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「種子 (密教)」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
改名提案(統合提案は取り下げ)
m ページ 種字種子 (密教) へ移動: 正式の表記にするとともに「種子 (唯識)」と区別のため。ノートで議論済み。
(相違点なし)

2007年11月5日 (月) 13:35時点における版

種字(しゅじ)とは密教において、仏尊を象徴する一音節の呪文(種子真言)。および、それを梵字一文字(稀に二文字)で象徴的に表したもの。 本来は種子と表記するのが正しいが、一般には「種子の梵字」で種字と表記される事が多い。

例えばवं(vaM)は金剛界大日如来、ह्रीः(hriiH)は阿弥陀如来、स(sa)は聖観音、हां(haaM)は不動明王、सु(su)は弁才天を象徴する種字である。 種字は梵字の神秘的解釈から作られるほか、その仏尊の真言から一文字取ったり、仏尊の梵名の頭文字を取って作る事も多い。

これら種字は、密教の修法において本尊となる仏を想起するためのシンボルとなるので、これを植物の種に譬えて種字という。

また護符曼荼羅などに、仏尊の絵姿の代わりに種字を書く事も多い。 これには、絵姿を描くより梵字で済ませた方が手間がかからないという実用的な意味もある。

主な種字一覧

種字は同じ文字が複数の仏尊を表したり、逆に同じ仏尊が複数の種字を持っていたりする。ここでは代表的と思われるものを示す。

種字は、日本では普通、悉曇文字 (梵字) で書く (チベット仏教ではチベット文字) が、ここではデーヴァナーガリーで代用した。括弧内のラテン文字転写は京都・ハーバード方式による。

慣用音としたのは日本で行われている発音である。ここでは真言宗で伝承されている中天音(インド中部での発音と伝承されているもの)を示したが、他にも天台宗で伝承されている南天音(インド南部での発音と伝承されている)など何種類かの発音がある。

種字(転写)慣用音仏尊
अ (a)大日如来(胎蔵界) 宝幢如来 日光菩薩 大元帥明王 火天 日天
आ (aa)アー開敷華王如来
अं (aM)アン無量寿如来(胎蔵界阿弥陀如来) 普賢菩薩
अः (aH)アク天鼓雷音如来 不空成就如来 金剛薩埵(金剛界)
आः (aH)アーク大日如来(胎蔵界)
इ (i)伊舎那天
ई (ii)イー帝釈天
क (ka)キャ十一面観音
ग (ga)ギャ仏眼仏母
गः (gaH)ギャク歓喜天
च (ca)シャ月光菩薩 月天
त्राः (traaH)タラーク宝生如来 虚空蔵菩薩
धृ (dhR)ヂリ持国天
नृ (nR)ニリ羅刹天
पृ (pR)ヒリ地天
बु (bu)准胝観音
ब्र (bra)ボラ梵天
भः (bhaH)バク釈迦如来
भै (bhai)バイ薬師如来
भ्रूं (bhruuM)ボロン一字金輪仏頂 熾盛光仏頂
म (ma)孔雀明王 大黒天 摩利支天
मं (maM)マン文殊菩薩
मो (mo)モウ不空羂索観音
यं (yan)エン閻魔天
यु (yu)弥勒菩薩
व (va)水天
वं (vaM)バン大日如来 (金剛界)
वा (vaa)バー風天
वि (vi)増長天 広目天
वै (vai)ベイ毘沙門天
श्री (zrii)シリー仏眼仏母 吉祥天
स (sa)聖観音
सः (saH)サク勢至菩薩
सु (su)弁才天
स्त्वं (stvaM)サトバン五秘密菩薩
ह (ha)地蔵菩薩
हं (haM)カン馬頭観音 荼枳尼天
हां (haaM)カーン不動明王
हुं (huM)ウン軍荼利明王
हूं (huuM)ウーン阿閦如来 金剛薩埵(胎蔵界) 降三世明王 金剛夜叉明王 愛染明王
ह्रीः (hriiH)キリーク阿弥陀如来 千手観音 如意輪観音 大威徳明王
ह्रूं (hruuM)コロン尊勝仏頂
ह्हूं (hhuuM)ウーン愛染明王
ह्म्मां (hmmaaM)カンマン不動明王