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'''女子柔道強化選手による暴力告発問題'''(じょしじゅうどうきょうかせんしゅによるぼうりょくこくはつもんだい)とは、2013年1月29日に女子柔道の国際試合強化選手15名が、全日本女子ナショナルチーム監督である[[園田隆二]]を始めとした指導陣による[[暴 |
'''女子柔道強化選手による暴力告発問題'''(じょしじゅうどうきょうかせんしゅによるぼうりょくこくはつもんだい)とは、2013年1月29日に女子柔道の国際試合強化選手15名が、全日本女子ナショナルチーム監督である[[園田隆二]]を始めとした指導陣による[[暴力|暴力行為]]や[[パワーハラスメント]]を訴えていたことが発覚した問題。2月1日に園田は暴力行為を認めて監督を辞任した。 |
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== 概要 == |
== 概要 == |
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=== 問題の発生とその経緯 === |
=== 問題の発生とその経緯 === |
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2012年9月下旬に、とある選手が強化合宿中に園田に暴力を振るわれたことを[[全日本柔道連盟]](以下、全柔連と記す)に訴えた<ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013013000010 女子代表監督らがパワハラ行為=代表選手らが訴える-柔道] [[時事通信]] 2013年1月30日</ref>。全柔連が園田と当該選手に事情を聞いた結果、それが事実と判明した。この際に園田は「二度と暴力行為はしない」と約束したという<ref>[http://www.ytv.co.jp/press/mainnews/TI20099805.html 全柔連会長、園田監督を辞めさせる意思なし] [[読売テレビ]] 2013年1月30日</ref>。しかし、10月下旬にブラジルの[[サルヴァドール]]で開催された[[世界柔道団体選手権大会|世界団体]]の際に園田はこの選手に対して「余計なことを言いふらしているらしいな」と厳しく責めたてたともいう<ref>[http://www.yomiuri.co.jp/sports/news/20130206-OYT1T00027.htm 「余計なことを言いふらしているらしいな」 園田隆二・全日本女子前監督、最初に被害を訴えた選手をどう喝していた] [[読売新聞]] 2013年2月6日</ref>。このような状況の中、11月5日に全柔連は園田の[[リオデジャネイロオリンピック]]までの監督続投を決定した。11月10日に園田は全柔連に始末書を提出して厳重注意を受けると、11月28日には当該選手に謝罪した<ref>[http://www.j-cast.com/2013/01/30163355.html 女子柔道、五輪惨敗の裏に監督らの「暴力」「パワハラ」 それでも全柔連は監督続投の不可解] [[J-CAST]] 2013年1月30日</ref>。しかし、被害選手に高圧的な態度を取った園田に怒りを増幅させたロンドンオリンピック代表を含む女子の国際試合強化選手15名(引退した選手を含む)は、暴力の実態を把握しながら園田の続投を決定した全柔連には自浄能力がないと判断して、11月11日に園田らによる暴力やパワーハラスメントを訴える告発文書を作成すると、12月4日に[[日本オリンピック委員会]](以下、JOCと記す)にそれを提出した<ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013013000995 求められる意識改革=全柔連、甘い認識-柔道監督暴力] [[時事通信]] 2013年1月30日</ref>。さらに、12月25日には人事の見直しや、問題が解決されるまでの合宿の凍結、第3者による調査を求めるメールをJOC女性スポーツ専門部会に送付した<ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/01/30/kiji/K20130130005091160.html 上村会長も園田監督留任明言「未熟さゆえ」調査次第で新たな処分も] [[スポーツニッポン]] 2013年1月30日</ref><ref>[http://www.nikkansports.com/sports/news/p-sp-tp0-20130202-1079859.html 次期監督、被害15選手に意見聞いて選ぶ] [[日刊スポーツ]] 2013年2月2日</ref>。 |
2012年9月下旬に、とある選手が強化合宿中に園田に暴力を振るわれたことを[[全日本柔道連盟]](以下、全柔連と記す)に訴えた<ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013013000010 女子代表監督らがパワハラ行為=代表選手らが訴える-柔道] [[時事通信]] 2013年1月30日</ref>。全柔連が園田と当該選手に事情を聞いた結果、それが事実と判明した。この際に園田は「二度と暴力行為はしない」と約束したという<ref>[http://www.ytv.co.jp/press/mainnews/TI20099805.html 全柔連会長、園田監督を辞めさせる意思なし] [[読売テレビ]] 2013年1月30日</ref>。しかし、10月下旬にブラジルの[[サルヴァドール]]で開催された[[世界柔道団体選手権大会|世界団体]]の際に、園田はこの選手に対して「余計なことを言いふらしているらしいな」と厳しく責めたてたともいう<ref>[http://www.yomiuri.co.jp/sports/news/20130206-OYT1T00027.htm 「余計なことを言いふらしているらしいな」 園田隆二・全日本女子前監督、最初に被害を訴えた選手をどう喝していた] [[読売新聞]] 2013年2月6日</ref>。このような状況の中、11月5日に全柔連は園田の[[リオデジャネイロオリンピック]]までの監督続投を決定した。11月10日に園田は全柔連に始末書を提出して厳重注意を受けると、11月28日には当該選手に謝罪した<ref>[http://www.j-cast.com/2013/01/30163355.html 女子柔道、五輪惨敗の裏に監督らの「暴力」「パワハラ」 それでも全柔連は監督続投の不可解] [[ジェイ・キャスト|J-CAST]] 2013年1月30日</ref>。しかし、被害選手に高圧的な態度を取った園田に怒りを増幅させたロンドンオリンピック代表を含む女子の国際試合強化選手15名(引退した選手を含む)は、暴力の実態を把握しながら園田の続投を決定した全柔連には自浄能力がないと判断して、11月11日に園田らによる暴力やパワーハラスメントを訴える告発文書を作成すると、12月4日に[[日本オリンピック委員会]](以下、JOCと記す)にそれを提出した<ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013013000995 求められる意識改革=全柔連、甘い認識-柔道監督暴力] [[時事通信]] 2013年1月30日</ref>。さらに、12月25日には人事の見直しや、問題が解決されるまでの合宿の凍結、第3者による調査を求めるメールをJOC女性スポーツ専門部会に送付した<ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/01/30/kiji/K20130130005091160.html 上村会長も園田監督留任明言「未熟さゆえ」調査次第で新たな処分も] [[スポーツニッポン]] 2013年1月30日</ref><ref>[http://www.nikkansports.com/sports/news/p-sp-tp0-20130202-1079859.html 次期監督、被害15選手に意見聞いて選ぶ] [[日刊スポーツ]] 2013年2月2日</ref>。 |
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2013年1月にJOCは告発者数名との面談を試みると、「怖かった」、「(園田の)顔は笑っていたが不安だった」との話を聞きだした<ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/01/30/kiji/K20130130005089960.html 全柔連 園田監督、男性コーチを戒告処分、暴力認め謝罪] [[スポーツニッポン]] 2013年1月30日</ref><ref>[http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00239588.html 女子柔道暴力告発 嘆願書は人事見直しや第3者調査を求める内容] [[FNN]] 2013年1月30日</ref>。また、JOCからこの訴えを知らされた全柔連も再調査を試みた結果、2010年8月から2012年2月までの期間に暴力行為を5件確認することになった<ref>[http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00239591.html 柔道連盟専務理事「ある程度の暴力が許される風潮若干あった」] [[FNN]] 2013年1月30日</ref>。 |
2013年1月にJOCは告発者数名との面談を試みると、「怖かった」、「(園田の)顔は笑っていたが不安だった」との話を聞きだした<ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/01/30/kiji/K20130130005089960.html 全柔連 園田監督、男性コーチを戒告処分、暴力認め謝罪] [[スポーツニッポン]] 2013年1月30日</ref><ref>[http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00239588.html 女子柔道暴力告発 嘆願書は人事見直しや第3者調査を求める内容] [[FNN]] 2013年1月30日</ref>。また、JOCからこの訴えを知らされた全柔連も再調査を試みた結果、2010年8月から2012年2月までの期間に暴力行為を5件確認することになった<ref>[http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00239591.html 柔道連盟専務理事「ある程度の暴力が許される風潮若干あった」] [[FNN]] 2013年1月30日</ref>。 |
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暴力の内容としては、竹刀で背中や尻を叩いたり、頭部にゲンコツ、顔面に平手打ちを食らわせたという。さらに、髪の毛を鷲づかみにしながら「お前なんか柔道やってなかったら、ただのブタだ」、「死ね」などといった暴言も合わせて浴びせていたという |
暴力の内容としては、竹刀で背中や尻を叩いたり、頭部にゲンコツ、顔面に平手打ちを食らわせたという。さらに、髪の毛を鷲づかみにしながら「お前なんか柔道やってなかったら、ただのブタだ」、「死ね」などといった暴言も合わせて浴びせていたという |
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<ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130130-OHT1T00207.htm 園田監督ら言葉でも暴力「死ね」「ブタ」…女子柔道暴力告発問題] [[スポーツ報知]] 2013年1月30日</ref>。さらに、5件の暴力は1選手に対するものであり、実際は他の選手たちにもっと多くの暴力が振るわれていた可能性も指摘されている<ref>[http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130201-OYT1T00214.htm?from=ylist 全柔連、事実を矮小化?…「暴力5件は1人分」] [[読売新聞]] 2013年1月30日</ref>。 |
<ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130130-OHT1T00207.htm 園田監督ら言葉でも暴力「死ね」「ブタ」…女子柔道暴力告発問題] [[スポーツ報知]] 2013年1月30日</ref>。さらに、5件の暴力は1選手に対するものであり、実際は他の選手たちにもっと多くの暴力が振るわれていた可能性も指摘されている<ref>[http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130201-OYT1T00214.htm?from=ylist 全柔連、事実を矮小化?…「暴力5件は1人分」] [[読売新聞]] 2013年1月30日</ref>。 |
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さらに、怪我を抱えた選手に対して、それを考慮することなく大会 |
さらに、怪我を抱えたオリンピック代表候補選手2名に対して、それを考慮することなく2011年11月の[[講道館杯全日本柔道体重別選手権大会|講道館杯]]に、「出ないなら代表に選ばない。負けてでも出ろ」と出場を強要した。1人は足をひきずりながら出場するも、途中で敗れてケガを悪化させた。もう1人は世界ランキング1位ということもあって、敢えて治療を優先して出場を断ると、翌月の[[グランドスラム・東京2011|グランドスラム・東京]]の代表メンバーから外されただけでなく、年越し強化合宿のメンバーからも除外されるという制裁を受けることになった<ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/01/30/kiji/K20130130005089210.html 告発された園田監督 昨年11月には選手負傷させ謝罪文提出] [[スポーツニッポン]] 2013年1月30日</ref><ref>[http://dot.asahi.com/sports/sp/2013020400013.html 足ひきずり出場、世界1位でも制裁… 柔道界の体質] [[AERA]] 2013年2月4日</ref>。 |
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これを受けて1月19日に全柔連の倫理推進部会は、暴力行為に関わった園田と男性元コーチ2名及び、連帯責任としてコーチ4名の計6名の女子強化スタッフ |
これを受けて1月19日に全柔連の倫理推進部会は、暴力行為に関わった園田と男性の元コーチ2名及び、連帯責任としてコーチ4名の計6名の女子強化スタッフに文書による戒告処分を科した。また、この間の経緯を強化合宿中の選手に説明することにもなった<ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013013000432 園田監督に戒告処分=暴力行為への告発で-全柔連] [[時事通信]] 2013年1月30日</ref><ref>[http://daily.co.jp/newsflash/general/2013/01/30/0005705960.shtml 全柔連が緊急会見、園田監督は解任せず] [[デイリースポーツ]] 2013年1月30日</ref>。1月20日になると、告発選手側は園田らが軽い処分で終わったことに納得できず、弁護士の辻口信良に相談を持ちかけた。その数日後に辻口は東京で告発選手15名のうち12名と直接対面して、代理人を引き受けることにしたという<ref>[http://www.nikkansports.com/sports/news/p-sp-tp0-20130205-1081103.html 女子柔道告発15選手「見せ物にされた」] [[日刊スポーツ]] 2013年2月5日</ref>。1月25日に全柔連は事実経過や改善点をJOCに説明した<ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/02/02/kiji/K20130202005109040.html ドタバタ全柔連 続投発表から2日で園田監督辞任] [[スポーツニッポン]] 2013年2月2日</ref>。しかし、1月27日には9選手が改めて被害を訴えにJOCに直接赴いた<ref>[http://www.nikkansports.com/sports/news/p-sp-tp0-20130202-1079859.html 次期監督、被害15選手に意見聞いて選ぶ] [[日刊スポーツ]] 2013年2月2日</ref>。 |
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=== 問題の発覚と園田の辞任 === |
=== 問題の発覚と園田の辞任 === |
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2月4日には選手側の代理人を務める弁護士の辻口信良と岡村英祐が記者会見を開いて、「全日本女子ナショナルチーム 国際試合強化選手15名」名義の声明文を代読した<ref>[http://www.yomiuri.co.jp/sports/news/20130204-OYT1T01088.htm?from=ylist 失望と怒りで告発した…柔道女子選手の声明発表] [[読売新聞]] 2013年2月4日</ref>。 |
2月4日には選手側の代理人を務める弁護士の辻口信良と岡村英祐が記者会見を開いて、「全日本女子ナショナルチーム 国際試合強化選手15名」名義の声明文を代読した<ref>[http://www.yomiuri.co.jp/sports/news/20130204-OYT1T01088.htm?from=ylist 失望と怒りで告発した…柔道女子選手の声明発表] [[読売新聞]] 2013年2月4日</ref>。 |
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全文は以下のとおり<ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/02/04/kiji/K20130204005126730.html 柔道暴力問題 15選手による声明全文] [[スポーツニッポン]] 2013年2月4日</ref>。 |
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{{Quotation|皆さまへ |
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{{Quotation|私たちは、これまで全日本柔道連盟(全柔連)の一員として、所属先の学校や企業における指導のもと、全柔連をはじめ柔道関係者の皆さまの支援を頂きながら、柔道を続けてきました。このような立場にありながら、私たちが全柔連やJOCに対して訴え出ざるを得なくなったのは、憧れであったナショナルチームの状況への失望と怒りが原因でした。 |
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このたび、私たち15名の行動により、皆さまをお騒がせする結果となっておりますこと、また2020年東京オリンピック招致活動に少なからず影響を生じさせておりますこと、まずもって、おわび申し上げます。私たちが、JOC(日本オリンピック委員会)に対して園田前監督の暴力行為やハラスメントの被害実態を告発した経過について、述べさせていただきます。 |
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指導の名の下に、または指導とは程遠い形で、園田前監督によって行われた暴力行為やハラスメントにより、私たちは心身ともに深く傷つきました。人としての誇りを汚されたことに対し、ある者は涙し、ある者は疲れ果て、またチームメートが苦しむ姿を見せつけられることで、監督の存在におびえながら試合や練習をする自分の存在に気づきました。 |
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ロンドン五輪の代表選手発表に象徴されるように、互いにライバルとして切磋琢磨し励まし合ってきた選手相互間の敬意と尊厳をあえて踏みにじるような連盟役員や強化体制陣の方針にも、失望し強く憤りを感じました。 前監督による暴力行為やハラスメントは、決して許されるものではありません。私たちは、柔道をはじめとする全てのスポーツにおいて、暴力やハラスメントが入り込むことに、断固として反対します。 |
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私たちは、これまで全日本柔道連盟(全柔連)の一員として、所属先の学校や企業における指導のもと、全柔連をはじめ柔道関係者の皆さまの支援を頂きながら、柔道を続けてきました。このような立場にありながら、私たちが全柔連やJOCに対して訴え出ざるを得なくなったのは、憧れであったナショナルチームの状況への失望と怒りが原因でした。 |
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前強化委員会委員長をはじめとする強化体制やその他連盟の組織体制の問題点が明らかにされないまま、ひとり前監督の責任という形をもって、今回の問題解決が図られることは、決して私たちの真意ではありません。}} |
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指導の名の下に、または指導とは程遠い形で、園田前監督によって行われた暴力行為やハラスメントにより、私たちは心身ともに深く傷つきました。人としての誇りを汚されたことに対し、ある者は涙し、ある者は疲れ果て、またチームメートが苦しむ姿を見せつけられることで、監督の存在におびえながら試合や練習をする自分の存在に気づきました。代表選手・強化選手としての責任を果たさなければという思いと、各所属先などで培ってきた柔道精神からは大きくかけ離れた現実との間で、自問自答を繰り返し、悩み続けてきました。 |
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ロンドン五輪の代表選手発表に象徴されるように、互いにライバルとして切磋琢磨し励まし合ってきた選手相互間の敬意と尊厳をあえて踏みにじるような連盟役員や強化体制陣の方針にも、失望し強く憤りを感じました。 |
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今回の行動をとるにあたっても、大きな苦悩と恐怖がありました。私たちが訴え出ることで、お世話になった所属先や恩師、その他関係の皆さま方、家族にも多大な影響が出るのではないか、今後、自分たちは柔道選手としての道を奪われてしまうのではないか、私たちが愛し人生をかけてきた柔道そのものが大きなダメージを受け、壊れてしまうのではないかと、何度も深く悩み続けてきました。 |
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決死の思いで、未来の代表選手・強化選手や、未来の女子柔道のために立ち上がった後、その苦しみはさらに深まりました。私たちの声は全柔連の内部では聞き入れられることなく封殺されました。その後、JOCに駆け込む形で告発するに至りましたが、学校内での体罰問題が社会問題となる中、依然、私たちの声は十分には拾い上げられることはありませんでした。一連の報道で、ようやく皆さまにご理解を頂き、事態が動くに至ったのです。 |
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このような経過を経て、前監督は責任を取って辞任されました。 |
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前監督による暴力行為やハラスメントは、決して許されるものではありません。私たちは、柔道をはじめとする全てのスポーツにおいて、暴力やハラスメントが入り込むことに、断固として反対します。 |
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しかし、一連の前監督の行為を含め、なぜ指導を受ける私たち選手が傷つき、苦悩する状況が続いたのか、なぜ指導者側に選手の声が届かなかったのか、選手、監督・コーチ、役員間でのコミュニケーションや信頼関係が決定的に崩壊していた原因と責任が問われなければならないと考えています。前強化委員会委員長をはじめとする強化体制やその他連盟の組織体制の問題点が明らかにされないまま、ひとり前監督の責任という形をもって、今回の問題解決が図られることは、決して私たちの真意ではありません。 |
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今後行われる調査では、私たち選手のみならず、コーチ陣の先生方の苦悩の声も丁寧に聞き取っていただきたいと思います。暴力や体罰の防止はもちろんのこと、世界の頂点を目指す競技者にとって、またスポーツを楽しみ、愛する者にとって、苦しみや悩みの声を安心して届けられる体制や仕組みづくりに生かしていただけることを心から強く望んでいます。 |
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競技者が、安心して競技に打ち込める環境が整備されてこそ、真の意味でスポーツ精神が社会に理解され、2020年のオリンピックを開くにふさわしいスポーツ文化が根付いた日本になるものと信じています。}} |
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この声明文でも触れられていたロンドン五輪の代表選手発表における問題とは、2012年5月13日に[[ロンドンオリンピック (2012年)|ロンドンオリンピック]]代表を発表する記者会見の場において、全柔連の許可を得てその模様を放映した[[フジテレビジョン|フジテレビ]]が、発表に見入る男女のオリンピック代表選出選手と落選選手の表情を交互にアップで映し出した見せ物のような演出を指す<ref>[http://www.tokyo-sports.co.jp/sports/10932/ フジ 残酷な〝さらし者中継〟] [[東京スポーツ]] 2012年5月17日</ref><ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/02/05/kiji/K20130205005131130.html 全柔連の姿勢に不信感 「見せ物にされた」五輪代表発表の生中継] [[スポーツニッポン]] 2013年2月5日</ref>。 |
この声明文でも触れられていたロンドン五輪の代表選手発表における問題とは、2012年5月13日に[[ロンドンオリンピック (2012年)|ロンドンオリンピック]]代表を発表する記者会見の場において、全柔連の許可を得てその模様を放映した[[フジテレビジョン|フジテレビ]]が、発表に見入る男女のオリンピック代表選出選手と落選選手の表情を交互にアップで映し出した見せ物のような演出を指す<ref>[http://www.tokyo-sports.co.jp/sports/10932/ フジ 残酷な〝さらし者中継〟] [[東京スポーツ]] 2012年5月17日</ref><ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/02/05/kiji/K20130205005131130.html 全柔連の姿勢に不信感 「見せ物にされた」五輪代表発表の生中継] [[スポーツニッポン]] 2013年2月5日</ref>。 |
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2月5日には全柔連の臨時理事会が開かれて、この問題を解決するために外部有識者を招いて調査委員会を設置することに決めた。さらに、女子選手の相談を受け持つ支援ステーションの拡充とともに、女性理事や女性監督の登用にも理解を示す姿勢を見せた<ref>[http://sankei.jp.msn.com/sports/news/130205/mrt13020519360007-n1.htm 吉村・強化担当理事が辞任、徳野コーチも 辞任は3人目、国政にも波及する異例の事態へ] [[MSN|MSN産経ニュース]] 2013年2月5日</ref>。加えて、全柔連理事である[[山下泰裕]]は「選手に申し訳ない。プレーヤーズファーストを大事にしないといけない」と述べると、全柔連副会長である[[佐藤宣践]]も「(全柔連の)倫理規定に、体罰はルール違反だと書いてある。体罰は[[ドーピング]]と同じことだ」との見解を示した<ref>[http://www.nikkansports.com/sports/news/p-sp-tp0-20130206-1081536.html 山下泰裕理事、選手へ謝罪「申し訳ない」] [[日刊スポーツ]] 2013年2月6日</ref>。 |
2月5日には全柔連の臨時理事会が開かれて、この問題を解決するために外部有識者を招いて調査委員会を設置することに決めた。さらに、女子選手の相談を受け持つ支援ステーションの拡充とともに、女性理事や女性監督の登用にも理解を示す姿勢を見せた<ref name="mrt13020519360007">[http://sankei.jp.msn.com/sports/news/130205/mrt13020519360007-n1.htm 吉村・強化担当理事が辞任、徳野コーチも 辞任は3人目、国政にも波及する異例の事態へ] [[MSN|MSN産経ニュース]] 2013年2月5日</ref>。加えて、全柔連理事である[[山下泰裕]]は「選手に申し訳ない。プレーヤーズファーストを大事にしないといけない」と述べると、全柔連副会長である[[佐藤宣践]]も「(全柔連の)倫理規定に、体罰はルール違反だと書いてある。体罰は[[ドーピング]]と同じことだ」との見解を示した<ref>[http://www.nikkansports.com/sports/news/p-sp-tp0-20130206-1081536.html 山下泰裕理事、選手へ謝罪「申し訳ない」] [[日刊スポーツ]] 2013年2月6日</ref>。 |
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さらに、前日の声明文で名指しされていた前強化委員長であり、園田の監督続投を強力に推進していた全柔連強化担当理事の[[吉村和郎]]が辞任を表明するに至った<ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2012/10/21/kiji/K20121021004374110.html 男子・篠原監督、女子・園田監督 両指揮官の留任確定的] [[スポーツニッポン]] 2012年10月21日</ref><ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013020500524 吉村強化担当理事が辞任=監督暴力問題で引責-全柔連] [[時事通信]] 2013年2月5日</ref>。この際に吉村は、強化合宿における暴力行為に関して「私は一回も見ていない。そういうことがあれば何かの措置を取ったと思う」と釈明した<ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/02/05/kiji/K20130205005132150.html 柔道暴力問題 全柔連理事、コーチ辞任、調査委設置で組織改革へ] [[スポーツニッポン]] 2013年2月5日</ref>。加えて、女子コーチの[[徳野和彦]]も5日に遠征先のブルガリアから緊急帰国すると、選手に対する暴力行為を認めて引責辞任することになった<ref>[http://daily.co.jp/newsflash/general/2013/02/05/0005720407.shtml 柔道女子日本代表の徳野コーチも辞任] [[デイリースポーツ]] 2013年2月5日</ref>。選手側代理人である辻口は吉村の辞任に一定の評価を示した<ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013020500945 「吉村氏辞任」に一定の評価=選手側代理人、辻口弁護士-柔道暴力問題] [[時事通信]] 2013年2月5日</ref>。 |
さらに、前日の声明文で名指しされていた前強化委員長であり、園田の監督続投を強力に推進していた全柔連強化担当理事の[[吉村和郎]]が辞任を表明するに至った<ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2012/10/21/kiji/K20121021004374110.html 男子・篠原監督、女子・園田監督 両指揮官の留任確定的] [[スポーツニッポン]] 2012年10月21日</ref><ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013020500524 吉村強化担当理事が辞任=監督暴力問題で引責-全柔連] [[時事通信]] 2013年2月5日</ref>。この際に吉村は、強化合宿における暴力行為に関して「私は一回も見ていない。そういうことがあれば何かの措置を取ったと思う」と釈明した<ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/02/05/kiji/K20130205005132150.html 柔道暴力問題 全柔連理事、コーチ辞任、調査委設置で組織改革へ] [[スポーツニッポン]] 2013年2月5日</ref>。加えて、女子コーチの[[徳野和彦]]も5日に遠征先のブルガリアから緊急帰国すると、選手に対する暴力行為を認めて引責辞任することになった<ref>[http://daily.co.jp/newsflash/general/2013/02/05/0005720407.shtml 柔道女子日本代表の徳野コーチも辞任] [[デイリースポーツ]] 2013年2月5日</ref>。選手側代理人である辻口は吉村の辞任に一定の評価を示した<ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013020500945 「吉村氏辞任」に一定の評価=選手側代理人、辻口弁護士-柔道暴力問題] [[時事通信]] 2013年2月5日</ref>。 |
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2月12日に全柔連は相次いで辞任した吉村和郎、園田隆二、徳野和彦の3名を今後IJF主催の試合や国際合同合宿から締め出すことに決定した。さらに、IJFもその決定を了承して、それ以上の処分を課すことはないとの認識を示した<ref>[http://www.nikkei.com/article/DGXNSSXKC0589_S3A210C1000000/ 上村会長、前監督らを処分 IJFの大会参加させず] [[日本経済新聞]] 2013年2月12日</ref>。また、3月18日の全柔連理事会において調査委員会からの提言を受け、その結果をIJFに報告する意向も示した<ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/sumo/news/20130212-OHT1T00187.htm 【柔道】全柔連・上村会長「辞任3人は国際大会や合宿に不参加」] [[スポーツ報知]] 2013年2月12日</ref><ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013021200888 園田前監督らの活動自粛=上村会長、IJFに報告―柔道監督暴力] [[時事通信]] 2013年2月12日</ref>。 |
2月12日に全柔連は相次いで辞任した吉村和郎、園田隆二、徳野和彦の3名を今後IJF主催の試合や国際合同合宿から締め出すことに決定した。さらに、IJFもその決定を了承して、それ以上の処分を課すことはないとの認識を示した<ref>[http://www.nikkei.com/article/DGXNSSXKC0589_S3A210C1000000/ 上村会長、前監督らを処分 IJFの大会参加させず] [[日本経済新聞]] 2013年2月12日</ref>。また、3月18日の全柔連理事会において調査委員会からの提言を受け、その結果をIJFに報告する意向も示した<ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/sumo/news/20130212-OHT1T00187.htm 【柔道】全柔連・上村会長「辞任3人は国際大会や合宿に不参加」] [[スポーツ報知]] 2013年2月12日</ref><ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013021200888 園田前監督らの活動自粛=上村会長、IJFに報告―柔道監督暴力] [[時事通信]] 2013年2月12日</ref>。 |
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またこの日から、JOCの「緊急調査対策プロジェクト」メンバーである橋本聖子や[[荒木田裕子]]ら理事4名と弁護士が告発した選手への聞き取り調査を始めた<ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013021400949 女子15選手へ聞き取り開始=柔道暴力問題で-JOC] [[時事通信]] 2013年2月14日</ref>。また、橋本は告発選手の氏名を明らかにすることはないことを改めて強調した<ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013021400949 女子15選手へ聞き取り開始=柔道暴力問題で-JOC] [[時事通信]] 2013年2月15日</ref>。 |
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=== 第三者委員会の設置と検証作業 === |
=== 第三者委員会の設置と検証作業 === |
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2月14日に全柔連は今回の問題を検証して、組織のあり方を提言する第三者委員会の設置を発表した。委員長には前[[検事総長]]で弁護士の[[笠間治雄]]、委員には空手家の[[高橋優子]]、[[精神科医]]の[[香山リカ (精神科医)|香山リカ]]、[[日本サッカー協会]]副会長の[[田嶋幸三]]、柔道元フランス代表で[[慶 |
2月14日に全柔連は今回の問題を検証して、組織のあり方を提言する第三者委員会の設置を発表した。委員長には前[[検事総長]]で弁護士の[[笠間治雄]]、委員には空手家の[[高橋優子]]、[[精神科医]]の[[香山リカ (精神科医)|香山リカ]]、[[日本サッカー協会]]副会長の[[田嶋幸三]]、柔道元フランス代表で[[慶應義塾大学|慶應大学]]柔道部コーチのピエール・フラマンが就くことになった<ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013021400656 第三者委員長に笠間前検事総長=19日初会合-柔道女子暴力問題] [[時事通信]] 2013年2月14日</ref>。第三者委員会は場合によっては告発選手や辞任した園田らも含めた聞き取り調査を行う可能性もあることを示唆した<ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/02/15/kiji/K20130215005203300.html 全柔連の第三者委員会 選手や前監督らの出席も] [[スポーツニッポン]] 2013年2月15日</ref>。 |
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また、同日には全柔連会長の上村が文部科学大臣の下村博文に今回の経緯を説明するとともに、謝罪した<ref>[http://www.yomiuri.co.jp/sports/news/20130214-OYT1T01268.htm?from=ylist 柔道暴力告発、全柔連・上村会長が文科相に謝罪] [[読売新聞]] 2013年2月14日</ref>。さらに、全柔連強化委員長の斉藤仁 |
また、同日には全柔連会長の上村が文部科学大臣の[[下村博文]]に今回の経緯を説明するとともに、謝罪した<ref>[http://www.yomiuri.co.jp/sports/news/20130214-OYT1T01268.htm?from=ylist 柔道暴力告発、全柔連・上村会長が文科相に謝罪] [[読売新聞]] 2013年2月14日</ref>。さらに、全柔連強化委員長の斉藤仁も[[味の素ナショナルトレーニングセンター]]で開催されたJOCの緊急コーチ会議の席上において今回の一件を謝罪することになった<ref>[http://www.nikkansports.com/sports/news/f-sp-tp0-20130214-1085162.html 斉藤強化委員長「ご迷惑を…」謝罪] [[日刊スポーツ]] 2013年2月14日</ref>。 |
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一方、ヨーロッパ遠征から帰国した[[筑波大学]]の[[緒方亜香里]]は、今回の問題に関して選手として初めて言及して、「騒動になっているけど、いい方向に進んでもらいたい。柔道をやりやすい環境になってくれたらいい」と語った。また、監督やコーチが辞任した件に関しては「仕方ない。いろいろあったし」と述べた。さらに、[[綜合警備保障]]の[[田知本愛]]は「(騒動は)そんなに気にならなかった。いつも通り試合に集中できた」、[[渋谷教育学園幕張中学校・高等学校|渋谷教育学園渋谷高校]]の[[朝比奈沙羅]]は「みんな混乱している。早く問題が収束してほしい」とそれぞれ感想を述べた<ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013021400739 「いい方向に進んで」=柔道女子選手が帰国] [[時事通信]] 2013年2月14日</ref><ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/02/14/kiji/K20130214005196240.html 柔道暴力問題に初言及 パリGS2位緒方「いい方向に進んでもらいたい」] [[スポーツニッポン]] 2013年2月14日</ref><ref>[http://www.yomiuri.co.jp/sports/news/20130214-OYT1T01180.htm?from=ylist 柔道女子帰国「いつも通り集中」「早く収束を」] [[読売新聞]] 2013年2月14日</ref>。 |
一方、ヨーロッパ遠征から帰国した[[筑波大学]]の[[緒方亜香里]]は、今回の問題に関して選手として初めて言及して、「騒動になっているけど、いい方向に進んでもらいたい。柔道をやりやすい環境になってくれたらいい」と語った。また、監督やコーチが辞任した件に関しては「仕方ない。いろいろあったし」と述べた。さらに、[[綜合警備保障]]の[[田知本愛]]は「(騒動は)そんなに気にならなかった。いつも通り試合に集中できた」、[[渋谷教育学園幕張中学校・高等学校|渋谷教育学園渋谷高校]]の[[朝比奈沙羅]]は「みんな混乱している。早く問題が収束してほしい」とそれぞれ感想を述べた<ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013021400739 「いい方向に進んで」=柔道女子選手が帰国] [[時事通信]] 2013年2月14日</ref><ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/02/14/kiji/K20130214005196240.html 柔道暴力問題に初言及 パリGS2位緒方「いい方向に進んでもらいたい」] [[スポーツニッポン]] 2013年2月14日</ref><ref>[http://www.yomiuri.co.jp/sports/news/20130214-OYT1T01180.htm?from=ylist 柔道女子帰国「いつも通り集中」「早く収束を」] [[読売新聞]] 2013年2月14日</ref>。 |
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2月28日に山口香は全柔連の第三者委員会の聞き取り調査を受けて、「選手の意見を吸い上げるような組織システムを構築してほしい」と提言した<ref>[http://sankei.jp.msn.com/sports/news/130228/mrt13022821270002-n1.htm 山口香氏、第三者委に組織改革を提言] [[MSN|MSN産経ニュース]] 2013年2月28日</ref>。また、女性監督の起用に関しては、「時期尚早。顔が浮かばない。お飾りになるならやらない方がいい。」との見解を示した<ref>[http://www.zakzak.co.jp/sports/etc_sports/news/20130301/spo1303011208004-n1.htm 柔道女子「2020年には女性監督を」 山口香理事、自分はやらないけど…] [[夕刊フジ|ZAKZAK]] 2013年2月28日</ref>。ただ、2020年のオリンピックでは女性監督もありうるとして、その候補として[[塚田真希]]や[[谷本歩実]]の名前を挙げた<ref>[http://www.nikkansports.com/sports/news/p-sp-tp0-20130301-1091586.html 山口香氏「女子監督いない」] [[日刊スポーツ]] 2013年2月28日</ref>。 |
2月28日に山口香は全柔連の第三者委員会の聞き取り調査を受けて、「選手の意見を吸い上げるような組織システムを構築してほしい」と提言した<ref>[http://sankei.jp.msn.com/sports/news/130228/mrt13022821270002-n1.htm 山口香氏、第三者委に組織改革を提言] [[MSN|MSN産経ニュース]] 2013年2月28日</ref>。また、女性監督の起用に関しては、「時期尚早。顔が浮かばない。お飾りになるならやらない方がいい。」との見解を示した<ref>[http://www.zakzak.co.jp/sports/etc_sports/news/20130301/spo1303011208004-n1.htm 柔道女子「2020年には女性監督を」 山口香理事、自分はやらないけど…] [[夕刊フジ|ZAKZAK]] 2013年2月28日</ref>。ただ、2020年のオリンピックでは女性監督もありうるとして、その候補として[[塚田真希]]や[[谷本歩実]]の名前を挙げた<ref>[http://www.nikkansports.com/sports/news/p-sp-tp0-20130301-1091586.html 山口香氏「女子監督いない」] [[日刊スポーツ]] 2013年2月28日</ref>。 |
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3月1日には第三者委員会の2回目の会合が開かれて、全柔連会長である上村春樹や前監督の園田隆二を始めとした10名以上の関係者への聞き取り調査の経過報告や意見交換が行われた<ref>[http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130301/k10015890651000.html 柔道暴力問題第三者委 次の会合で提言まとめる] [[NHK]] 2013年3月1日</ref>。ある委員 |
3月1日には第三者委員会の2回目の会合が開かれて、全柔連会長である上村春樹や前監督の園田隆二を始めとした10名以上の関係者への聞き取り調査の経過報告や意見交換が行われた<ref>[http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130301/k10015890651000.html 柔道暴力問題第三者委 次の会合で提言まとめる] [[NHK]] 2013年3月1日</ref>。ある委員によれば、15名の告発選手が全柔連への不信感から第三者委員会による聞き取りを拒否していることもあり、問題の核心に迫るのが難しいことから、具体性を有した提案はしづらい状況にあるという<ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/03/01/kiji/K20130301005301440.html 告発15選手聴取拒否で行き詰まる 第三者委はトーンダウン] [[スポーツニッポン]] 2013年3月1日</ref>。委員の1人である田嶋も「人事や、強化システムそのものについて言及するのは難しい」との見解を示した<ref>[http://www.nikkansports.com/sports/news/p-sp-tp0-20130302-1092127.html 柔道伝統守り意識改革 8日に提言] [[日刊スポーツ]] 2013年3月2日</ref>。ただ、委員長の笠間によれば、これからも告発選手への聞き取りへ向けた接触は図っていくつもりだとも述べた<ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130301-OHT1T00140.htm 【柔道】第三者委、提言まとめは8日の会合] [[スポーツ報知]] 2013年3月1日</ref>。この会合を受けて、上村は8日の最終会合での答申を期待していると述べた。この答申を基に18日の全柔連理事会で組織改革を協議することになるという<ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013030100984 上村会長「理事会で決着を」=柔道暴力問題] [[時事通信]] 2013年3月1日</ref>。 |
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さらに上村は、未整備な状況になっているライセンス制度の導入にも前向きの姿勢を示した<ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/03/02/kiji/K20130302005300650.html 全柔連・上村会長 ライセンス制度の導入に前向き] [[スポーツニッポン]] 2013年3月2日</ref>。 |
さらに上村は、未整備な状況になっているライセンス制度の導入にも前向きの姿勢を示した<ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/03/02/kiji/K20130302005300650.html 全柔連・上村会長 ライセンス制度の導入に前向き] [[スポーツニッポン]] 2013年3月2日</ref>。 |
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また、告発選手の相談役を務めた山口香もこの答申を評価するとともに、実現していくことの重要性を指摘した<ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130312-OHT1T00178.htm 【柔道】山口香氏「提言は実現してこそ」] [[スポーツ報知]] 2013年3月12日</ref>。 |
また、告発選手の相談役を務めた山口香もこの答申を評価するとともに、実現していくことの重要性を指摘した<ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130312-OHT1T00178.htm 【柔道】山口香氏「提言は実現してこそ」] [[スポーツ報知]] 2013年3月12日</ref>。 |
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さらに、答申において提言された女性理事の候補として、[[バルセロナオリンピック]]及び[[アトランタオリンピック]]で銀メダルを獲得した[[日本大学]]柔道部コーチで文部科学省の[[中央教育審議会]]委員を務める[[田辺陽子]]の名前が挙がっているという<ref>[http://sankei.jp.msn.com/sports/news/130313/mrt13031302010000-n1.htm 女性理事に田辺氏有力 6月理事会で協議] [[MSN|MSN産経ニュース]] 2013年3月12日</ref>。 |
さらに、答申において提言された女性理事の候補として、[[バルセロナオリンピック]]及び[[アトランタオリンピック]]で銀メダルを獲得した[[日本大学]]准教授であり柔道部コーチでもある、文部科学省の[[中央教育審議会]]委員を務める[[田辺陽子]]の名前が挙がっているという<ref>[http://sankei.jp.msn.com/sports/news/130313/mrt13031302010000-n1.htm 女性理事に田辺氏有力 6月理事会で協議] [[MSN|MSN産経ニュース]] 2013年3月12日</ref>。 |
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またこの日に、JOCは告発選手15名の聞き取り調査がすべて完了したことを明らかにした。それを踏まえた報告書をJOC加盟団体審査委員会に提出して、同委員会が全柔連に対する処分を決定することになるという<ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013031200911 15人の聞き取り調査終了=柔道女子暴力問題でJOC] [[時事通信]] 2013年3月12日</ref>。 |
またこの日に、JOCは告発選手15名の聞き取り調査がすべて完了したことを明らかにした。それを踏まえた報告書をJOC加盟団体審査委員会に提出して、同委員会が全柔連に対する処分を決定することになるという<ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013031200911 15人の聞き取り調査終了=柔道女子暴力問題でJOC] [[時事通信]] 2013年3月12日</ref>。 |
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3月13日には強化選手の所属先関係者と強化方針の意見交換を行う「強化連携フォーラム」において、全柔連委員長である斉藤仁は今回の騒動について出席者に謝罪した<ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013031301004 選手所属先と意見交換=全柔連、連携強化狙う] [[時事通信]] 2013年3月13日</ref>。 |
3月13日には強化選手の所属先関係者と強化方針の意見交換を行う「強化連携フォーラム」において、全柔連委員長である斉藤仁は今回の騒動について出席者に謝罪した<ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013031301004 選手所属先と意見交換=全柔連、連携強化狙う] [[時事通信]] 2013年3月13日</ref>。 |
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またこの日には、[[独立行政法人]][[日本スポーツ振興センター]](以下、JSCと記す)から全柔連の指導者に一人あたり120万円支給されていた助成金のうち、40万円が強化委員会が指定した口座に徴収されて、強化留保金として使用目的外である飲食費などの懇親会費に使われていた問題も発覚した。約2800万円にもなる留保金残高は会計処理がなされていなかったという<ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130314-OHT1T00026.htm 【柔道】全柔連、今度は裏金疑惑!助成金の一部を不正徴収] [[スポーツ報知]] 2013年3月14日</ref>。 |
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=== 「緊急調査対策プロジェクト」による報告 === |
=== 「緊急調査対策プロジェクト」による報告 === |
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=== 全柔連の対応 === |
=== 全柔連の対応 === |
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3月18日に全柔連は[[講道館]]で理事会を開き、第三者委員会による答申をもとにした改革案を協議した結果、「改革提言具体化検討プロジェクト」の設置を決めるとともに、「暴力・暴言根絶宣言」を採択することになった。複数の女性理事や外部理事を執行部に登用するなどの具体的な改革案は6月の理事会までにまとめ上げるという<ref>[http://sankei.jp.msn.com/sports/news/130318/mrt13031819420005-n1.htm 現体制で改革に取り組む 全柔連理事会] [[MSN|MSN産経ニュース]] 2013年3月18日</ref>。理事会前に開かれた執行部会(会長と副会長2名と専務理事の計4名による陣容)では、会長である上村春樹の「改革優先案」が第一副会長の藤田弘明と専務理事の小野沢弘史に支持されて、同じく副会長である[[佐藤宣践]]が提案した「執行部刷新案」は退けられる格好となった<ref>[http://www.nikkansports.com/sports/news/p-sp-tp0-20130319-1099706.html 全柔連誰も辞めない 佐藤氏総辞職案不発] [[日刊スポーツ]] 2013年3月18日</ref>。その後の理事会では冒頭で、柔道の創始者である[[嘉納治五郎]]の孫に当たる講道館名誉館長の[[嘉納行光]]が「一枚岩でやっていきましょう」と呼びかけた。この発言の影響力は大きく、執行部会に続いて佐藤が執行部の責任を改めて取り上げて進退に言及したものの、他の22名の理事からは一切賛同を得られることなく、結果として会長である上村を始めとした理事全員が留任することになった<ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/03/18/kiji/K20130318005425780.html 全柔連理事会 自浄能力疑われる結果…創始者孫の発言で大勢] [[スポーツニッポン]] 2013年3月18日</ref><ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130318-OHT1T00194.htm 【柔道】全柔連、大甘の処分ゼロ!上村会長も留任] [[スポーツ報知]] 2013年3月18日</ref>。上村は今回の問題で責任を認めたものの、この難局を乗り切るためには辞職するのではなくて、第三者委員会の提案を実行していくことこそがわれわれの仕事であると語った<ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130318-OHT1T00123.htm 【柔道】続投の全柔連・上村会長に聞く…「難局を乗り切る」] [[スポーツ報知]] 2013年3月18日</ref>。 |
3月18日に全柔連は[[講道館]]で理事会を開き、第三者委員会による答申をもとにした改革案を協議した結果、「改革提言具体化検討プロジェクト」の設置を決めるとともに、「暴力・暴言根絶宣言」を採択することになった。複数の女性理事や外部理事を執行部に登用するなどの具体的な改革案は6月の理事会までにまとめ上げるという<ref>[http://sankei.jp.msn.com/sports/news/130318/mrt13031819420005-n1.htm 現体制で改革に取り組む 全柔連理事会] [[MSN|MSN産経ニュース]] 2013年3月18日</ref>。理事会前に開かれた執行部会(会長と副会長2名と専務理事の計4名による陣容)では、会長である上村春樹の「改革優先案」が第一副会長の藤田弘明と専務理事の小野沢弘史に支持されて、同じく副会長である[[佐藤宣践]]が提案した「執行部刷新案」は退けられる格好となった<ref>[http://www.nikkansports.com/sports/news/p-sp-tp0-20130319-1099706.html 全柔連誰も辞めない 佐藤氏総辞職案不発] [[日刊スポーツ]] 2013年3月18日</ref>。その後の理事会では冒頭で、柔道の創始者である[[嘉納治五郎]]の孫に当たる講道館名誉館長の[[嘉納行光]]が「一枚岩でやっていきましょう」と呼びかけた。この発言の影響力は大きく、執行部会に続いて佐藤が執行部の責任を改めて取り上げて進退に言及したものの、他の22名の理事からは一切賛同を得られることなく、結果として会長である上村を始めとした理事全員が留任することになった<ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/03/18/kiji/K20130318005425780.html 全柔連理事会 自浄能力疑われる結果…創始者孫の発言で大勢] [[スポーツニッポン]] 2013年3月18日</ref><ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130318-OHT1T00194.htm 【柔道】全柔連、大甘の処分ゼロ!上村会長も留任] [[スポーツ報知]] 2013年3月18日</ref>。上村は今回の問題で責任を認めたものの、この難局を乗り切るためには辞職するのではなくて、第三者委員会の提案を実行していくことこそがわれわれの仕事であると語った<ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130318-OHT1T00123.htm 【柔道】続投の全柔連・上村会長に聞く…「難局を乗り切る」] [[スポーツ報知]] 2013年3月18日</ref>。 |
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この決定に対して |
この決定に対してJOC専務理事である市原則之は、JOCとしては全柔連の人事にまで介入できない |
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と語った<ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130318-OHT1T00202.htm 【柔道】JOC、上村会長留任に介入できない] [[スポーツ報知]] 2013年3月18日</ref>。 |
と語った<ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130318-OHT1T00202.htm 【柔道】JOC、上村会長留任に介入できない] [[スポーツ報知]] 2013年3月18日</ref>。 |
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一方、告発選手をサポートしてきた山口は「世間は全柔連を自浄作用のない組織と見るだろう。女性は今まで理事に加われなかったが、このような組織なら入っていなくて良かった。この組織は何が起きても変わらないと実感した」と批判した<ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130318-OHT1T00121.htm 【柔道】全柔連・上村会長は辞任せず 幹部の交代もなし] [[スポーツ報知]] 2013年3月18日</ref>。 |
一方、告発選手をサポートしてきた山口は「世間は全柔連を自浄作用のない組織と見るだろう。女性は今まで理事に加われなかったが、このような組織なら入っていなくて良かった。この組織は何が起きても変わらないと実感した」と批判した<ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130318-OHT1T00121.htm 【柔道】全柔連・上村会長は辞任せず 幹部の交代もなし] [[スポーツ報知]] 2013年3月18日</ref>。 |
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また、全柔連は第三者委員会からの報告書を公開した。そこでは2010年から2012年にかけて、園田による特定の選手に対する暴力や暴言行為が7件認定されていた。具体的には2010年の[[アジア競技大会柔道競技|広州アジア大会]]や2012年の[[グランドスラム・パリ2012|グランドスラム・パリ]]大会の試合終了後に数回殴打して「死ね」と暴言を吐いた行為や、2012年に[[釧路]]で行われた強化合宿での体幹トレーニングの最中に髪の毛を引っ張ったり、別の合宿で箒の柄で殴打したことなどが記されていた<ref>[http://mainichi.jp/select/news/20130319ddm035040144000c.html 女子柔道暴力問題:園田前監督の暴力7件認定 第三者委調査公表] [[毎日新聞]] 2013年3月18日</ref><ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/03/19/kiji/K20130319005425560.html 前監督の暴力的指導認定 ほうきの柄で殴打、髪の毛引っ張る…] [[毎日新聞]] 2013年3月18日</ref>。加えて、2012年の世界団体の直前には園田が「俺に何か文句があるのか。俺を嫌いなんだろう」といった趣旨の発言をすると、近くにいた強化委員長の吉村が「監督を訴えてやれ」などと茶化すやり取りもしていたことがあきらかになった<ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130318-OHT1T00149.htm 【柔道】第三者委員会の報告書を公表 「死ね」と暴言も] [[スポーツ報知]] 2013年3月18日</ref>。 |
また、全柔連は第三者委員会からの報告書を公開した。そこでは2010年から2012年にかけて、園田による特定の選手に対する暴力や暴言行為が7件認定されていた。具体的には2010年の[[アジア競技大会柔道競技|広州アジア大会]]や2012年の[[グランドスラム・パリ2012|グランドスラム・パリ]]大会の試合終了後に数回殴打して「死ね」と暴言を吐いた行為や、2012年に[[釧路市|釧路]]で行われた強化合宿での体幹トレーニングの最中に髪の毛を引っ張ったり、別の合宿で箒の柄で殴打したことなどが記されていた<ref>[http://mainichi.jp/select/news/20130319ddm035040144000c.html 女子柔道暴力問題:園田前監督の暴力7件認定 第三者委調査公表] [[毎日新聞]] 2013年3月18日</ref><ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/03/19/kiji/K20130319005425560.html 前監督の暴力的指導認定 ほうきの柄で殴打、髪の毛引っ張る…] [[毎日新聞]] 2013年3月18日</ref>。加えて、2012年の世界団体の直前には園田が「俺に何か文句があるのか。俺を嫌いなんだろう」といった趣旨の発言をすると、近くにいた強化委員長の吉村が「監督を訴えてやれ」などと茶化すやり取りもしていたことがあきらかになった<ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130318-OHT1T00149.htm 【柔道】第三者委員会の報告書を公表 「死ね」と暴言も] [[スポーツ報知]] 2013年3月18日</ref>。 |
