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「植物界」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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陸上植物種子植物 に一部転記
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さらに、アーケプラスチダをして「狭義の植物界」と呼ぶことすらある。この場合の広義植物界としては、前述の菌類や藍藻、褐藻を含めるような二界説、三界説を念頭に置いている場合や、[[バイコンタ]]を念頭に置いている場合がある。バイコンタを広義植物界とする場合は、アーケプラスチダ以外のバイコンタ内生物はすべて過去に一度、葉緑体を失っていると考えるようである(Nozaki et al. 2007など)<ref>井上勲著『藻類30億年の自然史 第2版』、東海大学出版会、ISBN 978-4-486-01777-6</ref><ref>渡邉信 ・西村和子等編『微生物の事典』、朝倉書店、ISBN 978-4-254-17136-5 C3545</ref>。
さらに、アーケプラスチダをして「狭義の植物界」と呼ぶことすらある。この場合の広義植物界としては、前述の菌類や藍藻、褐藻を含めるような二界説、三界説を念頭に置いている場合や、[[バイコンタ]]を念頭に置いている場合がある。バイコンタを広義植物界とする場合は、アーケプラスチダ以外のバイコンタ内生物はすべて過去に一度、葉緑体を失っていると考えるようである(Nozaki et al. 2007など)<ref>井上勲著『藻類30億年の自然史 第2版』、東海大学出版会、ISBN 978-4-486-01777-6</ref><ref>渡邉信 ・西村和子等編『微生物の事典』、朝倉書店、ISBN 978-4-254-17136-5 C3545</ref>。

== 特徴 ==
* クロロフィルa、bを持ち、[[光合成]]をする(独立栄養)。
* 堅い[[細胞壁]]をもち、多細胞で先端成長をする。
* [[核相]]の交代を伴う[[世代交代]]のある[[生活環]]を持つ。

== 分類 ==
[[陸上植物]]は、[[維管束植物]]と非維管束植物に大別される。非維管束植物には、[[苔類]]、[[蘚類]]、[[ツノゴケ]]類の3群があり、[[コケ植物]]と総称され、[[側系統]]である。一方、維管束植物は[[単系統]]であり、[[種子植物]]、[[ヒカゲノカズラ植物門]]、[[シダ植物門]]の3群が含まれる。維管束植物のうち非種子植物は[[シダ植物]]と一括されることもある。[[トクサ]]類は、他のシダ類と形態が大きく異なることから従来独立門と扱われていたが、分子系統学からはシダ植物門内に含められる。

種子植物は、[[裸子植物]]と[[被子植物]]に分けられる。裸子植物の単系統性は、現在なお未確定であるらしい。被子植物は、伝統的に[[双子葉類]]と[[単子葉類]]とに分けられているが、[[分子系統学]]からは、双子葉類が側系統群であることが判っている([[APG植物分類体系]])。ただし、双子葉類のうち、30科程度を除いた残りの数百の科は[[単系統]]であり、この群を[[真正双子葉類]]と呼んでいる。

{|class="wikitable"
|+植物界の下位分類
!和名!!学名!!備考
|-
|colspan="3" style="background-color:#ddf" |'''[[コケ植物]]'''
|-
|[[苔類]]||[[:w:Liverwort|Hepatophyta]]||ゼニゴケ植物Marchantiophytaとも。
|-
|[[蘚類]]||[[:w:Bryophytes|Bryophyta]]|| 
|-
|[[ツノゴケ]]類||[[:w:hornwort|Anthocerophyta]]|| 
|-
|colspan="3" style="background-color:#ddf" |'''[[シダ植物]]'''
|-
|[[ヒカゲノカズラ植物門]]||[[:w:Microphyllophyta|Microphyllophyta]]||(小葉植物門)
|-
|[[シダ植物門]]||[[:w:Pteridophyta|Pteridophyta]]||※下位分類に下記4群がある<br>
[[マツバラン綱]] Psilotopsida ([[ハナヤスリ類]]含む)<br>
[[リュウビンタイ科|リュウビンタイ]]綱 Marattiopsida <br>
[[トクサ門|トクサ綱]] Equisetopsida <br>
[[シダ植物門|シダ綱]] Pteridopsida (もしくはウラボシ綱 Polypodiopsida)
|-
|colspan="3" style="background-color:#ddf" |'''[[裸子植物]]'''
|-
|[[グネツム綱|マオウ門]]||[[:w:Gnetae|Gnetophyta]]||''Gnetum'', ''[[:w:Welwitschia|Welwitschia]]'', ''[[:w:Ephedra|Ephedra]]''を含む。
|-
|[[ソテツ|ソテツ門]]||[[:w:Cycad|Cycadophyta]]||
|-
|[[イチョウ|イチョウ門]]||[[:w:Gingko|Ginkgophyta]]||
|-
|[[球果植物門]]||[[:w:Pinophyta|Pinophyta]]||別名 '''Coniferophyta'''、毬果植物類 [[w:conifer|conifers]]
|-
|colspan="3" style="background-color:#ddf" |'''[[被子植物]]'''
|-
|[[被子植物門]](モクレン門)||[[:w:Magnoliophyta|Magnoliophyta]]||下位分類は伝統的には、[[双子葉植物綱]](モクレン綱)と[[単子葉植物綱]](ユリ綱)に分類されるが、双子葉類は側系統([[APG植物分類体系]]、参照)。
|}


== 歴史的な概観 ==
== 歴史的な概観 ==
117行目: 70行目:
* [[花]]
* [[花]]
* [[中心柱]]
* [[中心柱]]

