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「傍受」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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2009年2月20日 (金) 01:54時点における版

傍受(ぼうじゅ)とは、通信において、通信を行なう当人らに知られているかに係わらず、聴取する行為である。ここでは、無線通信の傍受について主に解説する。

無線通信において、他人の通信を傍受することは合法行為(電波法第59条参照)であり、盗聴とは区別する。これは、無線の性質上、部外者にも聴かれることを前提としているため不可罰になるためである。近年、各報道やメディアによって、盗聴と傍受の混同が起こっているが、無線通信の傍受は合法行為である。ただし第三者に内容等を漏洩したり、窃用(せつよう。通信内容を自己または第三者の利益のために利用すること)したりした場合は罪となる。しかし、一般の電話の聴取(有線電気通信法第9条参照)(電気通信事業法第4条参照)や、盗聴器による聴取は違法となりえる。

傍受の定義

傍受には、主に二つの意味がある。一つ目は、外部の者が行なう傍受である。これは広帯域受信の機能を備えた受信機や、アマチュア無線機などによって行なわれる。

二つ目は、通信を行なう当事者の間においての傍受である。無線局が、ある周波数に複数存在し、A局とB局が通信を行なっている最中にC局が当該通信を聴取すると、Cは傍受を行なったこととなる。

趣味としての傍受

業務無線や官庁無線を傍受することを趣味にする人々もいる。この趣味の範疇は一般に“おもしろ無線”などと称される。

ある無線の周波数を探索することを目的とする者や、通信の内容を聴取して楽しむのを目的とする者もいる。無線の周波数については、総務省電波利用ホームページや個人が運営するホームページなどに掲載されているほか、書籍による販売も行なわれている。

災害時における傍受

災害が発生した場合に、マスコミ各社の情報だけでは情報が不足する場合には傍受活動が役立つ。例えば、消防無線や救急無線を傍受したり、防災無線を傍受することにより、二次災害を防げる。

また、具体的な情報が即時に手に入る点において、報道各社の情報よりも新鮮さがある。アマチュア無線でも、非常通信が行なわれるなどするため、場合によっては避難所の様子や必要物資の輸送等の内容を知ることができる。

日常の場面においても、傍受は有用であるといえる。例えば、鉄道事故により列車の遅れや運休が出ている場合には、鉄道無線を聞くことにより詳細が判明することがある。駅係員よりも早く情報を入手することもできる。

傍受対象

行政機関に関するもの

交通機関に関するもの

一般業務に関するもの

趣味及びレジャーに関するもの

その他

傍受に際する受信機及び無線機の諸問題

広帯域受信機は受信のみであるので免許は一切不要であるが、アマチュア無線機は無線局免許状及び無線従事者免許証(アマチュア無線技士)の二つの免許が必要である。なお、傍受することを目的としてアマチュア無線機を所持することを合法とする意見があるが、無線局免許を受けていないため、電波を発信できる状態であれば不法無線局となり、処罰の対象となる可能性がある[3]。傍受に関する雑誌には、受信機器を紹介する記事中にアマチュア無線機を掲載している場合もある。

傍受に関する法律及び犯罪

無線通信の傍受や無線機器の購入に際して、関係する法律は以下の通りである。

電波法

  • 電波法 第4条(無線局の開設)……無線局を開設しようとする者は、総務大臣の免許を受けなければならない。(以下、省略)
罰則:第110条 1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科せられる場合がある。同条第1号に該当する
  • 電波法 第39条(無線設備の操作)……第40条の定めるところにより無線設備の操作を行うことができる無線従事者(中略)以外の者は、無線局(アマチュア無線局を除く。中略)の無線設備の操作の監督を行う者(以下「主任無線従事者」という。)として選任された者であつて第4項の規定によりその選任の届出がされたものにより監督を受けなければ、無線局の無線設備の操作(中略)を行つてはならない。(以下、省略)
罰則:第113条 30万円以下の罰金が科せられる場合がある。同条第15号に該当する
  • 電波法 第59条(秘密の保護)…… 何人も法律に別段の定めがある場合を除くほか、特定の相手方に対して行われる無線通信(電気通信事業法第4条第1項又は第164条第2項の通信であるものを除く。第109条並びに第109条の2第2項及び第3項において同じ。)を傍受してその存在若しくは内容を漏らし、又はこれを窃用してはならない。
罰則:第109条 一般人にあっては1年以下の懲役又は50万円以下の罰金、無線に従事する者であれば2年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科せられる可能性がある(暗号通信の復元や窃用等は「109条の2」を参照)

その他

脚注

  1. ^ 親機と子機間で行なわれる小電力無線による無線通信であるので、違法とはならないといわれている。
  2. ^ 無線機や受信機の販売業者は、この周波数を傍受できない仕様にしている場合がある。しかし、これも販売店での受信改造を行なうことにより受信ができる。
  3. ^ 不法無線局は、
    • 電波を発信しうる状態にある。
    • 無線設備を操作する者を配置している。
    • 運用する意志がある。
    のすべてを満たした時に成立する。この場合では運用する意思が必要であるという用件が微妙になる。しかし、直ちに電波を発信できる状態であれば検挙される可能性が高い。実際に、自動車上に取り付けた無線局免許を受けていない無線機は摘発されている。

関連項目

外部リンク