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『サンダーバード』は同名のSFテレビシリーズ『サンダーバード』の映画化作品。タイトルが『サンダーバード』であるのは1作だが、映画化は全部で3作ある。
- 『サンダーバード 劇場版』 (Thunderbirds are Go)。1966年にイギリスで制作された人形劇特撮映画。
- 『サンダーバード6号』 (Thunderbird 6)。1968年にイギリスで制作された人形劇特撮映画。
- 『サンダーバード』 (Thunderbirds)。2004年にアメリカ合衆国で制作された俳優が演じる実写版映画。本稿にて詳述。
サンダーバード | |
---|---|
Thunderbirds | |
監督 | ジョナサン・フレイクス |
脚本 |
マイケル・マッカラーズ ウィリアム・オズボーン |
製作 |
ティム・ビーヴァン エリック・フェルナー マーク・ハッファム |
製作総指揮 |
ライザ・チェイシン デブラ・ヘイワード |
出演者 |
ビル・パクストン レックス・シャープネル フィリップ・ウィンチェスター ドミニク・コレンソ ベン・トージャーセン ブラディ・コルベット |
音楽 | ハンス・ジマー |
撮影 | ブレンダン・ガルヴィン |
編集 | マーティン・ウォルシュ |
配給 | UIP |
公開 |
2004年7月24日 2004年8月7日 |
上映時間 | 95分 |
製作国 |
アメリカ合衆国 イギリス |
言語 | 英語 |
製作費 | $57,000,000 |
興行収入 | $28,283,637 |
『サンダーバード』 (Thunderbirds) は、2004年にアメリカ合衆国で制作された、SFテレビシリーズ『サンダーバード』の3回目の映画化作品。テレビシリーズと前2作の映画は人形劇で、ミニチュアによる特撮が主体だったのに対し、本作は俳優による実写版で、CG映像をフルに活用した作品である。アメリカ合衆国では2004年7月24日、日本では2004年8月7日に公開。ユニバーサル映画配給。日本語版では、国際救助隊トレーシーファミリーの吹き替えと主題歌をV6が担当した。
概要
1965年にジェリー・アンダーソンが製作した人形劇(スーパーマリオネーション)のテレビシリーズ『サンダーバード』は、2本の映画版(『サンダーバード 劇場版』、『サンダーバード6号』)が製作されたが、いずれも興行成績は不振に終わった。『サンダーバード』の諸権利はイギリスのテレビ放送局ATVが所有していたが、1981年に同局が閉局すると、転売が繰り返された後、1995年[1](1997年とも[2])にイギリスの映画会社ワーキング・タイトル・フィルムズ[3]が映画化権を取得し、同社の経営者の一人であるティム・ビーヴァンにより、実写映画化の準備が始まった。ジェリー・アンダーソンによれば、彼はプロデューサーと監督から夕食に招待されたが、すでにクリエイティブの人員は足りているとの理由で、スタッフとして雇われることはなかったという[4]。このとき予定されていた監督は、ピーター・ヒューイット[5]であったが、製作は中止されてしまった[2]。
紆余曲折を経て、ピーター・ヒューイットとウィリアム・オズボーン[6]の原案を元に、オズボーンとマイケル・マッカラーズ[7]が脚本を仕上げ、監督には、『新スタートレック』でウィリアム・ライカー副長を演じ、映画版『スタートレック ファーストコンタクト』、『スタートレック 叛乱』で監督を務めた、アメリカ人のジョナサン・フレイクスが起用されることになった。フレイクス起用の理由は、アメリカ市場に食い込むためアメリカの観客を熟知しており、VFXやCGIを使った作品で経験豊富な人物であったからである[1][2]。そのVFXは、イギリスのフレームストアCFCが手がけることとなり、マイク・マッギー[8]と、マーク・ネムルス[9]が、CGIはクレイグ・リン[10]がスーパーバイザーを努め、SFXは、ジェイソン・マッキャメロン[11]らが担当した。また、編集は『シカゴ』でアカデミー編集賞を受賞したマーティン・ウォルシュ、音楽は『ライオン・キング』でアカデミー作曲賞を受賞したハンス・ジマーが担当した。