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さらにこの日、強化委員会はバルセロナオリンピック銅メダリストで筑波大学コーチである[[増地千代里]]を、新設の女子強化部長のポストに起用することになった。増地は強化副委員長も兼任することになった<ref>[http://sankei.jp.msn.com/sports/news/130318/mrt13031820010007-n1.htm 新設の女子強化部長に増地氏 女子代表監督は南條充寿氏] [[MSN|MSN産経ニュース]] 2013年3月18日</ref>。 |
さらにこの日、強化委員会はバルセロナオリンピック銅メダリストで筑波大学コーチである[[増地千代里]]を、新設の女子強化部長のポストに起用することになった。増地は強化副委員長も兼任することになった<ref>[http://sankei.jp.msn.com/sports/news/130318/mrt13031820010007-n1.htm 新設の女子強化部長に増地氏 女子代表監督は南條充寿氏] [[MSN|MSN産経ニュース]] 2013年3月18日</ref>。 |
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さらに、前強化委員長の吉村を始めとした連盟上層部が、園田体制における選手への不当行為を認識していなかっただけにとどまらず、一部不当行為に自ら加担して問題の解決を怠ったとした上で、「組織として行った不当行為」にも言及した。具体的には、吉村が選手の練習中に道場の脇で居眠りやマッサージ行為に耽っていたことや、コーチに馬乗りになって口を塞ぐといった悪ふざけ行為をしていたこと、徳野が寝技の練習において選手の口を塞いだり、虫の死骸を近づけたりする嫌がらせ行為、それらを他のコーチは認識していながら黙認して改善に向けた行動を取らなかったことを挙げた。続いて、代表選考の過程に透明性が確保されていないことから、指導者に逆らうと選手選考において不利に扱われるのではないかとの不安・疑念を生じさせたこと、連盟の意向や都合により負傷した選手を合宿や大会に参加させて悪化させたこと、ロンドンオリンピック代表選手の発表において、落選選手の表情をテレビ中継するといった選手の尊厳を傷つけた行為を挙げた<ref>[http://www.47news.jp/CN/201303/CN2013031601001943.html 柔道暴力「ブタ」など侮辱発言も 「重大不当行為」とJOC報告書] [[47NEWS]] 2013年3月16日</ref><ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/03/17/kiji/K20130317005410530.html 「家畜」「ブタ」「ブス」柔道女子への暴言、ここまで…] [[スポーツニッポン]] 2013年3月16日</ref>。 |
さらに、前強化委員長の吉村を始めとした連盟上層部が、園田体制における選手への不当行為を認識していなかっただけにとどまらず、一部不当行為に自ら加担して問題の解決を怠ったとした上で、「組織として行った不当行為」にも言及した。具体的には、吉村が選手の練習中に道場の脇で居眠りやマッサージ行為に耽っていたことや、コーチに馬乗りになって口を塞ぐといった悪ふざけ行為をしていたこと、徳野が寝技の練習において選手の口を塞いだり、虫の死骸を近づけたりする嫌がらせ行為、それらを他のコーチは認識していながら黙認して改善に向けた行動を取らなかったことを挙げた。続いて、代表選考の過程に透明性が確保されていないことから、指導者に逆らうと選手選考において不利に扱われるのではないかとの不安・疑念を生じさせたこと、連盟の意向や都合により負傷した選手を合宿や大会に参加させて悪化させたこと、ロンドンオリンピック代表選手の発表において、落選選手の表情をテレビ中継するといった選手の尊厳を傷つけた行為を挙げた<ref>[http://www.47news.jp/CN/201303/CN2013031601001943.html 柔道暴力「ブタ」など侮辱発言も 「重大不当行為」とJOC報告書] [[47NEWS]] 2013年3月16日</ref><ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/03/17/kiji/K20130317005410530.html 「家畜」「ブタ」「ブス」柔道女子への暴言、ここまで…] [[スポーツニッポン]] 2013年3月16日</ref>。 |
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また、園田の監督時代に選手がメッセージカードを手渡したり、「園田組」というTシャツを作っていたりと、一見良好な関係を築いていたように見えたものは、ある選手が「園田監督を勘違いさせた私たちが悪かった」といみじくも語ったように、全て園田に配慮した上での演技であったとJOC理事の藤原庸介は明らかにした。続けて園田は突如として目が据わり、怒りで我を忘れる傾向にあり、「選手は園田監督を心の底から恐れていた」とも語った。なかには園田の顔を見ただけで吐き気を催す選手さえいたという。このような状況が一方でありながら、吉村や園田は選手との信頼関係を全く疑っていなかったという。 |
また、園田の監督時代に選手がメッセージカードを手渡したり、「園田組」というTシャツを作っていたりと、一見良好な関係を築いていたように見えたものは、ある選手が「園田監督を勘違いさせた私たちが悪かった」といみじくも語ったように、全て園田に配慮した上での演技であったとJOC理事の藤原庸介は明らかにした。続けて、園田は突如として目が据わり、怒りで我を忘れる傾向にあり、「選手は園田監督を心の底から恐れていた」とも語った。なかには園田の顔を見ただけで吐き気を催す選手さえいたという。このような状況が一方でありながら、吉村や園田は選手との信頼関係を全く疑っていなかったという。 |
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かくの如き実態に藤原は「負傷しても相談できず、試合出場を強要される。これが一番の暴力」と述べるとともに、「園田も指導者としては非常に有能だった。選手側も人をあてにして自分の意見を伝えていない」と付け加えた。同じくJOC理事の荒木田裕子も「正直びっくりしたし、おぞましい」と述べるとともに、「ボタンのかけ違いがどんどん大きく広がっていった印象」と語った<ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130319-OHT1T00225.htm 【柔道】園田監督との信頼関係「全部演技だった」] [[スポーツ報知]] 2013年3月19日</ref><ref>[http://www.sanspo.com/sports/news/20130320/jud13032005050002-n1.html また出た!柔道女子日本、呆れた指導] [[サンケイスポーツ]] 2013年3月20日</ref><ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/03/20/kiji/K20130320005434040.html 藤原理事が指摘「選手だって自分の意見を伝えていない」] [[スポーツニッポン]] 2013年3月20日</ref>。 |
かくの如き実態に藤原は「負傷しても相談できず、試合出場を強要される。これが一番の暴力」と述べるとともに、「園田も指導者としては非常に有能だった。選手側も人をあてにして自分の意見を伝えていない」と付け加えた。同じくJOC理事の荒木田裕子も「正直びっくりしたし、おぞましい」と述べるとともに、「ボタンのかけ違いがどんどん大きく広がっていった印象」と語った<ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130319-OHT1T00225.htm 【柔道】園田監督との信頼関係「全部演技だった」] [[スポーツ報知]] 2013年3月19日</ref><ref>[http://www.sanspo.com/sports/news/20130320/jud13032005050002-n1.html また出た!柔道女子日本、呆れた指導] [[サンケイスポーツ]] 2013年3月20日</ref><ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/03/20/kiji/K20130320005434040.html 藤原理事が指摘「選手だって自分の意見を伝えていない」] [[スポーツニッポン]] 2013年3月20日</ref>。 |
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このような状況を踏まえた上で、JOCは全柔連に対して13項目にわたる改善勧告を求めるとともに、3カ月ごとに改善策の達成状況の報告を義務付けた。JOC自身に対しても相談窓口の設置や、問題が生じた場合に日本スポーツ仲裁機構を通しての態勢づくりなど10項目の改善策を求めることになった<ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013031900657 全柔連に交付金停止処分=13項目の改善勧告も-JOC] [[時事通信]] 2013年3月19日</ref><ref>[http://sankei.jp.msn.com/sports/news/130319/mrt13031920440002-n1.htm 交付金停止の厳格処分 全柔連に13項目の改善勧告] [[MSN|MSN産経ニュース]] 2013年3月20日</ref>。全柔連に対する13項目の改善勧告の概要は以下の通り<ref>[[読売新聞]] 2013年3月20日 28面</ref>。 |
このような状況を踏まえた上で、JOCは全柔連に対して13項目にわたる改善勧告を求めるとともに、3カ月ごとに改善策の達成状況の報告を義務付けた。JOC自身に対しても相談窓口の設置や、問題が生じた場合に[[日本スポーツ仲裁機構]]を通しての態勢づくりなど10項目の改善策を求めることになった<ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013031900657 全柔連に交付金停止処分=13項目の改善勧告も-JOC] [[時事通信]] 2013年3月19日</ref><ref>[http://sankei.jp.msn.com/sports/news/130319/mrt13031920440002-n1.htm 交付金停止の厳格処分 全柔連に13項目の改善勧告] [[MSN|MSN産経ニュース]] 2013年3月20日</ref>。全柔連に対する13項目の改善勧告の概要は以下の通り<ref>[[読売新聞]] 2013年3月20日 28面</ref>。 |
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{{Quotation|13項目の改善勧告(概要) |
{{Quotation|13項目の改善勧告(概要) |
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3月21日の講道館理事会において、講道館館長でもある上村は一連の不祥事に関する事情経緯を説明した。また、全柔連は第三者委員会やJOCの提言を受けて暴言などの「禁止用語」を細かく規定した指導者ガイドラインを作成することに決めた<ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013032101011 講道館も協力姿勢=柔道暴力問題] [[時事通信]] 2013年3月21日</ref><ref>[http://www.nikkansports.com/sports/news/p-sp-tp0-20130322-1101167.html 全柔連、6月までに「禁止用語集」作成] [[日刊スポーツ]] 2013年3月21日</ref>。 |
3月21日の講道館理事会において、講道館館長でもある上村は一連の不祥事に関する事情経緯を説明した。また、全柔連は第三者委員会やJOCの提言を受けて暴言などの「禁止用語」を細かく規定した指導者ガイドラインを作成することに決めた<ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013032101011 講道館も協力姿勢=柔道暴力問題] [[時事通信]] 2013年3月21日</ref><ref>[http://www.nikkansports.com/sports/news/p-sp-tp0-20130322-1101167.html 全柔連、6月までに「禁止用語集」作成] [[日刊スポーツ]] 2013年3月21日</ref>。 |
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一方、この日は助成金の不正徴収疑惑に加えて、選手指導の実態がない複数の理事が助成金を不正に受給していた疑いが新たに浮上した<ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130322-OHT1T00025.htm 【柔道】全柔連の複数理事、助成金数百万円を不正受給か] [[スポーツ報知]] 2013年3月22日</ref>。 |
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19日には「柔道界の中に入りこまないように、少し外から期待して見守るしかない」とも話していた山口香は全日本学生柔道連盟会長でもある佐藤宣践の推薦もあり、[[ロサンゼルスオリンピック (1984年) における柔道競技|ロサンゼルスオリンピック]]60kg級金メダリストの[[細川伸二]]に代わって3月20日付けで女子強化委員に就任することになった。その際に「選手や指導をされる先生方がやりやすい環境になるよう、思うところを発言していく」と語った<ref>[http://www.nikkansports.com/sports/news/p-sp-tp0-20130320-1100226.html 山口香氏「これが終わりで始まり」] [[日刊スポーツ]] 2013年3月20日</ref><ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/03/27/kiji/K20130327005491370.html 山口氏が全柔連強化委に 環境改善に意欲] [[スポーツニッポン]] 2013年3月22日</ref><ref>[http://www.tokyo-sports.co.jp/sports/othersports/126989/ 柔道強化委員就任 山口氏の裏の役割] [[東京スポーツ]] 2013年3月29日</ref>。 |
19日には「柔道界の中に入りこまないように、少し外から期待して見守るしかない」とも話していた山口香は全日本学生柔道連盟会長でもある佐藤宣践の推薦もあり、[[ロサンゼルスオリンピック (1984年) における柔道競技|ロサンゼルスオリンピック]]60kg級金メダリストの[[細川伸二]]に代わって3月20日付けで女子強化委員に就任することになった。その際に「選手や指導をされる先生方がやりやすい環境になるよう、思うところを発言していく」と語った<ref>[http://www.nikkansports.com/sports/news/p-sp-tp0-20130320-1100226.html 山口香氏「これが終わりで始まり」] [[日刊スポーツ]] 2013年3月20日</ref><ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/03/27/kiji/K20130327005491370.html 山口氏が全柔連強化委に 環境改善に意欲] [[スポーツニッポン]] 2013年3月22日</ref><ref>[http://www.tokyo-sports.co.jp/sports/othersports/126989/ 柔道強化委員就任 山口氏の裏の役割] [[東京スポーツ]] 2013年3月29日</ref>。 |
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さらに、[[コマツ]]の[[杉本美香]]と[[了徳寺学園]]の[[福見友子]]がコーチ就任を要請されたものの、両者とも指導経験の少なさの他に、杉本の場合は膝の手術などで暫く現場に出てこれないこと、福見の場合はまだ現役であることを理由に辞退した<ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/03/24/kiji/K20130324005470500.html 杉本氏、福見が打診断っていた 柔道女子日本代表コーチ] [[スポーツニッポン]] 2013年3月24日</ref>。一方、イギリスに海外研修中の特別コーチである[[綜合警備保障]]の[[塚田真希]]は帰国次第コーチに就くことになっ |
さらに、[[コマツ]]の[[杉本美香]]と[[了徳寺学園]]の[[福見友子]]がコーチ就任を要請されたものの、両者とも指導経験の少なさの他に、杉本の場合は膝の手術などで暫く現場に出てこれないこと、福見の場合はまだ現役であることを理由に辞退した<ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/03/24/kiji/K20130324005470500.html 杉本氏、福見が打診断っていた 柔道女子日本代表コーチ] [[スポーツニッポン]] 2013年3月24日</ref>。一方、イギリスに海外研修中の特別コーチである[[綜合警備保障]]の[[塚田真希]]は帰国次第コーチに就くことになった。4月からフランスへ2年間の研修に向かうコマツの[[谷本歩実]]も特別コーチとなる<ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/03/22/kiji/K20130322005448710.html 告発サポートの山口香氏 強化委員入りへ 塚田真希氏ら3コーチで人事一心] [[スポーツニッポン]] 2013年3月21日</ref>。 |
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これで、園田体制の下でコーチとして残っていた田辺勝、貝山仁美、薪谷翠、渡辺一貴は全員新体制から外れることになった。強化委員長である斉藤は告発した15選手にも配慮した上で人事を一新した強化体制になったと語った<ref>[http://sankei.jp.msn.com/sports/news/130322/mrt13032211380009-n1.htm 山口氏が強化委員就任へ 女子コーチに塚田氏ら就任] [[MSN|MSN産経ニュース]] 2013年3月21日</ref>。 |
これで、園田体制の下でコーチとして残っていた田辺勝、貝山仁美、薪谷翠、渡辺一貴は全員新体制から外れることになった。強化委員長である斉藤は告発した15選手にも配慮した上で人事を一新した強化体制になったと語った<ref>[http://sankei.jp.msn.com/sports/news/130322/mrt13032211380009-n1.htm 山口氏が強化委員就任へ 女子コーチに塚田氏ら就任] [[MSN|MSN産経ニュース]] 2013年3月21日</ref>。 |
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また、北京オリンピックでは女子代表監督を務めた強化副委員長の[[日蔭暢年]]が健康上の理由で退任することになった。日陰が担当していた選手の相談窓口となる支援ステーションは、強化副委員長の増地が新たに担当することになった<ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/03/26/kiji/K20130326005484080.html 体調不良理由に…全柔連・日蔭強化副委員長が退任] [[スポーツニッポン]] 2013年3月26日</ref>。 |
また、北京オリンピックでは女子代表監督を務めた強化副委員長の[[日蔭暢年]]が健康上の理由で退任することになった。日陰が担当していた選手の相談窓口となる支援ステーションは、強化副委員長の増地が新たに担当することになった<ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/03/26/kiji/K20130326005484080.html 体調不良理由に…全柔連・日蔭強化副委員長が退任] [[スポーツニッポン]] 2013年3月26日</ref>。 |
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続く評議員会では冒頭で全柔連会長の上村が一連の不祥事を出席した各県代表の評議員に謝罪したが、元参議院議員である |
続く評議員会では冒頭で全柔連会長の上村が一連の不祥事を出席した各県代表の評議員に謝罪したが、元参議院議員である鳥取の[[常田享詳]]は全柔連の公益財団法人が取り消される可能性を懸念した上で、「トップが辞任して新体制で一致結束すべきだ」と進言すると、それに賛同する声が相次いだ。また、了徳寺学園の理事長である千葉の了徳寺健二は、親しくしている現内閣の友人二人から[[証人喚問]]の声もあがっていたと明かすとともに、証人喚問になった場合は今回のような受け答えで乗り切れるのかと発言した<ref>[http://www.daily.co.jp/newsflash/general/2013/03/26/0005846602.shtml 全柔連トップは辞任せよの声相次ぐ] [[デイリースポーツ]] 2013年3月26日</ref>。<ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130326-OHT1T00224.htm 【柔道】全柔連、無風の理事会直後に大荒れ評議員会 執行部刷新せよ!] [[スポーツ報知]] 2013年3月26日</ref>。 |
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さらに評議員会では、これまで選手は[[IJFグランプリシリーズ]]において得た獲得賞金の半分を全柔連に徴収されていたが、選手側の不満にも配慮して選手が全額受け取れるように競技者規定を改定したことが報告された。 |
さらに評議員会では、これまで選手は[[IJFグランプリシリーズ]]において得た獲得賞金の半分を全柔連に徴収されていたが、選手側の不満にも配慮して選手が全額受け取れるように競技者規定を改定したことが報告された。また競技者規定には、選手側が代表選考などで全柔連に異議申し立てをした場合、全柔連側がこれに応じて日本スポーツ仲裁機構に解決を委ねることになる自動受諾条項も新たに加えることになった<ref>[http://sankei.jp.msn.com/sports/news/130326/mrt13032619160001-n1.htm 国際大会の賞金は全額選手に 全柔連が競技者規定を改定] [[MSN|MSN産経ニュース]] 2013年3月26日</ref>。 |
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また、助成金の不正受給疑惑に関しては、弁護士の山内貴博を委員長とする外部の弁護士3名と公認会計士2名からなる第三者委員会を設置して実態の調査にあたることとなった<ref>[http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130326/k10013464491000.html 柔道助成金問題 第三者委が調査へ] [[NHK]] 2013年3月26日</ref>。なお、JSC理事の藤原誠はJSCや第三者委員会の調査結果が出るまで、全柔連の全ての指導者への助成金を一時凍結する意向を明らかにした<ref>[http://www.yomiuri.co.jp/sports/news/20130326-OYT1T01165.htm?from=ylist 全柔連の指導者への助成金凍結…不正受給問題で] [[読売新聞]] 2013年3月26日</ref>。 |
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3月27日には女子強化選手の所属先関係者と強化方針の意見交換を行う「強化連携フォーラム」が開かれて、新たに強化委員となった山口香は、「柔道においては所属先での練習が主体となるので、ナショナルチームは最後のとりまとめをする程度にとどめるべき」と述べるとともに、「国際大会において選手は代表監督ではなく所属先のコーチに付いてもらった方が安心するはず」との意見を語った<ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/03/28/kiji/K20130328005490980.html 代表監督は不要!山口香氏「所属の指導者に任せればいい」] [[スポーツニッポン]] 2013年3月28日</ref>。 |
3月27日には女子強化選手の所属先関係者と強化方針の意見交換を行う「強化連携フォーラム」が開かれて、新たに強化委員となった山口香は、「柔道においては所属先での練習が主体となるので、ナショナルチームは最後のとりまとめをする程度にとどめるべき」と述べるとともに、「国際大会において選手は代表監督ではなく所属先のコーチに付いてもらった方が安心するはず」との意見を語った<ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/03/28/kiji/K20130328005490980.html 代表監督は不要!山口香氏「所属の指導者に任せればいい」] [[スポーツニッポン]] 2013年3月28日</ref>。 |
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また、南條は女性コーチが現場で指導しやすくなるように託児所の設置について言及した。夫人である仙台大学女子柔道部監督の[[永井和恵|南條和恵]]は道場で自らの子供の世話をする場合もあるという<ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/03/28/kiji/K20130328005490990.html 練習場に託児所!?南條新監督“代表キッズランド”構想] [[スポーツニッポン]] 2013年3月28日</ref>。 |
また、南條は女性コーチが現場で指導しやすくなるように託児所の設置について言及した。夫人である仙台大学女子柔道部監督の[[永井和恵|南條和恵]]は道場で自らの子供の世話をする場合もあるという<ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/03/28/kiji/K20130328005490990.html 練習場に託児所!?南條新監督“代表キッズランド”構想] [[スポーツニッポン]] 2013年3月28日</ref>。 |
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一方、この日に行われた[[全日本選抜柔道体重別選手権大会|体重別]]の抽選会において、全柔連副会長の藤田弘明が「全柔連の危機管理の甘さ、問題の対応における不手際をおわびする」と改めて謝罪することになった<ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130412-OHT1T00101.htm 【柔道】暴力指導問題などで謝罪] [[スポーツ報知]] 2013年4月12日</ref>。 |
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さらに一連の不祥事もあって、企業関係者が全柔連との契約に逡巡して大会運営費用などを供出するスポンサー契約が今だに成立せず、今後の事業計画にも影響を及ぼす可能性が出てきた<ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/03/30/kiji/K20130330005504190.html 全柔連 不祥事続きで新年度のスポンサー決まらず…] [[スポーツニッポン]] 2013年3月30日</ref>。 |
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4月13日には強化委員会が開かれて、代表選考基準の明文化及び代表チーム指導陣の選考過程における透明化に関する案件を4月27日の理事会に諮ることを決めた。強化委員長の斉藤仁は代表選考の明文化について問われると、国際大会を含む1年間の成績を踏まえた上で選考する意向であると述べた<ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130413-OHT1T00154.htm 【柔道】代表選考基準を明文化] [[スポーツ報知]] 2013年4月13日</ref>。 |
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== この問題への反応 == |
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一連の事態に[[文部科学大臣]]である[[下村博文]]は、監督辞任で済むような問題ではないと、JOC会長である[[竹田恒和]]にこの問題の再調査を含めた全容解明を求めた<ref>[http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00239680.html 女子柔道暴力告発問題 園田監督の進退伺は1日か2日に受け取り] [[FNN]] 2013年1月31日</ref><ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/02/02/kiji/K20130202005105810.html 文科相、実態解明求める 監督辞任で「済む話ではない」] [[スポーツニッポン]] 2013年2月2日</ref>。さらに、この事態が「日本のスポーツ史上最大の危機」であるとの認識も合わせて示した<ref>[http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG05026_V00C13A2CC0000/ 文科相「スポーツ史上最大の危機」 暴力根絶へメッセージ] [[日本経済新聞]] 2013年2月5日</ref>。[[自民党]]スポーツ立国調査会会長である[[遠藤利明]]は再発防止のための第三者機関設置を求める法改正を進める意向を明らかにした<ref>[http://sankei.jp.msn.com/sports/news/130205/mrt13020519360007-n1.htm 吉村・強化担当理事が辞任、徳野コーチも 辞任は3人目、国政にも波及する異例の事態へ] [[MSN|MSN産経ニュース]] 2013年2月5日</ref>。 |
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また、一連の不祥事を受けて全柔連のスポンサーとなっていた企業が契約更新の凍結や協賛金減額の動きを見せることにもなった。[[三井住友海上火災保険|三井住友海上]]は今年度の契約更新を見合わせ、[[コマツ]]も前年度比で50%の協賛金減額を決めた。一方で、[[ミズノ]]、[[日本航空]]、[[セイコーホールディングス]]は契約を継続する意向であるという<ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130413-OHT1T00151.htm 【柔道】不祥事で契約更新凍結も] [[スポーツ報知]] 2013年4月13日</ref>。 |
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また、今回の件を受けてJOCは、2月1日に英文で「スポーツにおいて暴力はあってはならず、五輪運動の価値に反する」といった暴力撲滅を訴える内容の声明を世界の主要メディアに発信した。また、[[国際オリンピック委員会]]もこれを受けて、「JOCがこの問題で効果的な対応をするものと確信している」と述べた<ref>[http://sankei.jp.msn.com/sports/news/130202/oth13020210180003-n1.htm JOCの効果的な対応を確信 IOCが見解] [[MSN|MSN産経ニュース]] 2013年2月2日</ref>。 |
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===暴力の根絶プロジェクト === |
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4月15日には講道館で山下を責任者とする、指導者や大学教授など有識者17名のメンバーによる「暴力の根絶プロジェクト」の初会合が開かれて、暴力の定義や暴力行為への対処法など、ガイドラインに盛り込むべき内容に関する討議が行われた。メンバーの1人である[[テレビ朝日]]アナウンス部の[[宮嶋泰子]]は「人の気持ち、組織を変える作業。長い作業になる」と述べた。また、このプロジェクトの具体策のひとつとして暴力根絶のポスターを全国の道場に掲示する意向だともいう<ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/04/15/kiji/K20130415005619050.html 全柔連が会合 暴力根絶のポスターを全国の道場に掲示へ] [[スポーツニッポン]] 2013年4月15日</ref><ref>[http://www.jiji.com/jc/zc?k=201304/2013041600003&rel=y&g=spo 宮嶋氏「長い作業に」=全柔連の暴力根絶への取り組み] [[時事通信]] 2013年4月16日</ref>。 |
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4月16日には女子代表チームが新体制となって初めての遠征となる、[[バンコク]]で開催される[[アジア柔道選手権大会|アジア選手権]]に向けて出発した。今回の遠征から男子と同じく女子も移動や合宿の集合時にはスーツ着用が義務付けられることになった。また、2月のヨーロッパ遠征の際には選手から要望のあった気合の張り手をコーチが躊躇って出さなかったものの、南條は選手からの要望があるなら張り手をかますことも厭わない姿勢を示した<ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/04/17/kiji/K20130417005625710.html 南條ジャパン初戦 気合の張り手「要望あれば」解禁] [[スポーツニッポン]] 2013年4月17日</ref>。 |
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4月21日には[[横浜文化体育館]]で女子の[[全日本柔道選手権大会|全日本選手権]]が開催されたが、不祥事の影響もあって全柔連のメインスポンサーである「オフィシャルパートナー」の[[東建コーポレーション]]でさえ契約更新を保留したのをはじめ、毎年会場に社名入り広告や応援旗を出していた三井住友海上が今回は取り止めるなど、会場や大会パンフレットに広告を出す企業が大きく減ることになった。このような状況の中で今大会初優勝を果たした了徳寺学園職員の緒方亜香里は、「柔道界は周りから駄目だと言われているが、見ている方々に『女子柔道、いいね』と思ってもらえれば良かったなと思う」と語った<ref>[http://www.sanspo.com/sports/news/20130421/jud13042120140002-n1.html 不祥事の影響…スポンサーの看板減る/柔道] [[サンケイスポーツ]] 2013年4月21日</ref>。 |
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4月26日には選手に対して暴力を振るうなどして監督を辞任した園田隆二を、所属先の警視庁が戒告処分に付した。警視庁によれば、園田は2010年8月と2011年7月の合宿で20代の女子選手に対して箒の柄で背中や尻を叩いたり平手打ちを数回喰らわせ、2010年11月と2012年2月の大会後にも平手打ちした。また、2010年12月の大会では別の20代の女子選手に対しても平手打ちをした。さらに、強化合宿において選手数人に対して「消えろ」「家畜じゃないんだから自分で動け」などといった暴言を加えた。但し、刑事事件としての立件は選手らが望んでいないこともあって見送られることになった<ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2013042600723 園田前監督を訓戒処分=柔道女子2人に6回暴力-立件は見送り・警視庁] [[時事通信]] 2013年4月26日</ref><ref>[http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130426/crm13042617160010-n1.htm 柔道女子・園田前監督を訓戒処分 刑事処分は見送り] [[MSN|MSN産経ニュース]] 2013年4月26日</ref>。 |
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4月27日には講道館で臨時理事会及び全国理事長会議が開かれたが、上村は自らの進退に関しては一言も触れず、出席した理事からの質問もなく、進退問題に関する議論がなされることはなかった<ref>[http://sankei.jp.msn.com/sports/news/130427/mrt13042719540003-n1.htm 上村会長、理事会では進退に触れず 辞任の時期「ゆっくり考える」] [[MSN|MSN産経ニュース]] 2013年4月27日</ref>。 |
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理事会では、IOCや第三者委員会から代表選考過程や監督人事の透明化を求められていたことを受けて、IJFによるランキング制度とは別に、国内にも独自のランキング制度を2014年度から導入することを決定した。詳細な基準は未定だが、[[IJFグランプリシリーズ]]や[[全日本選抜柔道体重別選手権大会|体重別]]など国内外の主要大会をポイント獲得の対象として、オリンピックチャンピオンや世界ランキング1位に勝てばボーナスポイントも付与する方針だという。但し、このランキングは代表選考の参考資料扱いとなるので1位になっても自動的に代表にはならず、最終決定は強化委員会が行うことになる。毎年11月に開催される講道館杯には、その年のオリンピックや世界選手権代表となった選手は負担を考慮されて出場が免除されることも決まった。男女の代表監督やコーチの選考方法に関しては結論が出ず、引き続き議論されることになった<ref>[http://sankei.jp.msn.com/sports/news/130427/mrt13042718560002-n1.htm 全柔連が初めて国内ランキング制を導入] [[MSN|MSN産経ニュース]] 2013年4月27日</ref><ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/04/27/kiji/K20130427005695600.html 全柔連、来年度から初の国内ランキング承認] [[スポーツニッポン]] 2013年4月27日</ref>。 |
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4月29日には[[日本武道館]]で[[全日本柔道選手権大会|全日本選手権]]が開催されたが、主要スポンサーである東建コーポレーションは21日の女子の大会では取り止めた試合会場の広告看板を今大会では掲げることになった<ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130429-OHT1T00066.htm 【柔道】上村会長、改革宣言「後世に正しく伝える」] [[スポーツ報知]] 2013年4月29日</ref>。 |
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5月4日には[[全国少年柔道大会]]の監督会議に出席した山下泰裕が「柔道界から全ての暴力をなくす。4、5年かけて粘り強く啓発活動を続ける」と参加者に語りかけた<ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/05/04/kiji/K20130504005739600.html 山下全柔連理事「柔道界から全ての暴力をなくす」指導者会議で訴え] [[スポーツニッポン]] 2013年5月4日</ref>。 |
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5月9日には指導部刷新によって一旦は強化の現場から外れていた薪谷翠がコーチとして復帰することに決まった。味の素ナショナルトレーニングセンターの施設管理担当コーチも兼務することになった<ref>[http://sankei.jp.msn.com/sports/news/130509/mrt13050900590000-n1.htm 薪谷氏が女子代表コーチに復帰 NTC施設管理担当コーチも兼務] [[MSN|MSN産経ニュース]] 2013年5月9日</ref>。 |
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また、全柔連はこの日までに「暴力の根絶プロジェクト」第1回会合の議事録を公式サイトに掲載した。そこでは「暴力が問題視されてこなかったのは閉鎖的だったから」「暴力は人権侵害であることを忘れがちではないか」「段位を得た者は精神的にも鍛えられているだろうという善意の解釈があった」などの言及がなされた<ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/05/09/kiji/K20130509005771140.html 「暴力の根絶プロジェクト」議事録公開 全柔連が透明性アピール] [[スポーツニッポン]] 2013年5月9日</ref>。 |
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5月11日から2日間[[全日本選抜柔道体重別選手権大会|選抜体重別]]が開催されたが、[[日本航空]]や[[セイコー]]、[[ミズノ]]などは選手第一の観点からスポンサー契約を更新した関係で、オフィシャルスポンサーとして大会パンフレット、もしくは会場となった[[福岡国際センター]]内に広告を掲示した。しかし、女子選手が多く所属するコマツや三井住友海上は契約更新を凍結していることもあって看板広告を掲示しなかったものの、コマツは個別協賛を行うと、三井住友海上も今後も女子柔道を支援する考えがあることを表明した<ref>[http://sankei.jp.msn.com/sports/news/130513/mrt13051300480000-n1.htm 「選手に罪なし」逆風下にも救いの手 協賛企業] [[MSN|MSN産経ニュース]] 2013年5月13日</ref>。 |
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さらに今大会では試合場の審判が一人だけとなり、判定に問題があった場合には審判を統括するジュリーと副審がビデオ映像を分析して試合場の審判に指示を与える一人審判制や、組み合わない柔道への罰則の強化、帯から下への攻撃及び防御の全面禁止など、IJFが暫定的に導入した新ルールを国内で適用する初めての大会となったが、判定が変更されたケースがいくつかあり改善点も認められたものの、全体的に大きな混乱はなかった<ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013051100246 判定変更も混乱なし=全日本選抜体重別柔道] [[時事通信]] 2013年5月13日</ref>。 |
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また、11日には強化委員会が開かれて、国際大会に出場した代表選手が計量で失格した場合は強化指定選手を外すことに決めた。これにより先月のアジア選手権78kg級で失格となったコマツの[[岡村智美]]が強化選手を外されることになった。[[全日本実業柔道個人選手権大会]]などで好成績を残せば強化選手への復帰を認めることにもなった<ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130511-OHT1T00150.htm 【柔道】岡村、女子78キロ級の計量失敗で強化指定除外] [[スポーツ報知]] 2013年5月13日</ref>。 |
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今大会では初戦で敗退した選手が4名も代表に選ばれた。特に女子代表選考ではコーチ会議でまとまった案が強化委員会で差し戻されて再検討されることにもなった。強化委員長である斉藤仁は「今大会で勝ち上がった選手を選ぶのが望ましいが、1年間トータルの内容を踏まえた」と国際大会での戦績と内容をより重視する選考になった<ref>[http://www.yomiuri.co.jp/sports/news/20130512-OYT1T00540.htm 世界柔道代表18人を発表…過去の内容を重視で] [[読売新聞]] 2013年5月13日</ref><ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/05/13/kiji/K20130513005793630.html 1回戦負け4人が代表入り「年間トータルの成績踏まえて」] [[スポーツニッポン]] 2013年5月13日</ref>。 |
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一方、強化委員の山口香は、選手第一の観点から選手側が意見を言える機関をつくりだすことが必要であると、全柔連内にアスリート委員会を設置することを働きかけるという<ref>[http://www.tokyo-sports.co.jp/sports/othersports/141986/ 山口香氏が全柔連に“選手会”設置を提案] [[東京スポーツ]] 2013年5月13日</ref>。 |
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5月13日には「暴力の根絶プロジェクト」第3回会合が開かれて、セクシャルハラスメントの根絶を目指す新たな作業部会の設置も決めた。北田典子が部会長となり、宮嶋泰子など4名がメンバーとして加わることになった<ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130513-OHT1T00154.htm 【柔道】全柔連、セクハラ実態を調査へ] [[スポーツ報知]] 2013年5月14日</ref>。 |
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5月18日には全日本ナショナルチームの男女監督及びコーチ陣が[[2013年世界柔道選手権大会|世界選手権]]代表選手の所属先の指導者らを「特別アドバイザー」として、味の素ナショナルトレーニングセンターに招いて情報交換会を行うことになった。そこでは1回の強化合宿の期間を5日間程度に減らすことが確認された。また、8月にブラジルの[[リオデジャネイロ]]で開催される世界選手権にも代表選手の所属先の指導者が派遣されることに決まった<ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/05/18/kiji/K20130518005832600.html 所属先監督を合宿で「特別アドバイザー」 柔道代表が情報交換] [[スポーツニッポン]] 2013年5月18日</ref><ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/05/19/kiji/K20130519005833980.html 男女「情報交換会」実施…暴力問題受け連携密に] [[スポーツニッポン]] 2013年5月19日</ref>。 |
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5月20日には「暴力の根絶プロジェクト」第4回会合が開かれて、プロジェクト全体の責任者である山下は、暴力行為を2種類に分けて、殴る蹴るなど選手にケガを負わせる行為は「重大な暴力」として一回で指導者資格の永久停止処分とし、額を指ではじく凸ピンや軽いゲンコツなど「軽微な暴力」の場合は、1回目で口頭による厳重注意と誓約書の提出、2回目で文書による戒告、3回目で期限つきの指導者資格停止処分を課すことを運用指針案として盛り込む予定であることを明らかにした。凸ピン行為まで資格停止の対象にすることに対して山下は、「3回やるバカだったらね。たぶん、1回やって反省文書けば分かると思うけど」と語った<ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013052000903 「暴力」で資格剥奪も=処分規定運用案まとめる-全柔連] [[時事通信]] 2013年5月20日</ref><ref>[http://www.tokyo-sports.co.jp/sports/othersports/144939/ 「デコピン3回」で柔道指導者資格停止へ] [[東京スポーツ]] 2013年5月21日</ref>。 |
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5月23日には大阪市内で開かれた関西プレスクラブの会合で北田典子が講演して、「柔道は閉鎖的で独特な世界だった。社会通念と照らし合わせ、これまでの感覚を変えないといけない」との認識を示すとともに、今回の暴力根絶に向けた取り組みが100年後にこれは必要な行為だったと言われるように尽力していきたいと述べた。「選手はアスリートである前に人さまの宝物」であるとも語った<ref>[http://www.sanspo.com/sports/news/20130523/jud13052316460001-n1.html 北田氏、暴力根絶訴え「人さまの宝物」/柔道] [[サンケイスポーツ]] 2013年5月23日</ref>。 |
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5月27日には「暴力の根絶プロジェクト」の第5回会合がもたれ、重大な暴力行為には柔道界からの永久追放を含む処罰基準を盛り込んだ指針案をまとめあげた<ref>[http://www.yomiuri.co.jp/sports/news/20130527-OYT1T01385.htm 指導者の暴力行為は永久追放…全柔連が処罰基準] [[読売新聞]] 2013年5月27日</ref>。 |
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加えて、「暴力の根絶プロジェクト」内に設けられたセクハラ根絶のための作業部会は、小学生から実業団選手に至る女子選手にセクハラ行為に関するアンケート調査を実施することになった。希望があれば男子選手に対しても実施するという。また、他競技や一般企業のセクハラ対策を参考にしながら、どのような行為がセクハラに相当するかを定義するためのガイドライン作成にも着手することになった<ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013052700904 女子選手にアンケート実施へ=セクハラ問題のWGが初会合-全柔連] [[時事通信]] 2013年5月27日</ref><ref>{{Cite news |title=柔道連盟 セクハラ調査実施へ |url=http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130527/k10014883011000.html |date=2013-05-27 |newspaper=NHKニュース |publisher=日本放送協会 |accessdate=2013-06-02 |archiveurl=http://megalodon.jp/2013-0602-2254-32/www3.nhk.or.jp/news/html/20130527/k10014883011000.html |archivedate=2013-06-02}}</ref>。 |
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5月29日に全柔連会長の上村は、ロシアの[[サンクトペテルブルク]]で開催された2020年東京オリンピック招致関連のパーティーに出席した。翌日には[[スポーツアコード (スポーツ組織)|スポーツアコード]]の会長選挙に立候補しているIJF会長であるマリウス・ビゼールの応援のために、同地で開催される[[スポーツアコード国際会議]]の会場に駆けつけると、助成金問題などについての報告も合わせて行った<ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/05/31/kiji/K20130531005912440.html 全柔連・上村会長 国際柔道連盟会長に“不祥事”を報告] [[スポーツニッポン]] 2013年5月31日</ref>。 |
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6月3日には「暴力の根絶プロジェクト」内に設置されたセクハラ根絶の作業部会において、7月以降の主要大会に参加する男女の選手にアンケート調査を実施することに決めた。また、子供にも理解しやすいようにイラストを付けたセクハラ防止のためのガイドブックを作成する案も提出された<ref>[http://sankei.jp.msn.com/sports/news/130603/mrt13060322490002-n1.htm 大会でアンケート実施へ セクハラ根絶の作業部会] [[MSN|MSN産経ニュース]] 2013年6月3日</ref>。 |
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6月5日には全柔連の専門委員長会議が開かれて、第三者委員会からの提言を受けて、8月1日付けで新設される常務理事会に法曹関係者を含む外部理事と女性理事を登用する方針を定めた<ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013060500927 常務理事会を設置へ=外部第三者や女性登用-全柔連] [[時事通信]] 2013年6月5日</ref>。 |
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またこの日には[[佐賀県]][[嬉野]]市内で行われていた女子強化合宿が公開されたが、監督の南條によれば、選手の自主性を尊重して練習時間は以前より1時間少なくしたという。また、担当コーチと選手が技術論を交わす光景も見られるようになった。さらに、世界選手権78kg級代表の緒方亜香里は右膝のケガを抱えているため、都内でリハビリに取り組んでいて今回の合宿には参加しなかったが、このような選択は以前ならば許されなかったともいう。南條は「いろいろな経験をしてきた選手だから心配はない。」とも語った<ref>[http://www.sanspo.com/sports/news/20130605/jud13060520370003-n1.html 南條監督、選手の自主性を尊重/柔道] [[サンケイスポーツ]] 2013年6月5日</ref>。 |
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6月10日には全柔連に関する問題の把握と、新たにスポーツアコード会長の座に就任したことの挨拶周りを目的に来日していたIJF会長のマリウス・ビゼールが「世界の柔道の現状と展望」と題した記者会見を開いて、全柔連会長である上村春樹の続投を100%支持すると言明した。上村は「クリーンな人だし、クリーンな精神を持っている。」とした上で、今辞任したら問題の解明が遅れるとともに改革も進めることが出来ないと述べた。さらに、8月のIJF会長選挙で自らが再選を果たした場合は、引き続き上村を指名理事として起用していく考えも明らかにした。またIJFは、一連の問題に関する全柔連の報告書を10月15日までに提出するように要求した。この報告によっていかなる処分を下すかの検討をすることになるという。続けてIJF内に女性委員会を設置する意向があることも明かした。続けて、[[[[国際オリンピック委員会]]]]に男女の団体戦の導入を申請しており、9月のIOC総会で採用される見込みが高まってきたとの見解も示した<ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013061000740 違和感ある擁護発言=全柔連の上村会長、続投の足固めか] [[時事通信]] 2013年6月10日</ref><ref>[http://www.nikkansports.com/sports/news/f-sp-tp0-20130610-1140765.html ビゼール氏来日、世界選手権の合同開催語る] [[日刊スポーツ]] 2013年6月10日</ref><ref>[http://mainichi.jp/sports/news/20130610k0000e050135000c.html 全柔連会長:「上村氏続投を支持」国際柔道連盟会長が擁護] [[毎日新聞]] 2013年6月10日</ref>。 |
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=== ガイドライン制定 === |
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6月11日には全柔連の理事会が開かれて、山下泰裕が責任者を務める「暴力の根絶プロジェクト」が提出したガイドライン及び今後に向けた工程表が承認されることになった。殴る蹴るのみならず言動での威圧や「しごき」も暴力と定義付けて、3度繰り返せば会員登録を停止、重大な暴力を振るった場合は一度で永久追放処分とすることになり、9月から適用される運びとなった。また、女性理事を複数登用することも決まったが、具体的な人選は持ち越された。8月に新設される常務理事会では女性と外部有識者を加えるともに、意思決定の迅速化を図るために毎月会合を持つことも決まった<ref>[http://mainichi.jp/sports/news/20130612k0000m050081000c.html 全柔連:暴力根絶に向けた指針を承認] [[毎日新聞]] 2013年6月11日</ref>。 |
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理事会後の記者会見では上村の会長続投が表明されることになった。一度は辞意を示唆しながら |
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結果として続けることになったのは、理事会内で組織改革を最優先すべきとの声が強かったことなどを挙げ、「『(改革を)できるのか』と思われるかもしれないが、やりきる。この問題に決着をつけ、次の世代に受け渡した時に(進退を)考えたい」「決して会長職にしがみついているわけではなく、柔道界に私が不必要だとなれば去る」との見解を示した。実際、理事会において理事の1人から「人心を一新すべき」との発言がなされたものの、他の理事からは続投支持や改革の早期実行を求める声ばかりだったという。一方で、全柔連の評議員を務める千葉県柔道連盟会長の了徳寺健二はこの決定に関して、「それでは済まないことを分かっていない悲しさ。国民、真の柔道家は決して同調することはありません」「全柔連の理事会はイエスマンばかりで、機能停止、思考停止に陥っている。一日も早く解散させる必要がある」と非難して、25日の評議員会で執行部の解任を要求する考えがあることを明らかにした。関東地区7県の柔道連盟会長も同様の意見を有しているという。さらに文部科学省にも執行部一新を働きかけていく意向を示した<ref>[http://www.nikkansports.com/sports/news/f-sp-tp0-20130611-1141102.html 全柔連の上村春樹会長が続投を表明] [[日刊スポーツ]] 2013年6月11日</ref><ref>[http://mainichi.jp/sports/news/20130612k0000m050083000c.html 全柔連:会長責任の声少なく、温度差浮き彫り] [[毎日新聞]] 2013年6月11日</ref><ref>[http://www.nikkansports.com/sports/news/p-sp-tp0-20130612-1141262.html 「上村会長解任」やっと内から声] [[日刊スポーツ]] 2013年6月12日</ref>。 |
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6月20日には衆議院の青少年問題特別委員会に山口香とバルセロナオリンピック52kg級銀メダリストである[[静岡文化芸術大学]]准教授の[[溝口紀子]]が出席して、一連の騒動について説明を行った。その後山口は、25日に開かれる全柔連評議員会で理事解任の声が一人でも多く上がることに期待感を寄せるコメントを残した<ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/06/21/kiji/K20130621006055290.html 柔道関係者 国会に参考人で出席 一連の不祥事発覚後初] [[スポーツニッポン]] 2013年6月21日</ref>。 |
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6月21日には全柔連が開いた暴力根絶セミナーにおいて、山口は「暴力根絶は重要課題だが、その前にやるべきことがある。現在の問題に連盟としてどう向き合うのか」と講師を務めた山下に問い質すとともに、「指導者がちょっと暴力を振るえば処分されることになる一方で、理事の責任は問われない」と疑問を投げかけた<ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130621-OHT1T00115.htm 【柔道】山口氏、山下理事ら追及] [[スポーツ報知]] 2013年6月21日</ref>。 |
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6月22日には日本武道館で開催された全日本学生優勝大会において、全柔連副会長であり、全日本学生柔道連盟会長でもある佐藤宣践が「執行部の1人として、多くの方々にご迷惑をおかけしていることを心からお詫びしたい」と謝罪の意を示した<ref>[http://sankei.jp.msn.com/sports/news/130622/mrt13062218200004-n1.htm 佐藤副会長が学生大会で陳謝] [[MSN|MSN産経ニュース]] 2013年6月21日</ref>。 |
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=== 執行部辞任へ === |
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6月24日には臨時理事開会が開催されて、第三者委員会から求められていた女性理事に、[[生活の党]]に所属する参議院議員の[[谷亮子]]、日本大学准教授の田辺陽子、暴力根絶プロジェクトメンバーの北田典子の3名を起用することになった。谷の起用理由に関して全柔連幹部は「柔道界の功労者であり、行動力もある」点を挙げた。他の新理事として東京都中学校体育連盟柔道専門部部長の本橋順二、さらに外部理事としてJOC理事の藤原庸介と参議院議員の橋本聖子を候補に選定した<ref>[http://www.nikkansports.com/sports/news/f-sp-tp0-20130624-1147152.html 全柔連上村会長、辞任意思表明も当面続投] [[日刊スポーツ]] 2013年6月24日</ref><ref>[http://www.yomiuri.co.jp/sports/news/20130624-OYT1T00573.htm 谷亮子氏の理事起用提案へ…全柔連が臨時理事会] [[読売新聞]] 2013年6月24日</ref>。 |
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理事会後の記者会見で全柔連会長の上村は自身を始め、副会長の藤田弘明と佐藤宣践、専務理事の小野沢弘史、事務局長の村上清を含めた執行部全員が改革、改善プロジェクトのめどが立った時点で全員辞任する考えがあることを示した。辞任次期としては「4、5カ月後」で、それまでは当面続投することになった。「組織の管理者として私の責任を感じ、(辞任を)きょうの朝に決断した。改革を軌道に乗せることが必要で、次の体制につなげるための準備にある程度時間がかかる。10月の理事会は大きなめどになる。これからも柔道に携わっていきたい」とも語った。なお、講道館館長の座は今後も継続することになった<ref>[http://mainichi.jp/sports/news/20130624k0000e050213000c.html 全柔連:上村会長「改革、改善めどたったら辞任」] [[毎日新聞]] 2013年6月24日</ref><ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130624-OHT1T00072.htm 【柔道】全柔連・上村会長が年内辞任を示唆] [[スポーツ報知]] 2013年6月24日</ref><ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013062400807 全柔連、執行部総辞職へ=女性理事は谷、田辺、北田氏ら] [[時事通信]] 2013年6月24日</ref>。 |
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次期会長候補と目される山下泰裕は、臨時理事会において理事全員の辞任を提案したものの、それでは改革を実行できるものがいなくなるとの上村の反論を受けて、結果として執行部のみの辞任表明に至った経緯を説明した。続けて「この機を逃して、次はない。柔道は人づくり、人間教育。もう1度、柔道への信頼を取り戻すことが大事」と語った<ref>[http://www.nikkansports.com/sports/news/p-sp-tp0-20130625-1147404.html 全柔連、10月に山下体制へ] [[日刊スポーツ]] 2013年6月25日</ref>。 |
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文部科学大臣である下村博文は、上村が辞意を表明した点について「スポーツ団体の人事は各団体で判断すべきことだ」「柔道界の改革をしっかりと進めてほしい。連盟が『確実に変わった』ということを国民に示す必要がある」と述べた<ref>[http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130625/k10015561851000.html 文科相 「柔道界改革を着実に」] [[NHK]] 2013年6月25日</ref>。 |
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一方、執行部に批判的だった山口香はようやく辞任を表明した上村について「時期が遅すぎた。暴力問題の時に辞めるべきだった」「自分たちが壊したものを改革するなんて絶対に無理。」と語った。上村が講道館館長を続ける点については「言わずもがなですよね。あっちで失敗してこっちで生き残るって言っても結局、同じ。組織の長としての能力ですから。今回の件は(上村会長の)能力を否定するもの。講道館は(全柔連より)もっと倫理性が求められる」との見解を示した<ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/06/24/kiji/K20130624006081420.html 告発支えた山口香氏 会長辞意に「遅すぎる。改革なんて絶対無理」] [[スポーツニッポン]] 2013年6月24日</ref><ref>[http://www.tokyo-sports.co.jp/sports/othersports/156176/ 全柔連上村会長にもう一つの「辞めろ!」コール] [[東京スポーツ]] 2013年6月29日</ref>。 |
