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「管理組合」の版間の差分

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=== 区分所有者 ===
#REDIRECT [[マンション#管理組合]]
マンションを購入すると、区分所有法に基づき名義人が区分所有者となり購入した部屋の内側(バルコニーやポーチ、専用庭などは専有部分に含まれず、各区分所有者が専用使用することができる共有部分となる。)は専有部分として自由に使用する権利を得ると同時に、廊下やエレベーター、配管などの共有部分(簡単に言えば専有部分以外の全て)を全区分所有者と共同で維持管理する義務が生じる。この権利と義務は、各専有部分の広さ(床面積)に応じて決められ、同じ広さの物件が10戸あるマンションであれば、それぞれ1/10が割り振られることになり、同様に土地に関しても1/10の所有権を持つ事になる。

なお、行政もこれを根拠に土地と建物の総時価から算出された[[不動産取得税]]と[[固定資産税]]を所有率に応じて区分所有者に課税する。

ただし、マンションはその土地と建物全体が揃ってはじめて完全に機能するため、この権利をさらに細分化したり建物と土地の権利を分割しての売買や譲渡をすることは禁止されており、また専有部分であっても管理組合の許可無くリフォームしたり改変する事は禁じられている。このように、マンションの区分所有者は維持管理に関して法律で非常に厳しい制限が課せられている。マンションの購入者は、区分所有者と表現されるように一定の部分を専有(または占有)する権利を与えられるだけであることに注意しなければならない。

=== 管理組合 ===
マンションが完成し、各物件を購入した区分所有者に引渡しが始まると、区分所有法に基づき管理組合が設立される。区分所有者は原則として組合員となることが義務付けられておりその運営に携わることになる。日本以外でも管理組合に相当するHomeowners' association (HOA)などと呼ばれる管理組織が法律などに従って設けられることがある。

直接的には総会にて選出する理事長・会計・監事の3役員と、マンションの規模に応じた人数の理事によって構成される理事会が組合運営を行う。一般的には、理事は任期制であり輪番制である。

管理組合の最高意思決定機関である総会での議決権は、株主総会と同じように所有比率に応じた議決権があり、「区分所有者の数」かつ「議決権の数」の双方が条件を満たすことで、いわゆる議会制民主主義の手続きによって可決することができる。

総会には、年1度開催される「通常総会(定期総会)」と、臨時的に開催される「臨時総会」がある。

==== 理事会 ====
理事会の活動は、適時理事会の会合を開催し、組合総会における決定に基づき組合運営を履行する。

また、重要事項にあたる予算案や決算報告、事業報告、次年度事業計画、マンション内の法律ともいえる管理規約の改正案や法定点検の有資格者への委託契約、長期修繕計画案、各種許認可など、組合運営に必要な事項を協議・決議し、組合総会に提案する総会議案書の作成も理事会の場で行う。なお、事業報告および決算報告については、監事の監査報告を必要とする。

理事長は、年1回以上総会を招集開催し、総会議案書を提出、決議を執行し承認を得なければならない。

==== 管理者 ====
マンションにおける管理者とは、区分所有法に定められるものである。管理者は、建物や敷地の保存をし、また集会決議を実行する者である。また、職務範囲内で、区分所有者を代理したり、共用部分を所有したりすることができる。

管理者は、総会決議があり、管理規約に制限が無ければ、だれでもなることができる。区分所有者である必要もなく、管理会社やマンション管理士がなることもある。標準管理規約では、管理組合の理事長を管理者としている。

総会決議を経てない限り、管理会社、管理員(管理人)、防火管理者などとは関係がない。

=== 管理組合法人 ===
管理組合が[[法人格]]を取得することで、法的責任の所在を明らかにすることができる。

== マンション管理に関わる資格 ==
マンション管理適正化法にもとづき
* '''[[マンション管理]]'''
* '''[[管理業務主任者]]'''
の二つの[[国家資格]]がある。前者は財団法人[[マンション管理センター]]が、後者は社団法人[[高層住宅管理業協会]]が試験実施機関である。

マンション管理士は、区分所有者によって構成される管理組合に適切な助言などを行う専門家であり、マンション管理士でない者はマンション管理士を名乗れない名称独占資格である。

管理業務主任者はマンション管理会社の必置資格であり、[[宅地建物取引業法]]に規定する[[宅地建物取引主任者]]に性格が類似している。

また、高層住宅管理業協会が認定している資格として
* [[被災建築物応急危険度判定士]]
* [[区分所有管理士]]
* [[マンション維持修繕技術者]]
がある。これらは法律に規定のない民間資格である。

