鼻や[[喉頭]]、気管などに炎症が起こって、結果的に風邪の症状となるため、扁桃を腫らす傾向のある人は風邪をひきやすい、あるいは、風邪をひくとすぐ咽頭が腫れるとみなされがちである<ref name=Kamio/>。また関節痛が出ることもある<ref name=Kamio/>。風邪に続いて起こることが多い。また膿栓が広がって、扁桃の表面にある陰窩を白色の膜で覆うようになる。これを陰窩性扁桃炎という。原因となるのは[[化膿レンサ球菌|溶連菌]]、[[ブドウ球菌]]、[[肺炎レンサ球菌|肺炎球菌]]等があげられる。しかし事前に風邪を引いている段階で[[抗生物質]]が用いられると、原因が特定できない場合も多い<ref name=medical/>。
+急性扁桃炎で、さらに奥にある扁桃に炎症が及ぶと扁桃周囲炎となる。扁桃周囲炎は、急性扁桃炎が治りかけたころに手当てを怠り、悪化した結果の症状で、高熱と激しい咽頭の痛みがある。片側の[[扁桃|口蓋扁桃]]の上に膿瘍ができ、赤く腫れて化膿するため[[口臭]]が強くなる<ref name=medical/>。
+===扁桃炎を起こすウイルス===
+*[[アデノウイルス]]
+*[[単純ヘルペスウイルス]]
+*[[エプスタイン・バール・ウイルス|EBウイルス]]
+*[[エンテロウイルス]]
+<ref name=allabout/>
+[[File:Streptococcus pyogenes 01.jpg|thumb|180px|right|溶連菌]]
+===扁桃炎を起こす細菌===
+*溶連菌
+*肺炎球菌
+*[[インフルエンザ菌]]<ref name=allabout/>
+*[[黄色ブドウ球菌]]<ref name=tonsils/>
+溶連菌感染の場合の合併症として、下記の3つがあげられる。
+*[[糸球体腎炎|急性糸球体腎炎]]
+体が急にむくみ、[[尿]]が出ない、あるいは[[血尿]]や[[タンパク尿|蛋白尿]]が出たりするなどの症状がある。塩分を制限して、安静にしておく必要がある。
+*[[アレルギー性紫斑病]]
+[[打撲]]したわけでもないのに、[[脚|下肢]]に[[出血]]班が出たり、関節痛や腹痛を起こしたりする。この病気は原因不明の血管の炎症であるが、溶連菌が一部関与しているといわれる。
+*[[リウマチ熱]]
+発熱と関節痛があり、[[湿疹]]が出たり、また皮下に[[結節]]ができることもある。心臓への影響が大きく、心臓そのものの炎症である[[リウマチ性心炎|心炎]]、[[リウマチ性弁膜症]]を起こす。[[ハンチントン病|舞踏病]]を起こすこともある。
+<ref name=allabout/>
+==慢性扁桃炎==
+[[File:Streptatest 01.jpg|thumb|180px|right|扁桃炎用の検査キット]]
+慢性扁桃炎は、年に何回も扁桃炎を繰り返して高熱を出す。扁桃のくぼみに細菌が蓄積され、これが原因で全身感染を起こすこともある。また、扁桃腺周囲炎の状態で膿がたまると扁桃腺周囲膿瘍になる。このような症状は溶連菌感染によるものが多いとされるが、他に黄色ぶどう球菌や肺炎球菌、およびウイルスによるものがある。暴飲暴食や[[疲労|過労]]、咽頭の乾燥などが主な原因で、[[血液検査]]をすると、[[白血球]]数の増加と[[C反応性蛋白|CRP値]]（炎症の程度を示す検査値）の上昇が認められる。また、細菌検査をすれば発生原因となる菌が検出される<ref name=tonsils/>。他に[[ワンサン・アンギーナ]]、[[単核細胞性アンギーナ]]、[[無顆粒細胞性アンギーナ]]があり、単核細胞性アンギーナは、[[骨髄]]の病気である[[伝染性単核球症|伝染性単核症]]によって引き起こされる<ref name=medical/>。
+急性扁桃炎が慢性化したのが慢性扁桃炎である。慢性扁桃炎には突然急性化する場合があり、急性の症状を、1年に3回から5回にわたり繰り返す場合を特に習慣性扁桃炎と呼ぶ。習慣性扁桃炎では、病巣感染といって関節や[[腎臓]]、皮膚など、ほかの部位にも病気が起こることがある<ref name=tonsils/>。
+===慢性扁桃炎の種類===
+慢性扁桃腺炎は「習慣性扁桃炎」、「慢性単純性扁桃炎」、そして「扁桃病巣感染症」の３種類に分けられる。
+====習慣性扁桃炎====
+子供に多い。3歳頃から発症が始まり、6歳位がピークとなる。通常成人するまでには納まるが、大人になってから発症することもある。<br/>
+＜症状＞
+*咽頭痛
+*高熱
+*[[嚥下]]痛
+*耳放散痛
+*倦怠感
+ただし、安定期に症状が出ることはない。
+<ref name=hentousen>[http://hentousenen.playzm.net/kyuusei.shtml 慢性扁桃腺炎]</ref>
