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'''資料'''(しりょう、英:source)は、調査や研究のためのデータ、文献のこと。資料は一般にその独自性および生データへの近似性により一次資料、二次資料、三次資料に分類される。資料の分類は学問分野によって多少異なる。例えば明治時代の[[文学]]を研究している文芸批評家にとっての一次資料とは詩や小説の本であるが、新しい抗ガン剤を求めて研究している[[医学|医学者]]にとってはは実験結果、患者の治験記録が一次資料となる。 |
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'''資料'''(しりょう)は、調査や研究のためのデータ、文献のこと。 |
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'''一次資料'''(いちじしりょう、英:primary source)とは、同時代の人間が現地で収集・作成した情報、または事物のこと。その時代のコインや日記、手紙、新聞記事なども一次資料になる。例えば1950年代の商品広告ポスターは、当時の人々の近代科学技術に対する認識を知るための良い一次資料である。一般には、そうした事物が解釈や評価を加えていないオリジナルのままの形で学術誌などで最初に正式に発表されたものが一次資料とされる。 |
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'''二次資料'''(にじしりょう、英:secondary source)とは、[[一次資料]]に基づいて作成された概論、解釈、評価、分析などのこと。 |
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一次資料と[[二次資料]]を分けるのは、その中身自体よりも、むしろその使われ方にある。例えば、100年前に500年前の事件について書かれた著作は二次資料であるが、現代の歴史学者にとってはこの著作自体が100年前の人々の[[歴史観]]を知るのに格好の一次資料になる。 |
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また、一次資料は必ずしも二次資料より正確で権威のある情報だというわけではない。[[大学]]や[[研究所]]など方法論的精度を重視する機関において作成され十分に[[査読]]されている二次史料と、日記や手紙のような主観的で偏った記述の一次資料とでは、一概にいずれがより情報価値が高いとは言えない(歴史知識の乏しい人間が偏向した一次資料の記述を直接読めば誤った情報を得る事になる)。 |
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しかし一般には、現代の歴史学者は自ら一次資料を確認し、新たな一次史料を探すことに熱心である。なぜなら、正確であろうとなかろうと一次資料は歴史的問題に新たな情報を提供するものであり、二次資料のみを元に書くのではオリジナルの調査とは認められがたいからである。 |
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'''三次資料'''(さんじしりょう、英:tertiary source)とは、[[一次資料]]と[[二次資料]]を選択的に組み合わせて作成された資料である。図書[[目録]]、[[書誌]]、[[参考文献]]一覧、推薦図書一覧(reading list)、[[教科書]]、[[百科事典]]などが三次資料に含まれる。 |
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== 参考文献 == |
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*Wood Gray, ''Historian's handbook, a key to the study and writing of history'' (Houghton Miffin, 1964). |
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*[http://www.library.jcu.edu.au/LibraryGuides/primsrcs.shtml JCU - Primary, Secondary & Tertiary Sources] |
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*[http://www.library.yale.edu/instruction/primsource.html Primary Sources at Yale] |
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==関連項目== |
==関連項目== |
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*[[図書館資料]] |
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*[[史料]] |
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*[[Q資料]] |
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*[[Wikipedia:文献資料]] |
*[[Wikipedia:文献資料]] |
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[[category:知識|しりよう]] |
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[[Category:学問|さんししりよう]] |
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[[de:Quelle (Geschichtswissenschaft)]] |
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[[en:Primary source]] |
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[[hu:Elsődleges forrás]] |
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[[nl:Historische bron]] |
2005年12月16日 (金) 07:05時点における版
資料(しりょう、英:source)は、調査や研究のためのデータ、文献のこと。資料は一般にその独自性および生データへの近似性により一次資料、二次資料、三次資料に分類される。資料の分類は学問分野によって多少異なる。例えば明治時代の文学を研究している文芸批評家にとっての一次資料とは詩や小説の本であるが、新しい抗ガン剤を求めて研究している医学者にとってはは実験結果、患者の治験記録が一次資料となる。
一次資料
一次資料(いちじしりょう、英:primary source)とは、同時代の人間が現地で収集・作成した情報、または事物のこと。その時代のコインや日記、手紙、新聞記事なども一次資料になる。例えば1950年代の商品広告ポスターは、当時の人々の近代科学技術に対する認識を知るための良い一次資料である。一般には、そうした事物が解釈や評価を加えていないオリジナルのままの形で学術誌などで最初に正式に発表されたものが一次資料とされる。
二次資料
二次資料(にじしりょう、英:secondary source)とは、一次資料に基づいて作成された概論、解釈、評価、分析などのこと。
一次資料と二次資料を分けるのは、その中身自体よりも、むしろその使われ方にある。例えば、100年前に500年前の事件について書かれた著作は二次資料であるが、現代の歴史学者にとってはこの著作自体が100年前の人々の歴史観を知るのに格好の一次資料になる。
また、一次資料は必ずしも二次資料より正確で権威のある情報だというわけではない。大学や研究所など方法論的精度を重視する機関において作成され十分に査読されている二次史料と、日記や手紙のような主観的で偏った記述の一次資料とでは、一概にいずれがより情報価値が高いとは言えない(歴史知識の乏しい人間が偏向した一次資料の記述を直接読めば誤った情報を得る事になる)。
しかし一般には、現代の歴史学者は自ら一次資料を確認し、新たな一次史料を探すことに熱心である。なぜなら、正確であろうとなかろうと一次資料は歴史的問題に新たな情報を提供するものであり、二次資料のみを元に書くのではオリジナルの調査とは認められがたいからである。
三次資料
三次資料(さんじしりょう、英:tertiary source)とは、一次資料と二次資料を選択的に組み合わせて作成された資料である。図書目録、書誌、参考文献一覧、推薦図書一覧(reading list)、教科書、百科事典などが三次資料に含まれる。
参考文献
- Wood Gray, Historian's handbook, a key to the study and writing of history (Houghton Miffin, 1964).
- JCU - Primary, Secondary & Tertiary Sources
- Primary Sources at Yale