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「植物」の版間の差分

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2005年9月9日版より、植物界を分割
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'''植物'''と呼ばれるのは、光合成をして、運動せずに生活する生物、あるいはそれに類似の生物をまとめる言葉である。広義には、[[動物]]でないものすべてを指す。
<table border="1" cellspacing="0" align="right" cellpadding="2">
<tr><th align="center" bgcolor=lightgreen>植物界<BR>Plantae</th></tr>
<tr><td align="center"></td></tr>
<tr><th align="center" bgcolor=lightgreen>[[生物の分類|分類]]</th><tr>
<tr><td>
<table align="center">
<tr><td>ドメイン:</td><td>[[真核生物]]</td><tr>
<tr><td>界:</td><td>'''植物界'''</td><tr>
</table>
<tr><th align="center" bgcolor="lightgreen">門</th><tr>
<tr><td>
'''非維管束植物'''
* [[w:Bryophytes|Bryophyta]]
* [[w:Liverwort|Hepatophyta]]
* [[w:hornwort|Anthocerophyta]]
'''維管束植物'''
* '''非種子植物'''
** [[w:Psilotophyta|Psilotophyta]]
** [[w:Lycopodiophyta|Lycopodiophyta]]
** [[w:Equisetophyta|Equisetophyta]]
** [[w:Ophioglossophyta|Ophioglossophyta]]
** [[シダ植物門]]
* '''種子植物'''
** [[マオウ門]]
** [[ソテツ門]]
** [[イチョウ門]]
** [[球果植物門]]
** [[被子植物門]]</td><tr>
</table>
'''植物'''(しょくぶつ、'''Plantae''')とは、[[分類学]]上、'''植物界'''に属する[[生物]]を指す。[[生物]]の主要なグループの一つである。樹木や草花など、我々が普段目にする多くの生物が属している。


== 概観 ==
広義には、[[動物]]でないものすべてを指す。[[アリストテレス]]はすべての[[生物]]を植物(非運動性であるか、感覚器を持つもの)と[[動物]]に分類した。[[リンネ]]の分類ではすべての生物はベシタブリア界(後に[[植物界]])と[[動物界]]に分けられた。これが、一般の認識における植物と考えていいと思われる。
日常用語では、植物は草や木のことであるが、少し広く見れば、[[動物]]以外の非運動性の[[生物]]である、という認識がされている。


日常用語では、植物は[[動物]]以外の非運動性の[[生物]]である、という認識がされているが、学術的に植物とされる生物の範囲については、さまざまな学説があ
学術的に植物とされる生物の範囲については、歴史的にさまざまな学説があった

[[アリストテレス]]はすべての[[生物]]を植物(非運動性であるか、感覚器を持つもの)と[[動物]]に分類した。[[リンネ]]の分類ではすべての生物はベシタブリア界(後に[[植物界]])と[[動物界]]に分けられた。これが、一般の認識における植物と考えていいと思われる。


5界分類以外の古い2界分類等では、[[シダ植物]]、[[コケ植物]]、[[種子植物]]の他に、以下のグループが植物に属していた。
5界分類以外の古い2界分類等では、[[シダ植物]]、[[コケ植物]]、[[種子植物]]の他に、以下のグループが植物に属していた。
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* [[菌類]]
* [[菌類]]


これらをまとめて共通する、植物の特徴は、以下のようなものである。
これらをまとめて、植物の特徴は、以下のようなものである。


* [[光合成]]をする(独立栄養)。
* [[光合成]]をする(独立栄養)。
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実際には、これらの特徴のどれかを持てば、'''植物'''と見なされる可能性があった。[[微生物]]が発見されるまでは、[[海藻]]や[[キノコ]]を植物と見なすことにさほどの違和感はなく、このまとまりが疑問なく受け入れられていた。しかし、様々な生物が発見され、その性質が知られる内に、2界説の枠組みに疑問が投げかけられるようになった。具体的には、[[細菌類]]と[[藍藻類]]は[[原核生物]]であるから[[モネラ界]]へ分けられ、[[菌類]]は退化した植物ではなく、独自の進化を遂げた生物と考えられることが多くなった。この傾向を決定づけたのが、ホイッタカーの5界説であった。
実際には、これらの特徴のどれかを持てば、'''植物'''と見なされる可能性があった。[[微生物]]が発見されるまでは、[[海藻]]や[[キノコ]]を植物と見なすことにさほどの違和感はなく、このまとまりが疑問なく受け入れられていた。しかし、様々な生物が発見され、その性質が知られる内に、2界説の枠組みに疑問が投げかけられるようになった。具体的には、[[細菌類]]と[[藍藻類]]は[[原核生物]]であるから[[モネラ界]]へ分けられ、[[菌類]]は退化した植物ではなく、独自の進化を遂げた生物と考えられることが多くなった。この傾向を決定づけたのが、ホイッタカーの5界説であった。