時代設定は、オリジナル版の2065年から2020年に変更され、かつてのオリジナル版や映画版を見たことがない世界の大多数の人々のために、国際救助隊の「トレーシー・ボーイズ」の5男アランの成長を描きながら、サンダーバードを紹介するストーリーとなった[2]。アラン役には、『サーティーン あの頃欲しかった愛のこと』に出演したブラディ・コルベットが抜擢され、『ER緊急救命室』のマーク・グリーン役で知られるアンソニー・エドワーズや、『ガンジー』でアカデミー主演男優賞を受賞したベン・キングズレーらが脇を固めた。メカもオリジナルのデザインを尊重しつつ変更が加えられた。撮影は、007シリーズで知られるロンドンのパインウッド・スタジオで行われ、国際救助隊の秘密基地のあるトレーシー・アイランドのロケはセーシェルで実施されて、2年間にわたる製作期間の末、本作は完成した。だが、続編も予定され(日本を舞台にする構想だったらしい)、フレイクス監督やキャストの多くが参加意欲十分であった[1]にもかかわらず、興行成績は不調に終わり、続編製作には到らなかった。
ストーリー
注意:以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。
2020年、事故で妻を失った元宇宙飛行士で大富豪のジェフ・トレーシーは、私財を投じて国際救助隊を設立していた。天才科学者ブレインズの開発した救助メカ「サンダーバード」を操縦するのは、ジェフの息子たち「トレーシー・ボーイズ」だったが、五人兄弟の末っ子であるアランは、まだ救助活動に参加させてもらえないことを不満に思っていた。ある日、トレーシー家で働くキラノの兄で、かつて国際救助隊に救出されなかったことを逆恨みするザ・フッドが、救助隊の秘密基地のあるトレーシー・アイランドの場所を突き止めて、潜水艦で接近した。フッドは宇宙空間のサンダーバード5号をミサイルで攻撃し、その救助にジェフと四兄弟がサンダーバード3号で向かった隙に、島を制圧した。フッドの真の目的はロンドン銀行襲撃であり、彼はサンダーバード2号を奪ってロンドンに向かった。アランとブレインズの息子ファーマット、キラノの娘ティンティン、そしてイギリス貴族で救助隊のエージェントでもあるレディ・ペネロープは、サンダーバード1号でフッドの後を追い、その陰謀を粉砕するのだった。
登場人物
登場人物は、オリジナル版からある程度設定が変更されている。
- ジェフ・トレーシー(ビル・パクストン/声:坂本昌行)
- 妻の死因が明らかになっている(雪崩事故)。また、サンダーバード2号に乗り込み、現場で直接指揮を執る。
- 人命救助の理想と息子達の命を危険にさらしている現実で葛藤する面もある。
- ジョン・トレーシー(レックス・シャープネル/声:長野博)
- 24歳、長男に変更。ジェフの数少ない相談相手でもある。
- スコット・トレーシー(フィリップ・ウィンチェスター/声:井ノ原快彦)
- 22歳、次男に変更。やや傲慢な性格。
- バージル・トレーシー(ドミニク・コレンソ/声:森田剛)
- 20歳。芸術家からテクノミュージシャンに変更。サンダーバード2号・救助メカのほかに、3号のパイロットも担当。
- ゴードン・トレーシー(ベン・トージャーセン/声:三宅健)
- 18歳。正式メンバーになったばかりで経験が浅い。サンダーバード3号パイロットに変更(操縦はバージルと共同)。
- アラン・トレーシー(ブラディ・コルベット/声:岡田准一)
- 14歳。まだ学生であるため、普段は救助隊のファンを装っている。サンダーバード4号パイロットに変更(成り行き上、1・2号も操縦する)。
- ファーマット(ソレン・フルトン/声:小林由美子)
- 映画オリジナルキャラクターで、ブレインズの息子。アランと同じ学校に通う。父親同様、メカには強いが運動は苦手。
- ブレインズ(アンソニー・エドワーズ/声:井上倫宏)
- 本名、ホラチオ・ハッケンバッカー。知性が高すぎるあまり口がどもり、説明が苦手。
- ティンティン(ヴァネッサ・ハジェンズ/声:清水理沙)
- フッドと同様と思われる超能力をもつ(本人も気付いている)。だが、完全に使いこなせるわけではない。水泳が得意。
- レディ・ペネロープ・クレイトン=ワード(ソフィア・マイルズ/声:小林沙苗)
- 格闘技を会得している。また、彼女専用のパイロットスーツもある。
- アロイシャス・パーカー(ロン・クック/声:田原アルノ)
- 金庫破りで投獄されていた過去がある。得意スポーツはボクシング。劇中ではペネロープの持っていた「ある物」を使って鍵を開けた。
- ザ・フッド(ベン・キングズレー/声:麦人)
- 元は鉱山のオーナー。事故の際に救助隊に見捨てられ、死にかけた過去から、救助隊に恨みを抱いている。
- トランサム(ローズ・キーガン)
- 映画オリジナルキャラクター。フッドに自身の才能を見出されたことを感謝しており、その頭脳で彼をサポートする。また、科学者としてブレインズを尊敬していた。
- マリオン(デオビア・オパレイ/声:江川央生)
- 映画オリジナルキャラクター。巨漢で怪力の持ち主。"大金持ちになれるから"という理由でフッドについていくが、彼への忠誠心は全くない。
メカニック