なお、これらの資格は、区分所有者からなる管理組合の構成員、理事などに必要なものではない。

=== 管理運営 ===
以前は上階や隣の住民による騒音問題が一番であったが、管理組合が抱える昨今の一番の問題は管理費及び修繕積立金の滞納である。管理費は管理業者に法定点検や日常の清掃などの委託の為に支払われ、修繕積立金は共有部分の補修のため預金されるが、これが不足する事により管理が行き届かず補修もままならない状態が続くとマンションの価値が低下する。これにより入居率が低下することで物件価格や賃貸時の家賃相場が更に低下するという悪循環に陥りスラム化する。

管理費や修繕積立金を預金として管理している場合、大規模なマンションでは、修繕積立金が億を超える金額になることもある。その場合に、[[ペイオフ (預金保護)|ペイオフ]]を考慮する必要がある。緊急対応として、[[預金#決済用普通預金|決済用普通預金]]に切り替えるなどの手法がある。管理費や修繕積立金を運用する場合、管理組合の法人登記が必要になる場合がある。

この他の問題として、管理組合は管理を委託する管理業者を自由に選択することができるが、現実には購入時に販売会社によって関連の管理会社が既に決められていたり、また、マンションの管理規約は国土交通省発行の共同住宅標準管理規約が雛形とされているが、販売会社が予め作成した管理規約への同意が購入の条件となることも多く、これには当然ながら販売会社や管理業者の意向が強く反映された内容が追加されておりトラブルになる事もある。

また、継続性が必要という業務の性質上、市場競争が作用しにくく不明瞭な契約金などでのトラブルが多数報告されており、管理業者の変更を検討した管理組合の約30%はなんらかの妨害を受けているという調査がある。
一方では管理組合にもマンション毎に温度差があり、管理会社にまかせっきりで事実上機能していない管理組合や、組合員同士が激しく対立して組合総会もままならないというケースもある。

大規模な修繕に際しては工事請負業者の選択に当たり慎重な審査を要するが、業者が倒産など請負業務の遂行が困難な場合、別の業者が引継ぐ仕組みもある。これは多くの業者がまとまって法人格を取得し、この法人が保証するものである<ref>[http://www.mks-as.net/ マンション計画修繕施工協会]などによる</ref>。

役員報酬については、支払っているもの、支払っていないものがある。支払っている場合、その額は、役員一律のもの(平均3,600 円/月)もあれば、理事長、理事、監事など、それぞれに額を設定しているもの(理事長平均9,300 円/月で、理事平均5,500 円/月、監事平均4,900 円/月)もある。また、理事会出席1人1回に付き一定額(1,000~1,500円程度)を支払っている場合もある。

2010年5月17日 (月) 15:13時点における版

区分所有者

マンションを購入すると、区分所有法に基づき名義人が区分所有者となり購入した部屋の内側(バルコニーやポーチ、専用庭などは専有部分に含まれず、各区分所有者が専用使用することができる共有部分となる。)は専有部分として自由に使用する権利を得ると同時に、廊下やエレベーター、配管などの共有部分(簡単に言えば専有部分以外の全て)を全区分所有者と共同で維持管理する義務が生じる。この権利と義務は、各専有部分の広さ(床面積)に応じて決められ、同じ広さの物件が10戸あるマンションであれば、それぞれ1/10が割り振られることになり、同様に土地に関しても1/10の所有権を持つ事になる。

なお、行政もこれを根拠に土地と建物の総時価から算出された不動産取得税固定資産税を所有率に応じて区分所有者に課税する。

ただし、マンションはその土地と建物全体が揃ってはじめて完全に機能するため、この権利をさらに細分化したり建物と土地の権利を分割しての売買や譲渡をすることは禁止されており、また専有部分であっても管理組合の許可無くリフォームしたり改変する事は禁じられている。このように、マンションの区分所有者は維持管理に関して法律で非常に厳しい制限が課せられている。マンションの購入者は、区分所有者と表現されるように一定の部分を専有(または占有)する権利を与えられるだけであることに注意しなければならない。

管理組合

マンションが完成し、各物件を購入した区分所有者に引渡しが始まると、区分所有法に基づき管理組合が設立される。区分所有者は原則として組合員となることが義務付けられておりその運営に携わることになる。日本以外でも管理組合に相当するHomeowners' association (HOA)などと呼ばれる管理組織が法律などに従って設けられることがある。

直接的には総会にて選出する理事長・会計・監事の3役員と、マンションの規模に応じた人数の理事によって構成される理事会が組合運営を行う。一般的には、理事は任期制であり輪番制である。

管理組合の最高意思決定機関である総会での議決権は、株主総会と同じように所有比率に応じた議決権があり、「区分所有者の数」かつ「議決権の数」の双方が条件を満たすことで、いわゆる議会制民主主義の手続きによって可決することができる。

