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Balmung0731 (会話 | 投稿記録) 紋章学 へ一部転記 |
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{{一部転記|紋章学|紋章|date=2008年1月}} |
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'''紋章'''(もんしょう)とは、個人、組織、団体を特定するため使用されるマークである。家柄を表すものは厳密な規則に従って作成され、分家や縁組などでそのバリエーションが生まれていく。 |
'''紋章'''(もんしょう)とは、個人、組織、団体を特定するため使用されるマークである。家柄を表すものは厳密な規則に従って作成され、分家や縁組などでそのバリエーションが生まれていく。 |
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[[Image:Coat of Arms of the Pitcairn Islands.svg|thumb|250px|[[ピトケアン諸島]]の紋章]] |
[[Image:Coat of Arms of the Pitcairn Islands.svg|thumb|250px|[[ピトケアン諸島]]の紋章]] |
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これらの紋章は戦場で使う盾、陣羽織(Coat of Arms)、鎧([[プレートアーマー]])、旗などに描いた他、[[騎士]]の時代が終わった後も[[印章|封印]](シール)、[[棺]]に使われる他、所有物(屋敷、アクセサリー、小物)に付けることが広く行われた。このヨーロッパの紋章形式は世界中にひろまっており、通常、紋章といえばこの形式を指す。[[国章]]においても、ヨーロッパの国々のみならず、その植民地だった国を中心に広く使用されている。 |
これらの紋章は戦場で使う盾、陣羽織(Coat of Arms)、鎧([[プレートアーマー]])、旗などに描いた他、[[騎士]]の時代が終わった後も[[印章|封印]](シール)、[[棺]]に使われる他、所有物(屋敷、アクセサリー、小物)に付けることが広く行われた。このヨーロッパの紋章形式は世界中にひろまっており、通常、紋章といえばこの形式を指す。[[国章]]においても、ヨーロッパの国々のみならず、その植民地だった国を中心に広く使用されている。 |
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== 紋章の構成要素 == |
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紋章は右図のようなシールド(Shield、[[盾]])、ヘルメット(Helm、[[兜]])、クレスト(Crest、兜飾り)、[[マント]](Mantling)、リース(Wreath)、サポーター(Supporter、盾持ち)、[[標語|モットー]](Motto、巻物)の構成要素からなり、中心となる盾のみのものを小紋章、それにヘルメットやクレストを加えたものを中紋章、全てが揃っているものを大紋章と呼ぶ(小紋章、中紋章併せて小紋章と呼ぶこともある)。この他、当人の身分によって騎士団章([[勲章]])や冠が加わることもある。 |
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これらの要素は中世の[[騎士]]をイメージしたものである。このため、戦場に出ない女性や聖職者の場合、盾型ではなく菱形の要素を使い、ヘルメット等も違った形式の帽子になるのがオーソドックスであったが、近代では騎士のイメージは形式のみになっており、男女同権の意識も高まったため、特に区別しないこともある。 |
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{{commonscat|Elements of Coat of arms|紋章の構成要素}} |
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== 紋章の例 == |
== 紋章の例 == |
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Image:Austria-Hungaria transparency.png|例3 1915年のオーストリア・ハンガリー帝国の国章 |
Image:Austria-Hungaria transparency.png|例3 1915年のオーストリア・ハンガリー帝国の国章 |
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== ペトラ・サンクタ == |
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[[Image:tinctures.svg|right|thumb|200px|色と紋様]] |
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紋章は戦場で遠くから識別できるように限定された8色(2つの金属色と6つの色)で表されるが、刻印のように色が付かない場合は、その代わりにペトラ・サンクタという色を紋様で表す規則が定められている。 |
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* 金:点 |
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* 銀:無 |
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* 青:横縞 |
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* 赤:縦縞 |
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* 紫:右上から左下への斜縞 |
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* 黒:格子縞 |
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* 緑:左上から右下への斜縞 |
