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「UH-60 (航空機)」の版間の差分

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'''UH-60 ブラックホーク'''(UH-60 Black Hawk:[[イリノイ州]]のアメリカ[[先住民族]]、ソーク族を率いた勇猛な酋長の渾名)は[[シコルスキー・エアクラフト]]社製の中程度積載能力を持つ多目的または強襲用[[ヘリコプター]]であり、20ヶ国以上で使用されている民間型して武装を省略した[[シコルスキー S-70]]も販売されて
'''UH-60 ブラックホーク'''({{lang-en|UH-60 Black Hawk}})は[[シコルスキー・エアクラフト]]社製の4[[翼#回転翼|ローター]]、双発[[エンジン]]搭載である多目的[[ヘリコプター]]。また「Black Hawk」[[イリノイ州]]のアメリカ[[先住民族]]であり、ソーク族を率た勇猛な酋長の渾名


== 開発経緯 ==
== 概要 ==
シコルスキーは[[1972年]]に行われた[[アメリカ陸軍]]の汎用戦術輸送機システム(Utility Tactical Transport Aircraft System '''UTTAS''')競争のために[[シコルスキー S-70|S- 70]]を基礎とした試作機YUH-60Aを提示した。陸軍は[[ボーイング・ヘリコプターズ]]提示のYUH-61との性能比較試験飛行を行い、[[1976年]]、このプログラムの勝者としてYUH-60Aを調達に向けた[[プロトタイプ]]にすることを決定した。その後、それまで運用されていた戦術輸送ヘリコプターである[[ベル・ヘリコプター|ベル]]、[[UH-1 (航空機)|UH-1 イロコイ]]の代替として[[1979年]]、陸軍に納入を開始した。これに続き[[電子戦]]機や[[特殊部隊|特殊作戦]]機なども開発納入されている他、UH-60L、UH-60Mなどの亜種も開発されている。また[[アメリカ海軍|海軍]]、[[アメリカ空軍|空軍]]、及び[[沿岸警備隊]]のための改修版も開発されている。米軍の使用に加え、UH- 60ファミリーは多くの国へと輸出されているほか、[[グレナダ]]、[[パナマ]]、[[イラク]]、[[ソマリア]]、[[バルカン半島]]、[[アフガニスタン]]、[[中東]]など多くの[[紛争]]地帯で使用されている。
UH-60 ブラックホークは[[1972年]]に[[アメリカ陸軍]]が提示したUTTAS(汎用戦術輸送機システム)構想により、傑作である[[UH-1 (航空機)|UH-1 イロコイ]]の後継機として開発された。基本設計においては、[[C-5 (航空機)|C-5 ギャラクシー]]・[[C-17 (航空機)|C-17 グローブマスターIII]][[輸送機]]に搭載が可能であるよう、10tトラックと同じ容積、重量であることが求められている。またキャビン容積としては完全武装の[[歩兵]]1個[[分隊]]約10名が搭乗可能なスペースを要求されていた。


== 開発 ==
3つの[[プロトタイプ]]が試作され、初飛行は[[1974年]]10月に行われ、競争相手だった[[ボーイング|ボーイング・バートル社]]の設計よりも評価された。耐衝撃性も調達要件として出されていた。採用前のテスト飛行で墜落事故も起こしたが、死者は無く、メインローターの修理のみで飛行可能であったという。
==== 初期要件 ====
[[1960年]]代後半、米国陸軍はUH- 1イロコイを置き換えるために汎用戦術輸送機システム(UTTAS)プログラムを立ち上げ、同時に新型ヘリコプターに使用される新型[[ガスタービンエンジン]]の開発にも着手し、これはその後、[[ゼネラル・エレクトリック]]-[[ゼネラル・エレクトリック T700|T700]]として採用されている。[[ベトナム戦争]]の経験<ref group="注釈">ヘリコプターによる任務では低空を低速で飛行することが多く、小火器や[[対空砲]]などの標的になりやすく、ベトナム戦争では[[UH-1 (航空機)|UH-1]]が多数撃墜されている。これに対してUH-60の生存率は高く、激しい攻撃を受けながらも戦闘地域から離脱することができたと報告されている。出典「[[トム・クランシー]] アメリカ特殊部隊」</ref>に基づき重要な性能として、生存性と信頼性の改善を挙げており、UTTAS並びに新型パワープラントの要件として定め<ref>Leoni 2007, pp. 8–10.</ref>、[[1972年]]1月に提案依頼書(Request for Proposals '''RFP''')を発布している<ref>Leoni 2007, pp. 11, 39.</ref>。 RFPには航空輸送の要件が含まれており、[[C-130 (航空機)|C-130輸送機]]に搭載するため、キャビンの全高、全長が指定されている。<ref>Leoni 2007, pp. 39, 42–43.</ref>


信頼性の向上、生存性<ref>[http://www.youtube.com/watch?v=3cigkgLr960&feature=channel_video_title シコルスキー社公式Youtubeチャンネル''PAS 2011: S-70i™ BLACK HAWK Helicopter International Debut'']</ref>および低ライフサイクルコストなどを定めたUTTAS要件は、結果として戦闘高度や高高度などでの性能を向上させる双発エンジンの採用などに繋がっている。整備箇所を減らすことに繋がる[[モジュール|モジュラー]]デザイン、乾式[[トランスミッション|ギアボックス]]、被弾に備えた油圧、電気、操作系統の[[冗長化]]、墜落に対する耐衝撃性能を有する乗員並びに搭乗員の座席、[[降着装置]]のデュアル[[ショックアブソーバー|ダンパー]]化並びに耐被弾性能。静粛性が高く耐被弾、耐衝撃性能を有するメイン並びに[[ヘリコプター#テールローター|テールローター]]、耐衝撃燃料システム<ref>Leoni 2007, pp. 42–48.</ref>などが要件として定められている。なお採用前のテスト飛行で墜落事故を起こしているが、死者は無く、メインローターの修理のみで飛行可能であったという。
暗視装置や夜間航法装置を装備した形で、ブラックホークの製造が決定し、[[1979年]]に'''UH-60B'''が[[アメリカ軍]]で使用され始めた<ref name="historychannel">[[ヒストリーチャンネル]]「ブラックホークと[[ナイトストーカーズ]]」</ref>。


[[1974年]]10月に初飛行を行ったYUH-60Aは4機が製作されている。米陸軍への試作機の納入に先立ち、安全に試験飛行が行えるか予備評価試験が[[1975年]]11月に行われている<ref>Leoni 2007, p. 165.</ref>。この試作機の内3機は[[1976年]]3月にライバルであるボーイングに先んじて納入され、残りの1機は内部検証用にシコルスキーによって確保されている。米陸軍は1976年12月に[[ナイトビジョン|暗視装置]]や夜間航法装置を装備した形でUH-60の生産開始を指示し、UH-60Aの納入は[[1978年]]10月に始まり、[[1979年]]6月に正式運用が開始されている<ref name="Eden">Eden, Paul. "Sikorsky H-60 Black Hawk/Seahawk", ''Encyclopedia of Modern Military Aircraft''. Amber Books, 2004. ISBN 1904687849.</ref><ref name="historychannel">[[ヒストリーチャンネル]]「ブラックホークと[[ナイトストーカーズ]]」</ref>。
== 機体 ==
ブラックホークは2,600ポンド(1,170キログラム)の積荷の積載、9,000ポンド(4,050キログラム、例えば[[HMMWV]]など)の積荷の吊り下げ運搬が可能であり、航空騎兵隊(空挺部隊)、[[電子戦]]、MEDEVAC(医療救急)などの幅広い任務で活動することができる。


==== 改良・種類 ====
空からの強襲作戦では1分隊11名とその装備、もしくは、105mm榴弾砲(M102)及び砲弾30発と6人の操作要員を同時に運搬することができる。
運用開始後、[[地雷]]敷設や[[救難機|医療救助]]など新たな任務に向けた改良が始まっている。EH-60は電子戦を目的として開発され、特殊作戦支援用にMH-60などを開発している<ref>Tomajczyk 2003, pp. 15–29.</ref>。


米陸軍は新規作戦に伴う機器の増加による重量増加に対し、UH-60Lの改良を1987年に命じ、この改良は標準設計としてUH-60Aに反映されている。UH-60LにはT700-GE-701Cエンジンと強力なギアを搭載したことにより、より多くの吊り上げを可能とし、これは[[SH-60 シーホーク|SH-60Bシーホーク]]生産に生かされている<ref name="Leoni p217-8">Leoni 2007, pp. 217–218.</ref>。また、その吊り上げ能力は1000[[ポンド]](450[[kg]])〜9000ポンド(4100kg)近く増加している。UH-60Lは更にSH-60から[[オートパイロット|自動操縦装置]](Automatic Flight Control System '''AFCS''')を導入し、強力なエンジンにより飛行性能に寄与している<ref name="Bishop_UH-60">Bishop 2008.</ref>。L-モデルの生産は、[[1989年]]に開始されている<ref name="Leoni p217-8"/>。
また、外部搭載支援システム(ESSS)の裝着で追加される左右2箇所ずつのハードポイントに[[ヘルファイア (ミサイル)|AGM-114]][[対戦車ミサイル]]4連装ランチャー、2.75インチ(約70mm)19連装[[ロケット弾]]ポッド、ガンポッド、増槽などを搭載することができる。このため[[AH-64 アパッチ]]の開発費の高騰に対して代わりに利用することも検討された。またブラックホークは[[グローバル・ポジショニング・システム|GPS]]などの最新の航空電子機器を装備している。


次に[[2020年]]まで設計寿命の延命を行うためUH-60Mが[[2001年]]に認可されたことにより改良が始まり、T700-GE-701Dエンジンと新型[[回転翼]]の採用が行われ、[[グローバル・ポジショニング・システム|GPS]][[ナビゲーション]]、飛行制御、計測機器など新型[[アビオニクス]]への換装も行われている。[[アメリカ国防総省]]は新変種の少数の初期生産を承認後<ref>[http://www.sikorsky.com/vgn-ext-templating-SIK/v/index.jsp?vgnextoid=00de6eb78fa78110VgnVCM1000001382000aRCRD&vgnextchannel=65f9e39d40a78110VgnVCM1000001382000aRCRD&vgnextfmt=default&pressvcmid=be1660ba040ca110VgnVCM1000001081000aRCRD "Pentagon Acquisition Panel Authorizes UH-60M BLACK HAWK Low Rate Initial Production"]. Sikorsky Aircraft, 4 April 2005.</ref>、[[2006年]]に生産を開始し<ref name=Leoni_p233-6>Leoni 2007, pp. 233–236.</ref>、同年7月に22機の新UH-60Mが納入されている<ref name="new production UH-60M">[http://www.sikorsky.com/vgn-ext-templating-SIK/v/index.jsp?vgnextoid=00de6eb78fa78110VgnVCM1000001382000aRCRD&vgnextchannel=162f45d57ef68110VgnVCM1000001382000aRCRD&vgnextfmt=default&pressvcmid=69fea96c2e289110VgnVCM1000001382000aRCRD "Sikorsky Aircraft Delivers First New Production UH-60M BLACK HAWK Helicopter to U.S. Army"]. Sikorsky Aircraft, 31 July 2006.</ref>。この機種の評価を行い承認されたことにより1227機の5年契約が締結され<ref name="UH-60_army-tech">[http://www.army-technology.com/projects/black_hawk/ UH-60 Black Hawk Sikorsky S-70A – Multi-Mission Helicopter]. Army-Technology.com.</ref>、100機のUH-60Mが[[2009年]]3月に米陸軍へ納入されている<ref>[http://www.reuters.com/article/pressRelease/idUS182954+25-Mar-2009+PRN20090325 "Sikorsky Aircraft Delivers 100th New Production UH-60M BLACK HAWK Helicopter to U.S...."]. Reuters, 25 March 2009.</ref>。
なお、[[マリーンワン]]として[[アメリカ合衆国大統領]]の移動に使用することがある。


