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「離婚後共同親権」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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共同親権(2010年11月11日 (木) 13:09 )から転記
(相違点なし)

2010年11月24日 (水) 11:14時点における版

共同親権(きょうどうしんけん)とは、離婚してもなお、子の親権について双方が分担し権利義務を有する考え。

概要

日本では、未成年の子がいる夫婦が離婚をするときは、父母のどちらかを親権者に指定する必要があり、離婚届に親権者を記入し、戸籍にそれが記載される。(民法819条)

ただし、未成年の子が外国と日本の二重国籍であるとき、外国で離婚が成立している場合など、離婚方法によっては戸籍に共同親権と記載されることがある。(H01-10/02民二3900通達)

親権とは、民法第四章第二節『親権の効力』が規定され、下記の5項目が対象となる。

  • 第820条・監護及び教育の権利義務
  • 第821条・居所の指定
  • 第822条・懲戒
  • 第823条・職業の許可
  • 第824条・財産の管理及び代表

日本も批准した子どもの権利条約では、別居が始まればただちに恒常的な親子の交流を始めるように求めている。

離婚後に子と別居している親が負担する養育費は、民法877条の扶養の義務が根拠であり、別居している親と子の交流である面接交渉(面会交流)は、家庭裁判所の実務[1]として認められており、養育費と面接交渉は民法766条類推適用として『離婚後の子の監護』に含まれるものであり、法務省法制審議会の答申[2]を見ても、親権としての議論に含まれないという考え方が、実定法として一般的な解釈である。民主党は民法766条の改正をして、養育費と面接交渉権の明文化を政策パンフレットに記載している[3]

共同親権の議論は、日本弁護士連合会家事法制委員会[4]や日本家族<社会と法>学会[5]などが詳しい。

離婚時においては、夫婦間の関係が完全に破綻しているという考えを前提に、親権の決定が前提であるという考え方に対し、子の福祉や、事実上の婚姻関係が破綻しているのに関わらず、親権により、離婚を留まる問題を開放すると考える。

なお、現在10歳までの子については、よほどのことがない限り、子の教育育児について検討することなく、事例が多いということだけを理由として親権が母親にあると判断されているということが、男性差別の問題として残っている。

さらに、面接交渉権についても、子の福祉を重点に置く姿勢はいいが、10歳までの子については、親権者が強制的に非親権者に、事実上面接させない事例も多々見ることもでき、養育費の支払いに関する支払い義務の強制執行は多々あるが、面接交渉権について、面接を拒否した親権者に対する裁判例は非常に少ない。

現在では共同親権については、日本の民法では不可能であり、離婚時には必ず親権を決定する必要がある。すなわち片親の親権を剥奪する必要がある。このため、子の争奪をめぐって夫婦間で熾烈な争いが演じられる例が多い。具体的には、一方の親による離婚前の連れ去りや虚偽のDV申し立てなどこの福祉に反する手段を選ばない行為が横行しており[6]、このために夫婦間の感情的葛藤がさらに高まり、亀裂は深まることにより、なんら罪のない子供が被害を受けるケースが多くなっている現状があり、他の先進国並みに共同親権の確立を求める声も強い[7][8][9]

ただし、これは親の離婚後の仲が良好な場合に限られ、両親がいがみ合いが共同親権のために継続される場合は、逆に子供の精神的なトラウマが長期間継続されることが指摘される。両親の対立のため家庭裁判所の調停が必要となってしまった場合には共同親権が望ましいとは言えないとの意見もある(前述日本家族<社会と法>学会第26回学術大会。

共同親権、および共同監護は今後議論されるべき家族法の問題であり、現在も共同監護については法的には可能という考えも存在する。

子どもの権利に関する国連の委員会は、単独育児は、そうすることが子どもの最善の利益にかなう場合だけに限定しなければならないという考えを支持している[10]ジュディス・ウォーラースタインは、親が離婚した子どもの精神的な予後が悪いことを見出した。調査により、ジュディス・ウォーラースタインの知見は事実であると認めている国、国際機関もある[11][12]。親が離婚した後も、子どもの育児には両親の協力が必要であると考えられる[13]

千葉法務大臣は、平成22年3月9日の衆議院法務委員会で「離婚したあとも、両親がともに子どもの親権を持つことを認める『共同親権』を民法の中で規定できないかどうか、政務3役で議論し、必要であれば法制審議会に諮問することも考えている」と述べた[14]。 また、「子どもの最善の利益を考えたとき、どちらの親も、子の親として接触できることが大事だと思う」とはっきり明言をしたが、これは民主党の政策パンフに記載してある面接交渉権法制化の内容であり、共同親権の議論とは直接関係しない。 この法務大臣の発言により、これまでは面接交渉を否定する判決すら出していた家庭裁判所[要出典]の運用も、別居親への面会交流に積極的になってきている、という意見もある[要出典]

この後、自民党の馳浩衆院議員は平成22年10月29日の衆院法務委員会で、自民、民主両党などの国会議員が超党派で来年の通常国会への提出、成立を目指す「親子の交流断絶の防止に関する法律」(仮称)の詳細を明らかにした。 親権のない親と子どもの面会を保障するもので、一方の親による子供の連れ去り禁止▽親子の引き離し禁止▽養育計画作成の義務化の3項目を盛り込んでいる。

関連項目

外部リンク

脚注

  1. ^ [1]面接交渉調停
  2. ^ [2]民法の一部を改正する法律案要綱
  3. ^ 育ち・育む”応援”プラン [3]ひとり親家庭になったとき
  4. ^ [4]家庭裁判所シンポジウム「離婚と子どもII―共同親権を考える」
  5. ^ [5]
  6. ^ 在日米国大使館
  7. ^ 在日米国大使館
  8. ^ Kネット
  9. ^ 2010.3.9 衆議院法務委員会 
  10. ^ Birks, Stuart (June 2002). INCLUSION OR EXCLUSION II:WHY THE FAMILY COURT PROTESTS?". Centre for Public Policy Evaluation College of Business, Massey University. Retrieved on 2007-04-13.
  11. ^ アメリカ小児科学会
  12. ^ 離婚で壊れる子どもたち 棚瀬一代
  13. ^ Out of Touch
  14. ^ NHKニュース H22.3.9