「ティーパーティー運動」の版間の差分
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LaBedoyere (会話 | 投稿記録) m 悪いけど内容が重複です。上に書いてありますし、コーヒーパーティーについては、別ページを作るつもりでしたが、結成ネタだけで、最近フォロー記事がなかなかなくて。 |
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[[Image:Gadsden flag.svg|thumb|[[クリストファー・ガズデン|ガズデン]]旗, ティーパーティー運動で最も好まれているシンボル。これはアメリカでは愛国主義の象徴とされる旗の一つ<ref name="gas">( [[:en:Gadsden flag|Gadsden flag]] )<br />ガズデン旗とは少し違う図案だが、ほぼ同種のものが現在の[[アメリカ海軍]]で海軍旗として使われているほか、この黄色い旗は[[アメリカ海兵隊]]の旗としても知られ、その反骨的なモットーはアメリカ人の右派には特に好まれる。ティーパーティーではこの他にも、アメリカ[[:en:File:Second Revolution Flag 2x3.svg|第二革命旗]]が、シンボルとして集会で使われたことがある</ref> ]] |
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[[Image:Tea Party Protest, Hartford, Connecticut, 15 April 2009 - 060.jpg|thumb|[[コネティカット州]][[ハートフォード (コネチカット州)|ハートフォード]],2009年4月15日]] |
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'''ティーパーティー運動'''( |
'''ティーパーティー運動'''( ティーパーティーうんどう、[[英語|英]]:''Tea Party movement'' )とは、[[2009年]]から[[アメリカ合衆国]]で始まった[[保守]]派の政治運動である。[[バラク・オバマ]]政権の自動車産業や金融機関への救済の反対、さらには景気刺激策<ref name="a09"></ref>や医療保険法改正<ref>「[[:en:Patient Protection and Affordable Care Act|Patient Protection and Affordable Care Act]] 」と 「[[:en:Health Care and Education Reconciliation Act of 2010|Health Care and Education Reconciliation Act of 2010]]」のこと。両方を合わせて通称・'''オバマケア'''とも呼ばれる</ref>における「[[大きな政府]]」路線に対する抗議を中心とする。 |
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オバマ大統領の就任式の直後に始まったことから反オバマ運動としての[[右翼#アメリカ合衆国|右派]]の側面もある。 |
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「ティーパーティ」(Tea Party)という名称は、[[イギリス]]の[[茶法]](課税)に対して反旗を翻した[[1773年]]の[[ボストン茶会事件]](Boston Tea Party)に由来しており、同時に、「もう税金はたくさんだ」(Taxed Enough Already)の[[頭字語]]でもある。 |
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「ティーパーティー」(Tea Party)という名称は、当時の[[宗主国]][[イギリス]]の[[茶法]](課税)に対して反旗を翻した[[1773年]]の[[ボストン茶会事件]](Boston Tea Party)に由来しており、同時にティーは「もう税金はたくさんだ」('''T'''axed '''E'''nough '''A'''lready)の[[頭字語]]でもある<ref>パーティーはそのまま党派や集会の意味</ref>。 |
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== 経緯 == |
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[[2009年]][[1月28日]]に[[アメリカ連邦議会]]を通過し、[[2月16日]]にオバマ大統領が署名して成立した、[[2009年アメリカ回復・再投資法]](American Recovery and Reinvestment Act of 2009)が、一連の運動の発端となった。 |
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ただし現代のティーパーティーは、ボストン茶会事件の時と違って課税反対は象徴的意味しか持たず、実態は、総じて税金の無駄遣いを批判して「[[小さな政府]]」を推進しようという運動である。 |
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議会通過前後から様々な批判が沸き起こっていたが、大統領署名前後から各種の抗議集会が開かれるようになり、やがて大きな運動へと発展していった。2010年2月に開催された集会への参加者はほぼ全てが白人であると報道されている<ref>[http://sankei.jp.msn.com/world/america/100207/amr1002071628005-n1.htm 「反オバマ」初の全米集会 保守派ティーパーティー] 産経ニュース/共同 2010-2-7</ref>。 |
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== 経緯と展開 == |
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抗議活動は元々[[増税]]に対する抗議から始まり、[[景気刺激策]]に伴う[[国家]][[債務]]の増加に対して広まり始めた。[[銀行]]に支払われた住宅ローン差し押さえ救済資金の増加も要因である。抗議は、2009年3月に[[AIG]]の[[役員]]に[[賞与]]が支払われたことが明らかになると劇的に盛りあがり、抗議集会で公衆に認識されるまでになった。抗議活動は、[[Tax Day]]([[確定申告]]締切日)の集会を組織するにあたり、[[ブログ]]・[[MySpace]]・[[facebook]]等のオンラインサービスを活用している。 |
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最初に「ティーパーティー」という歴史用語を現代政治に蘇らせたのは[[ロン・ポール]][[アメリカ合衆国下院|下院議員]]であった。それは[[2007年]][[12月16日]]のことで、彼はボストン茶会事件232周年を祝う集会を開催<ref>{{cite web| url=http://www.bostonherald.com/news/us_politics/view.bg?articleid=1051232 |title=Paul supporters hold Tea Party re-enactment in Boston |publisher= Boston Herald |date=2007-12-17 |accessdate=2010-09-18}}</ref>し、翌年の[[共和党 (アメリカ)|共和党]][[アメリカ合衆国大統領予備選挙|大統領予備選]]の資金集めのためにウエブサイトを開設して支持者と募金をつのったのである<ref>{{cite web| first=Michael | last=Levenson |url=http://www.boston.com/news/politics/politicalintelligence/2007/12/ron_pauls_tea_p.html |title=Ron Paul's tea party for dollars |publisher= Boston Globe |date=2007-12-16 |accessdate=2010-09-18}}</ref>。ポールは、熱心な小さな政府論者で、当時のブッシュ政権の方針にも反対していた。彼は[[2008年アメリカ合衆国大統領選挙|2008年大統領予備選]]で敗れたが、次の2012年の立候補を目指して”彼のティーパーティー”は現在でも活動しており、インターネットを活用した草の根運動というところなど、現在の運動の雛型にもなっている。<ref>{{cite web|url=http://www.theronpaulteaparty.com/ |title=The Ron Paul Tea Party |accessdate=2010-09-18}}</ref><ref>[[ハフィントン・ポスト]]紙によるティーパーティー年表。<br />{{cite web| first=Jane | last=Hamsher |url=http://www.huffingtonpost.com/jane-hamsher/a-teabagger-timeline-koch_b_187312.html |title=A Teabagger Timeline: Koch, Coors, Newt, Dick Armey There From The Start |publisher= Huffington Post |date=2009-04-15 |accessdate=2010-09-18}}</ref> |
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==== 初期の抗議活動 ==== |
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== 脚注 == |
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[[Image:Tea Party Protest, Hartford, Connecticut, 15 April 2009 - 083.jpg|thumb|[[コネチカット州]][[ハートフォード (コネチカット州)|ハートフォード]],2009年4月15日, TaxDay抗議の様子。背後にシンボルの豚が見える]] |
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{{Reflist}} |
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抗議活動のめばえは、[[リーマン・ショック]]に端を発するアメリカの[[景気後退]]を背景に、異なる動機で、異なる形態ではあったが、しかし草の根的に各地で起こっていた。 |
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[[2009年]][[1月24日]]、ニューヨーク州で知事がダイエット飲料以外のソフトドリンクに18%の課税をすると、通称「肥満税」または「ソーダ税」の増税を提案したのに反対して、ニューヨーク市で若い活動家が[[アメリカンインディアン]]のように羽根飾りをつけてボストン茶会事件の故事を模した抗議活動<ref>このイベントを主催したのは「自由を求めるアメリカ青年」( [[:en:Young Americans For Liberty|Young Americans For Liberty]] )という団体のトレバー・リーチ(当時学生)。極寒の[[サスケハナ川]]で行ったため、若干の羽根を頭につけてはいるが、アメリカインディアンのような格好ではなく防寒具に身を包んでいる。ボストン茶会事件を真似しているようにはあまり見えないが、一応、川にソーダを流して増税に抗議した。<br />{{cite web|url=http://centralny.ynn.com/content/all_news/132356/a--tea-party--to-protest-paterson-s-taxes/ |title=A "tea party" to protest Paterson's taxes |publisher=YNN |date=2009-01-24 |accessdate=2010-09-12}}</ref>をした。これはメディアに登場した最初の関連活動である。この法案は結局否決された。 |
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[[2009年]][[1月28日]]、景気刺激策が[[アメリカ連邦議会]]を通過し、[[2月16日]]にオバマ大統領が署名して2009年の[[アメリカ経済回復・再投資法]]<ref name="a09">「[[:en:American Recovery and Reinvestment Act of 2009|American Recovery and Reinvestment Act of 2009]]」のこと</ref>として成立したが、これが大きな政府に反対する財政保守派の怒りを買った。議会通過前後から様々な批判が沸き起こっていたが、大統領署名の前後の2月から抗議集会が散発的に開かれるようになり、やがて草の根的な広がりをみせるようになる。 |
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[[電子掲示板|インターネット掲示板]]への投稿から始まった[[ティー・バッグ]]入りの手紙を送りつけて議会の反対票を集める運動<ref>オバマ大統領の就任式の前日にあたる1月19日に掲示板に呼びかけがあり、「ティーパーティーへの招待」と称するティー・バッグ入りの手紙が2月1日に一斉に投函された。内容は[[サブプライムローン]]での住宅差し押さえにあっている一方で、緊急援助をうけた銀行優遇に抗議するもの<br />{{cite web|url=http://tickerforum.org/cgi-ticker/akcs-www?post=79282&page=1 |title=MAIL A TEA BAG TO CONGRESS & TO SENATE! [FedUp] - MarketTicker Forums |publisher=Tickerforum.org |date= |accessdate=2010-04-27}}</ref>も早くに始まっていたが、法案成立前日の[[1月27日]]にラジオ・トークショー主催者[[ラッシュ・リンボー]]<ref>「オバマ大統領は米国生まれではない」や「クリントン家は殺人犯」など過激なトークで有名な超保守派の右翼の論客。しばしば[[デマゴーグ]]的な問題発言をするが、保守派のリスナーには人気が高い</ref>によって造り出された、ばらまき型の景気刺激策を批判する造語「ポーキュラス<ref>「Pork(援助金)」と「stimulus(刺激)」を合わせたもの</ref><ref>Porkulus または Porkulus Maximus(古代ローマ人のようにオバマを模したもの) は反オバマのイメージはとして利用されている</ref>」が放送で広まったことから、当初はお茶ではなく、税金の無駄遣いを象徴する'''豚がこの運動のシンボル'''<ref name="pork">ばらまき型ポピュリスト政治のことをポークバレル政治という。ポークバレル(豚肉樽)とは、南北戦争時にアメリカ南部の農場では美味しいところをとった肉を樽に入れた塩漬け豚肉にして、言うことを聞く奴隷に配っていたもので、転じて新しく法律を制定する時に、多くの議員たちの地元に何らかの権益を与えるような、法案の目的とは直接関係ない条件を含ませておいて、議員の賛同を得るといった政治手法のことをさすようになった。( [[:en:Pork barrel|Pork barrel]] )</ref>となっていた。 |
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このため、初期の運動はポーキュラス抗議などと呼ばれ、その主張は総じて「オバマは社会主義<ref>テレビのデジタル化移行への低所得者向けの助成金などが、税金の無駄遣いということで、政府の手厚い保障はすなわち社会主義という論法。貧者救済を道徳的な善とする日本人にはやや理解しがたいが、[[リバタリアニズム]]的なイデオロギーで、とにかく政府は介入しなければしないほうがいいという考え。なお社会主義者というレッテルはリンボーら右翼論客が広めたもの</ref>」というものだった。現在では最初のティーパーティー抗議と見なされている、[[2月10日]]の[[フロリダ州]][[フォートマイヤーズ]]市役所前でのメアリー・ラコビッチの抗議の模様でもプラカードに豚の写真が見える<ref>オバマ大統領が同市を訪問した際に行われた抗議活動。<br />{{cite web|url=http://www.news-press.com/article/20090211/OBAMA/90210068 |title=Those outside Harborside in Fort Myers had plenty to see, say |publisher=news-press.com |date=2009-02-11 |accessdate=2010-09-13}}</ref>。これら少人数による反オバマの抗議が地元メディアで報道されると、[[FOXニュース]]が飛びつき、抗議者を番組ゲストに喚ぶなどして盛んに全国にむけて放送した。また後述するが、当初からフリーダムワークス<ref name="FW"></ref>がこの広報戦略には関わっていた<ref name="BB">{{cite web|last=Beutler |first=Brian |url=http://tpmdc.talkingpointsmemo.com/2009/04/freedomworks-long-history-of-teabagging.php |title=FreedomWorks' Long History Of Teabagging | TPMDC |publisher=Tpmdc.talkingpointsmemo.com |date=2009-04-14 |accessdate=2010-04-27}}</ref>とされる。彼らはオバマ個人に批判を集中させないようにアドバイスしていた。しかし当初、報道は保守メディアに限られ、本格的に世間に認知されたのは下記の出来事が起こってからであった。 |
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===== ティーパーティー命名の経緯 ===== |
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[[2009年]][[2月19日]]、[[CNBC]]の経済アナリストである'''リック・サンテリ'''<ref>本人は否定しているが、'''ティーパーティー運動の創始者'''ともいわれている。ティーパーティー発言については、やはりそれ以前にこのフレーズを発していたロン・ポールのことが念頭にあったようである。彼自身は共和党とも関係ないが、その後、フリーダムワークスが「サンテリの熱弁」というタイトルでFacebookなどに映像を載せて広めた。また彼は「7月」とおそらく独立記念日あたりにシカゴ・ティーパーティーを行おうと言ったが、実際にはそれは行われておらず、Tax Dayの抗議活動に招聘されたときも、サンテリ本人はCNBCのテレビ出演があることを理由に欠席した。命名者ではあるが、ティーパーティー運動自体にはほとんど関与してない。 ( [[:en:Rick Santelli|Rick Santelli]] )</ref>が、シカゴ[[証券取引所]]からの生中継中に、オバマ政権の[[サブプライムローン]]問題で焦げ付いた住宅ローンを再融資するという救済案を、悪い行いを奨励する[[モラル・ハザード]]であると厳しく批判し、「支払いに窮した他人のローンを代わりに払ってやろうという人間が、一体このアメリカに何人いるのか」と熱弁して、近くにいたトレーダー達の拍手喝采をうけた。彼はさらに[[アメリカ合衆国建国の父|建国の父たち]]を引き合いに出して、「[[ベンジャミン・フランクリン]]や[[トーマス・ジェファーソン|ジェファーソン]]のような人々は、今我々がしていることを見て墓の中でひっくり返っているだろう」と言って、大統領の方針に反対するため「シカゴ・ティーパーティー」と名付けた抗議活動を起こそうと(半ば冗談で)呼びかけた<ref>{{cite web|url=http://www.cnbc.com/id/29283701/Rick_Santelli_s_Shout_Heard_Round_the_World |title=Rick Santelli's Shout Heard 'Round the World |publisher=CNBC |date=2009-02-22 |accessdate=2010-09-19}}</ref>。このオバマ大統領のお膝元で起こった”シカゴの反乱”とも呼ばれた出来事が、直接的な運動の名前の由来となっている。 |
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[[Image:File-Signs of Madison's Tea Party "Obama's Plan White Slavery".jpg|thumb|[[ウィスコンシン州]][[マディソン (ウィスコンシン州)|マディソン]]での集会の様子<ref>「オバマの政策は白人奴隷制度だ」と書いた過激なプラカード。背後には星条旗とガズデン旗もはためいている</ref>,2009年4月14日]] |
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動画は瞬く間に広がり、呼びかけに応じてすぐにいくつかのオンラインサイトが自主的に(またはフリーダムワークスによって)立ち上げられて、多くの賛同者を集めると、[[2月27日]]、シカゴを含む全国40以上の都市でより愛国的な「ティーパーティー」の名前を冠した抗議活動として実を結び、これが報道<ref>{{cite web |author = Judson Berger | title = Modern-Day Tea Parties Give Taxpayers Chance to Scream for Better Representation | publisher = FOX News | url = http://www.foxnews.com/politics/first100days/2009/04/09/modern-tea-parties-chance-to-scream | date = 2009-04-09 | accessdate =2010-09-13 }}</ref>されたことから、他のメディアでも使われていくようになった。なおサンテリが発言した翌日の2月20日には、[[ロバート・ギブス]]報道官が異例の反論を行ったが、「法案をちゃんと読んだのか」と懐疑的に述べるとともに、相手を小馬鹿にしたような態度をとったため、その動画も広まり、沈静化するどころか逆に抗議活動を煽った面が少なくない。 |
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===== 抗議活動の特徴 ===== |
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抗議活動は、前ブッシュ政権からの負債と景気後退による、近い将来に[[増税]]が行われるのではないかという不安<ref>実際には、オバマ政権は誕生100日間で2,883億ドル分の減税を行った。ただしこのアメリカ経済回復・再投資法の解釈は、共和党と民主党で異なり、共和党や保守派はこれを医療負担増などの間接的な増税、または将来の世代に負債を回すものだと言い、民主党はこれは減税であるとして、話がかみ合ってない。民主党は、前ブッシュ政権が始めた富裕層向けの減税処置を延長しなかったが、これには共和党も最終的には同意しており、さらにオバマ大統領は最近、中間選挙に先駆けて新たに中低所得者層向けの減税処置を行うと発表した。イラクとアフガニスタンでの戦争によって国家債務は増大してはいるが、まだ直接的な増税を行ったという事実はない。最近では増税を行った大統領はブッシュ(シニア)大統領だけである。またクリントン政権時代に縮小した政府を、再び大きな政府にしたのは二つの戦争を起こしたブッシュ(ジュニア)大統領で、皮肉にも両方とも共和党出身の大統領だった</ref>から起きた抗議から始まり、[[アフリカ系アメリカ人|黒人]]のオバマ大統領の誕生と、景気刺激策に伴う国家[[債務]]の増加に対してその懸念<ref name="gal">賛否や、理由、原因はともかく、63%のアメリカ人は一年以内の近い将来増税が行われると考えていた。<br />{{cite web |title = Six in 10 Americans Expect Their Taxes to Increase| publisher = Gallup news| url =http://www.gallup.com/poll/127352/Six-10-Americans-Expect-Taxes-Increase.aspx?utm_source=tagrss&utm_medium=rss&utm_campaign=syndication&utm_term=Politics | date = 2010-04-14 | accessdate =2010-09-17 }}</ref>が高まって、財政規律を求めて広まった。信用不安の際に[[銀行]]には巨額の資金が投入されたのに対して、銀行に支払われた住宅ローン差し押さえ救済資金が不十分であったことも不満の要因である。抗議は、2009年3月に[[AIG]]の[[役員]]に[[賞与]]が支払われたことが明らかになると劇的に盛りあがり、抗議集会で公衆に認識されるまでになった。 |
