「アメリカ炭疽菌事件」の版間の差分
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{{Infobox 民間人の攻撃 |
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'''アメリカ炭疽菌事件'''(2001 anthrax attacks、[[連邦捜査局|FBIファイル名]]:Amerithrax)は、[[2001年]][[9月18日]]から数週間にかけて起きた事件。 |
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|名称=アメリカ炭疽菌事件<br/>2001 anthrax attacks |
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|画像=Nbcanthraxletter.jpg |
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|脚注=NBCニュースに送りつけられた封筒(第一波) |
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|場所={{USA}}<br/>[[ニューヨーク州]] [[ニューヨーク]]<br/>[[フロリダ州]] [[ボカラトン]]<br/>[[ワシントンD.C.]] |
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|標的=アメリカン・メディア、[[NBCニュース]]、[[ABCニュース (アメリカ)|ABCニュース]]、[[CBSニュース]]、[[ニューヨーク・ポスト]]、[[トム・ダシュル]]、[[パトリック・リーヒ]] |
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|日付=[[2001年]][[9月18日]]、[[10月9日]]<ref name="cyuusyaku1">日付けはいずれも開封作業が行われた日である。</ref> |
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|開始時刻= |
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|終了時刻= |
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|手段=化学テロ |
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|兵器=[[炭疽菌]] |
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|死亡=5人 |
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|負傷=17人 |
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|犯人=ブルース・エドワード・イビンズ |
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|動機= |
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'''アメリカ炭疽菌事件'''({{lang-en-short|2001 anthrax attacks}} [[連邦捜査局|FBIファイル名]]:Amerithrax)は、[[2001年]][[9月18日]](10月9日<ref name="cyuusyaku1"></ref>)、から[[ニューヨーク]]、[[フロリダ州]][[ボカラトン]]、[[ワシントンDC]]で[[炭疽菌]]を封入した容器を同封した[[封筒]]を用い、大手[[テレビ局]]や[[出版社]]、[[アメリカ合衆国上院|上院議員]]などを標的とした[[バイオ]][[テロ]]事件であり、その期間は数週に及んだ。この炭疽菌の感染により5名が肺炭疽を発症し死亡、<ref name="kyodo">{{cite web|url=http://www.47news.jp/CN/200803/CN2008032901000214.html |title=米炭疽菌事件で容疑者特定 陸軍研究所科学者らと報道 |publisher=共同通信 |date=2008-03-29 |accessdate=2011-04-11 }}</ref>17名が負傷した。 |
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[[アメリカ同時多発テロ事件|同時多発テロ事件]]の7日後に発生したこの事件はアメリカ全土を震撼させ、事件の[[捜査]]は”アメリカの司法史上最も大規模かつ複雑”であった。<ref>http://www.fbi.gov/anthrax/amerithraxlinks.htm</ref> |
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== 概要 == |
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[[アメリカ同時多発テロ事件|同時多発テロ事件]]の7日後に起きたこの事件は、[[炭疽菌]]の入った手紙がいくつかのニュースメディアの事務所と2人の[[民主党 (アメリカ)|民主党]]上院議員のところに届き、5人が死亡・17人が病院で手当てを受けた、というものである。この事件の大きななぞは、2008年まで公に特定されなかった。 |
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2008年半ば、[[FBI]]は[[メリーランド州]][[フレデリック (メリーランド州)|フレデリック]]のフォート・デトリックにあるバイオディフェンス研究所で働いていた科学者ブルース・エドワード・アイビンス(Bruce Edwards Ivins)に焦点を絞って捜査を続けた。 |
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== 標的 == |
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FBIは、ブルース・エドワード・アイビンスに告発が差し迫っていることを話した。2008年8月1日そのブルース・エドワード・アイビンスが、[[アセトアミノフェン]]の大量服用で自殺した。<ref>{{citeweb|title=Anthrax scientist commits suicide as FBI closes in|url=http://ap.google.com/article/ALeqM5gH1fcT1QrjvwIaAZTO63_lxHs9EQD929A37O0|publisher=''[[Associated Press]]''|accessdate=2008-08-01}}</ref><ref>{{citeweb|title=Apparent suicide in anthrax case|url=http://www.latimes.com/news/nationworld/nation/la-na-anthrax1-2008aug01,0,2864223.story|publisher=''[[LA Times]]''|accessdate=2008-08-01}}</ref> |
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[[ファイル:Daschle letter.jpg|thumb|270px||[[アメリカ合衆国上院|上院議員]]である[[トム・ダシュル]]に送られた[[炭疽菌]]入りの封筒。この封筒を配達した郵便局員2名が死亡している(第二波)]] |
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2008年8月6日、連邦検察当局は、この事件がブルース・エドワード・アイビンスの単独犯罪だったことを発表した<ref>{{citeweb|title=U.S. officials declare researcher is anthrax killer|url=http://www.cnn.com/2008/CRIME/08/06/anthrax.case/index.html?eref=rss_topstories |publisher=''[[CNN]]''|accessdate=2008-08-07}}</ref>。 |
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内訳はテレビ局3社と出版社2社、及び[[民主党 (アメリカ)|民主党]]上院議員2名である。 |
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この2日後、チャック・グラスレー上院議員と、ラッシュ・ホルト・ジュニア下院議員はFBIと[[司法省]]の捜査に問題が無いかどうか調べるために、聴聞を行った。<ref>{{citeweb|title=Anthrax investigation should be investigated, congressmen say|url=http://www.latimes.com/news/nationworld/world/middleeast/la-na-anthrax8-2008aug08,0,2258246.story|publisher=''[[Associated Press]]''|accessdate=2008-08-08}}</ref> |
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* [[:en:American Media (publisher)|アメリカン・メディア社]]([[:en:National Enquirer|ナショナル・エンクゥワイヤー]]誌) |
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[[Image:anthraxtargets.gif|thumb|400px|Seven letters are believed to have been mailed in the US, resulting in 22 infections; five people died.]] |
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* [[NBCニュース]] |
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2009年9月15日、米国司法省は7ヶ月前にチャック・グラスレー上院議員の質問に書面で回答した。[[FBI長官]]のロバート・ミューラー(Robert Mueller)は「本事件については進行中の民事および刑事訴訟があり、今回のFBIの『調査活動』はそれら訴訟に悪影響を及ぼすかもしれない」と記述した。 |
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* [[ABCニュース (アメリカ)|ABCニュース]] |
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* [[CBSニュース]] |
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* [[ニューヨーク・ポスト]](出版社) |
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* [[トム・ダシュル]](上院議員) |
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* [[パトリック・リーヒ]](上院議員) |
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== 事件概要 == |
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2010年2月19日、FBIは公式にこの件の調査を終了した。 |
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[[ファイル:anthraxtargets.gif|thumb|330px|左から右へと送付された7つの封筒の行方を示した図。9月18日と10月9日の2つの流れに大別される。赤丸が標的。四角と丸が封入された炭疽菌容器形状を表している]] |
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この炭疽菌テロ攻撃は2波に分かれて行われており、第一波は[[2001年]][[9月18日]]付けの[[消印]]が押された[[トレントン (ニュージャージー州)|トレントン]]局管内の[[ポスト]]から投函された物であった。<ref>http://3.bp.blogspot.com/_NLm-XAPhuZM/SLacm-gfjUI/AAAAAAAAAu0/4EYOE_iB_j8/s1600-h/TKY200808270349.jpg</ref>この消印が押された同5通が使用され、この内4通はその後ニューヨーク、モルガン局を経由しニューヨークを本社とするテレビ局、NBCニュース、ABCニュース、CBSニュースと出版社であるニューヨーク・ポストへと配達された。残りの一通は[[フロリダ州]]ウエストパーム局を経由し、同州ボカラトンを本社とするアメリカン・メディア社(ナショナル・エンクゥワイヤー誌宛)へと送付されている。このアメリカン・メディア社に届けられた封筒により同社従業員であり、[[スーパーマーケット]][[タブロイド]]紙「サン<ref>イギリスの大衆タブロイド紙[[ザ・サン|The Sun]]とは関係が無い。</ref>」の写真編集員である[[:en:Robert Stevens (photo editor)|ロバート・スティーブンス]]が[[2001年]][[10月6日]]に死亡し最初の犠牲となった。スティーブンスはフロリダ病院へ訪れた4日後に原因不明の嘔吐と息切れを起こし倒れ、その後死亡している。<ref>Sun Sentinel, 2002 October 9, "An Anthrax Widow May Sue U.S.Woman Whose Husband Died In Florida Is Angry At Army Lab's Possible Role As Bacteria's Source,"http://www.sun-sentinel.com/news/local/palmbeach/hc-anthrax1009.artoct09,0,7158595.story?coll=sfla-news-palm</ref> |
