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'''不法無線局'''(ふほうむせんきょく)とは、[[電波法]]第4条に定める[[免許]]を受けずに運用する[[無線局]]のことである。 |
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[[俗語]]では'''アンカバー'''、'''UC'''ともいう(“足を見せない”意の[[アンダーカバー]]、Undercoveredから)。 |
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<!--'''アンカバー'''は主に、市民が届出、免許などを経て比較的自由に使う事の出来る周波数帯域での通信、及び無線局と関係する各所において、使用される単語である。--> |
<!--'''アンカバー'''は主に、市民が届出、免許などを経て比較的自由に使う事の出来る周波数帯域での通信、及び無線局と関係する各所において、使用される単語である。--> |
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==概要== |
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[[無線]]は主に[[電波]]を用いて行われる電気通信である。電波はその性質上、万人が自由 |
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電波はその性質上、万人が自由勝手に使用した場合に、お互いに妨害を与え正常な通信ができなくなるなどのトラブルを招いてしまう場合がある。 |
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そのため、電波の使用が他者の不利益とならないよう、また、限られた周波数を用途別などに整理するための管理、監督の仕組みが存在する。 |
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日本の場合、電波法の中で、その使用を規制している。その内訳の大筋は、 |
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*[[無線局]]を開設しようとする者は原則として免許または登録を必要とすること |
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*[[免許]]または登録に際して[[総務大臣]]が申請書を受理した時には、法令上の技術基準に適合すること、[[電波の周波数による分類|周波数]]の割当てが可能であること、開設の基準に合致することを審査すること |
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である。 |
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不法無線局は、これらの手続きを行わずに勝手に開設される無線局である。 |
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不法無線局は、これらの法律に定められた[[免許]]手続きを行わずに勝手に開設される無線局である。免許を受けずに[[送信機]]を簡単な操作で電波が発射できる状態にしていれば、実際に電波を出していなくても不法無線局を開設していることになる。不法無線局かどうかは[[識別信号|コールサイン]]を言わないなど通信内容からある程度判別可能である。不法無線局が運用する周波数帯は[[市民ラジオ]]の27MHz帯、[[アマチュア無線]]の144MHz帯、430MHz帯及び[[パーソナル無線]]の900MHz帯であることが多く、総称して「不法三悪」と言われる。これらの不法無線局は、通信距離を向上させるため、高出力の送信機用増幅器(ブースター、リニアアンプ)を設けることが多く、それによる沿線地域への[[電波障害]]や免許を受けている正規の無線局に妨害を与えるため大きな社会問題ともなっている。 |
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免許を受けずに[[送信機]]を電波が発射できる状態にしていれば、実際に電波を出していなくても不法無線局を開設していることになる。 |
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不法無線局かどうかは[[識別信号|コールサイン]]を言わないなど通信内容からある程度判別可能である。 |
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*[[市民ラジオ]]の27MHz帯 |
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*[[アマチュア無線]]の144MHz帯、430MHz帯 |
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*[[パーソナル無線]]の900MHz帯 |
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であることが多く総称して「不法三悪」と言われる。これらの無線機は電波法令で指定無線設備とされ、小売業者は「免許を申請する必要があり、免許が無いのに使用した場合は刑事罰に処せられる。」ことを呈示しなければならないことが義務付け |
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<ref>電波法第102条の13から第102条の14の2及び[[電波法施行規則]]第51条の2から第51条の3</ref> |
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られている。 |