[[2011年]][[5月1日]]に発生した[[ウサーマ・ビン・ラーディンの死|ウサーマ・ビン・ラーディン殺害]](作戦名:ジェロニモ E KIA)では[[第160特殊作戦航空連隊]]が強襲作戦用に従来のUH-60に比べ極度に改良されたUH-60が使用されており、改良された尾部、騒音対策のための特別仕様回転翼などが使用されている。この機体は[[パキスタン軍|パキスタン空軍]]の[[レーダー]]回避を目的としており[[F-117 (航空機)|F-117]]と同等の[[ステルス性]]を有しているとされる。また、この機体はステルス機に見られる特殊素材、鋭角なデザインが見受けられ、作戦に使用された内の一機が機体故障により不時着したことで明るみに出ており、この事故機は尾部を残し破壊処理されている<ref>{{cite news |title = US used never-seen-before stealth helicopters for Osama raid |url= http://www.ndtv.com/article/world/us-used-never-seen-before-stealth-choppers-for-osama-raid-103637 |accessdate =5 May 2011 |date = 5 May 2011}}</ref><ref name=ABC_Stealth_Helicopter>Ross, Brian, Schwartz, Rhonda, Ferran, Lee, and Patel, Avni. [http://abcnews.go.com/Blotter/top-secret-stealth-helicopter-program-revealed-osama-bin/story?id=13530693 "Top Secret Stealth Helicopter Program Revealed in Osama Bin Laden Raid: Experts"]. ABC World News, 4 May 2011.</ref>{{#tag:ref|陸軍タイムズによると、1990年代に[[アメリカ特殊作戦軍]](USSOCOM)に属し、スペシャル・アドバイザーとして[[ロッキード・マーティン]]、[[スカンクワークス]]部門で働いていた退役者によればF-117で培われたレーダー波回避能力は、第160特殊作戦航空連隊が運用するMH-60に反映されていると語っており、USSOCOMは1999年から2000年辺りに掛けMH-60の低視認性改良を行う契約をボーイングに対し与えているとも述べている。|group="注釈"}}<ref name=Army_Times_stealth_Black_Hawk>{{citation |publisher=Army Times |date = 4 May 2011 |author=Naylor, Sean D. |url = http://www.armytimes.com/news/2011/05/army-mission-helocopter-was-secret-stealth-black-hawk-050411/ |title = Army mission helicopter was secret, stealth Black Hawk |accessdate=7 May 2011}}</ref>。
== 実戦 ==
なお低視認性を有するUH-60の研究は1970年代半ばまで遡り行われている<ref>[http://oai.dtic.mil/oai/oai?verb=getRecord&metadataPrefix=html&identifier=ADA058906 Structural Concepts and Aerodynamic Analysis for Low Radar Cross Section (LRCS) Fuselage Configurations] Retrieved 23 August 2011.</ref>。
[[画像:Soldiers exit a UH-60 Black Hawk helicopter 2007-06-05.jpg|thumb|250px|先に降りた兵はブラックホークの安全を確保し、後続の展開を保護する<br/>(2007年6月、イラクでの訓練の様子)。]]
初陣は[[1983年]]の[[グレナダ侵攻]]であったが、暗視装置は配備が間に合わなかった<ref name="historychannel">ヒストリーチャンネル「ブラックホークと[[ナイトストーカーズ]]」</ref>。その後の実戦には[[湾岸戦争]]、[[モガディシュの戦闘]]、[[アフガニスタン紛争 (2001年-)|アフガニスタン戦争]]、[[イラク戦争]]など、近年のアメリカが関与した[[戦争]]・[[戦闘]]にはほとんど参加している。


== 機体 ==
ヘリコプターによる攻撃任務では低空を低速で飛行することが多く、個人携行対空ミサイルや小火器による[[対空砲火]]などの的になりやすいため、ベトナム戦争では[[UH-1 (航空機)|UH-1]]が多数撃墜されている。
UH-60は、メイン、テールローター共に4枚の羽根を有した回転翼によって構成され、ゼネラル・エレクトリック社製T700型[[ターボシャフトエンジン]]によって動力を与えられている<ref name=Harding/>。回転翼は折りたたみ式であり、展開時は[[エラストマー]]製の[[軸受|ベアリング]]ローターヘッドに固定される。テールローターは傾斜が付けられており、[[剛性]][[はり部材|クロスビーム]]構造である<ref>Leoni 2007</ref>。C-130輸送機による航空輸送を目的とした米陸軍の要件を満たすため低全高形状となっている<ref name=Harding>Harding, Stephen. "Sikorsky H-60 Black Hawk". ''U.S. Army Aircraft Since 1947''. Schiffer Publishing Ltd., 1997. ISBN 0-7643-0190-X.</ref>。完全武装の[[歩兵]]1個[[分隊]]約11名の搭乗が可能であり、2600ポンド(1170 kg)の内部積載量を持ち、外部から[[スリング]]によって9000ポンド(4050kg)の貨物を吊り上げ可能(UH-60L/M)としている<ref name="UH-60_army-tech"/>。


[[File:US Navy 071211-N-9623R-006 Seabees from Naval Mobile Construction Battalion (NMCB) 17 assist in loading fellow Seabees into a Blackhawk medical evacuation helicopter (MEDAVAC) during a mass casualty drill.jpg|thumb|220px|MEDEVAC形態]]
これに対してUH-60の生存率は高く、激しい攻撃を受けながらも戦闘地域から離脱することができたと報告されている<ref>[[トム・クランシー]] アメリカ特殊部隊</ref>。
ブラックホークシリーズは、特殊作戦、戦術輸送、電子戦、MEDEVAC(負傷兵搬送)、非難救助など多目的な用途に使用することが可能であり、[[VH-60N プレジデントホーク|VH-60N]]として知られる[[要人|VIP]]仕様は、コールサイン「'''マリーンワン'''」として[[アメリカ大統領]]並びに政府関係者専用機として運用されている<ref>[http://www.globalsecurity.org/military/systems/aircraft/vh-60.htm VH-60]. Global Security</ref>。[[ヘリボーン]](Air assault)では1分隊11名とその装備、もしくは、[[M102 105mm榴弾砲]]及び砲弾30発と4人の[[砲兵]]を同時に運搬することが可能である<ref name="UH-60_army-tech">[http://www.army-technology.com/projects/black_hawk/ UH-60 Black Hawk Sikorsky S-70A – Multi-Mission Helicopter]. Army-Technology.com.</ref>。
{{-}}


10000lb(4500kg)の積載が可能な外部搭載支援システム(External Stores Support System '''ESSS''')の裝着により追加される左右2箇所ずつの[[ハードポイント]]に[[ヘルファイア (ミサイル)|AGM-114]][[対戦車ミサイル]]4連装ランチャー、2.75インチ(約70mm)19連装[[ロケット弾]]ポッド、[[ガンポッド]]、同じく片側に230[[ガロン]](870[[リットル]])計450ガロン(1700リットル)合計4つの[[増槽]]などを搭載することができる<ref>[http://www.dtic.mil/cgi-bin/GetTRDoc?AD=ADA132964&Location=U2&doc=GetTRDoc.pdf Preliminary Airworthiness Eval of UH-60A Configured with ESSS]. US DoD</ref><ref name="Bishop_UH-60"/><ref>[http://www.globalsecurity.org/military/library/policy/army/fm/3-04-500/appg.htm TFM 3-04.500 Army Aviation Maintenance, Appendix G]. US Department of the Army, 26 September 2000. Hosted on GlobalSecurity.org. Accessed: 15 April 2009.</ref><ref name="Bishop_UH-60"/><ref>[http://www.dtic.mil/cgi-bin/GetTRDoc?AD=ADA196187&Location=U2&doc=GetTRDoc.pdf Preliminary Airworthiness Eval of UH-60A/ESSS with Hellfire Missile Launcher Installed]. DTIC.mil</ref>。このため[[AH-64 アパッチ]]の開発費の高騰に対して代わりに利用することも検討された。なお、ESSSシステムは1996年に使用され始めているが、片側に2つの増槽を取り付けた状態では[[ドアガン]]の射撃に支障が出ることが判明し、問題解決のため専用となる[[小翼|スタブウイング]]が取り付けられた(External Tank System '''ETS''')が開発されている<ref name="Bishop_UH-60"/>。
== 派生型 ==
汎用ヘリコプターであるS-70は、数多くの派生型も生産されている。それぞれのバージョンによって製造費用も異なり、例えば'''UH-60L ブラックホーク'''は590万USドルだが、空軍の'''MH-60G ペイヴホーク'''は1,020万USドルの費用がかかる。民間向けには'''S-70'''の名称で販売されている。


調達価格は仕様、装備や調達数によって異なる。一例として米陸軍採用のUH-60Lは590万ドルであり、米空軍採用のMH-60Gペイブホークは1020万ドルである<ref>[http://www.globalsecurity.org/military/systems/aircraft/h-60.htm H-60], Global Security</ref>。
=== SH-60 シーホーク ===
{{main|SH-60 シーホーク}}
[[アメリカ海軍]]では、[[1983年]]に水上戦闘艦搭載用の[[LAMPS]]ヘリコプターとして'''[[SH-60 シーホーク#LAMPSヘリコプター(SH-60B シーホーク)|SH-60B シーホーク]]'''を、[[1988年]]に[[航空母艦]]艦載用の'''[[SH-60 シーホーク#艦上対潜ヘリコプター(SH-60F オーシャンホーク)|SH-60F オーシャンホーク]]'''を受け取った。SH-60はUH-60の[[対潜哨戒機#哨戒ヘリコプター|哨戒ヘリコプター]]バージョンであり、レーダーなどの哨戒機器と対潜兵器を搭載できる。また、機体はS-70Bとして輸出も行なわれているが、搭載機器はほとんど輸出されておらず、顧客が独自に開発するか、別途に輸出用の機器を調達して搭載している。


=== HH-60 / MH-60 ===
== 運用 ==
==== アメリカ陸軍 ====
[[画像:Airforce-mh60-26106-071002-fox-02-16.jpg|thumb|250px|MH-60]]
[[File:Black Hawk Down Super64 over Mogadishu coast.jpg|thumb|200px|[[1993年]][[10月3日]]、[[モガディシュの戦闘|モガディシュ]]上空を飛行するマイケル・デュラント[[准尉]]のスーパー64]]
HH-60シリーズは、遭難した航空隊員や戦争中に孤立した人間を救助することを主な目的として、UH-60を改造したものである。
UH-60は[[1979年]]6月、[[第101空挺師団 (アメリカ軍)|第101戦闘航空旅団]]に初導入されており<ref name="Vector_UH-60">[http://www.vectorsite.net/avs70_1.html Sikorsky S-70 Black Hawk], Vectorsite.net, 1 July 2006.</ref>、初陣は[[1983年]]の[[グレナダ侵攻]]であったが、暗視装置は配備が間に合わなかった<ref name="historychannel">ヒストリーチャンネル「ブラックホークと[[ナイトストーカーズ]]」</ref>。その後、[[1989年]]の[[パナマ侵攻]]に続き、[[1991年]]の[[湾岸戦争]]には300機以上が投入された大規模な空爆作戦に参加。[[1993年]]には、その後映画化され著名になった[[モガディシュの戦闘]]に参加しており、その他、1990年代には[[バルカン半島]]や[[ハイチ]]などでの作戦にも参加し、近年アメリカが関与した[[アフガニスタン紛争 (2001年-)|アフガニスタン戦争]]、[[イラク戦争]]など[[紛争]]の殆どに参加している<ref name="Bishop_UH-60"/>。


[[2011年]][[5月1日]]には[[ウサーマ・ビン・ラーディン]]強襲作戦において高度に改良されたUH-60が特殊部隊[[Navy SEALs]]の輸送に使用されている<ref name=Army_Times_stealth_Black_Hawk/><ref name=avweek_stealthy_H-60>Sweetman, Bill. [http://www.aviationweek.com/aw/generic/story.jsp?id=news/awx/2011/05/03/awx_05_03_2011_p0-318248.xml&headline=Bin%20Laden%20Raid%20May%20Have%20Exposed%20Stealth%20Helo&channel=defense "Bin Laden Raid May Have Exposed Stealth Helo"]{{dead link|date=June 2011}}. Aviation Week, 4 May 2011.</ref><ref>{{cite web|last=Page |first=Lewis |title=Sikorsky, US Army claim whisper-flapcopter test success |url= http://www.theregister.co.uk/2011/05/03/sikorsky_flap_copter_tests/ |publisher=The Register |accessdate=5 May 2011}}</ref>。この作戦中に1機が故障により不時着し、作戦終了後、シールズによって爆破処理が行われている<ref>[http://news.yahoo.com/s/dailycaller/whatweknowabouttheraidthatkilledosamabinladen "What we know about the raid that killed Osama bin Laden"]{{dead link|date=June 2011}}. Yahoo.com, 2 May 2011.</ref>。部隊は[[CH-47 (航空機)|MH-47 チヌーク]]2機の内の1機にウサーマ・ビン・ラーディンの遺体を載せ現場を後にしている。この2機のMH-47は作戦に使用されたUH-60への[[空中給油]]任務用を兼ねたバックアップ機であった<ref>{{citation |publisher=ABC News |title = News |section = Blogs |title = Political punch |date = May 2011 |url = http://blogs.abcnews.com/politicalpunch/2011/05/obama-gives-order-bin-laden-is-killed-white-house-time-line.html |contribution= Obama gives order, bin Laden is killed: White House time line}}</ref><ref name=AW_Crash_Helo_reveals>Sweetman, Bill. [http://www.aviationweek.com/aw/generic/story.jsp?id=news/awst/2011/05/09/AW_05_09_2011_p22-318890.xml&channel=defense "Bin Laden Raid Crash Helo Reveals Stealth"]{{dead link|date=June 2011}}. ''Aviation Week'', 6 May 2011. Retrieved: 8 May 2011.</ref>。
[[アメリカ空軍]]は当初、UH-60の燃料搭載量を増やした'''HH-60D ナイトホーク'''を運用していたが、[[1982年]]にはこれを大幅に改良した'''[[HH-60 ペイブ・ホーク|HH-60G ペイヴホーク]]'''を採用した。600ポンド(270キログラム)の運搬能力がある250フィート(75メートル)のケーブルをもった救助用の巻き上げ機や、脱着可能な[[空中給油]]装置が装備されている。武装は[[サイドワインダー (ミサイル)|サイドワインダー]]もしくは[[スティンガーミサイル|スティンガー]]といった[[空対空ミサイル]]の搭載も可能となっている。
幾つかのメディアによると、パキスタン政府は[[アボッターバード]]に墜落したステルスUH-60の残骸調査を[[中国人民解放軍]]に対し認めたと報道している<ref name=BBCStealthWreckage>{{cite news |title=Bin Laden raid: China 'viewed US helicopter wreckage' |url=http://www.bbc.co.uk/news/world-south-asia-14527170 |work=BBC.com|publisher=BBC|accessdate=15 August 2011 |date=15 August 2011}}</ref><ref name=CNNStealthWreckage>{{cite news|title=Reports: Pakistan let Chinese inspect U.S. stealth copter |url=http://news.blogs.cnn.com/2011/08/15/reports-pakistan-let-chinese-inspect-u-s-stealth-copter/?hpt=hp_t2|work=CNN.com |publisher=CNN |accessdate=15 August 2011}}</ref><ref name=FoxStealthWreckage>{{cite news|title=Report: Pakistan Granted China Access to U.S.'s Top-Secret Bin Laden Raid Chopper |url=http://www.foxnews.com/world/2011/08/15/report-pakistan-granted-china-access-to-uss-top-secret-bin-laden-raid-chopper/?test=latestnews |work=FoxNews.com|publisher=Fox News |accessdate=15 August 2011 |date=15 August 2011}}</ref>。しかし、パキスタン政府と中国政府はこの報道を否定しており<ref name="BBCStealthWreckage"/><ref name="CNNStealthWreckage"/>、米国政府も中国による機体調査の事実確認は取れていない<ref name="CNNStealthWreckage"/>。