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ニューヨークポストとNBCニュースに送りつけられた封筒は発見され<ref>{{cite web|title=My anthrax survivor's story - NBC News employee speaks out for the first time on her ordeal|url=http://msnbc.msn.com/id/14785359/|publisher=''[[MSNBC]]''|accessdate=2008-03-30}}</ref>その他の3通は開封者が炭疽菌 |
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== 送られてきた手紙 == |
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に感染した事で同一の郵便物である可能性が発覚した。解析作業にあたった科学者はニューヨークポストに送付された封筒から発見された炭疽菌は[[ドッグフード]]の様な粗い茶色の粒状材料であった事が報告されている。<ref>{{cite news|title=Anthrax in America: Brentwood Post Office Facility in Washington Major Focal Point|url=http://transcripts.cnn.com/TRANSCRIPTS/0110/26/ltm.08.html|publisher=''[[CNN]]''|accessdate=2008-08-07 | date=February 7, 2001}}</ref> |
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=== 原文 === |
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[[ニューヨーク・ポスト]]と[[NBCニュース]]あてに送られてきた手紙は以下の通り |
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:09-11-01 |
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:THIS IS NEXT |
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:TAKE PENACILIN NOW |
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:DEATH TO AMERICA |
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:DEATH TO ISRAEL |
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:ALLAH IS GREAT |
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第二波は第一波の3週間後、[[10月9日]]付けの同じくトレントンの消印が押された物であった。宛先は[[サウスダコタ州]]、民主党上院議員トム・ダシュルと[[バーモント州]]、パトリック・リーヒ同上院議員宛となっており、当時ダシュルは[[院内総務 (アメリカ)|上院多数党院内総務]]、リーヒは上院司法委員会委員長であった。ダシュル宛ての封筒は[[10月15日]]側近により開封されたことにより、その後の政府向けの郵便サービスは直ちに中止の措置が取られた。リーヒ宛ての封筒は開封されておらず、[[11月16日]]に封筒が混入しているメールバックが発見され、バックごと押収されている。リーヒ宛ての封筒は[[ZIPコード]]が間違えて書かれていた為、そのZIPコードが示す[[バージニア州]]、スターリングにある「別館」に配達されており、配達した郵便局員であるデビッド・ホースが炭疽菌を吸入している。 |
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[[Image:Anthraxnote2.jpg|right|thumb|第2の手紙]] |
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第一波の攻撃は非常に効果的であった。また、上院議員宛の封筒には、高度に洗練された[[シリカ]]状のほぼ純粋な炭疽菌[[胞子]]約1グラムが封入されていた。この結果から使用された炭疽菌は「兵器化域」の細菌粉末であると初期の報告がなされていおり、これは炭疽菌へ精通し、かつ、専門の研究施設などでなければ生産ができない域の物であることを意味し、アメリカ陸軍感染症医学研究所の科学者達はこの認識が欠如していたと考えられる。<ref name="articles.latimes.com">{{cite news| url=http://articles.latimes.com/2008/sep/17/nation/na-anthrax17 | work=The Los Angeles Times | title=Scientist admits mistake on anthrax | first=David | last=Willman | date=September 17, 2008}}</ref> |
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この手紙の後に[[トム・ダシュル]]と[[パトリック・リーイ]]の両上院議員あてに送られた手紙は以下の通り |
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しかし、[[2002年]]初頭に行われた[[サンディア国立研究所]]によるテストでは、この粉末は「兵器化」された域の物ではなかった事が報告されている<ref name="youtube.com">http://www.youtube.com/watch?v=YHJNZUiyLGo</ref><ref name="nationalacademies.org">[http://www.nationalacademies.org/podcast/20090925part2.MP3 J. Michael, 9/25/09 NAS presentation, audio]</ref> |
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:09-11-01 |
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:YOU CAN NOT STOP US. |
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:WE HAVE THIS ANTHRAX. |
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:YOU DIE NOW. |
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:ARE YOU AFRAID? |
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:DEATH TO AMERICA. |
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:DEATH TO ISRAEL. |
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:ALLAH IS GREAT. |
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少なくとも22名が感染症を発症し、このうち11名は生命に危険を及ぼす様な呼吸器症状はないとされた。5名が肺炭疽を発症し死亡。内訳は前述した出版社従業員であるロバート・スティーブンス、ワシントンD.C.にあるブレントウッド郵便局の従業員であるトーマス・モリス・ジュニア、ジョセフ・クルッセンの2名、感染源が特定できていない[[ベトナム]]移民でありニューヨーク・[[ブロンクス区]]在住のキャシー・ニュグエンと[[コネチカット州]]オックスフォード在住のオッティリーラングレンの2名である。 |
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=== 邦訳 === |
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ニューヨーク・ポストとNBCニュースあてに送られてきた手紙 |
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:[[2001年]][[9月11日]] |
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:次はお前の番だ |
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:ペニシリン(訳注:炭疽菌に対する治療薬として有効)を用意するがいい |
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:アメリカに死を |
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:イスラエルに死を |
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:アラーは偉大なり |
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その他、犯人特定まで長い年月が掛かったため、[[1978年]]から[[1995年]]まで調査が行われた[[ユナボマー]]攻撃に例えられた。<ref>{{cite news|title=Little Progress In FBI Probe of Anthrax Attacks|url=http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2005/09/15/AR2005091502456.html|publisher=''[[The Washington Post]]''|accessdate=2008-06-17 | first=Allan | last=Lengel | date=September 16, 2005}}</ref> |
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この手紙の後にトム・ダシュルとパトリック・リーイの両上院議員あてに送られた手紙 |
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:2001年9月11日 |
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:我々を止めることはできない |
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:この炭疽菌は(まだ)ある |
|||
:お前たちは死ぬ |
|||
:恐ろしいか? |
|||
:アメリカに死を |
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:イスラエルに死を |
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:アラーは偉大なり |
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== 手紙 == |
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全ての[[手紙]]は[[コピー]]機でコピーされたものであり原文は見つかっていない。それぞれ僅かにサイズが違う用紙が用いられおり、メディアに送付された手紙には[[句読点]]が使用されていないが、上院議員宛ての手紙には使用されている。第一、第二波共に封筒には手書きでの宛先表示がされており、上院議員へ送られた物と比べ、メディアに送付された物の筆跡は2倍の大きさであった。 |
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2人の上院議員あての手紙の差出人は次のようになっていた |
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==== 原文と邦訳 ==== |
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:4th Grade |
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ニューヨーク・ポストとNBCニュースあてに送られてきた手紙(第一の手紙)の内容。 |
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:Greendale School |
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{{Multicol}} |
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:Franklin Park NJ 08852 |
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{{quotation| |
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:'''09-11-01''' |
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:'''THIS IS NEXT''' |
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:'''TAKE PENACILIN NOW''' |
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:'''DEATH TO AMERICA''' |
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:'''DEATH TO ISRAEL''' |
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:'''ALLAH IS GREAT''' |
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}} |
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{{Multicol-break}} |
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{{quotation| |
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:'''2001年9月11日''' |