しかし、この段階でも、藍藻類を含めた光合成生物が、一つの系統的なまとまりを形成するという考えは暗に認められていた。それが崩壊したのは、分子遺伝学的情報が利用可能になったこと、原生生物各群の研究、特に微細構造の解明が進んだこと、そういった中から、細胞内共生によって、多様な原生生物が独自に藻類化したらしいことが明らかになったためである。したがって、藻類というまとまりに分類学的意味を見いだすことはできなくなっている。
しかし、この段階でも、藍藻類を含めた光合成生物が、一つの系統的なまとまりを形成するという考えは暗に認められていた。それが崩壊したのは、分子遺伝学的情報が利用可能になったこと、原生生物各群の研究、特に微細構造の解明が進んだこと、そういった中から、[[細胞内共生]]によって、多様な原生生物が独自に藻類化したらしいことが明らかになったためである。したがって、藻類というまとまりに分類学的意味を見いだすことはできなくなっている。

このような理由により、現代では植物界は、種子植物、シダ植物、コケ植物という陸上で進化した互いに近縁な群と、それと直接の系統関係があると思われる群のみを含めるものとなって言う。原生生物の藻類は、それぞれに藻類というくくりではなく、藻類を含む原生動物として見直しが進んでいる段階である。

ただし、現代においても古典的な、広い意味での'''植物'''という語はそれなりの役割を担っている。たとえば光合成は生態系における生物生産の基礎をなすものであり、それを行う生物は、生産者と呼ばれる。これを説明する言葉としては、やはり植物を使うことが多い。また、[[動物]]と[[植物]]は我々の持つ生物の類型として、いわば'''動'''の動物と'''静'''の植物という、対立した生き方を示す言葉でもある。そのような意味で、これからもこの言葉が使われる機会は少なくない。たとえば、海産の微小藻類は、現在ではほとんどが植物界ではないが、やはり'''植物[[プランクトン]]'''と呼ばれて行くと思われる。

== (分割予定点) ==
以下、特に表記されていない場合には、[[生物の分類|5界分類]]における植物界に属する生物について記載している。

現代の意味での植物界は、[[コケ植物]]、[[シダ植物]]、[[種子植物]]をふくみ、これらは同一系統から進化したものと考えられている。いずれも陸上で進化した、高度な多細胞体制を持つものである。ただし、これらと系統的に近いと考えられる、[[車軸藻類]]、[[緑藻]]類の一部、あるいは多くをこれに含める場合もある。

== 特徴 ==
* クロロフィルa、bを持ち、[[光合成]]をする(独立栄養)。
* 堅い[[細胞壁]]をもち、多細胞で先端成長をする。
* [[核相]]の交代を伴う[[世代交代]]のある[[生活環]]を持つ。


== 分類 ==
* [[コケ植物門]] Bryophyta
* [[ヒカゲノカズラ植物門]] (小葉植物門) Microphyllophyta
* [[トクサ植物門]] (有節植物門) Sphenophyta
* [[シダ植物門]]
* [[種子植物]]
** [[マオウ門]] '''[[w:Gnetae|Gnetophyta]]''', (including ''Gnetum'', ''[[w:Welwitschia|Welwitschia]]'', ''[[w:Ephedra|Ephedra]]'')
** [[ソテツ]]門 '''[[w:Cycad|Cycadophyta]]''', (the [[w:cycad|cycads]])
** [[イチョウ]]門 '''[[w:Gingko|Ginkgophyta]]''', (イチョウ属 ''[[w:Ginkgo|Ginkgo]]'')
** [[球果植物門]] '''[[w:Pinophyta|Pinophyta]]''' 別名 '''Coniferophyta''', (毬果植物類 [[w:conifer|conifers]])
** '''[[被子植物門]] (モクレン門)''' '''[[w:Magnoliophyta|Magnoliophyta]]'''
*** [[双子葉植物綱]] (モクレン綱) [[w:Magnoliopsida|Magnoliopsida]]
****離弁花
****合弁花
*** [[単子葉植物綱]] (ユリ綱) [[w:Liliopsida|Liliopsida]]