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これらの不法無線局は、通信距離を向上させるため、大[[空中線電力|出力]]の送信機用増幅器(ブースター、リニアアンプ)を設けて運送用車両に搭載されることが多く、道路沿線での[[電波障害]]や免許を受けている正規の無線局に妨害を与えるため大きな社会問題ともなっている。 |
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総務省も1992年(平成4年)からこれらの不法局に警告するための規正用無線局を開設している。 |
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これら以外にも、'''[[技適マーク]]'''の無い[[ラジコン]]送信機(飛行機、車、船、ロボットなど)、 |
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これら以外にも不法無線局には、[[技術基準適合証明|技適マーク]]の無い[[ラジコン]]送信機(飛行機、車、船、ロボットなど)、通信事業者以外が設置した[[携帯電話]]中継装置(電波の届かないビルの地下等に設置)、付近の携帯電話を妨害電波により使用できなくするための装置(ジャマー)、インターネットオークションなど販売されている日本国外から輸入されたトランシーバー([[FRS]]や[[GMRS]])、通信距離が向上するように改造した[[無線LAN]]や[[キーレスエントリー]]の送信機、無線式[[盗聴器]](用途を問わず、送信出力の大きな物は電波法に抵触する可能性が高い)、[[狩猟]]で[[猟犬]]に装着される[[ドッグマーカー]]、野生生物生態調査用ビーコン(専用周波数は存在しない)などがある。また、正規に[[免許]]を受けた無線局であっても、その免許の有効期間が切れてしまえば無免許と同じ扱いとなり、不法無線局として罰せられる(主要例では[[FM東海]](但し後に処分取り消し))。アマチュア無線局においては広域[[レピータ]]を中心として通信妨害が深刻化するなど深刻な問題が出ていた。一部レピータ管理団体はフォックスハンティングなどの手法を用い取締りをするほどであった。(CG誌1991年5月号に詳細掲載) |
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[[電気通信事業者]]以外が設置した[[携帯電話]]・[[PHS]]中継装置(電波の届かないビルの地下等に設置)や無免許の携帯電話・[[PHS]]を妨害電波により使用できなくするための[[通信機能抑止装置]](ジャマーなどと呼ばれる。)、 |
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インターネットオークションなど販売されている日本国外から輸入された[[トランシーバー (無線機)|トランシーバー]]([[:en:FRS|FRS]]や [[:en:GMRS|GMRS]])、 |
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通信距離が向上するように改造した[[無線LAN]]や[[キーレスエントリー]]の送信機、 |
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無線式[[盗聴]]器(用途を問わず、大出力の物は電波法に抵触する可能性が高い。)、 |
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外国仕様の野生生物生態調査用ビーコンや[[猟犬]]に装着する[[ドッグマーカー]]などがある。 |
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また、正規に免許を受けた無線局であっても、その免許の有効期間が切れてしまえば無免許と同じ扱いとなり、不法無線局として罰せられる。 |
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アマチュア無線局においては広域[[レピータ]]を中心として通信妨害が深刻化するなど深刻な問題が出ていた。 |
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一部レピータ管理団体は[[フォックスハンティング]]の手法を用い取締りをするほどであった。([[CQ ham radio]]1991年5月号掲載) |
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免許を受けていながらその範囲を逸脱して運用する場合は'''違法無線局'''と呼び区別される。 |
免許を受けていながらその範囲を逸脱して運用する場合は'''違法無線局'''と呼び区別される。 |
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==開設した者に対する処分== |
==開設した者に対する処分== |
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不法無線局を開設した者に対しては、次のような |
不法無線局を開設した者に対しては、電波法に次のような罰則が定められている。 |
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*人命財産に深くかかわる重要な無線通信(具体的には[[警察無線]]・[[消防無線]]・[[列車無線]]と、電 |
*人命財産に深くかかわる重要な無線通信(具体的には[[警察無線]]・[[消防無線]]・[[列車無線]]と、[[電気通信事業者]]、[[気象台]]、[[電力会社]]各者の[[業務無線]]通信)に妨害を与えた者は、5年以下の[[懲役]]または250万円以下の[[罰金]]<ref>電波法第108条の2第1項</ref> |