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またこの日には、全柔連の「暴力の根絶プロジェクト」が7月に開催される[[金鷲旗全国高等学校柔道大会|金鷲旗]]の際に女子選手を対象にしたセクハラに関するアンケート調査を行うことを発表した<ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130624-OHT1T00144.htm 【柔道】「金鷲旗高校大会」でセクハラアンケート実施へ] [[スポーツ報知]] 2013年6月24日</ref>。 |
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6月25日には全柔連評議員会が開かれた。冒頭の議長選では現体制に極めて批判的な了徳寺学園理事長の了徳寺健二が無記名投票を希望したものの挙手による採決となり、全柔連事務局が推薦した浅賀健一が、了徳寺の推薦した吉田忠征を33対17の票決で下し、全柔連側が会議の主導権を握ることになった。新理事の選任議案の際には了徳寺が全柔連理事全員の解任決議を提案したものの、「議題は4週間前までに提示」という規約により退けられることになった。しかし、了徳寺が「男なら受けてくださいよ」と上村に呼びかけると、上村も自身の信任を求めて一旦は席を外そうとする場面も見られた。その後、鳥取の常田享詳から「説明が果たせないのであれば公益法人は辞退すべきだ」との意見が出ると、山形の沓沢行雄は「東北は上村会長を支持する。上村会長は風格もあるし、頭もいい。立派な人。この危機を回避できるのは、上村会長しかいない」と現執行部を支持する発言をした。それに対して了徳寺が「最近は道場の入門者が減り、逆にやめる子が増えている」「ここが柔道界の正念場。このままでは公益認定を取り消される危機もある」と発言すると、上村の地元である熊本の中林厚生が「子供は増えている。上村会長に失礼だ」「なんなんですか、あんたは!上村会長は一生懸命やりよるじゃろ!」と声を上げて反発、「恫喝ですよ、それは」と了徳寺が応酬するなど、怒声が飛び交う紛糾する事態にもなった。事前に講道館名誉館長の嘉納行光が上村支持の票固めに奔走していた上村陣営と、それに反発して関東を中心に結束を図っていた了徳寺陣営の対決が注目された会議は結局仕切り直しとなって、7月の臨時評議員会で解任問題が改めて協議されることになった。評議員会後に上村は「(解任要求は)不名誉だが、真摯に受け止めて改革をやり遂げたい」と語ると、了徳寺は「ぜひ世論の後押しがほしい」と訴えた<ref>[http://www.zakzak.co.jp/sports/etc_sports/news/20130625/spo1306252109011-n1.htm 評議員会で上村会長の解任要求 臨時会で議決へ 柔道助成金問題] [[夕刊フジ|ZAKZAK]] 2013年6月25日</ref><ref>[headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130625-00000060-dal-spo 現体制巡り、全柔連の評議員会が大混乱で収拾つかない事態に] [[Yahoo! JAPAN]] 2013年6月25日</ref><ref>[http://www.sanspo.com/sports/news/20130626/jud13062605050000-n1.html 飛び交う怒号…全柔連“内部抗争”本格化] [[サンケイスポーツ]] 2013年6月26日</ref><ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130625-OHT1T00199.htm 【柔道】ぐちゃぐちゃ全柔連!上村会長、7月解任も 「10月まで続投」巡り賛否両論] [[スポーツ報知]] 2013年6月26日</ref>。 |
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また評議員会では、前日理事会で提案された新理事候補である谷亮子、田辺陽子、北田典子、本橋順二及び外部理事候補の藤原庸介と橋本聖子が承認されることになった。新たに理事に加わることになった谷は「(女子選手の)窓口的な役割が求められていると思う。柔道を通じて夢や希望を持てる体制を作りたい」「選手と所属(団体)、全柔連などの組織が孤立しないように、意思の疎通を深めたい」「日本発祥の柔道には素晴らしい伝統と文化がある。それを広めながら改革していきたい」、田辺は、「改革はスピード感が大切。新しい風を組織に入れたい」、北田は「セクハラや暴力をゼロにしたい」とそれぞれ決意を語った<ref>[http://mainichi.jp/sports/news/20130626k0000m050084000c.html 全柔連:夢や希望を持てる体制に 初の女性理事3人が会見] [[毎日新聞]] 2013年6月25日</ref><ref>[http://www.nikkansports.com/sports/news/p-sp-tp0-20130626-1147944.html 谷亮子氏「健全な体制を」] [[日刊スポーツ]] 2013年6月26日</ref>。 |
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さらに評議員会では代表監督の任期は最大8年で、国際大会の出場経験を有して社会通念を持ち、品格を備えていることを登用基準に定めて、新たに設置する選考委員会で選出した後に理事会で承認を諮ることに決めた。今年になって試験導入された新ルールも9月の[[全日本ジュニア柔道体重別選手権大会|全日本ジュニア]]と11月の[[講道館杯全日本柔道体重別選手権大会|講道館杯]]で採用されることも合わせて報告された<ref>[http://www.nikkansports.com/sports/news/f-sp-tp0-20130625-1147802.html 柔道代表監督は最長2期8年] [[日刊スポーツ]] 2013年6月25日</ref>。 |
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6月27日に全柔連会長の上村は、評議員の了徳寺健二から臨時評議員会の開催請求書が提出されたことを受けて、来週にも臨時理事会を開き臨時評議員会の開催日時を決定することになった。請求書は新理事を除く23名の理事解任を求めている<ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013062701002 臨時評議員会招集へ=全柔連の上村会長] [[時事通信]] 2013年6月27日</ref>。 |
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また、この日にJOCは評議員会において役員の改選人事を行い、新理事に[[ロサンゼルスオリンピック]]柔道金メダリストの山下泰裕、[[シドニーオリンピック]]マラソン金メダリストの[[高橋尚子]]、[[ソウルオリンピック]]競泳金メダリストの[[鈴木大地]]など10名を選出した。さらに女子柔道の暴力問題を受けて、コンプライアンス専門部会を倫理委員会に格上げするとともに、ドーピングや違法行為から選手を守り、競技環境を改善することを目的としたアントラージュ専門部会を新設することになった。アントラージュ専門部会の初代部会長の座に就任した山下は、「柔道界が大変な、ご迷惑をおかけしている。この言葉(アントラージュ)を聞いたことはなかったが、非常にやりがいのある仕事だ」と語った。さらに、全柔連の外部理事にも就任することになったJOC理事の藤原庸介からは、8月の世界選手権前後には具体的な発表が行えるようにと、問題の早期解決を促されることになった<ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013062700915 山下泰裕、高橋尚子氏ら新理事=竹田会長は再任へ-JOC] [[時事通信]] 2013年6月27日</ref><ref>[http://www.nikkansports.com/sports/news/f-sp-tp0-20130628-1149289.htm JOC、倫理委と新専門部会を設置] [[日刊スポーツ]] 2013年6月28日</ref><ref>[ttp://www.yomiuri.co.jp/sports/news/20130628-OYT1T01124.htm 体罰・暴力問題を受け、JOCが専門部会を新設] [[読売新聞]] 2013年6月28日</ref><ref>[http://www.daily.co.jp/general/2013/06/29/0006115304.shtml 藤原理事が山下新理事に早期解決指令] [[デイリースポーツ]] 2013年6月29日</ref>。 |
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一方、評議員会に出席した上村は、JOC名誉委員の広瀬喜久男から「全柔連は“欠陥団体”。2020年五輪開催地の投票が決まる前、8月中の人事刷新を求めたい」との批判を受けた<ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/06/28/kiji/K20130628006101480.html JOC広瀬名誉委員 全柔連をバッサリ“欠陥団体”] [[スポーツニッポン]] 2013年6月28日</ref>。 |
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6月28日にはJOC理事会で、3月に全柔連に対して求めた13項目にわたる改善勧告の進捗状況が報告された。全柔連側から提出された報告書によれば、指導者による不当行為は陣容が一新されたことで、強化現場において一切存在しないと認識しているとした。また、強化委員長から届けられた選手の生の声を、常務理事会で生かせるようなシステムを構築していくとも述べられていた<ref>[http://www.yomiuri.co.jp/sports/news/20130628-OYT1T01122.htm 全柔連「選手の生の声を生かす」JOCに報告] [[読売新聞]] 2013年6月28日</ref>。 |
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7月2日に全柔連は臨時評議員会の招集を協議するために9日に臨時理事会を開催することを決めた<ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130702-OHT1T00123.htm 【柔道】全柔連、9日に臨時理事会] [[スポーツ報知]] 2013年7月2日</ref>。 |
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7月3日に全柔連は「改革・改善実行プロジェクト」の迅速化を図り、8月末までに具体的な道筋をつけることを目的とした、特別作業チームの「改革促進タスクフォース」を新たに設置することになった。新理事の田辺陽子、北田典子、藤原庸介、強化委員長の斉藤仁、広報委員長の宇野博昌及び、外部人材として[[日本バスケットボール協会]]の裁定委員長を務める山見博康の6名がメンバーに選出され、[[第23回参議院議員通常選挙|参議院選挙]]後には谷亮子も加わることとなった。そこでは選手委員会の設立、事務局運営の透明化、代表選手選考基準の明文化の3点がプロジェクトとして実行に移されることになった。選手委員会は現役選手や引退選手など男女同数の10数名の陣容となり、選手の意見が全柔連の意思決定に反映できる仕組みとする。また、代表選手選考に関しては、選手が選考結果に異議を申し立てられる内部上訴システムの構築を目指すことになった。北田は「現場が悲鳴を上げている。なかには柔道に取り組んでいる子供が[[道着|柔道衣]]にレイプと落書きされた話も聞いている。現場が一日も早く安心できる柔道界にしたい」と訴えた<ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013070300811 改革促進で作業部会=新たに選手委設立も-全柔連] [[時事通信]] 2013年7月3日</ref><ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013070300862 進むか組織改革=北田理事「一日も早く」-全柔連] [[時事通信]] 2013年7月3日</ref><ref>[http://www.sanspo.com/sports/news/20130703/jud13070318090000-n1.html 全柔連、改革スピード向上促す作業チーム発足] [[サンケイスポーツ]] 2013年7月3日</ref><ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130703-OHT1T00240.htm 【柔道】全柔連が「改革促進チーム」結成会見] [[スポーツ報知]] 2013年7月3日</ref><ref>[http://www.j-cast.com/tv/2013/07/04178682.htm 全柔連・北田典子新理事が涙で訴えた「子どもの柔道着に『レイプ』の落書き」] [[ジェイ・キャスト|J-CAST]] 2013年7月4日</ref>。 |
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さらにこの日、全柔連は「暴力の根絶プロジェクト」責任者である山下泰裕名義で、「暴力の根絶に |
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ついてのお願い」と題した、暴力の定義や通報窓口の設置、処分内容などに関する情報公開を公式サイトで行った。具体的な暴力行為として「殴る、蹴る、突き飛ばす等の行為」、「言葉や態度による人格の否定、脅迫、威圧等」、「セクシュアルハラスメント」などが定義された。悪質な行為に関しては会員登録の永久停止や抹消などの処分が下されることになった。なお、この処分は9月から施行される<ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130703-OHT1T00152.htm 【柔道】全柔連、暴力の定義などを通達] [[スポーツ報知]] 2013年7月3日</ref><ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013070300999 暴力の処分内容など通達=全柔連] [[時事通信]] 2013年7月3日</ref>。 |
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7月5日には、日本男子代表コーチである[[国士舘大学]]教員の[[鈴木桂治]]がスペイン遠征に出発する際に、「改革促進タスクフォース」が2ヶ月以内に代表選手選考基準を明確化すると発表したことに関して、現場不在で話が進められて強化スタッフに情報が伝わっていないと戸惑いを示した<ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130706-OHT1T00012.htm 【柔道】桂治コーチも困惑!柔道代表選考「何も聞いていない」] [[スポーツ報知]] 2013年7月5日</ref>。 |
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また、この日に[[神奈川県立神奈川総合高等学校|神奈川総合高校]]で開催された「部活指導のあり方と暴力行為根絶に向けた集い」において、神奈川県体育協会会長でもある山下泰裕が「罰すればそれで済むようなものではなく非常に根が深い。あれも駄目、これも駄目というのではなく、指導者はどうあるべきなのか理想を掲げ、時間をかけてポジティブにやっていきたい」との姿勢を示した<ref>[http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1307050036/ 「理想掲げ積極的に」部活指導者対象に集い、暴力根絶へ活発議論/横浜] [[神奈川新聞]] 2013年7月5日</ref>。 |
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7月9日には千葉県柔道連盟会長の了徳寺健二から提出されていた「臨時評議員会開催請求書」を受け臨時理事会が開かれて、30日に新理事を除いた会長の上村を始めとした理事全員の解任について協議する臨時評議員会が開催されることが決まった。議決にあたって了徳寺は無記名投票を求めていたが、採決方法は評議員会の場で決められることになった。過半数の賛成票を得て理事の解任が決まった場合は、評議員らから成る理事選定委員会が後任の理事を選出することになった。 |
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また、理事会では9月1日に選手委員会を設置することが承認された。さらに、理事会に初めて出席した谷亮子は、「緊張感も責任感もある。改革を一歩一歩進めていくことが大事」と語るとともに、上村が10月を辞任のめどとしていることに対して、「(改革の)方向性とめどが立てば7、8月の段階で会長は決断するのではないか。上村会長や理事の方は一般の方々の意見をくみ取り、どこかで責任を果たさなければいけない」とも指摘した<ref>[http://www.nikkansports.com/sports/news/f-sp-tp0-20130709-1154698.html 全柔連30日に会長解任協議の臨時評議員会] [[日刊スポーツ]] 2013年7月9日</ref><ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013070900813 30日に臨時評議員会開催=上村会長ら理事解任協議-全柔連] [[時事通信]] 2013年7月9日</ref><ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130709-OHT1T00140.htm |
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【柔道】谷亮子氏、全柔連改革「一歩一歩進めていく」] [[スポーツ報知]] 2013年7月9日</ref>。<ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130709-OHT1T00241.htm |
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【柔道】谷亮子新理事、上村会長の「前倒し辞任」に言及] [[スポーツ報知]] 2013年7月9日</ref>。 |
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7月12日には「改革・改善実行プロジェクト」の責任者会議が開かれて、各分科会におけるプロジェクトの進捗状況が報告された。そこでは、8月1日からの始動を予定している内部通報制度と、9月1日付けで新設されるアスリート委員会の規定案が発表された。内部通報制度では、組織内の不正行為を告発する場合は封書に実名を記入した上で窓口となる担当弁護士に送付して、案件によっては外部有識者らによる特別対策チームが対応にあたることになった。また、アスリート委員会は男女同数で、委員長は全柔連理事も兼ねる仕組みとした。一方、全柔連会長の上村は10月に辞任する予定であるを繰り返し述べた<ref>[http://www.nikkansports.com/sports/news/f-sp-tp0-20130712-1156302.html 改革スピードアップも上村会長辞任は10月] [[日刊スポーツ]] 2013年7月12日</ref><ref>[http://mainichi.jp/sports/news/20130713k0000m050072000c.html 全柔連:アスリート委員会は男女同数に 規定案報告] [[毎日新聞]] 2013年7月12日</ref>。 |
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7月14日には山下泰裕が理事を務める[[NPO法人]]の「柔道教育ソリダリティー」がパネルディスカッションを開催した。山下が責任者となっている全柔連の暴力根絶プロジェクトの活動報告をすると、「完全に暴力をなくすためには、相当な覚悟が必要」と語った。また、この場には女子強化選手の朝比奈沙羅も出席して山下の話に聞き入った<ref>[http://www.nikkansports.com/sports/news/f-sp-tp0-20130714-1157422.html 山下泰裕氏「暴力根絶は相当な覚悟必要」] [[日刊スポーツ]] 2013年7月14日</ref>。 |
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7月20日に女子強化委員会は、10日ほど前にロシアの[[カザン|カザニ]]で開催された[[ユニバーシアード柔道競技|ユニバーシアード]]において、ケガの影響もあって体重が落ちず、公式計量を前に棄権した国士舘大学の岡本理帆を強化指定選手から除外することに決定した。今年の5月に全柔連が派遣した国際大会において、計量失格となった選手を強化指定から除外する罰則を定めたが、それを適用した形となった。なお、国内大会で好成績を収めれば強化選手に復帰可能となる<ref>[http://www.nikkansports.com/sports/news/f-sp-tp0-20130720-1160582.html 柔道・岡本理帆、強化指定から外れる] [[日刊スポーツ]] 2013年7月20日</ref>。 |
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7月21日には金鷲旗を控えた監督会議において、「暴力の根絶プロジェクト」責任者である山下泰裕が、8月までを暴力根絶の周知徹底期間とした上で、「9月からは、試合や練習などすべての柔道の現場から暴力を根絶する。指導者と選手はもちろん、先輩と後輩などの暴力もなくす」と訴えた。また、2016年から大学柔道界においては、一定の単位を取得しなければ全日本学生柔道連盟主催の大会に出場させない方針を6月の同連盟理事会で決定していたことを明らかにした。1年終了時点で20、2年で40、3年で70単位を取得していない選手は出場権が与えられないという。この点に関して山下は「柔道は他のスポーツに先駆け、文武両道を目標に掲げる」、「武だけになりがちな大学スポーツ界で、文の重要性を広めたい」と意気込んだ<ref>[http://www.nikkansports.com/sports/news/f-sp-tp0-20130721-1161085.html 山下泰裕氏「すべての現場から暴力根絶」] [[日刊スポーツ]] 2013年7月21日</ref><ref>[http://www.nikkansports.com/sports/news/p-sp-tp0-20130722-1161266.html 山下泰裕氏が文武両道のススメ] [[日刊スポーツ]] 2013年7月22日</ref>。 |
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===内閣府による勧告 === |
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7月23日には[[公益法人]]の認定や監督を行う[[内閣府]]の[[公益認定等委員会]]が、不祥事が続出した全柔連会長の上村春樹を呼び出して、[[内閣府特命担当大臣|行政改革担当大臣]]として公益認定等委員会を担当している[[稲田朋美]]が、首相の[[安倍晋三]]名義の勧告書を手渡した。そこでは、全柔連が暴力などの不当行為に依存せず選手を育成する「技術的能力」や、公益法人として事業を適正に行う「経理的基礎」が欠如していると指摘するとともに、8月末までに組織の改善措置を講じて、執行部や理事会の「責任の所在を明らかにし、体制を再構築すること」を求めており、上村ら執行部に対する事実上の辞任勧告とも受け取れる内容となっている。公益認定法に基づく勧告が行われたのは、2008年の新法人制度施行後初めてのこととなった。8月末までに報告が不十分とみなされると改善「命令」となり、それでも効果のない場合は「認定取り消し」に至り、税制優遇措置などを受けられなくなる。公益認定等委員会は「公益法人の自己規律について」という声明まで出して、「公益法人は国民の信頼なくして成り立たない」と強調するとともに、「一般法人法に定められた職務上の義務に違反している疑いがある」として、全柔連執行部(会長、専務理事、事務局長)のみならず、「柔道界では上の人に意見なんて言えない」として言い逃れを続けてきたとされる理事会、監事、評議員会の責任にも言及することとなった<ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/07/24/kiji/K20130724006282550.html 柔道:政府も上村全柔連会長に辞任「勧告」 リミットは8月末] [[日刊スポーツ]] 2013年7月24日</ref><ref>[http://www.nikkansports.com/sports/news/p-sp-tp0-20130724-1162153.html 「上村会長辞めろ」全柔連に国もNO!] [[日刊スポーツ]] 2013年7月24日</ref>。 |
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これに対して上村は、「不名誉で、私の責任。心からおわび申し上げます」と述べて「辞任時期を前倒しする可能性もある」ことを示唆したものの、その直後、「今すぐにはできない」「柔道を守るため、どっちが正しいか見てもらう。ダメだったら仕方ない」と、当初の予定通りあくまでも改革を推し進めた上で10月をめどに辞任する方針である意向を明らかにした<ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013072300739 不祥事の全柔連に改善勧告=上村会長に事実上の退陣要求-内閣府] [[時事通信]] 2013年7月23日</ref><ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130723-OHT1T00254.htm 【柔道】全柔連・上村会長辞めない!内閣府辞任勧告も徹底抗戦] [[スポーツ報知]] 2013年7月23日</ref>。一方、全柔連副会長である佐藤宣践は「(現体制は)8月末で終わるものだと思っていた。副会長を含めた執行部は辞める覚悟がある。(会長の発言に)違和感を覚える」と、10月まで上村が会長を続けた場合は公益認定法人の取り消しもありうるとの認識を示した<ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013072300977 上村会長発言に違和感=全柔連] [[時事通信]] 2013年7月23日</ref>。同じく副会長である藤田弘明も「報道でしか知らないが、重く受け止めないといけない」と述べると、新しく理事になったばかりの北田典子も、上村は8月末までに辞任すべきであり、これについて色々な理事や評議員と意見交換したが、みな同様の意見であったと語った<ref>[http://www.daily.co.jp/newsflash/general/2013/07/24/0006188834.shtml 理事ら全柔連会長に厳しい声] [[デイリースポーツ]] 2013年7月24日</ref>。さらに評議員の了徳寺健二は、「責任は度重なる自浄作用の機会を踏みつぶし、己の保身のためにその地位にとどまろうとした会長をはじめとする執行部、それを傍観し、放置してきた理事たちにあることは明白。即日辞任されることを要求する」との見解を示すとともに、このような事態になった以上は30日の臨時評議員会で上層部の解任動議に反対する評議員は1人としておられないものと思うとも述べて、他の評議員を牽制することになった<ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_date2&k=2013072300956 全柔連執行部や理事の責任=了徳寺氏] [[時事通信]] 2013年7月23日</ref>。 |
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7月24日には組織改革の迅速化を促す特別作業チーム「改革促進タスクフォース」が、公益認定等委員会に全柔連執行部、理事会、評議員会などがまともな機能を果たしてこなかったと指摘されたことを受けて、執行部、理事、評議員の解任をも含めた処分を審議する裁定委員会を、今週中にも設置して人選を行うよう会長の上村に進言することになった<ref>[http://sankei.jp.msn.com/sports/news/130724/mrt13072420130007-n1.htm 裁定委員会の人選を進言へ 全柔連のタスクフォース] [[MSN|MSN産経ニュース]] 2013年7月24日</ref>。 |
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一方、新たに外部理事となった参議院議員の橋本聖子はこの事態を受けて、「上村会長、全柔連理事の全員が総辞職しないと本当に(改革は)始まらない。総辞職ですよ、総辞職が当たり前ですよ。世間一般の常識からしても、スポーツ界の常識としても、遅すぎる」「本来ならば(1月の暴力問題発覚時の)15人の選手に訴えられた時点で辞めるべきだった」「柔道界だけの問題だけではなく、スポーツ界全体の問題になってることを自覚してほしい」と、執行部や理事の即時辞任を訴えた。また、上村は行政改革担当大臣の稲田から勧告書を受け渡された際には辞めると発言したものの、その後発言をあやふやにしたとの内情も打ち明けた<ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130724-OHT1T00258.htm 【柔道】橋本聖子外部理事が強烈勧告「全柔連は総辞職当たり前」] [[スポーツ報知]] 2013年7月24日</ref><ref>[http://daily.co.jp/general/2013/07/25/0006189597.shtml 橋本聖子氏、上村会長らに総辞職要求] [[デイリースポーツ]] 2013年7月25日</ref>。 |
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また、「暴力の根絶プロジェクト」のセクハラ防止部会部会長を務める北田典子が、「ガイドラインを作るにも、まず実態を知ることが大切」と、金鷲旗に参加した女子選手を対象にした無記名のアンケート調査を行って、762件の回答があったことを明らかにした。来月の[[全国高等学校総合体育大会柔道競技大会|インターハイ]]でも同様の調査を行うという<ref>[http://www.sanspo.com/sports/news/20130724/jud13072419470004-n1.html 全柔連のセクハラ調査、高校生から回答762件] [[サンケイスポーツ]] 2013年7月24日</ref>。 |
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加えてこの日には、現体制批判の急先鋒である評議員の了徳寺健二がマスコミのインタビューに答えた。内閣府から事実上の辞任を要求されながら、改革だけは進めるとして10月まで辞任しないという上村は全くどうしようもないと述べるとともに、上村が前言を取り消して発言を二転三転するのは常套手段となっており、全柔連を私物化している証拠だと非難した。続けて、30日の評議員会で上村を始めとした執行部及び理事を解任に追い込めなければ、柔道界も終わりだと語った。他方、解任された場合、全柔連の新会長には山下泰裕しかいないとしながらも、解任を受けた理事が新会長になるのは国民の納得が得られないので、一定期間の禊が必要となるとも話した。また、新理事になったばかりの谷亮子は、国会議員の職務をきちんと果たしているのか疑問であり、選手時代には強化委員長だった吉村和郎の言動に右往左往していた場面を何度も見てきているので、現執行部に意見を言えるはずもなく、上村体制を擁護するために連れて来られた存在だと思うので理事に相応しいとは言えず、辞任すべきだとの見解を示した<ref>[http://www.tokyo-sports.co.jp/sports/othersports/166672/ 反体制派の旗手が全柔連・上村会長降ろしの“決起文”] [[東京スポーツ]] 2013年7月26日</ref><ref>[http://www.tokyo-sports.co.jp/sports/othersports/166893/ 山下氏にはみそぎ必要、谷理事は辞任すべき] [[東京スポーツ]] 2013年7月27日</ref>。 |
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別のインタビューでは、上村は全ての問題のいわば首謀者であり、全柔連はもはや犯罪集団のような組織と化していると発言した。にもかかわらず、このような事態になってもなお会長の座に居座り続けているのは、講道館柔道の創始者である嘉納家の後ろ盾によるものだとも指摘した。2009年まで全柔連及び講道館に君臨してきた嘉納行光にひどく気に入られてその後継者となり、何かと庇護されてきた上村が解任されたとあっては、講道館が受けるダメージが大きいからこそ、嘉納自ら根回しを行うなどして現状維持を図ってきたという。続けて、各都道府県の代表者である全柔連の評議員は、ほとんど7段や8段の高齢者であり、10段は無理としても8段や9段に昇段することを人生のゴールと定めている側面がある。しかし、その昇段を認定するのは講道館館長でもある上村の専権事項になるので、評議員として反抗的な態度は取りづらいとの言も付け加えた。さらに、上村ら役員は講道館より手厚い給与を支払われているが、外部の人間が役員になって給与明細が明らかになることを嘉納と上村は恐れている可能性もあるとした上で、上村は全柔連会長のみならず講道館館長の座からも退くべきだとの考えを示した。上村が辞任した後は、世界の柔道界から尊崇の対象となっている現存の10段位である[[安部一郎]]、[[醍醐敏郎]]、[[大澤慶己]]のいずれかに一時的な館長になってもらった上で、然るべき新館長が引き継げばよいのではないかとの提案も行った<ref>[http://dot.asahi.com/aera/2013071800017.html 「柔道人生のゴール」と関係?上村会長が支持される理由] [[AERA]] 2013年7月19日</ref><ref>[http://dot.asahi.com/sports/sp/2013072500032.html 全柔連・上村会長を「溺愛」する後ろ盾の存在] [[AERA]] 2013年7月25日</ref><ref>[http://www.tokyo-sports.co.jp/sports/othersports/168929/ 上村会長の“続投意欲”に異論続出 「神様」降臨求める声も] [[東京スポーツ]] 2013年8月2日</ref>。 |
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7月25日に全柔連会長の上村は、「(期限とされた)8月末までに何とかしなければいけない」と述べて、従来より繰り返し発言してきた10月をめどにした辞任を、8月末までに前倒しする可能性があることを示唆するとともに、「(勧告に)徹底抗戦なんてことはない。真摯に受け止めている。今の路線に乗っている改革のスピードを速めていく」と発言した<ref>[http://www.sanspo.com/sports/news/20130725/jud13072521200001-n1.html 上村会長「改革速める」辞任前倒しも/柔道] [[サンケイスポーツ]] 2013年7月25日</ref><ref>[http://www.nikkansports.com/sports/news/p-sp-tp0-20130726-1163194.html 全柔連の上村会長が早期退陣決意] [[日刊スポーツ]] 2013年7月26日</ref>。 |
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7月26日には全柔連理事で広報委員長の宇野博昌が、「内閣府の勧告を受け、今さら(辞任が)10月メドという話もないし辞めるなら理事も辞める。それが会長の真意です」と述べて、臨時評議員会が開かれる30日に上村が全柔連会長及び理事を辞職する意向であることを明らかにした。藤田弘明、佐藤宣践の両副会長と専務理事である小野沢弘史の執行部も全員退くことになるという。副会長の佐藤は「執行部っていうのは会長、副会長(2人)、専務理事、事務局長の5人。揃って(辞任)ですよ。 |
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それでなければ国民も柔道の人たちも納得しない。執行部は一蓮托生」「雨降って、地固まるチャンス。雨が降らなかったらこんな改革できなかったよ。山口香は柔道界の[[ジャンヌ・ダルク]]だよ。私は感謝している」、専務理事の小野沢も「会長が退く時は私も同じだ。勧告を重く受け止める」とそれぞれ語った。また、臨時評議員会は人事に関する議題になるので、通常とは異なりマスコミには非公開となる見込みとなった<ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130726-OHT1T00130.htm 【柔道】全柔連・上村会長、8月限りで辞任の可能性] [[スポーツ報知]] 2013年7月26日</ref><ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/07/27/kiji/K20130727006301230.html 上村会長、全柔連から“去る”8月末での辞任申し出へ] [[スポーツニッポン]] 2013年7月26日</ref><ref>[http://www.tokyo-sports.co.jp/sports/othersports/166895/ <全柔連>臨時評議員会は異例の非公開に] [[東京スポーツ]] 2013年7月26日</ref><ref>[http://www.tokyo-sports.co.jp/sports/othersports/167185/ 全柔連「執行部5人辞任」を明言] [[東京スポーツ]] 2013年7月28日</ref>。 |
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7月27日には全柔連の男子強化委員会が開かれた際に、委員長の斉藤仁は内閣府から勧告を受けたことに関して、「大問題だ。機能していなかったとされた理事会の一員として責任を感じる」と話すと、男子代表監督の[[井上康生]]も「一柔道家として本当に情けなく、恥ずかしい。信頼を取り戻すのは並大抵ではないが、一日も早い問題解決を心から願っている」と語った。また井上は、今年から試験的に導入されて世界選手権後に正式採用されると見られる、帯から下を掴むと即反則負けになる新ルールに関して、「あれで勝負が決まっていいのか。他競技での一発レッドカードと脚取りは同じなのか。発祥国として柔道の発展を考えるのがわれわれの使命だ」と述べて、全柔連としてIJFのアスリート委員会などで異議申し立てを行っていく考えがあることを明らかにした<ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130727-OHT1T00159.htm 【柔道】改善勧告に斉藤理事「責任感じる」] [[スポーツ報知]] 2013年7月27日</ref><ref>[http://mainichi.jp/sports/news/20130728k0000m050031000c.html 全柔連:新ルール再考申し入れへ 男子強化委、IJFに] [[毎日新聞]] 2013年7月28日</ref>。 |
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またこの日には、全柔連強化委員でもある山口香が[[倉敷市]]において「強さは優しさ?柔道から学んだこと」と題した講演を行った。そこでは、体罰は今の時代に合わないと述べるとともに、全柔連には女性の役員や指導者が少ないので、女性を登用していくことでみんなに優しい柔道界につながるとの認識を示した<ref>[http://www.sanyo.oni.co.jp/news_s/news/d/2013072721062350/ 全柔連役員に女性登用訴え 倉敷で山口香さん講演] [[山陽新聞]] 2013年7月27日</ref>。 |
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7月29日には評議員の了徳寺健二が、30日の評議員会で執行部と理事を即時解任できなければ公益法人の認定が取り消される可能性があるので、事の重大性を認識しているならば解任決議に同意するよう求める文書を全評議員に送付したことがあきらかになった。さらに、自らも千葉県柔道連盟会長の座を辞任するという<ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013072900877 理事解任案、30日に協議=上村会長ら23人対象-全柔連] [[時事通信]] 2013年7月29日</ref><ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/07/30/kiji/K20130730006320340.html 了徳寺氏 23理事解任動議の成立に自信「8月1日から新体制を」] [[スポーツニッポン]] 2013年7月30日</ref>。 |
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=== 全柔連会長の辞任表明 === |
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7月30日には講道館で臨時理事会が開かれて、全柔連会長の上村春樹をはじめ、副会長の藤田弘明と佐藤宣践、専務理事の小野沢弘史と事務局長の村上清の執行部全員が、一連の不祥事の責任を取って8月中にも辞任することを表明した。理事でない村上を除き、理事職からも全員退くことになった。なお、上村はIJF指名理事も今季限りで退任するものの、講道館館長の座は継続することになった。続いて、執行部及び理事全員の即時解任を求めていた了徳寺健二の意向を受けて臨時評議員会が開かれた。評議員59名のうち58名が出席して議長を除く57名が、先月新任された6名を除く理事23名について1名1名解任するか否か無記名による投票を行った結果、反対多数により1名も解任には至らなかった。会長の上村に対する解任は「賛成」16名、「反対」39名、「棄権」2名だったという。その後、今日2度目となる臨時理事会が開かれた。そこでは新任の外部理事である橋本聖子が、理事の辞任をも表明した執行部の4名を除く以前から在任していた19名の理事も、再任を妨げない形で一旦は総辞職した上で理事会を再構築すべきだとの意見を提出すると、異論は出なかったという。同じく新理事の谷亮子は、「理事会と評議員会が互いに独立した関係であるだけでなく、意思疎通のできる枠組みも作るべき」との意見を表明した<ref>[http://www.nikkei.com/article/DGXNASDH3000S_Q3A730C1000000/ 全柔連の上村会長が辞任表明 後任8月末までに] [[日本経済新聞]] 2013年7月30日</ref><ref>[http://sankei.jp.msn.com/sports/news/130730/mrt13073021100009-n1.htm 谷亮子理事も危機感あらわ] [[MSN|MSN産経ニュース]] 2013年7月30日</ref><ref>[http://mainichi.jp/sports/news/20130731k0000m050001000c.html 全柔連:上村会長、8月中に辞任へ…内閣府勧告受け前倒し] [[毎日新聞]] 2013年7月30日</ref><ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/07/31/kiji/K20130731006326250.html 上村氏 IJF理事も退く、講道館長は続ける意向] [[スポーツニッポン]] 2013年7月31日</ref>。 |
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臨時理事会後の記者会見で上村は、不十分な形で辞めるわけには行かないという思いが強かったが、内閣府からの勧告が辞任を決める一番のポイントになった、臨時評議員会での解任動議は非常に重く受け止めている、新会長は外部の人材をも視野に入れた上で、次の百年の計をきちんと作れる人物が望ましいと語った<ref>[http://sankei.jp.msn.com/sports/news/130730/mrt13073020530006-n1.htm 上村会長「申し訳ない気持ち」 一問一答] [[時事通信]] 2013年7月30日</ref>。対して、臨時評議員会で全理事の即時解任を求めていた了徳寺健二は、解任動議が悉く否決されたことに関して「自浄作用が働かなかった。重大な判断ミスだ。国民に見捨てられつつあるのに、評議員会は理解していない」と怒りを表明するとともに、上村が「辞めると言っているのに、そこまですることはなかろうという心理が働いた」と、解任の反対票が多数を占めた点について分析した<ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130730-OHT1T00131.htm 【柔道】了徳寺評議員、解任動議否決は「重大な判断ミス。柔道家は情愛が深い」] [[スポーツ報知]] 2013年7月30日</ref><ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_date1&k=2013073000987 「自浄作用働かなかった」=了徳寺評議員] [[時事通信]] 2013年7月30日</ref>。 |
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新会長候補と目されていた理事の山下泰裕は、信頼を取り戻すために理事は全員辞職すべきだとした上で、現体制に関わった人々が改革を行うことは非常に難しいと述べて、自らが会長になる意思がないことを示唆した。新会長は高い見識があり、柔道をよく理解している外部の有識者が望ましく、そのような人物なら自分たちがやれる改革とは桁が違うとの見解を示した。また、必要とされるならば、そのような人物の下で柔道界のために働きたいとも付け加えた<ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_date1&k=2013073001041 新会長は「見識ある人を」=山下理事] [[時事通信]] 2013年7月30日</ref>。また、副会長である藤田弘明は「上村会長と一緒ということ。国民の皆さんにご心配をお掛けしたことを深くおわびしたい」、同じく副会長の佐藤宣践も「今回の一連の問題は大きな罪だと受け止めている。内閣府からも厳しい勧告を受け、その通りだと思う」とそれぞれ語った。全柔連強化委員の山口香は「上村会長の辞任は遅きに失した感がある。最後の最後まで醜態をさらした。同じ柔道家として恥ずかしい限りだ。新しい会長はぜひ柔道界以外の人に来ていただきたい。」とコメントした<ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/07/31/kiji/K20130731006325280.html 全柔連 外部会長招へいの可能性、上村氏は8月中の辞任表明] [[スポーツニッポン]] 2013年7月31日</ref>。 |
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一方で、これを受けた行政改革担当大臣の稲田朋美は、上村を始めとした執行部が自発的に辞めただけでは、ガバナンス(統治能力)の再構築には到底ならないと述べるとともに、臨時評議員会で理事全員の解任が否決された点に関して、内閣府の勧告書の趣旨が理解できているのかと疑問を投げかけ、場合によっては全柔連の公益法人認定の取り消しもありえるとの見解を示した<ref>[http://www3.nhk.or.jp/knews/20130730/k10013411071000.html 稲田大臣「全柔連公益法人取り消しも」] [[NHK]] 2013年7月30日</ref><ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130730-OHT1T00186.htm 【柔道】橋本聖子外部理事の一喝で全柔連解体!理事23人総辞職へ] [[スポーツ報知]] 2013年7月30日</ref>。 |
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7月31日には外部理事の藤原庸介が評議員改革も必要だとして、47都道府県の各柔道連盟会長、学生柔道連盟、実業柔道連盟の代表者各1名及び、講道館職員ら10名の指名評議員の計59名からなる全柔連評議員会のうち、指名評議員は取り止めにすることを改革案に盛り込むべきだとの言及を行った<ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130731-OHT1T00290.htm 【柔道】浅見、大荒れ全柔連理事総辞職も「自分のことに集中」] [[スポーツ報知]] 2013年7月31日</ref>。 |
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8月1日には外部の意見を組織運営に反映させるために新たに創設した、全柔連会長の上村春樹を始めとした執行部と、理事の山下泰裕、田辺陽子、北田典子など11名の陣容による常務理事会が初めて開かれた。上村の後任となる会長には、外部からの人材を優先して招聘する方針となった。ただし、理事の山下は、場合によっては必ずしも外部からとは限らないとの見解も示した。すでに辞任を表明している上村ら執行部を除いた非公表の4名のメンバーによる「新体制検討チーム」が、8月中旬までに具体的な人選を進めることになる<ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130801-OHT1T00122.htm 【柔道】全柔連後任会長は外部からを優先] [[スポーツ報知]] 2013年7月31日</ref><ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013080100991 全柔連次期会長、外部が最優先=8月中旬までに人選へ] [[時事通信]] 2013年8月1日</ref><ref>[http://www.nikkansports.com/sports/news/p-sp-tp0-20130802-1166782.html 全柔連に新会長検討チームが発足] [[日刊スポーツ]] 2013年8月2日</ref>。 |
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またこの日には、先月の金鷲旗に参加した女子選手へのアンケート調査の結果を公表して、過去に「練習場で体を触られた」「胸をもむぞと言われた」などのセクハラ被害を受けたという回答が10数件あったことを明らかにした。全柔連広報委員長の宇野博昌は「こうしたことは一件でもあってはならない」と述べて、今後実態を正確に把握した上で現場を指導していくことになった<ref>[http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130801/k10013475311000.html 高校柔道 「セクハラ受けた」回答十数件] [[NHK]] 2013年8月1日</ref><ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013080101002 セクハラ、十数件の訴え=柔道] [[時事通信]] 2013年8月1日</ref>。 |
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8月2日に全柔連は、選手の意見を組織運営に反映させる目的で新設したアスリート委員会のメンバーを公表した。委員長には理事の田辺陽子が就任する運びとなったのを始め、委員には男子代表コーチの鈴木桂治、今春引退した[[天理大学]]職員である[[穴井隆将]]及び、了徳寺学園職員の福見友子、さらに現役選手である同じく了徳寺学園職員の[[小野卓志]]ら14名が選出された。オブザーバーとして理事の谷亮子も加わることになった。委員会では女子選手の役割拡大、引退後の生活設計、社会貢献などの話し合いがもたれることになるという。このメンバーでの任期は来年6月までを予定しており、その後はアスリート委員会内の選考委員会によって選出されたメンバーが2年間の任期を務めることになる<ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013080200971 鈴木、穴井両氏らが選手委メンバーに=代表選考の詳細も発表-全柔連] [[時事通信]] 2013年8月2日</ref><ref>[http://www.nikkansports.com/sports/news/p-sp-tp0-20130803-1167360.html 全柔連、アスリート委員会発足を発表] [[日刊スポーツ]] 2013年8月3日</ref>。 |
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またこの日に全柔連強化委員長の斉藤仁は、来年度から適用される日本代表選手選考基準の詳細について発表した。それによれば、オリンピックや世界選手権などの主要国際大会や、講道館杯、選抜体重別、全日本選手権など主要国内大会を対象にポイントシステムを導入する。大会レベルに応じて選手に付与されるポイントは2年間有効となり、直近1年より以前のポイントは半減される。また、対戦相手や組み合わせなどの傾斜配点も加味することになった。強化委員会ではこのポイントシステムのみならず、代表候補選手の将来性なども参考に審議した上で、出席した強化委員の過半数の支持を得た選手を代表に選出することに決めた。斉藤によれば、ポイントシステムのみで代表を選出しないのは「(柔道は)[[陸上競技]]や[[競泳]]と異なり、数値のみで選ぶのは難しい」からだと説明した。また、代表選考に不服を抱いた選手は、強化委員会側に選考結果の説明を求める権利や、日本スポーツ仲裁機構に異議申し立てを行う権利を有している点も明文化されることになった<ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130802-OHT1T00230.htm 【柔道】秋からポイント制を導入 代表選考の基準に] [[スポーツ報知]] 2013年8月2日</ref><ref>[http://mainichi.jp/sports/news/20130803k0000m050057000c.html 柔道:代表選考基準を発表 異議申し立ての権利など明文化] [[毎日新聞]] 2013年8月2日</ref><ref>[http://www.nikkansports.com/sports/news/f-sp-tp0-20130802-1167199.html 全柔連が代表選考ポイント制の詳細発表] [[日刊スポーツ]] 2013年8月2日</ref>。 |
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さらに、全柔連会長の辞任を表明した上村は、8月下旬の世界選手権前にリオデジャネイロで開かれるIJF総会には出席しないことになった。IJF指名理事ではあるものの、新会長への引継ぎをする必要性などもあり、総会に行けるような状況ではないと理由を語った<ref>[http://www.nikkansports.com/sports/news/p-sp-tp0-20130803-1167366.html 上村会長、8月国際総会欠席へ] [[日刊スポーツ]] 2013年8月3日</ref>。 |
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8月6日には常務理事会が開かれて、12日の常務理事会で新体制検討チームが会長を始めとした新執行部の候補を報告して、14日の臨時理事会に諮られることが決まった。また、外部から会長を招いた場合、常勤を求めるのは難しいことから、新執行部には複数の外部理事が就任する可能性があるという。<ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/08/07/kiji/K20130807006369780.html 全柔連新会長 12日にも選出 専任チームが外部招へい] [[スポーツニッポン]] 2013年8月7日</ref>。 |
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8月7日には執行部以外の理事からも相次いで辞任が表明されていることが明らかになった。[[東京オリンピック]]軽量級金メダリストである中国地区代表の[[中谷雄英]]は「理事職にしがみつくつもりはない。自分の意思で辞めたい」、北海道地区代表の高梨幸輔は「責任の一端がある。同じ顔ぶれでは何も変わらず、体制を一新させたとはっきり示すのが正しい道だ」とそれぞれ語った。また、全柔連広報委員長で理事の宇野博昌は、理事全員が辞任する方向で調整が進んでいると明かした。ただ、宇野自身もメンバーである常務理事会に関しては、執行部を除いて再任される可能性があることを示唆した<ref>[http://www.nikkansports.com/sports/news/f-sp-tp0-20130807-1169754.html 全柔連総退陣か 執行部以外の理事も辞意] [[日刊スポーツ]] 2013年8月7日</ref>。 |
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8月10日には全柔連の新会長に、[[東京大学]]柔道部出身で全日本実業柔道連盟会長を務める、[[新日鉄住金]]会長兼最高経営責任者の[[宗岡正二]]が就任する見込みになったことが複数の関係者の話から明らかになった。宗岡自身も全柔連側からの理事打診を了承したという。また、全柔連には経営と同じく透明性の確保と説明責任の遂行が求められると述べるとともに、人事に関しては外部登用の必要性にも言及した。14日の臨時理事会で上村春樹ら執行部4名が理事を辞任した上で、宗岡を新理事候補として評議員会に推薦して、21日以降に開催される評議員会で正式な理事に選出された後に、新メンバーによる臨時理事会において理事の互選で正式な会長に就任する運びとなった<ref>[http://sankei.jp.msn.com/sports/news/130810/mrt13081008170001-n1.htm 全柔連次期会長、宗岡氏が最有力 新日鉄住金会長兼CEO] [[時事通信]] 2013年8月10日</ref><ref>[http://www.nikkansports.com/sports/news/f-sp-tp0-20130810-1170968.html 全柔連新会長に宗岡正二氏就任へ] [[日刊スポーツ]] 2013年8月10日</ref><ref>[http://www.tokyo-np.co.jp/article/sports/news/CK2013081202000038.html 「全柔連に透明性を」 会長就任有力宗岡氏インタビュー] [[東京新聞]] 2013年8月12日</ref>。 |
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8月12日には常務理事会が開かれて、新理事候補として宗岡正二と、宗岡の東京大学柔道部時代の後輩にあたる、元[[大阪府警]]本部長で現在は[[トヨタ自動車]]顧問を務める[[近石康宏]]を、14日の臨時理事会に推薦することを決めた。広報委員長の宇野博昌は「改革に対する意識が非常に強く、遂行する力量があると判断した」と推薦理由を説明した。また、宗岡は近石を招聘することを条件に理事推薦を引き受けたこという。副会長や事務局長の選出は新会長が予定されている宗岡に一任されるが、副会長候補には理事の山下泰裕が昇格する見込みとなった。山下も「できるだけ汗をかきたい」と意欲を見せた<ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130812-OHT1T00149.htm 【柔道】全柔連、宗岡氏が外部初の会長職に前向き] [[スポーツ報知]] 2013年8月12日</ref><ref>[http://sankei.jp.msn.com/sports/news/130812/mrt13081221280004-n1.htm 全柔連会長候補の宗岡氏に新理事要請 専務理事には元大阪府警本部長が就任へ] [[MSN|MSN産経ニュース]] 2013年8月12日</ref>。全柔連強化委員の山口香は、執行部に外部から人材が登用されることに関して、「一歩前進。外から一度入ってもらった方がいい」、「内部にずっといると、みんなお友達になる。大きな組織を改革する時は情が生じて踏み切れないという歴史がある。今回もそれが大きな問題につながった」との認識を示した<ref>[http://www.nikkansports.com/sports/news/f-sp-tp0-20130812-1172397.html 山口氏「一歩前進」新会長外部登用に期待] [[日刊スポーツ]] 2013年8月12日</ref>。 |
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また、この日には全日本学生柔道連盟の理事会も開かれて、同連盟代表として全柔連の理事を務めている佐藤宣践が一連の不祥事の責任を取って辞任するに当たり、後任として日本大学柔道部総監督で全柔連評議員を務める[[高木長之助]]を新理事に推薦することを決めた<ref>[http://sankei.jp.msn.com/sports/news/130812/mrt13081221400006-n1.htm 高木氏が全柔連理事に 学生連盟代表として] [[MSN|MSN産経ニュース]] 2013年8月12日</ref>。 |
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一方、「暴力の根絶プロジェクト」セクハラ部会の責任者を務める北田典子は、金鷲旗やインターハイの際に女子選手からセクハラに関するアンケート調査を1278件受け取ったものの、即座に対応すべき重要な案件はなかったことを明らかにした。ただ、今後も継続的な対策を行っていくことになった<ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/08/12/kiji/K20130812006406850.html 全柔連セクハラアンケート 重大案件はなし、継続的な対策訴え] [[スポーツニッポン]] 2013年8月12日</ref>。 |
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8月13日には[[ブダペスト]]にあるIJF本部を訪問していた上村が帰国して、IJF会長のビゼールから指名理事を継続するように要請されていたことを明らかにした。上村はすでに指名理事の座も辞する意向にあり、後任の推薦をビゼールに要望したものの、上村が退任した場合は日本からの補充はないとの返答を受けた。その場合は国際的な発言力が低下することから、「私自身は辞めたいと思っているが、柔道界の発展のために、うまく対応しないといけない」と続投の可能性に含みを持たせることになった<ref>[http://sankei.jp.msn.com/sports/news/130812/mrt13081222210008-n1.htm 国際連盟理事は継続も 全柔連上村会長、反発必至] [[MSN|MSN産経ニュース]] 2013年8月13日</ref><ref>[http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130814/k10013780791000.html 全柔連 上村会長「判断甘かった」] [[NHK]] 2013年8月14日</ref>。 |
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8月14日には臨時理事会が開催されて、会長の上村春樹を始めとした理事23名(6月に新しく就任した6名を除く)と監事3名の計26名が、一連の不祥事の責任を取って21日付けで辞任届けを提出することになった。また、新理事候補として宗岡正二と近石康宏を21日の臨時評議員会に推薦することになった。その後の新理事会における互選を経て、宗岡が新会長、近石が専務理事に就任する運びとなった。理事を辞任する山下泰裕も臨時評議員会で理事に再任された後に副会長に就任する見通しとなった。理事会後の記者会見で辞任することになった上村は、「一生懸命に改革、改善に取り組んだつもりだが、残念ながらスピード感がなかったのが一番の問題。私の判断も少し甘かった」、「日本の柔道界は世界から尊敬され認められるところであってほしい」と述べた。山下は「極めて残念。自分がいかに無力だったか、ということを感じている」とコメントした<ref>[http://www.yomiuri.co.jp/sports/news/20130814-OYT1T01068.htm 全柔連理事23人ら21日総辞職…新体制発足へ] [[読売新聞]] 2013年8月14日</ref><ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130814-OHT1T00123.htm 【柔道】全柔連・上村会長ら23理事が辞任] [[スポーツ報知]] 2013年8月14日</ref><ref>[http://www.sanspo.com/sports/news/20130814/jud13081420490002-n1.html 上村会長「日本は尊敬されてほしい」/柔道] [[サンケイスポーツ]] 2013年8月14日</ref>。理事の谷亮子は宗岡らが理事推薦に決まったことに「信頼の厚い方々。速やかに改革が行われると思う」と話した。また、「我々女性理事や外部理事からも新理事の推薦をさせていただきたい」と、新理事の選出にも積極的に関わっていく姿勢を見せたという。さらに、現在59名に上る評議員会の縮小を踏まえた評議員会の規定改定を示唆した<ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_date1&k=2013081400808 谷理事、改革に期待=全柔連] [[時事通信]] 2013年8月14日</ref><ref>[http://mainichi.jp/sponichi/news/20130815spn00m050013000c.html 全柔連:再編へ スリム化&外部有識者のさらなる登用] [[毎日新聞]] 2013年8月15日</ref>。 |
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一方、講道館で開催された世界選手権日本代表選手団の壮行式で上村は、「今、柔道界は大変困難な状況にあるが、日本の柔道界に元気を送るために、自分の目標を達成するために精いっぱい頑張っていただきたい」と語りかけた<ref>[http://mainichi.jp/sports/news/20130815k0000m050078000c.html 世界柔道:再出発のきっかけに…壮行式で幹部] [[毎日新聞]] 2013年8月14日</ref>。 |
