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「鉄道事故」の版間の差分

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そのため、委員会をアメリカの国家運輸安全委員会(NTSB)のような国土交通省から独立した強い権限を持つ機関に改めることと、[[過失]]による刑事責任を問わないことで関係者の証言を得やすくするべきだという意見も根強い。
そのため、委員会をアメリカの国家運輸安全委員会(NTSB)のような国土交通省から独立した強い権限を持つ機関に改めることと、[[過失]]による刑事責任を問わないことで関係者の証言を得やすくするべきだという意見も根強い。


==参考文献==
佐々木 冨泰・網谷 りょういち『事故の鉄道史―疑問への挑戦』日本経済評論社、1993年 ISBN 9784818806627 <br />
以下の事故に詳しい記述がある。
*1913年北陸線東岩瀬駅列車正面衝突事故(第2話「安全側線の誕生」)
*1916年東北線列車正面衝突事故(第3話「2個出たタブレット」)
*1922年北陸線列車雪崩直撃事故(第4話「親不知の2代の慰霊碑」)
*1923年参宮線列車転覆事故(第5話「来ないはずの列車」)
*1923年根府川駅列車転落事故(第6話「109列車、海底に沈む」)
*1926年山陽線特急列車脱線事故(第7話「国際特別急行列車の遭難」)
*1928年北陸線柳ヶ瀬トンネル窒息事故(第8話「柳ケ瀬トンネルの功罪」)
*1930年久大線機関車ボイラ破損事故(第9話「蒸気機関車ボイラーの破裂」)
*1940年西成線列車脱線火災事故(第10話「炎上したガソリンカー」)
*1943年常磐線土浦駅列車衝突事故(第12話「土浦、知らされなかった戦中事故」)
同『続・事故の鉄道史』日本経済評論社、1995年 ISBN 9784818808195 <br />
上記作品の続編。以下の事故に詳しい記述がある。
*1899年箒川鉄橋列車転落事故(第1話「汽車の転落大事件―箒川橋梁での客車転落事故」)
*1931年山陽線急行列車脱線事故(第3話「河内駅五五号転轍器のミステリー―制限速度一覧表は教養材料にすぎず」)
*1938年山陽線列車脱線転覆事故(第4話 竹林に墜ちる―橋本小学校修学旅行団の遭難)
*1948年近鉄奈良線暴走追突事故(第7話「この電車は停まれません―近鉄花園駅での追突事故」)
*1951年桜木町事故(第8話「桜木観音―桜木町駅の国鉄電車炎上事故」)
*1956年参宮線六軒駅列車衝突事故(第10話「六軒駅の通過信号機―参宮線六軒駅事故(その1)」、第11話「石碑の人、嗟嘆の人―参宮線六軒駅事故(その2)」)
*1972年北陸線北陸トンネル列車火災事故(第12話「北陸トンネルと「きたぐに」―トンネル内列車火災事故」)
*1986年山陰線余部鉄橋列車転落事故(第13話「但馬・余部・トレッスル―余部橋梁での列車転落事故」)


==関連項目==
==関連項目==

2008年5月29日 (木) 08:46時点における版

鉄道事故(てつどうじこ)とは、鉄道車両の運転時に発生する事故である。列車の遅れ等輸送障害を指して事故と称することもあるが、本項では衝突、脱線、火災など死傷者の発生に至る事故を指す。事故を惹起する危険が高い事態が発生し、なおかつ実際には事故が発生しなかった事象は、事故が発生するおそれがあると認められる事態=インシデントと呼ばれる。

概要

鉄道は大量輸送が特徴であり、事故を起こすと多くの死傷者を出すだけでなく、運転ができなくなることによって社会的にも大きな影響を与える。

国土交通省令鉄道事故等報告規則では、鉄道運転事故としては列車衝突事故列車脱線事故列車火災事故踏切障害事故・道路障害事故・鉄道人身障害事故・鉄道物損事故の7項目を定めている。鉄道による輸送に障害を生じた事態であって、上記の鉄道運転事故以外のものは鉄道事故ではなく輸送障害という。特に雨や雪などで休止や遅延が発生した場合には、輸送障害ではなく、災害と呼ばれる。