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*免許を受けずに無線局を開設した |
*免許を受けずに無線局を開設した者は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金<ref>第110条第1項第1号</ref> |
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**1982年(昭和57年)までは、上記の条文は'''運用した者'''となっていた。この為、通信中の現場を[[現行犯]]として押さえられなければ摘発は困難であった。1983年(昭和58年)からは、条文が'''開設した者'''と改正され、電波を発射しうる状態の無線機がありそれを操作できる者がいれば摘発できることとなった。 |
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免許を受けていながら違法な運用を行った場合は、免許取消などの処分の対象にもなる。また量刑も“法知識がありながら違法行為を行なった”という事で無資格者に比べて重く、懲役刑が課される場合も多い。 |
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無線従事者が違法無線局を運用した場合は、免許取消しなどの行政処分の対象<ref>電波法第42条第1号及び第2号</ref>にもなる。 |
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不法無線局に対する取締りは、[[総合通信局]]が行なっている。総合通信局は司法官庁ではなく行政官庁であり、執行官がいないため、警察の協力を得ての取締りを行なう。なお、通報があっても通信中の現場を押さえられなければ[[現行犯]]ではなく[[被疑者]]となる。取り締まりは平日に行なわれる。 |
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また量刑も「法知識がありながら違法行為を行った」という事で無資格者に比べて重い。 |
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不法無線局に対する取締りは、[[総合通信局]]([[沖縄総合通信事務所]]を含む、以下同じ。)が行う。 |
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総合通信局は司法官庁ではなく行政官庁であり、[[司法警察]]員はいないため取締りは[[日本の警察|警察]]の協力を得て平日に行われる。 |
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==不法無線局の報告== |
==不法無線局の報告== |
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不法(違法)無線局を認めた際には、電波法第80条の規定により、所轄の |
不法(違法)無線局を認めた際には、電波法第80条の規定により、所轄の総合通信局に書面をもって報告する。(「80条報告」という。) |
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必要事項は次の通りであるが、不明なものは記入しなくてよい。 |
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*違法無線局の運用者の住所、氏名、電話番号 |
*違法無線局の運用者の住所、氏名、電話番号 |
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*[[識別信号|コールサイン]]、呼出名称 |
*[[識別信号|コールサイン]]、呼出名称あるいは通信に使用している愛称、[[電波型式の表記法|電波型式]]、周波数、受信日時 |
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*通信の概要その他参考となる事項 |
*通信の概要その他参考となる事項 |
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専用の書式<ref>[http://www.soumu.go.jp/soutsu/tokai/tool/download/index2.html ダウンロード集]のI1([[東海総合通信局]])</ref>もあるが、これにこだわらなくともよい。 |
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なお、無線従事者は、業務従事中に確認した場合、報告を義務付けられている。 |
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==使用に注意が必要な機器== |
==使用に注意が必要な機器== |
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ここでは、電波の不法使用 |
ここでは、電波の不法使用(不法無線局の開設)につながる可能性のある機器を取り上げる。 |
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周波数の割当ては国によって異なるので、基本的に電波を発する製品はその国でしか使えない。 |
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使用者に悪意がなく、電波法を犯しているという自覚がなくても、罰せられる可能性がある。 |
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ネットオークション、通信販売や秋葉原など電機量販店の店頭などで売られている日本国外製のトランシーバー(FRSやGMRSなど)または、27MHz帯ハイパワー[[市民ラジオ]](違法CB)は、電波法に定められる周波数帯や出力ではないものが多い。 |