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加えて、臨時理事会において全柔連は、「暴力の根絶プロジェクト」が提出した「暴力行為根絶宣言」を承認した。宣言は「全柔道人の総意」として、「暴力は人間の尊厳を否定する卑劣な行為であり、柔道において決して許されない」とした上で、「指導者は、すべての暴力行為が人権の侵害であることを自覚し、暴力行為が指導における必要悪という誤った考えを捨て去る。柔道を行うすべての者は、いかなる暴力行為も行わず、黙認せず、柔道の場からあらゆる暴力行為の根絶に努める」と言った内容が盛り込まれることになった<ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_date1&k=2013081400845 「暴力行為根絶宣言」を承認=全柔連] [[時事通信]] 2013年8月14日</ref><ref>[http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130814/k10013781951000.html 全柔連「暴力行為根絶宣言」を承認] [[NHK]] 2013年8月14日</ref>。 |
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8月19日に上村は23日にリオデジャネイロで開催されるIJF理事会には出席せず、代わりに全柔連国際委員長の細川伸二を派遣するとともに、IJF会長に再選される見通しのマリウス・ビゼールによる指名理事留任の申し出も辞退することを明らかにした。上村としては指名理事の後任候補として細川らを送り込めるようにビゼールと交渉しているものの、受け入れられるのは難しいと語っており、これで日本からの理事が不在になる公算が大きくなった。その一方で、直接事情を説明するために、事務局長を辞職することになった村上清を伴ってリオデジャネイロまで赴く話も出ている。また、9月に[[ブエノスアイレス]]で開催される[[2020年夏季オリンピック]]開催都市を決定するIOC総会には、東京招致のためのロビー活動の一員に加わる可能性があるという。複数のIOC委員に顔が利くと言われるビゼールに東京招致を働きかけるためだという。全柔連会長に就任予定の宗岡は、全柔連の活動に上村を一切関わらせない方針にあるが、国際関係を盾にこのような動きを見せることで上村が影響力を残そうとする見方も出ている<ref>[http://mainichi.jp/sports/news/20130820k0000m050090000c.html 柔道:IJF総会へ細川氏を代理派遣へ 全柔連会長が意向] [[毎日新聞]] 2013年8月20日</ref><ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/08/21/kiji/K20130821006457800.html “新たな火種”上村会長 村上事務局長伴い渡欧も] [[スポーツニッポン]] 2013年8月21日</ref><ref>[http://sankei.jp.msn.com/sports/news/130821/mrt13082111170000-n1.htm 全柔連新体制に“上村会長の影” 五輪招致、集票力でロビー活動の可能性] [[MSN|MSN産経ニュース]] 2013年8月21日</ref>。 |
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=== 新体制発足へ === |
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8月21日には臨時理事会が開催されて、全柔連会長の上村春樹ら執行部を含めた理事23名と監事3名の計26名が総辞職した。また、理事会では新日鉄住金会長兼最高経営責任者の宗岡正二やトヨタ自動車顧問の近石康宏ら21名が新理事候補として推薦された<ref>[http://sankei.jp.msn.com/sports/news/130821/mrt13082112440001-n1.htm 全柔連、宗岡体制へ 山下氏が副会長、山口香氏は監事に 上村会長ら辞任] [[MSN|MSN産経ニュース]] 2013年8月21日</ref>。 |
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続く臨時評議員会で宗岡ら21名が新理事として承認された。他に定款の見直しも行われて、評議員定数を現行の「50人以上70人以内」から「30人以上60人以内」に改めることも決めた。さらに、評議員の了徳寺健二は評議員もまた一連の問題に関して責任を有しているとして全員の辞職を求めたものの、その点については結論に至らなかった。 |
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その後、新たに開かれた理事会において、理事の互選により正式に宗岡が全柔連の新会長に就任することになった。外部から招聘された初めての会長となった宗岡の任期は来年の6月までとなる。専務理事には同じく外部から招聘された近石、副会長には理事再任となる山下泰裕、事務局長には同じく理事再任となる宇野博昌がそれぞれ選出された。これにより、新理事は6月に選出された6名を含めて27名となった。 |
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今回は山下や宇野の他に、細川伸二やIJF審判委員を務める[[川口孝夫]]ら7名が理事再任となる一方で、元[[広島高等検察庁|広島高検]]検事長の梶木寿や、早稲田大学教授の友添秀則、かつて世界選手権で4連覇を達成した[[藤猪省太]]ら14名が新任理事として選出された。また、理事の業務遂行状況を監督する監事には強化委員の山口香ら3名が選ばれた。斉藤仁は理事に再任されず強化委員長に専念することとなった。了徳寺は評議員を今月中に辞する意向を示した。 |
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加えて、新たに専務理事となった近石を委員長とする7名のメンバーからなる、評議員会や理事会などの組織改革を目的とした「改革委員会」が設置されて、ガバナンスの再構築に取り組むこととなった。<ref>[http://sankei.jp.msn.com/sports/news/130821/mrt13082112440001-n1.htm 全柔連、宗岡体制へ 山下氏が副会長、山口香氏は監事に 上村会長ら辞任] [[MSN|MSN産経ニュース]] 2013年8月21日</ref><ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013082100701 宗岡氏が全柔連新会長=副会長は山下氏-再建へ新体制発足] [[時事通信]] 2013年8月21日</ref><ref>[http://www.nikkansports.com/sports/news/f-sp-tp0-20130821-1176570.html 全柔連、宗岡新体制誕生] [[日刊スポーツ]] 2013年8月21日</ref><ref>[http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130821/k10013932441000.html 全柔連新会長に宗岡正二氏就任] [[NHK]] 2013年8月21日</ref>。 |
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新会長となった宗岡は記者会見で「柔道に育てられた者の恩返しとして、火中のクリを拾う決意をした。変えねばならないものは徹底的に改革する」「全柔連のガバナンス(組織の統治)や不祥事の問題をきっちり立て直して軌道に乗せ、一日も早く国民の信頼を取り戻したい」と決意を語るとともに、「軌道に乗ったと確認できたら、職を辞して若い有為な人に任せたい」とも述べて、改革のメドが付けば一期限りで会長職を退く可能性も示唆した。副会長となった山下は「一日も早く信頼を取り戻せるよう、全力でやっていきたい」、監事に登用された山口は「監事は外から評価する立場。これまでも比較的、思うところを述べてきたつもりではいるが、これまで以上に、中の人間では指摘しづらいこともきちんと発言していきたい」とそれぞれ語った。 |
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一方、会長職を辞した上村は、一連の不祥事に関して謝罪しつつも、自身の業績を列挙して、「まだまだ未熟だが、自分なりにいい仕事ができたと思う。違った角度から柔道を支えたい」と話した<ref>[http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG21030_R20C13A8CR8000/ 全柔連・宗岡新会長が就任 「火中のクリ拾う決意」] [[日本経済新聞]] 2013年8月21日</ref><ref>[http://mainichi.jp/sports/news/20130822k0000m050055000c.html 全柔連:宗岡新体制が発足 副会長に山下氏] [[毎日新聞]] 2013年8月21日</ref><ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013082100879 信頼回復へ「全力で」=全柔連・山下副会長] [[時事通信]] 2013年8月21日</ref><ref>[http://mainichi.jp/sports/news/20130822k0000m050057000c.html 全柔連:監事就任の山口香氏「もの申していく」] [[毎日新聞]] 2013年8月21日</ref><ref>[http://sankei.jp.msn.com/sports/news/130821/mrt13082121410007-n1.htm 上村氏「自分なりにいい仕事ができたと思う」] [[MSN|MSN産経ニュース]] 2013年8月21日</ref>。 |
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またこの日に事務局長の宇野博昌は、秘匿していた新会長を選出するための「新体制検討チーム」のメンバーが、理事の山下泰裕と橋本聖子、前監事の三宅雄一郎及び宇野自身の4名の陣容であったことを明らかにした<ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013082100891 新会長検討チームは山下氏ら=全柔連] [[時事通信]] 2013年8月21日</ref>。 |
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== この問題に対する各界の反応 == |
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2013年1月31日に[[文部科学大臣]]である下村博文は、一連の事態は監督辞任で済むような問題ではないと、JOC会長である[[竹田恒和]]にこの問題の再調査を含めた全容解明を求めた<ref>[http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00239680.html 女子柔道暴力告発問題 園田監督の進退伺は1日か2日に受け取り] [[FNN]] 2013年1月31日</ref><ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/02/02/kiji/K20130202005105810.html 文科相、実態解明求める 監督辞任で「済む話ではない」] [[スポーツニッポン]] 2013年2月2日</ref>。さらに、この事態が「日本のスポーツ史上最大の危機」であるとの認識も合わせて示した<ref>[http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG05026_V00C13A2CC0000/ 文科相「スポーツ史上最大の危機」 暴力根絶へメッセージ] [[日本経済新聞]] 2013年2月5日</ref>。[[自民党]]スポーツ立国調査会会長である[[遠藤利明]]は再発防止のための第三者機関設置を求める法改正を進める意向を明らかにした<ref name="mrt13020519360007" />。 |
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また、今回の件を受けてJOCは、2月1日に英文で「スポーツにおいて暴力はあってはならず、五輪運動の価値に反する」といった暴力撲滅を訴える内容の声明を世界の主要メディアに発信した。さらに、国際オリンピック委員会もこれを受けて、「JOCがこの問題で効果的な対応をするものと確信している」と述べた<ref>[http://sankei.jp.msn.com/sports/news/130202/oth13020210180003-n1.htm JOCの効果的な対応を確信 IOCが見解] [[MSN|MSN産経ニュース]] 2013年2月2日</ref>。 |
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さらにJOCは、夏季及び冬季五輪加盟競技31団体の強化責任者から暴力やパワーハラスメント、[[セクシャルハラスメント]]がなかったかの聞き取り調査を行った結果、一切ないとの回答を得たという<ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/02/12/kiji/K20130212005181630.html JOCパワハラ調査 31団体「一切ない」] [[日刊スポーツ]] 2013年2月8日</ref>。しかし、[[共同通信社]]によるオリンピック競技種目の責任者へのアンケート調査によると、柔道以外に2つの競技団体で暴力行為の存在を認める回答があったという<ref>[http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp201302110043.html 柔道以外に五輪2競技で暴力 共同通信アンケート] [[中国新聞]] 2013年2月11日</ref>。 |
さらにJOCは、夏季及び冬季五輪加盟競技31団体の強化責任者から暴力やパワーハラスメント、[[セクシャルハラスメント]]がなかったかの聞き取り調査を行った結果、一切ないとの回答を得たという<ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/02/12/kiji/K20130212005181630.html JOCパワハラ調査 31団体「一切ない」] [[日刊スポーツ]] 2013年2月8日</ref>。しかし、[[共同通信社]]によるオリンピック競技種目の責任者へのアンケート調査によると、柔道以外に2つの競技団体で暴力行為の存在を認める回答があったという<ref>[http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp201302110043.html 柔道以外に五輪2競技で暴力 共同通信アンケート] [[中国新聞]] 2013年2月11日</ref>。 |
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2月7日に[[日本体育協会]]は116の加盟団体に対して、暴力の根絶に務めるようにとの通達を発した<ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013020700971 日体協、暴力根絶求める=女子柔道監督の暴力問題] [[時事通信]] 2013年2月7日</ref>。 |
2月7日に[[日本体育協会]]は116の加盟団体に対して、暴力の根絶に務めるようにとの通達を発した<ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013020700971 日体協、暴力根絶求める=女子柔道監督の暴力問題] [[時事通信]] 2013年2月7日</ref>。 |
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2月12日に |
2月12日に日本スポーツ仲裁機構は今回の件を受けて、スポーツ界における不祥事の調査や摘発を行うための「調査摘発部」を新設する意向を明らかにした<ref>[http://www.nikkansports.com/sports/news/f-sp-tp0-20130208-1082641.html 調査摘発部の新設検討 日本スポーツ仲裁機構] [[スポーツニッポン]] 2013年2月12日</ref>。 |
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2月13日にJOCは「スポーツ団体マネジメントセミナー」を開催して、今回の問題を題材にしながら、コンプライアンス(法令順守)の重要性を学習することになった<ref>[http://www.jiji.com/jc/zc?k=201302/2013021300870 JOCが法令順守のセミナー=「教材」に柔道暴力問題] [[時事通信]] 2013年2月13日</ref>。 |
2月13日にJOCは「スポーツ団体マネジメントセミナー」を開催して、今回の問題を題材にしながら、コンプライアンス(法令順守)の重要性を学習することになった<ref>[http://www.jiji.com/jc/zc?k=201302/2013021300870 JOCが法令順守のセミナー=「教材」に柔道暴力問題] [[時事通信]] 2013年2月13日</ref>。 |
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2月21日には自民党や[[公明党]]、[[民主党]]、[[日本維新の会]]などの超党派の議員で構成されるスポーツ議員連盟の総会において、暴力を受けた被害選手の相談窓口の開設や調査のための第三者機関の設置を盛り込んだ「日本スポーツ振興センター法改正案」が了承された<ref>[http://sankei.jp.msn.com/sports/news/130221/oth13022120440012-n1.htm 再発防止へ第三者機関 “駆け込み寺”整備議連 今国会法改正へ] [[MSN|MSN産経ニュース]] 2013年2月21日</ref>。27日には政府・与党によって同改正案が了承されることになった<ref>[http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130227/stt13022721180008-n1.htm 第三者機関の設置了承 柔道女子日本代表暴力問題で与党] [[MSN|MSN産経ニュース]] 2013年2月27日</ref>。 |
2月21日には自民党や[[公明党]]、[[民主党 (日本 1998-)|民主党]]、[[日本維新の会]]などの超党派の議員で構成されるスポーツ議員連盟の総会において、暴力を受けた被害選手の相談窓口の開設や調査のための第三者機関の設置を盛り込んだ「日本スポーツ振興センター法改正案」が了承された<ref>[http://sankei.jp.msn.com/sports/news/130221/oth13022120440012-n1.htm 再発防止へ第三者機関 “駆け込み寺”整備議連 今国会法改正へ] [[MSN|MSN産経ニュース]] 2013年2月21日</ref>。27日には政府・与党によって同改正案が了承されることになった<ref>[http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130227/stt13022721180008-n1.htm 第三者機関の設置了承 柔道女子日本代表暴力問題で与党] [[MSN|MSN産経ニュース]] 2013年2月27日</ref>。 |
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2月22日に |
2月22日にフジテレビ社長の[[豊田皓]]は定例記者会見において、告発選手によって批判されたロンドンオリンピック代表選手発表会見での見世物のような中継方法に関して、「配慮が足りなかった。代表で出る人と出られない人が一緒にされ、テレビに映されるのが嫌な気持ちは重々分かる」と釈明した。また、発表会見に集められた選手の人選や場所は全柔連が決めたものの、中継方法に関してはフジテレビと全柔連の話し合いによって決まったという<ref>[http://www.sponichi.co.jp/society/news/2013/02/23/kiji/K20130223005256410.html 「配慮足りない」とフジテレビ社長 昨年の柔道五輪代表発表中継で] [[スポーツニッポン]] 2013年2月25日</ref>。 |
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2月26日にJOCは[[アメリカオリンピック委員会]]の「Safe Sport」制度を参考に、選手から競技団体に告発がなされた場合に、当事者同士の匿名性を維持した状態で、第三者の法律専門家などに調査を委託して問題を速やかに解決する第三者機関の設置を提案した<ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013022601049 第三者機関設置を提案へ=米国五輪委を参考に-柔道暴力問題で] [[時事通信]] 2013年2月26日</ref>。さらに、JOCと全柔連にそれぞれ独立してこの通報機関を設置することをあきらかにした<ref>[http://www.nikkansports.com/sports/news/f-sp-tp0-20130312-1096839.html 暴力指導問題で「通報機関」設置提案へ] [[日刊スポーツ]] 2013年3月12日</ref>。 |
2月26日にJOCは[[アメリカオリンピック委員会]]の「Safe Sport」制度を参考に、選手から競技団体に告発がなされた場合に、当事者同士の匿名性を維持した状態で、第三者の法律専門家などに調査を委託して問題を速やかに解決する第三者機関の設置を提案した<ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013022601049 第三者機関設置を提案へ=米国五輪委を参考に-柔道暴力問題で] [[時事通信]] 2013年2月26日</ref>。さらに、JOCと全柔連にそれぞれ独立してこの通報機関を設置することをあきらかにした<ref>[http://www.nikkansports.com/sports/news/f-sp-tp0-20130312-1096839.html 暴力指導問題で「通報機関」設置提案へ] [[日刊スポーツ]] 2013年3月12日</ref>。 |
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3月19日にJOCは「競技活動の場におけるパワハラ、セクハラ等に関する調査」のアンケート結果を公表した。選手1798名、指導者1457名の計3255名の回答のうち、選手の11.5%にあたる206名が暴力行為を含めたパワハラやセクハラを受けたことがあると回答した。さらに、指導者の3%にあたる43名がパワハラやセクハラを行ったことがあると回答した。指導者の29.1%は何らかの形で暴力行為を認識していたことも確認された。一方、そのような行為を「見たことも噂に聞いたこともない」と回答した者は74.5%に上った<ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130319-OHT1T00074.htm JOC加盟団体11・5%の選手がパワハラ、セクハラを経験] [[スポーツ報知]] 2013年3月19日</ref><ref>[http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG1903V_Z10C13A3CR8000/ 選手の1割、パワハラ・セクハラ「受けた」 JOC調査] [[日本経済新聞]] 2013年3月19日</ref>。 |
3月19日にJOCは「競技活動の場におけるパワハラ、セクハラ等に関する調査」のアンケート結果を公表した。選手1798名、指導者1457名の計3255名の回答のうち、選手の11.5%にあたる206名が暴力行為を含めたパワハラやセクハラを受けたことがあると回答した。さらに、指導者の3%にあたる43名がパワハラやセクハラを行ったことがあると回答した。指導者の29.1%は何らかの形で暴力行為を認識していたことも確認された。一方、そのような行為を「見たことも噂に聞いたこともない」と回答した者は74.5%に上った<ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130319-OHT1T00074.htm JOC加盟団体11・5%の選手がパワハラ、セクハラを経験] [[スポーツ報知]] 2013年3月19日</ref><ref>[http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG1903V_Z10C13A3CR8000/ 選手の1割、パワハラ・セクハラ「受けた」 JOC調査] [[日本経済新聞]] 2013年3月19日</ref>。 |
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3月20日にJOCはパワハラやセクハラ問題に対応するための「通報相談窓口」を都内の弁護士事務所に設置して業務を開始することになった。弁護士が調査を担当して、不当行為が明確になった場合はJOCが対応することにな |
3月20日にJOCはパワハラやセクハラ問題に対応するための「通報相談窓口」を都内の弁護士事務所に設置して業務を開始することになった。弁護士が調査を担当して、不当行為が明確になった場合はJOCが対応することになった<ref>[http://sankei.jp.msn.com/sports/news/130319/oth13031922120022-n1.htm 弁護士事務所に通報窓口 JOC、20日からスタート] [[MSN|MSN産経ニュース]] 2013年3月19日</ref>。 |
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3月22日に文部科学省はこの問題を受けて、暴力を用いない科学的見地に則ったトレーニング方法や、指導力向上などを含めたトップレベルのスポーツ選手の育成方法を検討するための有識者会議を発足する意向をあきらかにした<ref>{{Cite news |title=暴力問題など受け新たな有識者会議 |url=http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130322/k10013370901000.html |date=2013-03-22 |newspaper=NHKニュース |publisher=日本放送協会 |accessdate=2013-03-26 |archiveurl=http://megalodon.jp/2013-0326-2019-42/www3.nhk.or.jp/news/html/20130322/k10013370901000.html |archivedate=2013-03-26}}</ref>。 |
3月22日に文部科学省はこの問題を受けて、暴力を用いない科学的見地に則ったトレーニング方法や、指導力向上などを含めたトップレベルのスポーツ選手の育成方法を検討するための有識者会議を発足する意向をあきらかにした<ref>{{Cite news |title=暴力問題など受け新たな有識者会議 |url=http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130322/k10013370901000.html |date=2013-03-22 |newspaper=NHKニュース |publisher=日本放送協会 |accessdate=2013-03-26 |archiveurl=http://megalodon.jp/2013-0326-2019-42/www3.nhk.or.jp/news/html/20130322/k10013370901000.html |archivedate=2013-03-26}}</ref>。 |
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3月28日にはJOCの女性スポーツフォーラムが「指導者と選手の間のコミュニケーション」というテーマの下で開かれて、JOC女性スポーツ専門部会部部会長でもある山口香が「(円滑なコミュニケーションのためには)指導者も選手も双方向から意識を変えていくことが必要」との意見を述べた<ref>[http://sankei.jp.msn.com/sports/news/130328/oth13032818440008-n1.htm 選手指導で意見交換 女性フォーラム] [[MSN|MSN産経ニュース]] 2013年3月28日</ref>>。 |
3月28日にはJOCの女性スポーツフォーラムが「指導者と選手の間のコミュニケーション」というテーマの下で開かれて、JOC女性スポーツ専門部会部部会長でもある山口香が「(円滑なコミュニケーションのためには)指導者も選手も双方向から意識を変えていくことが必要」との意見を述べた<ref>[http://sankei.jp.msn.com/sports/news/130328/oth13032818440008-n1.htm 選手指導で意見交換 女性フォーラム] [[MSN|MSN産経ニュース]] 2013年3月28日</ref>>。 |
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4月12日に文部科学省はスポーツ指導の実績がある研究者6名のメンバーから成る「スポーツ指導者の資質能力向上のための有識者会議」の初会合を持った。この会合に出席した文部科学大臣の下村博文は「わが国のスポーツ史上最大の危機。暴力一掃のきっかけとなる議論をお願いする」と発言した。この会議では暴力に頼らないスポーツ指導者のあり方を検討して6月に報告書を提出することになるという<ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013041200907 暴力一掃へ初会合=文科省の有識者会議] [[時事通信]] 2013年4月12日</ref><ref>[http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG1203T_S3A410C1CR8000/ スポーツ指導者育成で初会合 文科省有識者会議] [[日本経済新聞]] 2013年4月12日</ref>。 |
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4月16日にJOCは加盟団体に不祥事があった場合、JOCが事務所への立ち入り調査や帳簿の閲覧等の権利を行使する調査権を明文化した、加盟団体規定の改定を行うことに決めた。さらに加盟団体に定期的な資格認定の更新手続きを義務付ける方針だともいう。また、JOCが3月20日から強化指定選手やスタッフを対象に始めた通報相談窓口には5件の相談が寄せられて、その内の1件は継続調査を要することが報告された<ref>[http://www.nikkansports.com/sports/news/p-sp-tp0-20130417-1113511.html JOC職員に不祥事調査権] [[日刊スポーツ]] 2013年4月17日</ref><ref>[http://mainichi.jp/sports/news/20130417k0000m050068000c.html JOC:「調査権」明文化へ 加盟団体規定に] [[毎日新聞]] 2013年4月17日</ref>。 |
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4月23日には[[参議院]]の[[予算委員会]]で、元[[総務大臣]]で日本維新の会の[[片山虎之助]]が、柔道界における一連の不祥事に関連して大改革の必要性を首相の安倍晋三に問い質すと、「柔道は一般スポーツと違う。ただ勝てばいいというものではない」「礼に始まり礼に終わるという武道の神髄を究めることこそ、全柔連に課せられた使命」にもかかわらず、かくの如き事態となった現状は「極めて残念。青少年に悪い影響を与える」との認識を示して、組織改革の徹底を求めた。文部科学大臣の下村博文も「自浄作用を発揮して立ち直ってもらいたいし、文科省としても監督していく」と述べた。柔道界の不祥事が国会の場でも取り上げられたことに関して全柔連会長の上村春樹は「はなはだ不名誉なこと」とコメントした<ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20130423-OHT1T00211.htm 安倍首相、全柔連に改革厳命「武道の神髄を究めるのが使命」] [[スポーツ報知]] 2013年4月23日</ref><ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/04/24/kiji/K20130424005671540.html 安倍首相「残念」全柔連不祥事、国会で取り上げられる] [[スポーツニッポン]] 2013年4月24日</ref>。 |
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4月25日には「スポーツ界における暴力行為根絶に向けた集い」において、日本体育協会、JOC、日本障害者スポーツ協会、全国高等学校体育連盟、日本中学校体育連盟が合同で「暴力行為根絶宣言」を採択した。宣言では「暴力は人間の尊厳を否定し、指導者とスポーツを行う者の信頼関係を根こそぎ崩壊させ、スポーツそのものの存立を否定する」「暴力による強制と服従では、優れた競技者は育たない。指導における必要悪との誤った考えを捨て去る」として、今後はスポーツ界におけるいかなる形の暴力も決して認めないことを確認することになった<ref>[http://www.nikkansports.com/sports/news/f-sp-tp0-20130425-1117648.html 必要悪は誤り…暴力行為根絶宣言を採択] [[日刊スポーツ]] 2013年4月25日</ref><ref>[http://mainichi.jp/select/news/20130426k0000m040081000c.html 暴力根絶宣言:体協などスポーツ5団体が採択] [[毎日新聞]] 2013年4月25日</ref>。 |
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また、JOCはこの日に「競技活動の場におけるパワハラ、セクハラ等に関する調査」の最終報告書を公表した。選手と指導者3379名のうち、選手の25.9%にあたる494名、指導者の29%にあたる429名が競技活動の中で暴力を認識していたと回答した。JOC理事の[[福井烈]]は「こういう数字が出たことを重く受け止める。スポーツに携わる一人一人が問題意識を持たないといけない」と述べた<ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013042500913 選手の26%が暴力認識=JOC実施のアンケート] [[時事通信]] 2013年4月25日</ref>。 |
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4月26日には[[参議院]]本会議で、スポーツ指導において選手が暴力を受けた際の相談窓口となり、さらには暴力の実態調査も行えるようになる第三者機関をJSC内に新設するための法改正が可決されることになった<ref>[http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG2601G_W3A420C1CR0000/ 第三者機関で暴力問題に対応 スポーツ指導関連法改正] [[日本経済新聞]] 2013年4月26日</ref>。 |
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5月10日には文部科学省の有識者会議が体罰防止の具体例を示したガイドラインを公表したが、日本体育協会専務理事の岡崎助一が「単純に許される行為、許されない行為に二分できるのか」とグレーゾーンの存在を指摘した。「不必要な身体接触は避けるべき」との提案には、JOC専務理事の市原則之が柔道やレスリングなどでは指導者が体を使って教えるケースが多いことから、「殴るまでに至らない微妙な行為もある。厳しさから強さが生まれることもあり、非常に難しいテーマだ」と疑問を呈することになった<ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130510-OHT1T00115.htm 体罰と激励、線引き課題…文科省有識者会議がガイドライン] [[スポーツニッポン]] 2013年5月10日</ref>。 |
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5月27日には文部科学省の有識者会議が「勝つことのみを重視し過重な練習を強いることがないよう求める」ことを唱えた、体罰やパワハラを防止するための部活動指導のガイドラインを策定して、全国の学校に通知することになった。それによれば、体罰は「子どもの技能向上に役立たない」と強調するとともに、殴る蹴るといったあからさまな暴力行為やパワハラに当たる発言の他に、「長時間にわたる無意味な正座」、「熱中症が予見される状況下で水を飲ませず長時間ランニングさせる」、「柔道で受け身ができないように投げる」などを体罰の具体例として提示した上で、「指導者と生徒との間で信頼関係があれば許されるとの認識は誤り」との見解を示した。一方で、「初心者に受け身を反復させる」「バレーボールで、反復してレシーブさせる」といった指導や、暴力を振るってくる生徒を押さえつける行為などは認められることになった<ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2013052700174 「無意味な正座」は体罰=部活動指導ガイドライン策定-文科省] [[時事通信]] 2013年5月27日</ref><ref>[http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp201305270087.html 勝利至上の部活指導否定 文科省が指針、体罰の具体例も明示] [[中国新聞]] 2013年5月27日</ref>。 |
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6月4日にJOCは加盟団体規定を改訂して、問題を起こした競技団体に的確に対処するため「事務所に立ち入り、活動状況に関する資料を閲覧し、役職員に質問できる」などJOCの調査、監督機能面での権限強化を明文化した。さらに、ガバナンスの確立や代表選手選考の透明化を競技団体に義務付けるとともに、違反した場合は処分の対象とすることも決めた<ref>[http://sankei.jp.msn.com/sports/news/130604/oth13060419560010-n1.htm 調査権を明文化 不祥事対処で権限強化] [[MSN|MSN産経ニュース]] 2013年6月4日</ref><ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013060400918 加盟団体の立ち入り調査明記=補助金の不正処理受け-JOC] [[時事通信]] 2013年6月4日</ref>。 |
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6月10日には文部科学省の有識者会議に、元プロ野球選手である[[桑田真澄]]とオリンピック柔道72kg級銀メダリストである田辺陽子が外部有識者として招かれた。このうち桑田は、小学生の時は練習で毎日のように殴られたと自身が受けた体罰の体験談を語るとともに、「一方的に怒鳴ったり殴ったりするのではなく、選手と一緒に悩み喜ぶ伴走者」こそが理想の指導者であると述べた。また、体罰や長時間練習などで肩や肘を壊して消えていった選手も少なくなかったとして、スポーツ指導のあり方に関しては、「勝利至上主義から人材育成にシフトすることが重要だ」との意見も述べた<ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/06/10/kiji/K20130610005987141.html 桑田氏 文科省有識者会議で語る 指導者は「選手の伴走者」] [[スポーツニッポン]] 2013年6月10日</ref><ref>[http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130610/k10015206151000.html 桑田氏 暴力否定してけが防ぐ環境整備を] [[NHK]] 2013年6月10日</ref>。 |
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6月21日には内閣府の公益認定等委員会が「スポーツ系公益法人のガバナンス(統治)の確立」というテーマでJOCと日本体育協会にヒアリングを行い、加盟競技団体の役員に外部有識者を積極的に登用することを要望した<ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130621-OHT1T00093.htm 【柔道】外部有識者の登用要望] [[スポーツ報知]] 2013年6月21日</ref>。 |
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6月28日には最後となる5回目の有識者会議が開かれて、報告書がまとめられた。それによれば、資格制度を整備して指導者の能力向上を図るとともに、全ての指導者が資格を取得することを求めることになった。暴力を生み出す原因としてスポーツの現場における閉鎖性が指摘されたことから、国や競技団体、大学などが有機的に連携して、改善協議を行うためのコーチング推進コンソーシアムの設立も提言された。加えて、女性コーチの育成や、コーチ以外に選手の相談役を務める人材を配置するメンター制度の創設も提唱された<ref>[http://mainichi.jp/sports/news/20130629k0000m050074000c.html 文科省:有識者会議 スポーツ指導者の学習環境整備求める] [[毎日新聞]] 2013年6月29日</ref>。 |
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7月2日には、有識者会議が先週まとめ上げたスポーツ指導者の質の向上策に関する報告書を、文部科学大臣の下村博文に提出した<ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013070200910 全コーチに指導者資格を=有識者、文科相に提言] [[時事通信]] 2013年7月2日</ref>。 |
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7月4日に日本体育協会の指導者育成専門委員会は、指導現場における暴力問題などを受けて「スポーツ指導者のための倫理ガイドライン」を公表した。選手との良好な関係の構築や指導者の社会的責任などが具体的に言及されることになった。また、指導者による暴力やセクハラ、ケガを押してのプレーの強要などは、指導者が自らの権力に無自覚な時や、過度の勝利至上主義に陥った場合に起きやすいスポーツ医科学的根拠を持たない問題ある言動とみなして、注意を換気することにもなった<ref>[http://sankei.jp.msn.com/sports/news/130604/oth13060419560010-n1.htm 調査権を明文化 不祥事対処で権限強化] [[MSN|MSN産経ニュース]] 2013年7月4日</ref><ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013070400872 指導者倫理指針を策定=日体協] [[時事通信]] 2013年7月4日</ref>。 |
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7月30日には全柔連会長の上村春樹が8月中にも辞職することを表明したことを受けて、JOC会長の竹田恒和は「一刻も早く新たな体制を整えて改革を進め、公益法人としての社会的責任を果たすべく、信頼される全柔連を再構築するよう期待したい」、専務理事の青木剛は「スポーツ界のガバナンス(統治)とコンプライアンス(法令順守)が問われている」とそれぞれ見解を示した<ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130730-OHT1T00119.htm JOC・竹田会長「信頼される全柔連再構築を」] [[スポーツ報知]] 2013年7月30日</ref>。 |
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8月9日には日本体育協会が全柔連に対して勧告処分を下すとともに、9月30日までに改善計画書を提出して、その後3ヶ月ごとに経過報告を義務付けることを指示した。勧告内容としては、スポーツの文化的価値や組織としての倫理観を再認識し、ガバナンス(統治)の改善・改革を図ること、女子柔道の暴力問題を受けて指導者資格制度の確立を来たすこと、日本体育協会が実施する「公認スポーツ指導者制度」へ参画することの3点を挙げた。これに対して全柔連会長の上村は、「ご迷惑をお掛けして申し訳ない。改革、改善はきちんとやっていく」とコメントした<ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013080900794 全柔連を勧告処分=改善計画書の提出求める-日体協] [[時事通信]] 2013年8月9日</ref><ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130809-OHT1T00104.htm 【柔道】日本体協、全柔連に勧告処分] [[スポーツ報知]] 2013年8月9日</ref>。 |
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8月20日には日本スポーツ振興センター内に、暴力指導への通報や相談を受け付ける第三者機関が設置されることが決まった。また、その機関の在り方をを検討する「実践調査研究協力者会議」が、[[陸上競技]]の[[ハードル]]選手として活躍していた[[為末大]]や、[[競泳]]の[[背泳ぎ]]200mでアテネ及び北京オリンピックの銅メダリストになった中村礼子といった元選手、さらには日本スポーツ仲裁機構の機構長である道垣内正人や早稲田大学教授の友添秀則などをメンバーとして、調査方法や処分案などの仕組みを9月2日の会合で議論することになった。当面はオリンピック強化指定選手のみが対象となる。将来的にこの機関は暴力指導に限定せず、セクハラや組織の内紛といったスポーツ界の不祥事全般に対応することを視野に入れているという<ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130820-OHT1T00111.htm 選手の通報・相談窓口になる第三者機関が9月に初会合] [[スポーツ報知]] 2013年8月20日</ref>。 |
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== 全柔連理事による猥褻行為 == |
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=== 猥褻行為の告発=== |
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2013年5月23日には静岡文化芸術大学准教授の溝口紀子が、都内で開催された日本スポーツ法学会のシンポジウムにおいて、代表チーム監督らによる暴力指導を告発した女子15選手に続く「16人目の告発選手が出ました」と発言して、現職の全柔連理事による猥褻行為の存在を明らかにした。それによれば、強化指定選手ではないものの全国大会に出場経験のある30代の女性が、2011年12月に開催された柔道大会の打ち上げの飲み会後に、都内の地下鉄駅構内にあるエレベーターの中で70代の全柔連理事と2人きりになった際に、無理やり抱きつかれたりキスをされるなどしたという。これに驚いた女子選手がトイレに駆け込み携帯電話で友人に助けを求めると、トイレ前で理事が「出てこい」と叫ぶなどしたので、迎えに来た友人とともに交番に駆けつけた。しかし、監視カメラなどの証拠映像がなかったので被害届けを出すことはなかった<ref>[http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130523-OYT1T01193.htm 全柔連理事、元女子選手を無理やり触った疑い] [[読売新聞]] 2013年5月23日</ref>。また、以前からこの理事に何度かセクハラに近い行為を受けていたともいう<ref>[http://gendai.net/articles/view/sports/142538 エレベーターの中で抱きつき、キスを迫るだけじゃない] [[日刊ゲンダイ]] 2013年5月25日</ref>。 |
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その後、この女性は該当理事から擦れ違いざまの謝罪は受けたものの誠意を感じられなかったので、正式な謝罪や理事職の辞職を求めて全柔連の別の理事に相談を持ちかけた。しかし、これといった進展が見られなかったために、「暴力の根絶プロジェクト」でセクハラ問題も議題に上がったことを知り、この問題の部会長である北田典子経由で溝口に相談を持ちかけた。女性は今なお精神科の通院治療を受けているという。この女性の弁護士である境田正樹によれば、この理事は今回の告発1ヶ月前に「やって(訴えて)も無理だよ」と女性に話しかけてきたともいう。続けて、この理事の辞任を求めて今後全柔連と交渉することになるが、今回の一件は強制わいせつに相当するので刑事事件になってもおかしくないと語った。一方、全柔連広報委員長である宇野博昌は、事態の把握に努めていると述べた。会長の上村春樹や副会長の藤田弘明などの執行部もこの一件については何も知らなかったという<ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130523-OHT1T00219.htm 【柔道】全柔連70代理事、エレベーターで抱きつく、キス迫る] [[スポーツ報知]] 2013年5月23日</ref><ref>[http://www.nikkansports.com/sports/news/p-sp-tp0-20130524-1132044.html 全柔連執行部、セクハラ問題「知らない」] [[日刊スポーツ]] 2013年5月24日</ref><ref>[http://www.nikkansports.com/sports/news/p-sp-tp0-20130524-1132045.html 全柔連理事わいせつ疑惑 キス迫るも不問] [[日刊スポーツ]] 2013年5月24日</ref>。 |
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5月24日に全柔連は、専務理事の小野沢弘史を責任者とする特別調査チームを立ち上げて、この問題の調査に当たると発表した。 |
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続けて広報委員長の宇野は、女性が相談を持ちかけたという別の理事の存在に関して、調べた限りでは見当たらないと語った<ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013052400396 全柔連、調査チーム立ち上げ=理事のわいせつ行為] [[時事通信]] 2013年5月24日</ref>。 |
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加えて、調査チームのメンバーで「暴力の根絶プロジェクト」セクハラ根絶部会の責任者でもある北田典子は、溝口が被害女性を現役選手と発表したが、実際は理事と同じ職場の職員であり、猥褻行為が複数回あったとの言及に対しても1回だけの行為であったと否定した。さらに女性が別の理事に相談を持ちかけた事実も存在しないと指摘して、「溝口さんに“指導”ですね」と溝口の誇張めいた発言の数々に苦言を呈した。この点に関しては溝口も「すいませんでした」とメールで返答してきたという<ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/05/25/kiji/K20130525005873810.html 被害女性は選手じゃなかった 溝口氏が騒動肥大化狙った?] [[日刊スポーツ]] 2013年5月24日</ref>。これに対して溝口は、被害女性を選手と紹介したのは女性が職員であると同時に選手でもあり、本人が選手という肩書きに同意したので用いたまでのこと、女性が全柔連及び東京都柔道連盟の役員を兼任する人物には相談を持ちかけていたこと、セクハラではないものの、今年4月になって女性がこの理事と業務上の同行を求められたことで精神的に不安定に陥ったこと、北田にメールで謝罪したのは北田の同意を得ずにシンポジウムで猥褻行為の存在を公表したことだとの反論を行った<ref>[http://gendai.net/articles/view/sports/142612 全柔連幹部のセクハラ事件を暴露した バルセロナ五輪銀メダル溝口紀子氏が反論] [[日刊ゲンダイ]] 2013年6月1日</ref>。 |
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===理事辞任表明 === |
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この一方で当該理事は、「事実です。後悔しているし、相手には大変申し訳なく思っています」と猥褻行為を認めて、全柔連理事及び兼任する東京都柔道連盟会長を辞職する考えを示した。理事によれば、被害女性は職場の部下であると同時に柔道の「形」競技の選手でもあるが、所謂試合をする選手ではないという。続けて、当日は都柔連の行事後に[[春日駅 (東京都)|春日駅]]近くの居酒屋でたまたまその女性と遭遇すると、女性の友人を含めた3名で[[都営三田線]]に乗車して、[[巣鴨]]にあるすし屋に立ち寄って飲食した。その後、「[[巣鴨駅]]構内にある地下鉄のエレベーターに2人で乗ったこと」、「[[高島平駅]]の女子トイレ前で女性を待っていたこと」、「駅近くの交番でタクシーに乗って警察官に送られる女性を見たこと」まではおぼろげに覚えているという。しかし、かなり酔っていたので具体的な行為まではよく覚えていないものの、女性にキスをしようとしたことは認めた<ref>[http://www.nikkansports.com/sports/news/p-sp-tp0-20130525-1132564.html 全柔連76歳福田理事 セクハラ認める] [[日刊スポーツ]] 2013年5月25日</ref>。 |
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それに対して、「巣鴨駅構内のエレベーターで理事が被害女性を壁に押し付けてキスを1分近く強引に続けたので地下鉄に乗って逃げた。すると、理事も追いかけてきたので次の駅で降りてトイレに駆け込み携帯電話で友人に助けを求めると、理事がトイレのドアを叩いて大声で「出て来い」と叫び、女性を引きずり出そうとして揉み合いになった。友人が到着したのでトイレを出て逃げようと、駅の階段を上った際に転倒して頭を強く打ったりもした。その後女性は何とかタクシーに乗って逃げると、この理事が別のタクシーに乗って執拗に追いかけてきたので、女性のタクシーが交番近くに停車すると、追いついた理事が女性の乗ったタクシーの窓を激しく叩いて、女性の腕を掴みタクシーから引き摺り下ろそうとした。そこに警官が駆けつけて理事に事情を聞くと、「具合が悪そうだったから、介抱しようとしただけだ」などと弁明して立ち去った。」との話も出ている<ref>[http://www.j-cast.com/tv/2013/05/27175898.html 全柔連理事「女子選手セクハラ狼藉」もう犯罪!トイレまで追いかけキス強要] [[ジェイ・キャスト|J-CAST]] 2013年5月27日</ref><ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20130619-OHT1T00049.htm 警視庁、全柔連前理事の強制わいせつ容疑ですでに捜査着手] [[スポーツ報知]] 2013年6月19日</ref>。 |
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理事は3日後になって被害女性を含めた女性職員3人の前で「5分から10分ぐらい、相当丁寧に」謝罪をすると女性もうなずいたので、それで相手も了承してくれたものだとばかり思っていたという。しかし、今頃になって表面化したのは不思議なことだと述べるとともに、結果として被害女性とは性格が合わなかったとの認識を示した<ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130524-OHT1T00250.htm 【柔道】全柔連セクハラ理事「相当丁寧に」被害者に謝罪] [[スポーツ報知]] 2013年5月24日</ref><ref>[http://mainichi.jp/sports/news/20130524k0000e050258000c.html 全柔連:理事、辞任へ 「酔ってセクハラ」認める] [[毎日新聞]] 2013年5月24日</ref><ref>[http://www.j-cast.com/tv/2013/05/27175901.html http://www.j-cast.com/tv/2013/05/27175901.html] [[ジェイ・キャスト|J-CAST]] 2013年5月27日</ref>。 |
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全柔連会長の上村は大学の先輩でもあるこの理事の辞任に関して、「おやめになるのであれば残念なこと。以上!」と述べるにとどまった<ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130524-OHT1T00248.htm 【柔道】全柔連セクハラ理事が辞任へ 「暴力」「助成金」に続き今年3人目] [[スポーツ報知]] 2013年5月25日</ref>。 |
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全柔連強化委員である山口香は「今回の1件は言語道断であり、全柔連は理事の辞任を受け入れるのではなくて解任すべき」と発言する一方で、「この件は選手と指導者の関係ではなく、職員と上司の構図。暴力指導など一連の問題とは、性質が違う」とのコメントも付け加えた<ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130524-OHT1T00255.htm 【柔道】山口香氏、全柔連セクハラ理事に「言語道断、解任するべき」] [[スポーツ報知]] 2013年5月25日</ref>。 |
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5月25日に当該理事は東京都柔道連盟会長を辞任した。その際に、「全柔連にも迷惑をかけてしまい、深くおわびしたい。あらゆる処分に従う」、被害女性にも「改めて謝罪したい」と語った。<ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013052500289 福田理事、都連会長辞任=柔道のわいせつ行為] [[時事通信]] 2013年5月25日</ref>。 |
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5月28日には特別調査チームがこの理事に聞き取り調査を行った際に、理事は全柔連理事職の辞表願いも提出したが、一時預かりとなり受理されなかった。またこの日、チームは女性にも聞き取り調査を行った<ref>[http://www.yomiuri.co.jp/sports/news/20130528-OYT1T01040.htm わいせつ行為の理事が辞表、全柔連は一時預かり] [[読売新聞]] 2013年5月27日</ref>。 |
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=== 永久追放=== |
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5月31日には特別調査チームが会合を開き、該当理事を事実上の除名に該当する会員登録の永久停止処分にする案をまとめた。理事はすでに28日に辞表を提出していたものの一時預かりの状態になっていたが、民法における委任契約では理事職の辞表は受け入れざるを得ないことなどから、規定上この日付で退任扱いとすることになった。聞き取り調査では、理事が被害女性に強引にキスを迫った他、逃げる女性をタクシーで追いかけるなど猥褻行為の事実を確認した。「被害者に恐怖を与えたことから、厳しい対応をすべきだ」との認識から、今年2月に第一審において準強姦罪で実刑判決が下された、[[アテネオリンピック]]及び[[北京オリンピック]]66kg級金メダリストである[[内柴正人]]に続いて、全柔連で最も重い処分となる永久停止処分が妥当だと判断されることになった。さらに北田は、「セクハラを根絶するという思いを込め、この決定に至った。セクハラ行為は今後、最低でも期限付きの登録停止になる」ことを明らかにした<ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013053100701 福田理事は永久資格停止へ=調査チームがわいせつ行為認定-全柔連] [[時事通信]] 2013年5月31日</ref><ref>[http://mainichi.jp/select/news/20130601k0000m040030000c.html 全柔連わいせつ問題:辞表提出の理事 「除名」処分へ] [[毎日新聞]] 2013年5月31日</ref><ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130601-OHT1T00014.htm 【柔道】セクハラ理事、全柔連永久追放 内柴被告に次いで2人目] [[スポーツ報知]] 2013年6月1日</ref>。 |
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6月11日の全柔連理事会において、この理事の会員資格を永久停止にすることが承認された<ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130611-OHT1T00141.htm 【柔道】全柔連、暴力根絶案承認] [[スポーツ報知]] 2013年6月11日</ref>。 |
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=== 刑事告訴へ=== |
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6月18日には被害女性が[[巣鴨警察署|巣鴨署]]に被害届けを提出して受理されていたことが明らかになった。当初訴えるつもりはなかったが、テレビや新聞で報じられた前理事の言動を見て全く反省していないのではないかと疑問を抱くようになり、今月に入って理事から示談を打診されるも拒否することになった。被害女性の弁護士である境田は示談を拒否して被害届けを提出した理由について、「(前理事の説明に)事実と異なる部分があったことと、謝罪の意思が感じられなかったことです」と語った。<ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130619-OHT1T00269.htm わいせつ全柔連前理事、示談拒否された!今月打診も元選手「法の裁きを」] [[スポーツ報知]] 2013年6月19日</ref><ref>[http://www.j-cast.com/tv/2013/06/20177633.html 全柔連のわいせつ理事を刑事告訴!元柔道女子選手「ウソついているし反省していない」] [[ジェイ・キャスト|J-CAST]] 2013年6月20日</ref>。 |
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== その他の女子柔道選手に対する体罰 == |
== その他の女子柔道選手に対する体罰 == |
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=== 藤村女子中学のケース=== |
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2013年1月23日にはかつて[[藤村女子中学校・高等学校|藤村女子中学]]の柔道部に所属していた女子生徒が、体罰を受けて重傷を負ったとして約495万円の損害賠償を求めて部の顧問と学校側を提訴していたことが明らかになった。女子生徒によると、2011年3月に練習で馬跳びをしていた際に、顧問に「声が小さい」と鉄棒で背中を数回殴られたうえに、「やる気があるのか」と頬を殴られて左耳の鼓膜が破れるケガを負ったという。さらに同校に在学していた2009年から2011年にかけて、高校生や大学生と乱取り稽古を強いられた際など計3度にわたって右の鎖骨も骨折したと主張している。学校側は訴状内容と事実が異なる点もあり、裁判で明らかにしていくとコメントした<ref>[http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130123-OYT1T00560.htm?from=main7 女子柔道強豪校で体罰受け重傷、元部員が提訴] [[読売新聞]] 2013年1月23日</ref>。 |
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2013年1月23日には、かつて[[藤村女子中学校・高等学校|藤村女子中学]]の柔道部に所属していた女子生徒が、体罰を受けて重傷を負ったとして約495万円の損害賠償を求めて部の顧問と学校側を提訴していたことが明らかになった。女子生徒によると、2011年3月に練習で馬跳びをしていた際に、顧問に「声が小さい」と鉄棒で背中を数回殴られたうえに、「やる気があるのか」と頬を殴られて左耳の鼓膜が破れるケガを負ったという。さらに同校に在学していた2009年から2011年にかけて、高校生や大学生と乱取り稽古を強いられた際など計3度にわたって右の鎖骨も骨折したと主張している。学校側は訴状内容と事実が異なる点もあり、裁判で明らかにしていくとコメントした<ref>[http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130123-OYT1T00560.htm 女子柔道強豪校で体罰受け重傷、元部員が提訴] [[読売新聞]] 2013年1月23日</ref><ref>[http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130123/trl13012312390002-n1.htm 体罰受け重傷と女子高生が提訴 東京・藤村女子中柔道部で] [[MSN|MSN産経ニュース]] 2013年1月23日</ref>。 |
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=== 市立汎愛高校のケース=== |