==== コロンビア ====
同系の機体として、[[アメリカ陸軍|陸軍]]が特殊部隊の強襲作戦に用いるMH-60シリーズも存在する。こちらは'''MH-60G ペイヴホーク'''の他、高価な電子装備を搭載した'''MH-60K ブラックホーク'''や、UH-60Lの設計を反映させた'''MH-60L ブラックホーク'''が存在する。特にMH-60Lは[[モガディシュの戦闘]]に投入されたことで知られる。
[[コロンビア]]は[[1987年]]に米国からUH-60を受領している。コロンビア国家警察、[[コロンビア空軍]]、及び[[コロンビア陸軍]]が[[麻薬]]組織に対する[[メキシコ麻薬戦争|鎮圧作戦]]用に[[COIN機]]として運用しており、陸路では接近が容易ではない場所に兵員、物資輸送など行っている他、救難捜索や医療任務などにも使用されている。また、一部重武装が施された[[ガンシップ]]機「{{lang-es|Arpía}}([[ハルピュイア|ハーピー]])」も保有している<ref>Leoni 2007, pp. 270–273.</ref><ref>[http://www.spanishdict.com/translate/Arpía ''Arpía'']. SpanishDict.com. Retrieved on 30 September 2009. "Arpía [ar-pee’-ah] noun 1. (Poetic.) Harpy, a bird of prey represented by poets. (f)"</ref>。
<div style="clear:both"></div>


==== イスラエル ====
=== HH-60H レスキューホーク / HH-60J ジェイホーク ===
[[画像:Sikorsky HH-60.jpg|thumb|250px|HH-60J Jayhawk]]
[[File:UH-60 IAF.jpg|thumb|200px|イスラエル航空宇宙軍のUH-60A ヤンシャフ]]
[[イスラエル航空宇宙軍]](IAF)は[[1994年]]8月に米国から10機のUH-60Aを受領し<ref name=Leoni_p278-9>Leoni 2007, pp. 278–279.</ref>、愛称は「{{lang-he|ינשוף}}(ヤンシャフ [[フクロウ]])」<ref>[http://www.iaf.org.il/Templates/Aircraft/Aircraft.IN.aspx?lang=EN&lobbyID=69&folderID=82&subfolderID=211&docfolderID=211&docID=18321 "Sikorsky UH-60 Black Hawk."]{{dead link|date=June 2011}} Official Israeli Air Force website. Retrieved: 30 September 2009.</ref> 。その他、[[イスラエル国防軍]]で使用されている[[ベル 212]]の代替も開始している<ref name=Leoni_p278-9/>。IAFは[[1964年]]4月に行われた[[南レバノン県|南レバノン]]の[[ヒズボラ]]に対する「怒りの葡萄作戦」に始めてUH-60を投入している<ref name="FI_AirForces_2008"/>。
{{main|SH-60 シーホーク#救難ヘリコプター(HH-60H レスキューホーク、HH-60J ジェイホーク)}}
アメリカ海軍では、遭難した[[艦上機]]パイロットなどを救助したり、[[Navy SEALs]]の作戦を支援したりするため、'''HH-60H レスキューホーク'''と呼ばれる機体を運用している。また、[[アメリカ沿岸警備隊]]でも救難や密輸取締りなどを目的として[[1992年]]に'''HH-60J ジェイホーク'''を導入した。これらは空軍向けのHH-60と同じような装備を持つ一方、艦上運用を前提としているため、胴体構造はSH-60シリーズをベースとしている。


[[2000年]]3月、イスラエルを訪問した[[ヨハネ・パウロ2世 (ローマ教皇)|ヨハネ・パウロ2世]]の為の特別輸送機として使用している。3機がこの任務に就き、1機は教皇輸送用として、1機は医療班を乗せたメディカル機として、残りの1機はバックアップとして使用されている。なお[[2008年]]11月時点でIAFは49機のUH-60を保有している。
なおアメリカ海軍ではHH-60Hの後継として'''MH-60S ナイトホーク'''への切り替えを進めているが、こちらはむしろ陸軍向けのUH-60Lに似た機体となっている。
<div style="clear:both"></div>


==== メキシコ ====
=== [[VH-60N プレジデントホーク]] ===
[[メキシコ軍|メキシコ空軍]]は[[1991年]]に[[特殊部隊]]を輸送するためUH-60Lを2機購入し、[[1994年]]には4機を購入している<ref>[http://www.acig.org/artman/publish/article_529.shtml Aztec Rotors – Helicopters of Mexican Air Force]. acig.org</ref>。
[[アメリカ海兵隊]]が運用する[[マリーンワン|政府専用ヘリコプター]]として、[[VH-60N プレジデントホーク]]が存在する。
[[2009年]]8月、9月に掛け連邦警察によりUH-60を使用した麻薬組織に対しての攻撃に使用されている<ref>[http://www.msnbc.msn.com/id/31940160 "Mexico sends 1,000 more police to drug area"]. MSNBC, 16 July 2009.</ref><ref>[http://www.cnn.com/2009/WORLD/americas/08/03/mexico.drug.arrests/ "Mexican police arrest 34 drug cartel suspects"]. CNN, 3 August 2009.</ref>。
[[2011年]][[8月25日]]、メキシコ海軍は麻薬・武器取り締まり任務向けのUH-60M3機を購入している<ref name=Sikorski>[http://www.app.com/article/20110824/NJNEWS/308240060/Joint-Base-preps-Blackhawks-for-transfer-to-Mexican-Navy Blackhawks ready to fly for the Mexican Navy.] (25 August 2011)</ref><ref>In March 2009, the United States stated it would provide discounted helicopters and other equipment under the Mérida Initiative, to fight the drug cartels in the Mexican drug war: [http://www.citizen.co.za/index/article.aspx?pDesc=1,1,22&type=top&File=newsmlmmd.1b5b033a06ea12570736e0c24ba988b0.01.xml Clinton vows US backing in Mexican drug wars].</ref>


==== 台湾 ====
[[ホワイトハウス]]でよく見られる[[シコルスキー S-61|VH-3D]]や、その後継機である[[アグスタウェストランド EH101|VH-71]]に比べ、[[輸送機]]への搭載が比較的容易であることを利用して外遊に用いられる。その分キャビンが非常に狭く、要人用としては乗り心地が劣るとして不評である。
[[中華民国空軍]]は救難捜索のために[[1986年]]6月、10機のS-70C-1Aを受領しS-70C-1/1Aとして運用している<ref name="taiwanairpower1">[http://www.taiwanairpower.org/af/s70c.html "ROCAF Sikorsky S-70C Bluehawk"]. Taiwanairpower.org. 11 November 2008.</ref>。[[1998年]]4月には4機のS-70C-6を購入。[[中華民国海軍]]は[[1990年]]7月に10機のS-70C(M)-1を受領し[[2000年]]4月には11機のS-70C(M)-2型を受領している<ref>[http://www.taiwanairpower.org/navy/s70cm.html "Sikorsky S-70C(M) Thunderhawk"]. Taiwanairpower.org. April, 2008.</ref>。
[[2010年]]1月、米国は[[中華民国陸軍]]に対し60機のUH-60Mの[[対外有償軍事援助]]を行うと発表した<ref>[http://www.dsca.mil/PressReleases/36-b/2010/Taiwan_09-03.pdf "Taipei Economic and Cultural Representative Office in the United States – UH-60M BLACK HAWK Helicopters"]. US Defense Security Cooperation Agency, 29 January 2010.</ref><ref name="USA okays Hawks for Taiwan">Govindasamy, Siva. [http://www.flightglobal.com/articles/2010/01/31/337834/usa-okays-black-hawks-for-taiwan-beijing-mulls-sanctions.html "USA okays Black Hawks for Taiwan, Beijing mulls sanctions"]. Flight International, 31 January 2010.</ref>。


== 採用国 ==
==== トルコ ====
[[トルコ]]は、[[アフガニスタン]]や[[バルカン半島]]での任務にUH-60を運用している。 採用は一般入札によって競われ、ライバルである[[アグスタウェストランド]]AW149を下し採用された。
{{col|
進行中のプロジェクトとして国内生産分での115機を発注しており、トルコ航空宇宙産業は最終的な接合組み立てを担当する予定である<ref name=FI_Turkey_to_decide>[http://www.flightglobal.com/articles/2009/04/09/324939/turkey-to-decide-in-june-between-aw149-t-70-black.html "Turkey to decide in June between AW149, 'T-70' Black Hawk"]. Flight International, 9 April 2009.</ref><ref>[http://www.todayszaman.com/tz-web/detaylar.do?load=detay&link=171615&bolum=105 "TAI to procure more helicopters for security"]. Today's Zaman, 6 April 2009.</ref>。[[2011年]][[4月21日]]、トルコは公開入札のため、シコルスキーT- 70の選択を発表している<ref>[http://www.istanbulhaber.com.tr/haber/milyarlik-helikopter-ihalesi-skorskynin-78658.htm "Milyarlık helikopter ihalesi Skorsky'nin"] {{tr icon}}. Istanbulhaber, 21 April 2011.</ref><ref>{{cite web|url=http://www.defensenews.com/story.php?i=6290870&c=AME&s=AIR |title=Turkey Picks Sikorsky Helo in $3.5B Deal |publisher=Defense News |date=2011-04-21 |accessdate=2011-09-24}}</ref><ref>{{cite web|url=http://www.flightglobal.com/articles/2011/04/21/355885/sikorsky-wins-turkish-utility-helicopter-battle.html |title=Sikorsky wins Turkish utility helicopter battle |publisher=Flightglobal.com |date= |accessdate=2011-09-24}}</ref>。
:{{AUS}}


==== その他 ====
:{{AUT}}
[[アラブ首長国連邦]]は[[2008年]][[9月14日]]、対外有償軍事援助を通じUH-60Mを要求しており、機体の他、レーザー・レーダー警告センサーや兵器システムを含んでいる<ref>[http://www.dsca.mil/PressReleases/36-b/2008/UAE_08-66.pdf "United Arab Emirates – UH-60M Black Hawk Helicopters"]. US Defense Security Cooperation Agency, 9 September 2008.</ref>。[[2010年]]11月までに20機のUH-60Lを受領する予定である<ref>[http://www.shephard.co.uk/news/rotorhub/dubai-helishow-uae-increases-black-hawk-fleet/7617/ "Dubai Helishow: UAE increases Black Hawk fleet"]. Rotorhub, 2 November 2010.</ref>。


[[ブラジル]]は2008年に対外有償軍事援助を通じ、15機のUH-60Lを要請している<ref>[http://www.defenseindustrydaily.com/brazil-requests-6-uh-60ls-for-300m-03418/ "Brazil Buys UH-60L Black Hawks"]. defenseindustrydaily.com, 15 September 2009.</ref>。
:{{BHR}}


[[スウェーデン]]は2010年9月に対外有償軍事援助を通じ、15機のUH-60Mを要求している<ref>[http://www.dsca.mil/PressReleases/36-b/2010/Sweden_10-63.pdf "Sweden– UH-60M Blackhawk Helicopters"]. US Defense Security Cooperation Agency, 29 September 2010.</ref><ref>{{cite web|url=http://www.flightglobal.com/articles/2010/10/05/348111/sweden-makes-surprise-black-hawk-request.html |accessdate=7 October 2010 |title= Sweden makes surprise Black Hawk request }}</ref>。[[2011年]][[4月9日]]、防衛大臣は交渉はほぼ確定していると発表しており、納入開始は[[2012年]]を予定している。これに伴い操縦士が2011年夏に訓練を開始した。[[2017年]]までに完納する予定である<ref>{{cite web|url=http://www.expressen.se/ekonomi/1.2396105/sverige-koper-15-black-hawk-helikoptrar |accessdate=9 April 2011 |title=Sverige köper 15 Black Hawk-helikoptrar }} [http://translate.google.com/translate?u=http%3A%2F%2Fwww.expressen.se%2Fekonomi%2F1.2396105%2Fsverige-koper-15-black-hawk-helikoptrar&sl=sv&tl=en&hl=&ie=UTF-8 (English translation)]</ref>。2011年[[5月18日]]、シコルスキーはこの要求分15機の早期納入を発表した<ref name=Sweden_Becomes_1st>{{cite web |url= http://www.sikorsky.com/About+Sikorsky/News/Press+Details?pressvcmid=3da0fca15a300310VgnVCM1000004f62529fRCRD |title= Sweden Becomes 1st European Nation To Procure UH-60M Helicopters |publisher= Sikorsky |date= 18 May 2011 |accessdate= 24 June 2011}}</ref>。
:{{BRA}}