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これらのトランシーバーを使用すると、[[業務無線]]などに妨害を与える可能性がある。 |
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「米国規格([[FCC]] rule)に適合している」などと宣伝している場合があるが、これは米国領内で有効であるという意味しかない([[技術基準適合証明]]機器が使用できるのは日本国内のみであると同じことである。)。 |
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購入時に電波法に適合するかどうかを確認する必要がある。 |
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例外として、[[アマチュア無線]]は使用する周波数帯や電波型式が一部例外を除き基本的に世界共通である。 |
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従って、アマチュア無線用機だけは、[[アマチュア無線の周波数帯]]に適合すれば保証認定による免許申請をして使用できる。 |
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:ネットオークションや通信販売や、秋葉原など電機量販店の店頭などで売られている日本国外製のトランシーバー(FRS, GMRSなど)または、27MHz帯ハイパワー[[市民ラジオ]](違法CB)は、日本の電波法に定められる周波数帯や出力電力ではない場合が多い。これらのトランシーバーを使用すると、[[業務無線]]などに妨害を与える可能性がある。“米国規格([[FCC]] rule)に適合している”などと宣伝している場合があるが、これは米国外では有効ではない(日本の[[技術基準適合証明]]付きの機器が日本国外では使用できないのと同じ)。購入時に、日本でも適合するかどうかを確認する必要がある。 |
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:例外ではあるが、[[アマチュア無線]]は使用する周波数帯や電波型式が基本的に世界共通である。したがって、アマチュア無線の無線機だけは、日本国外製であっても、該当免許保持者が使用する場合に限って、然るべき手続きを取った上での使用が容認されている。ただし、国によって周波数帯の割当てが異なる場合もあり、運用する際はその国の法規に従う必要があるため、全ての無線機が使えるとは限らない(例として144MHz帯のうち146~148MHzは日本では使えない。また特定の地域にのみ割り当てられている周波数帯もある)。 |
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{{See also|NASAパーソナル無線}} |
{{See also|NASAパーソナル無線}} |
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'''コードレス電話''' |
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:日本国外向けのコードレス電話(技適マークのない製品)は、日本では使用できない。また、使われる周波数帯が異なっていたり出力が大きい場合もあるので、他の無線に妨害を与えてしまう可能性がある。日本国外向け製品は、デザインが優れている、通話距離が長いなどと宣伝して、日本国内の市場に古くから出回っている。昔は[[VHF]]以下のアナログ式のものが主流であったが、現在は2.4ギガヘルツ帯や5.8ギガヘルツ帯のデジタル式が主流である。 |
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;[[ドッグマーカー]] |
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外国仕様のコードレス電話は、国内用と周波数帯が異なっていたり出力が大きい場合もあるので、他の無線に妨害を与えてしまう可能性がある。 |
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:'''猟犬マーカー'''とも称される。[[#概要|先述]]の通り、割り当てられる周波数は存在しない。一般には144メガヘルツ帯を用いている製品が多いが、これは実はアマチュア業務(=アマチュア無線)の為の周波数である。また「周波数を上下に調整可能」と謳う物があるが、アマチュア用周波数の直上・146メガヘルツ帯は[[消防無線]]、救急無線、防災行政無線、直下・143メガヘルツ帯は[[列車無線]]の周波数である。 |
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「海外向け製品はデザインが優れている、通話距離が長い」などと宣伝して、日本国内に古くから出回っている。 |
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<!--括弧内は販売業者の惹句の例である。--> |
