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「人材派遣」の版間の差分

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2010年8月15日 (日) 12:21時点における版

人材派遣(じんざいはけん)とは、派遣元となる派遣会社に登録している者を、派遣先となる事業所へ派遣して、かつ派遣先の指揮命令のもとで労働サービスを提供する雇用形態のこと[1]であり、法令上は「労働者派遣」が正式名称である[1]

法令上は「労働者派遣」が正式の名称であるにもかかわらず、わざわざ「人材派遣」という名称で呼ぶ事業者や人がいる[2]のは、以下のような理由による[1]、ともされる。

  • 派遣先への直接雇用の意味合いを持たれること。
  • 「労働者」という言葉が、「ブルーカラー」をイメージさせることがあり、それを避けるため
  • 適性な「人材」を「派遣」して、労働サービスを提供する事業形態であること

人材派遣の法的な位置づけ

人材派遣業という事業を行う会社は、1975年(昭和50年)頃から急速に増えた。これに対応し、1985年(昭和60年)6月に、派遣労働者の保護を目的とした「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」(通称:人材派遣業法)が成立し、翌1986年(昭和61年)7月から施行された[3]

人材派遣業法第2条では、労働者派遣を以下ように定義している[4]

自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させることをいい、当該他人に対し当該労働者を当該他人に雇用させることを約してするものを含まないものとする

この定義によって、人材派遣契約は従来の業務請負契約と明確に区別されることになった[4]という。

業務請負では、請負労働者は、自身が雇用関係を結ぶ会社(=請負業者)と注文主の会社との間で締結した請負契約にもとづいて労働を提供するという、直線的な関係があるのに対して、労働者派遣では、派遣労働者は派遣元の会社と雇用関係を結び、派遣先の会社とは使用関係になり、派遣元会社と派遣先の企業は派遣契約を結んでおり、言うなれば三角形の関係にある[4]

言い換えると、業務請負では、労働者の指揮命令権は顧客企業ではなく、あくまでも請負業者のほうにあると定義されているのに対し、人材派遣制度では顧客企業(=派遣先企業)に労働者の指揮命令権が認められている[4]という特徴がある。

「人材派遣」の意味

本来企業が正規雇用者の削減(解雇)がなかなかできないため、非正規雇用者へ正規雇用者に準ずる負担を押し付けるシステムである。

人材という言葉は労働者以外にも意味することがあるため、「人材派遣」が意味する実体は民法上の請負や委任のようなケースを指すこともある[要出典]

家庭教師の派遣や、介護ヘルパーの派遣は、労働者派遣ではなく、民法上の請負である[要出典]が、実体として事業所から労働現場に出向く形態であり、一般に派遣という言葉が使用される例もまれではない[要出典]。ただし、彼らが完全に自らの判断に基づいて完全に仕事を請け負っているわけではなく、実質的には事業所のある程度の指揮命令系統が存在しているのが普通であり、いわゆる労働者派遣事業法に基づく人材派遣ではない、とは必ずしも言い切れない。[要出典]

行政手続き上の取扱い

人材派遣という言葉の意味が明確ではないことの行政上の実例として、商業登記先例が挙げられる。2006年(平成18年)に、商業登記における会社の目的登記の取扱いが変更されるまでは、目的の表現には具体性が要求されており、会社目的の登記先例を掲載した目的事例集(日本法令や、各法務局が編纂)によれば、「人材派遣業」という用語は具体性を欠くものとして登記不可とされていた。このため、登記実務上は、「労働者派遣事業」など、労働者派遣法に則した表現を用いている。

2006年以降、人材派遣業でも登記は可能の扱いになっているが、一般労働者派遣事業の許可申請や特定労働者派遣事業の届出を都道府県労働局に対して行うに際し、提出しようとする事業者が法人である場合には、定款の目的には、「労働者派遣事業」を行うことが記載されていることが求められ[5]、「人材派遣業」では認められない運用である。よって、労働者派遣事業を行おうとする事業者は、事業目的を、人材派遣業ではなく、労働者派遣事業と定める必要があるのが原則ではあるが、実際には労働局によっては「人材派遣業」「○○の派遣業務」でも「労働者派遣事業を行うことがわかる」と言うことで受理、許可をされている。