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抗議活動は、[[ブログ]]・[[MySpace]]・[[Facebook]]<ref>サラ・ペイリンなどはfacebook上を中間選挙の候補達の支持・不支持の表明の場としており、SNSネットワークを活用しようと積極的である</ref>・[[Twitter]]・[[YouTube]]・インターネット掲示板等の現代的なオンラインツールを活用しているのが特徴で、主要メディアからばかりではなく、個人の発言を含めた、双方向の情報発信で政治運動に活気が吹き込まれているのが、草の根といわれる所以。ティーパーティー参加者の情報源はテレビ(47%)、インターネット(24%)、新聞(8%)、携帯メール(4%)の順<ref>インターネット活用はそれほど多くないように見えるが、参加者には中高年が多く、都市部ではなく保守的なアメリカの田舎での活動が中心であるので、かなり多いと判断できる。従来はラジオなどが多かった。しかし全般的には民主党・リベラル派の方が、インターネットツールの選挙利用は進んでいるとされる</ref><ref name="cbs"></ref>。 |
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==== 抗議活動の全米への広がり ==== |
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[[2009年]][[3月13日]]、FOXテレビの番組司会者で右翼の論客[[グレン・ベック]]<ref>「オバマは人種差別主義者」という発言をしたことで有名なFOXニュースおかかえの人気番組司会者。彼はちょうどこの頃にFOXに移籍したことから、いち早くこの運動に着目し、熱心に支援している保守のカリスマある。前述のレイシスト発言により広告主のボイコットが起きた他、ティーパーティーの盛り上がりをCNNやMSNBCが報道してないと新聞広告を出して物議を醸す、など騒動が絶えないが、注目が集まることを楽しんでいるふうでもある。 ( [[:en:Glenn Beck|Glenn Beck]] )</ref>は、「[[9-12プロジェクト]]<ref>9つの信条と12の美徳という、やや宗教のような一見無害に思える戒律を掲げる、番組企画の自称・”非政治”運動。宗教や建国の父をことさら口にするが、実質的には反オバマの右派圧力団体。後に支持者が集まって政治グループともなった。( [[:en:9-12 Project|9-12 Project]] )</ref>」と銘打った、首都ワシントンでの抗議行動を目指す、挑発的な政治企画を番組内で始めた。どこが挑発的かというと、わざわざ[[アメリカ同時多発テロ事件|同時多発テロ]]9・11の翌日に回帰を求めてアメリカの団結を訴えたことで、テロ被害を臆面もなく政治利用するとともに<ref name="Crooks and Liars Beck">{{cite news|url=http://crooksandliars.com/david-neiwert/glenn-beck-exploits-911-tragedy-rati|title=Glenn Beck exploits 9-11 tragedy for ratings: Because cheap symbology matters more than people|last=Neiwert|first=David|date=2009-09-14 |work=Crooks and Liars|accessdate=2010-02-14}}</ref>、日頃からベックが独裁者・社会主義者・共産主義者と罵るオバマ大統領が敵としてテロリストと同視されているのは明らかだったからだ。9-12プロジェクトは、後にティーパーティー運動と合流した。 |
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[[2009年]][[4月15日]]の[[Tax Day]](アメリカの[[確定申告]]締切日)には、750以上もの大小ティーパーティー各団体が全国各地で抗議集会を組織するに至り、運動の広がりは驚きを持って報道された<ref>{{cite web|url=http://www.csmonitor.com/2009/0418/p25s03-usgn.html |title=Arguing the size of the "tea party" protest |publisher=Christian Science Monitor |date=2009-04-18 |accessdate=2010-09-12}}<br />{{cite web|url=http://www.cnn.com/2009/POLITICS/04/15/tea.parties/index.html |title=Nationwide 'tea party' protests blast spending |publisher=CNN |date=2009-04-15 |accessdate=2010-09-12}}</ref>。各団体は連合して、ラジオ司会者マーク・ウィリアムス<ref>「オバマは[[国家社会主義ドイツ労働者党#.E5.90.8D.E7.A7.B0|ナチ]]だ」などの問題発言で有名な右翼のコメンテーター。またイスラム教を誹謗して「[[アッラーフ|アラー]]は猿の神だ」と言ったこともある。第一回のエクスプレスの議長であったが、[[全米黒人地位向上協会]]に批判されたのをブログで反論してさらに差別発言を重ねて、全米ティーパーティー同盟より除名された。しかし今でも何食わぬ顔で別団体を立ち上げて、スポークスマン的な立場をとっている。<br />( [[:en:Mark Williams (radio host)|Mark Williams]] )<br />{{Cite web|url=http://www.thesunchronicle.com/articles/2010/01/04/news/6669165.txt |title=On board the Tea Party Express |date=2010-01-04 |accessdate=2010-09-16}}<br />{{Cite web|url=http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/worldtown/CK2010100602000195.html |title=サクラメント 実態謎めく「お茶会」 |date=2010-10-06 |accessdate=2010-10-06 |author=岩田仲弘 }} </ref>をスポークスマンとし、同月28日から「ティーパーティー・エクスプレス」と題した全米ツアーも開始した。彼らは33都市を巡って、[[9月12日]]に首都ワシントンで7万人規模の「納税者の行進」のイベントを行い、次第にアメリカ政治の注目を集めた。この日の抗議集会の企画元<ref>これが9-12プロジェクトの企画であったのが理由で、この日の集会は通常のティーパーティー集会よりも、右翼的なプラカードが多かった。「[[commons:File:Glenn_Beck_fans_-_Tea_Party_protest.jpg|We ♥ Love Glenn Beck]]」なども他の集会では見られない</ref>であるFOXテレビとグレン・ベックは、特別番組を編成して模様を生中継した。ちなみにエクスプレスの方は2010年中間選挙までを目指して、すでに4回<ref>第一回(2009年4月28日〜31日、9月1日〜11日。33都市)<br />第二回(10月25日〜11月10日。38都市)<br />第三回(2010年3月25日〜4月15日。43都市。ペイリン参加)<br />第四回(2010年10月18日〜11月1日の選挙前日までの予定。全米横断32都市)</ref>の全米ツアーを敢行している。 |
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ティーパーティー運動がアメリカ政治の潮流として脚光を浴びたのは、[[2010年]][[1月19日]]、{{ルビ|[[メディケア|医療保険]]|メディケア}}改革に熱心に取り組んでいた民主党の大物[[エドワード・ケネディ]][[アメリカ合衆国上院|上院議員]]の死去に伴う上院補欠選挙でのことだった。この[[マサチューセッツ州]]の議席は、民主党と[[ケネディ家]]が約半世紀守ってきた牙城であったが、これが共和党の新人候補者[[スコット・ブラウン (政治家)|スコット・ブラウン]]によって奪われたのである。これにはティーパーティー運動が大きな役割を果たしたとされ、ブラウンはその支持を受けて共和党予備選を大差で勝利すると、本戦でも民主党の推す女性候補を破って勝利。これは「マサチューセッツの奇跡」とも呼ばれ、'''保守の逆襲'''の始まりとして気勢が上がった。 |
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[[Image:Glenn Beck Restoring Honor Hands Out.jpg|left|thumb|[[ワシントンD.C.]],非政治的と称する「名誉回復」の集会で演説するグレン・ベック,2010年8月28日]] |
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[[2010年]][[2月4日]]から3日間、[[テネシー州]][[ナッシュビル]]で初のティーパーティー全国大会が開催され、さらにその広告塔として、[[サラ・ペイリン]]前共和党副大統領候補(前アラスカ州知事)が高額の出演料<ref>報道によると1回の出演料は10万ドルだったとのこと。<br />{{Cite web|url=http://lcn.canoe.ca/lcn/infos/lemonde/archives/2010/02/20100207-085944.html|title=Palin prête pour une révolution |language=French |date=February 20, 2010|accessdate=April 23, 2010}} </ref>で担ぎ出された。彼女は大会の基調演説を行い、「アメリカは第二の革命に進もうとしている、みなさんはその一員なのです」と述べて喝采を浴び、反オバマ色を鮮明にした。 |
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[[2010年]][[4月15日]]、二回目となるTax Dayの抗議では、全米数千箇所で抗議集会が開かれたと報道されている<ref>{{cite news | first= Kathleen | last=Hennessey | title = Tax day 'tea parties' draw thousands across U.S. | publisher = Los Angeles Times | url = http://www.latimes.com/news/nationworld/nation/la-na-tea-party-protests16-2010apr16,0,1685627.story | date = 2010-04-15 | accessdate = 2010-09-23}}</ref>。共和党の予備選を前にしたこの3月、4月は運動は特に活発で、単なる大統領や議会への抗議から、候補者への圧力団体にシフトする傾向が見られた。 |
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[[2010年]][[8月28日]]、[[ワシントン大行進]]から47周年になる[[マーティン・ルーサー・キング・ジュニア|キング牧師]]の演説記念日に、首都ワシントンのリンカーン記念堂前でティーパーティーが主催する「名誉回復」を掲げた大規模な集会が開かれた。この集会を呼びかけたのはグレン・ベックで、サラ・ペイリンもゲストで招かれた。ベックは自ら演説して「神への回帰」を説き、キリスト教への信仰心を持って18世紀の建国の父の思想に立ち戻るべきだと訴えた。あえて黒人公民権運動活動家の記念日にほぼ白人のみ(後述)の集会を開いたことに対して「キング牧師への侮辱だ」との批判が続出したが、ベックは「30万~50万人が集まった」と称して、11月の[[中間選挙]]を控え、ティーパーティー運動と保守派の勢いをアピールした。またこの非政治的集会によって、運動には宗教的保守の側面があることも明らかになった。 |
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最近のティーパーティー運動は、'''保守派の[[草の根運動]]'''の代名詞となりつつあり、共和党の非主流派の活動とリンクして、集票マシン化しつつある。また小口の支援者を大量に集める集金力も運動の強みである。しかし政策面では、ティーパーティー各グループの主張にはばらつきがあり、余りに保守的(財政保守主義だけに留まらず、[[キリスト教右派|宗教保守派]]の主張が色濃く、中絶禁止や同性婚の反対なども含む<ref>直接的には保守的なトーンを和らげるために「憲法の文言の厳格な解釈」という表現で主張されるが、その真意は連邦議会の大企業救済にみられた越権行為だけでなく、人工妊娠中絶の非合法化や、同性婚の禁止、あるいは銃規制の反対なども意味するものである</ref>)なため、実際の選挙では鍵となる中道と無党派層の支持を失う結果になるのではないかとも分析され、依然としてその影響力は未知数で、中間選挙の結果に運動の真価が試されることになる。 |
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[[2010年]][[9月28日]]の[[ウォールストリート・ジャーナル|WSJ紙]]とNBCの共同世論調査<ref name="wsj_nbc"> |
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{{cite web|url=http://jp.wsj.com/US/Politics/node_109893 |title=茶会党勢力が大幅に台頭 - WSJ/NBC世論調査 |publisher=WSJ日本版 |date=2010-09-28 |accessdate=2010-09-29}}<br />{{cite web|url=http://online.wsj.com/article/SB10001424052748703882404575520252928390046.html?mod=WSJ_WSJ_US_News_3 |title=Tea-Party Movement Gathers Strength |publisher=WSJ online |date=2010-09-28 |accessdate=2010-09-29}} |
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{{cite web|url=http://online.wsj.com/public/resources/documents/WSJNBCPoll09282010.pdf |format=pdf |title=Read the complete results of The Wall Street Journal/NBC News poll |publisher=WSJ online |date=2010-09-28 |accessdate=2010-09-29}}</ref>によると、11月の中間選挙に最も強い投票意欲を示している有権者の3分の1がティーパーティー支持者で占められていることがわかって政界での影響力の拡大を誇示した。しかし共和党内では71%がティーパーティー参加者であるが、全体でみると、ティーパーティーの支持不支持は30%前後でほぼ拮抗しており、鍵となる無党派層の42%は運動を好意的に評価しているものの、同時にその61%がティーパーティー支持者ではないと答え、議会でティーパーティーが大きな勢力になることについては41%が否定的な見解を示した。 |
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保守派のティーパーティー運動に対抗して、[[ポピュリズム]](ここでは大衆運動ほどの意味)と闘うためにさらなるポピュリズムの力が必要だと考えるグループにより、民主党支持基盤のリベラル派の草の根運動にも[[コーヒーパーティー運動]]<ref>{{cite web| url=http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2010/02/25/AR2010022505517.html |title=Coffee Party activists say their civic brew's a tastier choice than Tea Party's |publisher=Washington Post |date=2010-02-26 |accessdate=2010-09-23|first=Dan |last=Zak}}</ref>と呼ばれるものができて、ティーパーティー同様に、全国に拡大している。 |
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さらにこれとは別に、[[2010年]][[10月2日]]、ティーパーティーに反対する左派リベラル団体([[アメリカ共産党]]など)やゲイ団体により、「ワン・ネイション」集会<ref>([[:en:One Nation Working Together March for Jobs, Peace and Justice|One Nation Working Together March for Jobs, Peace and Justice]])</ref>がワシントンのナショナル・モールで開かれた<ref>{{cite web|url=http://content.usatoday.com/communities/onpolitics/post/2010/10/washington-rally-liberal-groups-/1?csp=hf |title='One Nation' rally offers 'antidote' to Tea Party |publisher=USA TODAY |date=2010-10-02 |accessdate=2010-10-06}}</ref>。この「ワン・ネイション」集会は前述の「名誉回復」集会よりも人の出は大いに劣ったが、ティーパーティー運動の盛り上がりとともに、反対勢力も活気づいてきているという表れであろう。 |
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== 参加者の特徴 == |
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当初、ティー・バッグを手紙で送るという手法で活動していた背景から、この運動の参加者は、ティーバッガーと呼ばれたことがあるが、卑猥な意味<ref>敢えて訳さず。(アメリカの学生スラングであるTeabaggingの意味)"A sexual act involving part of the male genitalia and a second person's face or mouth" <br />下記のリンクはティー・バギングをネタにしたプラカードを持つ人の写真と記事。<br />{{Cite web|url=http://washingtonindependent.com/31868/scenes-from-the-new-american-tea-party |title=Scenes from the New American Tea Party |publisher=The Washington Independent |date=2009-02-27 |accessdate=2010-09-12}}</ref><ref>CNNの[[ニュースキャスター|アンカー]]である[[アンダーソン・クーパー]]がティー・バギングでジョークを言ったのを批判するFOXニュースの記事。<br />{{cite web|url=http://www.foxnews.com/politics/2009/04/16/cable-anchors-guests-use-tea-parties-platform-frat-house-humor/ |title=Cable Anchors, Guests Use Tea Parties as Platform for Frat House Humor |publisher=FOX News |date=2010-04-07 |accessdate=2010-09-10}}</ref>もあるため、最近では集団としてティーパーティーという呼び方、呼ばれ方が一般的である。運動の参加者は無知な連中だと切り捨てる、リベラル系雑誌ネーションの発行人カトリーナ・バンデンヒューベルは、[[アメリカン・ブロードキャスティング・カンパニー|ABCテレビ]]の政治討論番組「[[ジス・ウィーク]]」に出演した際、ティーバッガーという呼び方を続けて、対談相手にたしなめられたことがある<ref>{{cite web|url=http://newsbusters.org/blogs/noel-sheppard/2010/01/17/tucker-carlson-katrina-vanden-heuvel-stop-saying-teabaggers |title=Tucker Carlson to Katrina Vanden Heuvel: Stop Saying 'Teabaggers' |publisher=NewsBusters |date=2010-01-17 |accessdate=2010-09-20}}</ref>。現在ではティーバッガーには侮蔑的意味があると見なされている。 |
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[[Image:Barack Obama joker sign.jpg|thumb|[[ワシントンD.C.]],「納税者の行進」,2009年9月12日,中高年が多い。ジョーカーのプラカードも<ref>左の白人男性がもつプラカードにはオバマ大統領のチェンジの言葉のCを消して「オバマの首をつるのを我々はいとわず」とある。中央の大きな政府に反対するプラカードのようなまともな文面もあるが、かなり過激な論調が目立つ</ref>]] |
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2010年2月に開催された全国大会の参加者はほぼ全てが白人であったと、日本でも報道された<ref>[http://sankei.jp.msn.com/world/america/100207/amr1002071628005-n1.htm 「反オバマ」初の全米集会 保守派ティーパーティー] 産経ニュース/共同 2010-2-7</ref>。 |
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[[CBSニュース]]の調査<ref name="cbs">{{Cite web|url=http://www.cbsnews.com/8301-503544_162-20002529-503544.html |title=Tea Party Supporters: Who They Are and What They Believe |publisher=CBS News |date=2010-04-14 |accessdate=2010-09-12}}<br />{{Cite web|url=http://www.nytimes.com/interactive/2010/04/14/us/politics/20100414-tea-party-poll-graphic.html?ref=politics |title=Polling the Tea Party |publisher=New York Times |date=2010-04-14 |accessdate=2010-09-23}}</ref>によると、参加者における'''白人'''の比率は89%と圧倒的で、黒人は1%、アジア系1%、ヒスパニックを含むその他は6%に過ぎなかった<ref>後述のラスムセン世論調査では、白人は80%、黒人は6%だった。なお全米の人種別人口比率では黒人は約12%前後であるので、これらの結果で運動から黒人が排除されているかのような極端な解釈をすることはできないが、全米平均と参加者では黒人比率は20%ほど少ない</ref>。男女の差はあまりないが、男性がやや多く、既婚者が70%に達する。民主党支持は5%で、大半は共和党支持54%と無党派41%であり、しかも92%は民主党嫌いと答えた。中西部22%や南部36%の出身者、銃保持68%、プロテスタント(主に[[バプテスト教会|バプティスト派]])61%、など、共和党のなかでも特に保守派傾向の強い地域、'''大卒以上'''(70%)の'''高所得者層'''(76%)で、45歳以上(75%)の'''中高年'''が多いという特徴がある。 |