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2013年2月1日には[[大阪市教育委員会]]が、ロンドンオリンピック78kg超級銀メダリストで元世界チャンピオンでもある[[杉本美香]]の出身校として知られる[[大阪市立汎愛高等学校|市立汎愛高]]で、50代の男性教諭が授業中に女子生徒を平手打ちするなど、体罰を振るっていたことを明らかにした。それによれば、2012年4月に[[和歌山県]]で行われた同校武道科の校外実習において、柔道部員である3年の女子生徒が下級生に[[絞め技]]を掛けた際に、それ以上続けさせるのを制止するため何度も注意したが聞き入れられなかったので、その生徒の頬を2、3発叩いた。両者ともケガはなかったという。その後学校側は生徒の保護者に謝罪して、教育委員会にも事のあらましを報告したものの、担当職員がこの一件を上司に報告せずおなざりになっていたが、2013年に入って匿名の情報提供により問題が発覚することになった。同校からは他にも体罰事案が報告されており、弁護士の外部監察チームが詳しく調査することになった。[[大阪市長]]の[[橋下徹]]は「事実を確認できていないが、放置できる問題ではない」と語ると、教育委員会も「担当職員のミスで体罰への対応が遅れたことは申し訳ない。徹底した調査を行う。教諭の処分も検討する」との見解を示した<ref>[http://www.nikkei.com/article/DGXNASHC0101C_R00C13A2AC1000/ 大阪市立汎愛高、柔道部顧問が体罰 教委が報告後も放置] [[日本経済新聞]] 2013年2月1日</ref><ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/02/01/kiji/K20130201005104181.html 柔道部顧問が授業で体罰 汎愛高 常態化の可能性も 大阪市教委 調査せず] [[スポーツニッポン]] 2013年2月1日</ref><ref>[http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20130201-OYT8T00267.htm 大阪・汎愛高、柔道部顧問が体罰…市教委放置] [[読売新聞]] 2013年2月1日</ref>。 |
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=== 宮崎商業高校のケース=== |
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2013年3月29日に[[宮崎県教育委員会]]は、体罰や暴言を繰り返していたとして、保護者から免職を求める嘆願書も出されていた、[[宮崎県立宮崎商業高等学校|宮崎商業高校]]教諭を懲戒免職処分にしたことを公表した。それによれば、この教諭はインターハイや[[全国高等学校柔道選手権大会|全国高校選手権]]において個人戦の優勝者を複数出すなど柔道部顧問として実績を残した一方で、少なくとも2010年7月から2012年9月までに女子部員13人に対して、頭や顔を殴ったり腹部を足で蹴るなどの体罰を10回以上繰り返していた他に、「ブス」や「ブタ」といった暴言も盛んに浴びせていた。とりわけ、2011年には1年生部員に対して左耳の鼓膜を破る怪我を負わせて謹慎処分を受けながら、2012年にはさらに2年生部員の後頭部などを叩いて打撲傷を負わせて、この一件では傷害容疑で書類送検にも付されていた。 |
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また、申請に必要な保護者の同意を得ずに、[[宮崎市]]が選手に支給する奨励金を無断で申請して41万円ほど受領していたことも明らかになった<ref>[http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120928-OYT1T00898.htm 「女子柔道部顧問が体罰」…保護者が免職嘆願書] [[読売新聞]] 2012年9月28日</ref><ref>[http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/miyazaki/news/20130329-OYT8T02083.htm 「教育の信頼損なう」 宮崎商高柔道部体罰で県教委] [[読売新聞]] 2013年3月29日</ref><ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2013032900759 女子柔道部員に体罰、暴言=県立高教諭を懲戒免職-宮崎] [[時事通信]] 2013年3月29日</ref>。 |
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さらに、この教諭はかつて[[柏市立柏高等学校|市立柏高校]]の女子柔道部監督を務めていた時代に、インターハイ女子団体戦で3連覇を達成させる成果を挙げながら、女子部員の顔を殴って左目近くの部位を骨折させていた他、部で禁じられていた女子部員との付き合いを行っていた男子部員を、柔道部顧問と後援者とともに殴って怪我を負わせ、この男子部員が[[柏警察署|柏署]]に被害届を提出するといった問題も引き起こしていた<ref>[http://www.mainichi.co.jp/news/flash/shakai/20020206k0000e040035000c.html 女子柔道部:教諭が部員殴打 顔の骨を骨折 千葉県市立柏高] [[毎日新聞]] 2002年2月6日</ref><ref>[http://www.yomiuri.co.jp/04/20020205i403.htm 女子部員と交際の強豪高校男子柔道部員、教師らが殴る] [[読売新聞]] 2002年2月5日</ref>。 |
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なお当時の市立柏高校柔道部では、女子柔道部員を自宅などに下宿させていた管理人である後援会幹部が、女子部員2名に度々乱暴を働いて、後に懲役8年の実刑判決を受けるといった事件も起きていた<ref>[http://www.sponichi.co.jp/society/kiji/2002/01/10/04.html 下宿管理人、女子柔道部員に乱暴] [[スポーツニッポン]] 2002年1月10日</ref><ref>[http://www.zakzak.co.jp/top/t-2002_01/3t2002011011.html 女子柔道部員レイプ、“狼男”の正体 少女11人と同居、不倫、隠し子…悪い噂続々] [[夕刊フジ|ZAKZAK]] 2002年1月10日</ref><ref>[http://mainichi.jp/area/chiba/news/20090224ddlk12040268000c.html 市立柏高の準強姦事件 和解する見通し] [[毎日新聞]] 2009年2月24日</ref>。 |
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5月には懲戒免職処分を受けた元教諭が、選手を強くしたいという気持ちで行った指導を宮崎県教育委員会側が一方的に体罰だと判断したとして、県人事委員会に対して処分取り消しを求める不服申し立てを行った<ref>[http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20130510-OYT8T00425.htm 宮崎商高元教諭、懲戒免職処分取り消し求める] [[読売新聞]] 2013年5月10日</ref>。 |
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== 助成金の不正受給・不正流用疑惑 == |
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=== 問題の発覚=== |
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2013年3月13日には、[[独立行政法人]][[日本スポーツ振興センター]](以下、JSCと記す)から全柔連の指導者に一人あたり120万円支給されていた助成金のうち、40万円が強化委員会の指定した口座に徴収されて、強化留保金として使用目的外である飲食費などの懇親会費に使われていた疑惑も発覚した。2012年秋までの4年間で集められた内部留保金は約2800万円に上るが、海外遠征時の代表チームの打ち上げや強化委員会内部の懇親会などに使われていて、帳簿などの会計処理はなされていなかった<ref>[http://sankei.jp.msn.com/sports/news/130314/mrt13031419460003-n1.htm 全柔連に内部留保金約2800万円 助成金徴収、親ぼく会費などに充てる] [[MSN|MSN産経ニュース]] 2013年3月5日</ref>。口座には約2000万円が残高として残されていたが、2010年の世界選手権で活躍した選手が多かったために、助成対象者が47人に増えて金額も一挙に増大した<ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013031400994 強化委口座に2000万円=指導者助成金の一部徴収-全柔連] [[時事通信]] 2013年3月14日</ref>。 |
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口座を管理していたのは強化委員長であった吉村和郎であったが、私的流用は一切なかったと弁明した<ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/03/18/kiji/K20130318005417700.html 揺れる柔道界…渦中の吉村前強化担当理事語る「認識甘かった」] [[スポーツニッポン]] 2013年3月18日</ref>。2012年11月に強化体制が変わり、斉藤仁が新委員長になった時にはすでに留保金が充分過ぎるほどあったため徴収を取り止めて、その後は会計士に帳簿をつけてもらうようになった<ref>[http://www.nikkansports.com/sports/news/p-sp-tp0-20130315-1097828.html 全柔連、助成金不正徴収で2000万円] [[日刊スポーツ]] 2013年3月15日</ref>。もともとは、1989年頃から「強化留保金」という名目で、コーチが所属企業から受け取った餞別を集めて飲食費などに充てていたものだという<ref>[http://mainichi.jp/sponichi/news/20130315spn00m050004000c.html 全柔連:“上納金” 助成金の一部を半強制徴収していた] [[毎日新聞]] 2013年3月15日</ref>。 |
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助成金の支給を受けた指導者は年に1回、詳細を記した収支報告書を提出しなければならないことになっている。助成金の使用目的であるスポーツ活動以外の飲食費など懇親会費に使われていたのは目的外使用となり、助成金の不正使用が確認された場合は、助成金の返還請求及び、最大5年間の交付停止などの処分が下されることになる<ref>[http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130314/k10013202161000.html 全柔連 助成金を不適切に使用] [[時事通信]] 2013年3月14日</ref>。 |
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全柔連会長である上村春樹は「帳簿もつけておらず、不適切なやり方だった。私自身は知らなかった」と釈明した。しかし吉村によれば、上村もこのことを知っていたという<ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130315-OHT1T00228.htm 【柔道】全柔連監事の弁護士「調査グループ立ち上げる」] [[スポーツ報知]] 2013年3月15日</ref>。JSCは全柔連に対して調査と報告を指示した<ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013031400466 全柔連、助成金を流用=振興センターが調査指示] [[時事通信]] 2013年3月14日</ref>。全柔連側も所属の監事や弁護士を中心とした調査委員会を設置して調査に乗り出すことになった<ref>[http://www.yomiuri.co.jp/sports/news/20130318-OYT1T01134.htm 全柔連、上村会長ら続投…助成金問題に調査委] [[読売新聞]] 2013年3月18日</ref>。 |
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また、全柔連側は強化委員に対する助成金の徴収は任意としてきたものの、未納の強化委員に対しては全柔連事務局から吉村の名前を出した上で催促のメールを送っていたことが明らかになった<ref>[http://www.yomiuri.co.jp/sports/news/20130320-OYT1T01146.htm 全柔連、助成金上納をメールで督促…強制徴収か] [[読売新聞]] 2013年3月20日</ref>。 |
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3月21日には選手指導の実態がない複数の理事が助成金を不正に受給していた疑いが新たに浮上した。その内の1人である田中裕之は全柔連上層部の命令に従って、事務局から活動報告書の虚偽記載の方法まで指導された上で助成金を受けとっていた組織ぐるみの行為であったことを明らかにした<ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130325-OHT1T00204.htm 【柔道】全柔連、JSCの調査指示に回答なし] [[スポーツ報知]] 2013年3月25日</ref>。 |
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それが不正行為であると分かっていながら内部告発をする勇気がなくこの問題を見過ごしてきたが、受け取った助成金は全柔連に徴収された分を除いて一銭も使っていないと述べるとともに、責任を取って理事を辞職することになった<ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013032201062 「指導したことはない」=田中理事との一問一答-全柔連の助成金問題] [[時事通信]] 2013年3月22日</ref><ref>[http://mainichi.jp/sponichi/news/20130326spn00m050005000c.html 全柔連助成金問題:受け取り認めた田中理事が辞表] [[毎日新聞]] 2013年3月26日</ref>。 |
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助成金受給候補の指導者は各競技団体がリストを作成して、それをJOC強化本部が審査した上でJSCに推薦するようになっていたが、今年1月までJOC強化本部長だった上村が助成リストを最終承認していたものの、個人名まで具体的にチェックしていなかったことを明かした<ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130322-OHT1T00025.htm 【柔道】全柔連の複数理事、助成金数百万円を不正受給か] [[スポーツ報知]] 2013年3月22日</ref>。 |
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JSC理事の藤原誠は迅速な徹底調査を全柔連に求めるとともに、不正受給が判明した場合は、約1億5千万円に上る助成金を今後停止する可能性があることを示唆した<ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130322-OHT1T00207.htm 【柔道】全柔連 助成金1億5000万円打ち切りも] [[スポーツ報知]] 2013年3月22日</ref>。 |
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全柔連は疑惑解明に向けて、この問題で第三者委員会を設置して事実関係を解明すると声明した |
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<ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013032200935 疑惑解明へ第三者委設置=全柔連] [[時事通信]] 2013年3月22日</ref>。 |
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内閣府の公益認定等委員会もこの問題の調査に乗り出すとともに、全柔連とJSCに事実確認を求めることになった<ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013032500861 公益委が事実確認求める=全柔連の助成金問題] [[時事通信]] 2013年3月25日</ref>。 |
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=== 第三者委員会による実態調査=== |
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3月26日には全柔連の外部から招かれた弁護士の山内貴博、木谷嘉靖、望月浩一郎と公認会計士の二村隆章、稲葉喜子の計5名からなる第三者委員会が設置された。委員長は山内が務めることになり、〈1〉助成金の受領は適正だったか〈2〉指導者の活動実態〈3〉強化委員会がプールした仕組みの3点を主軸に調査にあたることになった<ref>[http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130326/k10013464491000.html 柔道助成金問題 第三者委が調査へ] [[NHK]] 2013年3月26日</ref><ref>[http://www.yomiuri.co.jp/sports/news/20130326-OYT1T01221.htm?from=ylist 全柔連、暴力根絶・指導方針責任者に山下泰裕氏] [[読売新聞]] 2013年3月26日</ref>。 |
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全柔連会長の上村はこの問題に関して、執行部の関わりを否定すると、専務理事の小野沢弘史も「正当な助成金だと思っている。組織ぐるみといわれるのは不当だ」と反論した<ref>[http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00242879.html 全柔連・上村会長、進退や不正受給について「第3者委にお願い」] [[FNN]] 2013年3月26日</ref>。この問題を受けてJSCは、全34競技団体の受給者への助成金支給も受給が適正に行われているか確認が取れるまで当面留保することに決めた。また、全柔連が関わった全ての助成事業への調査を検討していることも示唆した<ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013032900952 全34競技への支給を当面留保=助成金制度の見直しも-全柔連不正受給問題] [[時事通信]] 2013年3月29日</ref>。 |
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JSC理事の藤原誠は、JSCや第三者委員会の調査結果が出るまで、全柔連の全ての指導者への今年度の助成金を一時凍結する意向を明らかにした。なお、選手に対する助成金支給は継続される<ref>[http://www.yomiuri.co.jp/sports/news/20130326-OYT1T01165.htm 全柔連の指導者への助成金凍結…不正受給問題で] [[読売新聞]] 2013年3月26日</ref>。調査の結果、不正が認められた場合は助成金の返還や全柔連への罰則が与えられることになる。さらに、文部科学大臣の下村博文は助成金支給に関する他の競技団体の実態調査もするように指示した<ref>[http://mainichi.jp/sports/news/20130327k0000m050102000c.html 全柔連:暴力根絶担当に山下泰裕氏 指導者への助成は停止] [[毎日新聞]] 2013年3月26日</ref>。 |
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3月29日にはJSCが全柔連に対して、実態が解明されるまで今年度の個人助成金に続いて団体助成金の支給も停止することに決めた。これにより、国際大会への選手派遣や[[グランドスラム・東京]]などの競技開催補助、全国少年競技者育成事業といった選手強化や柔道普及の面で影響を受ける可能性が出てきた<ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130329-OHT1T00184.htm 【柔道】JSC決定、全柔連への助成金「一時停止」] [[スポーツ報知]] 2013年3月29日</ref>。 |
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さらに一連の不祥事もあって、企業関係者が全柔連との契約に逡巡して大会運営費用などを供出するスポンサー契約が未だに成立せず、今後の事業計画にも影響を及ぼす可能性が出てきた<ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/03/30/kiji/K20130330005504190.html 全柔連 不祥事続きで新年度のスポンサー決まらず…] [[スポーツニッポン]] 2013年3月30日</ref>。 |
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4月12日にJSCは全柔連に対して第三者委員会による実態解明がなされるまで今年度の助成金約1億1000万円の交付を保留することに決めたが、不正受給の責任を取って全柔連理事を辞した田中裕之が日本中学校体育連盟の柔道担当部長として、全柔連が進める「改革・改善実行プロジェクト」における「暴力根絶宣言」に向けた指導指針の策定メンバーに加わっていたことが明らかになった<ref>[http://www.yomiuri.co.jp/sports/news/20130412-OYT1T00696.htm 全柔連の助成金交付を保留…JSC、不正受給で] [[読売新聞]] 2013年4月12日</ref><ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/04/12/kiji/K20130412005592630.html 全柔連「暴力根絶」メンバーに 不正受給で辞職の元理事入る] [[スポーツニッポン]] 2013年4月12日</ref>。田中は、指導実態がなかったにも関わらず不正に助成金を受給していたとして先月に引責辞任したものの、第三者委員会から助成金制度に関する詳細な説明を受けると、国内の大会で選手に助言を送っていた行為が指導に含まれると認識するに至り、前言を翻すことになったという<ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013041300011 前理事も「指導」の認識=第三者委に証言-柔道助成金問題] [[時事通信]] 2013年4月12日</ref>。田中は暴力根絶プロジェクトの座長である山下泰裕の強い要望によってメンバーに選ばれた。しかし、15日になって急遽メンバーから外れることになった<ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/04/16/kiji/K20130416005621400.html 全柔連ドタバタ続く 不正受給疑惑の田中氏が急きょメンバー外れる] [[スポーツニッポン]] 2013年4月15日</ref>。 |
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4月16日には[[国立スポーツ科学センター]](JISS)による情報戦略面での支援を行うマルチサポート事業が、不正受給疑惑を解明する第三者委員会の結論が出るまで凍結されることになり、普段の国際大会では帯同している映像分析のサポートを行うビデオ班がアジア選手権には赴かないことになった。この措置に対して文部科学省の競技スポーツ課は「団体ではなく、選手へ影響が出るのは本意ではない。今後、その方針が変わる可能性はある」と語った<ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130416-OHT1T00215.htm 【柔道】全柔連にJISSが人的制裁 映像分析支援など凍結] [[スポーツ報知]] 2013年4月16日</ref>。 |
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=== 中間報告書の公表=== |
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4月26日には助成金の不正受給及び流用疑惑を調査していた第三者委員会が中間報告を行い、JSCから指導者に支給されていた助成金の一部を強化留保金として飲食費などに使用していた件に関して、全柔連事務局から受給者に拠出金の請求メールや支払いが遅れた場合には督促のメールがなされていたこと、事務局の金庫に留保金の預金通帳が保管されていたことなどから全柔連による組織的関与があったと認定した。留保金は「社会通念に照らして不適切」、全柔連は組織として「公金である助成金に対する順法精神を欠いていた」とも指摘した。留保金は強化委員長時代の上村春樹とその後を継いだ吉村和郎に管理権限があり、残高は約2350万円にも上ったが、帳簿類や領収書の管理が杜撰であったために実態を把握するのは容易ではないという。加えて、このような実態を放置していたJSCとIOCによる制度運営の不備も指摘した<ref>[http://sankei.jp.msn.com/sports/news/130426/mrt13042621240002-n1.htm 第三者委 全柔連のガバナンス欠如を指摘 上村会長は辞任へ] [[MSN|MSN産経ニュース]] 2013年4月26日</ref><ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/04/27/kiji/K20130427005689920.html 全柔連助成金問題“クロ”判定で上村会長が辞意] [[スポーツニッポン]] 2013年4月27日</ref>。 |
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JSC理事の藤原誠は中間報告を受けて、「組織的な関与と受け止めている」と語り、全柔連に対する助成金を複数年停止する可能性を示唆するとともに、強化留保金の返還を求める考えがあることもあきらかにした。内閣府の公益認定等委員会も実態調査に乗り出す可能性があるという<ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130426-OHT1T00137.htm 藤原JSC理事、全柔連の助成金問題は「組織的関与と受け止める」] [[スポーツ報知]] 2013年4月26日</ref><ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013042601161 「内容把握して動く」=公益認定等委] [[時事通信]] 2013年4月26日</ref>。 |
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これを受けて全柔連会長の上村は、具体的な時期こそは明らかにしなかったものの、近いうちに会長を辞任する考えがあることを示唆した。兼務している講道館館長の座は続投することになるという<ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130426-OHT1T00113.htm 【柔道】上村全柔連会長が辞任を示唆] [[スポーツ報知]] 2013年4月26日</ref>。 |
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5月23日には国からの補助を受けてJOCが柔道の選任コーチに支給していた謝金が、飲食費などに充てるための「強化留保金」として全柔連の強化委員会に徴収されていたことが新たに明るみに出た。常時8名いるコーチのうちの1名が2009年4月から2012年8月まで毎月支給されていた30万円の謝金のうち10万円を強化委員会が管理する口座に入金していた。全柔連側は2013年2月になって、その指導者が入金した410万円のうちの350万円を徴収対象ではなかったコーチから間違って集めた入金として返金したが、残り60万円は強化留保金の協力資金として残すことになった。JOCによれば、謝金の使い道は定めておらず、今回の徴収も競技団体への寄付ではなかったので、現状では調査や処分の対象にはならないと説明した<ref>[http://mainichi.jp/sports/news/20130524k0000m050092000c.html 全柔連:専任コーチ謝金も一部徴収か] [[毎日新聞]] 2013年5月24日</ref>。 |
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5月24日にはJSCが職員の税理士を伴って全柔連事務局を訪問して、全柔連に交付された2012年度の団体助成金1億5千万円について、帳簿や領収書と照らし合わせて実態を調査した。通常、JSCによる団体助成は各競技連盟が領収書を添付して提出する報告書等の書類審査のみで精算は完了するものの、全柔連の場合は不正徴収や不正受給疑惑が発覚したために、事務局への立ち入り調査が行われることになったという<ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130523-OHT1T00221.htm 【柔道】全柔連に24日、JSC立ち入り調査] [[スポーツ報知]] 2013年5月24日</ref>。 |
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5月31日にJSCは、24日に全柔連に立ち入り調査した結果、2012年度は助成対象となる事業の実績報告書と財務諸表との整合性の確認が取れるなど適切な処理がなされていたとの判断から、団体助成金約1億4000万円を支給することに決めた<ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013053100851 12年度は全額支給=全柔連への団体助成金-JSC] [[時事通信]] 2013年5月231日</ref>。 |
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6月7日に全柔連会長の上村は、助成金問題の最終報告書が進退を決断する時期としていた11日の理事会に間に合わないことを受けて、全柔連会長の座を継続する意向である考えを示した。全柔連幹部によれば、上村は組織改革に意欲を持っているという<ref>[http://www.nikkansports.com/sports/news/f-sp-tp0-20130607-1139404.html 全柔連上村会長が続投の意向] [[日刊スポーツ]] 2013年6月7日</ref>。 |
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またこの日に内閣府の公益認定等委員会は、女子強化選手への暴力問題や助成金問題など一連の不祥事に関して全柔連が提出していた報告書が、「事実関係を真摯に報告する内容となっておらず、極めて遺憾」な内容であるとして、25日までの再提出を5日付けで求めていたことを明らかにした。スポーツ関連の公益財団法人に報告書の再提出を求めるのは初めてのことだという。同委員会の文書によれば、全柔連の報告書では女子強化選手のうち実際に暴力を受けたのは「0~2名」と記されていることを「曖昧な事実認識」としたうえで、助成金問題においても第三者委員会の報告に「内容に違和感がある」と記されていた点に、組織のガバナンス能力に疑いを抱かせるものだと批判した。さらに、今後の全柔連の対応次第では公益財団法人の取り消しの可能性も有り得るという<ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/06/07/kiji/K20130607005966240.html 公益認定委 一連不祥事で全柔連に異例の再報告要求] [[スポーツニッポン]] 2013年6月7日</ref>。 |
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加えて、文部科学省も会長の上村にこの問題に関して真摯で適切な対応を施すように口頭で注意を呼びかけた<ref>[http://www.yomiuri.co.jp/sports/news/20130610-OYT1T00440.htm 「適切な対応を」文科省も全柔連会長に要請] [[読売新聞]] 2013年6月10日</ref>。 |
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これに対して、全柔連理事であり広報委員長でもある宇野博昌は、問題を指摘された報告書は全柔連の事務局員が作成した素案を、会長の上村と専務理事の小野沢が承認しただけで理事会に諮らず提出したものであり、理事の大半は報告書の内容自体を知らなかったと語った。このため、この件を協議する臨時理事会を24日に開催することを決めた<ref>[http://www.nikkansports.com/sports/news/f-sp-tp0-20130610-1140775.html 全柔連が臨時理事会開催を決定] [[日刊スポーツ]] 2013年6月10日</ref>。 |
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また、一部のマスメディアは助成金問題に関して、全柔連は2000年にもJOCやJSCから受け取っていた助成金の不正受給を行って、[[会計検査院]]から取調べを受けていたことに言及した。それによれば、強化合宿の滞在費や旅費を選手に支払ったことにしたり、同じ領収書のコピーを使いまわして二重請求を行うなどの手口で、実際に使用した金額よりも上乗せしてJOCなどに報告して、上乗せした分を留保金として溜め込んでいたという。しかしこの時は、全柔連を含めたJOC加盟11団体もの不正受給が発覚したために、全柔連の問題というより助成金分配の仕組みに問題があるとして処理されることになった。だが実際には、各団体の不正受給金額のうち約3分の1に当たる3200万円もが全柔連によるものであった。この後、全柔連は不正受給した助成金全額をJOCに返還した後、職員が[[東京地方検察庁|東京地検]]の取調べを受けることにもなったという。この件に関して全柔連の広報委員長である宇野は、「昔のことなので詳細は不明であり、東京地検の捜査が入ったという記憶はない。また、会長の上村は当時全柔連の強化副委員長であったが、この事案の詳細は承知していない」とコメントした。一方で、とある全柔連関係者からは、このような経緯を過去に有しながら、時を経て同じようなやり口で不正受給を繰り返したことこそが、今回問題になっている事態の本質だという指摘もなされることになった<ref>[http://www.news-postseven.com/archives/20130610_193457.html 全柔連 13年前にも3200万円不正受給で地検の取り調べ受けた] [[週刊ポスト|NEWS ポストセブン]] 2013年6月10日</ref>。 |
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6月18日には、行政改革担当大臣として公益認定等委員会を担当している稲田朋美が、全柔連の報告書が再提出を求められた件に関して、「おざなりだ。真摯(しんし)な回答ではない。組織として自浄作用が働くべきだ」との見解を示した<ref>[http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20130618-OYT1T01182.htm 稲田行革相「おざなりだ」…全柔連報告書を批判] [[読売新聞]] 2013年6月18日</ref>。 |
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=== 最終報告書の公表=== |
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6月21日には第三者委員会が最終報告書を公表して、全柔連の組織的関与を改めて指摘するとともに、全柔連会長である上村春樹をはじめとした首脳陣の責任に言及することとなった。報告書によれば、2007年からの6年間でJSCから助成金を受給した指導者63名のうち、一部期間で受給が不適切だった15名及び全期間において不適切だった12名の計27名が3620万円の不正受給に関わっていたことを明らかにした。これに目的外使用の留保金3345万円も含めると計6055万円にも上ることになった。現職の理事では、2年間で240万円を受給した郷田博史と1年間で120万円を受給した保坂慶蔵が全期間で受給資格がなく、際立つ形となった。 |
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また、当時の強化委員長だった吉村和郎が、助成金の受給者となる強化選手とその選手を担当することになる指導者を一方的に決めており、選手も指導者も事前には何も知らされておらず、それに異論を述べることも出来なかったと指摘して、この問題で「最も重い責任を負う」人物と認定した。加えて、強化委員長時代からこのシステムに関与しながら是正する姿勢を示さなかった上村と、全柔連事務局長の村上清の責任も言及されることになった<ref>[http://www.yomiuri.co.jp/sports/news/20130621-OYT1T00590.htm 全柔連上納金、不適切受給27人・6055万円] [[読売新聞]] 2013年6月21日</ref><ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130621-OHT1T00157.htm 【柔道】全柔連、助成金不正受給は63人中27人] [[スポーツ報知]] 2013年6月21日</ref><ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013062100408 上村会長らの責任言及=不正受給も認定-全柔連第三者委] [[時事通信]] 2013年6月21日</ref>。 |
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また、4月に公表された中間報告書を受けて、全柔連が計3度にわたって要望書という名の反論文書を提出してきたことも明らかになった。それらは、専務理事の小野沢弘史名義で事務局員が事務局長宛てに提出した5月14日付けの上申書<1>、事務局長の村上清名義による5月28日付けの要望書<2>、会長の上村春樹名義による<1>と<2>をまとめた6月4日付けの<3>となる。<1>では「強化留保金は強化スタッフだけで管理している互助会的な私的資金であり、全柔連とは関係のない資金」「たった1人の常軌を逸した人物により、公私混同、不適切な時期があっただけで、全柔連のガバナンスの問題はほとんど介在せず、順法精神を欠いていたととられる表現は直してほしい」「まるで検事の見立て捜査による取り調べ結果のようなものであり、上村会長をヒール役に仕立てようとする巨大な力が、メディアや一部の人を後ろで操っているような感じ」などと主張しており、加えて、JSCやJOCの助成金制度自体の問題点にも言及していた。続いて<2>では中間報告書の内容を訂正するようにも要請していた。これに対して第三者委員会側は「具体的な事実を根拠に誤りを指摘するものではなく、理由なく当委員会の見解を否定するものだ」、「自らの責任を棚上げし、制度運営者に責任を転嫁するかのような態度は、極めて不当」と諭すことになった。さらにこれらの反論文書が理事会の決議を経ずに提出された点に「現場の意向を聞かず、物事を決める上層部の体質が改善していない如実な証左」と指摘した。以上を踏まえて、調査に当たった第三者委員会委員長の山内貴博は「全柔連のガバナンス(統治)の大きな問題と見ている。改善する最後のチャンスと思う。真摯に受け止め、適切に対応してほしい」と述べると、同じく委員の望月浩一郎も「世間からどう見られるかわかってないんですかね。そのへんが常識とのズレで、この問題の根っこ」と指摘した。次いで山口香も全柔連が提出した文書に関して、「あれを見たとたんこのチームでは無理だとおもいました。価値判断できないということです。あれを公表したことの恥ずかしさ、いま柔道家として歩いているとバカだと思われます」と嘆いて見せた。一方、JSC理事長の河野一郎は「あり得ない(不正)金額との印象。選手へ影響が及ばないように対応したいが、制度自体も正していく必要がある」と語った。続いてJSCは不正受給された助成金や強化留保金の全額返還を全柔連に求める意向を明らかにした<ref>[http://www.yomiuri.co.jp/sports/news/20130621-OYT1T00892.htm 上納問題「理由なき否定」全柔連、修正再三要求] [[読売新聞]] 2013年6月21日</ref><ref>[http://mainichi.jp/sports/news/20130622k0000m050069000c.html 全柔連:「不正、あり得ない額」JSC理事長] [[毎日新聞]] 2013年6月21日</ref><ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013062100929 助成金返還を請求へ=不正受給の全柔連に-JSC] [[時事通信]] 2013年6月21日</ref><ref>[http://www.nikkansports.com/sports/news/p-sp-tp0-20130622-1145916.html 全柔連とんでも言い分 第三者委あきれた] [[日刊スポーツ]] 2013年6月22日</ref><ref>[http://www.j-cast.com/tv/2013/06/25177936.html 女三四郎「いま柔道家はバカだと思われてる」全柔連会長居座り恥ずかしい] [[ジェイ・キャスト|J-CAST]] 2013年6月25日</ref>。 |
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6月24日には臨時理事会が開催されて、第三者委員会から問題にされた不正受給の助成金及び目的外利用の留保金計6055万円を全額JSCに返還することを決めた。強化留保金制度は取り止めとなった。助成金を支給される選手と指導者の組み合わせは、強化委員会からの推薦を受けた後に常務委員会の承認を経て決定されることになった<ref>[http://www.yomiuri.co.jp/sports/news/20130624-OYT1T00837.htm 全柔連の上村会長、辞意表明…助成金問題で引責] [[読売新聞]] 2013年6月24日</ref>。 |
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6月25日に全柔連は、「真摯な内容ではない」として内閣府の公益認定等委員会から再提出を求められていた一連の不祥事に関する報告書の再提出を行った<ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013062500997 報告書を再提出=不祥事関連で公益認定委に-全柔連] [[時事通信]] 2013年6月25日</ref>。 |
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6月28日にJSCは第三者委員会によって不正受給を指摘された6055万円全額の返還を全柔連に求める方針を固めた。JSCを訪ねた全柔連会長の上村も全額を返還する意志があることを伝えた。さらにJSCは1億1千万円程度の規模となる全柔連への団体助成金を減額する可能性があることも示唆した。JSC側は不正受給金の返還に関しては加算金を求めず、分割での支払いにも応じるとしている<ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013062801076 助成金返還を約束=上村会長がJSC訪問-全柔連] [[時事通信]] 2013年6月28日</ref><ref>[http://www.yomiuri.co.jp/sports/news/20130628-OYT1T01632.htm 全柔連に6千万円返還命令へ…助成金上納問題] [[読売新聞]] 2013年6月28日</ref>。 |
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7月2日には、全柔連会長の上村春樹と前強化委員長の吉村和郎が東京地検に[[背任罪]]で告発された。告発状を提出したのは民主党の元[[衆議院]]議員で、現在は地元の[[相模原市]]柔道協会で相談役を務めている[[本村賢太郎]]と会社顧問の山田重人で、強化助成金の不正受給及び強化留保金の不正使用で「日本スポーツ振興センターと国に損害を与えた」として、上村と吉村を追及することになった。本村は「柔道界のイメージは最悪。根源は上村会長と吉村前強化委員長にある。柔道界だけで処理せず、法の裁きを受けてほしい。」と訴えた。一方、告発された上村は「(告発状が受理された場合)身の潔白を証明したい」と述べた<ref>[http://www.nikkansports.com/sports/news/p-sp-tp0-20130703-1151427.html 柔道上村会長、告発される] [[日刊スポーツ]] 2013年7月3日</ref><ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130703-OHT1T00248.htm 【柔道】全柔連・上村会長らを背任罪で告発] [[スポーツ報知]] 2013年7月3日</ref>。 |
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7月9日には全柔連の臨時理事会が開かれて、6055万円に上る助成金の不正受給及び不正徴収の返還方法について話し合われた。とりわけ、指導者による不正受給金に関しては、指導者が支払わない場合、不正徴収金の不足分約1000万円を含めた約3500万円を全柔連が全額負担することが提案された。しかし、税金の優遇を受けている公益財団法人である全柔連の会計から支払われるのはルール違反だとの指摘が公益財団法人の関係官庁関係者から指摘され、また、理事や強化委員会で負担すべきとの意見も出されて、結論は出なかった。評議員である了徳寺健二も「善良な柔道家から集められた浄財を1円たりとも使うべきではありません」と強調した<ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130709-OHT1T00239.htm 【柔道】全柔連、不正金6055万円を穴埋めか] [[スポーツ報知]] 2013年7月9日</ref>。 |
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7月19日にマスコミのインタビューを受けた全柔連会長の上村は、全柔連を機動的な組織に変えようと、今まで休まずに働き続けてきたが自己満足の域を出なかった。未練はあるものの、会長の座に居座るつもりはないし、辞めた後に影響力を持とうとも思っていないと述べた。続けて、助成金問題に関して、強化留保金は強化委員会内のことで、全柔連とは直接関係ないと認識していたが、それは誤りだった。助成金受給者に関しては強化委員会が決定していたことで、誰を受給させるか指示していたことはない。第三者委員会の中間報告書に再考を求める要望書を提出したのは、順法精神の欠如と指摘されたことに大いなる違和感を覚えた全柔連事務局員の熱い思いを受け止める形になったまでのことで、第三者委員会に圧力をかける意図があったわけではないと語った<ref>[[朝日新聞]] 2013年7月19日 17面</ref>。 |
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7月23日には内閣府の公益認定等委員会が、不祥事が続出した全柔連会長の上村春樹を呼び出して、8月末までに組織の改善を講じて責任の所在を明らかにするよう求める、上村に対する事実上の退陣要求とも受け取れる勧告書を手渡した。 |
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勧告書の概要は以下の通り<ref>[http://www.sanspo.com/sports/news/20130724/jud13072405020002-n1.html 安倍内閣、上村会長に“辞任勧告”/柔道] [[サンケイスポーツ]] 2013年7月24日</ref>。 |
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一、暴力などの不当行為に依存せずに選手を適正に育成する「技術的能力」の回復と確立 |
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一、必要な費用を適切に計上し、助成金などを受ける場合はコンプライアンス(法令順守)を徹底する「経理的基礎」の回復と確立 |
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一、問題のあった助成金6055万円を速やかに返還し、全柔連に生じた損害について責任者に賠償請求を検討する |
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一、8月末までに一連の不祥事について責任の所在を明らかにし、適切な措置を講じて体制を再構築する |
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これを受けて、公益認定等委員会委員長の山下徹と事務局長の高野修一も記者会見で、「全ての問題において、監督や理事ら指導的立場の人が直接関与している。問題は多岐にわたり深刻」「組織として機能していないのは、はっきりしている。同じ運営形態では改善に向けた答えにならない。人心一新も案としてありうる」「信頼回復のため何をすればいいのか、(こちらに)言わせないでほしい」と、全柔連による自己決定能力を発揮しての根本的刷新を求めた<ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/07/23/kiji/K20130723006277840.html 内閣府、全柔連・上村会長に辞任勧告 相次ぐ不祥事で] [[スポーツニッポン]] 2013年7月23日</ref><ref>[http://mainichi.jp/sports/news/20130724k0000m050040000c.html 全柔連:上村会長に事実上の辞任勧告 内閣府委員会] [[毎日新聞]] 2013年7月23日</ref>。 |
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7月24日にJSC理事長の河野一郎は全柔連の不祥事を受けて、「ルール違反には厳しいペナルティーが必要かもしれない。選手が活用しやすい制度に変える必要がある」と、制度を改善する意向があることを示した。また、JSCは全柔連に対する今年度の助成金交付を凍結しているが、課題を解決することが優先であるとして、当面交付を再開しないことになった<ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013072400975 不正受給に罰則検討も=JSC] [[時事通信]] 2013年7月24日</ref>。 |
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7月26日には全柔連理事で広報委員長の宇野博昌が、上村が30日に臨時評議員会で全柔連会長及び理事の辞任を表明する意向であることを明かすとともに、、不正受給した助成金を現体制がきれいな形で返還した上で、新体制に引き継ぐのが最低条件になるとも語った<ref>[http://www.nikkansports.com/sports/news/f-sp-tp0-20130725-1163063.html 上村会長辞任前倒しも「徹底抗戦はない」] [[日刊スポーツ]] 2013年7月25日</ref>。 |
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8月1日には常務理事会が開かれて、不正受給金の返還に関しては迅速に対応するため、全柔連の予算から立替を行ってJSCに返納すことを決めた。合わせて強化留保金の残高約2400万円も返還することになった。また、全柔連は返還後の穴埋めとして、責任の範囲を明確にした上で、第三者委員会からこの問題で最も重い責任があると認定された元強化委員長の吉村和郎や、不正受給に直接関与した指導者らに個別の弁済を求めることになるという<ref>[http://www.yomiuri.co.jp/sports/news/20130801-OYT1T00269.htm 不正受給の助成金、全柔連予算から立て替え返納へ] [[読売新聞]] 2013年8月1日</ref><ref>[http://sankei.jp.msn.com/sports/news/130801/mrt13080120040003-n1.htm 次期会長は「外部」を基本線に 全柔連常務理事会で方針固める] [[MSN|MSN産経ニュース]] 2013年8月1日</ref>。 |
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8月6日には常務理事会が開かれて、6055万円に上る助成金の不正受給に関しては、不正に徴収された留保金の残金約2400万円を返済に振り分けるなどして、全柔連がJSCに一括返還することを決めた。残る約3600万円は全柔連全体の問題として、会長の上村春樹や元強化委員長の吉村和郎をはじめ、受給に問題なしとされた男子代表監督の井上康生をも含めて、全ての理事と歴代強化委員が職責に応じて応分の負担金を全柔連に納める形を取ることになった。負担の比率が最も大きいのは上村になる見込みだという<ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130807-OHT1T00003.htm 【柔道】全柔連、JSCへの返還金は「連帯責任」で] [[スポーツ報知]] 2013年8月7日</ref>。 |
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8月9日にJSCは全柔連に対して、2007年から2012年にかけて全柔連の指導者50名が関わった不正受給及び強化留保金として不正徴収した6055万円に上る助成金の返還命令書を正式に発行した。返還の期限は今月29日までで、遅れた場合は延滞金が発生する。全柔連側は組織全体の責任として返還金の一部を全柔連の会計から割り当てる意向も示していたものの、内閣府はあくまでも不正受給に関係した各指導者から相応の徴収をするようにと厳命した<ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130809-OHT1T00151.htm 【柔道】全柔連に6055万円返還命令] [[スポーツ報知]] 2013年8月9日</ref><ref>[http://www.nikkansports.com/sports/news/f-sp-tp0-20130809-1170636.html 全柔連へ勧告処分!助成金6055万返還命令] [[日刊スポーツ]] 2013年8月9日</ref><ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/08/10/kiji/K20130810006387540.html 全柔連 助成金返還白紙に…内閣府 各個人からの徴収厳命] [[スポーツニッポン]] 2013年8月10日</ref>。 |
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8月14日には臨時理事会が開かれて、不正に徴収された留保金の残金2377万円を返済に振り分けるなどして6055万円に上る不正受給金をJSCに一括返還した上で、残りの約6割を理事会、約4割を強化委員会の寄付でそれぞれ穴埋めすることに決めた。不足分が生じた場合は理事会が最終責任を持つことになった。受給資格に問題がなかった指導者をも含めて任意の寄付を募ることになり、山下泰裕や斉藤仁が理事や強化委員に協力を要請して、回収役を受け持っているという。内閣府からは責任の所在に応じた賠償請求の検討を求められており、「連帯責任」と言う形ではその趣旨にそぐわない可能性も出てきた<ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_date1&k=2013081400868 返還金穴埋めは寄付で=不正受給助成金-全柔連] [[時事通信]] 2013年8月14日</ref><ref>[http://gendai.net/articles/view/sports/144047 柔道連 あの大物金メダリスト2人が取り立て屋に] [[日刊ゲンダイ]] 2013年8月16日</ref>。 |
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8月15日には全柔連が不正受給した助成金6055万円をJSCに全額返還しても、凍結されている今年度の団体助成金約1億1千万円の満額解除がすぐには行われないことが明らかになった。返還の際に全柔連側が提出する再発防止策を検討したうえで、凍結解除を行うか決めることになった。また、来年度以降の助成金に何らかのペナルティーが科される可能性もあるという<ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130815-OHT1T00224.htm 【柔道】JSC、不正金返還後も助成金保留“即解除せず”] [[スポーツ報知]] 2013年8月15日</ref>。 |
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一方、助成金の返還方法もようやく決定したことにより、8月26日に開幕するリオデジャネイロ世界選手権から、4月のアジア選手権以降凍結されていた国立スポーツ科学センター(JISS)による「マルチサポート事業」が復活することになった。既に栄養士を含めたJISSの担当者が女子コーチの薪谷翠とともにリオデジャネイロに赴き、選手に日本食を提供する拠点を決めるなど食事面のサポートを行うことになった。監督の南條も「ギリギリでゴーサインが出た。心強い」と安堵感を表明した<ref>[http://www.nikkansports.com/sports/news/f-sp-tp0-20130817-1174790.html 南條監督、国の支援復活に「心強い」] [[時事通信]] 2013年8月17日</ref><ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/08/18/kiji/K20130818006437330.html 全柔連に“援軍”復活、マルチサポート事業凍結解除] [[スポーツニッポン]] 2013年8月18日</ref>。 |
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8月20日には助成金問題を調査した第三者委員会からこの問題で最も重い責任を有する人物と指摘された前強化委員長の吉村和郎が、不正受給した助成金の個人負担額について専務理事の小野沢弘史らと協議したものの、負担額を巡って意見の食い違いが生じたという<ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013082000856 吉村前強化委員長と協議=助成金返還負担額で-全柔連] [[時事通信]] 2013年8月20日</ref>。 |
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8月21日には臨時理事会が開かれて、助成金は今日を以って辞任することになった理事と監事計26名が約1680万円を負担するとともに、残りは助成金に関わった強化委員が弁済することになった<ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130821-OHT1T00121.htm 【柔道】全柔連・宗岡新会長「あえて火中のクリを拾う」] [[スポーツ報知]] 2013年8月21日</ref>。 |
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2013年3月29日に[[宮崎県教育委員会]]は、体罰や暴言を繰り返していたとして保護者から免職を求める嘆願書も出されていた、[[宮崎県立宮崎商業高等学校|宮崎商業高校]]教諭を懲戒免職処分にしたことを公表した。[[全国高等学校総合体育大会柔道競技大会|インターハイ]]や[[全国高等学校柔道選手権大会|全国高校選手権]]において個人戦の優勝者を複数出すなど柔道部顧問として実績を残した一方で、少なくとも2010年7月から2012年9月までに女子部員13人に対して、頭や顔を殴ったり腹部を足で蹴るなどの体罰を10回以上繰り返していた他に、「ブス」や「ブタ」といった暴言も盛んに浴びせていた。とりわけ、2011年には1年生部員に対して左耳の鼓膜を破る怪我を負わせて謹慎処分を受けながら、2012年にはさらに2年生部員の後頭部などを叩いて打撲傷を負わせて、この一件では傷害容疑で書類送検にも付されていた。また、申請に必要な保護者の同意を得ずに、[[宮崎市]]が選手に支給する奨励金を無断で申請して41万円ほど受領していたことも明らかになった<ref>[http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120928-OYT1T00898.htm 「女子柔道部顧問が体罰」…保護者が免職嘆願書] [[読売新聞]] 2012年9月28日</ref><ref>[http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/miyazaki/news/20130329-OYT8T02083.htm 「教育の信頼損なう」 宮崎商高柔道部体罰で県教委] [[読売新聞]] 2013年3月29日</ref><ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2013032900759 女子柔道部員に体罰、暴言=県立高教諭を懲戒免職-宮崎] [[時事通信]] 2013年3月29日</ref>。 |
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この教諭はかつて[[柏市立柏高等学校|市立柏高校]]の女子柔道部監督を務めていた時代にインターハイ女子団体戦で3連覇を達成させる成果を挙げながら、女子部員の顔を殴って左目近くの部位を骨折させていた他、女子部員と付き合っていた男子部員を柔道部顧問と後援者とともに殴って怪我を負わせ、この男子部員が[[柏警察署|柏署]]に被害届を提出するといった問題も引き起こしていた<ref>[http://www.mainichi.co.jp/news/flash/shakai/20020206k0000e040035000c.html 女子柔道部:教諭が部員殴打 顔の骨を骨折 千葉県市立柏高] [[毎日新聞]] 2002年2月6日</ref><ref>[http://www.yomiuri.co.jp/04/20020205i403.htm 女子部員と交際の強豪高校男子柔道部員、教師らが殴る] [[読売新聞]] 2002年2月5日</ref>。 |
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== この問題への関係者のコメント == |
== この問題への関係者のコメント == |
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* [[東京都知事]]の[[猪瀬直樹]]は今回の件で「情けない。不愉快だ」と発言する一方で、[[東京オリンピック]]招致活動の面では大きな影響はないと思っているとの見解を示した<ref>[http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130203/lcl13020318000001-n1.htm 柔道女子暴力問題「情けない。不愉快だ」 東京五輪招致活動には「影響ないと思っている」] [[MSN|MSN産経ニュース]] 2013年2月3日</ref>。 |
* [[東京都知事]]の[[猪瀬直樹]]は今回の件で「情けない。不愉快だ」と発言する一方で、[[東京オリンピック]]招致活動の面では大きな影響はないと思っているとの見解を示した<ref>[http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130203/lcl13020318000001-n1.htm 柔道女子暴力問題「情けない。不愉快だ」 東京五輪招致活動には「影響ないと思っている」] [[MSN|MSN産経ニュース]] 2013年2月3日</ref>。 |
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* 大阪市長の橋下徹は今回のJOCや全柔連の後手後手に回る対応を「ぐだぐだである」と批判した<ref>[http://www.nikkansports.com/general/news/p-gn-tp3-20130201-1079399.html 橋下市長、JOCも全柔連も「ぐだぐだ」] [[日刊スポーツ]] 2013年2月1日</ref>。 |
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* [[柔道家]]であり、 |
* [[柔道家]]であり、参議院議員でもある谷亮子は当初、全柔連が園田を監督留任で済ませようとしたことに「賢明な判断」、園田について「人間性の素晴らしい立派な監督」との認識を示すと、自身は20年以上強化選手をやってきたが、歴代監督による暴力的指導は一切なかったとも発言した<ref>[http://www.nikkansports.com/sports/news/f-sp-tp0-20130131-1079064.html 谷亮子議員 監督留任は「賢明な判断」] [[日刊スポーツ]] 2013年1月31日</ref><ref>[http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130131-OYT1T00761.htm?from=ylist 谷議員「事実なら残念、検証が必要」…柔道告発] [[読売新聞]] 2013年1月31日</ref>。しかし、園田が辞任すると聞き及んだ際には、「反省してほしい」との見解を示した<ref>[http://www.sanspo.com/sports/news/20130131/jud13013117470008-n1.html 谷亮子氏「反省してほしい」園田監督の辞意に] [[サンケイスポーツ]] 2013年1月31日</ref>。さらに、この問題の再発防止策として、選手の所属先と全柔連との意思疎通が充分に図られるシステムの構築が必要であり、この点は選手時代から指摘してきたことだとも述べた<ref>[http://www.nikkansports.com/sports/news/p-sp-tp0-20130226-1090269.html 谷亮子議員、柔道暴力問題文科委で質問] [[日刊スポーツ]] 2013年2月26日</ref>。また、柔道のコーチになるためには、フランスのように国家資格を取得してからなるべきだとの提言も行った<ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20130226-OHT1T00029.htm 谷亮子議員、柔道コーチ国家資格化を提言] [[スポーツ報知]] 2013年2月26日</ref>。 |