オリジナル版を参考にして、最新の航空力学によるフォルムの修正に加え、機能にも変更がある。オリジナル版と比較すると4号は完全に新規のデザイン、1号と3号は比較的オリジナルに近い。2号と5号はその中間で、大幅にデザインが変更されているがオリジナルの雰囲気も残している。
- サンダーバード1号
- オリジナル版に比べ、若干飛行機色が強くなったが、外観の差は少ない。オリジナル版では1人乗りだったが、本作では4人以上で搭乗可能。また、オリジナル版のような搭乗席の姿勢維持機能はない。
- サンダーバード2号
- オリジナル版と比べ、機体全体がより丸みを帯びている。主翼が機体後部から伸び、バーニアが後部で一体化している。機能では、オリジナル版では搭載コンテナが1つだったのに対し、本作では小さな複数のコンテナを搭載する方式になっている。
- サンダーバード3号
- 宇宙用ロケットであるが、オリジナル版と違い、大気圏内も飛行可能。メカの中では1番、オリジナル版との外観におけるギャップが少ない機体である。
- サンダーバード4号
- オリジナル版と違い、救助用バケットを装備しておらず、代わりに2本のマニピュレーターを装備している。
- サンダーバード5号
- オリジナル版と比べ、居住区とドッキング部が分かれたような外観はしていない。オリジナル版の2号以来、攻撃による壊滅的なダメージを受けた機体である。
- ジェットモグラ
- オリジナル版に比べ、ずんぐりむっくりした外観をしている。オリジナル版のような1本の円錐型のドリルではなく、複数のディスク状の刃が互い違いの方向に回転するドリルに変更された(オリジナル版のようにドリルが単一だと、搭乗部(本体)が回転してしまうからだと考えられる)。
- サンダライザー
- 日本語版で言う、レーザー切断車。対象物にコンピューターで照準を合わせ、瞬く間に出口を切り開くことができる。
- ファイヤーフライ
- 日本語版で言う、ジェットブルドーザー。オリジナル版よりもブルドーザー色が強い。消化剤を発射することも可能。
- FAB1(ファブワン)
- 日本語版で言う、ペネロープ号。オリジナル版ではロールスロイスを改造したマシンであるが、ロールスロイス側が使用を却下したため代わりにフォード・サンダーバードの新型が使用された。
スタッフ
- 監督:ジョナサン・フレイクス
- 製作:ティム・ビーヴァン、エリック・フェルナー、マーク・ハッファム
- 製作総指揮:ライザ・チェイシン、デブラ・ヘイワード
- キャラクター創造:ジェリー・アンダーソン、シルヴィア・アンダーソン
- 原案:ピーター・ヒューイット、ウィリアム・オズボーン
- 脚本:マイケル・マッカラーズ、ウィリアム・オズボーン
- 撮影:ブレンダン・ガルヴィン
- 編集:マーティン・ウォルシュ
- 音楽:ハンス・ジマー
- 視覚効果:フレームストアCFC
主題歌
- 字幕版
- Thunderbirds Are Go!(BUSTED)
- 日本語吹き替え版
注・出典
- ^ a b c 劇場用パンフレット 東宝(株)出版・商品事業部 2004年
- ^ a b c d アンドリュー・ダーリン『サンダーバード映画版 The Official Movie Companion』富永晶子訳、ジャイブ株式会社、2004年 (ISBN 9784902314687)"
- ^ 『ノッティングヒルの恋人』や『ブリジット・ジョーンズの日記』などを製作している。
- ^ ジェリー・アンダーソン、サイモン・アーチャー、マーカス・ハーン『サンダーバードを作った男 ジェリー・アンダーソン自伝』アーカス・吏津子訳、洋泉社、2003年 (ISBN 9784896917246)
- ^ イギリス出身の映画監督。『ガーフィールド』の3D-CG映画版(2004)などを手がけている。
- ^ 『スコーピオン・キング』などの脚本を手がけている。
- ^ 『オースティン・パワーズ:デラックス』、『オースティン・パワーズ ゴールドメンバー』などの脚本を手がけている。
- ^ フレームストアCFCの設立者の一人で、テレビシリーズでの仕事が多い。
- ^ 『ハリー・ポッターと秘密の部屋』でデジタル・エフェクツ・スーパーバイザーを担当。
- ^ 『ハリー・ポッターと秘密の部屋』、『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』他に参加し、『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』などでVFXスーパーバイザーを務める。
- ^ 『ハムナプトラ2/黄金のピラミッド』、『アレキサンダー』でSFXを担当。
外部リンク
- 公式サイト(英語)(USA版のみ存続)
- FILM REVIEW(英語)(ニューヨーク・タイムズ2004年7月30日の記事)
- MOVIE REVIEW (英語)(ロサンゼルス・タイムズ2004年7月30日の記事)