なお、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会で定義する鉄道事故としては、次のような場合が定義されている。

  • 列車(車両)衝突事故
  • 列車(車両)脱線事故
  • 列車(車両)火災事故
  • その他の事故(乗客、乗務員等の死亡、5人以上の死傷、特に異例のものに限る)
  • 重大インシデント

鉄道事故件数は近年減少しているものの、日本では些細なものも含めて年間500件以上起きており、そのうち半数近くが踏切障害事故である。

主な鉄道事故(日本)

日本の鉄道事故については下記を参照のこと。

主な鉄道事故(日本以外)

19世紀

イギリスランカシャーのパークサイド駅で、リヴァプール-マンチェスター鉄道の開業当日、招待客の代議士ウィリアム・ハスキソンが、同じく招待客だったウェリントンに挨拶をしようと線路を横断しようとしたところ、機関車ロケット号に轢かれ死亡。史上初の鉄道死亡事故。
フランスパリベルサイユ間を走行中の列車を牽引していた蒸気機関車の車軸が折損して脱線転覆。ボイラーの火が客車に延焼し53名が死亡。当時の客車は外開きで外から鍵で施錠されていたため、中から乗客が脱出できなかったのが惨事を大きくした。
アメリカ合衆国ロードアイランド州で列車が正面衝突。死者13名。鉄道事故が写真撮影された最初の例と考えられている。
イギリス・スコットランドのテイ川河口の鉄橋が強風のために崩落し急行列車が転落し死者78名。原因は鉄橋に使用された鋳鉄と設計上の強度不足と建設上の施工不備が競合したためとされた。
イギリス・北アイルランドアーマー州グレート・ノーザン鉄道で、機関車から切り離された客車が坂を逆走し後続列車と衝突。死者88名。客車15両編成の列車が13の急勾配を登り切れなかったため、客車を分けて牽引しようと後ろ10両を切り離した。切り離された客車には動かないよう処置されていたが、機関車が発車しようとした際の衝撃で逆走した。この事故を契機に自動ブレーキ閉塞の導入が義務づけられる。

20世紀前半

イギリス・スコットランドのキンティンスヒル駅で、軍用列車を含む5本の列車が衝突。兵士など227名が死亡。イギリス史上最悪の鉄道事故。駅に列車が停車していたにもかかわらず、場内信号を進行表示にしてしまったため、上り軍用列車が進入して衝突。その弾みで衝突した列車の炭水車が横転し、そこに下り急行列車が衝突した。
フランスのサン・ミッシェル・ドゥ・モーリエンヌ付近で、軍用列車がブレーキ制御を喪失し、ブレーキからの摩擦熱で客車が炎上し急曲線で脱線。乗員1025名中死者543名を出す世界最悪級の惨事となった。原因は軍が機関車の最大荷重以上の牽引を命令した人為的事故だった。なお機関士は奇跡的に生存したが、事故責任無しとして訴追されなかった。
アメリカ合衆国ニューヨークのブルックリン高速鉄道(BRT)の地下線でカーブに高速で進入した列車が脱線。死者93名以上。
フランス・ナンシー付近で、クリスマス休暇で満員の普通列車に、急行列車が高速で激突。濃霧による信号の見落としが原因。「クロコディール」と呼ばれる、接触式の自動列車停止装置が設置されていたものの、凍結のため機能しなかった。さらに、普通列車の客車が木造車だったことが被害を大きくした。死者230人。当時の日本の鉄道雑誌「鐵道趣味」にも、大惨事の写真が掲載された。戦時中を除き、フランスの鉄道史上最悪の事故。
イギリス・スコットランドのキャッスルキャリ駅で、停止信号を通り過ぎて駅構内に停止していた急行列車に、後からやってきた急行列車が追突。35名が死亡、179名が負傷した。駅の信号係が、信号を無視した列車は既に駅を通過していってしまったものと思いこみ、後から来た列車を駅に入れようとしたことが原因だった。この事故の後AWSを取り付けることが勧告された。
ドイツ・死者100人を超える鉄道事故が同日に2件発生。
Markdorfで、臨時列車と貨物列車が衝突。死者101人。ドイツの鉄道で死者が100人を超えた最初の事故。
Genthinで、脱線して立ち往生していた満員の急行列車に、別の急行列車が追突。死者186人、負傷者453人。ドイツの鉄道史上、最悪の事故。
ドイツ・Asslingでアメリカ陸軍戦車を輸送していた列車が停車していた列車に衝突。ドイツ軍捕虜約110名が死亡。