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現在アメリカで最大の課題とされてる経済について、参加者は、現在の経済状態はとても悪い(54%)と答え、さらに悪化する(42%)と考えているが、そうなった原因は議会にあると考えている人が28%と一番多い。これはアメリカの平均的な認識とは顕著に異なり、原因について全米調査の意見として一番多いのは、ブッシュ政権の失政の(32%)である。一方、所得税については、参加者の52%が適正と答え、不適正と答えたのは42%と少なく、これは全米意見の適正(62%)と不適正(30%)の割合よりも多いものの、ティーパーティー運動が課税反対運動であると単純に言えない理由がここにある。減税については賛成も反対も拮抗しており、これは全米意見とほとんど大差なかった。ティーパーティーは後述のようにオバマ政権にも満足していないが、政策上の不満と怒りの矛先は議会に向けられていて、別の最新の調査<ref name="wsj_nbc"></ref>でも、議会不支持率(73%)はオバマ不支持率(49%)よりも格段に高いことがわかっている。「ボストン茶会事件」の時と違って、増税というよりも税の無駄遣いを問題にし、'''小さな政府'''を求めているというのが真の姿である。 |
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参加者は不法移民問題では強硬派であり、82%が不法移民流入に断固とした措置を講じるべきだと考えている。これはメキシコ国境の州では激しい争点だが、増加するラテン人口の支持を取り込むのは望み薄で、ティーパーティーの選挙での弱点の一つである。また[[2010年]][[4月12日]]の[[オハイオ州]]スプリングボロでのティーパーティー集会ではTwitterで、[[ヒスパニック|ラテン系アメリカ人]]を侮辱する「スピック」という表現で不法移民の多さに怒りを表したメッセージが流れて問題になった<ref>{{cite web|url=http://www.daytondailynews.com/news/politics/racial-slur-by-tea-party-leader-hits-home-647303.html |title=Racial slur by Tea Party leader hits home |publisher=Dayton Daily News |date=2010-04-12 |accessdate=2010-09-28}}</ref>。 |
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さらに参加者の82%は[[同性結婚|同性婚]]を深刻な問題ととらえており、40%は[[同性愛|ゲイ・レズビアン]]のカップルには一切の法的権利を認めるべきではないと答える宗教保守派の立場であるが、ほぼ同数の41%はシビル・ユニオンは容認するという妥協派に分かれる。[[Image:Obama-Nazi comparison - Tea Party protest.jpg|thumb|[[ワシントンD.C.]],同じく「納税者の行進」,2009年9月12日]] |
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===== 人種差別に対する批判 ===== |
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集会では、オバマ大統領の顔を映画「[[ダークナイト]]」の[[ジョーカー (バットマン)|ジョーカー]]に模して描いた人種差別的なプラカードがしばしば見られて物議をかもしている<ref>このジョーカーが最初に登場したのは、2008年の大統領民主党予備選の際の[[ジョセフ・バイデン]]候補(後にオバマ政権で副大統領)の集会でのこと。後にオバマ大統領が誕生すると、民主党集会で登場したということをある種の人種差別批判への免罪符に、反オバマの最も過激なイメージとして浸透した。( [[:en:Barack Obama "Joker" poster|Barack Obama "Joker" poster]] )</ref>。肌を白塗りにしたこの姿は、ハリウッドが黒人役を黒塗りにした白人俳優が演じた過去にあてこすったもので、オバマ大統領が白人を演じる黒人であるとの誹謗の意味が込められている。またこれらのプラカードには、人種差別的内容以外に、大統領を[[社会主義|社会主義者]]と罵る文面や[[ムスリム]]<ref>オバマ大統領のフルネームは、バラク・'''フセイン'''・オバマ・ジュニアで、父親はムスリムであったが、本人はプロテスタント系キリスト教徒である。フセインという名前はシーア派イスラームのイマームである[[フサイン・イブン・アリー|フサイン]]から取ったもので、イスラーム世界では一般的な名前であるが、米国ではイラクの[[サッダーム・フセイン]]元大統領を連想させる名で、右派の一部はそれを利用してオバマを「フセイン候補」などと呼ぶなどした。2008年の大統領選挙においてマケイン候補の討論会で「オバマはムスリムだ」という一般参加者がマイクを握るなど、10人に1人は、誤解していたことが知られている。これは共和党右派が「バラク・オバマはインドネシアで[[マドラサ]](イスラム神学校)に在籍してた」「オバマはインドネシアではイスラム教徒だった」などのデマを意図的に広めていたという背景がある。ちなみにそのとき [[ジョン・マケイン|マケイン]]候補(上院議員)は、一般参加者からマイクを奪ってその主張を否定して、オバマを擁護した。マケインの中道的姿勢は一部では賞賛されたが、ティーパーティー運動に加わるような右派の支持は失った</ref>としてレッテル貼りするなど、個人批判に近い文章が書かれていることが多く、過度に扇動的で、ティーパーティー運動が、元来の大きな政府や増税批判に留まらない、'''アメリカの分裂'''<ref>これに関連してアメリカでは、メディアでの取り扱われ方も、局の政治的な立場によって大きく異なる。一般論としては、[[MSNBC]]がリベラル側でオバマ支持、[[FOXニュース]]が保守側でティーパーティー擁護という構図。これは前ブッシュ政権、あるいはさらにその前のクリントン政権からの傾向であり、双方が偏向報道と暗に非難し合って、主義主張と視聴率争の両方で、しのぎを削っている</ref>を象徴する運動であることがうかがえる。 |
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ティーパーティー運動が[[人種差別]]を内在するのかはアメリカでも議論が続いている。ティーパーティー運動に反対するリベラリストの61%は彼らの反オバマの姿勢の根底には人種差別的敵意があると見る一方で、ティーパーティー運動を支持する保守派の7%しかその意見に賛同しない。しかし参加者の52%は最近黒人との人種的軋轢が高まったと答えており、25%はオバマ政権では白人よりも黒人が優遇されると答えている。参加者自身は、人種差別と関連付けられることは、メディアが作り上げたでっち上げであると主張することが多く、ティーパーティーに参加した数少ない黒人参加者達は、一様に、不当不快な扱いは受けていないと証言している。 |
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とはいえ、集会や集会参加者のなかには弁護のしようのない人種差別が見られたのは事実である。扇動者としての役割を果たしているリンボーやベック、マーク・ウィリアムスの過激な言葉には、愉快犯的で意図的な差別表現があり、聴衆への悪影響も懸念される。プラカードにたまに見られる「ナチ」や「ファシズム」、「ヒトラー」といった表現は、彼らの言葉そのままの受け売りである。活動家のデイル・ロバートソンは「議会=奴隷主、納税者=[[ニガー]]」と書いた看板をもっていて批判を浴びた<ref>彼は「 [http://www.teaparty.org/ TeaParty.org] 」の創設者。<br />{{Cite web|url=http://www.mediaite.com/online/analysis-was-the-notorious-racist-tea-party-sign-forged-we-believe-not/ |title=Analysis: Was The Notorious Racist Tea Party Sign Forged? We Believe Not |publisher=Mediaite |date=2010-03-31 |accessdate=2010-09-12}}</ref>。また通りかかったオバマ支持者や民主党員に対して、参加者がかなり酷い言葉や罵声を浴びせた場面はしばしば目撃されており、ティーパーティー各団体は、Nワードなどは使わないように参加者に注意している。 |
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一方、ティーパーティーの集会では、アメリカでは由緒のあるガズデン旗<ref name="gas"></ref>がシンボルの一つとして好んで用いられている。この旗のモットーは「'''俺を踏みつけるな'''」であり、これには貧富の差の拡大を背景にした、オバマ支持層のニューリッチやインテリ、エリート階層への反発が込められていて、反エスタブリッシュメント、つまり既存政治への不信感が運動の原動力の一つとなっているとされる。 |
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== オバマ政権の対応 == |
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オバマ政権と民主党は、ティーパーティー運動をたまにジョークのネタにする程度で、表だった批判は控えている。また「そんな運動があることはまったく知らない」と無視することもあった。これは連邦予算の削減や、減税といった運動が求める政策を次々と行っており、中低所得者に重点を絞った各種ケアなど政策への理解が浸透すれば、少なくとも無党派層からの支持は最終的には得られるだろうとの、楽観視があるからである<ref>大統領の当初からの方針は、①金融安定化のための新たな規律、②教育に対する投資、③再生可能なエネルギーと技術のための投資、④家族と企業の負担を削減するヘルスケア投資、⑤将来の世代のための負債の削減と連邦予算の節約、の5点だった。(2009年4月14日のジョージタウン大学でのオバマ大統領の経済演説より)</ref>。それに共和党が医療保険改革などを槍玉にして強烈な反対運動を起こすであろうことは織り込み済みで、驚きはなかった。民主党やリベラル派メディアは一貫して、ティーパーティー運動を、前述のような人種差別や党派主義に凝り固まった姿を強調して、過激派と関連づけようとしてきた。 |
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[[Image:Obama staff - Oval Office.jpg|thumb|left|ホワイトハウスの執務室,2009年7月21日, オバマ大統領と側近]][[2009年]][[4月29日]]、オバマ大統領は歳出の無駄削減を約束し、「働くアメリカの家族を助ける」のは本当は誰か(どの党か)を見定めて欲しいと語った<ref>Politicalticker (CNN) April 29, 2009</ref>。また[[2010年]][[4月10日]]の大統領週間演説と[[4月15日|15日]]の講演では、Tax Dayのティーパーティーの抗議を考慮して、繰り返し減税を行ったことをアピールした<ref>{{Cite news|url=http://www.positivelybarack.com/2010/04/10/president-obama-weekly-address-april-10-2010/ |title=President Obama Weekly Address April 10, 2010 |publisher=Positively Barack |date=2010-04-10|accessdate=2010-09-16}}</ref><ref>{{Cite news|url=http://www.whitehouse.gov/the-press-office/remarks-president-dnc-reception-41510 |title=Remarks by the President at DNC Reception |publisher=White House Press Office |date=2010-04-15|accessdate=2010-09-16}}</ref>。しかし15日の講演は内輪向けのもので全般的にジョークが多い軽いもの<ref>{{Cite news|url=http://www.prisonplanet.com/obama-mocks-tea-partiers-%E2%80%98you-would-think-they%E2%80%99d-be-saying-thank-you%E2%80%99.html |title=Obama Mocks Tea Partiers: ‘You Would Think They’d Be Saying Thank You’ |publisher=WFOR-TV/WBFS-TV |date=2010-04-16|accessdate=2010-09-16}}</ref>だったため、「彼らはありがとうというべきだ」などと茶化す場面も見れた<ref>{{Cite news|url=http://blogs.abcnews.com/politicalpunch/2010/04/obama-at-democratic-fundraiser-tea-partiers-should-be-thanking-him-for-tax-cuts.html |title=Obama at Democratic Fundraiser: Tea Partiers Should Be Thanking Him for Tax Cuts |publisher=ABC |date=2010-04-15|accessdate=2010-09-16}}</ref>。民主党資金提供者の聴衆は喜んだが、嘲られた側には反発と憤りもあって、攻撃材料にもなった。 |
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側近の4人組の一人として知られる大統領上級顧問[[デイヴィッド・アクセルロッド (政治コンサルタント)|アクセルロッド]]も、2009年のTax Day抗議の後、経済状態が悪いときはいつでも不満はでるものだが、政権が(公約通りに)「アメリカ人の95%が対象となる減税」を行ったのに(課税反対運動が起こるとは)当惑させられると述べた<ref>{{cite news |url=http://www.cbsnews.com/htdocs/pdf/FTN_041909.pdf |title=FACE THE NATION |format=PDF |publisher=CBS NEWS |date=2009-04-18 |accessdate=2010-09-17}}</ref>が、これは後から考えれば運動に対する認識を欠いた発言だった。4人組への批判は民主党内でも次第に強まっており、ジョン・ポデスタ<ref>クリントン政権時代の元首席補佐官</ref>は、大統領自身は幅広い意見を聞く耳を持っているが、「4人組が自分たちとは違う反対意見を大統領の耳に入れようとせず、世論を敵に回している」のではないかと<ref>{{cite news |url=http://sankei.jp.msn.com/world/america/100222/amr1002221843004-n1.htm |title=「4人組」がホワイトハウスを占拠 身内からも批判噴出 |publisher=[[産経新聞]] |date=2010-02-22 |accessdate=2010-02-23}}</ref>言っていて、対応のまずさがあったのではないかと危惧するむきもある。 |
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ラスムセン世論調査<ref name="ramu">{{Cite web|url=http://www.rasmussenreports.com/public_content/politics/general_politics/april_2010/tea_party_profile_many_ways_to_describe_a_movement |title=Tea Party Profile: Many Ways To Describe A Movement |publisher=Rasmussen Reports |date=2010-04-13 |accessdate=2010-09-18}}</ref>によれば、参加者のうちの89%がオバマ大統領の政権運営に不満で、国が正しい方向に進んでいると回答したのは4%だけだった。94%は政府は特定の利益団体にのみ恩恵を与えていると考えており、この考え(つまり政権が民主党であろうが共和党であろうが自分の利益団体のみを優遇するということ)は参加者以外でもアメリカ全体の67%に支持される。 |
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主要閣僚の一人である[[ティモシー・フランツ・ガイトナー|ガイトナー]][[アメリカ合衆国財務長官|財務長官]]は、[[NBC]]のインタビューにおいて、我々は赤字を削減して財政均衡に注意しているとして、「オバマ政権はティーパーティー運動と同じ側にいる」と強調した。彼は「赤字が重要でないと言っていた政権(前ブッシュ政権のこと)の8年を過ごしましたが、今、大規模減税案を議会に通し、新しい政策を大きな負担なしに進められています」と述べて、共和党がどのような政策をしていたか人々に思い出させようとした。ところが、FOXニュースではこのガイトナーの話を全く違うトーンで伝えており、彼の話はウソであるとして、ほぼ80%のアメリカ市民はワシントンの既成政治を信じてないと言い、ブッシュ前大統領は最後の1年間で4586億ドルの赤字をこしらえたが、オバマ大統領は2009年度会計で1兆4000億ドルの赤字をこしらえたと指摘して反論し、赤字は今後も1兆ドルを上回り続けるだろうと予想して非難した<ref>{{Cite web|url=http://www.foxnews.com/politics/2010/04/19/administration-tea-parties/ |title=Administration to Tea Parties: We're on Your Side |publisher=FOX NEWS |date=2009-04-18 |accessdate=2010-09-16}}</ref>。 |
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アメリカの分裂があまりに深刻なため、リベラル派の意見ははなっから聞かないという保守派も少なくない。双方のメディア攻勢はこれを助長している面が大きいことは前述の通りで、過激なまでに熱を帯びている。オバマ大統領の医療保険改革を説明するマサチューセッツ州の[[タウンミーティング]]では、オバマ大統領をヒトラーに模した写真を持ったティーパーティー活動家が「ナチの政策をなぜ支持するのか?」と質問し、民主党の名物下院議員バーニー・フランクが「逆にあなたはどこの惑星で暮らしているのか?と聞きたい。まったナンセンスだ。・・・あなたとの会話は机に向かって一人で話しているのと同じだ」とやり返す場面も見れた<ref>この事件は「タウンミーティングの暴徒」と呼ばれる。<br />{{Cite news|url=http://www.huffingtonpost.com/2009/08/19/barney-frank-confronts-wo_n_262682.html |title=Barney Frank Confronts Woman At Town Hall Comparing Obama To Hitler |publisher=Huffington Post |date=2009-08-19|accessdate=2010-09-20}}</ref>が、リベラルと保守の対立はこうまで深刻なのである。 |
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景気対策が効果を上げるのはまだかなり先のため、中間選挙を目前に控えて、保守派の攻勢には危機感が高まっているのも事実で、当初は高かったオバマ大統領の支持率も低下しつつある。著名なリベラル派の論評コラムニストの[[ポール・クルーグマン]]は、「今、オバマ支持者はまったく確信を失っているようだ。おそらくオバマ政権の退屈な現実が、変化を夢見ていた人々の期待を満たしていないからだろう。そうしている間にも、怒れる右派は激しい情熱に満たされつるある」と分析した<ref>{{Cite news| url=http://www.nytimes.com/2009/08/07/opinion/07krugman.html?ref=paulkrugman | work=The New York Times | title=The Town Hall Mob | first=Paul | last=Krugman | date=2009-08-06 | accessdate=2010-09-20}}</ref>。 |
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2010年の[[中間選挙]]の終盤戦にきて、民主党への逆風と芳しくない選挙予想が明らかになり、当初は軽視ないしは無視してきたティーパーティーはもはや侮れない存在であるのは明らかで、一部ではネガティブキャンペーンも交えて、批判的な対応となってきている。 |
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== 草の根は本物か? == |
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[[Image:TeaPartyRally - Searchlight, Nevada.jpg|thumb|[[ネバダ州]]サーチライト,2010年3月27日, 第3回エクスプレスに集まった大群衆。壇上にはペイリン]][[2009年]][[4月12日]]付けの[[ニューヨーク・タイムズ]]紙<ref name="gg">{{Cite news| url=http://www.nytimes.com/2009/04/13/opinion/13krugman.html | work=The New York Times | title=Tea Parties Forever | first=Paul | last=Krugman | date=2009-04-12 | accessdate=2010-09-13}}</ref>において、前述のクルーグマンは、ティーパーティーは自然発生的な国民感情が発揮された結果ではないと主張した。彼によれば、ティーパーティー運動はいわば「'''人工芝'''(草の根を装った政治イベント)」であり、共和党の戦略を担当するいつもの面々によって創られたもので、その中心的役割を担っているのはフリーダムワークス<ref name="FW">1984年創立の有力な保守派の[[NPO]]組織。実質的に共和党系の[[ロビイスト]]集団で、現在はティーパーティー各団体の間を取り持っている。( [[:en:FreedomWorks|FreedomWorks]] )</ref>という元下院院内総務のリチャード・アーミーによって運営されている組織であり、いつもの右派の億万長者たち<ref>コラムでは言及されてないが、アメリカで著名な保守派の富豪、コッチ兄弟([[:en:David H. Koch|David H. Koch]] と [[:en:Charles G. Koch|Charles G. Koch]])やFOXニュースを傘下にもつニューズ・コーポレーションのオーナーである[[ルパード・マードック]]のこと。なお億万長者の援助を受けているのは民主党を支持するリベラル系の団体も同じで、共和党だけが富豪の支援を受けているわけではないので注意。アーサー・ブランクや[[ウォーレン・バフェット]]、[[バリー・ディラー]]など民主党支持の富豪だけでなく、[[スティーブン・スピルバーグ]]や[[ジョージ・クルーニー]]らハリウッド著名人の間では民主党支持の方が圧倒的に多い</ref>によって経済的に援助されていると指摘。そして運動はFOXニュースによって大々的に宣伝されることで支えられているところが大きいとした。民主党下院議長[[ナンシー・ペロシ]]などもこの説に同調し、「これは本物の草の根運動ではなく、富裕層への減税をやめて中間所得者への減税に振り分けようとする(民主党の政策)から目を反らすための”人工芝”」と述べた。 |