== 種類 ==
:{{BRU}}
多目的汎用ヘリコプターであるUH-60は、数多くの派生型や亜種が生産開発されており、民生品は'''S-70'''の名称で販売されている。
==== 汎用型 ====
* '''YUH-60A''' - 試験、調査目的で製作された試作機。1974年10月17日初飛行。4機が製作された。
* '''UH-60A Black Hawk''' - アメリカ陸軍採用型。4名の乗員と11名の兵士が搭乗可能。<ref>{{cite web |url=http://www.army.mil/factfiles/equipment/aircraft/blackhawk.html |title=Black Hawk |publisher=U.S. Army Fact Files |accessdate=2 June 2010 }}</ref>T700-GE-700エンジン搭載型。<ref name="dod">[http://www.dtic.mil/whs/directives/corres/pdf/412015l.pdf DoD 4120-15L, "Model Designation of Military Aerospace Vehicles"]. DoD, 12 May 2004.</ref> 1977年–1989年まで生産された。
* '''UH-60C Black Hawk''' - [[C4Iシステム|指揮及び統制システム(C2)]]を搭載した改良型。<ref name="Bishop_UH-60"/><ref name="dod"/>
* '''CH-60E''' - [[アメリカ海兵隊]]提案型。<ref name=Donald_S-70>Donald, David, ed. "Sikorsky S-70". ''The Complete Encyclopedia of World Aircraft''. Barnes & Noble Books, 1997. ISBN 0-7607-0592-5.</ref>
* '''UH-60L Black Hawk''' - T700-GE-701Cエンジンに換装。耐久性を向上させたギアボックス、飛行制御システム改良型。<ref name="Bishop_UH-60"/> 1989年–2007年まで生産。<ref name="Leoni_p217">Leoni 2007, pp. 217–224.</ref>
* '''UH-60M Black Hawk''' - 翼弦が広げられたテールローターを採用。T700-GE-701Dエンジンに換装。(最大出力2000shp/1500kW×2)強化型ギアボックス採用。(Integrated Vehicle Management Systems '''IVHMS''') [[コンピューター]]<ref group="注釈">統括飛行制御システム。</ref>搭載。[[グラスコックピット]]化。2006年生産開始。<ref name="Leoni_p233">Leoni 2007, pp. 233–244.</ref>UH-60と置き換え。<ref>[http://www.sikorsky.com/vgn-ext-templating-SIK/v/index.jsp?vgnextoid=00de6eb78fa78110VgnVCM1000001382000aRCRD&vgnextchannel=96d99a93bc298110VgnVCM1000001382000aRCRD&vgnextfmt=default&pressvcmid=29be82aee487a110VgnVCM1000001081000aRCRD&keyword=UH-60M&dateFrom=null&dateTo=null&model=509669a3a73a8110VgnVCM1000001382000a____&business=null&matchCriteria=null&matchKeyword=any&fromSearchPage=true&modelIndex=11&businessIndex=0&page=1 "Sikorsky Aircraft Fully Equips First U.S. Army Unit With UH-60M BLACK HAWK Helicopters"]. Sikorsky Aircraft, 10 June 2008.</ref>
* '''UH-60M Upgrade Black Hawk''' - [[フライ・バイ・ワイヤ]]採用。(Common Avionics Architecture System '''CAAS''')型コックピット<ref group="注釈">[http://www.youtube.com/watch?v=y1Q85aLbdaE Common Avionics Architecture System ロックウェル・コリンズ社公式YouTubeサイト]</ref>の採用。2008年飛行試験開始。<ref>[http://www.sikorsky.com/vgn-ext-templating-SIK/v/index.jsp?vgnextoid=00de6eb78fa78110VgnVCM1000001382000aRCRD&vgnextchannel=96d99a93bc298110VgnVCM1000001382000aRCRD&vgnextfmt=default&pressvcmid=36506eff56ddd110VgnVCM1000004f62529fRCRD&keyword=Brazil%20order&dateFrom=null&dateTo=null&model=null&business=null&matchCriteria=null&matchKeyword=any&fromSearchPage=true&businessIndex=null&=modelIndex=null "Sikorsky's UH-60M Upgrade BLACK HAWK Helicopter Achieves First Flight"]. Sikorsky, 29 August 2008.</ref><ref>[http://www.army.mil/-news/2010/03/04/35310-new-army-black-hawk-succeeds-in-combat/?ref=news-science-title6 New Army Black Hawk succeeds in combat] – US Army, 4 March 2010</ref>


==== 特殊形態 ====
:{{COL}}
* '''EH-60A Black Hawk''' - 電子機器が増えたことによる電力確保の為、電気系を2系統化した強化型。この改良は基本型UH-60Aに反映されている。<ref name="dod"/>
|
* '''YEH-60B Black Hawk''' - UH-60Aの改良型。特殊レーダーとアビオニクス搭載。スタンドオフ(撃ちっ放し)機能を試験的に搭載した。<ref name="dod"/>
:{{CHL}}
* '''EH-60C Black Hawk''' - UH-60Aの改良型。特殊電装機器と外部[[アンテナ]]を搭載。<ref name="dod"/> この改良は基本型UH-60Aに反映されている。
* '''EUH-60L'''<ref group="注釈" name="meisyo">正式名称は与えられていない。</ref> - UH-60Lの改良型。指揮及び統制システム(C2)搭載型。<ref name="dod"/>
* '''EH-60L Black Hawk''' - EH-60Aの改良型。搭載機器の改良が行われた。<ref name="dod"/>
* '''UH-60Q Black Hawk''' - UH-60Aの改良型。医療任務型。<ref name="dod"/><ref name=Modern_Medevac/>別名「ダストオフ(dedicated unhesitating service to our fighting forces '''DUSTOFF''')」<ref name="Leoni_p224">Leoni 2007, p. 224.</ref>
* '''HH-60L'''<ref group="注釈" name="meisyo">正式名称は与えられていない。</ref> - UH-60Lの高度改良型。医療任務に特化した機体。<ref name="dod"/> 救助用[[クレーン#クレーンの種類|ホイスト]]、統合型全身患者固定システム、搭載型酸素供給システム、耐衝撃座席などが装備されている。<ref name= Modern_Medevac>Colucci, Frank. [http://www.aviationtoday.com/rw/military/medical/1776.html "Modern Medevac Mobilized"]. ''Rotor & Wing'', 1 October 2004.</ref>
* '''HH-60M Black Hawk''' - 米陸軍型。UH-60Mに医療機器を搭載したMEDEVAC対応型。<ref name="dod"/><ref>[http://www.sikorsky.com/vgn-ext-templating-SIK/v/index.jsp?vgnextoid=20af45d57ef68110VgnVCM1000001382000aRCRD&provcmid=bfa955f4a9d98110VgnVCM1000001382000aRCRD&mofvcmid=57aaebb600e98110VgnVCM1000001382000aRCRD&movcmid=609669a3a73a8110VgnVCM1000001382000aRCRD&mofid=47aaebb600e98110VgnVCM1000001382000a____&moid=509669a3a73a8110VgnVCM1000001382000a____&momvcmid=57cdab49e6bd8110VgnVCM1000001382000aRCRD&momid=47cdab49e6bd8110VgnVCM1000001382000a____ HH-60M Medevac Helicopter]. Sikorsky.</ref>
* '''MH-60A Black Hawk''' - 米陸軍型。30機のUH-60Aが改良されている。アビオニクス改良、ナイトビジョン、[[FLIR]]の搭載。ドアガンに[[M134 (機関銃)|M134ミニガン]]を採用。増槽を追加。特殊作戦用に[[1980年]]代前半から使用が開始されている。<ref name=Tomajczyk_p21-3>Tomajczyk 2003, pp. 21–23.</ref><ref name=Bishop_p20-2>Bishop 2008, pp. 20, 22.</ref>T700-GE-701 エンジン搭載。<ref name="dod"/>[[第160特殊作戦航空連隊]]で使用されている。このMH-60Aは1990年代前半にMH-60Lに置き換えられているが、[[空軍州兵]]運用分は見送られた。<ref name=Donald_S-70/><ref name=Tomajczyk_p23>Tomajczyk 2003, p. 23.</ref>
* '''MH-60K Black Hawk''' - 米陸軍型。特殊作戦仕様。1988年に第160特殊作戦航空連隊によって使用開始されている。<ref name=Donald_S-70/>[[空中給油]]用のプローブ装備。<ref name=Tomajczyk_p26-9>Tomajczyk 2003, pp. 26–29.</ref>T700-GE-701C エンジン搭載。MH-60L型を更に優位にしている。グラスコックピットの採用。AN/APQ-174B型マルチモードレーダー搭載。カラー[[天気図]]、改良された防御電子機器などを搭載。<ref name=Tomajczyk_p26-9/><ref>"Sikorsky S-70A/H-60". ''Jane's Helicopter Markets and Systems'', 2011. [http://search.janes.com/Search/documentView.do?docId=/content1/janesdata/binder/jhms/jhms5021.htm@current&pageSelected=allJanes&keyword=Sikorsky%20S-70A%2FH-60&backPath=http://search.janes.com/Search&Prod_Name=JHMS& (online subscription article, dated 31 March 2011)].</ref>
* '''MH-60L Black Hawk''' - 米陸軍型。特殊作戦機の改良型。第160特殊作戦航空連隊にて使用されている。UH-60L、T700-701C エンジン搭載型を基にしている。これは1980年代に開発が保留されていたMH-60Kの暫定型として使用された。<ref name=Tomajczyk_p23-6>Tomajczyk 2003, pp. 23–26.</ref>使用された機器はMH-60Kに引き継がれている。<ref>[http://www.robbietanks.com/products?type=aircraft Aircraft Products]. Robertson Fuel Systems</ref>MH-60Kに搭載された機器の他、[[光波測距儀]]や増槽なども追加されていた。<ref name=Tomajczyk_p23-6/><ref name=160th_MH-60s/>37機のMH-60Lが製作され、この内10機程度には空中給油機構が取り付けられている。<ref name=Tomajczyk_p23-6/>
[[File:MH-60L DAP.jpg|thumb|200px|DAP形態]]
* '''MH-60L Direct Action Penetrator (DAP)''' - 米陸軍型。MH-60Lを基にした特殊作戦機の改良型。第160特殊作戦航空連隊にて使用されている。<ref name=160th_MH-60s>[http://www.soc.mil/160soar/Blkhawk.html MH-60 Black Hawk fact sheet]{{dead link|date=June 2011}}. 160th SOAR's web page.</ref>DAPはESSS又はETS翼が装備された。[[M230機関砲]]、ロケットポッド、その他の武装が施された型があり、ドアガンにはM134Dミニガンが搭載された。<ref name=Bishop_p20-2/>
* '''MH-60M Black Hawk''' - 米陸軍型。UH-60Mを基にした特殊作戦機の改良型。新型コックピット(CAAS)の採用。グラスコックピット、YT706-GE-700エンジンの搭載。<ref>"Sikorsky S-70 (H-60) – US Army MH-60 Upgrades". ''Jane's Aircraft Upgrades'', 2008. [http://search.janes.com/Search/documentView.do?docId=/content1/janesdata/yb/jau/jau_9362.htm@current&pageSelected=allJanes&keyword=Sikorsky%20S-70&backPath=http://search.janes.com/Search&Prod_Name=JAU&keyword=Sikorsky%20S-70%20Upgrades&backPath=http://search.janes.com/Search&Prod_Name=JAU& (online subscription article, dated 11 June 2008.)]</ref><ref>"Sikorsky S-70 (H-60) Upgrades". ''Jane's Aircraft Upgrades'', 2011. [http://search.janes.com/Search/documentView.do?docId=/content1/janesdata/yb/jau/jau_1793.htm@current&pageSelected=allJanes&keyword=Sikorsky%20S-70%20Upgrades&backPath=http://search.janes.com/Search&Prod_Name=JAU& (online subscription article, dated 3 May 2011)].</ref>
* '''MH-60 Black Hawk stealth helicopter''' - MH-60の改良型。1ないし2機が製作されたと見られ、ウサマ・ビン・ラディン作戦に使用された。<ref name="nationaljournal.com">{{cite news |url= http://nationaljournal.com/whitehouse/the-secret-team-that-killed-bin-laden-20110502 |title= The Secret Team That Killed bin Laden |date= 3 May 2011 |publisher= National Journal}}</ref><ref name="newsmax.com">{{cite news |url= http://www.newsmax.com/KenTimmerman/osamabinladen-seals-specialforces-pakistan/2011/05/02/id/394830 |title= SEALs Sent to Kill bin Laden |date= 2011-09-30 |publisher= newsmax.com}}</ref><ref name="blogs.abcnews.com">{{cite news |url= http://blogs.abcnews.com/politicalpunch/2011/05/some-white-knuckle-moments-for-elite-navy-seals-team.html}}</ref><ref>{{citation |agency=Reuters |date= 3 May 2011 |url= http://www.reuters.com/article/2011/05/03/us-binladen-helicopter-idUSTRE7427G420110503 |title= US bin Laden helicopter identification}}</ref><ref name=ABC_Stealth_Helicopter/><ref name=Army_Times_stealth_Black_Hawk/> <ref name=Army_Times_stealth_Black_Hawk />
* '''UH-60A RASCAL''' - [[NASA]]で使用された。ヘリコプターの運動性能検証のため「Rotorcraft-Aircrew Systems Concepts Airborne Laboratory」によって製作された。<ref>{{cite web|url=http://www.scienceblog.com/community/older/archives/D/archnas1570.html |title=Science Blog, NASA |publisher=Scienceblog.com |date=1992-03-04 |accessdate=2011-09-24}}</ref><ref>[http://web.archive.org/web/20061126214709/http://ails.arc.nasa.gov/Images/Aeronautics/AC91-0712-15.html Image of UH-60A RASCAL first flight] (archived from [http://ails.arc.nasa.gov/Images/Aeronautics/AC91-0712-15.html the original]{{dead link|date=June 2011}} on 26 November 2006)</ref>
* '''VH-60D Night Hawk''' - 米海兵隊型。HH-60Dを基にしたVIP仕様。政府要人輸送に使用された。T700-GE-401Cエンジン搭載。<ref name="dod"/>この型はVH-60Nに置き換えられた。<ref>Bishop 2008, p. 45.</ref>
* '''VH-60N White Hawk''' - 米海兵隊型。プレジデントホークとも。UH-60Aを基に製作された[[マリーンワン|政府専用ヘリコプター]]であり、僅かにSH-60 シーホークの装備が導入されている。1988年に使用を開始し、9機が納入された<ref name="Leoni_p214">Leoni 2007, pp. 214–215.</ref>。[[シコルスキー S-61|VH-3D]]や、その後継機である[[アグスタウェストランド EH101|VH-71]]に比べ、[[輸送機]]への搭載が比較的容易であることを利用して外遊に用いられる。その分キャビンが非常に狭く、要人用としては乗り心地が劣るとして不評である。{{main|VH-60N プレジデントホーク}}