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* 柔道家であり、[[総合格闘家]]でもある[[石井慧]]は、「園田先生はいい人であり、かわいそう、リオまで続投すべきだった」との見解を示した<ref>[http://www.nikkansports.com/battle/news/p-bt-tp0-20130201-1079397.html 石井慧「園田先生いい人。かわいそう」] [[日刊スポーツ]] 2013年2月1日</ref>。 |
* 柔道家であり、[[総合格闘家]]でもある[[石井慧]]は、「園田先生はいい人であり、かわいそう、リオまで続投すべきだった」との見解を示した<ref>[http://www.nikkansports.com/battle/news/p-bt-tp0-20130201-1079397.html 石井慧「園田先生いい人。かわいそう」] [[日刊スポーツ]] 2013年2月1日</ref>。 |
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* 柔道家であり、[[プロレスラー]]でもある[[小川直也]]は[[明治大学]]の後輩である園田が世間を騒がせたことを謝罪するとともに、今回の騒動はお家騒動の側面があるとの認識を示した<ref>[http://www.tokyo-sports.co.jp/sports/91795/ 小川直也「これはお家騒動だ」] [[東京スポーツ]] 2013年1月31日</ref>。しかしその後のインタビューで、今回の騒動は単なる派閥争いを超えた個人的な怨念が背景にあるのではないかとの推測を示した。さらに自らの現役時代から男子に関しては体罰はなく、当時から選手第一の流れで現在にまで至っているとも語った<ref>[http://www.tokyo-sports.co.jp/sports/103749/ 小川が指摘「個人的な怨念ではないか」] [[東京スポーツ]] 2013年2月15日</ref>。また、山口香との対談では、柔道界も今や派閥争いに興じているような時代ではないとの認識で一致した<ref>[http://www.tokyo-sports.co.jp/sports/othersports/126330/ 小川と山口香氏が柔道界改革「派閥争いの時代じゃない」] [[東京スポーツ]] 2013年3月29日</ref>。 |
* 柔道家であり、[[プロレスラー]]でもある[[小川直也]]は[[明治大学]]の後輩である園田が世間を騒がせたことを謝罪するとともに、今回の騒動はお家騒動の側面があるとの認識を示した<ref>[http://www.tokyo-sports.co.jp/sports/91795/ 小川直也「これはお家騒動だ」] [[東京スポーツ]] 2013年1月31日</ref>。しかしその後のインタビューで、今回の騒動は単なる派閥争いを超えた個人的な怨念が背景にあるのではないかとの推測を示した。さらに自らの現役時代から男子に関しては体罰はなく、当時から選手第一の流れで現在にまで至っているとも語った<ref>[http://www.tokyo-sports.co.jp/sports/103749/ 小川が指摘「個人的な怨念ではないか」] [[東京スポーツ]] 2013年2月15日</ref>。また、山口香との対談では、柔道界も今や派閥争いに興じているような時代ではないとの認識で一致した<ref>[http://www.tokyo-sports.co.jp/sports/othersports/126330/ 小川と山口香氏が柔道界改革「派閥争いの時代じゃない」] [[東京スポーツ]] 2013年3月29日</ref>。さらに、評議員会で全理事の即時解任を求めながらも否決されることになった了徳寺健二に関して、言ってることは正論ながらも周囲から所詮は学閥闘争と見られている以上、他の評議員から同調を得るのは難しいと述べた。了徳寺健二が理事長を務める了徳寺学園は筑波大学や東海大学の卒業生を多数受け入れてつながりも深いが、その一方で現体制は明治大学出身の上村を中心としているので、了徳寺の目論見が成功したとしても別の学閥が新体制を構築することになるだけと周囲は見ているのかもしれない、自分はそのような見方には与しないけどとも補説を加えた。また、新体制にはクリーンな人物が望ましく、助成金の不正受給に関与した人物は誰一人加わってはならないとも語った<ref>[http://www.tokyo-sports.co.jp/sports/othersports/168335/ 全柔連の騒動に小川“結局は学閥闘争”] [[東京スポーツ]] 2013年8月1日</ref>。 |
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*柔道家であり、実業団チームの[[パーク24]]柔道部監督でもある[[吉田秀彦]]は、柔道界における暴力問題を受けて、「体罰と教育は紙一重だと思う。一人で練習をしているとどうしても甘える。そのときに叱咤激励があったから僕はやってこれた。それが体罰かというと、違うと思う。日本には外国とは違う文化がある。日本は日本人らしい教育でも良いんじゃないかと思う。行き過ぎた体罰は良くないけど、愛のある、相手のことを思って(厳しく)やることは、人を成長させるためには必要じゃないかと僕は思う」との意見を述べた。また、暴力問題で女子代表監督を辞任した大学の後輩である園田隆二に関しては、「弁護するわけじゃないけど、僕が見ていた限りでは園田なんて本当に一生懸命にやっていた。選手も面と向かって言えばいい。誰も出てこないで人を非難して。あれだけ愛情を持っていた奴がなんでこんな風にと思う。確かに口が悪いところはあるし、反省しないといけないところだと思うけど」と語った<ref>[http://sportsnavi.yahoo.co.jp/sports/fight/all/2013/columndtl/201306030008-spnavi 吉田秀彦「柔道界、良いニュースも出そう」11年ぶり柔道大会出場へ公開練習] [[スポーツナビ]] 2013年6月3日</ref>。 |
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* とある女子柔道強化指定選手は[[ツイッター]]に、「園田前監督には今すぐにでも戻ってきてほしい」、「これ以上先生方やめさせたら混乱するのは私たち選手」「本当に訴えてるの強化選手なの?」などといった園田を擁護する発言を投稿した<ref>[http://sankei.jp.msn.com/sports/news/130206/mrt13020608210001-n1.htm 前代表監督らの擁護論も 女子強化選手が実名で短文投稿「戻ってきてほしい」] [[MSN|MSN産経ニュース]] 2013年2月6日</ref><ref>[http://www.zakzak.co.jp/sports/etc_sports/news/20130208/spo1302080815002-n1.htm 女子柔道の暴力問題、選手間でも疑心暗鬼 「本当に強化選手なの?」] [[夕刊フジ|ZAKZAK]] 2013年2月8日</ref>。 |
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*柔道の元全日本チャンピオンで、元プロレスラーでもある[[坂口征二]]は、明治大学の後輩に当たる全柔連会長の上村春樹に関して、一連の不祥事で「トップの責任はある」としながら、辞任表明が遅すぎたとの批判に対しては「よくやってるよ。ちゃんと後を引き継ぐっていうんだから、みんな信じて道をつくってやるべき。責任取って辞めるっていうのは、自分が何かやったならともかく、周りがやって辞めるっていうのはおかしい。人望もあるんだろ。頑張ってくれ」との見解を示した。また、今後のキーマンになる人物として、同じく明治大学の後輩である吉田秀彦の名を挙げた<ref>[http://www.tokyo-sports.co.jp/sports/othersports/158698/ 坂口氏が柔道界復活のキーマンに吉田氏を指名] [[東京スポーツ]] 2013年7月4日</ref>。 |
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*元プロレスラーの[[アントニオ猪木]]は、全柔連会長の上村について「我々から見て、ぶざまだよね。リーダーになる者にはカリスマが必要。俺もスキャンダルにまみれたことがあるけど、トップはみんなに夢を持たせる。格好よくやってほしいな」と語った。また、選手上がりの人物が役員に就くのは分かりやすいものの、運営は別物であると述べて、今後日本維新の会から立候補している参議院選挙で当選した際には、全柔連に対する圧力を強めていくと語った。さらに、一部から提起されている全柔連を解体して新柔道連盟を設立するという案に賛意を示して、プロ活動に携わった柔道家の坂口征二や吉田秀彦、石井慧などに結集を呼びかける考えがあることも明らかにした<ref>[http://www.tokyo-sports.co.jp/sports/othersports/158688/ 猪木氏“公約”全柔連解体して新連盟設立] [[東京スポーツ]] 2013年7月4日</ref>。 |
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*柔道家であり、プロレスラーでもある元参議院議員の[[神取忍]]は、学校ではなく町道場で柔道を習っていたので体罰を受けた経験はなく、体罰なしでも選手として活躍出来たと自らの体験を語った。その一方で、暴力はよくないが、柔道は肉体的接触が避けられない競技なので暴力の線引きが難しいとも述べた。また、現在はドラマの[[3年B組金八先生|金八先生]]でかつて描写されていたような愛の鞭が通用する状況ではなく、体罰が容認されてきた時代は終わったものの、今回の問題で今後指導が甘くなる可能性がある点には違和感を表明した<ref>[http://www.tokyo-sports.co.jp/sports/93066/ 柔道体罰問題で神取が緊急提言] [[東京スポーツ]] 2013年2月5日</ref>。 |
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* とある女子柔道強化指定選手は[[ツイッター]]に、「園田前監督には今すぐにでも戻ってきてほしい」、「これ以上先生方やめさせたら混乱するのは私たち選手」「本当に訴えてるの強化選手なの?」などといった園田らを擁護する発言を投稿した<ref>[http://sankei.jp.msn.com/sports/news/130206/mrt13020608210001-n1.htm 前代表監督らの擁護論も 女子強化選手が実名で短文投稿「戻ってきてほしい」] [[MSN|MSN産経ニュース]] 2013年2月6日</ref><ref>[http://www.zakzak.co.jp/sports/etc_sports/news/20130208/spo1302080815002-n1.htm 女子柔道の暴力問題、選手間でも疑心暗鬼 「本当に強化選手なの?」] [[夕刊フジ|ZAKZAK]] 2013年2月8日</ref>。 |
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* ロンドンオリンピック57kg級金メダリストである[[松本薫 (柔道)|松本薫]]を小中学校時代に指導した岩井柔道塾の岩井克良は、この問題を受けて「勝つためにやむを得ない状況もあるだろうが、なるべく手は出さない方がいい」と語った<ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/01/30/kiji/K20130130005092730.html ロンドン金・松本の恩師「意思疎通ができていなかったのでは」] [[スポーツニッポン]] 2013年1月30日</ref>。 |
* ロンドンオリンピック57kg級金メダリストである[[松本薫 (柔道)|松本薫]]を小中学校時代に指導した岩井柔道塾の岩井克良は、この問題を受けて「勝つためにやむを得ない状況もあるだろうが、なるべく手は出さない方がいい」と語った<ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/01/30/kiji/K20130130005092730.html ロンドン金・松本の恩師「意思疎通ができていなかったのでは」] [[スポーツニッポン]] 2013年1月30日</ref>。 |
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* [[三井住友海上火災保険|三井住友海上]]の女子柔道部監督である[[柳 |
* [[三井住友海上火災保険|三井住友海上]]の女子柔道部監督である[[柳澤久]]は、全柔連の第三者委員会から聴取を受けたあとのインタビューで、自チームのコーチでもある貝山仁美が暴力行為に関わっていないとされながら、まともな事情聴取も受けず連帯責任で戒告処分を受けたことに、「いいかげん過ぎる」と憤りを表明すると、全柔連幹部は「全員辞めてしまった方がいい」とも語った<ref>[http://sankei.jp.msn.com/sports/news/130305/mrt13030520090002-n1.htm 「全員辞めてしまった方がいい」 全柔連の対応を批判 聴取受けた実業団監督] [[MSN|MSN産経ニュース]] 2013年3月5日</ref><ref>[http://www.nikkansports.com/sports/news/p-sp-tp0-20130306-1093812.html 全柔連幹部はみんな辞めろ、の声も] [[日刊スポーツ]] 2013年3月6日</ref>。 |
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* 陸上競技で活躍していた為末大は日本スポーツ法学会の「アスリートの尊厳を守るためのシンポジウム」において、「体罰はドーピングに近い行為」との見解を示した<ref>[http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/02/19/kiji/K20130219005232850.html 為末氏 シンポジウムで持論「体罰はドーピングに近い」] [[スポーツニッポン]] 2013年2月19日</ref>。 |
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* 為末が主催する「アスリートソサエティ」の勉強会で溝口紀子は、「フランスでは暴力は一発で退場」と述べる一方で、今まで出てきた体罰は氷山の一角であり、柔道界では追放を恐れるあまり問題を語りたがらない傾向にあったとも述べた<ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013021800874 溝口氏「暴力は一発退場」=為末氏と意見交換会-柔道女子暴力問題] [[時事通信]] 2013年2月18日</ref><ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130218-OHT1T00282.htm 【柔道】溝口氏、体罰問題を議論「今まで出ているのはごく一部」] [[スポーツ報知]] 2013年2月18日</ref>。さらに、3月5日には[[日本外国特派員協会]]でこの問題に関する記者会見に応じて、改めて柔道界の暴力体質を批判するとともに、この転換点を機に体罰をなくしていかなければならず、フランスに出来たことが日本でも出来ないことはないと語った<ref>[http://www.yomiuri.co.jp/sports/news/20130305-OYT1T01346.htm 柔道連盟の閉鎖性非難…五輪女子「銀」溝口さん] [[読売新聞]] 2013年3月5日</ref>。また、男子はバルセロナオリンピックの頃から竹刀で選手を殴るなどの暴力が横行していたとも語り、当時から体罰はなかったと主張する小川直也とは正反対の認識を示した。但し、当時の女子においては体罰がなかったという。続けて、ロンドンオリンピックで惨敗したことで暴力の実態を告発しやすくなったので、指導者も過去の体罰と向き合い、体罰の習慣化という負の連鎖を断ち切るように務めるべきだと述べた<ref>[http://www.chunichi.co.jp/article/shizuoka/20130711/CK2013071002000275.html 過去告白し出直しを 全柔連の体罰指導] [[中日新聞]] 2013年7月11日</ref>。 |
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* 柔道家であり、[[国民議会|フランス国民議会]]の議員でもある[[ダビド・ドゥイエ]]は、フランスに[[体罰]]はなく、このような問題を起こせば即座に[[法廷]]行きになると語った<ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130209-OHT1T00058.htm 【柔道】五輪V2ドイエ氏糾弾「体罰はフランスなら即法廷」] [[スポーツ報知]] 2013年2月9日</ref>。 |
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* 柔道家であり、[[国民議会 (フランス)|フランス国民議会]]の議員でもある[[ダビド・ドゥイエ]]は、フランスに[[体罰]]はなく、このような問題を起こせば即座に[[法廷]]行きになると語った<ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130209-OHT1T00058.htm 【柔道】五輪V2ドイエ氏糾弾「体罰はフランスなら即法廷」] [[スポーツ報知]] 2013年2月9日</ref>。 |
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* [[ロンドンオリンピック (2012年)|ロンドンオリンピック]]の柔道48kg級金メダリストであるブラジルの[[サラ・メネゼス]]は、体罰に関して「私の場合はコーチに叩かれないと目が覚めないから」と述べたという<ref>[http://www.tokyo-sports.co.jp/sports/93256/ 「柔道パワハラ」ブラジルでも話題に] [[東京スポーツ]] 2013年2月2日</ref>。 |
* [[ロンドンオリンピック (2012年)|ロンドンオリンピック]]の柔道48kg級金メダリストであるブラジルの[[サラ・メネゼス]]は、体罰に関して「私の場合はコーチに叩かれないと目が覚めないから」と述べたという<ref>[http://www.tokyo-sports.co.jp/sports/93256/ 「柔道パワハラ」ブラジルでも話題に] [[東京スポーツ]] 2013年2月2日</ref>。 |
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* 柔道家であり、[[ドゥーマ|ロシア下院]]議員でもある[[ドミトリー・ノソフ]]は、2月28日に東京で開催された「日本・ロシアフォーラム」に出席後インタビューに応じて、今回の問題に驚きを隠せないと述べるとともに、「柔道や[[空手道]]、[[弓道]]など日本発祥の武道は共通の『道』を求める心がある。ロシアでも、柔道はメダルを取るために強化するだけでなく、競技の精神も理解されている」と発言した<ref>[http://mainichi.jp/select/news/20130301dde035040012000c.html 女子柔道暴力問題:「尊敬し合う姿勢、大事」 アテネ五輪「銅」、ロシア下院議員・ノソフ氏] [[毎日新聞]] 2013年3月1日</ref>。 |
* 柔道家であり、[[ドゥーマ|ロシア下院]]議員でもある[[ドミトリー・ノソフ]]は、2月28日に東京で開催された「日本・ロシアフォーラム」に出席後インタビューに応じて、今回の問題に驚きを隠せないと述べるとともに、「柔道や[[空手道]]、[[弓道]]など日本発祥の武道は共通の『道』を求める心がある。ロシアでも、柔道はメダルを取るために強化するだけでなく、競技の精神も理解されている」と発言した<ref>[http://mainichi.jp/select/news/20130301dde035040012000c.html 女子柔道暴力問題:「尊敬し合う姿勢、大事」 アテネ五輪「銅」、ロシア下院議員・ノソフ氏] [[毎日新聞]] 2013年3月1日</ref>。 |
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* プロレスラーであり、 |
* プロレスラーであり、衆議院議員でもある[[馳浩]]は、上村春樹はJOC選手強化本部長のみならず、全柔連会長も辞職すべきだとの見解を示した。また、JOC会長である竹田恒和の辞任も合わせて求めた<ref>[http://www.tokyo-sports.co.jp/sports/96432/ 馳議員「全柔連、JOC両会長辞任を」] [[東京スポーツ]] 2013年2月8日</ref>。さらに、匿名で告発した選手側も強化に税金が使われているという自覚があるなら、問題が一段落した際に実名を公表すべきだとも発言した<ref>[http://sankei.jp.msn.com/sports/news/130224/mrt13022421100002-n1.htm 「強化に税金が使われている自覚があるなら実名公表を」「暴力は絶対なくせる」 衆院議員の馳浩さん] [[MSN|MSN産経ニュース]] 2013年2月24日</ref>。 |
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* 3月23日には[[仙台市]]でスポーツ指導者を対象にした「東北スポーツサミット」が開催され、ゲストとして招かれた陸上競技[[100メートル競走|100m]]元世界記録保持者の[[カール・ルイス]]は、選手と指導者が対等な関係で学び合う姿勢の重要性を指摘するとともに、アメリカでも過去に体罰はあったが現在は見られなくなったと述べた。また、同じゲストの[[三段跳 |
* 3月23日には[[仙台市]]でスポーツ指導者を対象にした「東北スポーツサミット」が開催され、ゲストとして招かれた陸上競技[[100メートル競走|100m]]元世界記録保持者の[[カール・ルイス]]は、選手と指導者が対等な関係で学び合う姿勢の重要性を指摘するとともに、アメリカでも過去に体罰はあったが現在は見られなくなったと述べた。また、同じゲストの[[三段跳]]元世界記録保持者である[[ウィリー・バンクス (陸上選手)|ウィリー・バンクス]]は、アメリカは過去の体罰への反省からそれが効果的に働かない教訓を得たと述べるとともに、全米各地で親が声を上げて裁判になった結果、指導者は選手に手を触れることさえ出来なくなった現状を説明した<ref>[http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130323-OHT1T00104.htm カール・ルイス氏、選手と対等に学ぶ姿勢を重要] [[スポーツ報知]] 2013年3月23日</ref>。 |
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== 脚注 == |
== 脚注 == |
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* [http://sportsnavi.yahoo.co.jp/sports/other/all/2013/columndtl/201301310003-spnavi 園田隆二の辞任会見全文] |
* [http://sportsnavi.yahoo.co.jp/sports/other/all/2013/columndtl/201301310003-spnavi 園田隆二の辞任会見全文] |
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* [http://www.asahi.com/shimen/articles/TKY201302060623.html 山口香インタビュー] |
* [http://www.asahi.com/shimen/articles/TKY201302060623.html 山口香インタビュー] |
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* [http://www.judo.or.jp/article-reader/internal-1.0.php?id=1992-kitei 全日本柔道連盟 規程集] |
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* [http://www.judo.or.jp/article-reader/internal-1.0.php?id=2033-2013daisansya_houkokusyo 第三者委員会報告書] |
* [http://www.judo.or.jp/article-reader/internal-1.0.php?id=2033-2013daisansya_houkokusyo 第三者委員会報告書] |
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* [http://www.judo.or.jp/article-reader/internal-1.0.php?id=2056-2013bouryoku_konzetsu_pj 「暴力の根絶」プロジェクト] |
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* [http://www.judo.or.jp/article-reader/internal-1.0.php?id=2077-kaikaku_kaizen_pj 全日本柔道連盟 改革・改善実行プロジェクト] |
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* [http://www.judo.or.jp/article-reader/internal-1.0.php?id=2114-2013bouryoku_konzetsu 「暴力の根絶」についてのお願い] |
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* [http://www.judo.or.jp/article-reader/internal-1.0.php?id=2115-20130703_taskforce 「全柔連改革促進タスクフォース」結成と改革の迅速化について] |
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* [http://www.judo.or.jp/article-reader/internal-1.0.php?id=2116- 改革・改善実行プロジェクト進捗状況について] |
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* [http://www.judo.or.jp/article-reader/internal-1.0.php?id=2131-20130801_meyasubako_compliance 「柔道目安箱」「全柔連コンプライアンスホットライン」について] |
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* [http://www.judo.or.jp/article-reader/internal-1.0.php?id=2142-20130814bouryoku 暴力行為根絶宣言] |
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* [http://www.judo.or.jp/article/2051-20130426_daisyansya_tyukanhoukoku/attach/20130426_daisansya_houkoku.pdf 中間報告書] |
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* [http://www.judo.or.jp/article-reader/internal-1.0.php?id=2095-zyoseikin_houkokusyo_final 助成金に関する第三者委員会の最終報告について] |
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* [http://www.judo.or.jp/article/2130-20130726_kankoku/attach/20130723_naikakuhu_kankoku.pdf 内閣府からの勧告について] |
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2013年8月21日 (水) 14:40時点における版
女子柔道強化選手による暴力告発問題(じょしじゅうどうきょうかせんしゅによるぼうりょくこくはつもんだい)とは、2013年1月29日に女子柔道の国際試合強化選手15名が、全日本女子ナショナルチーム監督である園田隆二を始めとした指導陣による暴力行為やパワーハラスメントを訴えていたことが発覚した問題。2月1日に園田は暴力行為を認めて監督を辞任した。
概要
問題の発生とその経緯
2012年9月下旬に、とある選手が強化合宿中に園田に暴力を振るわれたことを全日本柔道連盟(以下、全柔連と記す)に訴えた[1]。全柔連が園田と当該選手に事情を聞いた結果、それが事実と判明した。この際に園田は「二度と暴力行為はしない」と約束したという[2]。しかし、10月下旬にブラジルのサルヴァドールで開催された世界団体の際に、園田はこの選手に対して「余計なことを言いふらしているらしいな」と厳しく責めたてたともいう[3]。このような状況の中、11月5日に全柔連は園田のリオデジャネイロオリンピックまでの監督続投を決定した。11月10日に園田は全柔連に始末書を提出して厳重注意を受けると、11月28日には当該選手に謝罪した[4]。しかし、被害選手に高圧的な態度を取った園田に怒りを増幅させたロンドンオリンピック代表を含む女子の国際試合強化選手15名(引退した選手を含む)は、暴力の実態を把握しながら園田の続投を決定した全柔連には自浄能力がないと判断して、11月11日に園田らによる暴力やパワーハラスメントを訴える告発文書を作成すると、12月4日に日本オリンピック委員会(以下、JOCと記す)にそれを提出した[5]。さらに、12月25日には人事の見直しや、問題が解決されるまでの合宿の凍結、第3者による調査を求めるメールをJOC女性スポーツ専門部会に送付した[6][7]。
2013年1月にJOCは告発者数名との面談を試みると、「怖かった」、「(園田の)顔は笑っていたが不安だった」との話を聞きだした[8][9]。また、JOCからこの訴えを知らされた全柔連も再調査を試みた結果、2010年8月から2012年2月までの期間に暴力行為を5件確認することになった[10]。
暴力の内容としては、竹刀で背中や尻を叩いたり、頭部にゲンコツ、顔面に平手打ちを食らわせたという。さらに、髪の毛を鷲づかみにしながら「お前なんか柔道やってなかったら、ただのブタだ」、「死ね」などといった暴言も合わせて浴びせていたという [11]。さらに、5件の暴力は1選手に対するものであり、実際は他の選手たちにもっと多くの暴力が振るわれていた可能性も指摘されている[12]。 さらに、怪我を抱えたオリンピック代表候補選手2名に対して、それを考慮することなく2011年11月の講道館杯に、「出ないなら代表に選ばない。負けてでも出ろ」と出場を強要した。1人は足をひきずりながら出場するも、途中で敗れてケガを悪化させた。もう1人は世界ランキング1位ということもあって、敢えて治療を優先して出場を断ると、翌月のグランドスラム・東京の代表メンバーから外されただけでなく、年越し強化合宿のメンバーからも除外されるという制裁を受けることになった[13][14]。
これを受けて1月19日に全柔連の倫理推進部会は、暴力行為に関わった園田と男性の元コーチ2名及び、連帯責任としてコーチ4名の計6名の女子強化スタッフに文書による戒告処分を科した。また、この間の経緯を強化合宿中の選手に説明することにもなった[15][16]。1月20日になると、告発選手側は園田らが軽い処分で終わったことに納得できず、弁護士の辻口信良に相談を持ちかけた。その数日後に辻口は東京で告発選手15名のうち12名と直接対面して、代理人を引き受けることにしたという[17]。1月25日に全柔連は事実経過や改善点をJOCに説明した[18]。しかし、1月27日には9選手が改めて被害を訴えにJOCに直接赴いた[19]。
問題の発覚と園田の辞任
1月29日になってこの問題がマスコミに報道されて公になると、1月30日には全柔連専務理事の小野沢弘史が記者会見を開いて、体罰問題の経緯と園田を始めとしたコーチ陣への処分を公表して、本人が深く反省していることを理由に監督やコーチを辞めさせる意向はないと述べた[20]。また、全柔連会長である上村春樹も同様の見解を示した[21]。同日には園田の勤務先である警視庁がこの問題で本人に事情を聞くと、場合によっては厳正な処分もありえるとの見解を示した[22]。
しかしながら、1月31日になると記者会見に出席した園田は「これ以上強化に携わっていくことは難しい」と監督辞任を表明して、今回の一件を謝罪することになった。また、暴力に関しても、「選手に手を上げることを必ずしも暴力とは感じていなかった」との認識を示す一方で、「全日本の合宿で自分以外のコーチが暴力を振るっているのを見たことがなく、自分が特殊だった」とも述べた[23]。
2月1日には全柔連に提出した進退伺いが受理されて正式に監督を辞任することになった。強化委員長である斉藤仁は、暴力行為を知りながら園田の監督続投を決定したことに反省の言葉を述べた[24]。
後任として、当面は重量級担当コーチである日体大の田辺勝が監督代行を務めることに決まった[25]。さらに園田の辞任を受けて、全柔連会長である上村はJOC選手強化本部長を辞任した[26]。
また、国際柔道連盟(以下、IJFと記す)は柔道の創始者である嘉納治五郎の柔道精神と理念を引き合いに出して、今回の一件を非難する声明を出した[27][28]。
「緊急調査対策プロジェクト」の立ち上げと告発選手による声明文公表
一方JOCは、「緊急調査対策プロジェクト」を立ち上げて被害を訴えた選手への聞き取りを全柔連の立会いなしで実施することに決めた[29][30][31]。
2月4日には選手側の代理人を務める弁護士の辻口信良と岡村英祐が記者会見を開いて、「全日本女子ナショナルチーム 国際試合強化選手15名」名義の声明文を代読した[32]。
全文は以下のとおり[33]。
皆さまへこのたび、私たち15名の行動により、皆さまをお騒がせする結果となっておりますこと、また2020年東京オリンピック招致活動に少なからず影響を生じさせておりますこと、まずもって、おわび申し上げます。私たちが、JOC(日本オリンピック委員会)に対して園田前監督の暴力行為やハラスメントの被害実態を告発した経過について、述べさせていただきます。
私たちは、これまで全日本柔道連盟(全柔連)の一員として、所属先の学校や企業における指導のもと、全柔連をはじめ柔道関係者の皆さまの支援を頂きながら、柔道を続けてきました。このような立場にありながら、私たちが全柔連やJOCに対して訴え出ざるを得なくなったのは、憧れであったナショナルチームの状況への失望と怒りが原因でした。
指導の名の下に、または指導とは程遠い形で、園田前監督によって行われた暴力行為やハラスメントにより、私たちは心身ともに深く傷つきました。人としての誇りを汚されたことに対し、ある者は涙し、ある者は疲れ果て、またチームメートが苦しむ姿を見せつけられることで、監督の存在におびえながら試合や練習をする自分の存在に気づきました。代表選手・強化選手としての責任を果たさなければという思いと、各所属先などで培ってきた柔道精神からは大きくかけ離れた現実との間で、自問自答を繰り返し、悩み続けてきました。
ロンドン五輪の代表選手発表に象徴されるように、互いにライバルとして切磋琢磨し励まし合ってきた選手相互間の敬意と尊厳をあえて踏みにじるような連盟役員や強化体制陣の方針にも、失望し強く憤りを感じました。
今回の行動をとるにあたっても、大きな苦悩と恐怖がありました。私たちが訴え出ることで、お世話になった所属先や恩師、その他関係の皆さま方、家族にも多大な影響が出るのではないか、今後、自分たちは柔道選手としての道を奪われてしまうのではないか、私たちが愛し人生をかけてきた柔道そのものが大きなダメージを受け、壊れてしまうのではないかと、何度も深く悩み続けてきました。
決死の思いで、未来の代表選手・強化選手や、未来の女子柔道のために立ち上がった後、その苦しみはさらに深まりました。私たちの声は全柔連の内部では聞き入れられることなく封殺されました。その後、JOCに駆け込む形で告発するに至りましたが、学校内での体罰問題が社会問題となる中、依然、私たちの声は十分には拾い上げられることはありませんでした。一連の報道で、ようやく皆さまにご理解を頂き、事態が動くに至ったのです。
このような経過を経て、前監督は責任を取って辞任されました。
前監督による暴力行為やハラスメントは、決して許されるものではありません。私たちは、柔道をはじめとする全てのスポーツにおいて、暴力やハラスメントが入り込むことに、断固として反対します。
しかし、一連の前監督の行為を含め、なぜ指導を受ける私たち選手が傷つき、苦悩する状況が続いたのか、なぜ指導者側に選手の声が届かなかったのか、選手、監督・コーチ、役員間でのコミュニケーションや信頼関係が決定的に崩壊していた原因と責任が問われなければならないと考えています。前強化委員会委員長をはじめとする強化体制やその他連盟の組織体制の問題点が明らかにされないまま、ひとり前監督の責任という形をもって、今回の問題解決が図られることは、決して私たちの真意ではありません。
今後行われる調査では、私たち選手のみならず、コーチ陣の先生方の苦悩の声も丁寧に聞き取っていただきたいと思います。暴力や体罰の防止はもちろんのこと、世界の頂点を目指す競技者にとって、またスポーツを楽しみ、愛する者にとって、苦しみや悩みの声を安心して届けられる体制や仕組みづくりに生かしていただけることを心から強く望んでいます。
競技者が、安心して競技に打ち込める環境が整備されてこそ、真の意味でスポーツ精神が社会に理解され、2020年のオリンピックを開くにふさわしいスポーツ文化が根付いた日本になるものと信じています。
この声明文でも触れられていたロンドン五輪の代表選手発表における問題とは、2012年5月13日にロンドンオリンピック代表を発表する記者会見の場において、全柔連の許可を得てその模様を放映したフジテレビが、発表に見入る男女のオリンピック代表選出選手と落選選手の表情を交互にアップで映し出した見せ物のような演出を指す[34][35]。
2月5日には全柔連の臨時理事会が開かれて、この問題を解決するために外部有識者を招いて調査委員会を設置することに決めた。さらに、女子選手の相談を受け持つ支援ステーションの拡充とともに、女性理事や女性監督の登用にも理解を示す姿勢を見せた[36]。加えて、全柔連理事である山下泰裕は「選手に申し訳ない。プレーヤーズファーストを大事にしないといけない」と述べると、全柔連副会長である佐藤宣践も「(全柔連の)倫理規定に、体罰はルール違反だと書いてある。体罰はドーピングと同じことだ」との見解を示した[37]。
さらに、前日の声明文で名指しされていた前強化委員長であり、園田の監督続投を強力に推進していた全柔連強化担当理事の吉村和郎が辞任を表明するに至った[38][39]。この際に吉村は、強化合宿における暴力行為に関して「私は一回も見ていない。そういうことがあれば何かの措置を取ったと思う」と釈明した[40]。加えて、女子コーチの徳野和彦も5日に遠征先のブルガリアから緊急帰国すると、選手に対する暴力行為を認めて引責辞任することになった[41]。選手側代理人である辻口は吉村の辞任に一定の評価を示した[42]。
2月6日に辻口は、「暴力行為を告発した15名がずっと匿名でいることは理屈の上ではおかしいと分かっているので、名前を公表するか再協議する」と発言した[43]。さらに、この件でJOCが設置した「緊急調査対策プロジェクト」メンバーでJOC理事でもある橋本聖子が、「プライバシーを守る観点から告発選手が表に出てこないのは問題だ」と発言するものの、後に氏名を公表すべきという趣旨で発言したのではないと釈明した[44]。一方、JOC女性スポーツ専門部会の部会長である山口香は氏名公表は時期尚早との見解を示した[45]。
さらに、山口は告発選手をサポートしていたことを公表した[46]。山口によれば、園田に暴力を振るわれた選手が2012年10月の世界団体で活躍した際に、『おれが厳しく指導してきたことが今回につながったんだ』と暴力指導の反省もせず、それを肯定するかのような発言を園田がしたことを聞き及び、それに憤怒を覚えて全柔連に園田の辞任を求めたという。一方、選手には色々アドバイスを与えたものの、それ以上のことはせず、一連の告発への直接の関与は否定した[47][48]。
2月7日になると辻口は、選手の不安が大きいので告発選手名は公表しないとの見解を示した[49]。
2月8日には男子のオリンピック出場選手が女子選手から聞いた話として、園田ら首脳陣が強化合宿後の打ち上げの酒の席に女子選手を半ば強制的に出席させてお酌をさせていたと語った[50]。
同日、全柔連は公式サイトに「この度の柔道女子ナショナルチームにおける暴力ならびにパワーハラスメント問題につきまして、国民の皆様に大変なご心配をおかけしていますことを心よりお詫び申し上げます。」と謝罪文を掲載した[51]。
さらに、全柔連会長である上村はグランドスラム・パリ大会に出向いて、IJF会長のマリウス・ビゼールに今回の一件を詳しく説明するとともに、謝罪することになった[52]。 ビゼールは今回の件を改めて非難するとともに、全柔連とともに合同調査を行うことを発表した[53]。
2月12日に全柔連は相次いで辞任した吉村和郎、園田隆二、徳野和彦の3名を今後IJF主催の試合や国際合同合宿から締め出すことに決定した。さらに、IJFもその決定を了承して、それ以上の処分を課すことはないとの認識を示した[54]。また、3月18日の全柔連理事会において調査委員会からの提言を受け、その結果をIJFに報告する意向も示した[55][56]。
またこの日から、JOCの「緊急調査対策プロジェクト」メンバーである橋本聖子や荒木田裕子ら理事4名と弁護士が告発した選手への聞き取り調査を始めた[57]。また、橋本は告発選手の氏名を明らかにすることはないことを改めて強調した[58]。
第三者委員会の設置と検証作業
2月14日に全柔連は今回の問題を検証して、組織のあり方を提言する第三者委員会の設置を発表した。委員長には前検事総長で弁護士の笠間治雄、委員には空手家の高橋優子、精神科医の香山リカ、日本サッカー協会副会長の田嶋幸三、柔道元フランス代表で慶應大学柔道部コーチのピエール・フラマンが就くことになった[59]。第三者委員会は場合によっては告発選手や辞任した園田らも含めた聞き取り調査を行う可能性もあることを示唆した[60]。
また、同日には全柔連会長の上村が文部科学大臣の下村博文に今回の経緯を説明するとともに、謝罪した[61]。さらに、全柔連強化委員長の斉藤仁も味の素ナショナルトレーニングセンターで開催されたJOCの緊急コーチ会議の席上において今回の一件を謝罪することになった[62]。
一方、ヨーロッパ遠征から帰国した筑波大学の緒方亜香里は、今回の問題に関して選手として初めて言及して、「騒動になっているけど、いい方向に進んでもらいたい。柔道をやりやすい環境になってくれたらいい」と語った。また、監督やコーチが辞任した件に関しては「仕方ない。いろいろあったし」と述べた。さらに、綜合警備保障の田知本愛は「(騒動は)そんなに気にならなかった。いつも通り試合に集中できた」、渋谷教育学園渋谷高校の朝比奈沙羅は「みんな混乱している。早く問題が収束してほしい」とそれぞれ感想を述べた[63][64][65]。
2月19日には全柔連が設置した「柔道女子暴力・パワハラ問題」第三者委員会の初会合が開かれた。全柔連が独自に調査した事実関係を踏まえた上で、第三者委員会に改革への提言をしてもらう意向だという[66]。第三者委員会は全柔連会長である上村や元監督である園田など約30名の関係者から事情を聞くために「聞き取りリスト」を作成した[67]。委員の1人はJOCとは別に選手の聞き取り調査も希望したものの、委員長の笠間は選手が匿名を前提にしている以上それは難しいとの見解を示した。また、上村は今回の提言を全て受け止めると語った[68]。
一方、JOCは同日までに告発選手15名のうち約10名の聞き取りを終えたことを明らかにした。聞き取りを全て終え次第、全柔連に対して指導を行うとしている。場合によっては補助金の減額も有り得るという[69]。
2月21日にJOC加盟団体審査委員会は全柔連に対する処分を3月19日の理事会で答申することに決めた[70]。
2月26日に代理人である辻口と岡村は、25日に第三者委員会による告発選手への聞き取り要請があったものの、選手側による全柔連への強い不信感や匿名性確保という観点、さらにはJOCによる聞き取りがすでに行われていることを理由に拒否したことを明らかにした[71]。
また、JOCの「緊急調査対策プロジェクト」は、26日までに選手への聞き取り調査が4分の3以上終了したことを発表した。今後は辞任した園田ら元指導者側からの聞き取りも行うとしている。聞き取り調査に関しては、いつ、どこで、誰に暴力を受けたかという具体的な事実に重点が置かれたという。さらに、暴力以前の問題として、指導者と選手間に人間同士のごく当たり前の関係が構築できていたのか疑問が呈されることにもなった。加えて、告発選手の名前は今後も明らかにされることはないことを改めて述べた[72][73]。
さらにこの日、ヨーロッパ遠征から帰国した強化委員長の斉藤は、指導者と選手間のコミュニケーショーンを円滑に図るために選手会結成を提案した[74]。
2月28日に山口香は全柔連の第三者委員会の聞き取り調査を受けて、「選手の意見を吸い上げるような組織システムを構築してほしい」と提言した[75]。また、女性監督の起用に関しては、「時期尚早。顔が浮かばない。お飾りになるならやらない方がいい。」との見解を示した[76]。ただ、2020年のオリンピックでは女性監督もありうるとして、その候補として塚田真希や谷本歩実の名前を挙げた[77]。
3月1日には第三者委員会の2回目の会合が開かれて、全柔連会長である上村春樹や前監督の園田隆二を始めとした10名以上の関係者への聞き取り調査の経過報告や意見交換が行われた[78]。ある委員によれば、15名の告発選手が全柔連への不信感から第三者委員会による聞き取りを拒否していることもあり、問題の核心に迫るのが難しいことから、具体性を有した提案はしづらい状況にあるという[79]。委員の1人である田嶋も「人事や、強化システムそのものについて言及するのは難しい」との見解を示した[80]。ただ、委員長の笠間によれば、これからも告発選手への聞き取りへ向けた接触は図っていくつもりだとも述べた[81]。この会合を受けて、上村は8日の最終会合での答申を期待していると述べた。この答申を基に18日の全柔連理事会で組織改革を協議することになるという[82]。
さらに上村は、未整備な状況になっているライセンス制度の導入にも前向きの姿勢を示した[83]。
また、この日ヨーロッパ遠征から帰国した監督代行の田辺勝は、今回の騒動で試合に出場した選手にも多少の動揺が見られたものの、選手のサポートはきちんと果たすことができたと語った。さらに、「強化体制に関しては、変えるべきところは変えていかなければならない」と付け加えた。自身は女子強化コーチである貝山仁美、薪谷翠とともに、今後JOCから今回の問題に関する聞き取り調査を受けることになるという[84][85][86]。
3月4日には監督代行を務める田辺とコーチの貝山及び薪谷が、これ以上コーチを続けるのは難しいことを理由に、辞任の意向を示した。暴力行為への関与なしとされながら、暴力行為を認めて辞任した園田らとともに連帯責任で戒告処分を受けたことへの撤回を全柔連に求めていたが、それが受け入れられなかったためだという[87][88]。しかしその後、全柔連会長の上村が3名は暴力やパワーハラスメントには関わりなかったと明言した。「連帯責任にしたのは悪しき慣習で、手続き上も不備があった」とその見直しも示唆した。さらに、強化委員長の斉藤による説得などもあり、田辺は処分が撤回された場合に限り、女子の新体制が発足するまで職務を全うする意向だと語った[89][90]。また、3月下旬に味の素ナショナルトレーニングセンターで、試験導入された新ルールの検証と対策を目的にした強化合宿を予定通り行うことも確認された[91]。
第三者委員会による5項目の提言
3月8日に第三者委員会は3回目の会合を開いて、3月12日に全柔連へ答申する女性理事の登用や暴力の根絶などを含む組織改革に向けた提言をまとめた[92]。 この提言は練習現場の視察や全柔連会長である上村や女子選手を含めた関係者20名ほどの聞き取りを踏まえたうえでのものだという(聞き取りを行った女子選手の中に告発選手が含まれていたかは明らかにされなかった)[93]。委員長の笠間治雄は、「組織ということで考えれば、全柔連は未成熟。答申を受けたから良い組織になるわけではなく、今後の全柔連のやる気にかかっている」と発言した[94]。また、委員の田嶋幸三が「スポーツ界は法令順守などで未成熟なことが多い。柔道界が暴力を根絶し、いいガバナンス(統治)をできれば日本のスポーツ界全体にいい影響を与えると思う」と発言すると、同じく委員である香山リカは、「柔道界は伝統を重んじるあまり、今の常識とかけ離れてしまう部分があった。透明性や説明責任など今の社会で求められていることは、柔道界のような伝統社会でも求められる時代になっている」との見解を示した[95]。これに対して上村は、「提言をきちんと受け止め、しっかり取り組んでいかねばならない」と述べた[96]。
3月12日には第三者委員会委員長の笠間らが全柔連に報告書を答申した[97][98]。答申の概要は以下の通り[99]。
(1)明確な指導方針の提示とその徹底
- 具体的な指導方針の策定と周知*指導者資格制度および資格剥奪制度の確立
- 子どもプロジェクトの推進
- 規律委員会、裁定委員会制度の創設
(2)全柔連組織の改革
- 外部第三者の執行部中枢への登用
- 女性理事の登用
(3)強化システムの再検討
- 監督、コーチ人事の明確化
- ナショナルチーム指導者と所属の指導者との連携強化
- ナショナルチームへの選手選抜、代表選手選抜の際の説明責任
- 女子強化委員会ないし強化委員会内の女子専門部門の創設*女性監督、女性コーチの導入
(4)コンプライアンス(法令順守)の徹底
- コンプライアンス委員会の設置
- 相談、通報窓口の整備*コンプライアンス、倫理研修制度
(5)リスクマネジメント体制の整備
- 組織内の調査委員会の制定*説明責任と情報公開
答申では複数の選手が肉体的のみならず精神的暴力を恒常的に蒙っていたなど、暴力行為が現に存在していたことを改めて認定した。委員の香山もこの点に関して、「『死ね』は、あいさつがわりだったと聞いている」と述べた[100]。 さらに答申では、「一部には暴力的指導で強くなる選手もいるという考えが根強く残っており、それを否定するための明確な指針はなかった」と、指導者が従うべき倫理的指針の不在を始め、組織的対応の拙さ、適切な情報開示の不備などが指摘された。また、全柔連理事に複数の女性や、法曹関係者など外部からの人材登用を提言するとともに、改革の過程を明らかにすることも合わせて求めることになった[101][102]。
加えて笠間は、女子には女子の監督が相応しい時期に来ていると述べるとともに、執行部には国際感覚に優れ、対外交渉能力に秀でた人材を外部から登用することの必要性を語った[103]。しかし、第三者委員会は個人の責任を認定する性質のものではないとのことから、一般論として組織のトップの責任に触れたのみで、全柔連会長である上村個人の責任を直接問うことはなかった[104]。
これに対して上村は、「柔道界が健全に発展していけるように、答申された内容を実行に移すのが自らの役割」と述べた[105]。
一方、告発選手側の代理人を務める辻口信良は、この答申の内容を前向きに評価するとともに、概要を一部の選手にメールで伝えたことを明らかにした[106]。 また、告発選手の相談役を務めた山口香もこの答申を評価するとともに、実現していくことの重要性を指摘した[107]。
さらに、答申において提言された女性理事の候補として、バルセロナオリンピック及びアトランタオリンピックで銀メダルを獲得した日本大学准教授であり柔道部コーチでもある、文部科学省の中央教育審議会委員を務める田辺陽子の名前が挙がっているという[108]。
またこの日に、JOCは告発選手15名の聞き取り調査がすべて完了したことを明らかにした。それを踏まえた報告書をJOC加盟団体審査委員会に提出して、同委員会が全柔連に対する処分を決定することになるという[109]。
3月13日には強化選手の所属先関係者と強化方針の意見交換を行う「強化連携フォーラム」において、全柔連委員長である斉藤仁は今回の騒動について出席者に謝罪した[110]。
「緊急調査対策プロジェクト」による報告
3月14日にJOCは加盟団体審査委員会を開き、「緊急調査対策プロジェクト」による聞き取り調査の結果を踏まえて、女子選手に対する暴力行為やパワーハラスメントなど重大な不当行為の存在、及びそれに対する全柔連の稚拙な対応を改めて確認することになった[111]。
3月16日には告発選手側代理人である辻口らが、JOCの「緊急調査対策プロジェクト」の聞き取り調査が完了したことを受けて、最後の代理人業務となる会見を開いて、先月に続き2度目となる国際試合強化選手名義による声明文を公表した。そこではJOCや第三者委員会などに対して感謝の気持ちが表明されるとともに、「今回の調査結果が生かされ、すべてのスポーツの現場から暴力やハラスメントがなくなることを願っています」といった発言を含む「お礼」と題した声明文が読み上げられた[112][113]。声明文の全文は以下の通り[114]。
私たちのお願いに対し、多くの方々よりご理解と温かいご支援をいただき、JOCにて事情を聞き取っていただくことが出来ました。まずもってそのことをご報告し、お礼申し上げます。一方、2020年オリンピック招致活動の中で、大きく世間をお騒がせすることとなり、JOCの皆様だけではなく、多くの関係者にご迷惑をおかけしたことを、大変申し訳なく思います。このような大切な時期であるにもかかわらず、多大なご尽力をいただいている関係者の皆様に対して深くお礼を申し上げます。また、全柔連の第三者委員会においても、広く連盟関係者や所属先関係者、選手に対する聴き取りを実施していただき、関係者の皆様にはお礼を申し上げます。 今回行われた調査の結果が活(い)かされ、柔道界を含む全てのスポーツの現場から、暴力やハラスメントがなくなることを願っています。 私たち15名としては、丁寧に調査を行っていただいたことで一つの区切りを迎えた思いです。今後はそれぞれの立場で、 これまで以上に一生懸命精進し、少しでも柔道界の発展のために努力していきたいと思っています。 最後となりましたが、今後とも、皆様から柔道のみならずスポーツへの深いご理解とご支援をいただけますよう、こころからお願い申し上げます。
本当にありがとうございました。
3月17日にはこの問題を受けて強化担当理事を引責辞任した吉村和郎がインタビューに応じて、「選手たちの意見を聞くのは時代の流れだろうが、指導者と選手の対等な関係を望むなら告発選手は名前を出して訴えるべきではなかったのか」と語った。 また、園田に暴力を受けたある選手は、ロンドンオリンピック後に「先生はアメとムチが上手でクソーとなったあとにいつも好きって毎回なりました」と認めた色紙を園田に手渡していたとも語った[115]。
全柔連の対応
3月18日に全柔連は講道館で理事会を開き、第三者委員会による答申をもとにした改革案を協議した結果、「改革提言具体化検討プロジェクト」の設置を決めるとともに、「暴力・暴言根絶宣言」を採択することになった。複数の女性理事や外部理事を執行部に登用するなどの具体的な改革案は6月の理事会までにまとめ上げるという[116]。理事会前に開かれた執行部会(会長と副会長2名と専務理事の計4名による陣容)では、会長である上村春樹の「改革優先案」が第一副会長の藤田弘明と専務理事の小野沢弘史に支持されて、同じく副会長である佐藤宣践が提案した「執行部刷新案」は退けられる格好となった[117]。その後の理事会では冒頭で、柔道の創始者である嘉納治五郎の孫に当たる講道館名誉館長の嘉納行光が「一枚岩でやっていきましょう」と呼びかけた。この発言の影響力は大きく、執行部会に続いて佐藤が執行部の責任を改めて取り上げて進退に言及したものの、他の22名の理事からは一切賛同を得られることなく、結果として会長である上村を始めとした理事全員が留任することになった[118][119]。上村は今回の問題で責任を認めたものの、この難局を乗り切るためには辞職するのではなくて、第三者委員会の提案を実行していくことこそがわれわれの仕事であると語った[120]。 この決定に対してJOC専務理事である市原則之は、JOCとしては全柔連の人事にまで介入できない と語った[121]。 一方、告発選手をサポートしてきた山口は「世間は全柔連を自浄作用のない組織と見るだろう。女性は今まで理事に加われなかったが、このような組織なら入っていなくて良かった。この組織は何が起きても変わらないと実感した」と批判した[122]。
また、全柔連は第三者委員会からの報告書を公開した。そこでは2010年から2012年にかけて、園田による特定の選手に対する暴力や暴言行為が7件認定されていた。具体的には2010年の広州アジア大会や2012年のグランドスラム・パリ大会の試合終了後に数回殴打して「死ね」と暴言を吐いた行為や、2012年に釧路で行われた強化合宿での体幹トレーニングの最中に髪の毛を引っ張ったり、別の合宿で箒の柄で殴打したことなどが記されていた[123][124]。加えて、2012年の世界団体の直前には園田が「俺に何か文句があるのか。俺を嫌いなんだろう」といった趣旨の発言をすると、近くにいた強化委員長の吉村が「監督を訴えてやれ」などと茶化すやり取りもしていたことがあきらかになった[125]。
さらにこの日、強化委員会はバルセロナオリンピック銅メダリストで筑波大学コーチである増地千代里を、新設の女子強化部長のポストに起用することになった。増地は強化副委員長も兼任することになった[126]。 女子の新監督に関しては当初、強化の継続性や今年から試験導入された新ルールを2月のヨーロッパ遠征で実際に体験している点なども踏まえて、選手からの信頼も厚いとされる監督代行の田辺を次期監督に昇格させる意向だったものの[127][128]、暴力行為に関わっていなかったとはいえ、辞任した園田や徳野と一緒に行動していたかのように受け取られかねないなどといった意見が上がるなど、実業団や大学の指導者からの反対意見が多かったこともあり、結果として起用を断念した[129]。代わりに、全柔連女子ジュニアヘッドコーチで仙台大学柔道部総監督でもある南條充寿を昇格させることになった。強化委員長の斉藤は「非常に優秀で、みんなが納得してくれる監督」と評した。南條の任期は2014年の世界選手権までを予定しており、その後は第三者委員会の答申で求められた女性監督が起用される可能性もあるという[130][131]。 また、暴力行為とは無縁とされながら連帯責任で戒告処分を受けた田辺及び女性コーチである貝山と薪谷の処分撤回が決まった[132]。
JOCによる処分
3月19日にはJOCが理事会を開き、「緊急調査対策プロジェクト」による最終報告書を踏まえたうえで、強化合宿においてなされた暴力や侮辱的発言を「重大な不当行為」と認定して、全柔連に対する今年度の交付金を停止することに決めた。なお、2012年度の交付金は約2500万円だった[133]。調査に当たった弁護士の山内貴博によれば、昨年12月4日に提出された最初の告発文では特定の選手に対する暴力ではなく、柔道界全体のハラスメント行為に関するものだったが、それを全柔連の調査では特定の選手のケースだけに矮小化したと、全柔連側の初期対応の稚拙さを改めて問題にした[134]。
JOCの調査報告書では、前監督の園田による問題行為として、合宿や試合会場で複数回、感情に任せて一部選手の顔を強く平手打ちして、時に外国人が止めに入ることもあったことが指摘された。さらに、棒や鞭状のもので選手を威嚇しながら「叩かれないと動けないなら家畜と一緒だ」「消えろ」「能なし」「ブタ」「ブス」などと罵声を浴びせる行為や、ケガをした選手の状態を考慮せずに大会や合宿参加を強要したことも合わせて指摘された。前コーチの徳野の場合は、練習を真剣に行っていないように見えた選手に対する感情に任せた暴力行為が指摘された。 さらに、前強化委員長の吉村を始めとした連盟上層部が、園田体制における選手への不当行為を認識していなかっただけにとどまらず、一部不当行為に自ら加担して問題の解決を怠ったとした上で、「組織として行った不当行為」にも言及した。具体的には、吉村が選手の練習中に道場の脇で居眠りやマッサージ行為に耽っていたことや、コーチに馬乗りになって口を塞ぐといった悪ふざけ行為をしていたこと、徳野が寝技の練習において選手の口を塞いだり、虫の死骸を近づけたりする嫌がらせ行為、それらを他のコーチは認識していながら黙認して改善に向けた行動を取らなかったことを挙げた。続いて、代表選考の過程に透明性が確保されていないことから、指導者に逆らうと選手選考において不利に扱われるのではないかとの不安・疑念を生じさせたこと、連盟の意向や都合により負傷した選手を合宿や大会に参加させて悪化させたこと、ロンドンオリンピック代表選手の発表において、落選選手の表情をテレビ中継するといった選手の尊厳を傷つけた行為を挙げた[135][136]。
また、園田の監督時代に選手がメッセージカードを手渡したり、「園田組」というTシャツを作っていたりと、一見良好な関係を築いていたように見えたものは、ある選手が「園田監督を勘違いさせた私たちが悪かった」といみじくも語ったように、全て園田に配慮した上での演技であったとJOC理事の藤原庸介は明らかにした。続けて、園田は突如として目が据わり、怒りで我を忘れる傾向にあり、「選手は園田監督を心の底から恐れていた」とも語った。なかには園田の顔を見ただけで吐き気を催す選手さえいたという。このような状況が一方でありながら、吉村や園田は選手との信頼関係を全く疑っていなかったという。 かくの如き実態に藤原は「負傷しても相談できず、試合出場を強要される。これが一番の暴力」と述べるとともに、「園田も指導者としては非常に有能だった。選手側も人をあてにして自分の意見を伝えていない」と付け加えた。同じくJOC理事の荒木田裕子も「正直びっくりしたし、おぞましい」と述べるとともに、「ボタンのかけ違いがどんどん大きく広がっていった印象」と語った[137][138][139]。
このような状況を踏まえた上で、JOCは全柔連に対して13項目にわたる改善勧告を求めるとともに、3カ月ごとに改善策の達成状況の報告を義務付けた。JOC自身に対しても相談窓口の設置や、問題が生じた場合に日本スポーツ仲裁機構を通しての態勢づくりなど10項目の改善策を求めることになった[140][141]。全柔連に対する13項目の改善勧告の概要は以下の通り[142]。
13項目の改善勧告(概要)(1)指導者による不当行為をやめる
(2)対話による信頼関係の醸成
(3)コーチの資格制度の確立や講習制度の導入
(4)代表選手選考の透明化
(5)大会、合宿への医師の同行
(6)合宿や大会での過度の負担を強いない工夫
(7)上下関係にかかわらず、対話が行われる環境整備
(8)不当行為に関する相談窓口の設置
(9)日本スポーツ仲裁機構による仲裁自動受託条項の採択
(10)企業や大学など各チームと対等で円滑な意思疎通
(11)醸成の身体的特徴や社会環境に応じた適切な対応
(12)監督やコーチ、選手がオリンピックムーブメントを理解する
(13)申し立てを行った選手に報復、不利益な取り扱いをしない
これを受けて全柔連会長の上村は「財政的な影響より、処罰を受けたことを重く受け止めたい。」と語った[143]。さらに、JOC理事会後に常務理事でもある上村は、今年6月の任期満了に伴い理事を退任することを明らかにした。後任には山下泰裕を推薦することになった[144]。山口香は選手の声が入っているJOCの報告より先に全柔連が強化委員会も開かずに監督人事を進めたことに不快感を示した[145]。一方、JOC理事の藤原からは山口がJOC理事でもありながら、全柔連広報副委員長や筑波大学大学院准教授などの肩書きでの登場であったとはいえ、マスコミにおいてJOCが調査中の事柄を盛んに発言していたことへの苦言を呈されると、「選手にはそれだけ頼る人が少なかったということ」と弁明した[146]。
3月20日には女子強化委員会が開かれて、18日の理事会で代表選手選考における基準の明文化を決定したことを受けて、5月の選抜体重別までに選考基準を作成することを確認した。6月の理事会で諮られることになる。強化委員会後に新監督となった南條は「園田監督が目指した方針は間違っていなかったが、方法論が間違っていたから問題が出た」「チームワークを大事にし、風通しの良い環境をつくることが大事だ」と抱負を述べた。また新設の女子強化部長に就いた増地は「女性コーチを増やすのならば(育児面などの) 支えが必要となる。そういう意見も言ってロールモデル(手本)として働きたい」と語った[147][148]。 一方、告発選手の代理人を務めた辻口は関西大学で開かれた「スポーツにおける暴力」というシンポジウムにおいて、全柔連の現体制が温存されたことに関して「それでいいのか、いうのはある。すごい組織ですよね。普通では考えにくい」との感想を述べた[149]。
3月21日の講道館理事会において、講道館館長でもある上村は一連の不祥事に関する事情経緯を説明した。また、全柔連は第三者委員会やJOCの提言を受けて暴言などの「禁止用語」を細かく規定した指導者ガイドラインを作成することに決めた[150][151]。
19日には「柔道界の中に入りこまないように、少し外から期待して見守るしかない」とも話していた山口香は全日本学生柔道連盟会長でもある佐藤宣践の推薦もあり、ロサンゼルスオリンピック60kg級金メダリストの細川伸二に代わって3月20日付けで女子強化委員に就任することになった。その際に「選手や指導をされる先生方がやりやすい環境になるよう、思うところを発言していく」と語った[152][153][154]。 さらに、コマツの杉本美香と了徳寺学園の福見友子がコーチ就任を要請されたものの、両者とも指導経験の少なさの他に、杉本の場合は膝の手術などで暫く現場に出てこれないこと、福見の場合はまだ現役であることを理由に辞退した[155]。一方、イギリスに海外研修中の特別コーチである綜合警備保障の塚田真希は帰国次第コーチに就くことになった。4月からフランスへ2年間の研修に向かうコマツの谷本歩実も特別コーチとなる[156]。 これで、園田体制の下でコーチとして残っていた田辺勝、貝山仁美、薪谷翠、渡辺一貴は全員新体制から外れることになった。強化委員長である斉藤は告発した15選手にも配慮した上で人事を一新した強化体制になったと語った[157]。
新体制の始動
3月25日には新体制となって初めての強化合宿が味の素ナショナルトレーニングセンターで行われたが、監督の南條と新コーチとなる小川接骨院の小川武志と綜合警備保障の小橋秀規及び神奈川県警の松本勇治の男性のみで、女性コーチ不在での開催となった。南條は約60人の強化選手を前に「オリンピック、世界選手権の優勝を目指す集団として、自覚を持った行動をしよう」「騒動があっても甘くなることはない。目標は変わらない」と語りかけるとともに、選手との積極的な意思疎通を図っていくことを明言した[158][159]。今回の合宿に参加したロンドンオリンピック57kg級金メダリストであるフォーリーフジャパンの松本薫は、合宿の雰囲気が今までと変わったと述べるとともに「今までは先生方が責任を持ってくれていたのが、一人一人が責任を持つようになってきた」と話した。世界選手権48kg級で2連覇をしているコマツの浅見八瑠奈は「(練習の)雰囲気は変わりつつあると思う。応援してもらえるように頑張りたい」と語った。さらに今春、国士舘大学に進学した48kg級の岡本理帆は「いい形で練習・合宿できたりするのを考えてくれていると思うので、私たちは先生を信じてこれからやっていきたい」と述べた[160][161][162]。