1950年代

ロンドン近郊で信号の見誤りにより列車が追突、脱線したところに別の列車が衝突し、112名が死亡。イギリスで自動列車警報装置が普及するきっかけとなる。
ニュージーランドのWhangaehu川に架かるTangiwai鉄橋がルアペフ山からの泥流により損傷、直後に通りかかった列車とともに崩落し151名が死亡。

1970年代

西ドイツ・2月~7月の半年に、20人以上の死者を出す鉄道事故が3件、連続して発生した。
2月9日:Aitrangで、TEEがカーブ(制限80km/h)を130km/hで通過して脱線。運悪く、複線の反対方向を走ってきたレールバスと衝突した。TEE列車のブレーキが凍結し、減速できなかったことが原因。死者28人、負傷42人。
5月27日:Radevormwaldで、貨物列車と臨時普通列車が単線区間で正面衝突。臨時普通列車の運転でダイヤが変更され、貨物列車が臨時に停車すべき行き違い駅を通過してしまった(信号操作ミス?)ことが原因とされる。臨時普通列車が軽量のレールバスであることも被害を大きくした。死者46人(遠足帰りの中学生41人を含む)、負傷25人。列車無線の拡大や、軽量のレールバスの淘汰が進められた。
7月21日:Rheinweilerで、急行列車がカーブ(制限75km/h)を140km/hで通過して脱線し、何両かは築堤から転落して民家を押しつぶす。死者23人、負傷121人。当時としては最新鋭の電気機関車だった103型の技術的欠陥が原因とされる。
フランスのパリ~ランス間にあったビュルジトンネルのランス側入口300m付近で老朽化のため12mにわたり崩壊し、そこに上下2本の列車がほぼ同時に110Km/hに突っ込んで脱線転覆し107名が死亡した。
イギリス ロンドン地下鉄のモーアゲート駅で列車が行き止まりのトンネルに衝突。死者43名。事故原因が特定できなかった。
オーストラリアシドニー近郊で列車が脱線し陸橋に衝突、陸橋が崩落し客車を押し潰した。死者83名。クラッシュ症候群による死者が多く出たことで知られる。
韓国京釜線芝灘駅構内で停車中の列車に場内信号を見落とした特急列車が衝突し、18名が死亡。
イタリアボローニャフィレンツェで、山崩れに遭遇し乗り上げて隣線を支障していた下り急行列車に上り特急列車が衝突。死者50名。
カナダオンタリオ州Mississauga市内の踏切で貨物列車が脱線。死者こそなかったものの、タンク車の塩素などが流出したことにより市民20万人以上が1週間に渡って市から避難した。

1980年代

ソビエト連邦南部のボルゴグラード近郊でボルガ川に架かる橋脚に客船が衝突し、橋脚が移動したため折りしも走行してきた列車が転落。死者240~400名。
フランスボルドーから150Km地点の単線で急行列車と普通列車が正面衝突。死者35名。事故原因は通信式による閉塞を駅の運転掛が取扱いミスしたため。
フランス・アルジャントンシュールクルーズ近郊で脱線した旅客列車に対向してきた貨物列車と衝突。43名が死亡。
中国上海近郊で急行列車同士が正面衝突(上海列車事故)。日本の修学旅行生ら29名が死亡。原因は片方の列車運転手の信号無視とされたが、運転手はブレーキ故障と証言している。
フランスのメランからパリ間を走行していた列車が乗客が通過駅で降りようとして非常停止スイッチを作動させた。この時運転手が非常停止スイッチの解除手順を間違ったために下り勾配で列車が暴走。パリ・リヨン駅の地下ホームで車掌遅刻のために出発の遅れていた列車に衝突。死者56名。後の刑事裁判では運転手と車掌が有罪になったのも関わらず、違法に列車を止めた乗客が無罪になったため、フランス国鉄労組は抗議のストライキを決行した。
インドケララ州の湖に掛かる鉄橋での急行列車が脱線し湖に転落。死者107名。
ソビエト連邦ウラル山脈山中のウファ~アシアの間で液化天然ガスのパイプラインからガスがもれ爆発。偶然通りかかった列車2本が巻き込まれた。死者238名。