事実上の事前面接の横行

労働者派遣法第26条では「派遣労働者を特定することを目的とする行為」は制限されており、「見学」「面談」「業務確認」などの様々な呼称で、実際に派遣元企業が派遣先に派遣社員を紹介する行為が横行している。ただし、紹介予定派遣の場合のみ、事前面接を認めている。

労働者派遣事業は本来、派遣先企業の要望を受け、最適な人材を登録者の中から探し出し、かつ、派遣先企業の詳細を正確に登録者に伝達するサービスである。なかには業務を紹介する立場である派遣元企業の社員が、その業務についてよく分からないと称して事前に面談を行なうケースが多い。これは法令順守以前の問題であり、単に派遣企業の職務怠慢と、学習努力の放棄である。近年派遣労働者の人数は急拡大しており、そのため政府は法令順守を強化するよう派遣企業に求めている。

日本経団連は、政府に対する雇用・労働分野の規制改革の要望に、事前面接の全面解禁を盛り込んでいる。全面解禁になると、派遣労働者の立場が今以上に弱くなるのは決定的と見られており、派遣労働者からは、パワーハラスメントの更なる横行が懸念されている。

また一部の面談では、面談時に正社員採用も考えると、実質虚偽の内容が含まれた面談も報告されている。特に上場企業で派遣社員を正社員として採用した例は極めて稀である(工場勤務等は除外)。

契約更新の問題点

大手人材派遣会社に多く見られる3ヶ月更新の労働条件は、使用者と労働者双方にとって更新を拒否する自由があることを意味するが、実態は労働者側からの更新拒否を、法律の原因なく甘受しない企業も少なくない。「1年以上の長期間の就労を期待しつつも、契約は3ヶ月更新を要求する」など、労働者にとって不利な提示がなされている。

日本の国際競争力低下の懸念

日本は原材料を輸入して加工し、製品を輸出して成り立っている典型的な加工貿易国家である。日本は世界でも最高水準の品質の製品を多数生産し国際競争力を保持しているが、社外の人間であり、短期就労がほとんどの派遣社員に製品への忠誠心や品質意識を要求するのはほとんど不可能である。

現在は純粋にコスト面から人材派遣制度を利用する例がほとんどであるが、国際競争力保持を視点に入れた人材派遣制度に転換していかないとコスト面よりも主に品質の面から、日本の国際競争力を徐々に低下させる危険性があり、コスト・品質を両立させうる長期的観点からの対策が求められている。自動車総連が非正規雇用者について所属組合に実施したアンケート調査(カッコ内は回答比率、複数回答)では、「技能・技術の伝承で課題がある」(52.6%)、「製品・サービスの質が低下する」(28.3%)といった点へ影響が出ているとの指摘がある[6]

また、人材派遣等の非正規雇用による生活の不安定化は、独身者の増加を招き少子高齢化をさらに進行させている。雇用の不安定化は根本的かつ長期的に日本の国際競争力の低下を招き、日本の国内市場を縮小させている大きな要因であるとの指摘がある。

勤勉さと利益相反について

派遣社員が勤勉に働くほど、派遣先企業は従来正社員が行っていた業務が派遣社員でも遂行可能なら、正社員の雇用を抑制可能と判断する現象がおきている[要出典]。正規雇用の見込みがなければ、派遣社員の勤勉さと派遣先企業とは根本的に利益相反であるとの指摘がある[誰?]。 派遣社員を必要とするのは大企業とその子会社・関連会社をはじめ、一定規模以上の会社がほとんどだが、上場企業とその子会社にあたる会社が実際に派遣社員を正社員として採用することは事実上ほとんどない[要出典]

派遣社員側からすると、派遣先企業は他社であるため、派遣先企業で正規雇用される見込みや、契約更新時に賃金単価の上昇がない場合、契約停止されない最低限の労働しか必要なくなる。また派遣先企業固有の業務知識は、他社の人間であり最長3年契約が主流の派遣社員にとって本来関係ないため、派遣先企業固有の業務知識習得の士気は低調であり、業務の質にも影響がでてくる。[要出典]

近年派遣社員に対し「正社員としての採用も考えると甘言で誘い、安く使おう」というケースが横行している。ほとんどの派遣社員が「派遣先企業から正社員としての採用も考慮してあげるから、賃金単価の上昇はないけれども契約内容以上にもっと頑張ってほしい」と、虚言と圧力を受けたの報告がなされている[誰?]