==== 輸出型 ====
:{{EGY}}
* '''UH-60J Black Hawk''' - [[自衛隊]]採用型。[[航空自衛隊]]が独自改良した救難ヘリコプターであり[[三菱重工業]]により[[ライセンス生産]]される。S-70-12型としても知られる。<ref name="mhi_uh">{{cite web|url=http://www.mhi.co.jp/en/products/detail/uh-60j_rescue_helicopter.html |title=Mitsubishi Heavy Industries UH-60J page |publisher=Mhi.co.jp |date=2005-03-31 |accessdate=2011-09-24}}</ref>
* '''UH-60JA Black Hawk''' - [[陸上自衛隊]]採用型。UH-60Jと同じく三菱重工業にてライセンス生産される。<ref name="mhi_uh"/>{{Main|UH-60J (航空機)}}
* '''AH-60L Arpía III''' - コロンビア輸出型。FLIR、レーダーなどの電子機器を搭載し、小型ロケット、[[汎用機関銃]]などの武装を施したコイン機仕様。シコルスキーとコロンビア空軍の共同開発であり、エルビット・システムズ社によって製造されている。<ref name="Bishop_UH-60"/><ref>Leoni 2007, pp. 270–272.</ref>
* '''AH-60L Battle Hawk''' - プロジェクトAIR87計画により[[オーストラリア陸軍]]に採用される予定であったが入札に失敗。<ref name="Bishop_UH-60"/>機体仕様はAH-60L Arpía IIIに酷似している。
* '''UH-60P Black Hawk''' - [[大韓民国]]採用型。UH-60Lを基に多少の改善が行われている。<ref name=Donald_S-70/>[[大韓航空]]・航空宇宙事業本部により150機が国内生産されている。<ref name="dod"/><ref>{{cite web|url=http://www.encyclopedia.com/doc/1G1-9396065.html |title=Korean Air/Sikorsky announce Black Hawk production agreement. (UH-60P military helicopters) – Defense Daily &#124;HighBeam Research – FREE trial |publisher=Encyclopedia.com |date= |accessdate=2011-09-24}}</ref><ref>{{cite web|author=John Pike |url=http://www.globalsecurity.org/military/world/rok/kal.htm |title=Korean Air Aerospace Division (KAA) |publisher=Globalsecurity.org |date= |accessdate=2011-09-24}}</ref>


==== S-70A ====
:{{ISR}}
シコルスキーによる輸出軍用型。
* '''S-70A-1 Desert Hawk''' - [[サウジアラビア陸軍]]輸出型。
* '''S-70A-L1 Desert Hawk''' - サウジアラビア陸軍にて採用されている負傷兵搬出任務機。
* '''S-70-5 Black Hawk''' - [[フィリピン空軍]]輸出型。
* '''S-70-6 Black Hawk''' - [[タイ]]輸出型。
* '''S-70A-9 Black Hawk''' - [[オーストラリア]]輸出型。デ・ハビランド オーストラリアによる[[ノックダウン生産]]。最初の8機は [[オーストラリア空軍]]に納入され、その後、[[オーストラリア陸軍]]により運用されている。残りは直接陸軍に納入されたが、1989年に空軍によって回収されている。<ref>[http://www.adf-serials.com/3a25.shtml ADF Serials list of Australian Black Hawks] retrieved 19 June 2010 </ref>
* '''S-70-11 Black Hawk''' - [[ヨルダン空軍]]輸出型。
* '''S-70-12 Black Hawk''' - [[捜索救難]]型。航空自衛隊、海上自衛隊にて採用されている。UH-60Jとしても知られる。
* '''S-70-14 Black Hawk''' - [[ブルネイ]]輸出型。
* '''S-70-16 Black Hawk''' - [[ロールス・ロイス]]/[[チュルボメカ]]、[[ロールス・ロイス/チュルボメカ RTM322|RTM332]]エンジン用テストベッド<ref group="注釈">[http://ejje.weblio.jp/content/test+bed Testbed]</ref>として使用された。
* '''S-70-17 Black Hawk''' - [[トルコ]]輸出型。
* '''S-70-18 Black Hawk''' - 大韓民国輸出型。UH-60P、HH-60Pの[[ライセンス生産]]モデル。<ref>{{cite web|url=http://www1.airliners.net/search/photo.search?search_active=1&search=&sheadline=&domains=Airliners.net&sitesearch=Airliners.net&client=pub-8297169501225184&forid=1&channel=1924797129&ie=ISO-8859-1&oe=ISO-8859-1&cof=GALT%3A%23E6E8FA%3BGL%3A1%3BDIV%3A%23000000%3BVLC%3AE6E8FA%3BAH%3Acenter%3BBGC%3A45678C%3BLBGC%3A45678C%3BALC%3AE6E8FA%3BLC%3AE6E8FA%3BT%3AC4C8CC%3BGFNT%3AC4C8CC%3BGIMP%3AC4C8CC%3BLH%3A36%3BLW%3A639%3BL%3Ahttp%3A%2F%2Fcdn-www.airliners.net%2Fgraphics%2Fopen_file_header_image.jpg%3BS%3Ahttp%3A%2F%2Fwww.airliners.net%3BFORID%3A1%3B&hl=en&search_field=datedesc&q=HH-60P&submit= |title=South Korean HH-60P photos |publisher=.airliners.net |date= |accessdate=2011-09-24}}</ref>
* '''シコルスキー/ウエストランド S-70-19 Black Hawk''' - [[イギリス]]輸出型。[[ウエストランド・エアクラフト]]によるライセンス生産。AWS-70としても知られる。
* '''S-70-20 Black Hawk''' - [[タイ]]輸出型。要人輸送仕様。
* '''S-70-21 Black Hawk''' - [[エジプト]]輸出型。
* '''S-70-22 Black Hawk''' - 大韓民国輸出型。要人輸送仕様であるVH-60Pのライセンス生産モデルであり、[[大韓民国空軍]]によって運用されている。通常型のHH-60Pと区別する為に胴体先端部が白色に塗装されている。<ref name=mamboccv.com_VH-60Ps>[http://www.mamboccv.com/VH60P_02351_296SQ_071017.jpg VH-60P 02351 image], [http://www.mamboccv.com/VH60P_02352_296SQ35CG_091020.jpg VH60P 02352 image]. mamboccv.com</ref>
* '''S-70-24 Black Hawk''' - [[メキシコ]]輸出型。
* '''S-70-26 Black Hawk''' - [[モロッコ]]輸出型。
* '''S-70-27 Black Hawk''' - 捜索救難型。[[香港]]政府により運用されている。3機製造。
* '''S-70A-30 Black Hawk''' - [[アルゼンチン空軍]]輸出型。要人輸送仕様。生産数1機のみ。<ref>[http://www.helis.com/database/modelorg/761/ Argentine pic & vide'''o]. helis.com</ref>
* '''S-70A-39 Black Hawk''' - [[チリ]]輸出型。要人輸送仕様。生産数1機のみ。
* '''S-70A-42 Black Hawk''' - [[オーストリア]]輸出型。
* '''S-70A-43 Black Hawk''' - [[タイ陸軍]]輸出型。
* '''S-70A-50 Black Hawk''' - [[イスラエル]]輸出型。
* '''S-70i Black Hawk''' - 軍事用輸出型であり、[[ポーランド]]にあるシコルスキー子会社である('''PZL Mielec''' ポーランド・アビエーション・ワークス)によって組み立てが行われている。<ref>[http://www.flightglobal.com/articles/2010/06/08/342785/sikorsky-breathes-new-life-into-pzl-mielec.html "Sikorsky breathes new life into PZL Mielec"]. Flight International, June 8, 2010.</ref>


=== 派生型 ===
:{{JPN}}
==== SH-60 シーホーク ====
[[アメリカ海軍]]では、[[1983年]]に水上戦闘艦搭載用の[[LAMPS]]ヘリコプターとして「[[SH-60 シーホーク#LAMPSヘリコプター(SH-60B シーホーク)|SH-60B シーホーク]]」を、[[1988年]]には[[航空母艦]]艦載用の「[[SH-60 シーホーク#艦上対潜ヘリコプター(SH-60F オーシャンホーク)|SH-60F オーシャンホーク]]」を受領している。SH-60はUH-60の[[対潜哨戒機#哨戒ヘリコプター|哨戒ヘリコプター]]バージョンであり、レーダーなどの哨戒機器と[[対潜兵器]]を搭載できる。また、機体はS-70Bとして輸出も行なわれているが、搭載機器はほとんど輸出されておらず、顧客が独自に開発するか、別途、輸出用の機器を調達して搭載している。{{main|SH-60 シーホーク}}


==== HH-60H レスキューホーク/HH-60J ジェイホーク ====
:{{JOR}}
[[画像:Sikorsky HH-60.jpg|thumb|200px|HH-60J ジェイホーク]]
アメリカ海軍では、遭難した[[艦上機]]パイロットなどを救助したり、[[Navy SEALs]]の作戦を支援したりするため、「HH-60H レスキューホーク」と呼ばれる機体を運用している。また、[[アメリカ沿岸警備隊]]でも救難や密輸取締りなどを目的として[[1992年]]に「HH-60J ジェイホーク」を導入した。これらは空軍向けのHH-60と同じような装備を持つ一方、艦上運用を前提としているため、胴体構造はSH-60シリーズをベースとしている。


なおアメリカ海軍ではHH-60Hの後継として「MH-60S ナイトホーク」への切り替えを進めているが、こちらはむしろ陸軍向けのUH-60Lに似た機体となっている。{{main|SH-60 シーホーク}}
:{{ROK}}
|
:{{MAS}}


==== HH-60/MH-60 ====
:{{MAR}}
[[画像:Airforce-mh60-26106-071002-fox-02-16.jpg|thumb|200px|MH-60]]
HH-60シリーズは、脱出した航空要員や戦闘中に孤立した兵士を救助することを主な目的として、UH-60を改造したものである。


[[アメリカ空軍]]は当初、UH-60の燃料搭載量を増やした「HH-60D ナイトホーク」を運用していたが、[[1982年]]にこれを大幅に改良した[[HH-60 ペイブ・ホーク|HH-60G ペイヴホーク]]を採用した。600ポンド(270キログラム)の運搬能力がある250フィート(75メートル)の[[ケーブル]]をもった救助用ホイスト、脱着可能な[[空中給油]]装置が装備されている。武装は[[サイドワインダー (ミサイル)|サイドワインダー]]もしくは[[スティンガーミサイル|スティンガー]]といった[[空対空ミサイル]]の搭載も可能となっている。{{main|HH-60 ペイブ・ホーク}}
:{{MEX}}


==== S-70 ====
:{{PHI}}
UH-60ブラックホークの設計を継いでいる民間向けの機体。
{{main|シコルスキー S-70}}


== 採用国 ==
:{{PRC}}
[[File:UH-60 Black Hawk Operators.png|thumb|upright=1.4|UH-60ブラックホーク採用国]]