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:'''次はお前だ''' |
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:'''すぐペニシリン<ref>[[ペニシリン]]は炭疽菌に対する治療薬として有効である。</ref>を用意しろ''' |
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:'''アメリカに死を''' |
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:'''イスラエルに死を''' |
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:'''アラーは偉大なり''' |
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}} |
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{{Multicol-end}} |
|||
この手紙の後に[[トム・ダシュル]]と[[パトリック・リーイ]]の両上院議員あてに送られた手紙(第二の手紙)の内容。 |
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[[ファイル:Anthraxnote2.jpg|thumb|200px|第2の手紙]] |
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{{quotation| |
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:'''09-11-01''' |
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:'''YOU CAN NOT STOP US.''' |
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:'''WE HAVE THIS ANTHRAX.''' |
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:'''YOU DIE NOW.''' |
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:'''ARE YOU AFRAID?''' |
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:'''DEATH TO AMERICA.''' |
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:'''DEATH TO ISRAEL.''' |
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:'''ALLAH IS GREAT.''''' |
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}} |
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{{Multicol-break}} |
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{{quotation| |
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:'''2001年9月11日''' |
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:'''我々を止めることはできない''' |
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:'''我々は炭疽菌を(まだ)持っている''' |
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:'''お前は死ぬ''' |
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:'''怖いか?''' |
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:'''アメリカに死を''' |
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:'''イスラエルに死を''' |
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:'''アラーは偉大なり''' |
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}} |
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{{Multicol-end}} |
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==== 差出人 ==== |
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両上院議員に送付された封筒の差出人の住所表示は次の様に書かれていた。 |
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{{quotation| |
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:'''4th Grade''' |
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:'''Greendale School''' |
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:'''Franklin Park NJ 08852''' |
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}} |
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この宛先は架空の住所であり、[[ペンシルベニア州]]フランクリンという地名は存在したものの、 [[ZIPコード]] 「08852」は[[ニュージャージー州]]モンマス・ジャンクション近郊で、[[:en:South Brunswick Township, New Jersey|サウス・ブランスウィック・タウンシップ・ニュージャージー]]近辺および モンマス・ジャンクションにグリーンブック小学校はあったが、フランクリン・パークまたはモンマス・ジャンクションにグリーンデール小学校なるものは存在しなかった。 |
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この2通は[[プリンストン (ニュージャージー州)|プリンストン]]から投函された物であり<ref name="hatch">{{cite web|title=Anthrax: a Political Whodunit|url=http://www.abc.net.au/rn/talks/bbing/stories/s726834.htm|publisher=abc.net.au|accessdate=2008-03-30}}</ref>、[[2002年]]捜査官は[[プリンストン大学]]キャンパスの近くの10ナッソー通りに位置する通りのポスト内に炭疽菌の芽胞を見つけている。消印が押された管内のポスト600箇所を検査し唯一陽性反応が出た場所であった。 |
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== 推移 == |
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捜査が長期化するに辺り、米のあるメディアは複数の可能性からある[[被疑者|容疑者]]に焦点を当てていたが、[[連邦捜査局|FBI]]は[[2005年]][[4月4日]]以降になり初めて犯人の可能性が高かった当事、[[メリーランド州]][[フレデリック (メリーランド州)|フレデリック]]市のフォート・デトリックにある[[:en:United States Army Medical Research Institute of Infectious Diseases|アメリカ陸軍感染症医学研究所]](USAMRIID)に18年勤務していた科学者である[[:en:Bruce Edwards Ivins|ブルース・エドワード・イビンズ]]に対して焦点を当てたことが報告資料から判明している他、同研究所の他の3名を捜査対象としている。<ref name="kyodo">{{cite web|url=http://www.47news.jp/CN/200803/CN2008032901000214.html |title=米炭疽菌事件で容疑者特定 陸軍研究所科学者らと報道 |publisher=共同通信 |date=2008-03-29 |accessdate=2011-04-11 }}</ref> |
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なおイビンズは米炭疽菌研究の第一人者として事件発覚後、捜査機関に対し捜査協力を行っている。 |
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[[2008年]][[8月6日]]、FBIはイビンズの単独犯行であると宣言した。<ref>{{cite news|title=U.S. officials declare researcher is anthrax killer|url=http://www.cnn.com/2008/CRIME/08/06/anthrax.case/index.html?eref=rss_topstories |publisher=''[[CNN]]''|accessdate=2008-08-07 | date=August 6, 2008}}</ref>2日後に[[:en:Chuck Grassley|チャック・グラスレー]]上院議員と、[[:en:Rush D. Holt, Jr.|ラッシュ・D・ホルト・ジュニア]]下院議員は[[アメリカ合衆国司法省|司法省]]とFBIに対し[[ヒアリング]]を行う為の[[公聴会]]開催を要求している。<ref>{{cite news|title=Anthrax investigation should be investigated, congressmen say|url=http://www.latimes.com/news/nationworld/world/middleeast/la-na-anthrax8-2008aug08,0,2258246.story|publisher=''[[Associated Press]]''|accessdate=2008-08-08 | first=Josh | last=Meyer | date=August 8, 2008}}</ref><ref>{{cite book|last=Cole|first=Leonard A.|title=The Anthrax Letters: A Bioterrorism Expert Investigates the Attacks That Shocked America--Case Closed?|publisher=SkyhorsePublishing|year=2009|isbn-13=978-1-60239-715-6|url=http://leonardcole.com}}</ref>[[2009年]][[9月15日]]、米司法省は7ヶ月前にチャック・グラスレー上院議員の質問に書面での回答を終えていると発表した。FBI長官である[[:en:Robert Mueller|ロバート・ミューラー]]は「本事件については進行中の民事および刑事訴訟があり、今回のFBIの『調査活動』はそれら訴訟に悪影響を及ぼすかもしれない」と記述した。 |
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FBIはイビンズに告発が差し迫っていることを話しおり、[[2008年]][[8月1日]]イビンズは、[[アセトアミノフェン]]の大量服用により自殺している。<ref>{{citeweb|title=Anthrax scientist commits suicide as FBI closes in|url=http://ap.google.com/article/ALeqM5gH1fcT1QrjvwIaAZTO63_lxHs9EQD929A37O0|publisher=''[[Associated Press]]''|accessdate=2008-08-01}}</ref><ref>{{citeweb|title=Apparent suicide in anthrax case|url=http://www.latimes.com/news/nationworld/nation/la-na-anthrax1-2008aug01,0,2864223.story|publisher=''[[LA Times]]''|accessdate=2008-08-01}}</ref> |
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[[2010年]][[2月19日]]、米司法省はイビンズの単独犯行であると結論付けた調査報告書を作成し、公式にこの件の調査終了を宣言した。<ref name=NYT20100219>{{cite news |url=http://www.nytimes.com/2010/02/20/us/20anthrax.html |title=F.B.I., Laying Out Evidence, Closes Anthrax Letters Case |work=New York Times |author=Scott Shane |date=2010-02-19|accessdate=2010-02-19}}</ref>報告書には事件で使用された炭疽菌は分析の結果、イビンズが培養していた炭疽菌の胞子に[[遺伝子]]的な類似点が見出せる事、事件直前に研究室に長時間滞在していた事などの状況証拠などから犯人と断定している。また、以前から[[うつ病|抑うつ]]状態であり精神的問題を抱えていたことが犯行動機であるとしている。<ref name="kyodo2">{{cite web|url=http://www.47news.jp/CN/201002/CN2010022001000247.html |title=炭疽菌事件犯人は自殺した研究者 単独犯行、捜査終結 |publisher=共同通信 |date=2010-02-20 |accessdate=2011-04-11 }}</ref><ref name="cnn">{{cite web|url=http://www.cnn.co.jp/usa/30001823.html |title=米科学アカデミー、炭疽菌の出所は特定できず |publisher=CNN |date=2011-02-16 |accessdate=2011-04-11 }}</ref>FBIの事情聴取を受けている兄弟であるトーマス・イビンズは「彼は自分を全能だと思っていた」。政府の圧力に苦しんでおり、自殺しても不思議は無いと語っている。<ref name="afp">{{cite web|url=http://www.afpbb.com/article/disaster-accidents-crime/crime/2425251/3178558 |title=米研究者が自殺、炭疽菌事件の関与疑惑を苦にしてか |publisher=AFP |date=2008-08-01 |accessdate=2011-04-11 }}</ref> |