3月26日に全柔連は臨時理事会と評議員会を開いた。臨時理事会においては、第三者委員会の提言とJOCからの改善勧告を具体化するための「改革・改善実行プロジェクト」を設置して、全体の責任者に会長の上村が就任することを決めた。改革・改善項目の概要は以下の通り[163]。
全柔連の改革・改善項目「暴力の根絶」宣言
■指導方針分科会
(1)具体的な指導指針の策定と周知
(2)指導者資格制度及び資格剥奪制度の確立
(3)コンプライアンス(法令順守)・倫理研修制度
■組織改革分科会
(1)外部第三者の執行部中枢への登用
(2)女性枠設定に設定による理事への女性登用
(3)ガバナンス(統治機構)の見直し
(4)柔道界全体の意見を吸い上げる仕組み作り
■強化システム分科会
(1)監督・コーチ人事の明確化
(2)全日本の監督・コーチと所属の監督・コーチとの連携強化
(3)全日本への選手選抜、代表選手選抜の際の説明責任
(4)強化委員会の分割による女性強化委員会の創設等
(5)女性監督・コーチの導入
■子供プロジェクト分科会
■コンプライアンス分科会
(1)コンプライアンス委員会の設置
(2)規律委員会・裁定委員会制度の創設
(3)組織内の調査委員会の制定(非常置委員会)
(4)相談・通報窓口の整備
■リスクマネジメント(危機管理)分科会
(1)説明責任と情報公開
■その他
このようにプロジェクト内に分科会を設けて、それぞれに責任者を置くことを決めた。「暴力根絶宣言」の作成と指導指針の策定の責任者には山下泰裕が就くことになった。指導指針の策定には早稲田大学スポーツ科学学術院教授の友添秀則やソウルオリンピック61kg級銅メダリストである北田典子らが加わることになった。法令順守の分科会には法律の専門家など外部有識者を招く考えを示した[164][165][166]。
また、北京オリンピックでは女子代表監督を務めた強化副委員長の日蔭暢年が健康上の理由で退任することになった。日陰が担当していた選手の相談窓口となる支援ステーションは、強化副委員長の増地が新たに担当することになった[167]。
続く評議員会では冒頭で全柔連会長の上村が一連の不祥事を出席した各県代表の評議員に謝罪したが、元参議院議員である鳥取の常田享詳は全柔連の公益財団法人が取り消される可能性を懸念した上で、「トップが辞任して新体制で一致結束すべきだ」と進言すると、それに賛同する声が相次いだ。また、了徳寺学園の理事長である千葉の了徳寺健二は、親しくしている現内閣の友人二人から証人喚問の声もあがっていたと明かすとともに、証人喚問になった場合は今回のような受け答えで乗り切れるのかと発言した[168]。[169]。
さらに評議員会では、これまで選手はIJFグランプリシリーズにおいて得た獲得賞金の半分を全柔連に徴収されていたが、選手側の不満にも配慮して選手が全額受け取れるように競技者規定を改定したことが報告された。また競技者規定には、選手側が代表選考などで全柔連に異議申し立てをした場合、全柔連側がこれに応じて日本スポーツ仲裁機構に解決を委ねることになる自動受諾条項も新たに加えることになった[170]。
3月27日には女子強化選手の所属先関係者と強化方針の意見交換を行う「強化連携フォーラム」が開かれて、新たに強化委員となった山口香は、「柔道においては所属先での練習が主体となるので、ナショナルチームは最後のとりまとめをする程度にとどめるべき」と述べるとともに、「国際大会において選手は代表監督ではなく所属先のコーチに付いてもらった方が安心するはず」との意見を語った[171]。
また、南條は女性コーチが現場で指導しやすくなるように託児所の設置について言及した。夫人である仙台大学女子柔道部監督の南條和恵は道場で自らの子供の世話をする場合もあるという[172]。
一方、この日に行われた体重別の抽選会において、全柔連副会長の藤田弘明が「全柔連の危機管理の甘さ、問題の対応における不手際をおわびする」と改めて謝罪することになった[173]。
4月13日には強化委員会が開かれて、代表選考基準の明文化及び代表チーム指導陣の選考過程における透明化に関する案件を4月27日の理事会に諮ることを決めた。強化委員長の斉藤仁は代表選考の明文化について問われると、国際大会を含む1年間の成績を踏まえた上で選考する意向であると述べた[174]。
また、一連の不祥事を受けて全柔連のスポンサーとなっていた企業が契約更新の凍結や協賛金減額の動きを見せることにもなった。三井住友海上は今年度の契約更新を見合わせ、コマツも前年度比で50%の協賛金減額を決めた。一方で、ミズノ、日本航空、セイコーホールディングスは契約を継続する意向であるという[175]。
暴力の根絶プロジェクト
4月15日には講道館で山下を責任者とする、指導者や大学教授など有識者17名のメンバーによる「暴力の根絶プロジェクト」の初会合が開かれて、暴力の定義や暴力行為への対処法など、ガイドラインに盛り込むべき内容に関する討議が行われた。メンバーの1人であるテレビ朝日アナウンス部の宮嶋泰子は「人の気持ち、組織を変える作業。長い作業になる」と述べた。また、このプロジェクトの具体策のひとつとして暴力根絶のポスターを全国の道場に掲示する意向だともいう[176][177]。
4月16日には女子代表チームが新体制となって初めての遠征となる、バンコクで開催されるアジア選手権に向けて出発した。今回の遠征から男子と同じく女子も移動や合宿の集合時にはスーツ着用が義務付けられることになった。また、2月のヨーロッパ遠征の際には選手から要望のあった気合の張り手をコーチが躊躇って出さなかったものの、南條は選手からの要望があるなら張り手をかますことも厭わない姿勢を示した[178]。
4月21日には横浜文化体育館で女子の全日本選手権が開催されたが、不祥事の影響もあって全柔連のメインスポンサーである「オフィシャルパートナー」の東建コーポレーションでさえ契約更新を保留したのをはじめ、毎年会場に社名入り広告や応援旗を出していた三井住友海上が今回は取り止めるなど、会場や大会パンフレットに広告を出す企業が大きく減ることになった。このような状況の中で今大会初優勝を果たした了徳寺学園職員の緒方亜香里は、「柔道界は周りから駄目だと言われているが、見ている方々に『女子柔道、いいね』と思ってもらえれば良かったなと思う」と語った[179]。
4月26日には選手に対して暴力を振るうなどして監督を辞任した園田隆二を、所属先の警視庁が戒告処分に付した。警視庁によれば、園田は2010年8月と2011年7月の合宿で20代の女子選手に対して箒の柄で背中や尻を叩いたり平手打ちを数回喰らわせ、2010年11月と2012年2月の大会後にも平手打ちした。また、2010年12月の大会では別の20代の女子選手に対しても平手打ちをした。さらに、強化合宿において選手数人に対して「消えろ」「家畜じゃないんだから自分で動け」などといった暴言を加えた。但し、刑事事件としての立件は選手らが望んでいないこともあって見送られることになった[180][181]。
4月27日には講道館で臨時理事会及び全国理事長会議が開かれたが、上村は自らの進退に関しては一言も触れず、出席した理事からの質問もなく、進退問題に関する議論がなされることはなかった[182]。
理事会では、IOCや第三者委員会から代表選考過程や監督人事の透明化を求められていたことを受けて、IJFによるランキング制度とは別に、国内にも独自のランキング制度を2014年度から導入することを決定した。詳細な基準は未定だが、IJFグランプリシリーズや体重別など国内外の主要大会をポイント獲得の対象として、オリンピックチャンピオンや世界ランキング1位に勝てばボーナスポイントも付与する方針だという。但し、このランキングは代表選考の参考資料扱いとなるので1位になっても自動的に代表にはならず、最終決定は強化委員会が行うことになる。毎年11月に開催される講道館杯には、その年のオリンピックや世界選手権代表となった選手は負担を考慮されて出場が免除されることも決まった。男女の代表監督やコーチの選考方法に関しては結論が出ず、引き続き議論されることになった[183][184]。
4月29日には日本武道館で全日本選手権が開催されたが、主要スポンサーである東建コーポレーションは21日の女子の大会では取り止めた試合会場の広告看板を今大会では掲げることになった[185]。
5月4日には全国少年柔道大会の監督会議に出席した山下泰裕が「柔道界から全ての暴力をなくす。4、5年かけて粘り強く啓発活動を続ける」と参加者に語りかけた[186]。
5月9日には指導部刷新によって一旦は強化の現場から外れていた薪谷翠がコーチとして復帰することに決まった。味の素ナショナルトレーニングセンターの施設管理担当コーチも兼務することになった[187]。 また、全柔連はこの日までに「暴力の根絶プロジェクト」第1回会合の議事録を公式サイトに掲載した。そこでは「暴力が問題視されてこなかったのは閉鎖的だったから」「暴力は人権侵害であることを忘れがちではないか」「段位を得た者は精神的にも鍛えられているだろうという善意の解釈があった」などの言及がなされた[188]。
5月11日から2日間選抜体重別が開催されたが、日本航空やセイコー、ミズノなどは選手第一の観点からスポンサー契約を更新した関係で、オフィシャルスポンサーとして大会パンフレット、もしくは会場となった福岡国際センター内に広告を掲示した。しかし、女子選手が多く所属するコマツや三井住友海上は契約更新を凍結していることもあって看板広告を掲示しなかったものの、コマツは個別協賛を行うと、三井住友海上も今後も女子柔道を支援する考えがあることを表明した[189]。
さらに今大会では試合場の審判が一人だけとなり、判定に問題があった場合には審判を統括するジュリーと副審がビデオ映像を分析して試合場の審判に指示を与える一人審判制や、組み合わない柔道への罰則の強化、帯から下への攻撃及び防御の全面禁止など、IJFが暫定的に導入した新ルールを国内で適用する初めての大会となったが、判定が変更されたケースがいくつかあり改善点も認められたものの、全体的に大きな混乱はなかった[190]。
また、11日には強化委員会が開かれて、国際大会に出場した代表選手が計量で失格した場合は強化指定選手を外すことに決めた。これにより先月のアジア選手権78kg級で失格となったコマツの岡村智美が強化選手を外されることになった。全日本実業柔道個人選手権大会などで好成績を残せば強化選手への復帰を認めることにもなった[191]。
今大会では初戦で敗退した選手が4名も代表に選ばれた。特に女子代表選考ではコーチ会議でまとまった案が強化委員会で差し戻されて再検討されることにもなった。強化委員長である斉藤仁は「今大会で勝ち上がった選手を選ぶのが望ましいが、1年間トータルの内容を踏まえた」と国際大会での戦績と内容をより重視する選考になった[192][193]。
一方、強化委員の山口香は、選手第一の観点から選手側が意見を言える機関をつくりだすことが必要であると、全柔連内にアスリート委員会を設置することを働きかけるという[194]。
5月13日には「暴力の根絶プロジェクト」第3回会合が開かれて、セクシャルハラスメントの根絶を目指す新たな作業部会の設置も決めた。北田典子が部会長となり、宮嶋泰子など4名がメンバーとして加わることになった[195]。
5月18日には全日本ナショナルチームの男女監督及びコーチ陣が世界選手権代表選手の所属先の指導者らを「特別アドバイザー」として、味の素ナショナルトレーニングセンターに招いて情報交換会を行うことになった。そこでは1回の強化合宿の期間を5日間程度に減らすことが確認された。また、8月にブラジルのリオデジャネイロで開催される世界選手権にも代表選手の所属先の指導者が派遣されることに決まった[196][197]。
5月20日には「暴力の根絶プロジェクト」第4回会合が開かれて、プロジェクト全体の責任者である山下は、暴力行為を2種類に分けて、殴る蹴るなど選手にケガを負わせる行為は「重大な暴力」として一回で指導者資格の永久停止処分とし、額を指ではじく凸ピンや軽いゲンコツなど「軽微な暴力」の場合は、1回目で口頭による厳重注意と誓約書の提出、2回目で文書による戒告、3回目で期限つきの指導者資格停止処分を課すことを運用指針案として盛り込む予定であることを明らかにした。凸ピン行為まで資格停止の対象にすることに対して山下は、「3回やるバカだったらね。たぶん、1回やって反省文書けば分かると思うけど」と語った[198][199]。
5月23日には大阪市内で開かれた関西プレスクラブの会合で北田典子が講演して、「柔道は閉鎖的で独特な世界だった。社会通念と照らし合わせ、これまでの感覚を変えないといけない」との認識を示すとともに、今回の暴力根絶に向けた取り組みが100年後にこれは必要な行為だったと言われるように尽力していきたいと述べた。「選手はアスリートである前に人さまの宝物」であるとも語った[200]。
5月27日には「暴力の根絶プロジェクト」の第5回会合がもたれ、重大な暴力行為には柔道界からの永久追放を含む処罰基準を盛り込んだ指針案をまとめあげた[201]。
加えて、「暴力の根絶プロジェクト」内に設けられたセクハラ根絶のための作業部会は、小学生から実業団選手に至る女子選手にセクハラ行為に関するアンケート調査を実施することになった。希望があれば男子選手に対しても実施するという。また、他競技や一般企業のセクハラ対策を参考にしながら、どのような行為がセクハラに相当するかを定義するためのガイドライン作成にも着手することになった[202][203]。
5月29日に全柔連会長の上村は、ロシアのサンクトペテルブルクで開催された2020年東京オリンピック招致関連のパーティーに出席した。翌日にはスポーツアコードの会長選挙に立候補しているIJF会長であるマリウス・ビゼールの応援のために、同地で開催されるスポーツアコード国際会議の会場に駆けつけると、助成金問題などについての報告も合わせて行った[204]。
6月3日には「暴力の根絶プロジェクト」内に設置されたセクハラ根絶の作業部会において、7月以降の主要大会に参加する男女の選手にアンケート調査を実施することに決めた。また、子供にも理解しやすいようにイラストを付けたセクハラ防止のためのガイドブックを作成する案も提出された[205]。
6月5日には全柔連の専門委員長会議が開かれて、第三者委員会からの提言を受けて、8月1日付けで新設される常務理事会に法曹関係者を含む外部理事と女性理事を登用する方針を定めた[206]。
またこの日には佐賀県嬉野市内で行われていた女子強化合宿が公開されたが、監督の南條によれば、選手の自主性を尊重して練習時間は以前より1時間少なくしたという。また、担当コーチと選手が技術論を交わす光景も見られるようになった。さらに、世界選手権78kg級代表の緒方亜香里は右膝のケガを抱えているため、都内でリハビリに取り組んでいて今回の合宿には参加しなかったが、このような選択は以前ならば許されなかったともいう。南條は「いろいろな経験をしてきた選手だから心配はない。」とも語った[207]。
6月10日には全柔連に関する問題の把握と、新たにスポーツアコード会長の座に就任したことの挨拶周りを目的に来日していたIJF会長のマリウス・ビゼールが「世界の柔道の現状と展望」と題した記者会見を開いて、全柔連会長である上村春樹の続投を100%支持すると言明した。上村は「クリーンな人だし、クリーンな精神を持っている。」とした上で、今辞任したら問題の解明が遅れるとともに改革も進めることが出来ないと述べた。さらに、8月のIJF会長選挙で自らが再選を果たした場合は、引き続き上村を指名理事として起用していく考えも明らかにした。またIJFは、一連の問題に関する全柔連の報告書を10月15日までに提出するように要求した。この報告によっていかなる処分を下すかの検討をすることになるという。続けてIJF内に女性委員会を設置する意向があることも明かした。続けて、[[国際オリンピック委員会]]に男女の団体戦の導入を申請しており、9月のIOC総会で採用される見込みが高まってきたとの見解も示した[208][209][210]。
ガイドライン制定
6月11日には全柔連の理事会が開かれて、山下泰裕が責任者を務める「暴力の根絶プロジェクト」が提出したガイドライン及び今後に向けた工程表が承認されることになった。殴る蹴るのみならず言動での威圧や「しごき」も暴力と定義付けて、3度繰り返せば会員登録を停止、重大な暴力を振るった場合は一度で永久追放処分とすることになり、9月から適用される運びとなった。また、女性理事を複数登用することも決まったが、具体的な人選は持ち越された。8月に新設される常務理事会では女性と外部有識者を加えるともに、意思決定の迅速化を図るために毎月会合を持つことも決まった[211]。
理事会後の記者会見では上村の会長続投が表明されることになった。一度は辞意を示唆しながら 結果として続けることになったのは、理事会内で組織改革を最優先すべきとの声が強かったことなどを挙げ、「『(改革を)できるのか』と思われるかもしれないが、やりきる。この問題に決着をつけ、次の世代に受け渡した時に(進退を)考えたい」「決して会長職にしがみついているわけではなく、柔道界に私が不必要だとなれば去る」との見解を示した。実際、理事会において理事の1人から「人心を一新すべき」との発言がなされたものの、他の理事からは続投支持や改革の早期実行を求める声ばかりだったという。一方で、全柔連の評議員を務める千葉県柔道連盟会長の了徳寺健二はこの決定に関して、「それでは済まないことを分かっていない悲しさ。国民、真の柔道家は決して同調することはありません」「全柔連の理事会はイエスマンばかりで、機能停止、思考停止に陥っている。一日も早く解散させる必要がある」と非難して、25日の評議員会で執行部の解任を要求する考えがあることを明らかにした。関東地区7県の柔道連盟会長も同様の意見を有しているという。さらに文部科学省にも執行部一新を働きかけていく意向を示した[212][213][214]。
6月20日には衆議院の青少年問題特別委員会に山口香とバルセロナオリンピック52kg級銀メダリストである静岡文化芸術大学准教授の溝口紀子が出席して、一連の騒動について説明を行った。その後山口は、25日に開かれる全柔連評議員会で理事解任の声が一人でも多く上がることに期待感を寄せるコメントを残した[215]。
6月21日には全柔連が開いた暴力根絶セミナーにおいて、山口は「暴力根絶は重要課題だが、その前にやるべきことがある。現在の問題に連盟としてどう向き合うのか」と講師を務めた山下に問い質すとともに、「指導者がちょっと暴力を振るえば処分されることになる一方で、理事の責任は問われない」と疑問を投げかけた[216]。
6月22日には日本武道館で開催された全日本学生優勝大会において、全柔連副会長であり、全日本学生柔道連盟会長でもある佐藤宣践が「執行部の1人として、多くの方々にご迷惑をおかけしていることを心からお詫びしたい」と謝罪の意を示した[217]。
執行部辞任へ
6月24日には臨時理事開会が開催されて、第三者委員会から求められていた女性理事に、生活の党に所属する参議院議員の谷亮子、日本大学准教授の田辺陽子、暴力根絶プロジェクトメンバーの北田典子の3名を起用することになった。谷の起用理由に関して全柔連幹部は「柔道界の功労者であり、行動力もある」点を挙げた。他の新理事として東京都中学校体育連盟柔道専門部部長の本橋順二、さらに外部理事としてJOC理事の藤原庸介と参議院議員の橋本聖子を候補に選定した[218][219]。
理事会後の記者会見で全柔連会長の上村は自身を始め、副会長の藤田弘明と佐藤宣践、専務理事の小野沢弘史、事務局長の村上清を含めた執行部全員が改革、改善プロジェクトのめどが立った時点で全員辞任する考えがあることを示した。辞任次期としては「4、5カ月後」で、それまでは当面続投することになった。「組織の管理者として私の責任を感じ、(辞任を)きょうの朝に決断した。改革を軌道に乗せることが必要で、次の体制につなげるための準備にある程度時間がかかる。10月の理事会は大きなめどになる。これからも柔道に携わっていきたい」とも語った。なお、講道館館長の座は今後も継続することになった[220][221][222]。 次期会長候補と目される山下泰裕は、臨時理事会において理事全員の辞任を提案したものの、それでは改革を実行できるものがいなくなるとの上村の反論を受けて、結果として執行部のみの辞任表明に至った経緯を説明した。続けて「この機を逃して、次はない。柔道は人づくり、人間教育。もう1度、柔道への信頼を取り戻すことが大事」と語った[223]。
文部科学大臣である下村博文は、上村が辞意を表明した点について「スポーツ団体の人事は各団体で判断すべきことだ」「柔道界の改革をしっかりと進めてほしい。連盟が『確実に変わった』ということを国民に示す必要がある」と述べた[224]。 一方、執行部に批判的だった山口香はようやく辞任を表明した上村について「時期が遅すぎた。暴力問題の時に辞めるべきだった」「自分たちが壊したものを改革するなんて絶対に無理。」と語った。上村が講道館館長を続ける点については「言わずもがなですよね。あっちで失敗してこっちで生き残るって言っても結局、同じ。組織の長としての能力ですから。今回の件は(上村会長の)能力を否定するもの。講道館は(全柔連より)もっと倫理性が求められる」との見解を示した[225][226]。
またこの日には、全柔連の「暴力の根絶プロジェクト」が7月に開催される金鷲旗の際に女子選手を対象にしたセクハラに関するアンケート調査を行うことを発表した[227]。
6月25日には全柔連評議員会が開かれた。冒頭の議長選では現体制に極めて批判的な了徳寺学園理事長の了徳寺健二が無記名投票を希望したものの挙手による採決となり、全柔連事務局が推薦した浅賀健一が、了徳寺の推薦した吉田忠征を33対17の票決で下し、全柔連側が会議の主導権を握ることになった。新理事の選任議案の際には了徳寺が全柔連理事全員の解任決議を提案したものの、「議題は4週間前までに提示」という規約により退けられることになった。しかし、了徳寺が「男なら受けてくださいよ」と上村に呼びかけると、上村も自身の信任を求めて一旦は席を外そうとする場面も見られた。その後、鳥取の常田享詳から「説明が果たせないのであれば公益法人は辞退すべきだ」との意見が出ると、山形の沓沢行雄は「東北は上村会長を支持する。上村会長は風格もあるし、頭もいい。立派な人。この危機を回避できるのは、上村会長しかいない」と現執行部を支持する発言をした。それに対して了徳寺が「最近は道場の入門者が減り、逆にやめる子が増えている」「ここが柔道界の正念場。このままでは公益認定を取り消される危機もある」と発言すると、上村の地元である熊本の中林厚生が「子供は増えている。上村会長に失礼だ」「なんなんですか、あんたは!上村会長は一生懸命やりよるじゃろ!」と声を上げて反発、「恫喝ですよ、それは」と了徳寺が応酬するなど、怒声が飛び交う紛糾する事態にもなった。事前に講道館名誉館長の嘉納行光が上村支持の票固めに奔走していた上村陣営と、それに反発して関東を中心に結束を図っていた了徳寺陣営の対決が注目された会議は結局仕切り直しとなって、7月の臨時評議員会で解任問題が改めて協議されることになった。評議員会後に上村は「(解任要求は)不名誉だが、真摯に受け止めて改革をやり遂げたい」と語ると、了徳寺は「ぜひ世論の後押しがほしい」と訴えた[228][229][230][231]。
また評議員会では、前日理事会で提案された新理事候補である谷亮子、田辺陽子、北田典子、本橋順二及び外部理事候補の藤原庸介と橋本聖子が承認されることになった。新たに理事に加わることになった谷は「(女子選手の)窓口的な役割が求められていると思う。柔道を通じて夢や希望を持てる体制を作りたい」「選手と所属(団体)、全柔連などの組織が孤立しないように、意思の疎通を深めたい」「日本発祥の柔道には素晴らしい伝統と文化がある。それを広めながら改革していきたい」、田辺は、「改革はスピード感が大切。新しい風を組織に入れたい」、北田は「セクハラや暴力をゼロにしたい」とそれぞれ決意を語った[232][233]。
さらに評議員会では代表監督の任期は最大8年で、国際大会の出場経験を有して社会通念を持ち、品格を備えていることを登用基準に定めて、新たに設置する選考委員会で選出した後に理事会で承認を諮ることに決めた。今年になって試験導入された新ルールも9月の全日本ジュニアと11月の講道館杯で採用されることも合わせて報告された[234]。
6月27日に全柔連会長の上村は、評議員の了徳寺健二から臨時評議員会の開催請求書が提出されたことを受けて、来週にも臨時理事会を開き臨時評議員会の開催日時を決定することになった。請求書は新理事を除く23名の理事解任を求めている[235]。
また、この日にJOCは評議員会において役員の改選人事を行い、新理事にロサンゼルスオリンピック柔道金メダリストの山下泰裕、シドニーオリンピックマラソン金メダリストの高橋尚子、ソウルオリンピック競泳金メダリストの鈴木大地など10名を選出した。さらに女子柔道の暴力問題を受けて、コンプライアンス専門部会を倫理委員会に格上げするとともに、ドーピングや違法行為から選手を守り、競技環境を改善することを目的としたアントラージュ専門部会を新設することになった。アントラージュ専門部会の初代部会長の座に就任した山下は、「柔道界が大変な、ご迷惑をおかけしている。この言葉(アントラージュ)を聞いたことはなかったが、非常にやりがいのある仕事だ」と語った。さらに、全柔連の外部理事にも就任することになったJOC理事の藤原庸介からは、8月の世界選手権前後には具体的な発表が行えるようにと、問題の早期解決を促されることになった[236][237][238][239]。
一方、評議員会に出席した上村は、JOC名誉委員の広瀬喜久男から「全柔連は“欠陥団体”。2020年五輪開催地の投票が決まる前、8月中の人事刷新を求めたい」との批判を受けた[240]。
6月28日にはJOC理事会で、3月に全柔連に対して求めた13項目にわたる改善勧告の進捗状況が報告された。全柔連側から提出された報告書によれば、指導者による不当行為は陣容が一新されたことで、強化現場において一切存在しないと認識しているとした。また、強化委員長から届けられた選手の生の声を、常務理事会で生かせるようなシステムを構築していくとも述べられていた[241]。
7月2日に全柔連は臨時評議員会の招集を協議するために9日に臨時理事会を開催することを決めた[242]。
7月3日に全柔連は「改革・改善実行プロジェクト」の迅速化を図り、8月末までに具体的な道筋をつけることを目的とした、特別作業チームの「改革促進タスクフォース」を新たに設置することになった。新理事の田辺陽子、北田典子、藤原庸介、強化委員長の斉藤仁、広報委員長の宇野博昌及び、外部人材として日本バスケットボール協会の裁定委員長を務める山見博康の6名がメンバーに選出され、参議院選挙後には谷亮子も加わることとなった。そこでは選手委員会の設立、事務局運営の透明化、代表選手選考基準の明文化の3点がプロジェクトとして実行に移されることになった。選手委員会は現役選手や引退選手など男女同数の10数名の陣容となり、選手の意見が全柔連の意思決定に反映できる仕組みとする。また、代表選手選考に関しては、選手が選考結果に異議を申し立てられる内部上訴システムの構築を目指すことになった。北田は「現場が悲鳴を上げている。なかには柔道に取り組んでいる子供が柔道衣にレイプと落書きされた話も聞いている。現場が一日も早く安心できる柔道界にしたい」と訴えた[243][244][245][246][247]。
さらにこの日、全柔連は「暴力の根絶プロジェクト」責任者である山下泰裕名義で、「暴力の根絶に ついてのお願い」と題した、暴力の定義や通報窓口の設置、処分内容などに関する情報公開を公式サイトで行った。具体的な暴力行為として「殴る、蹴る、突き飛ばす等の行為」、「言葉や態度による人格の否定、脅迫、威圧等」、「セクシュアルハラスメント」などが定義された。悪質な行為に関しては会員登録の永久停止や抹消などの処分が下されることになった。なお、この処分は9月から施行される[248][249]。
7月5日には、日本男子代表コーチである国士舘大学教員の鈴木桂治がスペイン遠征に出発する際に、「改革促進タスクフォース」が2ヶ月以内に代表選手選考基準を明確化すると発表したことに関して、現場不在で話が進められて強化スタッフに情報が伝わっていないと戸惑いを示した[250]。
また、この日に神奈川総合高校で開催された「部活指導のあり方と暴力行為根絶に向けた集い」において、神奈川県体育協会会長でもある山下泰裕が「罰すればそれで済むようなものではなく非常に根が深い。あれも駄目、これも駄目というのではなく、指導者はどうあるべきなのか理想を掲げ、時間をかけてポジティブにやっていきたい」との姿勢を示した[251]。
7月9日には千葉県柔道連盟会長の了徳寺健二から提出されていた「臨時評議員会開催請求書」を受け臨時理事会が開かれて、30日に新理事を除いた会長の上村を始めとした理事全員の解任について協議する臨時評議員会が開催されることが決まった。議決にあたって了徳寺は無記名投票を求めていたが、採決方法は評議員会の場で決められることになった。過半数の賛成票を得て理事の解任が決まった場合は、評議員らから成る理事選定委員会が後任の理事を選出することになった。 また、理事会では9月1日に選手委員会を設置することが承認された。さらに、理事会に初めて出席した谷亮子は、「緊張感も責任感もある。改革を一歩一歩進めていくことが大事」と語るとともに、上村が10月を辞任のめどとしていることに対して、「(改革の)方向性とめどが立てば7、8月の段階で会長は決断するのではないか。上村会長や理事の方は一般の方々の意見をくみ取り、どこかで責任を果たさなければいけない」とも指摘した[252][253][254]。[255]。
7月12日には「改革・改善実行プロジェクト」の責任者会議が開かれて、各分科会におけるプロジェクトの進捗状況が報告された。そこでは、8月1日からの始動を予定している内部通報制度と、9月1日付けで新設されるアスリート委員会の規定案が発表された。内部通報制度では、組織内の不正行為を告発する場合は封書に実名を記入した上で窓口となる担当弁護士に送付して、案件によっては外部有識者らによる特別対策チームが対応にあたることになった。また、アスリート委員会は男女同数で、委員長は全柔連理事も兼ねる仕組みとした。一方、全柔連会長の上村は10月に辞任する予定であるを繰り返し述べた[256][257]。
7月14日には山下泰裕が理事を務めるNPO法人の「柔道教育ソリダリティー」がパネルディスカッションを開催した。山下が責任者となっている全柔連の暴力根絶プロジェクトの活動報告をすると、「完全に暴力をなくすためには、相当な覚悟が必要」と語った。また、この場には女子強化選手の朝比奈沙羅も出席して山下の話に聞き入った[258]。
7月20日に女子強化委員会は、10日ほど前にロシアのカザニで開催されたユニバーシアードにおいて、ケガの影響もあって体重が落ちず、公式計量を前に棄権した国士舘大学の岡本理帆を強化指定選手から除外することに決定した。今年の5月に全柔連が派遣した国際大会において、計量失格となった選手を強化指定から除外する罰則を定めたが、それを適用した形となった。なお、国内大会で好成績を収めれば強化選手に復帰可能となる[259]。
7月21日には金鷲旗を控えた監督会議において、「暴力の根絶プロジェクト」責任者である山下泰裕が、8月までを暴力根絶の周知徹底期間とした上で、「9月からは、試合や練習などすべての柔道の現場から暴力を根絶する。指導者と選手はもちろん、先輩と後輩などの暴力もなくす」と訴えた。また、2016年から大学柔道界においては、一定の単位を取得しなければ全日本学生柔道連盟主催の大会に出場させない方針を6月の同連盟理事会で決定していたことを明らかにした。1年終了時点で20、2年で40、3年で70単位を取得していない選手は出場権が与えられないという。この点に関して山下は「柔道は他のスポーツに先駆け、文武両道を目標に掲げる」、「武だけになりがちな大学スポーツ界で、文の重要性を広めたい」と意気込んだ[260][261]。
内閣府による勧告
7月23日には公益法人の認定や監督を行う内閣府の公益認定等委員会が、不祥事が続出した全柔連会長の上村春樹を呼び出して、行政改革担当大臣として公益認定等委員会を担当している稲田朋美が、首相の安倍晋三名義の勧告書を手渡した。そこでは、全柔連が暴力などの不当行為に依存せず選手を育成する「技術的能力」や、公益法人として事業を適正に行う「経理的基礎」が欠如していると指摘するとともに、8月末までに組織の改善措置を講じて、執行部や理事会の「責任の所在を明らかにし、体制を再構築すること」を求めており、上村ら執行部に対する事実上の辞任勧告とも受け取れる内容となっている。公益認定法に基づく勧告が行われたのは、2008年の新法人制度施行後初めてのこととなった。8月末までに報告が不十分とみなされると改善「命令」となり、それでも効果のない場合は「認定取り消し」に至り、税制優遇措置などを受けられなくなる。公益認定等委員会は「公益法人の自己規律について」という声明まで出して、「公益法人は国民の信頼なくして成り立たない」と強調するとともに、「一般法人法に定められた職務上の義務に違反している疑いがある」として、全柔連執行部(会長、専務理事、事務局長)のみならず、「柔道界では上の人に意見なんて言えない」として言い逃れを続けてきたとされる理事会、監事、評議員会の責任にも言及することとなった[262][263]。
これに対して上村は、「不名誉で、私の責任。心からおわび申し上げます」と述べて「辞任時期を前倒しする可能性もある」ことを示唆したものの、その直後、「今すぐにはできない」「柔道を守るため、どっちが正しいか見てもらう。ダメだったら仕方ない」と、当初の予定通りあくまでも改革を推し進めた上で10月をめどに辞任する方針である意向を明らかにした[264][265]。一方、全柔連副会長である佐藤宣践は「(現体制は)8月末で終わるものだと思っていた。副会長を含めた執行部は辞める覚悟がある。(会長の発言に)違和感を覚える」と、10月まで上村が会長を続けた場合は公益認定法人の取り消しもありうるとの認識を示した[266]。同じく副会長である藤田弘明も「報道でしか知らないが、重く受け止めないといけない」と述べると、新しく理事になったばかりの北田典子も、上村は8月末までに辞任すべきであり、これについて色々な理事や評議員と意見交換したが、みな同様の意見であったと語った[267]。さらに評議員の了徳寺健二は、「責任は度重なる自浄作用の機会を踏みつぶし、己の保身のためにその地位にとどまろうとした会長をはじめとする執行部、それを傍観し、放置してきた理事たちにあることは明白。即日辞任されることを要求する」との見解を示すとともに、このような事態になった以上は30日の臨時評議員会で上層部の解任動議に反対する評議員は1人としておられないものと思うとも述べて、他の評議員を牽制することになった[268]。
7月24日には組織改革の迅速化を促す特別作業チーム「改革促進タスクフォース」が、公益認定等委員会に全柔連執行部、理事会、評議員会などがまともな機能を果たしてこなかったと指摘されたことを受けて、執行部、理事、評議員の解任をも含めた処分を審議する裁定委員会を、今週中にも設置して人選を行うよう会長の上村に進言することになった[269]。
一方、新たに外部理事となった参議院議員の橋本聖子はこの事態を受けて、「上村会長、全柔連理事の全員が総辞職しないと本当に(改革は)始まらない。総辞職ですよ、総辞職が当たり前ですよ。世間一般の常識からしても、スポーツ界の常識としても、遅すぎる」「本来ならば(1月の暴力問題発覚時の)15人の選手に訴えられた時点で辞めるべきだった」「柔道界だけの問題だけではなく、スポーツ界全体の問題になってることを自覚してほしい」と、執行部や理事の即時辞任を訴えた。また、上村は行政改革担当大臣の稲田から勧告書を受け渡された際には辞めると発言したものの、その後発言をあやふやにしたとの内情も打ち明けた[270][271]。
また、「暴力の根絶プロジェクト」のセクハラ防止部会部会長を務める北田典子が、「ガイドラインを作るにも、まず実態を知ることが大切」と、金鷲旗に参加した女子選手を対象にした無記名のアンケート調査を行って、762件の回答があったことを明らかにした。来月のインターハイでも同様の調査を行うという[272]。
加えてこの日には、現体制批判の急先鋒である評議員の了徳寺健二がマスコミのインタビューに答えた。内閣府から事実上の辞任を要求されながら、改革だけは進めるとして10月まで辞任しないという上村は全くどうしようもないと述べるとともに、上村が前言を取り消して発言を二転三転するのは常套手段となっており、全柔連を私物化している証拠だと非難した。続けて、30日の評議員会で上村を始めとした執行部及び理事を解任に追い込めなければ、柔道界も終わりだと語った。他方、解任された場合、全柔連の新会長には山下泰裕しかいないとしながらも、解任を受けた理事が新会長になるのは国民の納得が得られないので、一定期間の禊が必要となるとも話した。また、新理事になったばかりの谷亮子は、国会議員の職務をきちんと果たしているのか疑問であり、選手時代には強化委員長だった吉村和郎の言動に右往左往していた場面を何度も見てきているので、現執行部に意見を言えるはずもなく、上村体制を擁護するために連れて来られた存在だと思うので理事に相応しいとは言えず、辞任すべきだとの見解を示した[273][274]。
別のインタビューでは、上村は全ての問題のいわば首謀者であり、全柔連はもはや犯罪集団のような組織と化していると発言した。にもかかわらず、このような事態になってもなお会長の座に居座り続けているのは、講道館柔道の創始者である嘉納家の後ろ盾によるものだとも指摘した。2009年まで全柔連及び講道館に君臨してきた嘉納行光にひどく気に入られてその後継者となり、何かと庇護されてきた上村が解任されたとあっては、講道館が受けるダメージが大きいからこそ、嘉納自ら根回しを行うなどして現状維持を図ってきたという。続けて、各都道府県の代表者である全柔連の評議員は、ほとんど7段や8段の高齢者であり、10段は無理としても8段や9段に昇段することを人生のゴールと定めている側面がある。しかし、その昇段を認定するのは講道館館長でもある上村の専権事項になるので、評議員として反抗的な態度は取りづらいとの言も付け加えた。さらに、上村ら役員は講道館より手厚い給与を支払われているが、外部の人間が役員になって給与明細が明らかになることを嘉納と上村は恐れている可能性もあるとした上で、上村は全柔連会長のみならず講道館館長の座からも退くべきだとの考えを示した。上村が辞任した後は、世界の柔道界から尊崇の対象となっている現存の10段位である安部一郎、醍醐敏郎、大澤慶己のいずれかに一時的な館長になってもらった上で、然るべき新館長が引き継げばよいのではないかとの提案も行った[275][276][277]。
7月25日に全柔連会長の上村は、「(期限とされた)8月末までに何とかしなければいけない」と述べて、従来より繰り返し発言してきた10月をめどにした辞任を、8月末までに前倒しする可能性があることを示唆するとともに、「(勧告に)徹底抗戦なんてことはない。真摯に受け止めている。今の路線に乗っている改革のスピードを速めていく」と発言した[278][279]。
7月26日には全柔連理事で広報委員長の宇野博昌が、「内閣府の勧告を受け、今さら(辞任が)10月メドという話もないし辞めるなら理事も辞める。それが会長の真意です」と述べて、臨時評議員会が開かれる30日に上村が全柔連会長及び理事を辞職する意向であることを明らかにした。藤田弘明、佐藤宣践の両副会長と専務理事である小野沢弘史の執行部も全員退くことになるという。副会長の佐藤は「執行部っていうのは会長、副会長(2人)、専務理事、事務局長の5人。揃って(辞任)ですよ。 それでなければ国民も柔道の人たちも納得しない。執行部は一蓮托生」「雨降って、地固まるチャンス。雨が降らなかったらこんな改革できなかったよ。山口香は柔道界のジャンヌ・ダルクだよ。私は感謝している」、専務理事の小野沢も「会長が退く時は私も同じだ。勧告を重く受け止める」とそれぞれ語った。また、臨時評議員会は人事に関する議題になるので、通常とは異なりマスコミには非公開となる見込みとなった[280][281][282][283]。
7月27日には全柔連の男子強化委員会が開かれた際に、委員長の斉藤仁は内閣府から勧告を受けたことに関して、「大問題だ。機能していなかったとされた理事会の一員として責任を感じる」と話すと、男子代表監督の井上康生も「一柔道家として本当に情けなく、恥ずかしい。信頼を取り戻すのは並大抵ではないが、一日も早い問題解決を心から願っている」と語った。また井上は、今年から試験的に導入されて世界選手権後に正式採用されると見られる、帯から下を掴むと即反則負けになる新ルールに関して、「あれで勝負が決まっていいのか。他競技での一発レッドカードと脚取りは同じなのか。発祥国として柔道の発展を考えるのがわれわれの使命だ」と述べて、全柔連としてIJFのアスリート委員会などで異議申し立てを行っていく考えがあることを明らかにした[284][285]。
またこの日には、全柔連強化委員でもある山口香が倉敷市において「強さは優しさ?柔道から学んだこと」と題した講演を行った。そこでは、体罰は今の時代に合わないと述べるとともに、全柔連には女性の役員や指導者が少ないので、女性を登用していくことでみんなに優しい柔道界につながるとの認識を示した[286]。
7月29日には評議員の了徳寺健二が、30日の評議員会で執行部と理事を即時解任できなければ公益法人の認定が取り消される可能性があるので、事の重大性を認識しているならば解任決議に同意するよう求める文書を全評議員に送付したことがあきらかになった。さらに、自らも千葉県柔道連盟会長の座を辞任するという[287][288]。
全柔連会長の辞任表明
7月30日には講道館で臨時理事会が開かれて、全柔連会長の上村春樹をはじめ、副会長の藤田弘明と佐藤宣践、専務理事の小野沢弘史と事務局長の村上清の執行部全員が、一連の不祥事の責任を取って8月中にも辞任することを表明した。理事でない村上を除き、理事職からも全員退くことになった。なお、上村はIJF指名理事も今季限りで退任するものの、講道館館長の座は継続することになった。続いて、執行部及び理事全員の即時解任を求めていた了徳寺健二の意向を受けて臨時評議員会が開かれた。評議員59名のうち58名が出席して議長を除く57名が、先月新任された6名を除く理事23名について1名1名解任するか否か無記名による投票を行った結果、反対多数により1名も解任には至らなかった。会長の上村に対する解任は「賛成」16名、「反対」39名、「棄権」2名だったという。その後、今日2度目となる臨時理事会が開かれた。そこでは新任の外部理事である橋本聖子が、理事の辞任をも表明した執行部の4名を除く以前から在任していた19名の理事も、再任を妨げない形で一旦は総辞職した上で理事会を再構築すべきだとの意見を提出すると、異論は出なかったという。同じく新理事の谷亮子は、「理事会と評議員会が互いに独立した関係であるだけでなく、意思疎通のできる枠組みも作るべき」との意見を表明した[289][290][291][292]。
臨時理事会後の記者会見で上村は、不十分な形で辞めるわけには行かないという思いが強かったが、内閣府からの勧告が辞任を決める一番のポイントになった、臨時評議員会での解任動議は非常に重く受け止めている、新会長は外部の人材をも視野に入れた上で、次の百年の計をきちんと作れる人物が望ましいと語った[293]。対して、臨時評議員会で全理事の即時解任を求めていた了徳寺健二は、解任動議が悉く否決されたことに関して「自浄作用が働かなかった。重大な判断ミスだ。国民に見捨てられつつあるのに、評議員会は理解していない」と怒りを表明するとともに、上村が「辞めると言っているのに、そこまですることはなかろうという心理が働いた」と、解任の反対票が多数を占めた点について分析した[294][295]。
新会長候補と目されていた理事の山下泰裕は、信頼を取り戻すために理事は全員辞職すべきだとした上で、現体制に関わった人々が改革を行うことは非常に難しいと述べて、自らが会長になる意思がないことを示唆した。新会長は高い見識があり、柔道をよく理解している外部の有識者が望ましく、そのような人物なら自分たちがやれる改革とは桁が違うとの見解を示した。また、必要とされるならば、そのような人物の下で柔道界のために働きたいとも付け加えた[296]。また、副会長である藤田弘明は「上村会長と一緒ということ。国民の皆さんにご心配をお掛けしたことを深くおわびしたい」、同じく副会長の佐藤宣践も「今回の一連の問題は大きな罪だと受け止めている。内閣府からも厳しい勧告を受け、その通りだと思う」とそれぞれ語った。全柔連強化委員の山口香は「上村会長の辞任は遅きに失した感がある。最後の最後まで醜態をさらした。同じ柔道家として恥ずかしい限りだ。新しい会長はぜひ柔道界以外の人に来ていただきたい。」とコメントした[297]。
一方で、これを受けた行政改革担当大臣の稲田朋美は、上村を始めとした執行部が自発的に辞めただけでは、ガバナンス(統治能力)の再構築には到底ならないと述べるとともに、臨時評議員会で理事全員の解任が否決された点に関して、内閣府の勧告書の趣旨が理解できているのかと疑問を投げかけ、場合によっては全柔連の公益法人認定の取り消しもありえるとの見解を示した[298][299]。
7月31日には外部理事の藤原庸介が評議員改革も必要だとして、47都道府県の各柔道連盟会長、学生柔道連盟、実業柔道連盟の代表者各1名及び、講道館職員ら10名の指名評議員の計59名からなる全柔連評議員会のうち、指名評議員は取り止めにすることを改革案に盛り込むべきだとの言及を行った[300]。
8月1日には外部の意見を組織運営に反映させるために新たに創設した、全柔連会長の上村春樹を始めとした執行部と、理事の山下泰裕、田辺陽子、北田典子など11名の陣容による常務理事会が初めて開かれた。上村の後任となる会長には、外部からの人材を優先して招聘する方針となった。ただし、理事の山下は、場合によっては必ずしも外部からとは限らないとの見解も示した。すでに辞任を表明している上村ら執行部を除いた非公表の4名のメンバーによる「新体制検討チーム」が、8月中旬までに具体的な人選を進めることになる[301][302][303]。
またこの日には、先月の金鷲旗に参加した女子選手へのアンケート調査の結果を公表して、過去に「練習場で体を触られた」「胸をもむぞと言われた」などのセクハラ被害を受けたという回答が10数件あったことを明らかにした。全柔連広報委員長の宇野博昌は「こうしたことは一件でもあってはならない」と述べて、今後実態を正確に把握した上で現場を指導していくことになった[304][305]。
8月2日に全柔連は、選手の意見を組織運営に反映させる目的で新設したアスリート委員会のメンバーを公表した。委員長には理事の田辺陽子が就任する運びとなったのを始め、委員には男子代表コーチの鈴木桂治、今春引退した天理大学職員である穴井隆将及び、了徳寺学園職員の福見友子、さらに現役選手である同じく了徳寺学園職員の小野卓志ら14名が選出された。オブザーバーとして理事の谷亮子も加わることになった。委員会では女子選手の役割拡大、引退後の生活設計、社会貢献などの話し合いがもたれることになるという。このメンバーでの任期は来年6月までを予定しており、その後はアスリート委員会内の選考委員会によって選出されたメンバーが2年間の任期を務めることになる[306][307]。
またこの日に全柔連強化委員長の斉藤仁は、来年度から適用される日本代表選手選考基準の詳細について発表した。それによれば、オリンピックや世界選手権などの主要国際大会や、講道館杯、選抜体重別、全日本選手権など主要国内大会を対象にポイントシステムを導入する。大会レベルに応じて選手に付与されるポイントは2年間有効となり、直近1年より以前のポイントは半減される。また、対戦相手や組み合わせなどの傾斜配点も加味することになった。強化委員会ではこのポイントシステムのみならず、代表候補選手の将来性なども参考に審議した上で、出席した強化委員の過半数の支持を得た選手を代表に選出することに決めた。斉藤によれば、ポイントシステムのみで代表を選出しないのは「(柔道は)陸上競技や競泳と異なり、数値のみで選ぶのは難しい」からだと説明した。また、代表選考に不服を抱いた選手は、強化委員会側に選考結果の説明を求める権利や、日本スポーツ仲裁機構に異議申し立てを行う権利を有している点も明文化されることになった[308][309][310]。
さらに、全柔連会長の辞任を表明した上村は、8月下旬の世界選手権前にリオデジャネイロで開かれるIJF総会には出席しないことになった。IJF指名理事ではあるものの、新会長への引継ぎをする必要性などもあり、総会に行けるような状況ではないと理由を語った[311]。
8月6日には常務理事会が開かれて、12日の常務理事会で新体制検討チームが会長を始めとした新執行部の候補を報告して、14日の臨時理事会に諮られることが決まった。また、外部から会長を招いた場合、常勤を求めるのは難しいことから、新執行部には複数の外部理事が就任する可能性があるという。[312]。
8月7日には執行部以外の理事からも相次いで辞任が表明されていることが明らかになった。東京オリンピック軽量級金メダリストである中国地区代表の中谷雄英は「理事職にしがみつくつもりはない。自分の意思で辞めたい」、北海道地区代表の高梨幸輔は「責任の一端がある。同じ顔ぶれでは何も変わらず、体制を一新させたとはっきり示すのが正しい道だ」とそれぞれ語った。また、全柔連広報委員長で理事の宇野博昌は、理事全員が辞任する方向で調整が進んでいると明かした。ただ、宇野自身もメンバーである常務理事会に関しては、執行部を除いて再任される可能性があることを示唆した[313]。
8月10日には全柔連の新会長に、東京大学柔道部出身で全日本実業柔道連盟会長を務める、新日鉄住金会長兼最高経営責任者の宗岡正二が就任する見込みになったことが複数の関係者の話から明らかになった。宗岡自身も全柔連側からの理事打診を了承したという。また、全柔連には経営と同じく透明性の確保と説明責任の遂行が求められると述べるとともに、人事に関しては外部登用の必要性にも言及した。14日の臨時理事会で上村春樹ら執行部4名が理事を辞任した上で、宗岡を新理事候補として評議員会に推薦して、21日以降に開催される評議員会で正式な理事に選出された後に、新メンバーによる臨時理事会において理事の互選で正式な会長に就任する運びとなった[314][315][316]。
8月12日には常務理事会が開かれて、新理事候補として宗岡正二と、宗岡の東京大学柔道部時代の後輩にあたる、元大阪府警本部長で現在はトヨタ自動車顧問を務める近石康宏を、14日の臨時理事会に推薦することを決めた。広報委員長の宇野博昌は「改革に対する意識が非常に強く、遂行する力量があると判断した」と推薦理由を説明した。また、宗岡は近石を招聘することを条件に理事推薦を引き受けたこという。副会長や事務局長の選出は新会長が予定されている宗岡に一任されるが、副会長候補には理事の山下泰裕が昇格する見込みとなった。山下も「できるだけ汗をかきたい」と意欲を見せた[317][318]。全柔連強化委員の山口香は、執行部に外部から人材が登用されることに関して、「一歩前進。外から一度入ってもらった方がいい」、「内部にずっといると、みんなお友達になる。大きな組織を改革する時は情が生じて踏み切れないという歴史がある。今回もそれが大きな問題につながった」との認識を示した[319]。
また、この日には全日本学生柔道連盟の理事会も開かれて、同連盟代表として全柔連の理事を務めている佐藤宣践が一連の不祥事の責任を取って辞任するに当たり、後任として日本大学柔道部総監督で全柔連評議員を務める高木長之助を新理事に推薦することを決めた[320]。
一方、「暴力の根絶プロジェクト」セクハラ部会の責任者を務める北田典子は、金鷲旗やインターハイの際に女子選手からセクハラに関するアンケート調査を1278件受け取ったものの、即座に対応すべき重要な案件はなかったことを明らかにした。ただ、今後も継続的な対策を行っていくことになった[321]。
8月13日にはブダペストにあるIJF本部を訪問していた上村が帰国して、IJF会長のビゼールから指名理事を継続するように要請されていたことを明らかにした。上村はすでに指名理事の座も辞する意向にあり、後任の推薦をビゼールに要望したものの、上村が退任した場合は日本からの補充はないとの返答を受けた。その場合は国際的な発言力が低下することから、「私自身は辞めたいと思っているが、柔道界の発展のために、うまく対応しないといけない」と続投の可能性に含みを持たせることになった[322][323]。
8月14日には臨時理事会が開催されて、会長の上村春樹を始めとした理事23名(6月に新しく就任した6名を除く)と監事3名の計26名が、一連の不祥事の責任を取って21日付けで辞任届けを提出することになった。また、新理事候補として宗岡正二と近石康宏を21日の臨時評議員会に推薦することになった。その後の新理事会における互選を経て、宗岡が新会長、近石が専務理事に就任する運びとなった。理事を辞任する山下泰裕も臨時評議員会で理事に再任された後に副会長に就任する見通しとなった。理事会後の記者会見で辞任することになった上村は、「一生懸命に改革、改善に取り組んだつもりだが、残念ながらスピード感がなかったのが一番の問題。私の判断も少し甘かった」、「日本の柔道界は世界から尊敬され認められるところであってほしい」と述べた。山下は「極めて残念。自分がいかに無力だったか、ということを感じている」とコメントした[324][325][326]。理事の谷亮子は宗岡らが理事推薦に決まったことに「信頼の厚い方々。速やかに改革が行われると思う」と話した。また、「我々女性理事や外部理事からも新理事の推薦をさせていただきたい」と、新理事の選出にも積極的に関わっていく姿勢を見せたという。さらに、現在59名に上る評議員会の縮小を踏まえた評議員会の規定改定を示唆した[327][328]。 一方、講道館で開催された世界選手権日本代表選手団の壮行式で上村は、「今、柔道界は大変困難な状況にあるが、日本の柔道界に元気を送るために、自分の目標を達成するために精いっぱい頑張っていただきたい」と語りかけた[329]。
加えて、臨時理事会において全柔連は、「暴力の根絶プロジェクト」が提出した「暴力行為根絶宣言」を承認した。宣言は「全柔道人の総意」として、「暴力は人間の尊厳を否定する卑劣な行為であり、柔道において決して許されない」とした上で、「指導者は、すべての暴力行為が人権の侵害であることを自覚し、暴力行為が指導における必要悪という誤った考えを捨て去る。柔道を行うすべての者は、いかなる暴力行為も行わず、黙認せず、柔道の場からあらゆる暴力行為の根絶に努める」と言った内容が盛り込まれることになった[330][331]。
8月19日に上村は23日にリオデジャネイロで開催されるIJF理事会には出席せず、代わりに全柔連国際委員長の細川伸二を派遣するとともに、IJF会長に再選される見通しのマリウス・ビゼールによる指名理事留任の申し出も辞退することを明らかにした。上村としては指名理事の後任候補として細川らを送り込めるようにビゼールと交渉しているものの、受け入れられるのは難しいと語っており、これで日本からの理事が不在になる公算が大きくなった。その一方で、直接事情を説明するために、事務局長を辞職することになった村上清を伴ってリオデジャネイロまで赴く話も出ている。また、9月にブエノスアイレスで開催される2020年夏季オリンピック開催都市を決定するIOC総会には、東京招致のためのロビー活動の一員に加わる可能性があるという。複数のIOC委員に顔が利くと言われるビゼールに東京招致を働きかけるためだという。全柔連会長に就任予定の宗岡は、全柔連の活動に上村を一切関わらせない方針にあるが、国際関係を盾にこのような動きを見せることで上村が影響力を残そうとする見方も出ている[332][333][334]。
新体制発足へ
8月21日には臨時理事会が開催されて、全柔連会長の上村春樹ら執行部を含めた理事23名と監事3名の計26名が総辞職した。また、理事会では新日鉄住金会長兼最高経営責任者の宗岡正二やトヨタ自動車顧問の近石康宏ら21名が新理事候補として推薦された[335]。 続く臨時評議員会で宗岡ら21名が新理事として承認された。他に定款の見直しも行われて、評議員定数を現行の「50人以上70人以内」から「30人以上60人以内」に改めることも決めた。さらに、評議員の了徳寺健二は評議員もまた一連の問題に関して責任を有しているとして全員の辞職を求めたものの、その点については結論に至らなかった。 その後、新たに開かれた理事会において、理事の互選により正式に宗岡が全柔連の新会長に就任することになった。外部から招聘された初めての会長となった宗岡の任期は来年の6月までとなる。専務理事には同じく外部から招聘された近石、副会長には理事再任となる山下泰裕、事務局長には同じく理事再任となる宇野博昌がそれぞれ選出された。これにより、新理事は6月に選出された6名を含めて27名となった。 今回は山下や宇野の他に、細川伸二やIJF審判委員を務める川口孝夫ら7名が理事再任となる一方で、元広島高検検事長の梶木寿や、早稲田大学教授の友添秀則、かつて世界選手権で4連覇を達成した藤猪省太ら14名が新任理事として選出された。また、理事の業務遂行状況を監督する監事には強化委員の山口香ら3名が選ばれた。斉藤仁は理事に再任されず強化委員長に専念することとなった。了徳寺は評議員を今月中に辞する意向を示した。 加えて、新たに専務理事となった近石を委員長とする7名のメンバーからなる、評議員会や理事会などの組織改革を目的とした「改革委員会」が設置されて、ガバナンスの再構築に取り組むこととなった。[336][337][338][339]。
新会長となった宗岡は記者会見で「柔道に育てられた者の恩返しとして、火中のクリを拾う決意をした。変えねばならないものは徹底的に改革する」「全柔連のガバナンス(組織の統治)や不祥事の問題をきっちり立て直して軌道に乗せ、一日も早く国民の信頼を取り戻したい」と決意を語るとともに、「軌道に乗ったと確認できたら、職を辞して若い有為な人に任せたい」とも述べて、改革のメドが付けば一期限りで会長職を退く可能性も示唆した。副会長となった山下は「一日も早く信頼を取り戻せるよう、全力でやっていきたい」、監事に登用された山口は「監事は外から評価する立場。これまでも比較的、思うところを述べてきたつもりではいるが、これまで以上に、中の人間では指摘しづらいこともきちんと発言していきたい」とそれぞれ語った。 一方、会長職を辞した上村は、一連の不祥事に関して謝罪しつつも、自身の業績を列挙して、「まだまだ未熟だが、自分なりにいい仕事ができたと思う。違った角度から柔道を支えたい」と話した[340][341][342][343][344]。
またこの日に事務局長の宇野博昌は、秘匿していた新会長を選出するための「新体制検討チーム」のメンバーが、理事の山下泰裕と橋本聖子、前監事の三宅雄一郎及び宇野自身の4名の陣容であったことを明らかにした[345]。
この問題に対する各界の反応
2013年1月31日に文部科学大臣である下村博文は、一連の事態は監督辞任で済むような問題ではないと、JOC会長である竹田恒和にこの問題の再調査を含めた全容解明を求めた[346][347]。さらに、この事態が「日本のスポーツ史上最大の危機」であるとの認識も合わせて示した[348]。自民党スポーツ立国調査会会長である遠藤利明は再発防止のための第三者機関設置を求める法改正を進める意向を明らかにした[36]。
また、今回の件を受けてJOCは、2月1日に英文で「スポーツにおいて暴力はあってはならず、五輪運動の価値に反する」といった暴力撲滅を訴える内容の声明を世界の主要メディアに発信した。さらに、国際オリンピック委員会もこれを受けて、「JOCがこの問題で効果的な対応をするものと確信している」と述べた[349]。
さらにJOCは、夏季及び冬季五輪加盟競技31団体の強化責任者から暴力やパワーハラスメント、セクシャルハラスメントがなかったかの聞き取り調査を行った結果、一切ないとの回答を得たという[350]。しかし、共同通信社によるオリンピック競技種目の責任者へのアンケート調査によると、柔道以外に2つの競技団体で暴力行為の存在を認める回答があったという[351]。
2月7日に日本体育協会は116の加盟団体に対して、暴力の根絶に務めるようにとの通達を発した[352]。
2月12日に日本スポーツ仲裁機構は今回の件を受けて、スポーツ界における不祥事の調査や摘発を行うための「調査摘発部」を新設する意向を明らかにした[353]。
2月13日にJOCは「スポーツ団体マネジメントセミナー」を開催して、今回の問題を題材にしながら、コンプライアンス(法令順守)の重要性を学習することになった[354]。
2月21日には自民党や公明党、民主党、日本維新の会などの超党派の議員で構成されるスポーツ議員連盟の総会において、暴力を受けた被害選手の相談窓口の開設や調査のための第三者機関の設置を盛り込んだ「日本スポーツ振興センター法改正案」が了承された[355]。27日には政府・与党によって同改正案が了承されることになった[356]。
2月22日にフジテレビ社長の豊田皓は定例記者会見において、告発選手によって批判されたロンドンオリンピック代表選手発表会見での見世物のような中継方法に関して、「配慮が足りなかった。代表で出る人と出られない人が一緒にされ、テレビに映されるのが嫌な気持ちは重々分かる」と釈明した。また、発表会見に集められた選手の人選や場所は全柔連が決めたものの、中継方法に関してはフジテレビと全柔連の話し合いによって決まったという[357]。
2月26日にJOCはアメリカオリンピック委員会の「Safe Sport」制度を参考に、選手から競技団体に告発がなされた場合に、当事者同士の匿名性を維持した状態で、第三者の法律専門家などに調査を委託して問題を速やかに解決する第三者機関の設置を提案した[358]。さらに、JOCと全柔連にそれぞれ独立してこの通報機関を設置することをあきらかにした[359]。
2月28日にJOCは、加盟57団体の選手と指導者約6500人に、無記名で「競技活動の場におけるパワハラ、セクハラ等に関する調査」をアンケート形式で実施したところ、4割から回答があったことを明らかにした[360]。その集計と分析を弁護士事務所に依頼して、結果を各競技団体にもきっちりフィードバックする意向だという[361]。
3月13日にJOCは日本体育協会、日本障害者スポーツ協会、全国高等学校体育連盟、日本中学校体育連盟と連携して、スポーツ界における暴力の根絶を宣言して、啓発活動に取り組むことを明らかにした[362]。18日には宣言文作成委員会を設置した[363]。さらに、「暴力行為等相談窓口」を設けて、そこで暴力やセクハラ、ドーピング問題などの相談を受け付けることになった。この窓口は日本スポーツ振興センターやJOCにも設置されることになるという[364][365]。
3月19日にJOCは「競技活動の場におけるパワハラ、セクハラ等に関する調査」のアンケート結果を公表した。選手1798名、指導者1457名の計3255名の回答のうち、選手の11.5%にあたる206名が暴力行為を含めたパワハラやセクハラを受けたことがあると回答した。さらに、指導者の3%にあたる43名がパワハラやセクハラを行ったことがあると回答した。指導者の29.1%は何らかの形で暴力行為を認識していたことも確認された。一方、そのような行為を「見たことも噂に聞いたこともない」と回答した者は74.5%に上った[366][367]。
3月20日にJOCはパワハラやセクハラ問題に対応するための「通報相談窓口」を都内の弁護士事務所に設置して業務を開始することになった。弁護士が調査を担当して、不当行為が明確になった場合はJOCが対応することになった[368]。
3月22日に文部科学省はこの問題を受けて、暴力を用いない科学的見地に則ったトレーニング方法や、指導力向上などを含めたトップレベルのスポーツ選手の育成方法を検討するための有識者会議を発足する意向をあきらかにした[369]。
3月28日にはJOCの女性スポーツフォーラムが「指導者と選手の間のコミュニケーション」というテーマの下で開かれて、JOC女性スポーツ専門部会部部会長でもある山口香が「(円滑なコミュニケーションのためには)指導者も選手も双方向から意識を変えていくことが必要」との意見を述べた[370]>。
4月12日に文部科学省はスポーツ指導の実績がある研究者6名のメンバーから成る「スポーツ指導者の資質能力向上のための有識者会議」の初会合を持った。この会合に出席した文部科学大臣の下村博文は「わが国のスポーツ史上最大の危機。暴力一掃のきっかけとなる議論をお願いする」と発言した。この会議では暴力に頼らないスポーツ指導者のあり方を検討して6月に報告書を提出することになるという[371][372]。
4月16日にJOCは加盟団体に不祥事があった場合、JOCが事務所への立ち入り調査や帳簿の閲覧等の権利を行使する調査権を明文化した、加盟団体規定の改定を行うことに決めた。さらに加盟団体に定期的な資格認定の更新手続きを義務付ける方針だともいう。また、JOCが3月20日から強化指定選手やスタッフを対象に始めた通報相談窓口には5件の相談が寄せられて、その内の1件は継続調査を要することが報告された[373][374]。
4月23日には参議院の予算委員会で、元総務大臣で日本維新の会の片山虎之助が、柔道界における一連の不祥事に関連して大改革の必要性を首相の安倍晋三に問い質すと、「柔道は一般スポーツと違う。ただ勝てばいいというものではない」「礼に始まり礼に終わるという武道の神髄を究めることこそ、全柔連に課せられた使命」にもかかわらず、かくの如き事態となった現状は「極めて残念。青少年に悪い影響を与える」との認識を示して、組織改革の徹底を求めた。文部科学大臣の下村博文も「自浄作用を発揮して立ち直ってもらいたいし、文科省としても監督していく」と述べた。柔道界の不祥事が国会の場でも取り上げられたことに関して全柔連会長の上村春樹は「はなはだ不名誉なこと」とコメントした[375][376]。
4月25日には「スポーツ界における暴力行為根絶に向けた集い」において、日本体育協会、JOC、日本障害者スポーツ協会、全国高等学校体育連盟、日本中学校体育連盟が合同で「暴力行為根絶宣言」を採択した。宣言では「暴力は人間の尊厳を否定し、指導者とスポーツを行う者の信頼関係を根こそぎ崩壊させ、スポーツそのものの存立を否定する」「暴力による強制と服従では、優れた競技者は育たない。指導における必要悪との誤った考えを捨て去る」として、今後はスポーツ界におけるいかなる形の暴力も決して認めないことを確認することになった[377][378]。
また、JOCはこの日に「競技活動の場におけるパワハラ、セクハラ等に関する調査」の最終報告書を公表した。選手と指導者3379名のうち、選手の25.9%にあたる494名、指導者の29%にあたる429名が競技活動の中で暴力を認識していたと回答した。JOC理事の福井烈は「こういう数字が出たことを重く受け止める。スポーツに携わる一人一人が問題意識を持たないといけない」と述べた[379]。
4月26日には参議院本会議で、スポーツ指導において選手が暴力を受けた際の相談窓口となり、さらには暴力の実態調査も行えるようになる第三者機関をJSC内に新設するための法改正が可決されることになった[380]。
5月10日には文部科学省の有識者会議が体罰防止の具体例を示したガイドラインを公表したが、日本体育協会専務理事の岡崎助一が「単純に許される行為、許されない行為に二分できるのか」とグレーゾーンの存在を指摘した。「不必要な身体接触は避けるべき」との提案には、JOC専務理事の市原則之が柔道やレスリングなどでは指導者が体を使って教えるケースが多いことから、「殴るまでに至らない微妙な行為もある。厳しさから強さが生まれることもあり、非常に難しいテーマだ」と疑問を呈することになった[381]。
5月27日には文部科学省の有識者会議が「勝つことのみを重視し過重な練習を強いることがないよう求める」ことを唱えた、体罰やパワハラを防止するための部活動指導のガイドラインを策定して、全国の学校に通知することになった。それによれば、体罰は「子どもの技能向上に役立たない」と強調するとともに、殴る蹴るといったあからさまな暴力行為やパワハラに当たる発言の他に、「長時間にわたる無意味な正座」、「熱中症が予見される状況下で水を飲ませず長時間ランニングさせる」、「柔道で受け身ができないように投げる」などを体罰の具体例として提示した上で、「指導者と生徒との間で信頼関係があれば許されるとの認識は誤り」との見解を示した。一方で、「初心者に受け身を反復させる」「バレーボールで、反復してレシーブさせる」といった指導や、暴力を振るってくる生徒を押さえつける行為などは認められることになった[382][383]。
6月4日にJOCは加盟団体規定を改訂して、問題を起こした競技団体に的確に対処するため「事務所に立ち入り、活動状況に関する資料を閲覧し、役職員に質問できる」などJOCの調査、監督機能面での権限強化を明文化した。さらに、ガバナンスの確立や代表選手選考の透明化を競技団体に義務付けるとともに、違反した場合は処分の対象とすることも決めた[384][385]。