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ただしこれには反論もあり、([[リバタリアン]]のコメンテーターおよび著名なブロガー)グレン・レノルズは、翌[[4月13日]]付けの[[ニューヨーク・ポスト]]紙において、草の根は天然芝(本物)であり、参加者はデモに慣れたセミプロの抗議者ではなく、仕事を持つ普通の人々、今まで抗議行動に参加したことがないような人々で、アメリカ政治に最近見かけなくなったエネルギーを吹き込む、新しい活動家であると指摘した<ref>{{Cite news|url=http://www.nypost.com/seven/04132009/postopinion/opedcolumnists/tea_parties__real_grassroots_164143.htm|title=Tea Parties: Real Grassroots|first=Glenn H.|last=Reynolds|publisher=The New York Post|date=2009-04-13|accessdate=2010-09-13}}</ref>。またティーパーティーの全国大会が、クルーグマンが指摘するような共和党保守派有力者がはっきり後援しているティーパーティー・パトリオッツという団体からのスポンサー契約を断ったことなどを受けて、ティーパーティーが必ずしも共和党に従属する存在ではないとも指摘。ワシントン・イグザミナー紙において、ティーパーティー運動は下から上への運動であり上から下へのものではない、自立自尊であると主張して、「アメリカ第三の覚醒」であるとまで言い切った<ref name="Reynolds">{{Cite news|url=http://www.washingtonexaminer.com/opinion/columns/OpEd-Contributor/Glenn-Reynolds-Tea-Party-Nashville-was-Americas-Third-Great-Awakening--83762647.html |title=Nashville Shows Tea Party Is America's Third Great Awakening|first=Glenn H.|last=Reynolds|publisher=the Washington Examiner|date=2010-02-07|accessdate=2010-09-13}}</ref>。 |
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とはいえ、TPM<ref>[[:en:Talking Points Memo|Talking Points Memo]]の略。アメリカで著名な政治ブログサイト</ref>のリポーターであるブライアン・ビュートラーの[[4月14日]]付けの補足記事<ref name="BB"></ref>にもあるように、少なくとも当初は演出された草の根であったと考える根拠がいくつかある。また同じくTPMのザカリー・ロスは、多くのティーパーティー団体が共和党やフリーダムワークスに会計処理を任せて事実上資金提供を受けていると指摘した<ref>{{Cite news|url=http://tpmmuckraker.talkingpointsmemo.com/2009/12/majority_of_tea_party_groups_spending_went_to_gop.php?ref=fpa |title=Majority Of Tea Party Group's Spending Went To GOP Firm That Created It |publisher=TPMDC |date=2009-12-28|accessdate=2010-09-13}}</ref>。フリーダムワークスについては、このティーパーティー運動以前にも、他の草の根運動をプロデュース<ref>{{Cite news|url=http://online.wsj.com/article/SB121090164137297527.html |title=Mortgage Bailout Infuriates Tenants (And Steve Forbes) |publisher=The Wall Street Journal - WSJ.com |date=2008-5-16 |accessdate=2010-09-13}}</ref>してきた実績があり、共和党のオペレーションが動いていることに疑いの余地はない。しかも今回は非常に効果を上げていると言えるだろう。ティーパーティー・エクスプレスなどの大規模イベントも明らかに組織化された動員型の政治イベントである。 |
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しかし団体や参加者が全て組織化されているかといえばそうともいえず、過激なプラカードにも現れるように、雑多で無秩序な集団であるのも事実だ。運動が拡大する課程で、不満をもつアメリカ人(の特に白人)の琴線にふれるものがあったのだろう。運動自体には確かに制御不能の本物の勢いがある。また参加者の78%は保守派の共和党員で、共和党に投票するが、その75%が共和党主流派と関係のないアウトサイダーの候補を支持すると表明<ref name="ramu"></ref>しており、運動がこうも盛り上がった今、後述のように共和党主流派はその対応に苦慮しているといえるだろう。彼らの怒りの矛先は必ずしもオバマ政権や民主党に留まらず、共和党主流派にも向けられていて、しばしば[[ロス・ペロー]]支持者のような予想の付かない投票行動をみせることがあり、共和党の戦略担当ヴィン・ウェーバーは、「この'''草の根運動は本物'''である。それが利用するのを難しくしている」と認めた<ref name="vw">{{Cite news|url=http://online.wsj.com/article/SB125564976279388879.html |title=Tea-Party Activists Complicate Republican Comeback Strategy |publisher= The Wall Street Journal |date=2009-10-16|accessdate=2010-09-20}}</ref>。 |
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ニューヨーク・タイムズ紙の別の著名な論評コラムニストの[[デイヴィッド・ブルックス]]は、ティーパーティー運動が景気の後退や、既成政治への不満、閉め出された不満分子の受け皿となったと背景を指摘した上で、「'''今後10年を特徴付ける政治運動となる可能性がある'''」と主張する<ref>デイヴィッド・ブルックスは保守派のコラムニストだが、ティーパーティー運動の支持者ではなく、悲観的にとらえていた。( [[:en:David Brooks (journalist)|David Brooks]] ){{Cite news|url=http://www.nytimes.com/2010/01/05/opinion/05brooks.html?ref=opinion |first=DAVID |last=BROOKS |title=The Tea Party Teens |publisher=The New York Times |date=2010-01-04|accessdate=2010-09-16}}</ref>。また彼は「ティーパーティーがいずれ共和党を支配するだろう」とも予想した。草の根運動が既成の二大政党制の枠組みを突き崩すのではないかという見解もある<ref>Scott Rasmussen, Doug Schoen(著)『 Mad As Hell LP: How the Tea Party Movement Is Fundamentally Remaking Our Two-Party System 』HarperLuxe、2010/9/1 ISBN-13 978-0062018755</ref>。 |
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== 運動の問題点 == |
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現在のティーパーティー運動の問題点は、各地に分散するティーパーティー団体を結集する政治的指導者がいないことと、思想面での[[イデオロギー|イデオローグ]]が固まっていないことである。 |
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[[Image:Sarah Palin Missouri rally.jpg|thumb|最近ティーパーティー集会にひっぱりだこのサラ・ペイリン。(写真は大統領選挙当時のもの)]] |
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サラ・ペイリンは保守主義者の間で最も人気のある政治家だが、同時に指導者としての資質に問題があるとされ、「大統領の器ではない」という評価<ref>ティーパーティー参加者のなかでも47%はサラ・ペイリンは将来の大統領として有望ではないと答えており、これが全米調査になると63%に跳ね上がる</ref>が定着しつつある。また共和党支持者以外を含めると彼女には支持者と同じ数だけの反対者がおり、かつての保守層と無党派層の両方を結集した[[ロナルド・レーガン]]のような理想的なリーダーではない。グレン・ベックも保守派の間に限れば知名度は高いが、反対派からは”狂った”と形容されることもあるほどの超保守派<ref>彼が[http://www.time.com/time/covers/0,16641,20090928,00.html/ 雑誌タイムの表紙]<!--閲覧2010/09/12-->を飾った際には、テレビドラマのタイトルをもじって「マッドマン」というタイトルが付けれ、舌を出した挑発的な顔写真が載った。<br />{{Cite web|url=http://www.time.com/time/politics/article/0,8599,1924348-1,00.html |title=Mad Man: Is Glenn Beck Bad for America? |publisher=TIME |date=2009-09-17 |accessdate=2010-09-12}}</ref>で、しばしば共和党の議員をも口汚く罵ることがある。またグレン・ベックは、最近宗教色の濃い言動が多いが、自身が[[キリスト教系の新宗教|キリスト教系の新興宗教]]である[[末日聖徒イエス・キリスト教会|モルモン教徒]]であるため、もし選挙などになったらバプティスト派が大半の宗教保守派からの支持はあまり期待できないとの分析もある。ただ彼の言動は保守派に影響力<ref>ティーパーティー参加者の59%がベックの意見を好意的にとらえて支持率が高い。しかし全米調査になると、グレン・ベックという名前は聞いたことがないという47%が最大で、保守派以外には知名度も影響力もあまりないことがわかる。<br />またベックは自分の番組内で金を買う投資を視聴者に勧めて、スポンサー企業に利益誘導したことでも批判を浴びているが、彼の呼びかけに応じて金を買ったと答えたのは5%に過ぎなかった</ref>があり、オバマ大統領を当選させた[[オプラ・ウィンフリー]]のような役割は可能かもしれない。とはいえ、前述のレノルズは、ティーパーティーは指導者を必要としてはいない<ref name="Reynolds"></ref>と言っていて、草の根はあくまでも下からの運動というスタンスを取っているので、それに従えば、中心となる政治的指導者がいないことは弱点というよりも特徴といったほうがいいだろう。 |
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ちなみに同じく前述の調査(2010年4月時点)<ref name="cbs"></ref>では、ティーパーティー参加者の中での指導者の支持率は、サラ・ペイリンが61%(反対12%)、グレン・ベックが59%(反対6%)、ブッシュ前大統領が57%(反対27%)、ロン・ポールが28%(反対15%)となっていた。しかし参加者に運動のゴールを聞くと、自分たちが支持する大統領候補を擁立するはわずか7%に過ぎず、指導者を担ぎ出そうとする欲求が低いことが分かる。全米ティーパーティー同盟<ref>「[http://www.nationwidechicagoteaparty.com/ The Nationwide Tea Party Coalition]」のこと</ref>などは、ゴールの一つに財政規律を支持する下院議員を多く選出して、責任ある議会にすることを挙げている。 |
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イデオローグについては、前述のフリーダムワークス<ref name="FW"></ref>の傘下にある「アメリカからの契約<ref>「[[:en:Contract from America|Contract from America]]」のこと。「アメリカからの誓約」と訳されることも。クリントン政権時代の中間選挙で[[ニュート・ギングリッチ|ギングリッチ]]下院共和党院内総務(当時)が指導した共和党が「アメリカとの契約([[:en:Contract with America|Contract with America]])」という文書を掲げて大勝した事例をもじったもの</ref>」という団体が十箇条の綱領<ref>十箇条は以下 ①憲法の遵守 ②排出権取引の拒否 ③連邦財政の均衡 ④根本的な税制改革 ⑤小さな政府 ⑥歯止めのない歳出の終了 ⑦医療保険改革法撤回 ⑧無制限のエネルギー政策 ⑨バラマキ財政の停止 ⑩減税(増税の停止)<br />[http://www.thecontract.org/the-contract-from-america/ The Contract from America: Text Version]</ref>をまとめてティーパーティーや議員に署名を求めているが、この綱領では経済政策への提言のみで、ティーパーティーが持つ右翼的主張は含まれていない。また提言自体がそもそも具体性がなく、クルーグマンなどはフリーダムワークスの政策形成能力に疑問を呈し、妨害しようとするばかりで、信頼できる経済政策は持ち合わせてないのではないかと批判した<ref name="gg"></ref>。このアメリカからの契約は、2010年の中間選挙での共和党の公約にも採用されたが、この公約に対しては保守派・リベラル派の双方から具体性に乏しく過去の公約の焼き直しにすぎない、妄想であると批判されている<ref>{{cite web| first=Michael M. | last=Phillips |url=http://jp.wsj.com/US/Politics/node_108778 |title=米共和党議員、公約の「アメリカとの誓約」を売り込み |publisher= ウォール・ストリート・ジャーナル・日本版 |date=2010-09-28 |accessdate=2010-09-28}}</ref><ref>{{cite web| author=ベン・アドラー、デービッド・グレアム |url=http://www.newsweekjapan.jp/stories/us/2010/10/post-1755.php |title=度しがたい共和党の妄想 |publisher= Newsweek日本版 |date=2010-10-28 |accessdate=2010-11-01}}</ref>。 |
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運動でもっとも多い要求は「小さな政府の実現(45%)」で、「雇用創出(9%)」「減税(6%)」が続く<ref name="cbs"></ref>。ティーパーティーは雇用創出のための大規模な財政支出を”政府による過剰な介入”と批判しており、不況や雇用情勢の悪化の渦中でも過度の政府介入を避け、民間の自主性を尊重する'''小さな政府'''の実現を訴えている。いわゆる[[リバタリアニズム]]の主張である。しかしロン・ポールのように最初から対外不干渉主義を明言するのでなければ、軍事費と債務の膨らむ戦時下で、しかも税収が減少するリセッションの最中にあって、減税と財政規律の両方を実現することはほとんど不可能と言っていいほど困難であり、(結果的に主張とは正反対になる)無責任な[[ポピュリズム]]に陥る危険を孕んでいる。 |
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[[Image:9.12 tea party in DC.jpg|left|thumb|[[ワシントンD.C.]],2009年9月12日, [[ナショナル・モール]]での抗議集会]] |
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運動は共和党の支持基盤である右派を活発化させたが、同時に過激派、愛国主義、極右主義をも巻き込んでしまった。ティーパーティーが純粋な[[保守|保守主義]]の主張を掲げて、押し広めれば広めるほど右翼的な主張も目立つことにもなるため、前述のような偏狭で排他的なアメリカの姿をも映し出しだすことになって、無党派層や共和党の穏健派までも遠ざける結果になるのではないかと危惧され、浮動票の取り込み戦略を阻害する可能性がある。後述するが、オドネル候補やアングル候補の例がそれにあたり、極端な右傾化はアメリカの分裂を際だたせるだけで、反対勢力に逆に利をなす。ティーパーティーが[[ロックフェラー・リパブリカン|共和党穏健派]]の候補をしばしば嫌悪するのも懸念材料だ。実際、共和党主流派が推薦する候補以外の候補をティーパーティーが支持して選挙で勝利したことがあり、これも後述するが、ペイリンの地元である[[アラスカ州]]では予備選に敗れた[[リーサ・マーカウスキー|マーカウスキー]]候補が第三候補として出馬し、共和党の票が割れる危機に瀕してる。 |
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このような事態になる前から、共和党主流派は草の根保守との連合を模索してきた。しかし[[共和党全国委員会|共和党全国委員会長]][[マイケル・スティール]]がシカゴでのティーパーティー集会で発言する機会を求めて、拒絶されたという経緯がある<ref>{{cite web| first=Rachel | last=Weiner |url=http://www.huffingtonpost.com/2009/04/09/chicago-tea-party-rejects_n_185026.html |title=Chicago Tea Party Rejects Michael Steele |publisher= Huffington Post |date=2009-04-10 |accessdate=2010-09-20}}</ref>。共和党実力者の[[ミシシッピ州]]ヘイリー・バーバー知事がWSJ紙上で反オバマという共通の目的でティーパーティーと共和党主流派は連合すべきだと訴えるなど<ref>{{cite web| first=HALEY | last=BARBOUR |url=http://online.wsj.com/article/SB10001424052748703989304575503921088554324.html |title=GOP, Tea Party Unity Spells Defeat For Obama |publisher= WSJ |date=2010-09-21 |accessdate=2010-10-04}}</ref>、中間選挙を睨んで現在も引き続き共和党は取り込みを図っているが、ティーパーティーと一口にいっても、草の根保守はその発言の内容やトーンからおおよそリバタリアン系と右派系とに色分けが可能で、そもそも彼ら自身が一枚板ではない。なかでも、リバタリアン系の小さな政府主義者の主張は、共和党の政策に同調するものではなく、しばしば第三党的と評されるが、特に外交政策においては海外展開の縮小や国防予算の大幅な圧縮を求めているという点において決定的に対立する。その代表格であるロン・ポールは、[[:en:Foreign Policy|フォーリン・ポリシー誌]]に寄稿して、共和党がティーパーティーを取り込んで利用しようとするだけで、ティーパーティーの主張には目を向けてない所を批判した<ref>{{cite web|url=http://www.foreignpolicy.com/articles/2010/08/27/a_tea_party_foreign_policy |title=A Tea Party Foreign Policy |publisher= Foreign Policy |date=2010-08-27 |first=Ron | last=Paul |accessdate=2010-10-04}}</ref>。また右派系(しばしば”サラ・ペイリンのティーパーティー”と揶揄される方)も、中道とのイデオローグ上の違い、既成政治への不信感から、独自路線を保とうとする団体が多いようである<ref>{{cite web|url=http://www.huffingtonpost.com/2010/02/16/michael-steele-and-tea-pa_n_464043.html |title=Michael Steele And Tea Party Leadership Meet In Washington |publisher= Huffington Post |date=2010-02-19 |accessdate=2010-09-20}}</ref><ref name="vw"></ref>。サラ・ペイリン本人は、まだ将来の大統領選への態度を表明してないためか、日和見的態度をとっており、彼らの指導者のように振る舞ってティーパーティーの支持をあてにしながらも、共和党主流派とも決定的な対立はせず、一部は協力をしている。 |
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このような事情のため、草の根運動であるティーパーティが保守層を結集して無党派層までも取り込むのか、あるいは共和党を穏健派と草の根保守とに分裂させるだけなのか、評価は定まっていない。<br clear="left" /> |
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== ティーパーティーの投票行動 == |
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2010年の中間選挙にむけてアメリカ各地では予備選が行われているが、ティーパーティーはしばしば独自の投票行動を見せていて、共和党内部での勢力を拡大している。このようにティーパーティーが予備選において候補者の保守度合いを測る[[リトマス試験紙]]となるのは共和党にとっては必ずしも好ましいことではないが、現在、彼らの動向は注目されている。ギャラップの世論調査によると、有権者の63%は現職議員の大半は再選に値しないと答えており、再選に値すると答えた32%を大きく上回る。アウトサイダーの新人有利の風が吹く選挙戦となっている。 |
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共和党予備選では、サラ・ペイリンがテコ入れした候補は上院で7勝2敗、下院で11勝6敗、州知事選で6勝3敗となった。彼女は独自に「[[ママ・グリズリー]]<ref>( [[:en:Mama grizzly|Mama grizzly]] )</ref><ref>{{cite web| author=リサ・ミラー |url=http://www.newsweekjapan.jp/stories/us/2010/10/post-1759.php |title=母グマたちの乱はアメリカ政治を変えるか |publisher= Newsweek日本版 |date=2010-10-29 |accessdate=2010-11-01}}</ref>」と自ら名付けた保守派の女性候補者グループを重点的に応援している。ペイリンとティーパーティーの支持不支持は一部重複・一部対立するが、結果的にティーパーティーが推す候補者は、上院で8候補、下院では5候補、州知事選では3候補が指名を獲得した<ref>勝敗の数は産経の調べ。言及されているティーパーティー推薦候補の内訳は不明。<br />{{cite web|url=http://sankei.jp.msn.com/world/america/100919/amr1009191946006-n1.htm |title=米中間選挙予備選 ティーパーティーの影響力は? |publisher=産経ニュース | author=佐々木類 |date=2010-09-19 |accessdate=2010-10-02}}</ref>。 |
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<div style="margin:1.2em 5em 0.5em 5em;">{{現在進行|section=1}}</div> |