:{{ROC-TW}}
;{{USA}}
* アメリカ陸軍 - UH-60(1349機)EH-60(64機)MH-60(58機)運用中。<ref name="2010_Aero_Source"/><ref group="注釈" name="2010/1">2010年1月時点</ref>
|
:{{SAU}}
;{{BRA}}
* ブラジル空軍 - UH-60(12機)運用中。<ref>{{cite web|url=http://espacoaereo.wordpress.com/2011/02/27/esquadrao-pantera-recebe-h-60-blackhawk/ |title=Esquadrão Pantera recebe H-60 Blackhawk. « Blog Espaço Aéreo – Aviação Civil e Militar |publisher=Espacoaereo.wordpress.com |date=2011-02-27 |accessdate=2011-09-24}}</ref>2008年に15機を要求している。<ref>[http://www.dsca.osd.mil/PressReleases/36-b/2008/Brazil_08-92.pdf "Brazil – UH-60L BLACK HAWK Helicopters"]. US Defense Security Cooperation Agency, 15 September 2008.</ref>

* ブラジル空軍 - UH-60L(4機)を運用中であり、2008年11月に6機を発注。<ref name="FI_AirForces_2008"/>
:{{THA}}
* ブラジル海軍 - 2009年時点でS-70B(4機)。<ref>[http://www.airforcesmonthly.com/view_news.asp?ID=1342 "Brazil is to get four S-70B helicopters"]. AirForces Monthly, 29 December 2009.</ref><ref>[http://www.defenseindustrydaily.com/Brazil-Buys-Naval-Seahawks-Penguins-06071/ "Brazil Buys Naval Seahawks, Penguins"]. Defense Industry Daily, 6 January 2010.</ref>2011年にS-70Bを2機要求している。<ref>[http://br.reuters.com/article/domesticNews/idBRSPE75J0E520110620 Marinha faz acordo para compra de helicópteros-empresa | Brasil | Reuters<!-- Bot generated title -->]</ref>

:{{TUR}}
;{{MEX}}
* メキシコ空軍 - UH-60L(S-70A-24 6機)<ref>Leoni 2007, pp. 285–286.</ref>

* メキシコ空軍 - UH-60M武器・麻薬取締り任務仕様(3機)<ref>{{cite web|url=http://www.app.com/article/20110824/NJNEWS/308240060/Joint-Base-preps-Blackhawks-for-transfer-to-Mexican-Navy |title=Blackhawks ready to fly for the Mexican Navy &#124; The Asbury Park Press |publisher=APP.com |date=2011-08-24 |accessdate=2011-09-24}}</ref>
:{{UAE}}
* 連邦警察<ref>{{cite web|url=http://www.eluniversal.com.mx/notas/613185.html |title=Alistan compra de 4 Black Hawk para PF - El Universal - México |publisher=El Universal |date=2009-07-18 |accessdate=2011-09-24}}</ref>

* [[ハリスコ州]]警察 - UH-60(1機)<ref>{{cite web|url=http://www.milenio.com/node/728134 |title=Reforzarán vigilancia con nuevo helicóptero &#124; Grupo Milenio |publisher=Milenio.com |date= |accessdate=2011-09-24}}</ref>
:{{USA}}
}}
;{{COL}}
* コロンビア空軍 - 2008年時点でUH-60A/L(32機)AH-60L Arpia III(1機)<ref name="FI_AirForces_2008"/>

* コロンビア陸軍 - UH-60A/L(34機)受領し2008年に15機を要求している。<ref name="FI_AirForces_2008"/>
=== 日本 ===
* コロンビア国家警察 - 2010年8月時点で7機受領済み<ref>Hoyle, Craig. [http://www.flightglobal.com/articles/2010/08/09/345919/colombia-requests-nine-more-black-hawks-for-counter-narcotics.html "Colombia requests nine more Black Hawks for counter-narcotics fight"]. ''Flight International'', 9 August 2010.</ref>。<ref>[http://www.sikorsky.com/vgn-ext-templating-SIK/v/index.jsp?vgnextoid=00de6eb78fa78110VgnVCM1000001382000aRCRD&vgnextchannel=96d99a93bc298110VgnVCM1000001382000aRCRD&vgnextfmt=default&pressvcmid=96970ece8dcdd110VgnVCM1000004f62529fRCRD "Sikorsky Aerospace Services Announces Multimillion-Dollar Contract to Upgrade Colombia BLACK HAWK Helicopters"]. Sikorsky, 4 November 2008.</ref>
{{Main|UH-60J (航空機)}}
;{{CHL}}
日本では[[航空自衛隊]]と[[海上自衛隊]]が救難ヘリコプターとしてUH-60Jを、[[陸上自衛隊]]が多用途ヘリコプターとしてUH-60JAを運用している。
* UH-60L(1機)<ref name="Leoni_p266-8">Leoni 2007, pp. 266–268.</ref>

[[File:US Navy 090708-N-5215E-078 Aviation Boatswain's Mate (handling) 3rd Class Mario Teasley directs a landing S-70 Black Hawk assigned to the Royal Australian Army during a Deck Landing Qualification.jpg|thumb|200px|オーストラリア陸軍採用型のS-70Black Hawk]]
=== 中華民国(台湾) ===
;{{AUS}}
[[中華民国空軍]]は18機のS-70Cを所有し、主に救難ヘリコプターとして運用している。[[中華民国海軍]]は12機のS-70C-1、10機のS-70C-2を有し、対潜ヘリコプターとして運用している([[SH-60 シーホーク]]参照)。現在、[[中華民国陸軍]]は新規に60機のMH-60Lブラックホークをアメリカから調達している。
* オーストラリア陸軍 - 2010年1月時点でS-70A-9(35機)<ref name="2010_Aero_Source"/>

;{{JPN}}
=== 中国 ===
* 航空自衛隊 - UH-60(31機)<ref name="FI_AirForces_2008"/><ref group="注釈" name="2008/11">2008年11月時点</ref>
中華人民共和国では[[チベット]]地域などでの高高度地域航空輸送用器材として、民間型UH-60(S-70)を14機輸入し、[[中国人民解放軍陸軍|陸軍]]で運用されている。
* 海上自衛隊 - <ref group="注釈">詳細は[[UH-60J (航空機)|UH-60J]]、[[SH-60K (航空機)|SH-60K]]を参照。</ref>
* 陸上自衛隊 - UH-60(27機)<ref name="FI_AirForces_2008"/><ref group="注釈" name="2008/11"></ref>
;{{ROK}}
* 韓国空軍 - VH-60P(10機)HH-60P<ref name=mamboccv.com_VH-60Ps/><ref>[http://www1.airliners.net/photo/South-Korea--/Korean-Air-HH-60P/1630169/&sid=0b3021b07d1bb00dce658e08e713db81 HH-60P 01-619 image], [http://www1.airliners.net/photo/South-Korea--/Korean-Air-HH-60P/1606198/&sid=0b3021b07d1bb00dce658e08e713db81 HH-60P 01-715 image], [http://www1.airliners.net/photo/South-Korea--/Korean-Air-UH-60P/1367559/&sid=0b3021b07d1bb00dce658e08e713db81 HH-60P 70-1760 image], [http://www1.airliners.net/photo/South-Korea--/Korean-Air-UH-60P/1364957/&sid=0b3021b07d1bb00dce658e08e713db81 HH-60P 01-871 image], [http://www1.airliners.net/photo/South-Korea--/Korean-Air-UH-60P/1321261/&sid=0b3021b07d1bb00dce658e08e713db81 HH-60P 01-868 image], [http://www1.airliners.net/photo/South-Korea--/Korean-Air-UH-60P/1283542/&sid=0b3021b07d1bb00dce658e08e713db81 HH-60P 01-822 image]. Airliners.net</ref><ref>[http://www.mamboccv.com/UH60P_01716_233SRS6SRG_051022.jpg UH-60P 01716 image], [http://www.mamboccv.com/UH60P_70-1870_233SRS6SRG_981030.jpg UH-60P 1870 image]. mamboccv.com</ref>
* 韓国海軍 - UH-60P(10機)<ref>Leoni 2007, pp. 298–300.</ref>S-70A/UH-60P(141機)<ref name="FI_AirForces_2008"/><ref group="注釈" name="2008/11"></ref>
* 韓国陸軍 - UH-60P(130機)<ref>Leoni 2007, pp. 298–300.</ref>
;{{PRC}}
* [[中国人民解放軍空軍]] - 2008年時点でS-70C(22機)を所有。<ref name="FI_AirForces_2008"/>[[成都軍区]]に所属し[[チベット]]地域での高高度地域輸送や人道支援用途で運用されている。このS-70C型はT700-701Aエンジンを搭載しており、人民解放軍空軍所有のヘリコプターの中で最も高高度飛行ができる。その後、シコルスキーは100機のS-70を輸出来ると予想していたが、1980年以降アメリカとの関係悪化により22機に留まっている。<ref name=AirForceWorld_S-70C_China>{{cite web|url=http://www.airforceworld.com/pla/s70-helicopter-sikorsky-china.htm |title= S70C Helicopters in China |work=AirForceWorld.com |date= |accessdate= 25 August 2011}}</ref>
;{{ROC-TW}}
* 中華民国空軍 - S-70C(17機)<ref name="taiwanairpower1"/><ref group="注釈" name="2008/11"></ref>
* 中華民国海軍 - S-70Cサンダーホーク(10 S-70C(M)-1 and 11 S-70C(M)-2 21機)<ref>Leoni 2007, pp. 292–98.</ref>2008年にはS-70C(19機)を受領。<ref name= FI_AirForces_2008>[http://www.flightglobal.com/assets/getasset.aspx?ItemID=26061 "Directory: World Air Forces"]. ''Flight International'', 11–17 November 2008.</ref>
* 中華民国陸軍 - UH-60M(60機)<ref name="USA okays Hawks for Taiwan"/>
;{{THA}}
* タイ陸軍 - UH-60L (S-70A-43 7機) 運用中。<ref name="FI_AirForces_2008"/><ref name="Leoni p306-11">Leoni 2007, pp. 306–311.</ref>
;{{MAS}}
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* UH-60M(15機)発注済み。2011年-2012年までに納入予定。<ref name=Sweden_Becomes_1st/>


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== 出典 ==
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== 参考文献 ==
* Bishop, Chris. ''Sikorsky UH-60 Black Hawk''. Osprey, 2008. ISBN 978-1-84176852-6
* Leoni, Ray D. ''Black Hawk, The Story of a World Class Helicopter''. American Institute of Aeronautics and Astronautics, 2007. ISBN 978-1-56347-918-2
* Tomajczyk, Stephen F. ''Black Hawk''. MBI, 2003. ISBN 0-7603-1591-4

== 関連機体 ==
* [[X-49 (航空機)|X-49]]
* [[Mi-8 (航空機)|Mi-8]] - [[Mi-17 (航空機)|Mi-17]]
* [[NH90 (航空機)|NH90]]

== 関連項目 ==
* [[航空機]] - [[ヘリコプター]]
* [[航空機メーカーの一覧]] - [[シコルスキー・エアクラフト]]
* [[航空救難団]]
* [[救難員]]
* [[降下救助員]]


== 登場作品 ==
== 登場作品 ==
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* 『[[WarRock]]』
* 『[[WarRock]]』
: 一部マップに登場する。ガドリング砲搭載バージョンとミサイル搭載バージョンがある
: 一部マップに登場する。ガドリング砲搭載バージョンとミサイル搭載バージョンがある

== 関連項目 ==
* [[航空機]] - [[ヘリコプター]]
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== 外部リンク ==
== 外部リンク ==
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2011年10月1日 (土) 12:38時点における版

UH-60 ブラックホーク

UH-60 ブラックホーク英語: UH-60 Black Hawk)はシコルスキー・エアクラフト社製の4ローター、双発エンジン搭載である中型多目的ヘリコプター。また「Black Hawk」とはイリノイ州のアメリカ先住民族であり、ソーク族を率いた勇猛な酋長の渾名。

概要

シコルスキーは1972年に行われたアメリカ陸軍の汎用戦術輸送機システム(Utility Tactical Transport Aircraft System UTTAS)競争のためにS- 70を基礎とした試作機YUH-60Aを提示した。陸軍はボーイング・ヘリコプターズ提示のYUH-61との性能比較試験飛行を行い、1976年、このプログラムの勝者としてYUH-60Aを調達に向けたプロトタイプにすることを決定した。その後、それまで運用されていた戦術輸送ヘリコプターであるベルUH-1 イロコイの代替として1979年、陸軍に納入を開始した。これに続き電子戦機や特殊作戦機なども開発納入されている他、UH-60L、UH-60Mなどの亜種も開発されている。また海軍空軍、及び沿岸警備隊のための改修版も開発されている。米軍の使用に加え、UH- 60ファミリーは多くの国へと輸出されているほか、グレナダパナマイラクソマリアバルカン半島アフガニスタン中東など多くの紛争地帯で使用されている。