若者の誠実さ・純真さに付け込んでいるだけの非常に悪質なケースが多いとの報告も多数もたらされている。中には大手人材派遣会社が求職者を正規雇用の面談と称し、実際は非正規雇用の面談に連れ出した極めて悪質な例も報告されている[要出典]

健康保険組合

「人材派遣」を行う事業者の業界団体である「社団法人日本人材派遣協会」は、2002年に人材派遣健康保険組合(通称「はけん健保」)を設立した。従来、派遣労働者は、派遣元である労働者派遣事業者との契約が月単位となっていることを利用し、継続雇用されていないことを理由に健康保険制度厚生年金保険制度に加入しないことが多かった(これら制度に加入するためには、3ヶ月以上の継続雇用が必要であるが、3ヶ月以上継続雇用されれば必ず加入させなければならない)。

この取扱いは、派遣労働者にとっては保険料を負担しないことによる手取り収入の増加、派遣元である派遣事業者にとっては保険料負担軽減および社会保険関係事務の軽減、派遣先企業にとっては派遣単価の圧縮、というメリットが存在したため、雇用関係が実質3ヶ月を超えても、健康保険制度へ加入させない脱法状態が長く続いていた。特に労働者派遣事業を専業にしている者には、意図的に社会保険制度未加入を行うものも存在した[7]

しかし、2002年に会計検査院が厚生省に行った検査の中で違法であると指摘[8]。さかのぼって健康保険を適用し、多額の保険料が追徴される事態となった。この状況をみて、業界団体が主導して、やむをえず健康保険組合を設立するにいたったものである。政管健保に加入する方法もあったが、比較的若い派遣労働者のみで保険の母集団を構成したほうが、健康保険料率を低く設定できるため健康保険組合制度が採られたとされているが、後期高齢者医療制度の影響により現在では高い保険料率となっている(この制度は加入者数に応じた頭割り計算で拠出金を決めるため、若く所得が低い者が多い組合では非常に大きな負担となる傾向がある)。[9]

また、健保組合(組合健保)であるため、国民健康保険(国保)に比べ休業補償等の補償が手厚いというメリットもある。

労働者派遣事業者の中には、商社銀行系列を中心に、「はけん健保」成立前にすでに健康保険に加入しているものも多数あった。

なお、派遣事業者が商社や銀行、大手メーカなどのグループ企業の1つである場合、親会社の健康保険組合に加入する形式を採ることもある。

パート・アルバイトと比較して給料が高額な理由

派遣会社は原則として学生の就労は認めておらず、なんらかの職務経験を有した即戦力としての就労になるため(2008年現在においては未就業者への紹介も行われている)、一般的なアルバイトよりも時給は高く設定されるケースが多い。有期雇用であることを雇用前に明確に設定できるため、労働者を長期間雇用することのリスクをある程度排除できることに加え、アルバイトパートを自社で募集する際の求人広告費などを勘案すると派遣会社を利用することが費用対効果上メリットがあるという経営判断に基づいている。

また、大手派遣企業(前述のスタッフサービスなど)の場合、交通費は時給に含まれているため割高になるという指摘もある。ただし本来通勤に係る交通費は所得税法上非課税になるのに対し、交通費相当額が時給に含まれる場合その交通費相当額に対して課税されており、従業員にとって不利なため問題点とされている。

また同じ職場で同じ業務内容で同じ時給であった場合、通勤距離・経路などによって実質給与手取額に差が生じるという問題点もある。

人材派遣肯定側からの反論

人材派遣業界への批判に対し、主として派遣先と派遣元の経営側からは以下のような反論が行われている。

マージンを多く取りすぎている

人材派遣会社は派遣先企業からの支払いのうち50%前後の額を派遣会社が徴収し、純益としているといった話が広く浸透しており、しばしば「派遣=奴隷制度」「搾取社会の象徴」、また人材派遣業者は「ピンハネで不当に儲けている」といった批判の対象となっている。

人材派遣会社側は否定しているが、大半がその企業の決算報告書から導きだせる割合ではなく、真偽の確認が困難で信憑性に乏しい。真実と仮定しても、統計的見地から導き出された数値ではないケースがほとんどである。