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:日本国外製または日本国内メーカーの日本国外規格のFMステレオ・トランスミッターやワイヤレスマイク、AM中波帯トランスミッターなどは、日本の電波法などで定める規格とは異なる場合があり、それを知らずに使用していると、近傍周波数の放送の受信に妨害、またスプリアス(高調波)などで他の通信に妨害を与えるなど、気づかぬうちに混信妨害を与える可能性がある。場合によっては電波法で罰せられる可能性がある。 日本における「微弱電波」、すなわち電波法第4条で「発射する電波が著しく微弱な無線局に該当するもの」で、「無線設備から3メートルの距離において、その電界強度が毎メートル500マイクロボルト以下のもの」と規定されている(出力による制限ではない)ものであれば、基本的に無線局の'''免許は不要'''であるが、日本国外製・日本国外規格のものは、日本の電波法とは法律が異なり、日本のそれを超える規格で製造されているものがほとんどである。個人輸入する場合や、ネットオークションなどで日本国外製のものを購入する場合は、当該製品が日本の電波法に批准するかどうか注意を要する。また、微弱電波の範囲内でも常に近傍周波数の局やスプリアスで他の局に混信妨害が出ていないかの配慮も要する。 |
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1987年(昭和62年)のコードレス電話自由化前後までは[[VHF]]帯以下のアナログ式のものが主流であったが、[[1990年代]]末頃からは2.4GHz帯や5.8GHz帯のデジタル式が主流である。 |
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国内で使用できるものには技適マークが表示されている。 |
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'''野生生物生態調査用ビーコン'''、'''[[ドッグマーカー]]''' |
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動物の生態観察などの目的で外国製のものが使用されていたが、学術研究、有害鳥獣駆除などの為に必要性が高まり2008年(平成20年)に[[特定小電力無線局]]の一種として動物検知通報システム用が法制化 |
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<ref>[http://www.tele.soumu.go.jp/horei/reiki_honbun/a000062501.html 平成20年総務省告示第714号 周波数割当計画]の別表9-14(総務省電波利用ホームページ 総務省電波関係法令集)</ref>。された。 |
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ドッグマーカーは猟犬マーカーとも称し、これも外国製のものが使用されている。 |
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一般には144MHz帯を用いている製品が多いが、これはアマチュア業務(=アマチュア無線)の周波数である。 |
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また「周波数を上下に調整可能」と謳う物があるが、アマチュア用周波数の直下の143MHz帯、直上の146MHz帯はともに官公庁の公共業務用、放送事業者の放送事業用、その他民間の各種事業者の一般業務用として割り当てられている |
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<ref>[http://www.tele.soumu.go.jp/horei/reiki_honbun/a000062501.html 平成20年総務省告示第714号 周波数割当計画]の第2表 27.5MHz-10000MHz(同上)</ref>。 |
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2012年(平成24年)に総務省は、動物検知通報システム用特定小電力無線局の用途緩和としてドッグマーカーへの使用を認めることを[[電波監理審議会]]に答申した |
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<ref>{{PDFlink|[http://www.soumu.go.jp/main_content/000146053.pdf 電波監理審議会(第975回)平成24年2月10日会議資料の資料1別添3(4枚目)参照]}}(総務省 - 審議会・委員会・会議等)</ref>。 |
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答申が認められ次第、総務省規定を改正するとしている。 |
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特定小電力無線局の機器には技適マークが表示されている。 |
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外国仕様のFMステレオ・トランスミッターやワイヤレスマイク、AM中波帯トランスミッターなどは、電波法で定める規格とは異なる場合があり、それを知らずに使用していると近傍周波数の放送の受信に妨害、またスプリアス(高調波)などで他の通信に妨害を与えるなど、気づかぬうちに混信妨害を与える、また電波法で罰せられる可能がある。 |
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「微弱電波」は、発射する電波が著しく微弱なもの |
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<ref>電波法第4条但書き第1号</ref>で、 |
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322MHz以下の周波数では無線設備から3mの距離において電界強度が500μV/m以下のもの |
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<ref>電波法施行規則第6条第1項第1号</ref> |