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しかし、封筒の投函行為に関しては証明がなされておらず、[[2011年]]2月に発行された[[米国科学アカデミー]]の報告書には、科学的手法を用いて独自に調査した結果、イビンズの犯行と断定した米司法省の報告書には疑問が残ることが記されている。封筒に同封された炭疽菌の種類が「米国産」を意味するエームズ菌株系統<ref>http://www.asyura2.com/sora/war3/msg/878.html</ref>であった事が正確であることは証明できたが、それはイビンズが研究室で培養していた炭疽菌であると結論付けたFBIの主張は科学的な証拠としては不十分であったことが同時に証明された。この米国科学アカデミーの調査報告にに対しFBIが会見し、事件はこの細菌の特定作業だけでなく、状況証拠など複合的要素を考慮した結果「イビンズの単独犯行である」と結論付けたと述べている。<ref>{{cite news|publisher=Agence Frace Press|last=Sheridan|first=Kerry|title=Science review casts doubt on 2001 anthrax case|date=February 15, 2011|url=http://www.google.com/hostednews/afp/article/ALeqM5gjraOyEv8MF0vHKB_E84JOBP93SQ?docId=CNG.68fd3cfd2282503c7edd2edbea786e20.341|accessdate=February 15, 2011}}</ref> |
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== 捜査 == |
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[[File:Anthraxreward.jpg|thumb|200px|[[懸賞金]]が掛けられた情報提供を呼びかけるポスター]] |
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捜査は6つの州に及び、67箇所の調査を実施し事情聴取を行った人数は延べ9000人以上であり、この内6000人に召喚状が発行された。捜査開始時に数百人規模でのFBI捜査官が動員され、同時多発テロ容疑者である[[アルカーイダ]]の犯行であるかどうかの最終的判断を早期に下すことに苦労している。<ref>http://www.chron.com/disp/story.mpl/nation/4191256.html</ref> [[2006年]]9月時点でなお証拠回収作業のため、FBI特別捜査官である[[:en:C. Frank Figliuzzi|フランク・フィグルッツィー]]を含む17名の捜査官と10名の郵便査察官が奔走していた。<ref>{{cite web|title=Amerithrax Fact Sheet—September 2006|url=http://www.fbi.gov/anthrax/amerithrax_factsheet.htm|publisher=''[[FBI]]''|accessdate=2008-05-21}} {{Dead link|date=October 2010|bot=H3llBot}}</ref> |
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==== 炭疽菌標本の破壊 ==== |
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FBIと[[アメリカ疾病予防管理センター|疾病予防管理センター]]によって回収された炭疽菌胞子は調査のため、見本となる百以上の炭疽菌胞子標本を70年間に渡り収集していた[[アイオワ州立大学]]にある炭疽菌[[アーカイブ]]をあたるが、同大学に於いて一部破壊されてしまっており、調査に支障をきたしている。多くの科学者がこの胞子標本の破壊行為は決定的な証拠隠滅であり、攻撃に使用された[[種菌|菌株]]と標本の菌株の間に遺伝的一致が見出せないことは、決定的証拠を隠滅するのは有効であるとの情報を犯罪者に提供してしまっている様なものだと危惧する声があり<ref name="ReferenceB">New York Times, 2001 October 9, "A Nation Challenged: The Inquiry; Experts See F.B.I. Missteps Hampering Anthrax Inquiry," http://www.nytimes.com/2001/11/09/us/nation-challenged-inquiry-experts-see-fbi-missteps-hampering-anthrax-inquiry.html?pagewanted=all</ref>、FBIと疾病予防管理センター両局は[[2001年]][[10月10日]]と11日に同大学の標本破壊の許可を得て全て破棄している。<ref name="ReferenceB"/> |
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==== アルカーイダへの濡れ衣とイラク攻撃 ==== |
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攻撃の直後、[[ホワイトハウス]]は繰り返し「アルカーイダによる同時多発テロの第2波攻撃である」との証明をするためにFBI長官であるロバートミュラーに対し圧力をかけており、[[大統領|アメリカ合衆国大統領]]立会いの朝の緊急情報会議でミューラーはこの使用された炭疽菌が[[ウサーマ・ビン=ラーディン]]側近らにより製造された物であるとの証拠が出せなかったために殴られている。退職した元FBI上級捜査官の一人は「彼らは実際に中東の誰かのせいにしたかった」と語っている。FBIは捜査初期段階でこの炭疽菌は高度な知識と設備が必要な環境下でしか培養できない物であり、テロリストが篭っているであろう洞窟などの環境下では到底生産できる物では無いと理解していた。同時期に大統領である[[ジョージ・W・ブッシュ]]と[[アメリカ合衆国副大統領|副大統領]]の[[ディック・チェイニー]]はアルカーイダとの関係性に関しての推測を行っていた事が公式声明から判明している。<ref>New York Daily News, August 2, 2008 "FBI was told to blame Anthrax scare on Al Qaeda by White House officials" http://www.nydailynews.com/news/us_world/2008/08/02/2008-08-02_fbi_was_told_to_blame_anthrax_scare_on_a.html</ref>また、[[イギリス]]の[[ガーディアン]]紙は10月前半にアメリカ人の科学者が炭疽菌の原因として[[イラク]]を巻き込んでいると報じ、<ref name=guar>"[http://www.guardian.co.uk/world/2001/oct/14/terrorism.afghanistan6 Iraq 'behind US anthrax outbreaks']", David Rose and Ed Vulliamy, [[The Guardian]], October 14, 2001</ref>この翌日には[[ウォールストリートジャーナル]]紙が[[社説]]で「この炭疽菌はイラクで生産された菌をアルカーイダが郵送したものである」と報じた。<ref name=tp>[http://thinkprogress.org/2008/08/01/mccain-anthrax-iraq/ One Month After 9/11, McCain Said Anthrax ‘May Have Come From Iraq,’ Warned Iraq Is ‘The Second Phase’]", [[thinkprogress.org]], August 1, 2008</ref>数日後には[[レイト・ショー・ウィズ・デイヴィッド・レターマン|デイヴィッド・レターマン・ショー]]に出演した[[ジョン・マケイン]]がこの炭疽菌がイラクから齎された物である可能性を示唆し、<ref name=tp>[http://thinkprogress.org/2008/08/01/mccain-anthrax-iraq/ One Month After 9/11, McCain Said Anthrax ‘May Have Come From Iraq,’ Warned Iraq Is ‘The Second Phase’]", [[thinkprogress.org]], August 1, 2008</ref>更にその翌週にはABCニュースが炭疽菌に幾つかのイラク土壌の[[鉱物]]を含んでいたと報じている。<ref name=abc1>"[http://www.anthraxinvestigation.com/abc.html Troubling Anthrax Additive Found] ", Brian Ross, Christopher Isham, Chris Vlasto and Gary Matsumoto, [[ABC.com]], October 26, 2001</ref><ref name=abc2>"[http://tvnews.vanderbilt.edu/program.pl?ID=716233 Anthrax Investigation / Bentonite / Cases]", ''Vanderbilt Television News Archive'', October 28, 2001. Accessed 2009-05-30. [http://www.webcitation.org/5hDNOVzRA Archived] 2009-06-01.</ref><ref name=abc3>"[http://www.salon.com/opinion/greenwald/2007/04/11/abc_response/ Response from ABC News re: the Saddam-anthrax reports]", [[Glenn Greenwald]], [[Salon.com]], April 11, 2007</ref> |
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このABCの報道に対し[[ホワイトハウス報道官]]が直ちにコメントし、この攻撃に使用された炭疽菌からは鉱物は一切発見されておらず、その可能性にすら言及していないと発表した。<ref name="washingtontimes.com">http://www.washingtontimes.com/news/2001/oct/29/20011029-030543-6024r/</ref><ref name="web.archive.org">http://web.archive.org/web/20050310113607/http://usinfo.org/USIA/usinfo.state.gov/topical/pol/terror/01102911.htm</ref><ref>{{cite news| url=http://www.cbsnews.com/stories/2008/08/02/politics/animal/main4316968.shtml | work=CBS News | title=Bentonite | date=August 2, 2008}}</ref> |
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イラクからは大量破壊兵器は発見されす、当初からでっちあげであることが結果判明したが、イラク侵攻後も数人のジャーナリストがこの鉱物が含まれていたレポートをイラク並びにアルカーイダによるテロ攻撃だとする確固たる根拠として利用した。 |
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== 事件後の対応 == |
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==== 汚染除去 ==== |
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この炭疽菌封筒の影響でかなりの数のビルが汚染され、アメリカン・メディア社は他のビルへと転居している。ブレントウッド郵便局舎の汚染除去作業には26ヶ月の月日と、1億3000万ドルのコストがかかり、ハミルトンのニュージャージー郵便局舎<ref>The Hamilton sectional center facility (SCF) is located near Trenton and processes mail to and from the 085 and 086 ZIP-code areas. See [[ZIP code prefixes]].</ref>は[[2005年]]3月まで閉鎖され、除去作業には6500万ドルの費用がかかっている。[[アメリカ合衆国環境保護庁|環境保護庁]]は、ワシントンDCの政府建物の清掃に4170万ドルを費やし、あるFBI報告書には、総損害額は10億ドルを超えるであろうと記載されている。<ref>{{cite news|title=Little Progress In FBI Probe of Anthrax Attacks|url=http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2005/09/15/AR2005091502456_pf.html|publisher=''[[The Washington Post]]''|accessdate=2008-04-08 | first=Allan | last=Lengel}}</ref> |