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<div style="float:right; padding:1em 0em 0em 2em;"> '''アメリカ上院選挙の改選州'''<br />{{legend|#008|民主党現職2人が改選となる州}}{{legend|#3072af|民主党現職の州}}{{legend|#39f|民主党現職の引退または予選敗退した州}}{{legend|#d53034|共和党現職の州}}{{legend|#f99|共和党現職が引退または予選敗退した州}}{{legend|#d5d3d5|非改選州}}</div> |
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[[Image:2010 Senate election map.png|320px|right|詳しくは「[[:en:United States Senate elections, 2010|United States Senate elections, 2010]]]を参照|link=en:United States Senate elections, 2010]] |
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==== 上院選挙 ==== |
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[[アメリカ合衆国上院]]は100議席あり、改選前で民主党59(独立系2を含む)と共和党41という情勢であった。そのうち2010年中間選挙で改選されるのは37議席で、現職を保持するのは民主党19、共和党18である。予備選の結果、民主党から現職12名と新人または元職25名、共和党から現職10名(1名は指名外の記名候補)と新人または元職28名、無所属(共和党系)から1名が立候補し、さらにその他の党から4名が立候補している。戦前の予想では、民主党への逆風が強く、勢力の逆転まで至るかが注目されている。 |
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*[[2010年]][[1月19日]]に、エドワード・ケネディ上院議員の死去に伴う補欠選挙で、ティーパーティー・パトリオッツは新人の[[スコット・ブラウン (政治家)|スコット・ブラウン]]候補を擁立して、共和党予備選で[[マサチューセッツ州]]で従来から指名候補者だったロビンソン候補を大差で破った。さらに本選でも「[[カート・シリング]]は[[ニューヨーク・ヤンキース|ヤンキース]]ファン」との失言をした民主党候補マーサ・コークリー州務長官を破って当選。これによりマサチューセッツ州の上院議席のうち1つは一足早く[[2013年]]まで共和党のものとなり、上院の議事進行妨害行為を阻止するのに必要な安定多数である60議席を民主党は割ることになった。これで一時的ながら、医療保険改革に待ったをかけることに成功した。(しかし結局は3月に医療保険改革は議会を通過した) |
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===== 上院予備選 ===== |
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<!--上院選後に上部セクションに統合予定。サラ・ペイリン関係とティーパーティー敗北の州も記事にしている--> |
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*[[2010年]][[5月8日]]、ポークバレル<ref name="pork"></ref>つまり地元利益誘導型のベテラン政治家で、超党派の立場でオバマ大統領の景気刺激策に協力した[[ユタ州]]の共和党現職ボブ・ベネット上院議員が、四期目の共和党指名候補者になるのをティーパーティーは阻止した。ユタ州は、ベテラン議員が脱落して後は接戦となったが、ティーパーティーやフリーダムワークス、ロン・ポールなどが支持した弁護士マイク・リー候補が、第三投票での劣勢を、[[6月22日]]の決選投票において僅差で逆転するという劇的展開で指名を獲得している。ティーパーティーの資金力と動員力を見せつけた選挙戦であった。 |
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*[[2010年]][[5月18日]]、[[アーカンソー州]]の共和党上院予備選で、下院議員ジョン・ブーズマン候補に対して、ティーパーティーは彼がブッシュ前政権やオバマ政権時代の赤字予算の作成に関与した大きな政府の責任を問うとして、ティーパーティー独自候補を擁立した。結果は、対立7候補を破るブーズマンの圧勝だったが、直接刃向かった例である。またティーパーティーは、民主党上院予備選にも影響を与えており、リベラル派の現職ブランチ・リンカーン上院議員の対立候補ビル・ホルター州副知事を支持して、窮地に追いやった。リンカーン議員は医療保険改革法案に反対票を入れて批判をかわし、結果はきん差でリンカーンの勝利だったが、本選での世論調査ではブーズマンが優勢である。 |
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*[[2010年]][[5月18日]]、[[ケンタッキー州]]の共和党上院予備選で、同州出身の共和党院内総務ミッチ・マッコーネルや、[[ディック・チェイニー|チェイニー前副大統領]]らの支援を取り付けていた共和党主流派の同州務長官グレイソン候補に対して、ロン・ポールの息子(次男)で、眼科医の[[ランド・ポール]]候補は、ティーパーティーの草の根的な熱烈支援を得て、地滑り的な勝利を収めた。ランド・ポールは父親同様にリバタリアンの小さな政府論者で、インテリ層に高い人気を誇り、本選でも民主党候補に対して世論調査では優勢を示している。 |
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*[[2010年]][[6月8日]]、[[カルフォルニア州]]の共和党上院予備選で、[[ヒューレット・パッカード|HP]]のCEOなどを歴任したシリコンバレーの著名な女性経営者[[カーリー・フィオリーナ]]候補は、対立2候補を破って勝利した。彼女はIT長者であり、いわゆる草の根系候補ではないが、2008年大統領選挙で遺恨のあったサラ・ペイリンと和解してその支持を受け、圧勝している。 |
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[[Image:Rand Paul in Frankfort by Gage Skidmore.jpg|thumb|[[ケンタッキー州]][[フランクフォート (ケンタッキー州)|フランクフォート]]にて。小さな政府支持者のアイドルであるランド・ポール, 2009年12月30日]] |
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*[[2010年]][[6月8日]]、[[ネバダ州]]の共和党上院予備選で、すでに[[4月15日]]のティーパーティー・エクスプレスで推薦を受けていたシャロン・アングル候補は、保守派のラジオ司会者マーク・レヴィンらの支持もあり、対立8候補を破って勝利した。ティーパーティーは、同州の上院議員である民主党上院[[院内総務 (アメリカ)|院内総務]][[ハリー・リード]]を目の敵にしており、'''最重点選挙区'''である。民主党と既成候補の逆風のなかで、本選でも世論調査の経過ではアングル候補がやや優勢であったが、11月が近づくにしたがってアングル候補の「アメリカは国連から脱退すべき」や「教育省・エネルギー省の廃止」、「失業保険廃止」など極端な主張に辟易した世論が右傾化に反発し、低迷していたリード議員の支持率の方が急上昇してきて逆転した。現在は一進一退の攻防が続いているが、保守への偏りが無党派層を遠ざけてしまった例になる可能性がでてきた。民主党の選挙担当であるロバート・メネンデス上院議員はアングル候補の予備選勝利について「共和党の権力層に近い候補者より、過激な候補者を選択した1つの例だ」との見解を示している。 |
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*[[2010年]][[8月24日]]、[[アラスカ州]]の共和党上院予備選で、現職の共和党[[リーサ・マーカウスキー]]上院議員に対して、ティーパーティーとサラ・ペイリンは、陸軍士官学校出身の弁護士ジョー・ミラー候補を支持して、接戦の末に勝利した。リーサ・マーカウスキーの父親[[フランク・マーカウスキー]]は、前職の同州上院議員で、かつペイリンの前のアラスカ州知事であり、2006年の州知事選ではお互いに中傷合戦を繰り広げた対立候補であった。マーカウスキー家と遺恨のあるペイリンは、リーサ・マーカウスキーが共和党主流派で「十分に保守的ではない」として強くミラー候補を肩入れして、3%差の僅差での勝利だった。アラスカ州はレッドステートと呼ばれる共和党の地盤で、共和党予備選に勝つことは、そのまま上院の議席を意味すると言われるため、敗北してもまだ僅差で本選での巻き返しの可能性のあるリーサ・マーカウスキーは記名候補(ライトイン)として出馬した。共和党の票は割れることになったが、依然として共和党のミラー候補が世論調査では優勢で、民主党候補が勝つ見込みはほとんどない。しかしミラー対マーカウスキーは'''保守分裂'''の激しい選挙戦が予想され予断を許さない。 |
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*[[2010年]][[8月24日]]、[[アリゾナ州]]の共和党上院予備選では、2008年大統領選で共和党大統領候補となった現職の上院議員[[ジョン・マケイン]]が楽勝すると思われていたが、ティーパーティーの一部が「マケインは正真正銘の保守ではない」というラジオの保守派キャスターで元下院議員ヘイワース候補の支持に回ったため、激しい選挙戦となった。中道派であるマケインは、不法移民対策での弱腰や、妊娠中絶や生命倫理で批判され、一時、窮地に立つ。彼はなりふり構わずに、保守路線に軌道修正し、巨額の選挙資金を投じて徹底的なネガティブキャンペーンを行って、最終的には全面的に勝利したが、共和党主流派は右派におもねることで辛うじてティーパーティーの攻撃をかわした格好だ。なおマケインとサラ・ペイリンの大統領選後の確執は有名だが、ペイリンはマケイン支持を表明していた。 |
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*[[2010年]][[8月24日]]、[[フロリダ州]]の共和党上院予備選では、共和党穏健派のチャーリー・クリスト同州知事が出馬して楽勝と思われていたが、ティーパーティーの熱烈支持を受けたキューバ移民二世の同州下院議長[[マルコ・ルビオ]]候補に猛追されて、クリストは辞退に追い込まれた。クリストは2008年大統領選挙で大統領候補の一人と目された有力知事だったのだが、オバマ大統領の景気刺激策に賛成するなど、保守派の批判を浴びていた。結局、彼は第三の無所属候補として出馬することになり、ここでも共和党の地盤での'''保守分裂'''となった。ハンサムなルビオは「共和党のオバマ」と称される共和党の次世代スター候補で、妊娠中絶反対や小さな政府などを主張する保守派。 |
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*[[2010年]][[9月14日]]、[[デラウェア州]]の共和党上院予備選で、共和党穏健派で無党派にも幅広い人気を誇った元同州知事で下院議員キャッスル候補に対して、ティーパーティーとサラ・ペイリン、マーク・レヴィンらは、[[クリスティン・オドネル]]候補を支持して、終盤で一気に劣勢を巻き返して勝利した。しかしオドネル候補は「[[オナニー|マスターベーション]]に反対する」や「(タイム誌の表紙になったという理由で)オバマは悪人<ref>オドネルのFOXニュースでの発言で、彼女によるとタイム誌は過去にヒトラーやスターリンが表紙になってきたので、同じく表紙になったオバマも悪人であるという主張だった。この意味不明の発言はその場にいたFOXの保守派コメンテーターにも一笑に付された</ref>」と言うなどしばしば奇妙な発言をすることで知られる右翼の超保守派で、進化論を否定し、共和党関係者ですら妄想的と眉をひそめる人物である。民主党寄りの無党派層を取り込める可能性のあったキャッスル候補で共和党主流派は選挙を勝負したかったので、ティーパーティーに阻止された格好だ。ブッシュ前政権で戦略担当だった[[カール・ローブ]]などは彼女のようなガチガチの保守が共和党の候補者では本選に負けると嘆息する。奇妙な発言であってもメディアに取り上げられることが多いので、良くも悪くも、第二のサラ・ペイリンとの評価もあるが、過剰な注目のマイナス効果として学歴詐称疑惑なども報じられ、その後は支持率を落としている。もともとデラウェア州は民主党の地盤であり、世論調査でもオドネル候補は劣勢で、彼女は前回の2008年上院選でも現在の[[ジョセフ・バイデン|ジョー・バイデン副大統領]](当時は上院議員)に完敗した。 |
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*[[2010年]][[9月14日]]、[[ニューハンプシャー州]]の共和党上院予備選で、地元のティーパーティーは弁護士オビド・ラモンテイン候補を支持して、共和党主流派とサラ・ペイリンなどが支持した前州検察総長ケリー・アヨッテ候補と激しい選挙戦を演じた。結果はアヨッテが得票差わずか1667票で辛勝した。この大接戦の背景はティーパーティーの力によるところが大きく、負けはしたが、選挙を盛り上げ、その余勢をもって本選でもやや共和党有利である。 |
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==== 下院選挙 ==== |
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[[アメリカ合衆国下院]]は2年に一度全議席(435)が改選されるが、2010年の改選前で民主党(257)と共和党(178)の勢力に分かれていた。大統領選で与党が大勝した後の中間選挙では、”引き潮”という政治力学が働き、例年、与党が不利となるが、2010年は経済の悪化という悪条件も加わり、ティーパーティー草の根保守の活動もある。民主党への逆風は強いが、もともと下院は現職に有利な区割りのため、これだけの逆風でも民主共和両党の現職再選がほぼ確実な選挙区がおよそ4/5を占める。両党は残りの1/5を取り合うわけだが、結果が予想できないほどの接戦となっているのはそのなかでも40前後の選挙区に限られる。しかしそれでも民主党は大敗が予想されており、下院で過半数を割る可能性が高くなっている。(詳しくは「[[:en:United States House of Representatives elections, 2010|英語版・下院選記事を参照]]」) |
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===== 下院予備選 ===== |
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<!--選挙後に上部セクションに統合予定--> |
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*[[2010年]]3月、[[イリノイ州]]第11区の共和党下院予備選で、ティーパーティーの支持を受けたアダム・キンジンガー候補が第2投票で指名を獲得した。本選では現職の民主党デビー・ハルバーソン下院議員に挑むことになるが、優位に選挙戦を進めている。 |
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*[[2010年]][[6月8日]]、[[サウスダコタ州]]全州代表の共和党下院予備選で、州議会議員クリスティ・ノエム候補は、ティーパーティーの熱心な支持を受けて、州務長官ネルソン候補など3候補を破って指名を獲得した。ノエムはサラ・ペイリンと同じ「生命を尊ぶフェミニスト(FFL)<ref>「[[:en:Feminists for Life|Feminists for Life]]」のこと</ref>」という団体に属する[[プロライフ]]を支持する妊娠中絶反対<ref>サウスダコタはもともと全米唯一の中絶違法州</ref>の保守派。またオバマケアにも反対していて同法の廃止を訴えている。 |
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<div style="float:right; padding:0em 0em 0em 2em;"> '''アメリカ州知事挙が行われる州'''<br /> |
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{{legend|#3072af|民主党現職}}{{legend|#39f|民主党現職の任期切れ}}{{legend|#d53034|共和党現職}}{{legend|#f99|共和党現職の任期切れおよび予備選敗退}}{{legend|#00FF00|無所属現職の任期切れ退任}}{{legend|#d5d3d5|選挙なし}}</div> |
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[[Image:2010 Gubernatorial Election Map.svg|320px|right|詳しくは「[[:en:United States gubernatorial elections, 2010|United States gubernatorial elections, 2010]]]を参照|link=en:United States gubernatorial elections, 2010]] |
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*[[2010年]][[6月8日]]、[[サウスカロライナ州]]第1区の共和党下院予備選で、ティーパーティーの支持を受けたトム・スコット候補が、共和党主流派が支持し、前同州上院議員ストロム・サーモンドの息子であるポール・サーモンド候補らを破って指名を獲得した。一方、同州第1区では[[リバタリアン党 (アメリカ)|リバタリアン党]]のキース・ブランドフォード候補も、ボストンティーパーティー全国委員会という2006年創立の最も古いティーパーティーグループから公認をうけて立候補しており、ティーパーティー分裂の選挙となった。 |
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*[[2010年]][[6月8日]]、[[ニュージャージー州]]第6区の共和党下院予備選で、ティーパーティーの支持を受けたアン・C・リトル候補が、共和党主流派が擁立した候補を破って指名を獲得した。 |
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==== 州知事選挙 ==== |
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アメリカ合衆国の50州およびその他の領土のうち今回改選があるのは37州と[[グアム]](準州)と[[アメリカ領ヴァージン諸島]](属領)の39の地域である。改選前の民主党知事は20人で、うち8人が任期切れ、4人が自主的に退任する。ティーパーティーの活動によって前述のフロリダ州知事が無所属に転じたため、改選前の共和党知事は一人減って18人で、うち8人が任期切れ、3人が自主的に退任、1人の現職が予備選で敗退した<ref>ネバダ州のギボンズ知事の予選敗退は、ティーパーティーとはあまり関係なく、本人のセクハラ騒動や汚職、失政によるもの。広範囲に支持を失っていて再選を断念した</ref>。37州のうち24州は現職が立候補しない新人同士の対決で、およそ半数が接戦となっている。<ref>アメリカの各州知事の任期や多選制限は[[アメリカ合衆国の州|州]]によって異なる。4年2期までが一番多いが、期限なし無制限の州もある。<br />( [[:en:Term_limits_in_the_United_States#Gubernatorial_term_limits|Gubernatorial term limits]] )</ref> |
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===== 州知事予備選 ===== |
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*[[2010年]][[6月1日]]、[[ニューメキシコ州]]の共和党州知事予備選で、地方検事スザンナ・マルチネス候補は、サラ・ペイリンの支持を得て、指名候補となった。これでニューメキシコは民主党指名候補の同州副知事ダイアン・デニッシュ候補とで女性候補同士の対決となった。マルチネス候補がもし本選で当選すれば、ヒスパニック系女性初の知事となる。 |
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[[Image:Screen shot 2010-06-28 at 28 Jun 17.17.19.png|thumb|150px|州知事選でのティーパーティーのシンボル的存在のニッキー・ヘイリー, 2009年6月8日]] |
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*[[2010年]][[6月8日]]、[[メイン州]]の共和党州知事予備選で、ウォータービル市長ポール・ルパージュ候補が、ティーパーティーの草の根的な支持を得て、対立6候補を破って指名を獲得した。 |
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*[[2010年]][[6月22日]]、[[サウスカロライナ州]]の共和党州知事予備選で、[[ミット・ロムニー]]前州知事やサラ・ペイリン、ティーパーティーの支持を受けた同州下院議員[[ニッキー・ヘイリー]]候補が、終盤に急速に支持を伸ばし、チェイニー前副大統領らが支持した共和主流派の下院議員グレシャム・バレット候補を、決選投票で破って指名を獲得した。ヘイリー候補はインド系アメリカ人、かつ[[シク教|シーク教]]から改宗した[[メソジスト]]ということで、人種差別の疑惑が付きまとうティーパーティー系では異色の候補である。彼女がもし本選で当選すれば二人目<ref>ルイジアナ州の共和党現職の[[ボビー・ジンダル]]州知事がインド系では初であった</ref>のインド系知事となる。サウスカロライナ州は今回任期切れで退任するマーク・サンフォード知事が不倫失踪事件を起こしたことで有名だが、スレンダーな美人のヘイリー候補にも予備選の最中に二人の不倫相手と名乗る男性がメディアに登場するなどの騒動があった。 |
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*[[2010年]][[7月27日]]、[[オクラホマ州]]の共和党州知事予備選で、サラ・ペイリンが支持する下院議員メアリー・フォーリン候補が、対立5候補を破って指名を獲得した。 |
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*[[2010年]][[9月14日]]、[[ニューヨーク州]]の共和党州知事予備選で、ティーパーティーの熱心な支援を受けた不動産開発業者カール・パラディーノ候補が、元下院議員リック・ラジオ候補らを破って指名を獲得した。イタリア系移民二世で、ブルドッグを連れて闊歩する姿がいかにもという不動産屋のパラディーノ候補の勝利は予想外のもので、ニューヨークのローカルニュースを驚かせた。<br clear="right"> |
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== その他 == |
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=== 呼称について === |
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日本において「ティーパーティー」は、茶会や茶会運動、茶会党などとも表記されている。朝日新聞はティーパーティーかティーパーティー(茶会)。毎日新聞と読売新聞はティーパーティー、ティーパーティー(茶会運動)、茶会運動など。MSN産経ニュースやCNN.JP、時事通信などはそのままティーパーティーのみ。ウォール・ストリート・ジャーナル日本語版は通常記事ではティーパーティーであるが、翻訳記事では茶会党が用いられている。ただしテレビのニュース放送では、ティーパーティーと必ず一回は言って説明しており、茶会や茶会党などの漢字表記は、紙面での字数制限に則したもののようである。 |
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== 脚注と出典 == |
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{{Reflist|3}} |
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== 外部リンク == |
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* [http://www.newsweekjapan.jp/stories/2010/10/post-1696.php Newsweek日本版・ティーパーティーの正体] |