アデコフジスタッフなどの独立系の人材派遣会社の場合、利益は社会保険(労使折半)や有給休暇の負担、福利厚生、事務所の地代家賃や人件費などの経費を加味してのことなので例えば一等地にある大型の人材派遣会社のマージンが30%だとしても、額面どおりの利益にはならない。 これは一般企業(たとえば印刷業や流通業)の年商を社員数で割った数字が、そのまま社員各々の年収となるよう分配することが出来ないことと同じ道理である。大まかにであるが有休には派遣社員の給料の5%程度が当てられ、社会保険には7~10%程度が当てられている。また、上記のような義務的経費に加え、経理担当者や営業担当者やスタッフへの指示担当者の人件費、広告費、大型ビルの地代家賃・光熱費また、など派遣事業にかかる経費などをも総合して加味すると、営利企業として利益を上げるには30%程度のマージンを取らざるを得ない。[10]

実際の人材派遣業は薄利多売であることは人材派遣企業の財務諸表からも分る。例えば、人材派遣大手であるテンプスタッフの2007年度の売上高が1618億円なのに対して、営業利益が70億なことからも推察できる。売り上げ額の1600億円に対して70億円程度を純益としている場合は、派遣企業がマージンから経費を除いた純粋な利益は4.5%程度である。 また、2006年度の決算での業界上位五社の営業利益[11]はテンプスタッフの4.5%が最大であり、人材派遣最大手のパソナの営業利益は3%にしか過ぎない。

正社員が派遣で代替され、正社員としての雇用機会を奪っている

日本の正社員は身分保障が非常に強く、その分企業の労働力需要を抑制し、労働者の雇用機会を損ねているという指摘がある。実際新卒以外の人が正社員として企業に就職するには手段が限られており、派遣労働者が企業の労働需要を満たしている。

派遣社員は低収入で、いわゆる格差やワーキングプアの原因になっている

本来、人材派遣会社は同時通訳や財務処理、ソフトウェア開発など一般企業の正社員には困難な、特筆すべき技能を有している者を「一時的に外部から拝借する」手段であるため、かつては派遣社員というのは一般的に正社員よりも高給取りで、様々な会社を転々とするスペシャリストだとみなすことが一般的であった。しかし、一般企業が人件費を圧縮する手段として人材派遣会社を利用する傾向が1999年(法改正後)から顕著化し、2008年現在においては技能未習得者のみならず、就労未経験者をも受け入れ、即戦力としてでなく「定型的な単純作業を行わせるための人材」を確保する手段として、派遣会社を利用する企業が急増している。

人材派遣企業は本来労働者が全額を得るべき労働対価を収益源としている

企業が正社員を雇用するということは莫大な経費が発生し、かつその社員を原則、定年まで雇用し続けることを前提とした賃金設定を行う必要がある(ボーナスは除く)。さらに、たとえば1万人の派遣社員を正社員として雇用した場合、1万人分の労働管理や経理事務が発生することを意味する。必然的に管理職や経理担当者の増員を迫られ、これらの人件費も発生する。また正社員は景気循環や季節変動に応じた雇用の調節が困難である。 こうしたことから、企業が正社員を雇い入れるということはイニシャルコスト・ランニングコスト両面で大きな負担を強いられる。人材派遣会社が純利益とできるマージンを仮に5%得たとしても、企業はこの負担を相殺し、さらに企業にとって利益となる。人材派遣企業は派遣先企業の労務費に弾力性を与え、企業体質を強化するサービスの対価として利益を得ている。

派遣先企業の誤った認識がトラブルの原因である場合も多い

派遣先の企業担当者が、派遣労働者に誤った認識を持って接し、トラブルにつながる例も多い。人材派遣を利用して日の浅い企業でよく見られるケースだが、派遣先担当者が派遣労働者に対して、社員に準じて仕事を自ら進んでするべきとの態度で接し、ノルマ・成績まで社員に準じて要求する場合がある。派遣社員側が保険加入でない場合は、短期のアルバイトとしか考えていないケースがほとんどのため、大企業の正社員に準ずる労働水準という、極めて過剰な要求を受け、トラブルになり早期に派遣社員側が退職し、双方に不利益な結末となる例が多い。

なかには派遣社員に高度情報処理技術者試験に合格するよう要求する極めて過剰な要求例も報告されている。高度情報処理技術者試験に合格できる人間は情報処理技術者の中でも限られており、対応の困難な要求であるし、高度情報処理技術者試験に合格できる実力を持つ人間が派遣社員としてそのまま勤務し続けることはほとんどない。