6月10日には文部科学省の有識者会議に、元プロ野球選手である桑田真澄とオリンピック柔道72kg級銀メダリストである田辺陽子が外部有識者として招かれた。このうち桑田は、小学生の時は練習で毎日のように殴られたと自身が受けた体罰の体験談を語るとともに、「一方的に怒鳴ったり殴ったりするのではなく、選手と一緒に悩み喜ぶ伴走者」こそが理想の指導者であると述べた。また、体罰や長時間練習などで肩や肘を壊して消えていった選手も少なくなかったとして、スポーツ指導のあり方に関しては、「勝利至上主義から人材育成にシフトすることが重要だ」との意見も述べた[386][387]。
6月21日には内閣府の公益認定等委員会が「スポーツ系公益法人のガバナンス(統治)の確立」というテーマでJOCと日本体育協会にヒアリングを行い、加盟競技団体の役員に外部有識者を積極的に登用することを要望した[388]。
6月28日には最後となる5回目の有識者会議が開かれて、報告書がまとめられた。それによれば、資格制度を整備して指導者の能力向上を図るとともに、全ての指導者が資格を取得することを求めることになった。暴力を生み出す原因としてスポーツの現場における閉鎖性が指摘されたことから、国や競技団体、大学などが有機的に連携して、改善協議を行うためのコーチング推進コンソーシアムの設立も提言された。加えて、女性コーチの育成や、コーチ以外に選手の相談役を務める人材を配置するメンター制度の創設も提唱された[389]。
7月2日には、有識者会議が先週まとめ上げたスポーツ指導者の質の向上策に関する報告書を、文部科学大臣の下村博文に提出した[390]。
7月4日に日本体育協会の指導者育成専門委員会は、指導現場における暴力問題などを受けて「スポーツ指導者のための倫理ガイドライン」を公表した。選手との良好な関係の構築や指導者の社会的責任などが具体的に言及されることになった。また、指導者による暴力やセクハラ、ケガを押してのプレーの強要などは、指導者が自らの権力に無自覚な時や、過度の勝利至上主義に陥った場合に起きやすいスポーツ医科学的根拠を持たない問題ある言動とみなして、注意を換気することにもなった[391][392]。
7月30日には全柔連会長の上村春樹が8月中にも辞職することを表明したことを受けて、JOC会長の竹田恒和は「一刻も早く新たな体制を整えて改革を進め、公益法人としての社会的責任を果たすべく、信頼される全柔連を再構築するよう期待したい」、専務理事の青木剛は「スポーツ界のガバナンス(統治)とコンプライアンス(法令順守)が問われている」とそれぞれ見解を示した[393]。
8月9日には日本体育協会が全柔連に対して勧告処分を下すとともに、9月30日までに改善計画書を提出して、その後3ヶ月ごとに経過報告を義務付けることを指示した。勧告内容としては、スポーツの文化的価値や組織としての倫理観を再認識し、ガバナンス(統治)の改善・改革を図ること、女子柔道の暴力問題を受けて指導者資格制度の確立を来たすこと、日本体育協会が実施する「公認スポーツ指導者制度」へ参画することの3点を挙げた。これに対して全柔連会長の上村は、「ご迷惑をお掛けして申し訳ない。改革、改善はきちんとやっていく」とコメントした[394][395]。
8月20日には日本スポーツ振興センター内に、暴力指導への通報や相談を受け付ける第三者機関が設置されることが決まった。また、その機関の在り方をを検討する「実践調査研究協力者会議」が、陸上競技のハードル選手として活躍していた為末大や、競泳の背泳ぎ200mでアテネ及び北京オリンピックの銅メダリストになった中村礼子といった元選手、さらには日本スポーツ仲裁機構の機構長である道垣内正人や早稲田大学教授の友添秀則などをメンバーとして、調査方法や処分案などの仕組みを9月2日の会合で議論することになった。当面はオリンピック強化指定選手のみが対象となる。将来的にこの機関は暴力指導に限定せず、セクハラや組織の内紛といったスポーツ界の不祥事全般に対応することを視野に入れているという[396]。
全柔連理事による猥褻行為
猥褻行為の告発
2013年5月23日には静岡文化芸術大学准教授の溝口紀子が、都内で開催された日本スポーツ法学会のシンポジウムにおいて、代表チーム監督らによる暴力指導を告発した女子15選手に続く「16人目の告発選手が出ました」と発言して、現職の全柔連理事による猥褻行為の存在を明らかにした。それによれば、強化指定選手ではないものの全国大会に出場経験のある30代の女性が、2011年12月に開催された柔道大会の打ち上げの飲み会後に、都内の地下鉄駅構内にあるエレベーターの中で70代の全柔連理事と2人きりになった際に、無理やり抱きつかれたりキスをされるなどしたという。これに驚いた女子選手がトイレに駆け込み携帯電話で友人に助けを求めると、トイレ前で理事が「出てこい」と叫ぶなどしたので、迎えに来た友人とともに交番に駆けつけた。しかし、監視カメラなどの証拠映像がなかったので被害届けを出すことはなかった[397]。また、以前からこの理事に何度かセクハラに近い行為を受けていたともいう[398]。
その後、この女性は該当理事から擦れ違いざまの謝罪は受けたものの誠意を感じられなかったので、正式な謝罪や理事職の辞職を求めて全柔連の別の理事に相談を持ちかけた。しかし、これといった進展が見られなかったために、「暴力の根絶プロジェクト」でセクハラ問題も議題に上がったことを知り、この問題の部会長である北田典子経由で溝口に相談を持ちかけた。女性は今なお精神科の通院治療を受けているという。この女性の弁護士である境田正樹によれば、この理事は今回の告発1ヶ月前に「やって(訴えて)も無理だよ」と女性に話しかけてきたともいう。続けて、この理事の辞任を求めて今後全柔連と交渉することになるが、今回の一件は強制わいせつに相当するので刑事事件になってもおかしくないと語った。一方、全柔連広報委員長である宇野博昌は、事態の把握に努めていると述べた。会長の上村春樹や副会長の藤田弘明などの執行部もこの一件については何も知らなかったという[399][400][401]。
5月24日に全柔連は、専務理事の小野沢弘史を責任者とする特別調査チームを立ち上げて、この問題の調査に当たると発表した。 続けて広報委員長の宇野は、女性が相談を持ちかけたという別の理事の存在に関して、調べた限りでは見当たらないと語った[402]。 加えて、調査チームのメンバーで「暴力の根絶プロジェクト」セクハラ根絶部会の責任者でもある北田典子は、溝口が被害女性を現役選手と発表したが、実際は理事と同じ職場の職員であり、猥褻行為が複数回あったとの言及に対しても1回だけの行為であったと否定した。さらに女性が別の理事に相談を持ちかけた事実も存在しないと指摘して、「溝口さんに“指導”ですね」と溝口の誇張めいた発言の数々に苦言を呈した。この点に関しては溝口も「すいませんでした」とメールで返答してきたという[403]。これに対して溝口は、被害女性を選手と紹介したのは女性が職員であると同時に選手でもあり、本人が選手という肩書きに同意したので用いたまでのこと、女性が全柔連及び東京都柔道連盟の役員を兼任する人物には相談を持ちかけていたこと、セクハラではないものの、今年4月になって女性がこの理事と業務上の同行を求められたことで精神的に不安定に陥ったこと、北田にメールで謝罪したのは北田の同意を得ずにシンポジウムで猥褻行為の存在を公表したことだとの反論を行った[404]。
理事辞任表明
この一方で当該理事は、「事実です。後悔しているし、相手には大変申し訳なく思っています」と猥褻行為を認めて、全柔連理事及び兼任する東京都柔道連盟会長を辞職する考えを示した。理事によれば、被害女性は職場の部下であると同時に柔道の「形」競技の選手でもあるが、所謂試合をする選手ではないという。続けて、当日は都柔連の行事後に春日駅近くの居酒屋でたまたまその女性と遭遇すると、女性の友人を含めた3名で都営三田線に乗車して、巣鴨にあるすし屋に立ち寄って飲食した。その後、「巣鴨駅構内にある地下鉄のエレベーターに2人で乗ったこと」、「高島平駅の女子トイレ前で女性を待っていたこと」、「駅近くの交番でタクシーに乗って警察官に送られる女性を見たこと」まではおぼろげに覚えているという。しかし、かなり酔っていたので具体的な行為まではよく覚えていないものの、女性にキスをしようとしたことは認めた[405]。
それに対して、「巣鴨駅構内のエレベーターで理事が被害女性を壁に押し付けてキスを1分近く強引に続けたので地下鉄に乗って逃げた。すると、理事も追いかけてきたので次の駅で降りてトイレに駆け込み携帯電話で友人に助けを求めると、理事がトイレのドアを叩いて大声で「出て来い」と叫び、女性を引きずり出そうとして揉み合いになった。友人が到着したのでトイレを出て逃げようと、駅の階段を上った際に転倒して頭を強く打ったりもした。その後女性は何とかタクシーに乗って逃げると、この理事が別のタクシーに乗って執拗に追いかけてきたので、女性のタクシーが交番近くに停車すると、追いついた理事が女性の乗ったタクシーの窓を激しく叩いて、女性の腕を掴みタクシーから引き摺り下ろそうとした。そこに警官が駆けつけて理事に事情を聞くと、「具合が悪そうだったから、介抱しようとしただけだ」などと弁明して立ち去った。」との話も出ている[406][407]。
理事は3日後になって被害女性を含めた女性職員3人の前で「5分から10分ぐらい、相当丁寧に」謝罪をすると女性もうなずいたので、それで相手も了承してくれたものだとばかり思っていたという。しかし、今頃になって表面化したのは不思議なことだと述べるとともに、結果として被害女性とは性格が合わなかったとの認識を示した[408][409][410]。
全柔連会長の上村は大学の先輩でもあるこの理事の辞任に関して、「おやめになるのであれば残念なこと。以上!」と述べるにとどまった[411]。 全柔連強化委員である山口香は「今回の1件は言語道断であり、全柔連は理事の辞任を受け入れるのではなくて解任すべき」と発言する一方で、「この件は選手と指導者の関係ではなく、職員と上司の構図。暴力指導など一連の問題とは、性質が違う」とのコメントも付け加えた[412]。
5月25日に当該理事は東京都柔道連盟会長を辞任した。その際に、「全柔連にも迷惑をかけてしまい、深くおわびしたい。あらゆる処分に従う」、被害女性にも「改めて謝罪したい」と語った。[413]。
5月28日には特別調査チームがこの理事に聞き取り調査を行った際に、理事は全柔連理事職の辞表願いも提出したが、一時預かりとなり受理されなかった。またこの日、チームは女性にも聞き取り調査を行った[414]。
永久追放
5月31日には特別調査チームが会合を開き、該当理事を事実上の除名に該当する会員登録の永久停止処分にする案をまとめた。理事はすでに28日に辞表を提出していたものの一時預かりの状態になっていたが、民法における委任契約では理事職の辞表は受け入れざるを得ないことなどから、規定上この日付で退任扱いとすることになった。聞き取り調査では、理事が被害女性に強引にキスを迫った他、逃げる女性をタクシーで追いかけるなど猥褻行為の事実を確認した。「被害者に恐怖を与えたことから、厳しい対応をすべきだ」との認識から、今年2月に第一審において準強姦罪で実刑判決が下された、アテネオリンピック及び北京オリンピック66kg級金メダリストである内柴正人に続いて、全柔連で最も重い処分となる永久停止処分が妥当だと判断されることになった。さらに北田は、「セクハラを根絶するという思いを込め、この決定に至った。セクハラ行為は今後、最低でも期限付きの登録停止になる」ことを明らかにした[415][416][417]。 6月11日の全柔連理事会において、この理事の会員資格を永久停止にすることが承認された[418]。
刑事告訴へ
6月18日には被害女性が巣鴨署に被害届けを提出して受理されていたことが明らかになった。当初訴えるつもりはなかったが、テレビや新聞で報じられた前理事の言動を見て全く反省していないのではないかと疑問を抱くようになり、今月に入って理事から示談を打診されるも拒否することになった。被害女性の弁護士である境田は示談を拒否して被害届けを提出した理由について、「(前理事の説明に)事実と異なる部分があったことと、謝罪の意思が感じられなかったことです」と語った。[419][420]。
その他の女子柔道選手に対する体罰
藤村女子中学のケース
2013年1月23日には、かつて藤村女子中学の柔道部に所属していた女子生徒が、体罰を受けて重傷を負ったとして約495万円の損害賠償を求めて部の顧問と学校側を提訴していたことが明らかになった。女子生徒によると、2011年3月に練習で馬跳びをしていた際に、顧問に「声が小さい」と鉄棒で背中を数回殴られたうえに、「やる気があるのか」と頬を殴られて左耳の鼓膜が破れるケガを負ったという。さらに同校に在学していた2009年から2011年にかけて、高校生や大学生と乱取り稽古を強いられた際など計3度にわたって右の鎖骨も骨折したと主張している。学校側は訴状内容と事実が異なる点もあり、裁判で明らかにしていくとコメントした[421][422]。
市立汎愛高校のケース
2013年2月1日には大阪市教育委員会が、ロンドンオリンピック78kg超級銀メダリストで元世界チャンピオンでもある杉本美香の出身校として知られる市立汎愛高で、50代の男性教諭が授業中に女子生徒を平手打ちするなど、体罰を振るっていたことを明らかにした。それによれば、2012年4月に和歌山県で行われた同校武道科の校外実習において、柔道部員である3年の女子生徒が下級生に絞め技を掛けた際に、それ以上続けさせるのを制止するため何度も注意したが聞き入れられなかったので、その生徒の頬を2、3発叩いた。両者ともケガはなかったという。その後学校側は生徒の保護者に謝罪して、教育委員会にも事のあらましを報告したものの、担当職員がこの一件を上司に報告せずおなざりになっていたが、2013年に入って匿名の情報提供により問題が発覚することになった。同校からは他にも体罰事案が報告されており、弁護士の外部監察チームが詳しく調査することになった。大阪市長の橋下徹は「事実を確認できていないが、放置できる問題ではない」と語ると、教育委員会も「担当職員のミスで体罰への対応が遅れたことは申し訳ない。徹底した調査を行う。教諭の処分も検討する」との見解を示した[423][424][425]。
宮崎商業高校のケース
2013年3月29日に宮崎県教育委員会は、体罰や暴言を繰り返していたとして、保護者から免職を求める嘆願書も出されていた、宮崎商業高校教諭を懲戒免職処分にしたことを公表した。それによれば、この教諭はインターハイや全国高校選手権において個人戦の優勝者を複数出すなど柔道部顧問として実績を残した一方で、少なくとも2010年7月から2012年9月までに女子部員13人に対して、頭や顔を殴ったり腹部を足で蹴るなどの体罰を10回以上繰り返していた他に、「ブス」や「ブタ」といった暴言も盛んに浴びせていた。とりわけ、2011年には1年生部員に対して左耳の鼓膜を破る怪我を負わせて謹慎処分を受けながら、2012年にはさらに2年生部員の後頭部などを叩いて打撲傷を負わせて、この一件では傷害容疑で書類送検にも付されていた。 また、申請に必要な保護者の同意を得ずに、宮崎市が選手に支給する奨励金を無断で申請して41万円ほど受領していたことも明らかになった[426][427][428]。
さらに、この教諭はかつて市立柏高校の女子柔道部監督を務めていた時代に、インターハイ女子団体戦で3連覇を達成させる成果を挙げながら、女子部員の顔を殴って左目近くの部位を骨折させていた他、部で禁じられていた女子部員との付き合いを行っていた男子部員を、柔道部顧問と後援者とともに殴って怪我を負わせ、この男子部員が柏署に被害届を提出するといった問題も引き起こしていた[429][430]。 なお当時の市立柏高校柔道部では、女子柔道部員を自宅などに下宿させていた管理人である後援会幹部が、女子部員2名に度々乱暴を働いて、後に懲役8年の実刑判決を受けるといった事件も起きていた[431][432][433]。
5月には懲戒免職処分を受けた元教諭が、選手を強くしたいという気持ちで行った指導を宮崎県教育委員会側が一方的に体罰だと判断したとして、県人事委員会に対して処分取り消しを求める不服申し立てを行った[434]。
助成金の不正受給・不正流用疑惑
問題の発覚
2013年3月13日には、独立行政法人日本スポーツ振興センター(以下、JSCと記す)から全柔連の指導者に一人あたり120万円支給されていた助成金のうち、40万円が強化委員会の指定した口座に徴収されて、強化留保金として使用目的外である飲食費などの懇親会費に使われていた疑惑も発覚した。2012年秋までの4年間で集められた内部留保金は約2800万円に上るが、海外遠征時の代表チームの打ち上げや強化委員会内部の懇親会などに使われていて、帳簿などの会計処理はなされていなかった[435]。口座には約2000万円が残高として残されていたが、2010年の世界選手権で活躍した選手が多かったために、助成対象者が47人に増えて金額も一挙に増大した[436]。
口座を管理していたのは強化委員長であった吉村和郎であったが、私的流用は一切なかったと弁明した[437]。2012年11月に強化体制が変わり、斉藤仁が新委員長になった時にはすでに留保金が充分過ぎるほどあったため徴収を取り止めて、その後は会計士に帳簿をつけてもらうようになった[438]。もともとは、1989年頃から「強化留保金」という名目で、コーチが所属企業から受け取った餞別を集めて飲食費などに充てていたものだという[439]。
助成金の支給を受けた指導者は年に1回、詳細を記した収支報告書を提出しなければならないことになっている。助成金の使用目的であるスポーツ活動以外の飲食費など懇親会費に使われていたのは目的外使用となり、助成金の不正使用が確認された場合は、助成金の返還請求及び、最大5年間の交付停止などの処分が下されることになる[440]。
全柔連会長である上村春樹は「帳簿もつけておらず、不適切なやり方だった。私自身は知らなかった」と釈明した。しかし吉村によれば、上村もこのことを知っていたという[441]。JSCは全柔連に対して調査と報告を指示した[442]。全柔連側も所属の監事や弁護士を中心とした調査委員会を設置して調査に乗り出すことになった[443]。
また、全柔連側は強化委員に対する助成金の徴収は任意としてきたものの、未納の強化委員に対しては全柔連事務局から吉村の名前を出した上で催促のメールを送っていたことが明らかになった[444]。
3月21日には選手指導の実態がない複数の理事が助成金を不正に受給していた疑いが新たに浮上した。その内の1人である田中裕之は全柔連上層部の命令に従って、事務局から活動報告書の虚偽記載の方法まで指導された上で助成金を受けとっていた組織ぐるみの行為であったことを明らかにした[445]。 それが不正行為であると分かっていながら内部告発をする勇気がなくこの問題を見過ごしてきたが、受け取った助成金は全柔連に徴収された分を除いて一銭も使っていないと述べるとともに、責任を取って理事を辞職することになった[446][447]。
助成金受給候補の指導者は各競技団体がリストを作成して、それをJOC強化本部が審査した上でJSCに推薦するようになっていたが、今年1月までJOC強化本部長だった上村が助成リストを最終承認していたものの、個人名まで具体的にチェックしていなかったことを明かした[448]。
JSC理事の藤原誠は迅速な徹底調査を全柔連に求めるとともに、不正受給が判明した場合は、約1億5千万円に上る助成金を今後停止する可能性があることを示唆した[449]。 全柔連は疑惑解明に向けて、この問題で第三者委員会を設置して事実関係を解明すると声明した [450]。
内閣府の公益認定等委員会もこの問題の調査に乗り出すとともに、全柔連とJSCに事実確認を求めることになった[451]。
第三者委員会による実態調査
3月26日には全柔連の外部から招かれた弁護士の山内貴博、木谷嘉靖、望月浩一郎と公認会計士の二村隆章、稲葉喜子の計5名からなる第三者委員会が設置された。委員長は山内が務めることになり、〈1〉助成金の受領は適正だったか〈2〉指導者の活動実態〈3〉強化委員会がプールした仕組みの3点を主軸に調査にあたることになった[452][453]。 全柔連会長の上村はこの問題に関して、執行部の関わりを否定すると、専務理事の小野沢弘史も「正当な助成金だと思っている。組織ぐるみといわれるのは不当だ」と反論した[454]。この問題を受けてJSCは、全34競技団体の受給者への助成金支給も受給が適正に行われているか確認が取れるまで当面留保することに決めた。また、全柔連が関わった全ての助成事業への調査を検討していることも示唆した[455]。
JSC理事の藤原誠は、JSCや第三者委員会の調査結果が出るまで、全柔連の全ての指導者への今年度の助成金を一時凍結する意向を明らかにした。なお、選手に対する助成金支給は継続される[456]。調査の結果、不正が認められた場合は助成金の返還や全柔連への罰則が与えられることになる。さらに、文部科学大臣の下村博文は助成金支給に関する他の競技団体の実態調査もするように指示した[457]。
3月29日にはJSCが全柔連に対して、実態が解明されるまで今年度の個人助成金に続いて団体助成金の支給も停止することに決めた。これにより、国際大会への選手派遣やグランドスラム・東京などの競技開催補助、全国少年競技者育成事業といった選手強化や柔道普及の面で影響を受ける可能性が出てきた[458]。 さらに一連の不祥事もあって、企業関係者が全柔連との契約に逡巡して大会運営費用などを供出するスポンサー契約が未だに成立せず、今後の事業計画にも影響を及ぼす可能性が出てきた[459]。
4月12日にJSCは全柔連に対して第三者委員会による実態解明がなされるまで今年度の助成金約1億1000万円の交付を保留することに決めたが、不正受給の責任を取って全柔連理事を辞した田中裕之が日本中学校体育連盟の柔道担当部長として、全柔連が進める「改革・改善実行プロジェクト」における「暴力根絶宣言」に向けた指導指針の策定メンバーに加わっていたことが明らかになった[460][461]。田中は、指導実態がなかったにも関わらず不正に助成金を受給していたとして先月に引責辞任したものの、第三者委員会から助成金制度に関する詳細な説明を受けると、国内の大会で選手に助言を送っていた行為が指導に含まれると認識するに至り、前言を翻すことになったという[462]。田中は暴力根絶プロジェクトの座長である山下泰裕の強い要望によってメンバーに選ばれた。しかし、15日になって急遽メンバーから外れることになった[463]。
4月16日には国立スポーツ科学センター(JISS)による情報戦略面での支援を行うマルチサポート事業が、不正受給疑惑を解明する第三者委員会の結論が出るまで凍結されることになり、普段の国際大会では帯同している映像分析のサポートを行うビデオ班がアジア選手権には赴かないことになった。この措置に対して文部科学省の競技スポーツ課は「団体ではなく、選手へ影響が出るのは本意ではない。今後、その方針が変わる可能性はある」と語った[464]。
中間報告書の公表
4月26日には助成金の不正受給及び流用疑惑を調査していた第三者委員会が中間報告を行い、JSCから指導者に支給されていた助成金の一部を強化留保金として飲食費などに使用していた件に関して、全柔連事務局から受給者に拠出金の請求メールや支払いが遅れた場合には督促のメールがなされていたこと、事務局の金庫に留保金の預金通帳が保管されていたことなどから全柔連による組織的関与があったと認定した。留保金は「社会通念に照らして不適切」、全柔連は組織として「公金である助成金に対する順法精神を欠いていた」とも指摘した。留保金は強化委員長時代の上村春樹とその後を継いだ吉村和郎に管理権限があり、残高は約2350万円にも上ったが、帳簿類や領収書の管理が杜撰であったために実態を把握するのは容易ではないという。加えて、このような実態を放置していたJSCとIOCによる制度運営の不備も指摘した[465][466]。
JSC理事の藤原誠は中間報告を受けて、「組織的な関与と受け止めている」と語り、全柔連に対する助成金を複数年停止する可能性を示唆するとともに、強化留保金の返還を求める考えがあることもあきらかにした。内閣府の公益認定等委員会も実態調査に乗り出す可能性があるという[467][468]。
これを受けて全柔連会長の上村は、具体的な時期こそは明らかにしなかったものの、近いうちに会長を辞任する考えがあることを示唆した。兼務している講道館館長の座は続投することになるという[469]。
5月23日には国からの補助を受けてJOCが柔道の選任コーチに支給していた謝金が、飲食費などに充てるための「強化留保金」として全柔連の強化委員会に徴収されていたことが新たに明るみに出た。常時8名いるコーチのうちの1名が2009年4月から2012年8月まで毎月支給されていた30万円の謝金のうち10万円を強化委員会が管理する口座に入金していた。全柔連側は2013年2月になって、その指導者が入金した410万円のうちの350万円を徴収対象ではなかったコーチから間違って集めた入金として返金したが、残り60万円は強化留保金の協力資金として残すことになった。JOCによれば、謝金の使い道は定めておらず、今回の徴収も競技団体への寄付ではなかったので、現状では調査や処分の対象にはならないと説明した[470]。
5月24日にはJSCが職員の税理士を伴って全柔連事務局を訪問して、全柔連に交付された2012年度の団体助成金1億5千万円について、帳簿や領収書と照らし合わせて実態を調査した。通常、JSCによる団体助成は各競技連盟が領収書を添付して提出する報告書等の書類審査のみで精算は完了するものの、全柔連の場合は不正徴収や不正受給疑惑が発覚したために、事務局への立ち入り調査が行われることになったという[471]。
5月31日にJSCは、24日に全柔連に立ち入り調査した結果、2012年度は助成対象となる事業の実績報告書と財務諸表との整合性の確認が取れるなど適切な処理がなされていたとの判断から、団体助成金約1億4000万円を支給することに決めた[472]。
6月7日に全柔連会長の上村は、助成金問題の最終報告書が進退を決断する時期としていた11日の理事会に間に合わないことを受けて、全柔連会長の座を継続する意向である考えを示した。全柔連幹部によれば、上村は組織改革に意欲を持っているという[473]。
またこの日に内閣府の公益認定等委員会は、女子強化選手への暴力問題や助成金問題など一連の不祥事に関して全柔連が提出していた報告書が、「事実関係を真摯に報告する内容となっておらず、極めて遺憾」な内容であるとして、25日までの再提出を5日付けで求めていたことを明らかにした。スポーツ関連の公益財団法人に報告書の再提出を求めるのは初めてのことだという。同委員会の文書によれば、全柔連の報告書では女子強化選手のうち実際に暴力を受けたのは「0~2名」と記されていることを「曖昧な事実認識」としたうえで、助成金問題においても第三者委員会の報告に「内容に違和感がある」と記されていた点に、組織のガバナンス能力に疑いを抱かせるものだと批判した。さらに、今後の全柔連の対応次第では公益財団法人の取り消しの可能性も有り得るという[474]。 加えて、文部科学省も会長の上村にこの問題に関して真摯で適切な対応を施すように口頭で注意を呼びかけた[475]。
これに対して、全柔連理事であり広報委員長でもある宇野博昌は、問題を指摘された報告書は全柔連の事務局員が作成した素案を、会長の上村と専務理事の小野沢が承認しただけで理事会に諮らず提出したものであり、理事の大半は報告書の内容自体を知らなかったと語った。このため、この件を協議する臨時理事会を24日に開催することを決めた[476]。
また、一部のマスメディアは助成金問題に関して、全柔連は2000年にもJOCやJSCから受け取っていた助成金の不正受給を行って、会計検査院から取調べを受けていたことに言及した。それによれば、強化合宿の滞在費や旅費を選手に支払ったことにしたり、同じ領収書のコピーを使いまわして二重請求を行うなどの手口で、実際に使用した金額よりも上乗せしてJOCなどに報告して、上乗せした分を留保金として溜め込んでいたという。しかしこの時は、全柔連を含めたJOC加盟11団体もの不正受給が発覚したために、全柔連の問題というより助成金分配の仕組みに問題があるとして処理されることになった。だが実際には、各団体の不正受給金額のうち約3分の1に当たる3200万円もが全柔連によるものであった。この後、全柔連は不正受給した助成金全額をJOCに返還した後、職員が東京地検の取調べを受けることにもなったという。この件に関して全柔連の広報委員長である宇野は、「昔のことなので詳細は不明であり、東京地検の捜査が入ったという記憶はない。また、会長の上村は当時全柔連の強化副委員長であったが、この事案の詳細は承知していない」とコメントした。一方で、とある全柔連関係者からは、このような経緯を過去に有しながら、時を経て同じようなやり口で不正受給を繰り返したことこそが、今回問題になっている事態の本質だという指摘もなされることになった[477]。
6月18日には、行政改革担当大臣として公益認定等委員会を担当している稲田朋美が、全柔連の報告書が再提出を求められた件に関して、「おざなりだ。真摯(しんし)な回答ではない。組織として自浄作用が働くべきだ」との見解を示した[478]。
最終報告書の公表
6月21日には第三者委員会が最終報告書を公表して、全柔連の組織的関与を改めて指摘するとともに、全柔連会長である上村春樹をはじめとした首脳陣の責任に言及することとなった。報告書によれば、2007年からの6年間でJSCから助成金を受給した指導者63名のうち、一部期間で受給が不適切だった15名及び全期間において不適切だった12名の計27名が3620万円の不正受給に関わっていたことを明らかにした。これに目的外使用の留保金3345万円も含めると計6055万円にも上ることになった。現職の理事では、2年間で240万円を受給した郷田博史と1年間で120万円を受給した保坂慶蔵が全期間で受給資格がなく、際立つ形となった。 また、当時の強化委員長だった吉村和郎が、助成金の受給者となる強化選手とその選手を担当することになる指導者を一方的に決めており、選手も指導者も事前には何も知らされておらず、それに異論を述べることも出来なかったと指摘して、この問題で「最も重い責任を負う」人物と認定した。加えて、強化委員長時代からこのシステムに関与しながら是正する姿勢を示さなかった上村と、全柔連事務局長の村上清の責任も言及されることになった[479][480][481]。
また、4月に公表された中間報告書を受けて、全柔連が計3度にわたって要望書という名の反論文書を提出してきたことも明らかになった。それらは、専務理事の小野沢弘史名義で事務局員が事務局長宛てに提出した5月14日付けの上申書<1>、事務局長の村上清名義による5月28日付けの要望書<2>、会長の上村春樹名義による<1>と<2>をまとめた6月4日付けの<3>となる。<1>では「強化留保金は強化スタッフだけで管理している互助会的な私的資金であり、全柔連とは関係のない資金」「たった1人の常軌を逸した人物により、公私混同、不適切な時期があっただけで、全柔連のガバナンスの問題はほとんど介在せず、順法精神を欠いていたととられる表現は直してほしい」「まるで検事の見立て捜査による取り調べ結果のようなものであり、上村会長をヒール役に仕立てようとする巨大な力が、メディアや一部の人を後ろで操っているような感じ」などと主張しており、加えて、JSCやJOCの助成金制度自体の問題点にも言及していた。続いて<2>では中間報告書の内容を訂正するようにも要請していた。これに対して第三者委員会側は「具体的な事実を根拠に誤りを指摘するものではなく、理由なく当委員会の見解を否定するものだ」、「自らの責任を棚上げし、制度運営者に責任を転嫁するかのような態度は、極めて不当」と諭すことになった。さらにこれらの反論文書が理事会の決議を経ずに提出された点に「現場の意向を聞かず、物事を決める上層部の体質が改善していない如実な証左」と指摘した。以上を踏まえて、調査に当たった第三者委員会委員長の山内貴博は「全柔連のガバナンス(統治)の大きな問題と見ている。改善する最後のチャンスと思う。真摯に受け止め、適切に対応してほしい」と述べると、同じく委員の望月浩一郎も「世間からどう見られるかわかってないんですかね。そのへんが常識とのズレで、この問題の根っこ」と指摘した。次いで山口香も全柔連が提出した文書に関して、「あれを見たとたんこのチームでは無理だとおもいました。価値判断できないということです。あれを公表したことの恥ずかしさ、いま柔道家として歩いているとバカだと思われます」と嘆いて見せた。一方、JSC理事長の河野一郎は「あり得ない(不正)金額との印象。選手へ影響が及ばないように対応したいが、制度自体も正していく必要がある」と語った。続いてJSCは不正受給された助成金や強化留保金の全額返還を全柔連に求める意向を明らかにした[482][483][484][485][486]。
6月24日には臨時理事会が開催されて、第三者委員会から問題にされた不正受給の助成金及び目的外利用の留保金計6055万円を全額JSCに返還することを決めた。強化留保金制度は取り止めとなった。助成金を支給される選手と指導者の組み合わせは、強化委員会からの推薦を受けた後に常務委員会の承認を経て決定されることになった[487]。
6月25日に全柔連は、「真摯な内容ではない」として内閣府の公益認定等委員会から再提出を求められていた一連の不祥事に関する報告書の再提出を行った[488]。
6月28日にJSCは第三者委員会によって不正受給を指摘された6055万円全額の返還を全柔連に求める方針を固めた。JSCを訪ねた全柔連会長の上村も全額を返還する意志があることを伝えた。さらにJSCは1億1千万円程度の規模となる全柔連への団体助成金を減額する可能性があることも示唆した。JSC側は不正受給金の返還に関しては加算金を求めず、分割での支払いにも応じるとしている[489][490]。
7月2日には、全柔連会長の上村春樹と前強化委員長の吉村和郎が東京地検に背任罪で告発された。告発状を提出したのは民主党の元衆議院議員で、現在は地元の相模原市柔道協会で相談役を務めている本村賢太郎と会社顧問の山田重人で、強化助成金の不正受給及び強化留保金の不正使用で「日本スポーツ振興センターと国に損害を与えた」として、上村と吉村を追及することになった。本村は「柔道界のイメージは最悪。根源は上村会長と吉村前強化委員長にある。柔道界だけで処理せず、法の裁きを受けてほしい。」と訴えた。一方、告発された上村は「(告発状が受理された場合)身の潔白を証明したい」と述べた[491][492]。
7月9日には全柔連の臨時理事会が開かれて、6055万円に上る助成金の不正受給及び不正徴収の返還方法について話し合われた。とりわけ、指導者による不正受給金に関しては、指導者が支払わない場合、不正徴収金の不足分約1000万円を含めた約3500万円を全柔連が全額負担することが提案された。しかし、税金の優遇を受けている公益財団法人である全柔連の会計から支払われるのはルール違反だとの指摘が公益財団法人の関係官庁関係者から指摘され、また、理事や強化委員会で負担すべきとの意見も出されて、結論は出なかった。評議員である了徳寺健二も「善良な柔道家から集められた浄財を1円たりとも使うべきではありません」と強調した[493]。
7月19日にマスコミのインタビューを受けた全柔連会長の上村は、全柔連を機動的な組織に変えようと、今まで休まずに働き続けてきたが自己満足の域を出なかった。未練はあるものの、会長の座に居座るつもりはないし、辞めた後に影響力を持とうとも思っていないと述べた。続けて、助成金問題に関して、強化留保金は強化委員会内のことで、全柔連とは直接関係ないと認識していたが、それは誤りだった。助成金受給者に関しては強化委員会が決定していたことで、誰を受給させるか指示していたことはない。第三者委員会の中間報告書に再考を求める要望書を提出したのは、順法精神の欠如と指摘されたことに大いなる違和感を覚えた全柔連事務局員の熱い思いを受け止める形になったまでのことで、第三者委員会に圧力をかける意図があったわけではないと語った[494]。
7月23日には内閣府の公益認定等委員会が、不祥事が続出した全柔連会長の上村春樹を呼び出して、8月末までに組織の改善を講じて責任の所在を明らかにするよう求める、上村に対する事実上の退陣要求とも受け取れる勧告書を手渡した。 勧告書の概要は以下の通り[495]。
一、暴力などの不当行為に依存せずに選手を適正に育成する「技術的能力」の回復と確立 一、必要な費用を適切に計上し、助成金などを受ける場合はコンプライアンス(法令順守)を徹底する「経理的基礎」の回復と確立 一、問題のあった助成金6055万円を速やかに返還し、全柔連に生じた損害について責任者に賠償請求を検討する 一、8月末までに一連の不祥事について責任の所在を明らかにし、適切な措置を講じて体制を再構築する
これを受けて、公益認定等委員会委員長の山下徹と事務局長の高野修一も記者会見で、「全ての問題において、監督や理事ら指導的立場の人が直接関与している。問題は多岐にわたり深刻」「組織として機能していないのは、はっきりしている。同じ運営形態では改善に向けた答えにならない。人心一新も案としてありうる」「信頼回復のため何をすればいいのか、(こちらに)言わせないでほしい」と、全柔連による自己決定能力を発揮しての根本的刷新を求めた[496][497]。
7月24日にJSC理事長の河野一郎は全柔連の不祥事を受けて、「ルール違反には厳しいペナルティーが必要かもしれない。選手が活用しやすい制度に変える必要がある」と、制度を改善する意向があることを示した。また、JSCは全柔連に対する今年度の助成金交付を凍結しているが、課題を解決することが優先であるとして、当面交付を再開しないことになった[498]。
7月26日には全柔連理事で広報委員長の宇野博昌が、上村が30日に臨時評議員会で全柔連会長及び理事の辞任を表明する意向であることを明かすとともに、、不正受給した助成金を現体制がきれいな形で返還した上で、新体制に引き継ぐのが最低条件になるとも語った[499]。
8月1日には常務理事会が開かれて、不正受給金の返還に関しては迅速に対応するため、全柔連の予算から立替を行ってJSCに返納すことを決めた。合わせて強化留保金の残高約2400万円も返還することになった。また、全柔連は返還後の穴埋めとして、責任の範囲を明確にした上で、第三者委員会からこの問題で最も重い責任があると認定された元強化委員長の吉村和郎や、不正受給に直接関与した指導者らに個別の弁済を求めることになるという[500][501]。
8月6日には常務理事会が開かれて、6055万円に上る助成金の不正受給に関しては、不正に徴収された留保金の残金約2400万円を返済に振り分けるなどして、全柔連がJSCに一括返還することを決めた。残る約3600万円は全柔連全体の問題として、会長の上村春樹や元強化委員長の吉村和郎をはじめ、受給に問題なしとされた男子代表監督の井上康生をも含めて、全ての理事と歴代強化委員が職責に応じて応分の負担金を全柔連に納める形を取ることになった。負担の比率が最も大きいのは上村になる見込みだという[502]。
8月9日にJSCは全柔連に対して、2007年から2012年にかけて全柔連の指導者50名が関わった不正受給及び強化留保金として不正徴収した6055万円に上る助成金の返還命令書を正式に発行した。返還の期限は今月29日までで、遅れた場合は延滞金が発生する。全柔連側は組織全体の責任として返還金の一部を全柔連の会計から割り当てる意向も示していたものの、内閣府はあくまでも不正受給に関係した各指導者から相応の徴収をするようにと厳命した[503][504][505]。
8月14日には臨時理事会が開かれて、不正に徴収された留保金の残金2377万円を返済に振り分けるなどして6055万円に上る不正受給金をJSCに一括返還した上で、残りの約6割を理事会、約4割を強化委員会の寄付でそれぞれ穴埋めすることに決めた。不足分が生じた場合は理事会が最終責任を持つことになった。受給資格に問題がなかった指導者をも含めて任意の寄付を募ることになり、山下泰裕や斉藤仁が理事や強化委員に協力を要請して、回収役を受け持っているという。内閣府からは責任の所在に応じた賠償請求の検討を求められており、「連帯責任」と言う形ではその趣旨にそぐわない可能性も出てきた[506][507]。
8月15日には全柔連が不正受給した助成金6055万円をJSCに全額返還しても、凍結されている今年度の団体助成金約1億1千万円の満額解除がすぐには行われないことが明らかになった。返還の際に全柔連側が提出する再発防止策を検討したうえで、凍結解除を行うか決めることになった。また、来年度以降の助成金に何らかのペナルティーが科される可能性もあるという[508]。
一方、助成金の返還方法もようやく決定したことにより、8月26日に開幕するリオデジャネイロ世界選手権から、4月のアジア選手権以降凍結されていた国立スポーツ科学センター(JISS)による「マルチサポート事業」が復活することになった。既に栄養士を含めたJISSの担当者が女子コーチの薪谷翠とともにリオデジャネイロに赴き、選手に日本食を提供する拠点を決めるなど食事面のサポートを行うことになった。監督の南條も「ギリギリでゴーサインが出た。心強い」と安堵感を表明した[509][510]。
8月20日には助成金問題を調査した第三者委員会からこの問題で最も重い責任を有する人物と指摘された前強化委員長の吉村和郎が、不正受給した助成金の個人負担額について専務理事の小野沢弘史らと協議したものの、負担額を巡って意見の食い違いが生じたという[511]。
8月21日には臨時理事会が開かれて、助成金は今日を以って辞任することになった理事と監事計26名が約1680万円を負担するとともに、残りは助成金に関わった強化委員が弁済することになった[512]。
この問題への関係者のコメント
- 東京都知事の猪瀬直樹は今回の件で「情けない。不愉快だ」と発言する一方で、東京オリンピック招致活動の面では大きな影響はないと思っているとの見解を示した[513]。
- 大阪市長の橋下徹は今回のJOCや全柔連の後手後手に回る対応を「ぐだぐだである」と批判した[514]。
- 柔道家であり、参議院議員でもある谷亮子は当初、全柔連が園田を監督留任で済ませようとしたことに「賢明な判断」、園田について「人間性の素晴らしい立派な監督」との認識を示すと、自身は20年以上強化選手をやってきたが、歴代監督による暴力的指導は一切なかったとも発言した[515][516]。しかし、園田が辞任すると聞き及んだ際には、「反省してほしい」との見解を示した[517]。さらに、この問題の再発防止策として、選手の所属先と全柔連との意思疎通が充分に図られるシステムの構築が必要であり、この点は選手時代から指摘してきたことだとも述べた[518]。また、柔道のコーチになるためには、フランスのように国家資格を取得してからなるべきだとの提言も行った[519]。
- 柔道家であり、総合格闘家でもある石井慧は、「園田先生はいい人であり、かわいそう、リオまで続投すべきだった」との見解を示した[520]。
- 柔道家であり、プロレスラーでもある小川直也は明治大学の後輩である園田が世間を騒がせたことを謝罪するとともに、今回の騒動はお家騒動の側面があるとの認識を示した[521]。しかしその後のインタビューで、今回の騒動は単なる派閥争いを超えた個人的な怨念が背景にあるのではないかとの推測を示した。さらに自らの現役時代から男子に関しては体罰はなく、当時から選手第一の流れで現在にまで至っているとも語った[522]。また、山口香との対談では、柔道界も今や派閥争いに興じているような時代ではないとの認識で一致した[523]。さらに、評議員会で全理事の即時解任を求めながらも否決されることになった了徳寺健二に関して、言ってることは正論ながらも周囲から所詮は学閥闘争と見られている以上、他の評議員から同調を得るのは難しいと述べた。了徳寺健二が理事長を務める了徳寺学園は筑波大学や東海大学の卒業生を多数受け入れてつながりも深いが、その一方で現体制は明治大学出身の上村を中心としているので、了徳寺の目論見が成功したとしても別の学閥が新体制を構築することになるだけと周囲は見ているのかもしれない、自分はそのような見方には与しないけどとも補説を加えた。また、新体制にはクリーンな人物が望ましく、助成金の不正受給に関与した人物は誰一人加わってはならないとも語った[524]。
- 柔道家であり、実業団チームのパーク24柔道部監督でもある吉田秀彦は、柔道界における暴力問題を受けて、「体罰と教育は紙一重だと思う。一人で練習をしているとどうしても甘える。そのときに叱咤激励があったから僕はやってこれた。それが体罰かというと、違うと思う。日本には外国とは違う文化がある。日本は日本人らしい教育でも良いんじゃないかと思う。行き過ぎた体罰は良くないけど、愛のある、相手のことを思って(厳しく)やることは、人を成長させるためには必要じゃないかと僕は思う」との意見を述べた。また、暴力問題で女子代表監督を辞任した大学の後輩である園田隆二に関しては、「弁護するわけじゃないけど、僕が見ていた限りでは園田なんて本当に一生懸命にやっていた。選手も面と向かって言えばいい。誰も出てこないで人を非難して。あれだけ愛情を持っていた奴がなんでこんな風にと思う。確かに口が悪いところはあるし、反省しないといけないところだと思うけど」と語った[525]。
- 柔道の元全日本チャンピオンで、元プロレスラーでもある坂口征二は、明治大学の後輩に当たる全柔連会長の上村春樹に関して、一連の不祥事で「トップの責任はある」としながら、辞任表明が遅すぎたとの批判に対しては「よくやってるよ。ちゃんと後を引き継ぐっていうんだから、みんな信じて道をつくってやるべき。責任取って辞めるっていうのは、自分が何かやったならともかく、周りがやって辞めるっていうのはおかしい。人望もあるんだろ。頑張ってくれ」との見解を示した。また、今後のキーマンになる人物として、同じく明治大学の後輩である吉田秀彦の名を挙げた[526]。
- 元プロレスラーのアントニオ猪木は、全柔連会長の上村について「我々から見て、ぶざまだよね。リーダーになる者にはカリスマが必要。俺もスキャンダルにまみれたことがあるけど、トップはみんなに夢を持たせる。格好よくやってほしいな」と語った。また、選手上がりの人物が役員に就くのは分かりやすいものの、運営は別物であると述べて、今後日本維新の会から立候補している参議院選挙で当選した際には、全柔連に対する圧力を強めていくと語った。さらに、一部から提起されている全柔連を解体して新柔道連盟を設立するという案に賛意を示して、プロ活動に携わった柔道家の坂口征二や吉田秀彦、石井慧などに結集を呼びかける考えがあることも明らかにした[527]。
- 柔道家であり、プロレスラーでもある元参議院議員の神取忍は、学校ではなく町道場で柔道を習っていたので体罰を受けた経験はなく、体罰なしでも選手として活躍出来たと自らの体験を語った。その一方で、暴力はよくないが、柔道は肉体的接触が避けられない競技なので暴力の線引きが難しいとも述べた。また、現在はドラマの金八先生でかつて描写されていたような愛の鞭が通用する状況ではなく、体罰が容認されてきた時代は終わったものの、今回の問題で今後指導が甘くなる可能性がある点には違和感を表明した[528]。
- とある女子柔道強化指定選手はツイッターに、「園田前監督には今すぐにでも戻ってきてほしい」、「これ以上先生方やめさせたら混乱するのは私たち選手」「本当に訴えてるの強化選手なの?」などといった園田らを擁護する発言を投稿した[529][530]。
- ロンドンオリンピック57kg級金メダリストである松本薫を小中学校時代に指導した岩井柔道塾の岩井克良は、この問題を受けて「勝つためにやむを得ない状況もあるだろうが、なるべく手は出さない方がいい」と語った[531]。
- 三井住友海上の女子柔道部監督である柳澤久は、全柔連の第三者委員会から聴取を受けたあとのインタビューで、自チームのコーチでもある貝山仁美が暴力行為に関わっていないとされながら、まともな事情聴取も受けず連帯責任で戒告処分を受けたことに、「いいかげん過ぎる」と憤りを表明すると、全柔連幹部は「全員辞めてしまった方がいい」とも語った[532][533]。
- 陸上競技で活躍していた為末大は日本スポーツ法学会の「アスリートの尊厳を守るためのシンポジウム」において、「体罰はドーピングに近い行為」との見解を示した[534]。
- 為末が主催する「アスリートソサエティ」の勉強会で溝口紀子は、「フランスでは暴力は一発で退場」と述べる一方で、今まで出てきた体罰は氷山の一角であり、柔道界では追放を恐れるあまり問題を語りたがらない傾向にあったとも述べた[535][536]。さらに、3月5日には日本外国特派員協会でこの問題に関する記者会見に応じて、改めて柔道界の暴力体質を批判するとともに、この転換点を機に体罰をなくしていかなければならず、フランスに出来たことが日本でも出来ないことはないと語った[537]。また、男子はバルセロナオリンピックの頃から竹刀で選手を殴るなどの暴力が横行していたとも語り、当時から体罰はなかったと主張する小川直也とは正反対の認識を示した。但し、当時の女子においては体罰がなかったという。続けて、ロンドンオリンピックで惨敗したことで暴力の実態を告発しやすくなったので、指導者も過去の体罰と向き合い、体罰の習慣化という負の連鎖を断ち切るように務めるべきだと述べた[538]。
- 柔道家であり、フランス国民議会の議員でもあるダビド・ドゥイエは、フランスに体罰はなく、このような問題を起こせば即座に法廷行きになると語った[539]。
- ロンドンオリンピックの柔道48kg級金メダリストであるブラジルのサラ・メネゼスは、体罰に関して「私の場合はコーチに叩かれないと目が覚めないから」と述べたという[540]。
- 柔道家であり、ロシア下院議員でもあるドミトリー・ノソフは、2月28日に東京で開催された「日本・ロシアフォーラム」に出席後インタビューに応じて、今回の問題に驚きを隠せないと述べるとともに、「柔道や空手道、弓道など日本発祥の武道は共通の『道』を求める心がある。ロシアでも、柔道はメダルを取るために強化するだけでなく、競技の精神も理解されている」と発言した[541]。
- プロレスラーであり、衆議院議員でもある馳浩は、上村春樹はJOC選手強化本部長のみならず、全柔連会長も辞職すべきだとの見解を示した。また、JOC会長である竹田恒和の辞任も合わせて求めた[542]。さらに、匿名で告発した選手側も強化に税金が使われているという自覚があるなら、問題が一段落した際に実名を公表すべきだとも発言した[543]。
- 3月23日には仙台市でスポーツ指導者を対象にした「東北スポーツサミット」が開催され、ゲストとして招かれた陸上競技100m元世界記録保持者のカール・ルイスは、選手と指導者が対等な関係で学び合う姿勢の重要性を指摘するとともに、アメリカでも過去に体罰はあったが現在は見られなくなったと述べた。また、同じゲストの三段跳元世界記録保持者であるウィリー・バンクスは、アメリカは過去の体罰への反省からそれが効果的に働かない教訓を得たと述べるとともに、全米各地で親が声を上げて裁判になった結果、指導者は選手に手を触れることさえ出来なくなった現状を説明した[544]。
脚注
- ^ 女子代表監督らがパワハラ行為=代表選手らが訴える-柔道 時事通信 2013年1月30日
- ^ 全柔連会長、園田監督を辞めさせる意思なし 読売テレビ 2013年1月30日
- ^ 「余計なことを言いふらしているらしいな」 園田隆二・全日本女子前監督、最初に被害を訴えた選手をどう喝していた 読売新聞 2013年2月6日
- ^ 女子柔道、五輪惨敗の裏に監督らの「暴力」「パワハラ」 それでも全柔連は監督続投の不可解 J-CAST 2013年1月30日
- ^ 求められる意識改革=全柔連、甘い認識-柔道監督暴力 時事通信 2013年1月30日
- ^ 上村会長も園田監督留任明言「未熟さゆえ」調査次第で新たな処分も スポーツニッポン 2013年1月30日
- ^ 次期監督、被害15選手に意見聞いて選ぶ 日刊スポーツ 2013年2月2日
- ^ 全柔連 園田監督、男性コーチを戒告処分、暴力認め謝罪 スポーツニッポン 2013年1月30日
- ^ 女子柔道暴力告発 嘆願書は人事見直しや第3者調査を求める内容 FNN 2013年1月30日
- ^ 柔道連盟専務理事「ある程度の暴力が許される風潮若干あった」 FNN 2013年1月30日
- ^ 園田監督ら言葉でも暴力「死ね」「ブタ」…女子柔道暴力告発問題 スポーツ報知 2013年1月30日
- ^ 全柔連、事実を矮小化?…「暴力5件は1人分」 読売新聞 2013年1月30日
- ^ 告発された園田監督 昨年11月には選手負傷させ謝罪文提出 スポーツニッポン 2013年1月30日
- ^ 足ひきずり出場、世界1位でも制裁… 柔道界の体質 AERA 2013年2月4日
- ^ 園田監督に戒告処分=暴力行為への告発で-全柔連 時事通信 2013年1月30日
- ^ 全柔連が緊急会見、園田監督は解任せず デイリースポーツ 2013年1月30日
- ^ 女子柔道告発15選手「見せ物にされた」 日刊スポーツ 2013年2月5日
- ^ ドタバタ全柔連 続投発表から2日で園田監督辞任 スポーツニッポン 2013年2月2日
- ^ 次期監督、被害15選手に意見聞いて選ぶ 日刊スポーツ 2013年2月2日
- ^ 「体罰の日常化はないと認識」 全柔連会見、一問一答 MSN産経ニュース 2013年1月30日
- ^ 柔道園田監督交代なく欧州遠征も予定通り 日刊スポーツ 2013年1月30日
- ^ 勤務先の警視庁、園田監督から事情聴く MSN産経ニュース 2013年1月30日
- ^ 柔道・園田監督「暴力の認識なかった」 辞意表明 好成績へ焦り「指導力不足が原因」 日本経済新聞 2013年1月31日
- ^ 園田監督が引責辞任 5コーチ続投希望」 デイリースポーツ 2013年2月2日
- ^ 園田監督が辞任 全柔連が進退伺受理 田辺コーチが代行 スポーツニッポン 2013年2月1日
- ^ 上村会長がJOC選手強化本部長辞任 デイリースポーツ 2013年1月31日
- ^ 国際柔道連盟が声明発表「断固非難することを強調する」 スポーツニッポン 2013年2月1日
- ^ The IJF Condemns Hard Training Methods IJF 2013年2月1日
- ^ JOC主導で選手ヒアリング=「駆け込み寺」設置も-柔道監督暴力 時事通信 2013年1月31日
- ^ 【柔道】全柔連の立ち合いなしで聞き取り実施へ スポーツ報知 2013年2月1日
- ^ 全柔連の同席認めず=告発選手の聞き取り-柔道監督暴力でJOC 時事通信 2013年2月8日
- ^ 失望と怒りで告発した…柔道女子選手の声明発表 読売新聞 2013年2月4日
- ^ 柔道暴力問題 15選手による声明全文 スポーツニッポン 2013年2月4日
- ^ フジ 残酷な〝さらし者中継〟 東京スポーツ 2012年5月17日
- ^ 全柔連の姿勢に不信感 「見せ物にされた」五輪代表発表の生中継 スポーツニッポン 2013年2月5日
- ^ a b 吉村・強化担当理事が辞任、徳野コーチも 辞任は3人目、国政にも波及する異例の事態へ MSN産経ニュース 2013年2月5日
- ^ 山下泰裕理事、選手へ謝罪「申し訳ない」 日刊スポーツ 2013年2月6日
- ^ 男子・篠原監督、女子・園田監督 両指揮官の留任確定的 スポーツニッポン 2012年10月21日
- ^ 吉村強化担当理事が辞任=監督暴力問題で引責-全柔連 時事通信 2013年2月5日
- ^ 柔道暴力問題 全柔連理事、コーチ辞任、調査委設置で組織改革へ スポーツニッポン 2013年2月5日
- ^ 柔道女子日本代表の徳野コーチも辞任 デイリースポーツ 2013年2月5日
- ^ 「吉村氏辞任」に一定の評価=選手側代理人、辻口弁護士-柔道暴力問題 時事通信 2013年2月5日
- ^ 告発15選手の代理人 名前公表を検討…山口香氏は「時期尚早」 スポーツニッポン 2013年2月6日
- ^ 橋本聖子議員が「氏名公表」発言を否定 デイリースポーツ 2013年2月6日
- ^ 柔道暴力告発、女子選手名公表巡る発言相次ぐ 読売新聞 2013年2月6日
- ^ 【柔道】山口香JOC理事、告発女子15人「私がサポート」 スポーツ報知 2013年2月6日
- ^ (インタビュー)15人の告発 筑波大大学院准教授、元世界王者・山口香さん 朝日新聞 2013年2月6日
- ^ 告発の真相:女子柔道暴力問題 山口香・JOC理事に聞く/上 特定の選手、見せしめ 毎日新聞 2013年2月10日
- ^ 告発選手名は公表せず=選手側代理人が見解 時事通信 2013年2月7日
- ^ 強制的に酒席、お酌も…暴力告発の女子柔道選手 読売新聞 2013年2月8日
- ^ 全柔連がお詫びを掲載 MSN産経ニュース 2013年2月8日
- ^ 暴力告発、全柔連会長が国際柔道連盟会長に謝罪 読売新聞 2013年2月8日
- ^ 女子柔道暴力告発、国際柔道連盟も調査に参加 読売新聞 2013年2月9日
- ^ 上村会長、前監督らを処分 IJFの大会参加させず 日本経済新聞 2013年2月12日
- ^ 【柔道】全柔連・上村会長「辞任3人は国際大会や合宿に不参加」 スポーツ報知 2013年2月12日
- ^ 園田前監督らの活動自粛=上村会長、IJFに報告―柔道監督暴力 時事通信 2013年2月12日
- ^ 女子15選手へ聞き取り開始=柔道暴力問題で-JOC 時事通信 2013年2月14日
- ^ 女子15選手へ聞き取り開始=柔道暴力問題で-JOC 時事通信 2013年2月15日
- ^ 第三者委員長に笠間前検事総長=19日初会合-柔道女子暴力問題 時事通信 2013年2月14日
- ^ 全柔連の第三者委員会 選手や前監督らの出席も スポーツニッポン 2013年2月15日
- ^ 柔道暴力告発、全柔連・上村会長が文科相に謝罪 読売新聞 2013年2月14日
- ^ 斉藤強化委員長「ご迷惑を…」謝罪 日刊スポーツ 2013年2月14日
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- ^ 柔道暴力問題に初言及 パリGS2位緒方「いい方向に進んでもらいたい」 スポーツニッポン 2013年2月14日
- ^ 柔道女子帰国「いつも通り集中」「早く収束を」 読売新聞 2013年2月14日
- ^ 【柔道】第三者委員会、全柔連の不祥事対応を検証 読売新聞 2013年2月19日
- ^ 【柔道】第三者委が園田監督、上村会長ら30人聴取へ スポーツ報知 2013年2月19日
- ^ 問題対応に重点置くも、全容解明は困難との見方 MSN産経ニュース 2013年2月19日
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- ^ 暴力問題 告発15選手、聴取拒否 全柔連へ不信感 東京新聞 2013年2月26日
- ^ 暴力問題、指導者・選手間の信頼が欠如…JOC 読売新聞 2013年2月26日
- ^ 暴力告発は「いつどこで誰に」聞き取り 日刊スポーツ 2013年2月26日
- ^ 柔道:女子との“溝”に困惑…斉藤強化委員長 選手会結成を提案 毎日新聞 2013年2月26日
- ^ 山口香氏、第三者委に組織改革を提言 MSN産経ニュース 2013年2月28日
- ^ 柔道女子「2020年には女性監督を」 山口香理事、自分はやらないけど… ZAKZAK 2013年2月28日
- ^ 山口香氏「女子監督いない」 日刊スポーツ 2013年2月28日
- ^ 柔道暴力問題第三者委 次の会合で提言まとめる NHK 2013年3月1日
- ^ 告発15選手聴取拒否で行き詰まる 第三者委はトーンダウン スポーツニッポン 2013年3月1日
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- ^ 【柔道】全柔連・上村会長は辞任せず 幹部の交代もなし スポーツ報知 2013年3月18日
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- ^ 前監督の暴力的指導認定 ほうきの柄で殴打、髪の毛引っ張る… 毎日新聞 2013年3月18日
- ^ 【柔道】第三者委員会の報告書を公表 「死ね」と暴言も スポーツ報知 2013年3月18日
- ^ 新設の女子強化部長に増地氏 女子代表監督は南條充寿氏 MSN産経ニュース 2013年3月18日
- ^ 田辺代行が監督昇格へ=柔道女子代表 時事通信 2013年3月14日
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- ^ 第三者委が答申 コーチへの戒告処分は撤回、上村会長「拙速」 スポーツニッポン 2013年3月18日
- ^ 全柔連へ交付金停止 JOC、暴力・パワハラ問題で 日本経済新聞 2013年3月19日
- ^ 全柔連が「問題を矮小化」 JOC理事会で最終報告書 スポーツニッポン 2013年3月19日
- ^ 柔道暴力「ブタ」など侮辱発言も 「重大不当行為」とJOC報告書 47NEWS 2013年3月16日
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- ^ 【柔道】園田監督との信頼関係「全部演技だった」 スポーツ報知 2013年3月19日
- ^ また出た!柔道女子日本、呆れた指導 サンケイスポーツ 2013年3月20日
- ^ 藤原理事が指摘「選手だって自分の意見を伝えていない」 スポーツニッポン 2013年3月20日
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- ^ 読売新聞 2013年3月20日 28面
- ^ 柔道暴力問題・談話 時事通信 2013年3月19日
- ^ 山下氏をJOC理事推薦へ=全柔連 時事通信 2013年3月21日
- ^ 山口理事、女子の新体制決定に不快感 デイリースポーツ 2013年3月20日
- ^ 「山口香さんは理事」調査中のメディアでの発言に苦言 スポーツニッポン 2013年3月20日
- ^ 柔道代表選考基準、5月に決定 日刊スポーツ 2013年3月20日
- ^ 柔道女子の南條新代表監督「環境が大事」 日刊スポーツ 2013年3月20日
- ^ 全柔連現体制に告発代理人「すごい組織」 日刊スポーツ 2013年3月20日
- ^ 講道館も協力姿勢=柔道暴力問題 時事通信 2013年3月21日
- ^ 全柔連、6月までに「禁止用語集」作成 日刊スポーツ 2013年3月21日
- ^ 山口香氏「これが終わりで始まり」 日刊スポーツ 2013年3月20日
- ^ 山口氏が全柔連強化委に 環境改善に意欲 スポーツニッポン 2013年3月22日
- ^ 柔道強化委員就任 山口氏の裏の役割 東京スポーツ 2013年3月29日
- ^ 杉本氏、福見が打診断っていた 柔道女子日本代表コーチ スポーツニッポン 2013年3月24日
- ^ 告発サポートの山口香氏 強化委員入りへ 塚田真希氏ら3コーチで人事一心 スポーツニッポン 2013年3月21日
- ^ 山口氏が強化委員就任へ 女子コーチに塚田氏ら就任 MSN産経ニュース 2013年3月21日
- ^ 渦中の柔道女子 合宿を公開 南條新監督再出発誓う 東京新聞 2013年3月28日
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- ^ 稲田行革相「おざなりだ」…全柔連報告書を批判 読売新聞 2013年6月18日
- ^ 全柔連上納金、不適切受給27人・6055万円 読売新聞 2013年6月21日
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- ^ 上村会長らの責任言及=不正受給も認定-全柔連第三者委 時事通信 2013年6月21日
- ^ 上納問題「理由なき否定」全柔連、修正再三要求 読売新聞 2013年6月21日
- ^ 全柔連:「不正、あり得ない額」JSC理事長 毎日新聞 2013年6月21日
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- ^ 女三四郎「いま柔道家はバカだと思われてる」全柔連会長居座り恥ずかしい J-CAST 2013年6月25日
- ^ 全柔連の上村会長、辞意表明…助成金問題で引責 読売新聞 2013年6月24日
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- ^ 全柔連:上村会長に事実上の辞任勧告 内閣府委員会 毎日新聞 2013年7月23日
- ^ 不正受給に罰則検討も=JSC 時事通信 2013年7月24日
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- ^ 次期会長は「外部」を基本線に 全柔連常務理事会で方針固める MSN産経ニュース 2013年8月1日
- ^ 【柔道】全柔連、JSCへの返還金は「連帯責任」で スポーツ報知 2013年8月7日
- ^ 【柔道】全柔連に6055万円返還命令 スポーツ報知 2013年8月9日
- ^ 全柔連へ勧告処分!助成金6055万返還命令 日刊スポーツ 2013年8月9日
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- ^ 柔道連 あの大物金メダリスト2人が取り立て屋に 日刊ゲンダイ 2013年8月16日
- ^ 【柔道】JSC、不正金返還後も助成金保留“即解除せず” スポーツ報知 2013年8月15日
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- ^ 全柔連に“援軍”復活、マルチサポート事業凍結解除 スポーツニッポン 2013年8月18日
- ^ 吉村前強化委員長と協議=助成金返還負担額で-全柔連 時事通信 2013年8月20日
- ^ 【柔道】全柔連・宗岡新会長「あえて火中のクリを拾う」 スポーツ報知 2013年8月21日
- ^ 柔道女子暴力問題「情けない。不愉快だ」 東京五輪招致活動には「影響ないと思っている」 MSN産経ニュース 2013年2月3日
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- ^ 谷亮子議員 監督留任は「賢明な判断」 日刊スポーツ 2013年1月31日
- ^ 谷議員「事実なら残念、検証が必要」…柔道告発 読売新聞 2013年1月31日
- ^ 谷亮子氏「反省してほしい」園田監督の辞意に サンケイスポーツ 2013年1月31日
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- ^ 谷亮子議員、柔道コーチ国家資格化を提言 スポーツ報知 2013年2月26日
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- ^ 小川と山口香氏が柔道界改革「派閥争いの時代じゃない」 東京スポーツ 2013年3月29日
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- ^ 吉田秀彦「柔道界、良いニュースも出そう」11年ぶり柔道大会出場へ公開練習 スポーツナビ 2013年6月3日
- ^ 坂口氏が柔道界復活のキーマンに吉田氏を指名 東京スポーツ 2013年7月4日
- ^ 猪木氏“公約”全柔連解体して新連盟設立 東京スポーツ 2013年7月4日
- ^ 柔道体罰問題で神取が緊急提言 東京スポーツ 2013年2月5日
- ^ 前代表監督らの擁護論も 女子強化選手が実名で短文投稿「戻ってきてほしい」 MSN産経ニュース 2013年2月6日
- ^ 女子柔道の暴力問題、選手間でも疑心暗鬼 「本当に強化選手なの?」 ZAKZAK 2013年2月8日
- ^ ロンドン金・松本の恩師「意思疎通ができていなかったのでは」 スポーツニッポン 2013年1月30日
- ^ 「全員辞めてしまった方がいい」 全柔連の対応を批判 聴取受けた実業団監督 MSN産経ニュース 2013年3月5日
- ^ 全柔連幹部はみんな辞めろ、の声も 日刊スポーツ 2013年3月6日
- ^ 為末氏 シンポジウムで持論「体罰はドーピングに近い」 スポーツニッポン 2013年2月19日
- ^ 溝口氏「暴力は一発退場」=為末氏と意見交換会-柔道女子暴力問題 時事通信 2013年2月18日
- ^ 【柔道】溝口氏、体罰問題を議論「今まで出ているのはごく一部」 スポーツ報知 2013年2月18日
- ^ 柔道連盟の閉鎖性非難…五輪女子「銀」溝口さん 読売新聞 2013年3月5日
- ^ 過去告白し出直しを 全柔連の体罰指導 中日新聞 2013年7月11日
- ^ 【柔道】五輪V2ドイエ氏糾弾「体罰はフランスなら即法廷」 スポーツ報知 2013年2月9日
- ^ 「柔道パワハラ」ブラジルでも話題に 東京スポーツ 2013年2月2日
- ^ 女子柔道暴力問題:「尊敬し合う姿勢、大事」 アテネ五輪「銅」、ロシア下院議員・ノソフ氏 毎日新聞 2013年3月1日
- ^ 馳議員「全柔連、JOC両会長辞任を」 東京スポーツ 2013年2月8日
- ^ 「強化に税金が使われている自覚があるなら実名公表を」「暴力は絶対なくせる」 衆院議員の馳浩さん MSN産経ニュース 2013年2月24日
- ^ カール・ルイス氏、選手と対等に学ぶ姿勢を重要 スポーツ報知 2013年3月23日