開発

初期要件

1960年代後半、米国陸軍はUH- 1イロコイを置き換えるために汎用戦術輸送機システム(UTTAS)プログラムを立ち上げ、同時に新型ヘリコプターに使用される新型ガスタービンエンジンの開発にも着手し、これはその後、ゼネラル・エレクトリック-T700として採用されている。ベトナム戦争の経験[注釈 2]に基づき重要な性能として、生存性と信頼性の改善を挙げており、UTTAS並びに新型パワープラントの要件として定め[1]1972年1月に提案依頼書(Request for Proposals RFP)を発布している[2]。 RFPには航空輸送の要件が含まれており、C-130輸送機に搭載するため、キャビンの全高、全長が指定されている。[3]

信頼性の向上、生存性[4]および低ライフサイクルコストなどを定めたUTTAS要件は、結果として戦闘高度や高高度などでの性能を向上させる双発エンジンの採用などに繋がっている。整備箇所を減らすことに繋がるモジュラーデザイン、乾式ギアボックス、被弾に備えた油圧、電気、操作系統の冗長化、墜落に対する耐衝撃性能を有する乗員並びに搭乗員の座席、降着装置のデュアルダンパー化並びに耐被弾性能。静粛性が高く耐被弾、耐衝撃性能を有するメイン並びにテールローター、耐衝撃燃料システム[5]などが要件として定められている。なお採用前のテスト飛行で墜落事故を起こしているが、死者は無く、メインローターの修理のみで飛行可能であったという。

1974年10月に初飛行を行ったYUH-60Aは4機が製作されている。米陸軍への試作機の納入に先立ち、安全に試験飛行が行えるか予備評価試験が1975年11月に行われている[6]。この試作機の内3機は1976年3月にライバルであるボーイングに先んじて納入され、残りの1機は内部検証用にシコルスキーによって確保されている。米陸軍は1976年12月に暗視装置や夜間航法装置を装備した形でUH-60の生産開始を指示し、UH-60Aの納入は1978年10月に始まり、1979年6月に正式運用が開始されている[7][8]

改良・種類

運用開始後、地雷敷設や医療救助など新たな任務に向けた改良が始まっている。EH-60は電子戦を目的として開発され、特殊作戦支援用にMH-60などを開発している[9]

米陸軍は新規作戦に伴う機器の増加による重量増加に対し、UH-60Lの改良を1987年に命じ、この改良は標準設計としてUH-60Aに反映されている。UH-60LにはT700-GE-701Cエンジンと強力なギアを搭載したことにより、より多くの吊り上げを可能とし、これはSH-60Bシーホーク生産に生かされている[10]。また、その吊り上げ能力は1000ポンド(450kg)〜9000ポンド(4100kg)近く増加している。UH-60Lは更にSH-60から自動操縦装置(Automatic Flight Control System AFCS)を導入し、強力なエンジンにより飛行性能に寄与している[11]。L-モデルの生産は、1989年に開始されている[10]

次に2020年まで設計寿命の延命を行うためUH-60Mが2001年に認可されたことにより改良が始まり、T700-GE-701Dエンジンと新型回転翼の採用が行われ、GPSナビゲーション、飛行制御、計測機器など新型アビオニクスへの換装も行われている。アメリカ国防総省は新変種の少数の初期生産を承認後[12]2006年に生産を開始し[13]、同年7月に22機の新UH-60Mが納入されている[14]。この機種の評価を行い承認されたことにより1227機の5年契約が締結され[15]、100機のUH-60Mが2009年3月に米陸軍へ納入されている[16]

2011年5月1日に発生したウサーマ・ビン・ラーディン殺害(作戦名:ジェロニモ E KIA)では第160特殊作戦航空連隊が強襲作戦用に従来のUH-60に比べ極度に改良されたUH-60が使用されており、改良された尾部、騒音対策のための特別仕様回転翼などが使用されている。この機体はパキスタン空軍レーダー回避を目的としておりF-117と同等のステルス性を有しているとされる。また、この機体はステルス機に見られる特殊素材、鋭角なデザインが見受けられ、作戦に使用された内の一機が機体故障により不時着したことで明るみに出ており、この事故機は尾部を残し破壊処理されている[17][18][注釈 3][19]。 なお低視認性を有するUH-60の研究は1970年代半ばまで遡り行われている[20]

機体

UH-60は、メイン、テールローター共に4枚の羽根を有した回転翼によって構成され、ゼネラル・エレクトリック社製T700型ターボシャフトエンジンによって動力を与えられている[21]。回転翼は折りたたみ式であり、展開時はエラストマー製のベアリングローターヘッドに固定される。テールローターは傾斜が付けられており、剛性クロスビーム構造である[22]。C-130輸送機による航空輸送を目的とした米陸軍の要件を満たすため低全高形状となっている[21]。完全武装の歩兵1個分隊約11名の搭乗が可能であり、2600ポンド(1170 kg)の内部積載量を持ち、外部からスリングによって9000ポンド(4050kg)の貨物を吊り上げ可能(UH-60L/M)としている[15]

MEDEVAC形態

ブラックホークシリーズは、特殊作戦、戦術輸送、電子戦、MEDEVAC(負傷兵搬送)、非難救助など多目的な用途に使用することが可能であり、VH-60Nとして知られるVIP仕様は、コールサイン「マリーンワン」としてアメリカ大統領並びに政府関係者専用機として運用されている[23]ヘリボーン(Air assault)では1分隊11名とその装備、もしくは、M102 105mm榴弾砲及び砲弾30発と4人の砲兵を同時に運搬することが可能である[15]

10000lb(4500kg)の積載が可能な外部搭載支援システム(External Stores Support System ESSS)の裝着により追加される左右2箇所ずつのハードポイントAGM-114対戦車ミサイル4連装ランチャー、2.75インチ(約70mm)19連装ロケット弾ポッド、ガンポッド、同じく片側に230ガロン(870リットル)計450ガロン(1700リットル)合計4つの増槽などを搭載することができる[24][11][25][11][26]。このためAH-64 アパッチの開発費の高騰に対して代わりに利用することも検討された。なお、ESSSシステムは1996年に使用され始めているが、片側に2つの増槽を取り付けた状態ではドアガンの射撃に支障が出ることが判明し、問題解決のため専用となるスタブウイングが取り付けられた(External Tank System ETS)が開発されている[11]

調達価格は仕様、装備や調達数によって異なる。一例として米陸軍採用のUH-60Lは590万ドルであり、米空軍採用のMH-60Gペイブホークは1020万ドルである[27]

運用

アメリカ陸軍

1993年10月3日モガディシュ上空を飛行するマイケル・デュラント准尉のスーパー64

UH-60は1979年6月、第101戦闘航空旅団に初導入されており[28]、初陣は1983年グレナダ侵攻であったが、暗視装置は配備が間に合わなかった[8]。その後、1989年パナマ侵攻に続き、1991年湾岸戦争には300機以上が投入された大規模な空爆作戦に参加。1993年には、その後映画化され著名になったモガディシュの戦闘に参加しており、その他、1990年代にはバルカン半島ハイチなどでの作戦にも参加し、近年アメリカが関与したアフガニスタン戦争イラク戦争など紛争の殆どに参加している[11]

2011年5月1日にはウサーマ・ビン・ラーディン強襲作戦において高度に改良されたUH-60が特殊部隊Navy SEALsの輸送に使用されている[19][29][30]。この作戦中に1機が故障により不時着し、作戦終了後、シールズによって爆破処理が行われている[31]。部隊はMH-47 チヌーク2機の内の1機にウサーマ・ビン・ラーディンの遺体を載せ現場を後にしている。この2機のMH-47は作戦に使用されたUH-60への空中給油任務用を兼ねたバックアップ機であった[32][33]。 幾つかのメディアによると、パキスタン政府はアボッターバードに墜落したステルスUH-60の残骸調査を中国人民解放軍に対し認めたと報道している[34][35][36]。しかし、パキスタン政府と中国政府はこの報道を否定しており[34][35]、米国政府も中国による機体調査の事実確認は取れていない[35]

コロンビア

コロンビア1987年に米国からUH-60を受領している。コロンビア国家警察、コロンビア空軍、及びコロンビア陸軍麻薬組織に対する鎮圧作戦用にCOIN機として運用しており、陸路では接近が容易ではない場所に兵員、物資輸送など行っている他、救難捜索や医療任務などにも使用されている。また、一部重武装が施されたガンシップ機「スペイン語: Arpíaハーピー)」も保有している[37][38]

イスラエル

イスラエル航空宇宙軍のUH-60A ヤンシャフ

イスラエル航空宇宙軍(IAF)は1994年8月に米国から10機のUH-60Aを受領し[39]、愛称は「ヘブライ語: ינשוף‎(ヤンシャフ フクロウ)」[40] 。その他、イスラエル国防軍で使用されているベル 212の代替も開始している[39]。IAFは1964年4月に行われた南レバノンヒズボラに対する「怒りの葡萄作戦」に始めてUH-60を投入している[41]

2000年3月、イスラエルを訪問したヨハネ・パウロ2世の為の特別輸送機として使用している。3機がこの任務に就き、1機は教皇輸送用として、1機は医療班を乗せたメディカル機として、残りの1機はバックアップとして使用されている。なお2008年11月時点でIAFは49機のUH-60を保有している。

メキシコ

メキシコ空軍1991年特殊部隊を輸送するためUH-60Lを2機購入し、1994年には4機を購入している[42]2009年8月、9月に掛け連邦警察によりUH-60を使用した麻薬組織に対しての攻撃に使用されている[43][44]2011年8月25日、メキシコ海軍は麻薬・武器取り締まり任務向けのUH-60M3機を購入している[45][46]

台湾

中華民国空軍は救難捜索のために1986年6月、10機のS-70C-1Aを受領しS-70C-1/1Aとして運用している[47]1998年4月には4機のS-70C-6を購入。中華民国海軍1990年7月に10機のS-70C(M)-1を受領し2000年4月には11機のS-70C(M)-2型を受領している[48]2010年1月、米国は中華民国陸軍に対し60機のUH-60Mの対外有償軍事援助を行うと発表した[49][50]

トルコ

トルコは、アフガニスタンバルカン半島での任務にUH-60を運用している。 採用は一般入札によって競われ、ライバルであるアグスタウェストランドAW149を下し採用された。 進行中のプロジェクトとして国内生産分での115機を発注しており、トルコ航空宇宙産業は最終的な接合組み立てを担当する予定である[51][52]2011年4月21日、トルコは公開入札のため、シコルスキーT- 70の選択を発表している[53][54][55]

その他

アラブ首長国連邦2008年9月14日、対外有償軍事援助を通じUH-60Mを要求しており、機体の他、レーザー・レーダー警告センサーや兵器システムを含んでいる[56]2010年11月までに20機のUH-60Lを受領する予定である[57]

ブラジルは2008年に対外有償軍事援助を通じ、15機のUH-60Lを要請している[58]

スウェーデンは2010年9月に対外有償軍事援助を通じ、15機のUH-60Mを要求している[59][60]2011年4月9日、防衛大臣は交渉はほぼ確定していると発表しており、納入開始は2012年を予定している。これに伴い操縦士が2011年夏に訓練を開始した。2017年までに完納する予定である[61]。2011年5月18日、シコルスキーはこの要求分15機の早期納入を発表した[62]

種類

多目的汎用ヘリコプターであるUH-60は、数多くの派生型や亜種が生産開発されており、民生品はS-70の名称で販売されている。

汎用型

  • YUH-60A - 試験、調査目的で製作された試作機。1974年10月17日初飛行。4機が製作された。
  • UH-60A Black Hawk - アメリカ陸軍採用型。4名の乗員と11名の兵士が搭乗可能。[63]T700-GE-700エンジン搭載型。[64] 1977年–1989年まで生産された。
  • UH-60C Black Hawk - 指揮及び統制システム(C2)を搭載した改良型。[11][64]
  • CH-60E - アメリカ海兵隊提案型。[65]
  • UH-60L Black Hawk - T700-GE-701Cエンジンに換装。耐久性を向上させたギアボックス、飛行制御システム改良型。[11] 1989年–2007年まで生産。[66]
  • UH-60M Black Hawk - 翼弦が広げられたテールローターを採用。T700-GE-701Dエンジンに換装。(最大出力2000shp/1500kW×2)強化型ギアボックス採用。(Integrated Vehicle Management Systems IVHMS) コンピューター[注釈 4]搭載。グラスコックピット化。2006年生産開始。[67]UH-60と置き換え。[68]
  • UH-60M Upgrade Black Hawk - フライ・バイ・ワイヤ採用。(Common Avionics Architecture System CAAS)型コックピット[注釈 5]の採用。2008年飛行試験開始。[69][70]