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* [http://news.goo.ne.jp/article/newsengm/world/newsengm-20101022-01.html goo「ニュースな英語」茶会運動の無知なる進撃と危機感 (加藤祐子)] |
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== 関連項目 == |
== 関連項目 == |
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{{Commonscat|2009 Tea Party protests|ティーパーティー運動}} |
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*[[バラク・オバマ]] |
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*[[ボストン茶会事件]] |
*[[ボストン茶会事件]] |
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*[[バラク・オバマ]] |
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*[[ロン・ポール]] |
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*[[サラ・ペイリン]] |
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*[[グレン・ベック]] |
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*[[コーヒーパーティー運動]] |
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*[[小さな政府]] |
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*[[草の根運動]] |
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*[[ポピュリズム]] |
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*[[リバタリアニズム]] |
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*[[中間選挙]] |
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2010年11月3日 (水) 14:12時点における版
ティーパーティー運動( ティーパーティーうんどう、英:Tea Party movement )とは、2009年からアメリカ合衆国で始まった保守派の政治運動である。バラク・オバマ政権の自動車産業や金融機関への救済の反対、さらには景気刺激策[2]や医療保険法改正[3]における「大きな政府」路線に対する抗議を中心とする。
オバマ大統領の就任式の直後に始まったことから反オバマ運動としての右派の側面もある。
「ティーパーティー」(Tea Party)という名称は、当時の宗主国イギリスの茶法(課税)に対して反旗を翻した1773年のボストン茶会事件(Boston Tea Party)に由来しており、同時にティーは「もう税金はたくさんだ」(Taxed Enough Already)の頭字語でもある[4]。
ただし現代のティーパーティーは、ボストン茶会事件の時と違って課税反対は象徴的意味しか持たず、実態は、総じて税金の無駄遣いを批判して「小さな政府」を推進しようという運動である。
経緯と展開
最初に「ティーパーティー」という歴史用語を現代政治に蘇らせたのはロン・ポール下院議員であった。それは2007年12月16日のことで、彼はボストン茶会事件232周年を祝う集会を開催[5]し、翌年の共和党大統領予備選の資金集めのためにウエブサイトを開設して支持者と募金をつのったのである[6]。ポールは、熱心な小さな政府論者で、当時のブッシュ政権の方針にも反対していた。彼は2008年大統領予備選で敗れたが、次の2012年の立候補を目指して”彼のティーパーティー”は現在でも活動しており、インターネットを活用した草の根運動というところなど、現在の運動の雛型にもなっている。[7][8]
初期の抗議活動
抗議活動のめばえは、リーマン・ショックに端を発するアメリカの景気後退を背景に、異なる動機で、異なる形態ではあったが、しかし草の根的に各地で起こっていた。
2009年1月24日、ニューヨーク州で知事がダイエット飲料以外のソフトドリンクに18%の課税をすると、通称「肥満税」または「ソーダ税」の増税を提案したのに反対して、ニューヨーク市で若い活動家がアメリカンインディアンのように羽根飾りをつけてボストン茶会事件の故事を模した抗議活動[9]をした。これはメディアに登場した最初の関連活動である。この法案は結局否決された。
2009年1月28日、景気刺激策がアメリカ連邦議会を通過し、2月16日にオバマ大統領が署名して2009年のアメリカ経済回復・再投資法[2]として成立したが、これが大きな政府に反対する財政保守派の怒りを買った。議会通過前後から様々な批判が沸き起こっていたが、大統領署名の前後の2月から抗議集会が散発的に開かれるようになり、やがて草の根的な広がりをみせるようになる。
インターネット掲示板への投稿から始まったティー・バッグ入りの手紙を送りつけて議会の反対票を集める運動[10]も早くに始まっていたが、法案成立前日の1月27日にラジオ・トークショー主催者ラッシュ・リンボー[11]によって造り出された、ばらまき型の景気刺激策を批判する造語「ポーキュラス[12][13]」が放送で広まったことから、当初はお茶ではなく、税金の無駄遣いを象徴する豚がこの運動のシンボル[14]となっていた。
このため、初期の運動はポーキュラス抗議などと呼ばれ、その主張は総じて「オバマは社会主義[15]」というものだった。現在では最初のティーパーティー抗議と見なされている、2月10日のフロリダ州フォートマイヤーズ市役所前でのメアリー・ラコビッチの抗議の模様でもプラカードに豚の写真が見える[16]。これら少人数による反オバマの抗議が地元メディアで報道されると、FOXニュースが飛びつき、抗議者を番組ゲストに喚ぶなどして盛んに全国にむけて放送した。また後述するが、当初からフリーダムワークス[17]がこの広報戦略には関わっていた[18]とされる。彼らはオバマ個人に批判を集中させないようにアドバイスしていた。しかし当初、報道は保守メディアに限られ、本格的に世間に認知されたのは下記の出来事が起こってからであった。
ティーパーティー命名の経緯
2009年2月19日、CNBCの経済アナリストであるリック・サンテリ[19]が、シカゴ証券取引所からの生中継中に、オバマ政権のサブプライムローン問題で焦げ付いた住宅ローンを再融資するという救済案を、悪い行いを奨励するモラル・ハザードであると厳しく批判し、「支払いに窮した他人のローンを代わりに払ってやろうという人間が、一体このアメリカに何人いるのか」と熱弁して、近くにいたトレーダー達の拍手喝采をうけた。彼はさらに建国の父たちを引き合いに出して、「ベンジャミン・フランクリンやジェファーソンのような人々は、今我々がしていることを見て墓の中でひっくり返っているだろう」と言って、大統領の方針に反対するため「シカゴ・ティーパーティー」と名付けた抗議活動を起こそうと(半ば冗談で)呼びかけた[20]。このオバマ大統領のお膝元で起こった”シカゴの反乱”とも呼ばれた出来事が、直接的な運動の名前の由来となっている。
動画は瞬く間に広がり、呼びかけに応じてすぐにいくつかのオンラインサイトが自主的に(またはフリーダムワークスによって)立ち上げられて、多くの賛同者を集めると、2月27日、シカゴを含む全国40以上の都市でより愛国的な「ティーパーティー」の名前を冠した抗議活動として実を結び、これが報道[22]されたことから、他のメディアでも使われていくようになった。なおサンテリが発言した翌日の2月20日には、ロバート・ギブス報道官が異例の反論を行ったが、「法案をちゃんと読んだのか」と懐疑的に述べるとともに、相手を小馬鹿にしたような態度をとったため、その動画も広まり、沈静化するどころか逆に抗議活動を煽った面が少なくない。
抗議活動の特徴
抗議活動は、前ブッシュ政権からの負債と景気後退による、近い将来に増税が行われるのではないかという不安[23]から起きた抗議から始まり、黒人のオバマ大統領の誕生と、景気刺激策に伴う国家債務の増加に対してその懸念[24]が高まって、財政規律を求めて広まった。信用不安の際に銀行には巨額の資金が投入されたのに対して、銀行に支払われた住宅ローン差し押さえ救済資金が不十分であったことも不満の要因である。抗議は、2009年3月にAIGの役員に賞与が支払われたことが明らかになると劇的に盛りあがり、抗議集会で公衆に認識されるまでになった。
抗議活動は、ブログ・MySpace・Facebook[25]・Twitter・YouTube・インターネット掲示板等の現代的なオンラインツールを活用しているのが特徴で、主要メディアからばかりではなく、個人の発言を含めた、双方向の情報発信で政治運動に活気が吹き込まれているのが、草の根といわれる所以。ティーパーティー参加者の情報源はテレビ(47%)、インターネット(24%)、新聞(8%)、携帯メール(4%)の順[26][27]。
抗議活動の全米への広がり
2009年3月13日、FOXテレビの番組司会者で右翼の論客グレン・ベック[28]は、「9-12プロジェクト[29]」と銘打った、首都ワシントンでの抗議行動を目指す、挑発的な政治企画を番組内で始めた。どこが挑発的かというと、わざわざ同時多発テロ9・11の翌日に回帰を求めてアメリカの団結を訴えたことで、テロ被害を臆面もなく政治利用するとともに[30]、日頃からベックが独裁者・社会主義者・共産主義者と罵るオバマ大統領が敵としてテロリストと同視されているのは明らかだったからだ。9-12プロジェクトは、後にティーパーティー運動と合流した。
2009年4月15日のTax Day(アメリカの確定申告締切日)には、750以上もの大小ティーパーティー各団体が全国各地で抗議集会を組織するに至り、運動の広がりは驚きを持って報道された[31]。各団体は連合して、ラジオ司会者マーク・ウィリアムス[32]をスポークスマンとし、同月28日から「ティーパーティー・エクスプレス」と題した全米ツアーも開始した。彼らは33都市を巡って、9月12日に首都ワシントンで7万人規模の「納税者の行進」のイベントを行い、次第にアメリカ政治の注目を集めた。この日の抗議集会の企画元[33]であるFOXテレビとグレン・ベックは、特別番組を編成して模様を生中継した。ちなみにエクスプレスの方は2010年中間選挙までを目指して、すでに4回[34]の全米ツアーを敢行している。
ティーパーティー運動がアメリカ政治の潮流として脚光を浴びたのは、2010年1月19日、
2010年2月4日から3日間、テネシー州ナッシュビルで初のティーパーティー全国大会が開催され、さらにその広告塔として、サラ・ペイリン前共和党副大統領候補(前アラスカ州知事)が高額の出演料[35]で担ぎ出された。彼女は大会の基調演説を行い、「アメリカは第二の革命に進もうとしている、みなさんはその一員なのです」と述べて喝采を浴び、反オバマ色を鮮明にした。
2010年4月15日、二回目となるTax Dayの抗議では、全米数千箇所で抗議集会が開かれたと報道されている[36]。共和党の予備選を前にしたこの3月、4月は運動は特に活発で、単なる大統領や議会への抗議から、候補者への圧力団体にシフトする傾向が見られた。
2010年8月28日、ワシントン大行進から47周年になるキング牧師の演説記念日に、首都ワシントンのリンカーン記念堂前でティーパーティーが主催する「名誉回復」を掲げた大規模な集会が開かれた。この集会を呼びかけたのはグレン・ベックで、サラ・ペイリンもゲストで招かれた。ベックは自ら演説して「神への回帰」を説き、キリスト教への信仰心を持って18世紀の建国の父の思想に立ち戻るべきだと訴えた。あえて黒人公民権運動活動家の記念日にほぼ白人のみ(後述)の集会を開いたことに対して「キング牧師への侮辱だ」との批判が続出したが、ベックは「30万~50万人が集まった」と称して、11月の中間選挙を控え、ティーパーティー運動と保守派の勢いをアピールした。またこの非政治的集会によって、運動には宗教的保守の側面があることも明らかになった。
最近のティーパーティー運動は、保守派の草の根運動の代名詞となりつつあり、共和党の非主流派の活動とリンクして、集票マシン化しつつある。また小口の支援者を大量に集める集金力も運動の強みである。しかし政策面では、ティーパーティー各グループの主張にはばらつきがあり、余りに保守的(財政保守主義だけに留まらず、宗教保守派の主張が色濃く、中絶禁止や同性婚の反対なども含む[37])なため、実際の選挙では鍵となる中道と無党派層の支持を失う結果になるのではないかとも分析され、依然としてその影響力は未知数で、中間選挙の結果に運動の真価が試されることになる。
2010年9月28日のWSJ紙とNBCの共同世論調査[38]によると、11月の中間選挙に最も強い投票意欲を示している有権者の3分の1がティーパーティー支持者で占められていることがわかって政界での影響力の拡大を誇示した。しかし共和党内では71%がティーパーティー参加者であるが、全体でみると、ティーパーティーの支持不支持は30%前後でほぼ拮抗しており、鍵となる無党派層の42%は運動を好意的に評価しているものの、同時にその61%がティーパーティー支持者ではないと答え、議会でティーパーティーが大きな勢力になることについては41%が否定的な見解を示した。
保守派のティーパーティー運動に対抗して、ポピュリズム(ここでは大衆運動ほどの意味)と闘うためにさらなるポピュリズムの力が必要だと考えるグループにより、民主党支持基盤のリベラル派の草の根運動にもコーヒーパーティー運動[39]と呼ばれるものができて、ティーパーティー同様に、全国に拡大している。
さらにこれとは別に、2010年10月2日、ティーパーティーに反対する左派リベラル団体(アメリカ共産党など)やゲイ団体により、「ワン・ネイション」集会[40]がワシントンのナショナル・モールで開かれた[41]。この「ワン・ネイション」集会は前述の「名誉回復」集会よりも人の出は大いに劣ったが、ティーパーティー運動の盛り上がりとともに、反対勢力も活気づいてきているという表れであろう。
参加者の特徴
当初、ティー・バッグを手紙で送るという手法で活動していた背景から、この運動の参加者は、ティーバッガーと呼ばれたことがあるが、卑猥な意味[42][43]もあるため、最近では集団としてティーパーティーという呼び方、呼ばれ方が一般的である。運動の参加者は無知な連中だと切り捨てる、リベラル系雑誌ネーションの発行人カトリーナ・バンデンヒューベルは、ABCテレビの政治討論番組「ジス・ウィーク」に出演した際、ティーバッガーという呼び方を続けて、対談相手にたしなめられたことがある[44]。現在ではティーバッガーには侮蔑的意味があると見なされている。
2010年2月に開催された全国大会の参加者はほぼ全てが白人であったと、日本でも報道された[46]。
CBSニュースの調査[27]によると、参加者における白人の比率は89%と圧倒的で、黒人は1%、アジア系1%、ヒスパニックを含むその他は6%に過ぎなかった[47]。男女の差はあまりないが、男性がやや多く、既婚者が70%に達する。民主党支持は5%で、大半は共和党支持54%と無党派41%であり、しかも92%は民主党嫌いと答えた。中西部22%や南部36%の出身者、銃保持68%、プロテスタント(主にバプティスト派)61%、など、共和党のなかでも特に保守派傾向の強い地域、大卒以上(70%)の高所得者層(76%)で、45歳以上(75%)の中高年が多いという特徴がある。
現在アメリカで最大の課題とされてる経済について、参加者は、現在の経済状態はとても悪い(54%)と答え、さらに悪化する(42%)と考えているが、そうなった原因は議会にあると考えている人が28%と一番多い。これはアメリカの平均的な認識とは顕著に異なり、原因について全米調査の意見として一番多いのは、ブッシュ政権の失政の(32%)である。一方、所得税については、参加者の52%が適正と答え、不適正と答えたのは42%と少なく、これは全米意見の適正(62%)と不適正(30%)の割合よりも多いものの、ティーパーティー運動が課税反対運動であると単純に言えない理由がここにある。減税については賛成も反対も拮抗しており、これは全米意見とほとんど大差なかった。ティーパーティーは後述のようにオバマ政権にも満足していないが、政策上の不満と怒りの矛先は議会に向けられていて、別の最新の調査[38]でも、議会不支持率(73%)はオバマ不支持率(49%)よりも格段に高いことがわかっている。「ボストン茶会事件」の時と違って、増税というよりも税の無駄遣いを問題にし、小さな政府を求めているというのが真の姿である。
参加者は不法移民問題では強硬派であり、82%が不法移民流入に断固とした措置を講じるべきだと考えている。これはメキシコ国境の州では激しい争点だが、増加するラテン人口の支持を取り込むのは望み薄で、ティーパーティーの選挙での弱点の一つである。また2010年4月12日のオハイオ州スプリングボロでのティーパーティー集会ではTwitterで、ラテン系アメリカ人を侮辱する「スピック」という表現で不法移民の多さに怒りを表したメッセージが流れて問題になった[48]。
さらに参加者の82%は同性婚を深刻な問題ととらえており、40%はゲイ・レズビアンのカップルには一切の法的権利を認めるべきではないと答える宗教保守派の立場であるが、ほぼ同数の41%はシビル・ユニオンは容認するという妥協派に分かれる。
人種差別に対する批判
集会では、オバマ大統領の顔を映画「ダークナイト」のジョーカーに模して描いた人種差別的なプラカードがしばしば見られて物議をかもしている[49]。肌を白塗りにしたこの姿は、ハリウッドが黒人役を黒塗りにした白人俳優が演じた過去にあてこすったもので、オバマ大統領が白人を演じる黒人であるとの誹謗の意味が込められている。またこれらのプラカードには、人種差別的内容以外に、大統領を社会主義者と罵る文面やムスリム[50]としてレッテル貼りするなど、個人批判に近い文章が書かれていることが多く、過度に扇動的で、ティーパーティー運動が、元来の大きな政府や増税批判に留まらない、アメリカの分裂[51]を象徴する運動であることがうかがえる。
ティーパーティー運動が人種差別を内在するのかはアメリカでも議論が続いている。ティーパーティー運動に反対するリベラリストの61%は彼らの反オバマの姿勢の根底には人種差別的敵意があると見る一方で、ティーパーティー運動を支持する保守派の7%しかその意見に賛同しない。しかし参加者の52%は最近黒人との人種的軋轢が高まったと答えており、25%はオバマ政権では白人よりも黒人が優遇されると答えている。参加者自身は、人種差別と関連付けられることは、メディアが作り上げたでっち上げであると主張することが多く、ティーパーティーに参加した数少ない黒人参加者達は、一様に、不当不快な扱いは受けていないと証言している。
とはいえ、集会や集会参加者のなかには弁護のしようのない人種差別が見られたのは事実である。扇動者としての役割を果たしているリンボーやベック、マーク・ウィリアムスの過激な言葉には、愉快犯的で意図的な差別表現があり、聴衆への悪影響も懸念される。プラカードにたまに見られる「ナチ」や「ファシズム」、「ヒトラー」といった表現は、彼らの言葉そのままの受け売りである。活動家のデイル・ロバートソンは「議会=奴隷主、納税者=ニガー」と書いた看板をもっていて批判を浴びた[52]。また通りかかったオバマ支持者や民主党員に対して、参加者がかなり酷い言葉や罵声を浴びせた場面はしばしば目撃されており、ティーパーティー各団体は、Nワードなどは使わないように参加者に注意している。
一方、ティーパーティーの集会では、アメリカでは由緒のあるガズデン旗[1]がシンボルの一つとして好んで用いられている。この旗のモットーは「俺を踏みつけるな」であり、これには貧富の差の拡大を背景にした、オバマ支持層のニューリッチやインテリ、エリート階層への反発が込められていて、反エスタブリッシュメント、つまり既存政治への不信感が運動の原動力の一つとなっているとされる。
オバマ政権の対応
オバマ政権と民主党は、ティーパーティー運動をたまにジョークのネタにする程度で、表だった批判は控えている。また「そんな運動があることはまったく知らない」と無視することもあった。これは連邦予算の削減や、減税といった運動が求める政策を次々と行っており、中低所得者に重点を絞った各種ケアなど政策への理解が浸透すれば、少なくとも無党派層からの支持は最終的には得られるだろうとの、楽観視があるからである[53]。それに共和党が医療保険改革などを槍玉にして強烈な反対運動を起こすであろうことは織り込み済みで、驚きはなかった。民主党やリベラル派メディアは一貫して、ティーパーティー運動を、前述のような人種差別や党派主義に凝り固まった姿を強調して、過激派と関連づけようとしてきた。
2009年4月29日、オバマ大統領は歳出の無駄削減を約束し、「働くアメリカの家族を助ける」のは本当は誰か(どの党か)を見定めて欲しいと語った[54]。また2010年4月10日の大統領週間演説と15日の講演では、Tax Dayのティーパーティーの抗議を考慮して、繰り返し減税を行ったことをアピールした[55][56]。しかし15日の講演は内輪向けのもので全般的にジョークが多い軽いもの[57]だったため、「彼らはありがとうというべきだ」などと茶化す場面も見れた[58]。民主党資金提供者の聴衆は喜んだが、嘲られた側には反発と憤りもあって、攻撃材料にもなった。
側近の4人組の一人として知られる大統領上級顧問アクセルロッドも、2009年のTax Day抗議の後、経済状態が悪いときはいつでも不満はでるものだが、政権が(公約通りに)「アメリカ人の95%が対象となる減税」を行ったのに(課税反対運動が起こるとは)当惑させられると述べた[59]が、これは後から考えれば運動に対する認識を欠いた発言だった。4人組への批判は民主党内でも次第に強まっており、ジョン・ポデスタ[60]は、大統領自身は幅広い意見を聞く耳を持っているが、「4人組が自分たちとは違う反対意見を大統領の耳に入れようとせず、世論を敵に回している」のではないかと[61]言っていて、対応のまずさがあったのではないかと危惧するむきもある。
ラスムセン世論調査[62]によれば、参加者のうちの89%がオバマ大統領の政権運営に不満で、国が正しい方向に進んでいると回答したのは4%だけだった。94%は政府は特定の利益団体にのみ恩恵を与えていると考えており、この考え(つまり政権が民主党であろうが共和党であろうが自分の利益団体のみを優遇するということ)は参加者以外でもアメリカ全体の67%に支持される。
主要閣僚の一人であるガイトナー財務長官は、NBCのインタビューにおいて、我々は赤字を削減して財政均衡に注意しているとして、「オバマ政権はティーパーティー運動と同じ側にいる」と強調した。彼は「赤字が重要でないと言っていた政権(前ブッシュ政権のこと)の8年を過ごしましたが、今、大規模減税案を議会に通し、新しい政策を大きな負担なしに進められています」と述べて、共和党がどのような政策をしていたか人々に思い出させようとした。ところが、FOXニュースではこのガイトナーの話を全く違うトーンで伝えており、彼の話はウソであるとして、ほぼ80%のアメリカ市民はワシントンの既成政治を信じてないと言い、ブッシュ前大統領は最後の1年間で4586億ドルの赤字をこしらえたが、オバマ大統領は2009年度会計で1兆4000億ドルの赤字をこしらえたと指摘して反論し、赤字は今後も1兆ドルを上回り続けるだろうと予想して非難した[63]。
アメリカの分裂があまりに深刻なため、リベラル派の意見ははなっから聞かないという保守派も少なくない。双方のメディア攻勢はこれを助長している面が大きいことは前述の通りで、過激なまでに熱を帯びている。オバマ大統領の医療保険改革を説明するマサチューセッツ州のタウンミーティングでは、オバマ大統領をヒトラーに模した写真を持ったティーパーティー活動家が「ナチの政策をなぜ支持するのか?」と質問し、民主党の名物下院議員バーニー・フランクが「逆にあなたはどこの惑星で暮らしているのか?と聞きたい。まったナンセンスだ。・・・あなたとの会話は机に向かって一人で話しているのと同じだ」とやり返す場面も見れた[64]が、リベラルと保守の対立はこうまで深刻なのである。
景気対策が効果を上げるのはまだかなり先のため、中間選挙を目前に控えて、保守派の攻勢には危機感が高まっているのも事実で、当初は高かったオバマ大統領の支持率も低下しつつある。著名なリベラル派の論評コラムニストのポール・クルーグマンは、「今、オバマ支持者はまったく確信を失っているようだ。おそらくオバマ政権の退屈な現実が、変化を夢見ていた人々の期待を満たしていないからだろう。そうしている間にも、怒れる右派は激しい情熱に満たされつるある」と分析した[65]。
2010年の中間選挙の終盤戦にきて、民主党への逆風と芳しくない選挙予想が明らかになり、当初は軽視ないしは無視してきたティーパーティーはもはや侮れない存在であるのは明らかで、一部ではネガティブキャンペーンも交えて、批判的な対応となってきている。
草の根は本物か?