1990年代

パキスタン・シンド州で旅客列車と貨物列車が衝突。死者210名以上。
韓国釜山で列車が脱線。死者79名。
アゼルバイジャンバクーの地下鉄で火災。死者337名。
カメルーンヤウンデで石油を輸送していた貨物列車が脱線、流出した石油に引火し120名以上が死亡。
ドイツ・エシェデ近郊でICE-1高速列車が脱線し道路橋に衝突。死者101名。ICE#エシェデ事故参照。

2000年代

オーストリアでケーブルカー火災事故。日本人10名を含め155名が死亡。オーストリアケーブルカー火災事故参照。
台湾阿里山森林鉄道・ブレーキ故障、脱線転覆事故。死者17名。
イラン・ニシャプール近郊で留置してあった無人の貨車51両が暴走し沿線の村に突入。積荷の石油類の爆発により村は壊滅し、300名以上が死亡。
北朝鮮・龍川駅で貨物列車が爆発(龍川駅列車爆発事故)。積荷の硝酸アンモニウムまたはANFOが流出し引火したものと推測されている。テロ説も有り。死者50名以上。
スリランカスマトラ島沖地震による津波のため列車が脱線転覆。列車内や屋上に避難していた地元住民を含め約1700名が死亡。
インドアーンドラ・プラデーシュ州で、鉄砲水で線路が流失したことにより急行列車が脱線。死者114名以上。
スペインバレンシア地下鉄で、速度超過が原因の脱線事故。死者40名以上。バレンシア地下鉄脱線事故を参照。
ドイツ磁気浮上式高速鉄道トランスラピッド)のエムスランド実験線で試運転中のトランスラピッドが、200km/h前後と推定される速度で工事用車両と衝突、作業員2人と、リニアに乗車していた見学者ら29名の計31名が巻き込まれ、死者21名。リニアモーターカーで初めて死者が出た大事故。関連:英語版での当該記事
フランス北東部のズフトゲンで、特急列車貨物列車が正面衝突。両列車の運転士と特急列車の乗客の計5名が死亡、乗客15名が重軽傷を負った。
イタリア首都ローマローマ地下鉄A線で、ビットリオ・エマヌエレ駅に停車中の列車に後続の列車が追突、1名が死亡、日本人4名含む約170名が負傷。
台湾鉄路管理局宜蘭線大里駅で列車正面衝突事故、死者5名。台鉄大里駅事故を参照。

事故調査

従来、鉄道事故等においては警察による関係者の責任が問われていたが、個人責任の追及が中心になるあまり当事者の証言が歪められ本来の背後要因等の分析が不十分であるとの指摘があり、中立的な事故原因調査を行う機関の設立が望まれていた。現在、日本において鉄道事故が発生した場合には国土交通省内の航空・鉄道事故調査委員会によって原因究明と再発防止のための調査が行われる。また、業務上過失致死罪などの容疑で刑事捜査が行われる場合もある。

しかし、刑事捜査が優先のため、航空・鉄道事故調査委員会による調査は十分に行えず、さらに調査委員会の事故調査報告書が刑事裁判の証拠として採用されることもあるため、事故関係者が責任波及を恐れて事故に関する証言を拒んだり黙秘する問題も出てきており、また、刑事捜査は関係者の処罰が目的のため事故の再発防止には役立たないという指摘もある。

そのため、委員会をアメリカの国家運輸安全委員会(NTSB)のような国土交通省から独立した強い権限を持つ機関に改めることと、過失による刑事責任を問わないことで関係者の証言を得やすくするべきだという意見も根強い。


関連項目

外部リンク