「キング・ジョージ5世 (戦艦)」の版間の差分
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キングジョージV世級のネームシップ。ワシントン条約に縛られた設計の為に性能で列強海軍の戦艦よりも大きく見劣りし、ウィンストン・チャーチルをして'''「われわれは戦艦のような物で今大戦を戦った」'''と言わしめた艦である。 |
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キングジョージV世級のネームシップ。 |
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== 艦名の由来 == |
== 艦名の由来 == |
2005年3月1日 (火) 12:44時点における版
キングジョージV世(HMS King George V)は英国海軍の戦艦。 キングジョージV世級のネームシップ。ワシントン条約に縛られた設計の為に性能で列強海軍の戦艦よりも大きく見劣りし、ウィンストン・チャーチルをして「われわれは戦艦のような物で今大戦を戦った」と言わしめた艦である。
艦名の由来
イギリス海軍では、国王が新たに即位した直後に完成した戦艦に新国王の名を冠する慣例があった。本艦の計画時にキングジョージⅥ世が即位したので、慣例によればキングジョージⅥ世と命名されるはずであったが、新国王の希望により先代国王の名前が冠された。このため本艦はキングジョージV世の2代目である。慣例通りに命名された先代戦艦キングジョージV世は、1912年完成の超弩級戦艦(23,000t、34.3cm砲10門)。
特徴
2本煙突で主砲塔を前部に2基(4連装+連装)、後部に1基(4連装)備えたオーソドックスな配置。防御力に重点をおいた艦であった。
攻撃力
主砲として35.6cm砲を採用、これを4連装砲塔2基、連装砲塔1基に収めた。副砲は対空・対水上両方に使用可能な13.3cm連装両用砲を8基搭載し4基ずつ背負い式に両舷に配置した。また近接砲火として40mm8連装ポンポン砲を多数装備した。
本級の4連装主砲塔は砲塔重量の軽減を目的に採用された。多連装砲は構造が複雑になり整備や運転に技術が必要とされる。ドイツ戦艦ビスマルクの追撃戦において竣工早々の姉妹艦プリンス・オブ・ウェールズの主砲が調整不足で故障が続発し満足な砲撃ができなかったことは有名(それでもビスマルクに命中弾を与えた)。竣工の早かった本艦についてはそのような問題は無かったといわれている。
副砲として両用砲を採用したのは、米国戦艦とイギリス戦艦とフランス戦艦のみであった。これは重量軽減と言う観点からは合理的な設計と言え、日本の大和 (戦艦)は完成後に増大する航空脅威に対して副砲を減らして対空砲を強化しているほどである。しかし英国の13.3cm両用砲は装薬分離の手動装填で発射速度が遅く、対空戦闘には不向きであったと言われている。 なお、同時期にヨーロッパで建造された独仏伊の戦艦は、副砲と高角砲を甲板上に並べているが対空戦闘時の発射速度や対艦戦闘時の威力についての問題は出ていない。
防御力
砲弾に対する防御力は優秀、装甲厚さ水線部381mm・甲板152mmは同時期のドイツのビスマルク級(320mm・120mm)、アメリカのノースカロライナ級(305mm・140mm)より重厚。
航空艤装
前部煙突の両脇に航空機格納庫を設け、後部煙突との間の甲板上に横向きにカタパルトを設置し、風向きによってどちらも射出可能とした。しかし航空母艦勢力の整備拡張により、わざわざ水上機をカタパルトで打ち出し回収する必要がなくなったため航空艤装(注)は早い時期に撤去され、代わりに対空火器が増備された。
- (注)艤装:設備や装置を艦に備え付けること
艦暦
- ワシントン海軍軍縮条約明け直後の1937年1月に、ヴィッカース社バロー造船所で起工
- 1940年12月11日竣工。英国本国艦隊グランドフリートの旗艦となる。
- 1941年 旗艦としてトーベイ司令長官の指揮のもと、ビスマルク追撃戦に参加、ブレスト沖でソードフィッシュの雷撃により行動不能となっていたビスマルクを、戦艦ロドニーと協力して砲撃した。両艦の砲撃により戦闘力の無くなったビスマルクは、その後巡洋艦・駆逐艦から多数の魚雷を受け沈没。
- 1944年 イギリス太平洋艦隊に配属され、日本の降伏(1945年)まで太平洋で活躍。
- 1945年 7月18日 日立の日立製作所の工場を砲撃。7月29日~30日 浜松の日本楽器の工場を砲撃。
- 1957年 除籍
性能
- 基準排水量 36,772t
- 全長 227.1m
- 全幅 31.4m
- 最大速力 29ノット(公表値)
- 航続力
- 機関 蒸気タービン4基 4軸 125,000馬力
- 武装 35.6cm4連装砲塔2基、連装砲塔1基 13.3cm連装両用砲8基 40mm8連装ポンポン砲4基(竣工時 その後増設)