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* 橙:横縞と右から左への縞 |
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その他にファー(furs、[[毛皮]])という紋様が定められている。これは元々は毛皮に使う動物を表していたとされるが抽象化が進んでいるため、模様から元の動物を判断することは難しい。 |
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== シールド(盾) == |
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[[Image:Divisions of the field.png|right|thumb|200px|領域の塗分け]] |
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[[Image:Ordinaries.png|thumb|right|200px|幾何学模様]] |
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シールドの基本的なデザインとして右図の様な色の塗分けと幾何学模様がある。これに動物、植物、[[十字架]]などの具象図形が組み合わされることもある。また、紋章が受け継がれるうちに、他の家の継承に伴いその紋章を中に組み込むようになり、領域を半分や四分割して各紋章を配置することが行われた(マーシャリング)。 |
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== 具象図形 == |
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=== 動物 === |
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* [[獅子]]:勇壮さを求められるであろう紋章において獅子の絵柄は好まれる象徴のひとつであり、古くから用いられているものである。著名な紋章のひとつであるイギリス王室の紋章においては一貫して獅子が用いられている。 |
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* [[鷲]]:好んで用いられる象徴のひとつである。[[ローマ皇帝]]の象徴であり、その系譜を受け継ぐとする[[東ローマ帝国|東ローマ皇帝]]、[[神聖ローマ皇帝]]、[[ハプスブルク家]]、[[ナポレオン・ボナパルト|ナポレオン]]の他、系統は違うが[[アメリカ合衆国]]の国章などにも使用されている。 |
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== 各国の紋章 == |
== 各国の紋章 == |
2008年2月5日 (火) 12:54時点における版
紋章(もんしょう)とは、個人、組織、団体を特定するため使用されるマークである。家柄を表すものは厳密な規則に従って作成され、分家や縁組などでそのバリエーションが生まれていく。
西洋の紋章
ヨーロッパでは戦場における個人の識別マークとして、盾に紋様を描くことが行われていたが、これが固定された紋章(Coat of Arms, Blazon)となるのは、12世紀半ば頃である。その理由の1つとして当時、流行していた馬上槍試合(トーナメント)で兜で顔を隠した個人を明確に識別するために必要とされたことが挙げられる。
紋章は当主が代々受け継ぐことにより、家紋の役割を果たすようになり、都市や騎士団などの団体も同様の形式のものを紋章として採用するようになった。なお、当主以外の個人の紋章は家紋をベースとして個人のバリエーションを加えたものになることが多い。紋章は個人を特定するために存在するため、同時期の同じ地域において同じ紋章が存在することは許されない。紋章についてはさまざまな争議が起こることもあり、紋章を管理する公的機関が存在することも多い(イギリスの紋章院等)。
これらの紋章は戦場で使う盾、陣羽織(Coat of Arms)、鎧(プレートアーマー)、旗などに描いた他、騎士の時代が終わった後も封印(シール)、棺に使われる他、所有物(屋敷、アクセサリー、小物)に付けることが広く行われた。このヨーロッパの紋章形式は世界中にひろまっており、通常、紋章といえばこの形式を指す。国章においても、ヨーロッパの国々のみならず、その植民地だった国を中心に広く使用されている。
紋章の例
例1は盾のみの小紋章である。全体が四分割されており、そのうち2つにフランス王家の百合の紋様、残りの2つにブルゴーニュ公の青と黄の斜め縞が入っており、真中にフランドル伯の紋章「立ち上がる獅子」を描いた小型の盾が追加されている。
例2のイギリス王室の紋章は大紋章である。盾の両側をイングランドの象徴の獅子とスコットランドの象徴のユニコーンで支えており、ヘルメットの上には王冠が置かれ、クレストは王冠をかぶった獅子である。盾の領域は四分割され、イングランドの紋章「3匹の獅子」が2つ入っており、スコットランドの紋章「立ち上がる獅子」、アイルランドの紋章ハープがそれぞれ描かれている。
例3のオーストリア・ハンガリー帝国の国章は、第一次世界大戦中に制定されたもので、多民族の融和を計るため最も複雑な構成となっている。オーストリアとハンガリーを表す2つの盾と王冠があり、それを支える1人はオーストリアを表すグリフォン(上半身が鷲、下半身が立ち上がる獅子)であり、他方はハンガリーを表す天使である。盾の中はハプスブルク家の紋章双頭の鷲を始めとする多数の構成民族の紋章が組み込まれている。また、盾の間には騎士団章(勲章)が配置されている。
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例1 ジャン1世の紋章
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例2 英王室の紋章
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例3 1915年のオーストリア・ハンガリー帝国の国章
各国の紋章
イギリス
総ての紋章は紋章院で管理される。イギリスにおいては、クラブ、大学、師団などの紋章にその歴史やパトロンなどを示す図柄が入っていることが多い。
大紋章にサポーターを付けることは貴族やナイト爵など限定され者のみ認められている。また、貴族は紋章の中に冠(Coronet)をつけることができる。
紋章学については、外部リンクを参照。
日本の家紋
紋章に当たるものは日本では特に家紋と呼ばれる。
家紋の項を参照。