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と規定されている(出力による制限ではない。)。 |
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この範囲のものであれば、無線局の'''免許は不要'''であるが、日本国外製・日本国外規格のものは、電波法とは技術基準が異なり、日本のそれを超える規格で製造されているものがほとんどである。 |
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個人輸入やネットオークションで日本国外製のものを購入する場合は、適合するかどうか注意を要する。 |
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'''携帯電話・PHS中継装置'''、'''通信機能抑止装置''' |
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携帯電話・PHS中継装置は、電気通信事業者が免許を取得し設置するもので技適マークが表示されている。その他の者は設置することはできない。 |
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通信機能抑止装置の設置は、[[劇場]]・[[映画館]]など静粛を必要とする事業者が無線局の免許を取得して行う。 |
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無線従事者の配置と総合通信局による検査も要し、持ち運べる形状のものには免許されない。 |
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==関連項目== |
==関連項目== |
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*[[海賊放送]] |
*[[海賊放送]] |
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==脚注== |
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<references /> |
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==外部リンク== |
==外部リンク== |
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*[http://www.tele.soumu.go.jp/j/monitoring/index.htm 電波監視の概要] 総務省電波利用ホームページ |
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*[http://www.tele.soumu.go.jp/monitoring_qa/index.htm 技適マーク](同上) |
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*[http://www.soumu.go.jp/soutsu/kanto/re/index.html 電波環境] [[関東総合通信局]] |
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*[http://www.soumu.go.jp/soutsu/shinetsu/sbt/denpa/kansi/frs/frs.html 外国製無線機器について] [[信越総合通信局]] |
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* |
*[http://www.soumu.go.jp/soutsu/tokai/denpa/mokutekitoigi/index.html 電波監視の目的と意義] 東海総合通信局 |
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* |
*[http://www.soumu.go.jp/soutsu/hokuriku/denpa/index.html 電波利用] [[北陸総合通信局]] |
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* |
*[http://www.soumu.go.jp/soutsu/kinki/kankyou/index.html 電波環境] [[近畿総合通信局]] |
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* |
*[http://www.soumu.go.jp/soutsu/chugoku/kansi/index.html 電波環境・電波監視] [[中国総合通信局]] |
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* |
*[http://www.soumu.go.jp/soutsu/shikoku/kobetsukoumoku/jushinshogai.html テレビ・ラジオの受信障害、電波監視] [[四国総合通信局]] |
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* |
*[http://www.soumu.go.jp/soutsu/kyushu/re/ 電波環境] [[九州総合通信局]] |
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* |
*[http://www.soumu.go.jp/soutsu/hokkaido/K/denpa03.htm 電波監視] [[東北総合通信局]] |
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* |