注:
* マオウ門+ソテツ門+イチョウ門+球果植物門を、[[裸子植物]]という。
* 裸子植物+被子植物を、[[種子植物]]という。
* 植物界-コケ植物を、[[維管束]]植物という。
* 植物界-コケ植物-種子植物を、[[シダ植物]]という。

=== 伝統的な分類([[新エングラー体系]]) ===

* [[植物界]]
** [[シダ植物門]]
** [[種子植物]]
*** [[裸子植物門]]
*** [[被子植物門]]
**** [[単子葉植物綱]]
**** [[双子葉植物綱]]

== 植物細胞 ==
* [[細胞壁]]
* [[葉緑体]]
* [[液胞]]

== 植物の組織 ==
* [[維管束]]
* [[木部]]
* [[師部]]
* [[成長点]]

== 器官 ==
* [[根]]
* [[茎]]
* [[葉]]
* [[花]]

== 生殖 ==
気象条件等による反応
* [[短日植物]]-中日植物-[[長日植物]]
**短日植物:日照時間が短くなると花をつける植物。秋に花を咲く植物。
***[[コスモス]]・[[イネ]]・[[アサガオ]]
**中日植物:日照時間に影響を受けない植物。
***[[タンポポ]]・[[ナス]]・[[トマト]]
**長日植物:日照時間が長くなると花をつける植物。春に花を咲く植物。
***[[ダイコン]]・[[キャベツ]]・[[アブラナ]]・[[コムギ]]
* 春化←→脱春化

* [[植物の繁殖方法一覧]]

== 食物連鎖 ==

== 人間と植物 ==
人と植物の関係は、食物連鎖上の消費者と生産者というだけのものではない。そのわけの一つとして、植物は人間にとって栄養源だけでなく、色々なものを作るための原料又は材料になっていることが挙げられる。
人間以外にも巣などを作る材料として植物を利用しているものがいるが、人間の植物の利用の仕方の方がはるかに多様である。
人間と植物の関係を挙げられるだけ挙げると
*[[食物連鎖]]上の消費者と生産者
**[[野菜]]、[[果物]]
*[[雑草]]
*[[帰化植物]]

== 関連項目 ==
* [[木]]、[[木の一覧]]
* [[ハーブ]]、[[ハーブの一覧]]
* [[地衣類]]
* [[シダ植物]]
* [[花卉]]
* [[亜麻]]

== 外部リンク ==
*[http://bean.bio.chiba-u.jp/bgplants/ BG Plants 日本植物学名検索システム](日本に自生,帰化している全ての維管束植物と主な栽培植物について和名、学名などを検索できる)

{{Plant stub}}


このような理由により、現代では'''[[植物界]]'''は、[[種子植物]]、[[シダ植物]]、[[コケ植物]]という陸上で[[進化]]した互いに近縁な群と、それと直接の系統関係があると思われる群のみを含めるものとなって言う。[[原生生物]]に位置づけられた[[藻類]]は、それぞれに藻類というくくりではなく、藻類を含む原生動物として見直しが進んでいる段階である。
[[Category:植物|*]]


== 現在も使われる言葉として ==
<!-- [[minnan:Si̍t-bu̍t]] -->
ただし、現代においても古典的な、広い意味での'''植物'''という語はそれなりの役割を担っている。[[動物]]と[[植物]]は我々の持つ生物の類型として、いわば'''動'''の動物と'''静'''の植物という、対立した生き方を示す言葉でもある。