== 生殖 ==
気象条件等による反応
* [[短日植物]]-[[中性植物]]-[[長日植物]]
** 短日植物:日照時間が短くなると花をつける植物。秋に花を咲く植物。
*** [[コスモス]]・[[イネ]]・[[アサガオ]]・[[ダイズ]]・[[キク]]
** 中性植物:日照時間に影響を受けない植物。
*** [[タンポポ]]・[[ナス]]・[[トマト]]
** 長日植物:日照時間が長くなると花をつける植物。春に花を咲く植物。
*** [[ダイコン]]・[[キャベツ]]・[[アブラナ]]・[[コムギ]]・[[ホウレンソウ]]
* [[春化(バーナリゼーション)]]←→[[脱春化(ディバーナリゼーション)]]
* [[植物の繁殖方法一覧]]


== 食物連鎖 ==
== 食物連鎖 ==

2009年5月15日 (金) 18:15時点における版

植物界
ファイル:Plants diversity.jpg
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 植物界 Plantae
下位分類

非維管束植物 (=コケ植物

維管束植物

植物界(しょくぶつかい、Plantae)とは、一般に植物として知られている生物が属する分類学上の単位である。の階級に位置付けられる。生物の主要なグループの一つである。樹木や草花など、我々が普段目にする多くの生物が属している。

概論

かつては植物界は、広く光合成をする生物一般、すなわち藻類シアノバクテリア、あるいは菌類までをも含むと考えられてきたが、現在ではこれらはいわゆる植物とは異なった系統に属するものと考えられている。これらについては植物を参照のこと。以下、特に表記されていない場合には、本項ではマーグリス五界説における植物界を意味するものとして記載していく。

現代の意味での植物界は、コケ植物シダ植物種子植物をふくみ、これらを同一系統から進化したものと考えている。いずれも陸上で進化した、高度な多細胞体制を持つものであり、陸上植物と総称される。本項の植物界は陸上植物と同義である。ただし、界の範囲のとらえ方には諸説があり、これらと系統的に近いと考えられる、車軸藻類を含むストレプト植物をして植物界とする場合や、これに緑藻植物門を加えた緑色植物亜界(Viridiplantae) をして植物界とする場合もある。

また、より広範な定義として、紅藻類、灰色植物までをも含む範囲をもって植物界とするのも、有力なくくり方である。これは、真核生物内の葉緑体がすべて、唯一回の細胞内共生に由来することから、その直接の子孫であると考えられる一次共生植物の系統下を植物界と見なす考え方である。この分類群はアーケプラスチダとも呼ばれる。

さらに、アーケプラスチダをして「狭義の植物界」と呼ぶことすらある。この場合の広義植物界としては、前述の菌類や藍藻、褐藻を含めるような二界説、三界説を念頭に置いている場合や、バイコンタを念頭に置いている場合がある。バイコンタを広義植物界とする場合は、アーケプラスチダ以外のバイコンタ内生物はすべて過去に一度、葉緑体を失っていると考えるようである(Nozaki et al. 2007など)[1][2]

歴史的な概観

「植物界」の語義における歴史的な変遷については、生物の分類五界説の項にも詳しいので、そちらも合わせて参照されたい。以下、歴史的な概観を記する。

1969年、ホイッタカーは五界説を発表し、栄養摂取の仕方が生物の進化の方向を把握する上で重要であるとした。植物界が菌界と切り離されることが決定的となる。
1970年、マーグリス細胞内共生説は、同色素の保有が同系統であることの担保とはなりえないことを示した。これを受け植物界の範囲はさらに限定的なものへと変化していく。1982年には同じくマーグリスによって陸上植物の範囲をもって植物界とすべきという提言がなされた。
1981年、キャバリエ=スミスは、緑色植物+紅藻+灰色植物の範囲をもって、植物界(kingdom Plantae)とすべきだとしたが、これは時期が尚早であったようで定着には至らなかった。
2005年には、アドルらによって同範囲をアーケプラスチダとすることが提案され、この呼称が一般的となる。アドルらはまったく新しい枠組みで生物界全体を見直すことを意図し、界の階級をその体系に持ち込まなかった。

結果、大枠では「植物界」と言えば、マーグリスのものが本線であろう。しかし一方で、生物界全体から見ると、陸上植物は界としてはあまりにも小さすぎるというのも事実である。英語版ウィキペディアを見てみると、陸上植物よりも広範囲となる緑色植物を植物界として採用している。
また、将来的にはアーケプラスチダをして植物界とするような流れも再燃している。アーケプラスチダは一部でその単系統性に対して疑問が持たれているため、これが解消された時期が再定義の適期かもしれない。
いずれにせよ「植物界」という語は、既存の蓄積されたものを活用する等、諸々の面からも有用である。植物界というくくりは不要であるという極論が度々聞かれることもあるが、社会的にも定着した看板として、字面は残っていくことになるであろう。

植物細胞

植物の組織

器官

食物連鎖

人間と植物

人と植物の関係は、食物連鎖上の消費者と生産者というだけのものではない。そのわけの一つとして、植物は人間にとって栄養源だけでなく、色々なものを作るための原料又は材料になっていることが挙げられる。人間以外にも巣などを作る材料として植物を利用しているものがいるが、人間の植物の利用の仕方の方がはるかに多様である。人間と植物の関係を挙げられるだけ挙げると

関連項目

脚注

  1. ^ 井上勲著『藻類30億年の自然史 第2版』、東海大学出版会、ISBN 978-4-486-01777-6
  2. ^ 渡邉信 ・西村和子等編『微生物の事典』、朝倉書店、ISBN 978-4-254-17136-5 C3545

外部リンク