+====慢性単純性扁桃炎====
+ほとんどの場合、大人が感染する。原因は[[飲酒]]・[[喫煙]]などで、急性扁桃腺炎からそのまま移行することもある。<br/>
+＜症状＞
+*咽頭の痛み
+*微熱
+*乾燥
+*刺激物をとるとしみる
+*喉に異物感
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+====扁桃病巣感染症====
+腎臓、皮膚、関節などの病気を併発する。<br/>
+＜症状＞
+*[[関節リウマチ]]
+*[[IgA腎症]]
+*[[掌蹠膿胞症]]
+*[[胸肋鎖骨過形成症]]など
+<ref name=hentousen/>
+==治療方法==
+[[File:Ceftriaxone rocephine im.jpg|thumb|180px|right|セフェム系抗生物質]]
+合併症を避けるためにも、医師の治療を受ける方がいい。安静、[[うがい]]、[[湿布]]、口内錠や[[トローチ]]などに加え、水分や、抗体の産生が促される[[ビタミンC]]が必要である。薬物としては抗生物質に加え、炎症を抑える抗[[プラスミン]]剤、[[非ステロイド系抗炎症剤]]が用いられる。他に[[複方ヨード・グリセリン|ルゴール液]]の塗布もある<ref name=medical/>。日頃はよくうがいをし、不規則な生活を慎むことが大事である。またのどの痛みがある場合は、入浴、飲酒、喫煙は避けるべきである<ref name=Kamio/>。
+ウイルスが原因の場合は、単純ヘルペス以外は特効薬がないので、抗生物質を使用せずに、症状に応じた治療が行われる。単純ヘルペスの場合は、水疱瘡と同じ薬[[アシクロビル]]（ゾビラックス）、[[バラシクロビル]]（バルトレックス）などを用いる。EBウイルスが原因の伝染性単核症による扁桃炎は、肝炎を起こしたり肝臓が腫れたりすることがあり、また発熱が続いたりもする。発熱に対しては[[鎮痛剤|解熱剤]]、関節痛には痛み止めの内服薬や湿布薬などが用いられる<ref name=allabout/>。
+細菌が原因で起こる扁桃炎は、抗生物質による治療が行われる。当該の細菌にもっとも効果の高い抗生物質を使用するために、綿棒でノドをこすり、その綿棒を培地に入れて、3日間ほど細菌を繁殖させるが、溶血性連鎖球菌（溶連菌）では、迅速審査により15分程度で判ることがある。溶連菌による扁桃炎の場合は、除菌が望ましく、[[ペニシリン]]系抗生物質を10日間、または[[セフェム系]]抗生物質を5日間使う<ref name=allabout/>。また[[アジスロマイシン]]（ジスロマック）を用いることもある<ref>[http://www.interq.or.jp/ox/dwm/se/se61/se6149004.html アジスロマイシン：ジスロマック]</ref>。
+[[File:Tonsillectomy day 2.jpg|thumb|120px|right|扁桃除去手術後2日後の患部]]
+また、扁桃を腫らす頻度が高い場合は扁桃摘出術を行うことがある<ref name=Kamio/>。これは病巣感染を防ぐためである。病巣感染で要注意なのは、関節では関節リューマチ、腎臓では[[腎臓学|腎炎]]や[[IgA腎症]]などの合併症である。扁桃摘出の手術については、習慣性扁桃炎で、1年に4回以上扁桃腺を腫らすような場合<ref name=tonsils/>、第三度肥大くらいでものを飲み込みにくい、あるいは呼吸がしづらい場合は受けた方がいい。この時にアデノイドも摘出することがある。手術は全身麻酔または局所麻酔で行われ、術後1週間は安静にして、1か月ほど経ってから元の生活に戻して行く<ref name=medical/>。
+扁桃膿瘍の場合は、膿汁の排泄が目的となる。膿瘍がどこにあるか、どのような状態であるかを考慮したうえで、注射針で穿刺吸引する場合と、局所麻酔後にメスで切開する場合とがある<ref>[http://health.goo.ne.jp/medical/search/10F30400.html 扁桃周囲膿瘍（扁桃周囲炎）- gooヘルスケア]</ref>。
+==注釈==
+<references group="注釈"/>
+==脚注==
+{{Reflist|2}}
 == 関連項目 ==
-* [[IgA腎症]]
+* [[レンサ球菌]]
-* [[掌蹠膿疱症]]
-{{Medical-stub}}
 {{DEFAULTSORT:へんとうえん}}
 [[Category:感染症]]
+[[Category:小児科学]]
+[[Category:耳鼻咽喉科学]]