2009年4月12日付けのニューヨーク・タイムズ紙[66]において、前述のクルーグマンは、ティーパーティーは自然発生的な国民感情が発揮された結果ではないと主張した。彼によれば、ティーパーティー運動はいわば「人工芝(草の根を装った政治イベント)」であり、共和党の戦略を担当するいつもの面々によって創られたもので、その中心的役割を担っているのはフリーダムワークス[17]という元下院院内総務のリチャード・アーミーによって運営されている組織であり、いつもの右派の億万長者たち[67]によって経済的に援助されていると指摘。そして運動はFOXニュースによって大々的に宣伝されることで支えられているところが大きいとした。民主党下院議長ナンシー・ペロシなどもこの説に同調し、「これは本物の草の根運動ではなく、富裕層への減税をやめて中間所得者への減税に振り分けようとする(民主党の政策)から目を反らすための”人工芝”」と述べた。
ただしこれには反論もあり、(リバタリアンのコメンテーターおよび著名なブロガー)グレン・レノルズは、翌4月13日付けのニューヨーク・ポスト紙において、草の根は天然芝(本物)であり、参加者はデモに慣れたセミプロの抗議者ではなく、仕事を持つ普通の人々、今まで抗議行動に参加したことがないような人々で、アメリカ政治に最近見かけなくなったエネルギーを吹き込む、新しい活動家であると指摘した[68]。またティーパーティーの全国大会が、クルーグマンが指摘するような共和党保守派有力者がはっきり後援しているティーパーティー・パトリオッツという団体からのスポンサー契約を断ったことなどを受けて、ティーパーティーが必ずしも共和党に従属する存在ではないとも指摘。ワシントン・イグザミナー紙において、ティーパーティー運動は下から上への運動であり上から下へのものではない、自立自尊であると主張して、「アメリカ第三の覚醒」であるとまで言い切った[69]。
とはいえ、TPM[70]のリポーターであるブライアン・ビュートラーの4月14日付けの補足記事[18]にもあるように、少なくとも当初は演出された草の根であったと考える根拠がいくつかある。また同じくTPMのザカリー・ロスは、多くのティーパーティー団体が共和党やフリーダムワークスに会計処理を任せて事実上資金提供を受けていると指摘した[71]。フリーダムワークスについては、このティーパーティー運動以前にも、他の草の根運動をプロデュース[72]してきた実績があり、共和党のオペレーションが動いていることに疑いの余地はない。しかも今回は非常に効果を上げていると言えるだろう。ティーパーティー・エクスプレスなどの大規模イベントも明らかに組織化された動員型の政治イベントである。
しかし団体や参加者が全て組織化されているかといえばそうともいえず、過激なプラカードにも現れるように、雑多で無秩序な集団であるのも事実だ。運動が拡大する課程で、不満をもつアメリカ人(の特に白人)の琴線にふれるものがあったのだろう。運動自体には確かに制御不能の本物の勢いがある。また参加者の78%は保守派の共和党員で、共和党に投票するが、その75%が共和党主流派と関係のないアウトサイダーの候補を支持すると表明[62]しており、運動がこうも盛り上がった今、後述のように共和党主流派はその対応に苦慮しているといえるだろう。彼らの怒りの矛先は必ずしもオバマ政権や民主党に留まらず、共和党主流派にも向けられていて、しばしばロス・ペロー支持者のような予想の付かない投票行動をみせることがあり、共和党の戦略担当ヴィン・ウェーバーは、「この草の根運動は本物である。それが利用するのを難しくしている」と認めた[73]。
ニューヨーク・タイムズ紙の別の著名な論評コラムニストのデイヴィッド・ブルックスは、ティーパーティー運動が景気の後退や、既成政治への不満、閉め出された不満分子の受け皿となったと背景を指摘した上で、「今後10年を特徴付ける政治運動となる可能性がある」と主張する[74]。また彼は「ティーパーティーがいずれ共和党を支配するだろう」とも予想した。草の根運動が既成の二大政党制の枠組みを突き崩すのではないかという見解もある[75]。
運動の問題点
現在のティーパーティー運動の問題点は、各地に分散するティーパーティー団体を結集する政治的指導者がいないことと、思想面でのイデオローグが固まっていないことである。
サラ・ペイリンは保守主義者の間で最も人気のある政治家だが、同時に指導者としての資質に問題があるとされ、「大統領の器ではない」という評価[76]が定着しつつある。また共和党支持者以外を含めると彼女には支持者と同じ数だけの反対者がおり、かつての保守層と無党派層の両方を結集したロナルド・レーガンのような理想的なリーダーではない。グレン・ベックも保守派の間に限れば知名度は高いが、反対派からは”狂った”と形容されることもあるほどの超保守派[77]で、しばしば共和党の議員をも口汚く罵ることがある。またグレン・ベックは、最近宗教色の濃い言動が多いが、自身がキリスト教系の新興宗教であるモルモン教徒であるため、もし選挙などになったらバプティスト派が大半の宗教保守派からの支持はあまり期待できないとの分析もある。ただ彼の言動は保守派に影響力[78]があり、オバマ大統領を当選させたオプラ・ウィンフリーのような役割は可能かもしれない。とはいえ、前述のレノルズは、ティーパーティーは指導者を必要としてはいない[69]と言っていて、草の根はあくまでも下からの運動というスタンスを取っているので、それに従えば、中心となる政治的指導者がいないことは弱点というよりも特徴といったほうがいいだろう。
ちなみに同じく前述の調査(2010年4月時点)[27]では、ティーパーティー参加者の中での指導者の支持率は、サラ・ペイリンが61%(反対12%)、グレン・ベックが59%(反対6%)、ブッシュ前大統領が57%(反対27%)、ロン・ポールが28%(反対15%)となっていた。しかし参加者に運動のゴールを聞くと、自分たちが支持する大統領候補を擁立するはわずか7%に過ぎず、指導者を担ぎ出そうとする欲求が低いことが分かる。全米ティーパーティー同盟[79]などは、ゴールの一つに財政規律を支持する下院議員を多く選出して、責任ある議会にすることを挙げている。
イデオローグについては、前述のフリーダムワークス[17]の傘下にある「アメリカからの契約[80]」という団体が十箇条の綱領[81]をまとめてティーパーティーや議員に署名を求めているが、この綱領では経済政策への提言のみで、ティーパーティーが持つ右翼的主張は含まれていない。また提言自体がそもそも具体性がなく、クルーグマンなどはフリーダムワークスの政策形成能力に疑問を呈し、妨害しようとするばかりで、信頼できる経済政策は持ち合わせてないのではないかと批判した[66]。このアメリカからの契約は、2010年の中間選挙での共和党の公約にも採用されたが、この公約に対しては保守派・リベラル派の双方から具体性に乏しく過去の公約の焼き直しにすぎない、妄想であると批判されている[82][83]。
運動でもっとも多い要求は「小さな政府の実現(45%)」で、「雇用創出(9%)」「減税(6%)」が続く[27]。ティーパーティーは雇用創出のための大規模な財政支出を”政府による過剰な介入”と批判しており、不況や雇用情勢の悪化の渦中でも過度の政府介入を避け、民間の自主性を尊重する小さな政府の実現を訴えている。いわゆるリバタリアニズムの主張である。しかしロン・ポールのように最初から対外不干渉主義を明言するのでなければ、軍事費と債務の膨らむ戦時下で、しかも税収が減少するリセッションの最中にあって、減税と財政規律の両方を実現することはほとんど不可能と言っていいほど困難であり、(結果的に主張とは正反対になる)無責任なポピュリズムに陥る危険を孕んでいる。
運動は共和党の支持基盤である右派を活発化させたが、同時に過激派、愛国主義、極右主義をも巻き込んでしまった。ティーパーティーが純粋な保守主義の主張を掲げて、押し広めれば広めるほど右翼的な主張も目立つことにもなるため、前述のような偏狭で排他的なアメリカの姿をも映し出しだすことになって、無党派層や共和党の穏健派までも遠ざける結果になるのではないかと危惧され、浮動票の取り込み戦略を阻害する可能性がある。後述するが、オドネル候補やアングル候補の例がそれにあたり、極端な右傾化はアメリカの分裂を際だたせるだけで、反対勢力に逆に利をなす。ティーパーティーが共和党穏健派の候補をしばしば嫌悪するのも懸念材料だ。実際、共和党主流派が推薦する候補以外の候補をティーパーティーが支持して選挙で勝利したことがあり、これも後述するが、ペイリンの地元であるアラスカ州では予備選に敗れたマーカウスキー候補が第三候補として出馬し、共和党の票が割れる危機に瀕してる。
このような事態になる前から、共和党主流派は草の根保守との連合を模索してきた。しかし共和党全国委員会長マイケル・スティールがシカゴでのティーパーティー集会で発言する機会を求めて、拒絶されたという経緯がある[84]。共和党実力者のミシシッピ州ヘイリー・バーバー知事がWSJ紙上で反オバマという共通の目的でティーパーティーと共和党主流派は連合すべきだと訴えるなど[85]、中間選挙を睨んで現在も引き続き共和党は取り込みを図っているが、ティーパーティーと一口にいっても、草の根保守はその発言の内容やトーンからおおよそリバタリアン系と右派系とに色分けが可能で、そもそも彼ら自身が一枚板ではない。なかでも、リバタリアン系の小さな政府主義者の主張は、共和党の政策に同調するものではなく、しばしば第三党的と評されるが、特に外交政策においては海外展開の縮小や国防予算の大幅な圧縮を求めているという点において決定的に対立する。その代表格であるロン・ポールは、フォーリン・ポリシー誌に寄稿して、共和党がティーパーティーを取り込んで利用しようとするだけで、ティーパーティーの主張には目を向けてない所を批判した[86]。また右派系(しばしば”サラ・ペイリンのティーパーティー”と揶揄される方)も、中道とのイデオローグ上の違い、既成政治への不信感から、独自路線を保とうとする団体が多いようである[87][73]。サラ・ペイリン本人は、まだ将来の大統領選への態度を表明してないためか、日和見的態度をとっており、彼らの指導者のように振る舞ってティーパーティーの支持をあてにしながらも、共和党主流派とも決定的な対立はせず、一部は協力をしている。
このような事情のため、草の根運動であるティーパーティが保守層を結集して無党派層までも取り込むのか、あるいは共和党を穏健派と草の根保守とに分裂させるだけなのか、評価は定まっていない。
ティーパーティーの投票行動
2010年の中間選挙にむけてアメリカ各地では予備選が行われているが、ティーパーティーはしばしば独自の投票行動を見せていて、共和党内部での勢力を拡大している。このようにティーパーティーが予備選において候補者の保守度合いを測るリトマス試験紙となるのは共和党にとっては必ずしも好ましいことではないが、現在、彼らの動向は注目されている。ギャラップの世論調査によると、有権者の63%は現職議員の大半は再選に値しないと答えており、再選に値すると答えた32%を大きく上回る。アウトサイダーの新人有利の風が吹く選挙戦となっている。
共和党予備選では、サラ・ペイリンがテコ入れした候補は上院で7勝2敗、下院で11勝6敗、州知事選で6勝3敗となった。彼女は独自に「ママ・グリズリー[88][89]」と自ら名付けた保守派の女性候補者グループを重点的に応援している。ペイリンとティーパーティーの支持不支持は一部重複・一部対立するが、結果的にティーパーティーが推す候補者は、上院で8候補、下院では5候補、州知事選では3候補が指名を獲得した[90]。
上院選挙
アメリカ合衆国上院は100議席あり、改選前で民主党59(独立系2を含む)と共和党41という情勢であった。そのうち2010年中間選挙で改選されるのは37議席で、現職を保持するのは民主党19、共和党18である。予備選の結果、民主党から現職12名と新人または元職25名、共和党から現職10名(1名は指名外の記名候補)と新人または元職28名、無所属(共和党系)から1名が立候補し、さらにその他の党から4名が立候補している。戦前の予想では、民主党への逆風が強く、勢力の逆転まで至るかが注目されている。
- 2010年1月19日に、エドワード・ケネディ上院議員の死去に伴う補欠選挙で、ティーパーティー・パトリオッツは新人のスコット・ブラウン候補を擁立して、共和党予備選でマサチューセッツ州で従来から指名候補者だったロビンソン候補を大差で破った。さらに本選でも「カート・シリングはヤンキースファン」との失言をした民主党候補マーサ・コークリー州務長官を破って当選。これによりマサチューセッツ州の上院議席のうち1つは一足早く2013年まで共和党のものとなり、上院の議事進行妨害行為を阻止するのに必要な安定多数である60議席を民主党は割ることになった。これで一時的ながら、医療保険改革に待ったをかけることに成功した。(しかし結局は3月に医療保険改革は議会を通過した)
上院予備選
- 2010年5月8日、ポークバレル[14]つまり地元利益誘導型のベテラン政治家で、超党派の立場でオバマ大統領の景気刺激策に協力したユタ州の共和党現職ボブ・ベネット上院議員が、四期目の共和党指名候補者になるのをティーパーティーは阻止した。ユタ州は、ベテラン議員が脱落して後は接戦となったが、ティーパーティーやフリーダムワークス、ロン・ポールなどが支持した弁護士マイク・リー候補が、第三投票での劣勢を、6月22日の決選投票において僅差で逆転するという劇的展開で指名を獲得している。ティーパーティーの資金力と動員力を見せつけた選挙戦であった。
- 2010年5月18日、アーカンソー州の共和党上院予備選で、下院議員ジョン・ブーズマン候補に対して、ティーパーティーは彼がブッシュ前政権やオバマ政権時代の赤字予算の作成に関与した大きな政府の責任を問うとして、ティーパーティー独自候補を擁立した。結果は、対立7候補を破るブーズマンの圧勝だったが、直接刃向かった例である。またティーパーティーは、民主党上院予備選にも影響を与えており、リベラル派の現職ブランチ・リンカーン上院議員の対立候補ビル・ホルター州副知事を支持して、窮地に追いやった。リンカーン議員は医療保険改革法案に反対票を入れて批判をかわし、結果はきん差でリンカーンの勝利だったが、本選での世論調査ではブーズマンが優勢である。
- 2010年5月18日、ケンタッキー州の共和党上院予備選で、同州出身の共和党院内総務ミッチ・マッコーネルや、チェイニー前副大統領らの支援を取り付けていた共和党主流派の同州務長官グレイソン候補に対して、ロン・ポールの息子(次男)で、眼科医のランド・ポール候補は、ティーパーティーの草の根的な熱烈支援を得て、地滑り的な勝利を収めた。ランド・ポールは父親同様にリバタリアンの小さな政府論者で、インテリ層に高い人気を誇り、本選でも民主党候補に対して世論調査では優勢を示している。
- 2010年6月8日、カルフォルニア州の共和党上院予備選で、HPのCEOなどを歴任したシリコンバレーの著名な女性経営者カーリー・フィオリーナ候補は、対立2候補を破って勝利した。彼女はIT長者であり、いわゆる草の根系候補ではないが、2008年大統領選挙で遺恨のあったサラ・ペイリンと和解してその支持を受け、圧勝している。
- 2010年6月8日、ネバダ州の共和党上院予備選で、すでに4月15日のティーパーティー・エクスプレスで推薦を受けていたシャロン・アングル候補は、保守派のラジオ司会者マーク・レヴィンらの支持もあり、対立8候補を破って勝利した。ティーパーティーは、同州の上院議員である民主党上院院内総務ハリー・リードを目の敵にしており、最重点選挙区である。民主党と既成候補の逆風のなかで、本選でも世論調査の経過ではアングル候補がやや優勢であったが、11月が近づくにしたがってアングル候補の「アメリカは国連から脱退すべき」や「教育省・エネルギー省の廃止」、「失業保険廃止」など極端な主張に辟易した世論が右傾化に反発し、低迷していたリード議員の支持率の方が急上昇してきて逆転した。現在は一進一退の攻防が続いているが、保守への偏りが無党派層を遠ざけてしまった例になる可能性がでてきた。民主党の選挙担当であるロバート・メネンデス上院議員はアングル候補の予備選勝利について「共和党の権力層に近い候補者より、過激な候補者を選択した1つの例だ」との見解を示している。
- 2010年8月24日、アラスカ州の共和党上院予備選で、現職の共和党リーサ・マーカウスキー上院議員に対して、ティーパーティーとサラ・ペイリンは、陸軍士官学校出身の弁護士ジョー・ミラー候補を支持して、接戦の末に勝利した。リーサ・マーカウスキーの父親フランク・マーカウスキーは、前職の同州上院議員で、かつペイリンの前のアラスカ州知事であり、2006年の州知事選ではお互いに中傷合戦を繰り広げた対立候補であった。マーカウスキー家と遺恨のあるペイリンは、リーサ・マーカウスキーが共和党主流派で「十分に保守的ではない」として強くミラー候補を肩入れして、3%差の僅差での勝利だった。アラスカ州はレッドステートと呼ばれる共和党の地盤で、共和党予備選に勝つことは、そのまま上院の議席を意味すると言われるため、敗北してもまだ僅差で本選での巻き返しの可能性のあるリーサ・マーカウスキーは記名候補(ライトイン)として出馬した。共和党の票は割れることになったが、依然として共和党のミラー候補が世論調査では優勢で、民主党候補が勝つ見込みはほとんどない。しかしミラー対マーカウスキーは保守分裂の激しい選挙戦が予想され予断を許さない。
- 2010年8月24日、アリゾナ州の共和党上院予備選では、2008年大統領選で共和党大統領候補となった現職の上院議員ジョン・マケインが楽勝すると思われていたが、ティーパーティーの一部が「マケインは正真正銘の保守ではない」というラジオの保守派キャスターで元下院議員ヘイワース候補の支持に回ったため、激しい選挙戦となった。中道派であるマケインは、不法移民対策での弱腰や、妊娠中絶や生命倫理で批判され、一時、窮地に立つ。彼はなりふり構わずに、保守路線に軌道修正し、巨額の選挙資金を投じて徹底的なネガティブキャンペーンを行って、最終的には全面的に勝利したが、共和党主流派は右派におもねることで辛うじてティーパーティーの攻撃をかわした格好だ。なおマケインとサラ・ペイリンの大統領選後の確執は有名だが、ペイリンはマケイン支持を表明していた。
- 2010年8月24日、フロリダ州の共和党上院予備選では、共和党穏健派のチャーリー・クリスト同州知事が出馬して楽勝と思われていたが、ティーパーティーの熱烈支持を受けたキューバ移民二世の同州下院議長マルコ・ルビオ候補に猛追されて、クリストは辞退に追い込まれた。クリストは2008年大統領選挙で大統領候補の一人と目された有力知事だったのだが、オバマ大統領の景気刺激策に賛成するなど、保守派の批判を浴びていた。結局、彼は第三の無所属候補として出馬することになり、ここでも共和党の地盤での保守分裂となった。ハンサムなルビオは「共和党のオバマ」と称される共和党の次世代スター候補で、妊娠中絶反対や小さな政府などを主張する保守派。
- 2010年9月14日、デラウェア州の共和党上院予備選で、共和党穏健派で無党派にも幅広い人気を誇った元同州知事で下院議員キャッスル候補に対して、ティーパーティーとサラ・ペイリン、マーク・レヴィンらは、クリスティン・オドネル候補を支持して、終盤で一気に劣勢を巻き返して勝利した。しかしオドネル候補は「マスターベーションに反対する」や「(タイム誌の表紙になったという理由で)オバマは悪人[91]」と言うなどしばしば奇妙な発言をすることで知られる右翼の超保守派で、進化論を否定し、共和党関係者ですら妄想的と眉をひそめる人物である。民主党寄りの無党派層を取り込める可能性のあったキャッスル候補で共和党主流派は選挙を勝負したかったので、ティーパーティーに阻止された格好だ。ブッシュ前政権で戦略担当だったカール・ローブなどは彼女のようなガチガチの保守が共和党の候補者では本選に負けると嘆息する。奇妙な発言であってもメディアに取り上げられることが多いので、良くも悪くも、第二のサラ・ペイリンとの評価もあるが、過剰な注目のマイナス効果として学歴詐称疑惑なども報じられ、その後は支持率を落としている。もともとデラウェア州は民主党の地盤であり、世論調査でもオドネル候補は劣勢で、彼女は前回の2008年上院選でも現在のジョー・バイデン副大統領(当時は上院議員)に完敗した。
- 2010年9月14日、ニューハンプシャー州の共和党上院予備選で、地元のティーパーティーは弁護士オビド・ラモンテイン候補を支持して、共和党主流派とサラ・ペイリンなどが支持した前州検察総長ケリー・アヨッテ候補と激しい選挙戦を演じた。結果はアヨッテが得票差わずか1667票で辛勝した。この大接戦の背景はティーパーティーの力によるところが大きく、負けはしたが、選挙を盛り上げ、その余勢をもって本選でもやや共和党有利である。
下院選挙
アメリカ合衆国下院は2年に一度全議席(435)が改選されるが、2010年の改選前で民主党(257)と共和党(178)の勢力に分かれていた。大統領選で与党が大勝した後の中間選挙では、”引き潮”という政治力学が働き、例年、与党が不利となるが、2010年は経済の悪化という悪条件も加わり、ティーパーティー草の根保守の活動もある。民主党への逆風は強いが、もともと下院は現職に有利な区割りのため、これだけの逆風でも民主共和両党の現職再選がほぼ確実な選挙区がおよそ4/5を占める。両党は残りの1/5を取り合うわけだが、結果が予想できないほどの接戦となっているのはそのなかでも40前後の選挙区に限られる。しかしそれでも民主党は大敗が予想されており、下院で過半数を割る可能性が高くなっている。(詳しくは「英語版・下院選記事を参照」)
下院予備選
- 2010年3月、イリノイ州第11区の共和党下院予備選で、ティーパーティーの支持を受けたアダム・キンジンガー候補が第2投票で指名を獲得した。本選では現職の民主党デビー・ハルバーソン下院議員に挑むことになるが、優位に選挙戦を進めている。
- 2010年6月8日、サウスダコタ州全州代表の共和党下院予備選で、州議会議員クリスティ・ノエム候補は、ティーパーティーの熱心な支持を受けて、州務長官ネルソン候補など3候補を破って指名を獲得した。ノエムはサラ・ペイリンと同じ「生命を尊ぶフェミニスト(FFL)[92]」という団体に属するプロライフを支持する妊娠中絶反対[93]の保守派。またオバマケアにも反対していて同法の廃止を訴えている。
- 2010年6月8日、サウスカロライナ州第1区の共和党下院予備選で、ティーパーティーの支持を受けたトム・スコット候補が、共和党主流派が支持し、前同州上院議員ストロム・サーモンドの息子であるポール・サーモンド候補らを破って指名を獲得した。一方、同州第1区ではリバタリアン党のキース・ブランドフォード候補も、ボストンティーパーティー全国委員会という2006年創立の最も古いティーパーティーグループから公認をうけて立候補しており、ティーパーティー分裂の選挙となった。
州知事選挙
アメリカ合衆国の50州およびその他の領土のうち今回改選があるのは37州とグアム(準州)とアメリカ領ヴァージン諸島(属領)の39の地域である。改選前の民主党知事は20人で、うち8人が任期切れ、4人が自主的に退任する。ティーパーティーの活動によって前述のフロリダ州知事が無所属に転じたため、改選前の共和党知事は一人減って18人で、うち8人が任期切れ、3人が自主的に退任、1人の現職が予備選で敗退した[94]。37州のうち24州は現職が立候補しない新人同士の対決で、およそ半数が接戦となっている。[95]
州知事予備選
- 2010年6月1日、ニューメキシコ州の共和党州知事予備選で、地方検事スザンナ・マルチネス候補は、サラ・ペイリンの支持を得て、指名候補となった。これでニューメキシコは民主党指名候補の同州副知事ダイアン・デニッシュ候補とで女性候補同士の対決となった。マルチネス候補がもし本選で当選すれば、ヒスパニック系女性初の知事となる。
- 2010年6月22日、サウスカロライナ州の共和党州知事予備選で、ミット・ロムニー前州知事やサラ・ペイリン、ティーパーティーの支持を受けた同州下院議員ニッキー・ヘイリー候補が、終盤に急速に支持を伸ばし、チェイニー前副大統領らが支持した共和主流派の下院議員グレシャム・バレット候補を、決選投票で破って指名を獲得した。ヘイリー候補はインド系アメリカ人、かつシーク教から改宗したメソジストということで、人種差別の疑惑が付きまとうティーパーティー系では異色の候補である。彼女がもし本選で当選すれば二人目[96]のインド系知事となる。サウスカロライナ州は今回任期切れで退任するマーク・サンフォード知事が不倫失踪事件を起こしたことで有名だが、スレンダーな美人のヘイリー候補にも予備選の最中に二人の不倫相手と名乗る男性がメディアに登場するなどの騒動があった。