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除去作業はニューヨークを拠点に持つ民間会社に委託され、主な除去方法は[[二酸化塩素]]ガスを用いた[[燻蒸]]消毒方が用いられている。 |
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==== 政治への影響や対応 ==== |
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同時多発テロの一週間後に起きたこの炭疽菌攻撃によって、生物兵器への調査や対応などへのため、政府出資額は更に拍車をかける事となった。一例として、[[アメリカ国立衛生研究所|国立アレルギー・感染症研究所]](NIAID)生物兵器関連の予算は[[2003年]]に15億ドル増加し、[[2004年]]にはプロジェクト・バイオシールド条例が議会を通過し制定された。この条例は10年間新しい[[ワクチン]]と対応薬を購入し備えるもので、56億ドルの出費が予想されている。<ref>{{cite web|title=President Bush Signs Project Bioshield Act of 2004 |url=http://georgewbush-whitehouse.archives.gov/news/releases/2004/07/20040721-2.html|publisher=whitehouse.gov|accessdate=2008-04-07}}</ref> |
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一般論として「兵器化の域に達していた細菌」であるという証拠とその他の報告書の結果、[[イラク戦争]]([[大量破壊兵器]]保有疑惑)へ繋がったと考えられている。<ref>{{cite news|title=Building the case against Iraq|url=http://www.telegraph.co.uk/news/main.jhtml?xml=%2Fnews%2F2001%2F10%2F26%2Fwirq26.xml|publisher=''[[The Daily Telegraph]]''|accessdate=2008-04-07 | location=London}}</ref> |
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この一連のテロ攻撃により[[対テロ戦争]]へ向けた法整備や、[[米国愛国者法]]成立に向けた圧力が高まり、本格的な検討が開始されている。<ref>{{cite news| url=http://www.washingtonpost.com/ac2/wp-dyn?pagename=article&node=&contentId=A2521-2001Oct3 | work=The Washington Post | title=Start of rightcontent.inc | first=John | last=Lancaster | date=October 4, 2001}}</ref><ref>http://www.fas.org/sgp/congress/2001/s102501.html</ref> |
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==== 健康被害 ==== |
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数人の炭疽菌被害者がその後、疲労、息切れ、及び記憶喪失など健康上の問題が起きていると報告されているが、原因に付いては不明としている。<ref>[http://www.ph.ucla.edu/epi/bioter/anthraxsurvivors.html "Anthrax survivors find life a struggle"], ''[[The Baltimore Sun]]'', September 18, 2003</ref> |
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[[2004年]]の研究では、[[2001年]]の炭疽菌攻撃での被害者の総数が68人まで上昇するであろうと報告されている。<ref>[http://www.jaoa.org/cgi/content/full/104/11/452 What is the True Number of Victims of the Postal Anthrax Attack of 2001?] by [[Tyler Cymet|T. C. Cymet]] and G. J. Kerkvliet, published in ''Journal of the American Osteopathic Association - Vol 104, No 11 - Nov 2004''</ref> |
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[[2001年]][[10月19日]]、ブレントウッド郵便局において炭疽菌汚染防止フィルタを取り外した郵政査察官が、その後、障害が残る程の病気を発症している。この郵政検察官の担当医師は炭疽菌が原因であると主張したが、血液検査の結果からは炭疽菌が発見されず、疾病予防管理センターはこの事件とは何ら関係性は無いとしている。<ref>{{cite news|title=After a Shower of Anthrax, an Illness and a Mystery|url=http://www.nytimes.com/2005/06/07/health/07anth.html?pagewanted=1|publisher=''[[The New York Times]]''|accessdate=2008-04-10 | first=Scott | last=Shane | date=June 7, 2005}}</ref> |
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ペンシルベニア州フランクリンという地名は存在したものの、 [[ZIPコード]] 08852はニュージャージー州[[モンマス・ジャンクション]]近郊で、[[South Brunswick Township, New Jersey]]近辺および モンマス・ジャンクションにグリーンブック小学校はあったが、フランクリン・パークまたはモンマス・ジャンクションにグリーンデール小学校なるものは存在しなかった。 |
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[[File:Anthraxchart.jpg|700px]] |
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== 脚注 == |
== 脚注 == |
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{{reflist}} |
{{reflist|2}} |
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==参考 == |
== 参考文献 == |
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* Bob Coen & Eric Nadler ''Dead Silence - Fear and Terror on the Anthrax Trail'' (Counterpoint Press, 2009) ISBN 1-58243-509-X |
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=== 書籍=== |
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* |
* Leonard A. Cole ''The Anthrax Letters, A Medical Detective Story'' (Joseph Henry Press, 2003) ISBN 0-309-08881-X [http://www.nap.edu/books/030908881X/html] |
||
* Leonard A. Cole ''The Anthrax Letters, A Bioterrorism Expert Investigates the Attacks That Shocked America—Case Closed?'' (Skyhorse Publishing, 2009) ISBN 1-60239-715-5 [http://www.nap.edu/books/030908881X/html] |
|||
* [[Kenneth J. Dillon]], ''Intriguing Anomalies: An Introduction to Scientific Detective Work'' (Scientia Press, 2008) ISBN 0-9642976-8-X [http://www.scientiapress.com] |
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* |
* Kenneth J. Dillon ''Intriguing Anomalies: An Introduction to Scientific Detective Work'' (Scientia Press, 2008) ISBN 0-9642976-8-X |
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* |
* Robert Graysmith ''AMERITHRAX: The Hunt for the Anthrax Killer'' (Berkley Books,2003) ISBN 0-425-19190-7 |
||
* Ed Lake ''Analyzing The Anthrax Attacks - The First 3 Years'' (Ed Lake, 2005) ISBN 0-9766163-0-0 |
|||
* [[Philipp Sarasin]], ''Anthrax: Bioterror as Fact and Fantasy'' (Harvard University Press 2006) ISBN 0674023463 [http://www.hup.harvard.edu/catalog/SARANT.html] |
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* Philipp Sarasin ''Anthrax: Bioterror as Fact and Fantasy'' (Harvard University Press 2006) ISBN 0-674-02346-3 [http://www.hup.harvard.edu/catalog/SARANT.html] |
|||
* [[Marilyn W. Thompson]], ''The Killer Strain, Anthrax and a Government Exposed'' (HarperCollins,2003) ISBN 0-06-052278-X |
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* Marilyn W. Thompson ''The Killer Strain, Anthrax and a Government Exposed'' (HarperCollins,2003) ISBN 0-06-052278-X |
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== 関連項目 == |
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{{Commonscat|2001 anthrax attacks}} |
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* [http://www.anthraxinvestigation.com/ The Anthrax Attacks by Ed Lake] |
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* [[:en:Timeline of the 2001 anthrax attacks|炭疽菌事件経過]](英語版ウィキペディア) |
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* [[テロリズム]] |
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* [[CBRNE]] |
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* [[アンスラックス]] |
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== 外部リンク == |
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===== 連邦捜査局 ===== |
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* [http://www.fbi.gov/anthrax/amerithraxlinks.htm FBI公式ページ 「Amerithrax事件」] |
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** [http://www.fbi.gov/pressrel/pressrel01/102301.htm Photos of Anthrax Letters to NBC, Senator Daschle and NY Post] |
|||
** [http://www.fbi.gov/anthrax/amerithrax.htm Linguistic/Behavorial Analysis of Anthrax Letters] |
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===== 米国科学アカデミー ===== |
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* [http://www.tvworldwide.com/events/nationalacadamies/110215/default.cfm?id=13230&type=flv&test=0&live=0 Public Briefing of National Research Council Review of Science in FBI's Anthrax Case, February 15, 2011] |