特殊形態

  • EH-60A Black Hawk - 電子機器が増えたことによる電力確保の為、電気系を2系統化した強化型。この改良は基本型UH-60Aに反映されている。[64]
  • YEH-60B Black Hawk - UH-60Aの改良型。特殊レーダーとアビオニクス搭載。スタンドオフ(撃ちっ放し)機能を試験的に搭載した。[64]
  • EH-60C Black Hawk - UH-60Aの改良型。特殊電装機器と外部アンテナを搭載。[64] この改良は基本型UH-60Aに反映されている。
  • EUH-60L[注釈 6] - UH-60Lの改良型。指揮及び統制システム(C2)搭載型。[64]
  • EH-60L Black Hawk - EH-60Aの改良型。搭載機器の改良が行われた。[64]
  • UH-60Q Black Hawk - UH-60Aの改良型。医療任務型。[64][71]別名「ダストオフ(dedicated unhesitating service to our fighting forces DUSTOFF)」[72]
  • HH-60L[注釈 6] - UH-60Lの高度改良型。医療任務に特化した機体。[64] 救助用ホイスト、統合型全身患者固定システム、搭載型酸素供給システム、耐衝撃座席などが装備されている。[71]
  • HH-60M Black Hawk - 米陸軍型。UH-60Mに医療機器を搭載したMEDEVAC対応型。[64][73]
  • MH-60A Black Hawk - 米陸軍型。30機のUH-60Aが改良されている。アビオニクス改良、ナイトビジョン、FLIRの搭載。ドアガンにM134ミニガンを採用。増槽を追加。特殊作戦用に1980年代前半から使用が開始されている。[74][75]T700-GE-701 エンジン搭載。[64]第160特殊作戦航空連隊で使用されている。このMH-60Aは1990年代前半にMH-60Lに置き換えられているが、空軍州兵運用分は見送られた。[65][76]
  • MH-60K Black Hawk - 米陸軍型。特殊作戦仕様。1988年に第160特殊作戦航空連隊によって使用開始されている。[65]空中給油用のプローブ装備。[77]T700-GE-701C エンジン搭載。MH-60L型を更に優位にしている。グラスコックピットの採用。AN/APQ-174B型マルチモードレーダー搭載。カラー天気図、改良された防御電子機器などを搭載。[77][78]
  • MH-60L Black Hawk - 米陸軍型。特殊作戦機の改良型。第160特殊作戦航空連隊にて使用されている。UH-60L、T700-701C エンジン搭載型を基にしている。これは1980年代に開発が保留されていたMH-60Kの暫定型として使用された。[79]使用された機器はMH-60Kに引き継がれている。[80]MH-60Kに搭載された機器の他、光波測距儀や増槽なども追加されていた。[79][81]37機のMH-60Lが製作され、この内10機程度には空中給油機構が取り付けられている。[79]
DAP形態
  • MH-60L Direct Action Penetrator (DAP) - 米陸軍型。MH-60Lを基にした特殊作戦機の改良型。第160特殊作戦航空連隊にて使用されている。[81]DAPはESSS又はETS翼が装備された。M230機関砲、ロケットポッド、その他の武装が施された型があり、ドアガンにはM134Dミニガンが搭載された。[75]
  • MH-60M Black Hawk - 米陸軍型。UH-60Mを基にした特殊作戦機の改良型。新型コックピット(CAAS)の採用。グラスコックピット、YT706-GE-700エンジンの搭載。[82][83]
  • MH-60 Black Hawk stealth helicopter - MH-60の改良型。1ないし2機が製作されたと見られ、ウサマ・ビン・ラディン作戦に使用された。[84][85][86][87][18][19] [19]
  • UH-60A RASCAL - NASAで使用された。ヘリコプターの運動性能検証のため「Rotorcraft-Aircrew Systems Concepts Airborne Laboratory」によって製作された。[88][89]
  • VH-60D Night Hawk - 米海兵隊型。HH-60Dを基にしたVIP仕様。政府要人輸送に使用された。T700-GE-401Cエンジン搭載。[64]この型はVH-60Nに置き換えられた。[90]
  • VH-60N White Hawk - 米海兵隊型。プレジデントホークとも。UH-60Aを基に製作された政府専用ヘリコプターであり、僅かにSH-60 シーホークの装備が導入されている。1988年に使用を開始し、9機が納入された[91]VH-3Dや、その後継機であるVH-71に比べ、輸送機への搭載が比較的容易であることを利用して外遊に用いられる。その分キャビンが非常に狭く、要人用としては乗り心地が劣るとして不評である。

輸出型

  • UH-60J Black Hawk - 自衛隊採用型。航空自衛隊が独自改良した救難ヘリコプターであり三菱重工業によりライセンス生産される。S-70-12型としても知られる。[92]
  • UH-60JA Black Hawk - 陸上自衛隊採用型。UH-60Jと同じく三菱重工業にてライセンス生産される。[92]
  • AH-60L Arpía III - コロンビア輸出型。FLIR、レーダーなどの電子機器を搭載し、小型ロケット、汎用機関銃などの武装を施したコイン機仕様。シコルスキーとコロンビア空軍の共同開発であり、エルビット・システムズ社によって製造されている。[11][93]
  • AH-60L Battle Hawk - プロジェクトAIR87計画によりオーストラリア陸軍に採用される予定であったが入札に失敗。[11]機体仕様はAH-60L Arpía IIIに酷似している。
  • UH-60P Black Hawk - 大韓民国採用型。UH-60Lを基に多少の改善が行われている。[65]大韓航空・航空宇宙事業本部により150機が国内生産されている。[64][94][95]

S-70A

シコルスキーによる輸出軍用型。

派生型

SH-60 シーホーク

アメリカ海軍では、1983年に水上戦闘艦搭載用のLAMPSヘリコプターとして「SH-60B シーホーク」を、1988年には航空母艦艦載用の「SH-60F オーシャンホーク」を受領している。SH-60はUH-60の哨戒ヘリコプターバージョンであり、レーダーなどの哨戒機器と対潜兵器を搭載できる。また、機体はS-70Bとして輸出も行なわれているが、搭載機器はほとんど輸出されておらず、顧客が独自に開発するか、別途、輸出用の機器を調達して搭載している。

HH-60H レスキューホーク/HH-60J ジェイホーク

HH-60J ジェイホーク

アメリカ海軍では、遭難した艦上機パイロットなどを救助したり、Navy SEALsの作戦を支援したりするため、「HH-60H レスキューホーク」と呼ばれる機体を運用している。また、アメリカ沿岸警備隊でも救難や密輸取締りなどを目的として1992年に「HH-60J ジェイホーク」を導入した。これらは空軍向けのHH-60と同じような装備を持つ一方、艦上運用を前提としているため、胴体構造はSH-60シリーズをベースとしている。

なおアメリカ海軍ではHH-60Hの後継として「MH-60S ナイトホーク」への切り替えを進めているが、こちらはむしろ陸軍向けのUH-60Lに似た機体となっている。

HH-60/MH-60

MH-60

HH-60シリーズは、脱出した航空要員や戦闘中に孤立した兵士を救助することを主な目的として、UH-60を改造したものである。

アメリカ空軍は当初、UH-60の燃料搭載量を増やした「HH-60D ナイトホーク」を運用していたが、1982年にこれを大幅に改良したHH-60G ペイヴホークを採用した。600ポンド(270キログラム)の運搬能力がある250フィート(75メートル)のケーブルをもった救助用ホイスト、脱着可能な空中給油装置が装備されている。武装はサイドワインダーもしくはスティンガーといった空対空ミサイルの搭載も可能となっている。

S-70

UH-60ブラックホークの設計を継いでいる民間向けの機体。

採用国

UH-60ブラックホーク採用国
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
  • アメリカ陸軍 - UH-60(1349機)EH-60(64機)MH-60(58機)運用中。[101][注釈 8]
ブラジルの旗 ブラジル
  • ブラジル空軍 - UH-60(12機)運用中。[102]2008年に15機を要求している。[103]
  • ブラジル空軍 - UH-60L(4機)を運用中であり、2008年11月に6機を発注。[41]
  • ブラジル海軍 - 2009年時点でS-70B(4機)。[104][105]2011年にS-70Bを2機要求している。[106]
メキシコの旗 メキシコ
  • メキシコ空軍 - UH-60L(S-70A-24 6機)[107]
  • メキシコ空軍 - UH-60M武器・麻薬取締り任務仕様(3機)[108]
  • 連邦警察[109]
  • ハリスコ州警察 - UH-60(1機)[110]
 コロンビア
  • コロンビア空軍 - 2008年時点でUH-60A/L(32機)AH-60L Arpia III(1機)[41]
  • コロンビア陸軍 - UH-60A/L(34機)受領し2008年に15機を要求している。[41]
  • コロンビア国家警察 - 2010年8月時点で7機受領済み[111][112]
 チリ
オーストラリア陸軍採用型のS-70Black Hawk
オーストラリアの旗 オーストラリア
  • オーストラリア陸軍 - 2010年1月時点でS-70A-9(35機)[101]
日本の旗 日本
大韓民国の旗 大韓民国
中華人民共和国の旗 中華人民共和国
  • 中国人民解放軍空軍 - 2008年時点でS-70C(22機)を所有。[41]成都軍区に所属しチベット地域での高高度地域輸送や人道支援用途で運用されている。このS-70C型はT700-701Aエンジンを搭載しており、人民解放軍空軍所有のヘリコプターの中で最も高高度飛行ができる。その後、シコルスキーは100機のS-70を輸出来ると予想していたが、1980年以降アメリカとの関係悪化により22機に留まっている。[118]
中華民国の旗 中華民国台湾
  • 中華民国空軍 - S-70C(17機)[47][注釈 9]
  • 中華民国海軍 - S-70Cサンダーホーク(10 S-70C(M)-1 and 11 S-70C(M)-2 21機)[119]2008年にはS-70C(19機)を受領。[41]
  • 中華民国陸軍 - UH-60M(60機)[50]
タイ王国の旗 タイ
  • タイ陸軍 - UH-60L (S-70A-43 7機) 運用中。[41][120]
マレーシアの旗 マレーシア
  • マレーシア空軍 - UH-60L(2機)、S-70A要人仕様(1機)[121]
フィリピンの旗 フィリピン
  • フィリピン空軍 - UH-60A要人仕様 (S-70A 2機) [121]
ブルネイの旗 ブルネイ
  • ブルネイ空軍 - UH-60A(1機)、UH-60L(1機)、2007年にUH-60Mを9機発注している。[122]
イスラエルの旗 イスラエル
  • 2008年時点でS-70A、UH-60A/L(49機)運用中。[41]
 エジプト
  • UH-60L(8機)[123]2008年11月に4機追加。[41]UH-60M(62機)を発注しており2011–2013年までに納入予定である。[要出典]
サウジアラビアの旗 サウジアラビア
  • 2008年UH-60L(15機)運用中。[41]
トルコの旗 トルコ
  • トルコ軍、国家警察においてUH-60A/L (S-70A-17 12機)、(S-70A-28 95機)[120]
  • トルコ陸軍 - 2010年時点で(UH-60A/L 59機)[101]T-70(115機)を取得予定。[51]
アラブ首長国連邦の旗 アラブ首長国連邦
  • アラブ首長国連邦空軍 - 2010年時点でS-70A(5機)運用中。[101]
バーレーンの旗 バーレーン
  • UH-60A/S-70A(2機)UH-60L/S-70A(8機)受領済み。[124]
ヨルダンの旗 ヨルダン
オーストリア採用型
モロッコの旗 モロッコ
  • モロッコ警察航空隊 - UH-60L要人仕様(2機)[125]
 オーストリア
  • オーストリア空軍 - 2010年1月時点でS-70A-42(9機)[41][101]
 スウェーデン
  • UH-60M(15機)発注済み。2011年-2012年までに納入予定。[62]

性能・主要諸元 (UH-60L)

出典: Encyclopedia of Modern Warplanes,[126] US Army Fact File,[127] International Directory,[128] Black Hawk[129]

諸元

性能

  • 超過禁止速度: 357 km/h (193 kt)
  • 最大速度: 295 km/h (159 kt)
  • 巡航速度: 278 km/h (150 kt)
  • フェリー飛行時航続距離: 2,220 km (1,380 海里[126]) 外部搭載支援システム(ESSS)および増槽装備時[129]
  • 実用上昇限度: 5,790 m (19,000 ft)
  • 上昇率: 3.6 m/s (700 ft/min)
  • 円板荷重: 35.4 kg/m2 (7.19 lb/ft2
  • 馬力荷重(プロペラ): 158 W/kg (0.192 hp/lb hp/lb)

武装

お知らせ。 使用されている単位の解説はウィキプロジェクト 航空/物理単位をご覧ください。

脚注

注釈

  1. ^ 2008年度フル装備での価格。
  2. ^ ヘリコプターによる任務では低空を低速で飛行することが多く、小火器や対空砲などの標的になりやすく、ベトナム戦争ではUH-1が多数撃墜されている。これに対してUH-60の生存率は高く、激しい攻撃を受けながらも戦闘地域から離脱することができたと報告されている。出典「トム・クランシー アメリカ特殊部隊」
  3. ^ 陸軍タイムズによると、1990年代にアメリカ特殊作戦軍(USSOCOM)に属し、スペシャル・アドバイザーとしてロッキード・マーティンスカンクワークス部門で働いていた退役者によればF-117で培われたレーダー波回避能力は、第160特殊作戦航空連隊が運用するMH-60に反映されていると語っており、USSOCOMは1999年から2000年辺りに掛けMH-60の低視認性改良を行う契約をボーイングに対し与えているとも述べている。
  4. ^ 統括飛行制御システム。
  5. ^ Common Avionics Architecture System ロックウェル・コリンズ社公式YouTubeサイト
  6. ^ a b 正式名称は与えられていない。
  7. ^ Testbed
  8. ^ 2010年1月時点
  9. ^ a b c d e 2008年11月時点
  10. ^ 詳細はUH-60JSH-60Kを参照。

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参考文献

関連機体

関連項目

登場作品

映画
ゲーム
マルチプレイにて登場
一部マップに登場する。ガドリング砲搭載バージョンとミサイル搭載バージョンがある

外部リンク