また、光合成生物をまとめて言い表すには、やはり'''植物'''という語が用いられる。
[[ast:Plantae]]
たとえば[[光合成]]は[[生態系]]における生物生産の基礎をなすものであり、それを行う生物は、[[生産者]]と呼ばれる。これを説明する言葉としては、やはり植物を使うことが多いし、他に適当な言葉も見あたらない。そのような意味で、これからもこの言葉が使われる機会は少なくない。たとえば、海産の微小藻類は、現在の位置づけではほとんどが植物界ではないが、やはり'''植物[[プランクトン]]'''と呼ばれて行くと思われる。
[[bg:Растения]]
[[bn:উদ্ভিদ]]
[[ca:Planta]]
[[cs:Rostliny]]
[[da:Planteriget]]
[[de:Pflanzen]]
[[en:Plant]]
[[eo:Plantoj]]
[[es:Plantae]]
[[et:Taimed]]
[[fi:Kasvi]]
[[fr:Plante]]
[[fur:Plantis]]
[[ga:Planda]]
[[gl:Planta]]
[[he:צמח]]
[[hu:Növény]]
[[it:Piante]]
[[ko:식물]]
[[la:Planta]]
[[lb:Planzeräich]]
[[lt:Augalų karalystė]]
[[lv:Augi]]
[[ms:Tumbuhan]]
[[nah:Kilitl]]
[[nds:Plant]]
[[nl:Planten]]
[[no:Grønne planter]]
[[pl:Rośliny]]
[[pt:Plantae]]
[[ru:Растения]]
[[simple:Plant]]
[[sk:Rastliny]]
[[sl:Rastline]]
[[sv:Växter]]
[[th:พืช]]
[[uk:Рослини]]
[[vi:Thực vật]]
[[zh:植物]]
[[zh-min-nan:Si̍t-bu̍t]]

2005年9月21日 (水) 05:40時点における版

植物と呼ばれるのは、光合成をして、運動せずに生活する生物、あるいはそれに類似の生物をまとめる言葉である。広義には、動物でないものすべてを指す。

概観

日常用語では、植物は草や木のことであるが、少し広く見れば、動物以外の非運動性の生物である、という認識がされている。

学術的に植物とされる生物の範囲については、歴史的にさまざまな学説があった。

アリストテレスはすべての生物を植物(非運動性であるか、感覚器を持つもの)と動物に分類した。リンネの分類ではすべての生物はベシタブリア界(後に植物界)と動物界に分けられた。これが、一般の認識における植物と考えていいと思われる。

5界分類以外の古い2界分類等では、シダ植物コケ植物種子植物の他に、以下のグループが植物に属していた。

これらをまとめてみると、植物の特徴は、以下のようなものである。

実際には、これらの特徴のどれかを持てば、植物と見なされる可能性があった。微生物が発見されるまでは、海藻キノコを植物と見なすことにさほどの違和感はなく、このまとまりが疑問なく受け入れられていた。しかし、様々な生物が発見され、その性質が知られる内に、2界説の枠組みに疑問が投げかけられるようになった。具体的には、細菌類藍藻類原核生物であるからモネラ界へ分けられ、菌類は退化した植物ではなく、独自の進化を遂げた生物と考えられることが多くなった。この傾向を決定づけたのが、ホイッタカーの5界説であった。

しかし、この段階でも、藍藻類を含めた光合成生物が、一つの系統的なまとまりを形成するという考えは暗に認められていた。それが崩壊したのは、分子遺伝学的情報が利用可能になったこと、原生生物各群の研究、特に微細構造の解明が進んだこと、そういった中から、細胞内共生によって、多様な原生生物が独自に藻類化したらしいことが明らかになったためである。したがって、藻類というまとまりに分類学的意味を見いだすことはできなくなっている。

このような理由により、現代では植物界は、種子植物シダ植物コケ植物という陸上で進化した互いに近縁な群と、それと直接の系統関係があると思われる群のみを含めるものとなって言う。原生生物に位置づけられた藻類は、それぞれに藻類というくくりではなく、藻類を含む原生動物として見直しが進んでいる段階である。

現在も使われる言葉として

ただし、現代においても古典的な、広い意味での植物という語はそれなりの役割を担っている。動物植物は我々の持つ生物の類型として、いわばの動物との植物という、対立した生き方を示す言葉でもある。

また、光合成生物をまとめて言い表すには、やはり植物という語が用いられる。 たとえば光合成生態系における生物生産の基礎をなすものであり、それを行う生物は、生産者と呼ばれる。これを説明する言葉としては、やはり植物を使うことが多いし、他に適当な言葉も見あたらない。そのような意味で、これからもこの言葉が使われる機会は少なくない。たとえば、海産の微小藻類は、現在の位置づけではほとんどが植物界ではないが、やはり植物プランクトンと呼ばれて行くと思われる。