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===== その他 ===== |
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* [http://www.ph.ucla.edu/epi/bioter/detect/antdetect_intro.html UCLA Department of Epidemiology] |
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* [http://www.ndu.edu/centercounter/ANTHRAX%20CHRONOLOGY.pdf Anthrax in America: A Chronology and Analysis of the Fall 2001 Attacks] - detailed timeline |
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* [http://www.fas.org/bwc/news/anthraxreport.htm Analysis of the Anthrax Attacks by Barbara Hatch Rosenberg] |
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* [http://www.computerbytesman.com/anthrax/index.htm Articles by Richard M. Smith] |
* [http://www.computerbytesman.com/anthrax/index.htm Articles by Richard M. Smith] |
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** [http://www.computerbytesman.com/anthrax/princeton.htm The Princeton crime scene?] |
** [http://www.computerbytesman.com/anthrax/princeton.htm The Princeton crime scene?] |
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* [http://www.freefromterror.net Free From Terror.net – solving the crime is easy if you look at the timing of the attacks] |
* [http://www.freefromterror.net Free From Terror.net – solving the crime is easy if you look at the timing of the attacks] |
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* "The Message in the Anthrax" by [[Donald Foster (professor)|Donald Foster]] (''[[Vanity Fair magazine|Vanity Fair]]'', October 2003) [http://www.ph.ucla.edu/epi/bioter/messageanthrax.html] |
* "The Message in the Anthrax" by [[Donald Foster (professor)|Donald Foster]] (''[[Vanity Fair magazine|Vanity Fair]]'', October 2003) [http://www.ph.ucla.edu/epi/bioter/messageanthrax.html] |
||
* {{cite journal| title=Anthrax Powder — State of the Art?| journal=[[Science (journal)|Science]]| month=November 28| year=2003| first=Gary| last=Matsumoto| url=http://www.sciencemag.org/cgi/content/full/302/5650/1492| doi=10.1126/science.302.5650.1492| pmid=14645823| volume=302| pages=1492}} |
* {{cite journal| title=Anthrax Powder — State of the Art?| journal=[[Science (journal)|Science]]| month=November 28| year=2003| first=Gary| last=Matsumoto| url=http://www.sciencemag.org/cgi/content/full/302/5650/1492| doi=10.1126/science.302.5650.1492| pmid=14645823| volume=302| pages=1492| issue=5650}} |
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* [http://www.monitor.net/monitor/0208a/anthrax.html The Anthrax Letters, Five Deaths, Five Grams, Five Clues by Paul de Armond] |
* [http://www.monitor.net/monitor/0208a/anthrax.html The Anthrax Letters, Five Deaths, Five Grams, Five Clues by Paul de Armond] |
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* [http://anthrax2001.blogspot.com "Anthrax2001" weblog] |
* [http://anthrax2001.blogspot.com "Anthrax2001" weblog] |
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* [http://www.anthraxandalqaeda.com Al Qaeda, Anthrax and Ayman Zawahiri by Ross E. Getman] |
* [http://www.anthraxandalqaeda.com Al Qaeda, Anthrax and Ayman Zawahiri by Ross E. Getman] |
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* [http://www.scientiapress.com/findings/mailer.htm "Was Abderraouf Jdey the Anthrax Mailer?" by Kenneth J. Dillon] |
* [http://www.scientiapress.com/findings/mailer.htm "Was Abderraouf Jdey the Anthrax Mailer?" by Kenneth J. Dillon] |
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* [http:/ |
* [http://www.anthraxinvestigation.com/ The Anthrax Attacks by Ed Lake] |
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* [http://www.anthraxattacks.net/ "The Anthrax Mystery: Solved" by Robert Pate] |
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* [http://www.theatlantic.com/magazine/archive/2010/04/the-wrong-man/8019/ "The Wrong Man" by David Freed, The Atlantic, May 2010] |
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=== リソース === |
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* [http://news.findlaw.com/hdocs/docs/hatfill/hatfillash82603cmp.pdf Hatfill v. Ashcroft] – lawsuit filing |
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* [http://www.anthraxinvestigation.com/page-one.html#references The Anthrax Investigation (Ed Lake)] |
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* [http://www. |
* [http://www.angelfire.com/fang/anthrax/050207_--_Opening_Brief.pdf Appeal filed December 15, 2004] |
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* [http://www.fbi.gov/anthrax/amerithraxlinks.htm FBI's official 'Amerithrax' page] |
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** [http://www.fbi.gov/pressrel/pressrel01/102301.htm Photos of Anthrax Letters to NBC, Senator Daschle and NY Post] |
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** [http://www.fbi.gov/anthrax/amerithrax.htm Linguistic/Behavorial Analysis of Anthrax Letters] |
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* [http://www.anthraxinvestigation.com/canadiananthraxstudysep01.pdf Risk Assessment of Anthrax Threat Letters] – Canadian study dated September 2001 |
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* [http://www.ndu.edu/centercounter/ANTHRAX%20CHRONOLOGY.pdf Anthrax in America: A Chronology and Analysis of the Fall 2001 Attacks] - detailed timeline |
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* [http://news.findlaw.com/hdocs/docs/hatfill/hatfillash82603cmp.pdf Hatfill v. Ashcroft] – lawsuit filing |
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* [http://www.anthraxinvestigation.com/Hatfill-v-Foster.html Hatfill v. Foster] |
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* [http://www.anthraxinvestigation.com/Hatfill-v-Kristof.html Hatfill v. New York Times] |
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** [http://www.anthraxinvestigation.com/Hatfill24.pdf Case dismissed (November 24, 2004)] |
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*** [http://www.angelfire.com/fang/anthrax/050207_--_Opening_Brief.pdf Appeal filed December 15, 2004] |
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**** [http://www.anthraxinvestigation.com/NYT-reversal.pdf Appeals Court ruling July 28, 2005 (reinstating case)] |
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* [http://www.anthraxinvestigation.com/Stevens.pdf Stevens v. United States] – lawsuit filing |
* [http://www.anthraxinvestigation.com/Stevens.pdf Stevens v. United States] – lawsuit filing |
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* Zarcadoolas, C., Pleasant, A., Greer, D. (2005) Understanding health literacy: An expanded model. Health Promotion International, 20, 195-203. |
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=== 記事 === |