また正社員側が、派遣元にクレームを入れるぞと派遣社員を恒常的に恫喝し続け、正社員に準ずる労働水準を強要し関係が極度に悪化し派遣社員側が辞職したく故意にミスを犯したり、故意に派遣先に損失を引き起こし、派遣社員が辞めるときに派遣先の問題点を全て派遣先の人事・総務に報告し、トラブルになるケースが報告されている。

派遣社員側からは企業の総務・人事担当者に、恒常的に恫喝し続けるというような行為を取締まるよう求める声がある。 中には正社員が私的都合のために、派遣社員に社内規則に違反したことを指示したり、会社の損失さえ無視する極めて悪質な例や、正社員が責任を回避するために、派遣社員に明確な指示を与えず業務を遂行させ、問題が発生したら自分は派遣社員に対して指示を出していないと主張する例がかなりの数報告されている。派遣社員側から総務・人事へ正社員の悪質な行為を通報する制度の整備や、それによって派遣社員側の不利益が発生しないよう環境の整備が必要との声が、派遣先企業・派遣社員双方からある。

また派遣社員側は外部の人間のため、派遣先の指示なしでは動けない場合も多い。また派遣会社も場合によっては指示なしで行動せず、言動には慎重を期すよう教育していることもあり、社員に準じて率先して自ら動く人材を求める場合は、準社員や契約社員の方が人材派遣よりも適している場合が有り、派遣先企業の認識不足で人材派遣がミスマッチとなっている例も多く報告されている。また人材派遣では派遣社員に完成責任は無いため、完成責任を有する請負の方が適した場合もある。

派遣制度は一部の労働者にはメリットのある制度である

大手人材派遣会社の場合は3~6ヶ月毎の更新契約が多いため、このことが精神的な圧迫になる者もいるが、逆にイニシアチブを一生就業先に預ける必要がないことに魅力を感じる者も少数存在する。

正社員では社内規定に基づいた平均化された給与と同一化され、能力に応じた支払いを受けることが難しい企業もなかにはあるが、高度な技術を身につけた人材は高額な給与と時間的な自由度が高い派遣先だけを選ぶことにより、一時的に年収を向上させることができる者もなかにはいる。

派遣社員には原則、退職金やボーナスなどの待遇はないため、業種や派遣社員の技能によっては月々の手取額が、中小企業のキャリアの浅い正社員よりも高くなることがある。このことで得た一時的な現金を元手に、留学や習い事に投資してさらなる能力を身に付けるというハイリスク・ハイリターンな人生設計を立てることが可能であることをメリットに感じる者もいないとはいえない。一方大企業の正社員より給料が高いことはほとんどない。

しかし製造業で働く派遣労働者の中で、何某かのメリットによって積極的に派遣労働者を選んだのは約3割だったという調査結果もある。 [12]

脚注

  1. ^ a b c 原田二郎『あなたの知らない人材派遣』p.13
  2. ^ 業界団体の社団法人も、その名に「人材派遣」の語を用いている。
  3. ^ 南山大学)渡辺直登、水井正明、野崎嗣政 1990「人材派遣会社従業員のストレス、組織コミットメント、キャリアプラン」経営行動科学 第5巻 第2号
  4. ^ a b c d 「人材派遣会社従業員のストレス、組織コミットメント、キャリアプラン」p.76
  5. ^ (労働者派遣事業、労働者派遣業、一般労働者派遣事業、特定労働者派遣事業、いずれも可能。
  6. ^ 「非正規、自動車技能伝承に課題 製品・サービスの質にも影響」共同通信、2008年9月4日付配信
  7. ^ 公演録「パソナの企業戦略と経営理念」南部靖之(株式会社パソナ代表取締役社長)1999年1月29日
  8. ^ 会計検査院 平成11年決算検査報告
  9. ^ 平成20年4月から高齢者医療制度が変わり、健保組合の保険料が急増します
  10. ^ 派遣料金の仕組みについてご説明します 派遣スタッフの皆さま|社団法人 日本人材派遣協会
  11. ^ 派遣会社経営/上場5社の損益計算書主要指標比較
  12. ^ 派遣労働者:製造業の7割が「消極的理由で」NPO調査」毎日新聞2008年11月2日

関連項目

外部リンク