総会には、年1度開催される「通常総会(定期総会)」と、臨時的に開催される「臨時総会」がある。

理事会

理事会の活動は、適時理事会の会合を開催し、組合総会における決定に基づき組合運営を履行する。

また、重要事項にあたる予算案や決算報告、事業報告、次年度事業計画、マンション内の法律ともいえる管理規約の改正案や法定点検の有資格者への委託契約、長期修繕計画案、各種許認可など、組合運営に必要な事項を協議・決議し、組合総会に提案する総会議案書の作成も理事会の場で行う。なお、事業報告および決算報告については、監事の監査報告を必要とする。

理事長は、年1回以上総会を招集開催し、総会議案書を提出、決議を執行し承認を得なければならない。

管理者

マンションにおける管理者とは、区分所有法に定められるものである。管理者は、建物や敷地の保存をし、また集会決議を実行する者である。また、職務範囲内で、区分所有者を代理したり、共用部分を所有したりすることができる。

管理者は、総会決議があり、管理規約に制限が無ければ、だれでもなることができる。区分所有者である必要もなく、管理会社やマンション管理士がなることもある。標準管理規約では、管理組合の理事長を管理者としている。

総会決議を経てない限り、管理会社、管理員(管理人)、防火管理者などとは関係がない。

管理組合法人

管理組合が法人格を取得することで、法的責任の所在を明らかにすることができる。

マンション管理に関わる資格

マンション管理適正化法にもとづき

の二つの国家資格がある。前者は財団法人マンション管理センターが、後者は社団法人高層住宅管理業協会が試験実施機関である。

マンション管理士は、区分所有者によって構成される管理組合に適切な助言などを行う専門家であり、マンション管理士でない者はマンション管理士を名乗れない名称独占資格である。

管理業務主任者はマンション管理会社の必置資格であり、宅地建物取引業法に規定する宅地建物取引主任者に性格が類似している。

また、高層住宅管理業協会が認定している資格として

がある。これらは法律に規定のない民間資格である。

なお、これらの資格は、区分所有者からなる管理組合の構成員、理事などに必要なものではない。

管理運営

以前は上階や隣の住民による騒音問題が一番であったが、管理組合が抱える昨今の一番の問題は管理費及び修繕積立金の滞納である。管理費は管理業者に法定点検や日常の清掃などの委託の為に支払われ、修繕積立金は共有部分の補修のため預金されるが、これが不足する事により管理が行き届かず補修もままならない状態が続くとマンションの価値が低下する。これにより入居率が低下することで物件価格や賃貸時の家賃相場が更に低下するという悪循環に陥りスラム化する。

管理費や修繕積立金を預金として管理している場合、大規模なマンションでは、修繕積立金が億を超える金額になることもある。その場合に、ペイオフを考慮する必要がある。緊急対応として、決済用普通預金に切り替えるなどの手法がある。管理費や修繕積立金を運用する場合、管理組合の法人登記が必要になる場合がある。

この他の問題として、管理組合は管理を委託する管理業者を自由に選択することができるが、現実には購入時に販売会社によって関連の管理会社が既に決められていたり、また、マンションの管理規約は国土交通省発行の共同住宅標準管理規約が雛形とされているが、販売会社が予め作成した管理規約への同意が購入の条件となることも多く、これには当然ながら販売会社や管理業者の意向が強く反映された内容が追加されておりトラブルになる事もある。

また、継続性が必要という業務の性質上、市場競争が作用しにくく不明瞭な契約金などでのトラブルが多数報告されており、管理業者の変更を検討した管理組合の約30%はなんらかの妨害を受けているという調査がある。 一方では管理組合にもマンション毎に温度差があり、管理会社にまかせっきりで事実上機能していない管理組合や、組合員同士が激しく対立して組合総会もままならないというケースもある。

大規模な修繕に際しては工事請負業者の選択に当たり慎重な審査を要するが、業者が倒産など請負業務の遂行が困難な場合、別の業者が引継ぐ仕組みもある。これは多くの業者がまとまって法人格を取得し、この法人が保証するものである[1]

役員報酬については、支払っているもの、支払っていないものがある。支払っている場合、その額は、役員一律のもの(平均3,600 円/月)もあれば、理事長、理事、監事など、それぞれに額を設定しているもの(理事長平均9,300 円/月で、理事平均5,500 円/月、監事平均4,900 円/月)もある。また、理事会出席1人1回に付き一定額(1,000~1,500円程度)を支払っている場合もある。

  1. ^ マンション計画修繕施工協会などによる