*[http://www.soumu.go.jp/soutsu/hokkaido/K/denpa03.htm 電波監視] [[北海道総合通信局]] |
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* |
*[http://www.soumu.go.jp/soutsu/okinawa/kansitiyousa/gyoumu061128remake.htm 電波監視] [[沖縄総合通信事務所]] |
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*[http://www.jarl.or.jp/Japanese/7_Technical/denshou/kankyo.htm 日本アマチュア無線連盟 |
*[http://www.jarl.or.jp/Japanese/7_Technical/denshou/kankyo.htm 電波環境・不法局関連] [[日本アマチュア無線連盟]](JARL) |
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2012年3月4日 (日) 13:45時点における版
この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。 |
不法無線局(ふほうむせんきょく)とは、電波法第4条に定める免許を受けずに運用する無線局のことである。 俗語ではアンカバー、UCともいう(“足を見せない”意のアンダーカバー、Undercoveredから)。
概要
無線は主に電波を用いて行われる電気通信である。 電波はその性質上、万人が自由勝手に使用した場合に、お互いに妨害を与え正常な通信ができなくなるなどのトラブルを招いてしまう場合がある。 そのため、電波の使用が他者の不利益とならないよう、また、限られた周波数を用途別などに整理するための管理、監督の仕組みが存在する。
日本の場合、電波法の中で、その使用を規制している。その内訳の大筋は、
- 無線局を開設しようとする者は原則として免許または登録を必要とすること
- 免許または登録に際して総務大臣が申請書を受理した時には、法令上の技術基準に適合すること、周波数の割当てが可能であること、開設の基準に合致することを審査すること
である。
不法無線局は、これらの手続きを行わずに勝手に開設される無線局である。 免許を受けずに送信機を電波が発射できる状態にしていれば、実際に電波を出していなくても不法無線局を開設していることになる。 不法無線局かどうかはコールサインを言わないなど通信内容からある程度判別可能である。
であることが多く総称して「不法三悪」と言われる。これらの無線機は電波法令で指定無線設備とされ、小売業者は「免許を申請する必要があり、免許が無いのに使用した場合は刑事罰に処せられる。」ことを呈示しなければならないことが義務付け [1] られている。 これらの不法無線局は、通信距離を向上させるため、大出力の送信機用増幅器(ブースター、リニアアンプ)を設けて運送用車両に搭載されることが多く、道路沿線での電波障害や免許を受けている正規の無線局に妨害を与えるため大きな社会問題ともなっている。 総務省も1992年(平成4年)からこれらの不法局に警告するための規正用無線局を開設している。
これら以外にも、技適マークの無いラジコン送信機(飛行機、車、船、ロボットなど)、 電気通信事業者以外が設置した携帯電話・PHS中継装置(電波の届かないビルの地下等に設置)や無免許の携帯電話・PHSを妨害電波により使用できなくするための通信機能抑止装置(ジャマーなどと呼ばれる。)、 インターネットオークションなど販売されている日本国外から輸入されたトランシーバー(FRSや GMRS)、 通信距離が向上するように改造した無線LANやキーレスエントリーの送信機、 無線式盗聴器(用途を問わず、大出力の物は電波法に抵触する可能性が高い。)、 外国仕様の野生生物生態調査用ビーコンや猟犬に装着するドッグマーカーなどがある。 また、正規に免許を受けた無線局であっても、その免許の有効期間が切れてしまえば無免許と同じ扱いとなり、不法無線局として罰せられる。 アマチュア無線局においては広域レピータを中心として通信妨害が深刻化するなど深刻な問題が出ていた。 一部レピータ管理団体はフォックスハンティングの手法を用い取締りをするほどであった。(CQ ham radio1991年5月号掲載)
免許を受けていながらその範囲を逸脱して運用する場合は違法無線局と呼び区別される。
開設した者に対する処分
不法無線局を開設した者に対しては、電波法に次のような罰則が定められている。
- 人命財産に深くかかわる重要な無線通信(具体的には警察無線・消防無線・列車無線と、電気通信事業者、気象台、電力会社各者の業務無線通信)に妨害を与えた者は、5年以下の懲役または250万円以下の罰金[2]
- 免許を受けずに無線局を開設した者は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金[3]
- 1982年(昭和57年)までは、上記の条文は運用した者となっていた。この為、通信中の現場を現行犯として押さえられなければ摘発は困難であった。1983年(昭和58年)からは、条文が開設した者と改正され、電波を発射しうる状態の無線機がありそれを操作できる者がいれば摘発できることとなった。
また、処分確定の日から2年間、無線局や無線従事者の免許を受けられないことがある[4][5]。
無線従事者が違法無線局を運用した場合は、免許取消しなどの行政処分の対象[6]にもなる。 また量刑も「法知識がありながら違法行為を行った」という事で無資格者に比べて重い。
不法無線局に対する取締りは、総合通信局(沖縄総合通信事務所を含む、以下同じ。)が行う。 総合通信局は司法官庁ではなく行政官庁であり、司法警察員はいないため取締りは警察の協力を得て平日に行われる。
不法無線局の報告