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* [http://www.mercurynews.com/mld/mercurynews/news/politics/15219372.htm?template=contentModules/printstory.jsp The person who mailed anthrax spores in 2001 remains at large] By Greg Gordon, August 7, 2006. |
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* [http://www.cbsnews.com/stories/2006/09/18/eveningnews/main2019769.shtml Anthrax Investigation A 'Cold Case?'] The CBS Evening News, September 18, 2006. |
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* [http://pqasb.pqarchiver.com/courant/access/1133575331.html?dids=1133575331:1133575331&FMT=ABS&FMTS=ABS:FT&type=current&date=Sep+22%2C+2006&author=DAVE+ALTIMARI%3BCourant+Staff+Writer&pub=Hartford+Courant&edition=&startpage=A.1&desc=NEW+ANTHRAX+THEORY+OFFERED+%3B+FBI+SCIENTIST+SAYS+LITTLE+EXPERTISE+NEEDED New Anthrax Theory Offered - FBI Scientist Says Little Expertise Needed] by Dave Altimari, [[The Hartford Courant]], September 22, 2006. |
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* [http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2006/09/24/AR2006092401014_pf.html FBI Is Casting A Wider Net in Anthrax Attacks] Washington Post, September 25, 2006. |
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*[http://www.theregister.co.uk/2006/09/29/fbi_anthrax_attacks/print.html Low-tech anthrax still deadly? FBI research widens suspect list] by George Smith, [[The Register]], September 29, 2006. |
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*[http://www.seedmagazine.com/news/2006/10/some_lessons_learned_from_the.php Some Lessons Learned from the Anthrax Attacks] by [[Michael Stebbins]], [[Seed Magazine]], October 2, 2006. |
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*[http://www.nj.com/printer/printer.ssf?/base/news-9/116036977835730.xml&coll=1 Questions on anthrax swirl anew for the FBI] by Kevin Coughlin, [[The Star-Ledger]] October 9, 2006. |
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*[http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2006/10/13/AR2006101301417_pf.html The Unsolved Case Of Anthrax] by Tom Daschle, [[Washington Post]], October 15, 2006. |
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*[http://www.metimes.com/storyview.php?StoryID=20061211-033912-3373r Anthrax attack on US Congress made by scientists and covered up by FBI, expert says] by Sherwood Ross, [[Middle East Times]], December 11, 2006. |
|||
*[http://www.huliq.com:80/4798/anthrax-attack-posed-greater-potential-threat-than-thought Anthrax attack posed greater potential threat than thought] January 5, 2007. |
|||
*[http://www.foxnews.com/wires/2008Aug07/0,4670,AnthraxTimeline,00.html foxnews.com, Key events in the anthrax episode, By The Associated Press] August 7, 2008 |
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[[Category:2001年]] |
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[[Category:アメリカ合衆国のテロ事件]] |
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[[Category:生物災害]] |
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[[bg:Атаки с антракс от 2001 г.]] |
[[bg:Атаки с антракс от 2001 г.]] |
2011年4月21日 (木) 12:38時点における版
アメリカ炭疽菌事件 2001 anthrax attacks | |
---|---|
NBCニュースに送りつけられた封筒(第一波) | |
場所 |
アメリカ合衆国 ニューヨーク州 ニューヨーク フロリダ州 ボカラトン ワシントンD.C. |
日付 | 2001年9月18日、10月9日[1] |
標的 | アメリカン・メディア、NBCニュース、ABCニュース、CBSニュース、ニューヨーク・ポスト、トム・ダシュル、パトリック・リーヒ |
攻撃手段 | 化学テロ |
兵器 | 炭疽菌 |
死亡者 | 5人 |
負傷者 | 17人 |
犯人 | ブルース・エドワード・イビンズ |
アメリカ炭疽菌事件(英: 2001 anthrax attacks FBIファイル名:Amerithrax)は、2001年9月18日(10月9日[1])、からニューヨーク、フロリダ州ボカラトン、ワシントンDCで炭疽菌を封入した容器を同封した封筒を用い、大手テレビ局や出版社、上院議員などを標的としたバイオテロ事件であり、その期間は数週に及んだ。この炭疽菌の感染により5名が肺炭疽を発症し死亡、[2]17名が負傷した。
同時多発テロ事件の7日後に発生したこの事件はアメリカ全土を震撼させ、事件の捜査は”アメリカの司法史上最も大規模かつ複雑”であった。[3]
標的
内訳はテレビ局3社と出版社2社、及び民主党上院議員2名である。
- アメリカン・メディア社(ナショナル・エンクゥワイヤー誌)
- NBCニュース
- ABCニュース
- CBSニュース
- ニューヨーク・ポスト(出版社)
- トム・ダシュル(上院議員)
- パトリック・リーヒ(上院議員)
事件概要
この炭疽菌テロ攻撃は2波に分かれて行われており、第一波は2001年9月18日付けの消印が押されたトレントン局管内のポストから投函された物であった。[4]この消印が押された同5通が使用され、この内4通はその後ニューヨーク、モルガン局を経由しニューヨークを本社とするテレビ局、NBCニュース、ABCニュース、CBSニュースと出版社であるニューヨーク・ポストへと配達された。残りの一通はフロリダ州ウエストパーム局を経由し、同州ボカラトンを本社とするアメリカン・メディア社(ナショナル・エンクゥワイヤー誌宛)へと送付されている。このアメリカン・メディア社に届けられた封筒により同社従業員であり、スーパーマーケットタブロイド紙「サン[5]」の写真編集員であるロバート・スティーブンスが2001年10月6日に死亡し最初の犠牲となった。スティーブンスはフロリダ病院へ訪れた4日後に原因不明の嘔吐と息切れを起こし倒れ、その後死亡している。[6]
ニューヨークポストとNBCニュースに送りつけられた封筒は発見され[7]その他の3通は開封者が炭疽菌 に感染した事で同一の郵便物である可能性が発覚した。解析作業にあたった科学者はニューヨークポストに送付された封筒から発見された炭疽菌はドッグフードの様な粗い茶色の粒状材料であった事が報告されている。[8]
第二波は第一波の3週間後、10月9日付けの同じくトレントンの消印が押された物であった。宛先はサウスダコタ州、民主党上院議員トム・ダシュルとバーモント州、パトリック・リーヒ同上院議員宛となっており、当時ダシュルは上院多数党院内総務、リーヒは上院司法委員会委員長であった。ダシュル宛ての封筒は10月15日側近により開封されたことにより、その後の政府向けの郵便サービスは直ちに中止の措置が取られた。リーヒ宛ての封筒は開封されておらず、11月16日に封筒が混入しているメールバックが発見され、バックごと押収されている。リーヒ宛ての封筒はZIPコードが間違えて書かれていた為、そのZIPコードが示すバージニア州、スターリングにある「別館」に配達されており、配達した郵便局員であるデビッド・ホースが炭疽菌を吸入している。
第一波の攻撃は非常に効果的であった。また、上院議員宛の封筒には、高度に洗練されたシリカ状のほぼ純粋な炭疽菌胞子約1グラムが封入されていた。この結果から使用された炭疽菌は「兵器化域」の細菌粉末であると初期の報告がなされていおり、これは炭疽菌へ精通し、かつ、専門の研究施設などでなければ生産ができない域の物であることを意味し、アメリカ陸軍感染症医学研究所の科学者達はこの認識が欠如していたと考えられる。[9] しかし、2002年初頭に行われたサンディア国立研究所によるテストでは、この粉末は「兵器化」された域の物ではなかった事が報告されている[10][11]
少なくとも22名が感染症を発症し、このうち11名は生命に危険を及ぼす様な呼吸器症状はないとされた。5名が肺炭疽を発症し死亡。内訳は前述した出版社従業員であるロバート・スティーブンス、ワシントンD.C.にあるブレントウッド郵便局の従業員であるトーマス・モリス・ジュニア、ジョセフ・クルッセンの2名、感染源が特定できていないベトナム移民でありニューヨーク・ブロンクス区在住のキャシー・ニュグエンとコネチカット州オックスフォード在住のオッティリーラングレンの2名である。
その他、犯人特定まで長い年月が掛かったため、1978年から1995年まで調査が行われたユナボマー攻撃に例えられた。[12]
手紙
全ての手紙はコピー機でコピーされたものであり原文は見つかっていない。それぞれ僅かにサイズが違う用紙が用いられおり、メディアに送付された手紙には句読点が使用されていないが、上院議員宛ての手紙には使用されている。第一、第二波共に封筒には手書きでの宛先表示がされており、上院議員へ送られた物と比べ、メディアに送付された物の筆跡は2倍の大きさであった。
原文と邦訳
ニューヨーク・ポストとNBCニュースあてに送られてきた手紙(第一の手紙)の内容。
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この手紙の後にトム・ダシュルとパトリック・リーイの両上院議員あてに送られた手紙(第二の手紙)の内容。
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差出人
両上院議員に送付された封筒の差出人の住所表示は次の様に書かれていた。
- 4th Grade
- Greendale School
- Franklin Park NJ 08852
この宛先は架空の住所であり、ペンシルベニア州フランクリンという地名は存在したものの、 ZIPコード 「08852」はニュージャージー州モンマス・ジャンクション近郊で、サウス・ブランスウィック・タウンシップ・ニュージャージー近辺および モンマス・ジャンクションにグリーンブック小学校はあったが、フランクリン・パークまたはモンマス・ジャンクションにグリーンデール小学校なるものは存在しなかった。
この2通はプリンストンから投函された物であり[14]、2002年捜査官はプリンストン大学キャンパスの近くの10ナッソー通りに位置する通りのポスト内に炭疽菌の芽胞を見つけている。消印が押された管内のポスト600箇所を検査し唯一陽性反応が出た場所であった。
推移
捜査が長期化するに辺り、米のあるメディアは複数の可能性からある容疑者に焦点を当てていたが、FBIは2005年4月4日以降になり初めて犯人の可能性が高かった当事、メリーランド州フレデリック市のフォート・デトリックにあるアメリカ陸軍感染症医学研究所(USAMRIID)に18年勤務していた科学者であるブルース・エドワード・イビンズに対して焦点を当てたことが報告資料から判明している他、同研究所の他の3名を捜査対象としている。[2] なおイビンズは米炭疽菌研究の第一人者として事件発覚後、捜査機関に対し捜査協力を行っている。
2008年8月6日、FBIはイビンズの単独犯行であると宣言した。[15]2日後にチャック・グラスレー上院議員と、ラッシュ・D・ホルト・ジュニア下院議員は司法省とFBIに対しヒアリングを行う為の公聴会開催を要求している。[16][17]2009年9月15日、米司法省は7ヶ月前にチャック・グラスレー上院議員の質問に書面での回答を終えていると発表した。FBI長官であるロバート・ミューラーは「本事件については進行中の民事および刑事訴訟があり、今回のFBIの『調査活動』はそれら訴訟に悪影響を及ぼすかもしれない」と記述した。