- 2010年9月14日、ニューヨーク州の共和党州知事予備選で、ティーパーティーの熱心な支援を受けた不動産開発業者カール・パラディーノ候補が、元下院議員リック・ラジオ候補らを破って指名を獲得した。イタリア系移民二世で、ブルドッグを連れて闊歩する姿がいかにもという不動産屋のパラディーノ候補の勝利は予想外のもので、ニューヨークのローカルニュースを驚かせた。
その他
呼称について
日本において「ティーパーティー」は、茶会や茶会運動、茶会党などとも表記されている。朝日新聞はティーパーティーかティーパーティー(茶会)。毎日新聞と読売新聞はティーパーティー、ティーパーティー(茶会運動)、茶会運動など。MSN産経ニュースやCNN.JP、時事通信などはそのままティーパーティーのみ。ウォール・ストリート・ジャーナル日本語版は通常記事ではティーパーティーであるが、翻訳記事では茶会党が用いられている。ただしテレビのニュース放送では、ティーパーティーと必ず一回は言って説明しており、茶会や茶会党などの漢字表記は、紙面での字数制限に則したもののようである。
脚注と出典
- ^ a b ( Gadsden flag )
ガズデン旗とは少し違う図案だが、ほぼ同種のものが現在のアメリカ海軍で海軍旗として使われているほか、この黄色い旗はアメリカ海兵隊の旗としても知られ、その反骨的なモットーはアメリカ人の右派には特に好まれる。ティーパーティーではこの他にも、アメリカ第二革命旗が、シンボルとして集会で使われたことがある - ^ a b 「American Recovery and Reinvestment Act of 2009」のこと
- ^ 「Patient Protection and Affordable Care Act 」と 「Health Care and Education Reconciliation Act of 2010」のこと。両方を合わせて通称・オバマケアとも呼ばれる
- ^ パーティーはそのまま党派や集会の意味
- ^ “Paul supporters hold Tea Party re-enactment in Boston”. Boston Herald (2007年12月17日). 2010年9月18日閲覧。
- ^ Levenson, Michael (2007年12月16日). “Ron Paul's tea party for dollars”. Boston Globe. 2010年9月18日閲覧。
- ^ “The Ron Paul Tea Party”. 2010年9月18日閲覧。
- ^ ハフィントン・ポスト紙によるティーパーティー年表。
Hamsher, Jane (2009年4月15日). “A Teabagger Timeline: Koch, Coors, Newt, Dick Armey There From The Start”. Huffington Post. 2010年9月18日閲覧。 - ^ このイベントを主催したのは「自由を求めるアメリカ青年」( Young Americans For Liberty )という団体のトレバー・リーチ(当時学生)。極寒のサスケハナ川で行ったため、若干の羽根を頭につけてはいるが、アメリカインディアンのような格好ではなく防寒具に身を包んでいる。ボストン茶会事件を真似しているようにはあまり見えないが、一応、川にソーダを流して増税に抗議した。
“A "tea party" to protest Paterson's taxes”. YNN (2009年1月24日). 2010年9月12日閲覧。 - ^ オバマ大統領の就任式の前日にあたる1月19日に掲示板に呼びかけがあり、「ティーパーティーへの招待」と称するティー・バッグ入りの手紙が2月1日に一斉に投函された。内容はサブプライムローンでの住宅差し押さえにあっている一方で、緊急援助をうけた銀行優遇に抗議するもの
“MAIL A TEA BAG TO CONGRESS & TO SENATE! [FedUp] - MarketTicker Forums”. Tickerforum.org. 2010年4月27日閲覧。 - ^ 「オバマ大統領は米国生まれではない」や「クリントン家は殺人犯」など過激なトークで有名な超保守派の右翼の論客。しばしばデマゴーグ的な問題発言をするが、保守派のリスナーには人気が高い
- ^ 「Pork(援助金)」と「stimulus(刺激)」を合わせたもの
- ^ Porkulus または Porkulus Maximus(古代ローマ人のようにオバマを模したもの) は反オバマのイメージはとして利用されている
- ^ a b ばらまき型ポピュリスト政治のことをポークバレル政治という。ポークバレル(豚肉樽)とは、南北戦争時にアメリカ南部の農場では美味しいところをとった肉を樽に入れた塩漬け豚肉にして、言うことを聞く奴隷に配っていたもので、転じて新しく法律を制定する時に、多くの議員たちの地元に何らかの権益を与えるような、法案の目的とは直接関係ない条件を含ませておいて、議員の賛同を得るといった政治手法のことをさすようになった。( Pork barrel )
- ^ テレビのデジタル化移行への低所得者向けの助成金などが、税金の無駄遣いということで、政府の手厚い保障はすなわち社会主義という論法。貧者救済を道徳的な善とする日本人にはやや理解しがたいが、リバタリアニズム的なイデオロギーで、とにかく政府は介入しなければしないほうがいいという考え。なお社会主義者というレッテルはリンボーら右翼論客が広めたもの
- ^ オバマ大統領が同市を訪問した際に行われた抗議活動。
“Those outside Harborside in Fort Myers had plenty to see, say”. news-press.com (2009年2月11日). 2010年9月13日閲覧。 - ^ a b c 1984年創立の有力な保守派のNPO組織。実質的に共和党系のロビイスト集団で、現在はティーパーティー各団体の間を取り持っている。( FreedomWorks )
- ^ a b Beutler, Brian (2009年4月14日). “FreedomWorks' Long History Of Teabagging | TPMDC”. Tpmdc.talkingpointsmemo.com. 2010年4月27日閲覧。
- ^ 本人は否定しているが、ティーパーティー運動の創始者ともいわれている。ティーパーティー発言については、やはりそれ以前にこのフレーズを発していたロン・ポールのことが念頭にあったようである。彼自身は共和党とも関係ないが、その後、フリーダムワークスが「サンテリの熱弁」というタイトルでFacebookなどに映像を載せて広めた。また彼は「7月」とおそらく独立記念日あたりにシカゴ・ティーパーティーを行おうと言ったが、実際にはそれは行われておらず、Tax Dayの抗議活動に招聘されたときも、サンテリ本人はCNBCのテレビ出演があることを理由に欠席した。命名者ではあるが、ティーパーティー運動自体にはほとんど関与してない。 ( Rick Santelli )
- ^ “Rick Santelli's Shout Heard 'Round the World”. CNBC (2009年2月22日). 2010年9月19日閲覧。
- ^ 「オバマの政策は白人奴隷制度だ」と書いた過激なプラカード。背後には星条旗とガズデン旗もはためいている
- ^ Judson Berger (2009年4月9日). “Modern-Day Tea Parties Give Taxpayers Chance to Scream for Better Representation”. FOX News. 2010年9月13日閲覧。
- ^ 実際には、オバマ政権は誕生100日間で2,883億ドル分の減税を行った。ただしこのアメリカ経済回復・再投資法の解釈は、共和党と民主党で異なり、共和党や保守派はこれを医療負担増などの間接的な増税、または将来の世代に負債を回すものだと言い、民主党はこれは減税であるとして、話がかみ合ってない。民主党は、前ブッシュ政権が始めた富裕層向けの減税処置を延長しなかったが、これには共和党も最終的には同意しており、さらにオバマ大統領は最近、中間選挙に先駆けて新たに中低所得者層向けの減税処置を行うと発表した。イラクとアフガニスタンでの戦争によって国家債務は増大してはいるが、まだ直接的な増税を行ったという事実はない。最近では増税を行った大統領はブッシュ(シニア)大統領だけである。またクリントン政権時代に縮小した政府を、再び大きな政府にしたのは二つの戦争を起こしたブッシュ(ジュニア)大統領で、皮肉にも両方とも共和党出身の大統領だった
- ^ 賛否や、理由、原因はともかく、63%のアメリカ人は一年以内の近い将来増税が行われると考えていた。
“Six in 10 Americans Expect Their Taxes to Increase”. Gallup news (2010年4月14日). 2010年9月17日閲覧。 - ^ サラ・ペイリンなどはfacebook上を中間選挙の候補達の支持・不支持の表明の場としており、SNSネットワークを活用しようと積極的である
- ^ インターネット活用はそれほど多くないように見えるが、参加者には中高年が多く、都市部ではなく保守的なアメリカの田舎での活動が中心であるので、かなり多いと判断できる。従来はラジオなどが多かった。しかし全般的には民主党・リベラル派の方が、インターネットツールの選挙利用は進んでいるとされる
- ^ a b c d “Tea Party Supporters: Who They Are and What They Believe”. CBS News (2010年4月14日). 2010年9月12日閲覧。
“Polling the Tea Party”. New York Times (2010年4月14日). 2010年9月23日閲覧。 - ^ 「オバマは人種差別主義者」という発言をしたことで有名なFOXニュースおかかえの人気番組司会者。彼はちょうどこの頃にFOXに移籍したことから、いち早くこの運動に着目し、熱心に支援している保守のカリスマある。前述のレイシスト発言により広告主のボイコットが起きた他、ティーパーティーの盛り上がりをCNNやMSNBCが報道してないと新聞広告を出して物議を醸す、など騒動が絶えないが、注目が集まることを楽しんでいるふうでもある。 ( Glenn Beck )
- ^ 9つの信条と12の美徳という、やや宗教のような一見無害に思える戒律を掲げる、番組企画の自称・”非政治”運動。宗教や建国の父をことさら口にするが、実質的には反オバマの右派圧力団体。後に支持者が集まって政治グループともなった。( 9-12 Project )
- ^ Neiwert, David (2009-09-14 ). “Glenn Beck exploits 9-11 tragedy for ratings: Because cheap symbology matters more than people”. Crooks and Liars 2010年2月14日閲覧。
- ^ “Arguing the size of the "tea party" protest”. Christian Science Monitor (2009年4月18日). 2010年9月12日閲覧。
“Nationwide 'tea party' protests blast spending”. CNN (2009年4月15日). 2010年9月12日閲覧。 - ^ 「オバマはナチだ」などの問題発言で有名な右翼のコメンテーター。またイスラム教を誹謗して「アラーは猿の神だ」と言ったこともある。第一回のエクスプレスの議長であったが、全米黒人地位向上協会に批判されたのをブログで反論してさらに差別発言を重ねて、全米ティーパーティー同盟より除名された。しかし今でも何食わぬ顔で別団体を立ち上げて、スポークスマン的な立場をとっている。
( Mark Williams )
“On board the Tea Party Express” (2010年1月4日). 2010年9月16日閲覧。
岩田仲弘 (2010年10月6日). “サクラメント 実態謎めく「お茶会」”. 2010年10月6日閲覧。 - ^ これが9-12プロジェクトの企画であったのが理由で、この日の集会は通常のティーパーティー集会よりも、右翼的なプラカードが多かった。「We ♥ Love Glenn Beck」なども他の集会では見られない
- ^ 第一回(2009年4月28日〜31日、9月1日〜11日。33都市)
第二回(10月25日〜11月10日。38都市)
第三回(2010年3月25日〜4月15日。43都市。ペイリン参加)
第四回(2010年10月18日〜11月1日の選挙前日までの予定。全米横断32都市) - ^ 報道によると1回の出演料は10万ドルだったとのこと。
“Palin prête pour une révolution” (French) (February 20, 2010). April 23, 2010閲覧。 - ^ Hennessey, Kathleen (2010年4月15日). “Tax day 'tea parties' draw thousands across U.S.”. Los Angeles Times 2010年9月23日閲覧。
- ^ 直接的には保守的なトーンを和らげるために「憲法の文言の厳格な解釈」という表現で主張されるが、その真意は連邦議会の大企業救済にみられた越権行為だけでなく、人工妊娠中絶の非合法化や、同性婚の禁止、あるいは銃規制の反対なども意味するものである
- ^ a b
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- ^ (One Nation Working Together March for Jobs, Peace and Justice)
- ^ “'One Nation' rally offers 'antidote' to Tea Party”. USA TODAY (2010年10月2日). 2010年10月6日閲覧。
- ^ 敢えて訳さず。(アメリカの学生スラングであるTeabaggingの意味)"A sexual act involving part of the male genitalia and a second person's face or mouth"
下記のリンクはティー・バギングをネタにしたプラカードを持つ人の写真と記事。
“Scenes from the New American Tea Party”. The Washington Independent (2009年2月27日). 2010年9月12日閲覧。 - ^ CNNのアンカーであるアンダーソン・クーパーがティー・バギングでジョークを言ったのを批判するFOXニュースの記事。
“Cable Anchors, Guests Use Tea Parties as Platform for Frat House Humor”. FOX News (2010年4月7日). 2010年9月10日閲覧。 - ^ “Tucker Carlson to Katrina Vanden Heuvel: Stop Saying 'Teabaggers'”. NewsBusters (2010年1月17日). 2010年9月20日閲覧。
- ^ 左の白人男性がもつプラカードにはオバマ大統領のチェンジの言葉のCを消して「オバマの首をつるのを我々はいとわず」とある。中央の大きな政府に反対するプラカードのようなまともな文面もあるが、かなり過激な論調が目立つ
- ^ 「反オバマ」初の全米集会 保守派ティーパーティー 産経ニュース/共同 2010-2-7
- ^ 後述のラスムセン世論調査では、白人は80%、黒人は6%だった。なお全米の人種別人口比率では黒人は約12%前後であるので、これらの結果で運動から黒人が排除されているかのような極端な解釈をすることはできないが、全米平均と参加者では黒人比率は20%ほど少ない
- ^ “Racial slur by Tea Party leader hits home”. Dayton Daily News (2010年4月12日). 2010年9月28日閲覧。
- ^ このジョーカーが最初に登場したのは、2008年の大統領民主党予備選の際のジョセフ・バイデン候補(後にオバマ政権で副大統領)の集会でのこと。後にオバマ大統領が誕生すると、民主党集会で登場したということをある種の人種差別批判への免罪符に、反オバマの最も過激なイメージとして浸透した。( Barack Obama "Joker" poster )
- ^ オバマ大統領のフルネームは、バラク・フセイン・オバマ・ジュニアで、父親はムスリムであったが、本人はプロテスタント系キリスト教徒である。フセインという名前はシーア派イスラームのイマームであるフサインから取ったもので、イスラーム世界では一般的な名前であるが、米国ではイラクのサッダーム・フセイン元大統領を連想させる名で、右派の一部はそれを利用してオバマを「フセイン候補」などと呼ぶなどした。2008年の大統領選挙においてマケイン候補の討論会で「オバマはムスリムだ」という一般参加者がマイクを握るなど、10人に1人は、誤解していたことが知られている。これは共和党右派が「バラク・オバマはインドネシアでマドラサ(イスラム神学校)に在籍してた」「オバマはインドネシアではイスラム教徒だった」などのデマを意図的に広めていたという背景がある。ちなみにそのとき マケイン候補(上院議員)は、一般参加者からマイクを奪ってその主張を否定して、オバマを擁護した。マケインの中道的姿勢は一部では賞賛されたが、ティーパーティー運動に加わるような右派の支持は失った
- ^ これに関連してアメリカでは、メディアでの取り扱われ方も、局の政治的な立場によって大きく異なる。一般論としては、MSNBCがリベラル側でオバマ支持、FOXニュースが保守側でティーパーティー擁護という構図。これは前ブッシュ政権、あるいはさらにその前のクリントン政権からの傾向であり、双方が偏向報道と暗に非難し合って、主義主張と視聴率争の両方で、しのぎを削っている
- ^ 彼は「 TeaParty.org 」の創設者。
“Analysis: Was The Notorious Racist Tea Party Sign Forged? We Believe Not”. Mediaite (2010年3月31日). 2010年9月12日閲覧。 - ^ 大統領の当初からの方針は、①金融安定化のための新たな規律、②教育に対する投資、③再生可能なエネルギーと技術のための投資、④家族と企業の負担を削減するヘルスケア投資、⑤将来の世代のための負債の削減と連邦予算の節約、の5点だった。(2009年4月14日のジョージタウン大学でのオバマ大統領の経済演説より)
- ^ Politicalticker (CNN) April 29, 2009
- ^ “President Obama Weekly Address April 10, 2010”. Positively Barack. (2010年4月10日) 2010年9月16日閲覧。
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- ^ クリントン政権時代の元首席補佐官
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- ^ この事件は「タウンミーティングの暴徒」と呼ばれる。
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- ^ a b Krugman, Paul (2009年4月12日). “Tea Parties Forever”. The New York Times 2010年9月13日閲覧。
- ^ コラムでは言及されてないが、アメリカで著名な保守派の富豪、コッチ兄弟(David H. Koch と Charles G. Koch)やFOXニュースを傘下にもつニューズ・コーポレーションのオーナーであるルパード・マードックのこと。なお億万長者の援助を受けているのは民主党を支持するリベラル系の団体も同じで、共和党だけが富豪の支援を受けているわけではないので注意。アーサー・ブランクやウォーレン・バフェット、バリー・ディラーなど民主党支持の富豪だけでなく、スティーブン・スピルバーグやジョージ・クルーニーらハリウッド著名人の間では民主党支持の方が圧倒的に多い
- ^ Reynolds, Glenn H. (2009年4月13日). “Tea Parties: Real Grassroots”. The New York Post 2010年9月13日閲覧。
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- ^ デイヴィッド・ブルックスは保守派のコラムニストだが、ティーパーティー運動の支持者ではなく、悲観的にとらえていた。( David Brooks )BROOKS, DAVID (2010年1月4日). “The Tea Party Teens”. The New York Times 2010年9月16日閲覧。
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- ^ ティーパーティー参加者のなかでも47%はサラ・ペイリンは将来の大統領として有望ではないと答えており、これが全米調査になると63%に跳ね上がる
- ^ 彼が雑誌タイムの表紙を飾った際には、テレビドラマのタイトルをもじって「マッドマン」というタイトルが付けれ、舌を出した挑発的な顔写真が載った。
“Mad Man: Is Glenn Beck Bad for America?”. TIME (2009年9月17日). 2010年9月12日閲覧。 - ^ ティーパーティー参加者の59%がベックの意見を好意的にとらえて支持率が高い。しかし全米調査になると、グレン・ベックという名前は聞いたことがないという47%が最大で、保守派以外には知名度も影響力もあまりないことがわかる。
またベックは自分の番組内で金を買う投資を視聴者に勧めて、スポンサー企業に利益誘導したことでも批判を浴びているが、彼の呼びかけに応じて金を買ったと答えたのは5%に過ぎなかった - ^ 「The Nationwide Tea Party Coalition」のこと
- ^ 「Contract from America」のこと。「アメリカからの誓約」と訳されることも。クリントン政権時代の中間選挙でギングリッチ下院共和党院内総務(当時)が指導した共和党が「アメリカとの契約(Contract with America)」という文書を掲げて大勝した事例をもじったもの
- ^ 十箇条は以下 ①憲法の遵守 ②排出権取引の拒否 ③連邦財政の均衡 ④根本的な税制改革 ⑤小さな政府 ⑥歯止めのない歳出の終了 ⑦医療保険改革法撤回 ⑧無制限のエネルギー政策 ⑨バラマキ財政の停止 ⑩減税(増税の停止)
The Contract from America: Text Version - ^ Phillips, Michael M. (2010年9月28日). “米共和党議員、公約の「アメリカとの誓約」を売り込み”. ウォール・ストリート・ジャーナル・日本版. 2010年9月28日閲覧。
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- ^ ( Mama grizzly )
- ^ リサ・ミラー (2010年10月29日). “母グマたちの乱はアメリカ政治を変えるか”. Newsweek日本版. 2010年11月1日閲覧。
- ^ 勝敗の数は産経の調べ。言及されているティーパーティー推薦候補の内訳は不明。
佐々木類 (2010年9月19日). “米中間選挙予備選 ティーパーティーの影響力は?”. 産経ニュース. 2010年10月2日閲覧。 - ^ オドネルのFOXニュースでの発言で、彼女によるとタイム誌は過去にヒトラーやスターリンが表紙になってきたので、同じく表紙になったオバマも悪人であるという主張だった。この意味不明の発言はその場にいたFOXの保守派コメンテーターにも一笑に付された
- ^ 「Feminists for Life」のこと
- ^ サウスダコタはもともと全米唯一の中絶違法州
- ^ ネバダ州のギボンズ知事の予選敗退は、ティーパーティーとはあまり関係なく、本人のセクハラ騒動や汚職、失政によるもの。広範囲に支持を失っていて再選を断念した
- ^ アメリカの各州知事の任期や多選制限は州によって異なる。4年2期までが一番多いが、期限なし無制限の州もある。
( Gubernatorial term limits ) - ^ ルイジアナ州の共和党現職のボビー・ジンダル州知事がインド系では初であった