不法(違法)無線局を認めた際には、電波法第80条の規定により、所轄の総合通信局に書面をもって報告する。(「80条報告」という。)
必要事項は次の通りであるが、不明なものは記入しなくてよい。
専用の書式[7]もあるが、これにこだわらなくともよい。 なお、無線従事者は、業務従事中に確認した場合、報告を義務付けられている。
使用に注意が必要な機器
ここでは、電波の不法使用(不法無線局の開設)につながる可能性のある機器を取り上げる。 周波数の割当ては国によって異なるので、基本的に電波を発する製品はその国でしか使えない。 使用者に悪意がなく、電波法を犯しているという自覚がなくても、罰せられる可能性がある。
トランシーバー
ネットオークション、通信販売や秋葉原など電機量販店の店頭などで売られている日本国外製のトランシーバー(FRSやGMRSなど)または、27MHz帯ハイパワー市民ラジオ(違法CB)は、電波法に定められる周波数帯や出力ではないものが多い。 これらのトランシーバーを使用すると、業務無線などに妨害を与える可能性がある。 「米国規格(FCC rule)に適合している」などと宣伝している場合があるが、これは米国領内で有効であるという意味しかない(技術基準適合証明機器が使用できるのは日本国内のみであると同じことである。)。 購入時に電波法に適合するかどうかを確認する必要がある。
例外として、アマチュア無線は使用する周波数帯や電波型式が一部例外を除き基本的に世界共通である。 従って、アマチュア無線用機だけは、アマチュア無線の周波数帯に適合すれば保証認定による免許申請をして使用できる。
コードレス電話
外国仕様のコードレス電話は、国内用と周波数帯が異なっていたり出力が大きい場合もあるので、他の無線に妨害を与えてしまう可能性がある。 「海外向け製品はデザインが優れている、通話距離が長い」などと宣伝して、日本国内に古くから出回っている。 1987年(昭和62年)のコードレス電話自由化前後まではVHF帯以下のアナログ式のものが主流であったが、1990年代末頃からは2.4GHz帯や5.8GHz帯のデジタル式が主流である。 国内で使用できるものには技適マークが表示されている。
野生生物生態調査用ビーコン、ドッグマーカー
動物の生態観察などの目的で外国製のものが使用されていたが、学術研究、有害鳥獣駆除などの為に必要性が高まり2008年(平成20年)に特定小電力無線局の一種として動物検知通報システム用が法制化 [8]。された。
ドッグマーカーは猟犬マーカーとも称し、これも外国製のものが使用されている。 一般には144MHz帯を用いている製品が多いが、これはアマチュア業務(=アマチュア無線)の周波数である。 また「周波数を上下に調整可能」と謳う物があるが、アマチュア用周波数の直下の143MHz帯、直上の146MHz帯はともに官公庁の公共業務用、放送事業者の放送事業用、その他民間の各種事業者の一般業務用として割り当てられている [9]。 2012年(平成24年)に総務省は、動物検知通報システム用特定小電力無線局の用途緩和としてドッグマーカーへの使用を認めることを電波監理審議会に答申した [10]。 答申が認められ次第、総務省規定を改正するとしている。
特定小電力無線局の機器には技適マークが表示されている。
外国仕様のFMステレオ・トランスミッターやワイヤレスマイク、AM中波帯トランスミッターなどは、電波法で定める規格とは異なる場合があり、それを知らずに使用していると近傍周波数の放送の受信に妨害、またスプリアス(高調波)などで他の通信に妨害を与えるなど、気づかぬうちに混信妨害を与える、また電波法で罰せられる可能がある。 「微弱電波」は、発射する電波が著しく微弱なもの [11]で、 322MHz以下の周波数では無線設備から3mの距離において電界強度が500μV/m以下のもの [12] と規定されている(出力による制限ではない。)。 この範囲のものであれば、無線局の免許は不要であるが、日本国外製・日本国外規格のものは、電波法とは技術基準が異なり、日本のそれを超える規格で製造されているものがほとんどである。 個人輸入やネットオークションで日本国外製のものを購入する場合は、適合するかどうか注意を要する。
携帯電話・PHS中継装置、通信機能抑止装置
携帯電話・PHS中継装置は、電気通信事業者が免許を取得し設置するもので技適マークが表示されている。その他の者は設置することはできない。
通信機能抑止装置の設置は、劇場・映画館など静粛を必要とする事業者が無線局の免許を取得して行う。 無線従事者の配置と総合通信局による検査も要し、持ち運べる形状のものには免許されない。
関連項目
脚注
- ^ 電波法第102条の13から第102条の14の2及び電波法施行規則第51条の2から第51条の3
- ^ 電波法第108条の2第1項
- ^ 第110条第1項第1号
- ^ 第5条第3項第1号
- ^ 第42条第1号
- ^ 電波法第42条第1号及び第2号
- ^ ダウンロード集のI1(東海総合通信局)
- ^ 平成20年総務省告示第714号 周波数割当計画の別表9-14(総務省電波利用ホームページ 総務省電波関係法令集)
- ^ 平成20年総務省告示第714号 周波数割当計画の第2表 27.5MHz-10000MHz(同上)
- ^ 電波監理審議会(第975回)平成24年2月10日会議資料の資料1別添3(4枚目)参照 (PDF) (総務省 - 審議会・委員会・会議等)
- ^ 電波法第4条但書き第1号
- ^ 電波法施行規則第6条第1項第1号
外部リンク
- 電波監視の概要 総務省電波利用ホームページ
- 技適マーク(同上)
- 電波環境 関東総合通信局
- 外国製無線機器について 信越総合通信局
- 電波監視の目的と意義 東海総合通信局
- 電波利用 北陸総合通信局
- 電波環境 近畿総合通信局
- 電波環境・電波監視 中国総合通信局
- テレビ・ラジオの受信障害、電波監視 四国総合通信局
- 電波環境 九州総合通信局
- 電波監視 東北総合通信局
- 電波監視 北海道総合通信局
- 電波監視 沖縄総合通信事務所
- 電波環境・不法局関連 日本アマチュア無線連盟(JARL)