FBIはイビンズに告発が差し迫っていることを話しおり、2008年8月1日イビンズは、アセトアミノフェンの大量服用により自殺している。[18][19]
2010年2月19日、米司法省はイビンズの単独犯行であると結論付けた調査報告書を作成し、公式にこの件の調査終了を宣言した。[20]報告書には事件で使用された炭疽菌は分析の結果、イビンズが培養していた炭疽菌の胞子に遺伝子的な類似点が見出せる事、事件直前に研究室に長時間滞在していた事などの状況証拠などから犯人と断定している。また、以前から抑うつ状態であり精神的問題を抱えていたことが犯行動機であるとしている。[21][22]FBIの事情聴取を受けている兄弟であるトーマス・イビンズは「彼は自分を全能だと思っていた」。政府の圧力に苦しんでおり、自殺しても不思議は無いと語っている。[23]
しかし、封筒の投函行為に関しては証明がなされておらず、2011年2月に発行された米国科学アカデミーの報告書には、科学的手法を用いて独自に調査した結果、イビンズの犯行と断定した米司法省の報告書には疑問が残ることが記されている。封筒に同封された炭疽菌の種類が「米国産」を意味するエームズ菌株系統[24]であった事が正確であることは証明できたが、それはイビンズが研究室で培養していた炭疽菌であると結論付けたFBIの主張は科学的な証拠としては不十分であったことが同時に証明された。この米国科学アカデミーの調査報告にに対しFBIが会見し、事件はこの細菌の特定作業だけでなく、状況証拠など複合的要素を考慮した結果「イビンズの単独犯行である」と結論付けたと述べている。[25]
捜査
捜査は6つの州に及び、67箇所の調査を実施し事情聴取を行った人数は延べ9000人以上であり、この内6000人に召喚状が発行された。捜査開始時に数百人規模でのFBI捜査官が動員され、同時多発テロ容疑者であるアルカーイダの犯行であるかどうかの最終的判断を早期に下すことに苦労している。[26] 2006年9月時点でなお証拠回収作業のため、FBI特別捜査官であるフランク・フィグルッツィーを含む17名の捜査官と10名の郵便査察官が奔走していた。[27]
炭疽菌標本の破壊
FBIと疾病予防管理センターによって回収された炭疽菌胞子は調査のため、見本となる百以上の炭疽菌胞子標本を70年間に渡り収集していたアイオワ州立大学にある炭疽菌アーカイブをあたるが、同大学に於いて一部破壊されてしまっており、調査に支障をきたしている。多くの科学者がこの胞子標本の破壊行為は決定的な証拠隠滅であり、攻撃に使用された菌株と標本の菌株の間に遺伝的一致が見出せないことは、決定的証拠を隠滅するのは有効であるとの情報を犯罪者に提供してしまっている様なものだと危惧する声があり[28]、FBIと疾病予防管理センター両局は2001年10月10日と11日に同大学の標本破壊の許可を得て全て破棄している。[28]
アルカーイダへの濡れ衣とイラク攻撃
攻撃の直後、ホワイトハウスは繰り返し「アルカーイダによる同時多発テロの第2波攻撃である」との証明をするためにFBI長官であるロバートミュラーに対し圧力をかけており、アメリカ合衆国大統領立会いの朝の緊急情報会議でミューラーはこの使用された炭疽菌がウサーマ・ビン=ラーディン側近らにより製造された物であるとの証拠が出せなかったために殴られている。退職した元FBI上級捜査官の一人は「彼らは実際に中東の誰かのせいにしたかった」と語っている。FBIは捜査初期段階でこの炭疽菌は高度な知識と設備が必要な環境下でしか培養できない物であり、テロリストが篭っているであろう洞窟などの環境下では到底生産できる物では無いと理解していた。同時期に大統領であるジョージ・W・ブッシュと副大統領のディック・チェイニーはアルカーイダとの関係性に関しての推測を行っていた事が公式声明から判明している。[29]また、イギリスのガーディアン紙は10月前半にアメリカ人の科学者が炭疽菌の原因としてイラクを巻き込んでいると報じ、[30]この翌日にはウォールストリートジャーナル紙が社説で「この炭疽菌はイラクで生産された菌をアルカーイダが郵送したものである」と報じた。[31]数日後にはデイヴィッド・レターマン・ショーに出演したジョン・マケインがこの炭疽菌がイラクから齎された物である可能性を示唆し、[31]更にその翌週にはABCニュースが炭疽菌に幾つかのイラク土壌の鉱物を含んでいたと報じている。[32][33][34]
このABCの報道に対しホワイトハウス報道官が直ちにコメントし、この攻撃に使用された炭疽菌からは鉱物は一切発見されておらず、その可能性にすら言及していないと発表した。[35][36][37]
イラクからは大量破壊兵器は発見されす、当初からでっちあげであることが結果判明したが、イラク侵攻後も数人のジャーナリストがこの鉱物が含まれていたレポートをイラク並びにアルカーイダによるテロ攻撃だとする確固たる根拠として利用した。
事件後の対応
汚染除去
この炭疽菌封筒の影響でかなりの数のビルが汚染され、アメリカン・メディア社は他のビルへと転居している。ブレントウッド郵便局舎の汚染除去作業には26ヶ月の月日と、1億3000万ドルのコストがかかり、ハミルトンのニュージャージー郵便局舎[38]は2005年3月まで閉鎖され、除去作業には6500万ドルの費用がかかっている。環境保護庁は、ワシントンDCの政府建物の清掃に4170万ドルを費やし、あるFBI報告書には、総損害額は10億ドルを超えるであろうと記載されている。[39]
除去作業はニューヨークを拠点に持つ民間会社に委託され、主な除去方法は二酸化塩素ガスを用いた燻蒸消毒方が用いられている。
政治への影響や対応
同時多発テロの一週間後に起きたこの炭疽菌攻撃によって、生物兵器への調査や対応などへのため、政府出資額は更に拍車をかける事となった。一例として、国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)生物兵器関連の予算は2003年に15億ドル増加し、2004年にはプロジェクト・バイオシールド条例が議会を通過し制定された。この条例は10年間新しいワクチンと対応薬を購入し備えるもので、56億ドルの出費が予想されている。[40]
一般論として「兵器化の域に達していた細菌」であるという証拠とその他の報告書の結果、イラク戦争(大量破壊兵器保有疑惑)へ繋がったと考えられている。[41] この一連のテロ攻撃により対テロ戦争へ向けた法整備や、米国愛国者法成立に向けた圧力が高まり、本格的な検討が開始されている。[42][43]
健康被害
数人の炭疽菌被害者がその後、疲労、息切れ、及び記憶喪失など健康上の問題が起きていると報告されているが、原因に付いては不明としている。[44]
2004年の研究では、2001年の炭疽菌攻撃での被害者の総数が68人まで上昇するであろうと報告されている。[45]
2001年10月19日、ブレントウッド郵便局において炭疽菌汚染防止フィルタを取り外した郵政査察官が、その後、障害が残る程の病気を発症している。この郵政検察官の担当医師は炭疽菌が原因であると主張したが、血液検査の結果からは炭疽菌が発見されず、疾病予防管理センターはこの事件とは何ら関係性は無いとしている。[46]
脚注
- ^ a b 日付けはいずれも開封作業が行われた日である。
- ^ a b “米炭疽菌事件で容疑者特定 陸軍研究所科学者らと報道”. 共同通信 (2008年3月29日). 2011年4月11日閲覧。
- ^ http://www.fbi.gov/anthrax/amerithraxlinks.htm
- ^ http://3.bp.blogspot.com/_NLm-XAPhuZM/SLacm-gfjUI/AAAAAAAAAu0/4EYOE_iB_j8/s1600-h/TKY200808270349.jpg
- ^ イギリスの大衆タブロイド紙The Sunとは関係が無い。
- ^ Sun Sentinel, 2002 October 9, "An Anthrax Widow May Sue U.S.Woman Whose Husband Died In Florida Is Angry At Army Lab's Possible Role As Bacteria's Source,"http://www.sun-sentinel.com/news/local/palmbeach/hc-anthrax1009.artoct09,0,7158595.story?coll=sfla-news-palm
- ^ “My anthrax survivor's story - NBC News employee speaks out for the first time on her ordeal”. MSNBC. 2008年3月30日閲覧。
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- ^ Willman, David (September 17, 2008). “Scientist admits mistake on anthrax”. The Los Angeles Times
- ^ http://www.youtube.com/watch?v=YHJNZUiyLGo
- ^ J. Michael, 9/25/09 NAS presentation, audio
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- ^ ペニシリンは炭疽菌に対する治療薬として有効である。
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- ^ http://web.archive.org/web/20050310113607/http://usinfo.org/USIA/usinfo.state.gov/topical/pol/terror/01102911.htm
- ^ “Bentonite”. CBS News. (August 2, 2008)
- ^ The Hamilton sectional center facility (SCF) is located near Trenton and processes mail to and from the 085 and 086 ZIP-code areas. See ZIP code prefixes.
- ^ Lengel, Allan. “Little Progress In FBI Probe of Anthrax Attacks”. The Washington Post 2008年4月8日閲覧。
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- ^ http://www.fas.org/sgp/congress/2001/s102501.html
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- ^ Shane, Scott (June 7, 2005). “After a Shower of Anthrax, an Illness and a Mystery”. The New York Times 2008年4月10日閲覧。
参考文献
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- Leonard A. Cole The Anthrax Letters, A Bioterrorism Expert Investigates the Attacks That Shocked America—Case Closed? (Skyhorse Publishing, 2009) ISBN 1-60239-715-5 [2]
- Kenneth J. Dillon Intriguing Anomalies: An Introduction to Scientific Detective Work (Scientia Press, 2008) ISBN 0-9642976-8-X
- Robert Graysmith AMERITHRAX: The Hunt for the Anthrax Killer (Berkley Books,2003) ISBN 0-425-19190-7
- Ed Lake Analyzing The Anthrax Attacks - The First 3 Years (Ed Lake, 2005) ISBN 0-9766163-0-0
- Philipp Sarasin Anthrax: Bioterror as Fact and Fantasy (Harvard University Press 2006) ISBN 0-674-02346-3 [3]
- Marilyn W. Thompson The Killer Strain, Anthrax and a Government Exposed (HarperCollins,2003) ISBN 0-06-052278-X
関連項目
外部リンク
連邦捜査局
米国科学アカデミー
その他
- UCLA Department of Epidemiology
- Anthrax in America: A Chronology and Analysis of the Fall 2001 Attacks - detailed timeline
- Analysis of the Anthrax Attacks by Barbara Hatch Rosenberg
- Articles by Richard M. Smith
- Free From Terror.net – solving the crime is easy if you look at the timing of the attacks
- "The Message in the Anthrax" by Donald Foster (Vanity Fair, October 2003) [4]
- Matsumoto, Gary (November 28 2003). “Anthrax Powder — State of the Art?”. Science 302 (5650): 1492. doi:10.1126/science.302.5650.1492. PMID 14645823 .
- The Anthrax Letters, Five Deaths, Five Grams, Five Clues by Paul de Armond
- "Anthrax2001" weblog
- "The Hatfill Deception" weblog
- Al Qaeda, Anthrax and Ayman Zawahiri by Ross E. Getman
- "Was Abderraouf Jdey the Anthrax Mailer?" by Kenneth J. Dillon
- The Anthrax Attacks by Ed Lake
- "The Anthrax Mystery: Solved" by Robert Pate
- "The Wrong Man" by David Freed, The Atlantic, May 2010
- Hatfill v. Ashcroft – lawsuit filing
- Appeal filed December 15, 2004
- Stevens v. United States – lawsuit filing