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「F-X (航空自衛隊)」の版間の差分

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'''F-X'''(エフエックス)とは、Fighter-eXperimental(試作戦闘機)の略称で、[[日本]]の[[航空自衛隊]]の'''次期主力[[戦闘機]]導入計画'''を指す略語。次期戦闘機導入にかかわる計画やそれによって選ばれる機体を指す用語であって、"F-X"という[[制式名称]]の[[航空機]]が存在する(あるいは存在した)わけではない。F-X計画と呼ばれていたことのある計画には、[[1950年代]]から[[2010年代]]までに以下の4つが存在する。
{{seetalk|議論、及び、質問|F-35の後半部分の説明について}}
{{anotheruse|航空自衛隊の次期主力戦闘機としてのF-X|次期主力戦闘機全般、及び、外国でのF-X(次期主力戦闘機)|F-X|その他のFX|FX}}
'''F-X'''または、'''FX'''(エフエックス)とは、Fighter-Xの略称で、[[日本]][[航空自衛隊]]の'''次期[[戦闘機]]導入計画'''を指す略語。


最新の現在進行中の[[F-2 (航空機)|F-2戦闘機]]の後継機に関しては[[次期戦闘機 (F-2後継機)|次期戦闘機]]を参照。
== F-Xの概念 ==
F-Xは、あくまで次期戦闘機導入にかかわる計画を指す語であって、特定の機種を指す語ではない。機種が選定され導入が始められれば計画はその機種の名で呼ばれ、その次に導入する戦闘機の計画・概念が新たなF-Xとなる。
F-X計画と呼ばれていたことのある計画には現在のところ以下の4つが存在するが、厳密な意味でF-Xと呼ばれうるのはその時点で進行している「次期」の計画ただひとつだけである。


== 第1次F-X ==
== 過去のF-X ==
=== 第1次F-X ===
{{main|F-104 (戦闘機)#日本}}
{{main|F-104 (航空機)#日本}}
[[F-86 (戦闘機)#日本|ノースアメリカン F-86]]の代替となる戦闘機を導入する計画。[[F-104 (戦闘機)|ロッキード F-104C/D改]]と[[F-11 (戦闘機)|グラマン G-98J-11]](F11Fの改造型)との争いになった。一旦F-104に内定したものの、[[ロッキード事件]]に伴い白紙化。再度選定して前者をF-104J/DJとして採用した。導入数230機。
[[ファイル:JASDF F-104J(56-8653).JPG|thumb|250 px|採用されたF-104J]]
1950年代後半の[[F-86 (航空機)#運用国|ノースアメリカン F-86F]](435機)と[[F-86D (航空機)|F-86D]](122機)の代替となる戦闘機を導入する計画。


[[F-104 (戦闘機)|ロッキード F-104C/D改]]と[[F-11 (戦闘機)|グラマン G-98J-11]](F11Fの改造型)との争いになった。一旦G-98に内定した<ref>『<small>世界の傑作機 NO.8</small> グラマンF11Fタイガー』(文林堂、1988年) ISBN 4-89319-006-7 水野民雄「F11F開発と各型」 p32</ref>ものの、いわゆる[[ダグラス・グラマン事件|第1次F-X問題]]に伴い白紙化。再度選定となり、F-104Gをベースに日本向け仕様としたタイプをF-104J/DJとして採用した。[[1963年]]([[昭和]]38年)から[[1967年]](昭和42年)にかけて230機導入。
== 第2次F-X ==

<gallery widths="180px" heights="150px">
ファイル:F86F KAB001.jpg|F-86F
ファイル:JASDF F-86D(84-8111) right front view at Komaki Air Base March 3, 2018.jpg|F-86D
ファイル:F11F-1 with AIM-9 NAN1-58.jpg|F11F
</gallery>

=== 第2次F-X ===
{{main|F-4 (戦闘機)#日本}}
{{main|F-4 (戦闘機)#日本}}
[[ファイル:McDonnell Douglas (Mitsubishi) F-4EJ Kai Phantom II, Japan - Air Force AN1607679.jpg|thumb|250 px|採用されたF-4EJ]]
[[F-104 (戦闘機)#日本|ロッキード/三菱 F-104J/DJ]]の後継となり、未だ残っていた[[F-86 (戦闘機)#日本|ノースアメリカン F-86]]の代替となる戦闘機を導入する計画。[[F-4 (戦闘機)#日本|マグダネルダグラス F-4E改]]、[[F-104 (戦闘機)|ロッキード CL1010-2]](F-104の発展型)、[[サーブ 37 ビゲン]]、[[ミラージュF1 (戦闘機)|ダッソー ミラージュF1]]の争いになったが、F-4E改をF-4EJとして採用した。導入数140機。
[[1960年代]]後半の[[F-104 (航空機)#日本|ロッキード/三菱 F-104J/DJ]]の後継となり、未だ残っていた[[F-86 (航空機)#運用国|ノースアメリカン F-86]]の代替となる戦闘機を導入する計画。

[[F-4 (戦闘機)#日本|マグダネルダグラス F-4E改]]、[[X-27 (航空機)#CL-1200|ロッキード CL1010-2]]([[F-104 (航空機)|F-104]]の発展型)、[[サーブ 37 ビゲン]]、[[ミラージュF1 (戦闘機)|ダッソー ミラージュF1]]の争いになったが、F-4E改をF-4EJとして採用した。[[1971年]](昭和46年)から[[1981年]](昭和56年)にかけて140機導入。なお、[[支援戦闘機]]となったF-86F は[[FS-X]]計画を経て[[F-1 (航空機)|F-1]]で代替された。

<gallery widths="180px" heights="150px">
ファイル:SAAB JA37 Viggen.JPG|サーブ 37 ビゲン
ファイル:Greek Dassault Mirage F-1CG special colors cheme 1.jpg|ミラージュF1
</gallery>

=== 第3次F-X ===
{{main|F-15J (航空機)}}
[[ファイル:F-15J Komatsu (21431330694).jpg|thumb|250 px|採用されたF-15J]]
[[1970年代]]中盤の[[F-104 (航空機)#日本|ロッキード/三菱 F-104J/DJ]]の後継機として、また、一部の[[F-4 (戦闘機)#日本|マグダネルダグラス/三菱 F-4EJ]]の代替となる戦闘機を導入する計画。

[[F-15 (戦闘機)|マグダネルダグラス F-15C/D改]]、[[F-14 (戦闘機)|グラマン F-14]]、[[F-16 (航空機)|ゼネラルダイナミクス YF-16]]、[[YF-17 (航空機)|ノースロップ YF-17]]、[[ミラージュF1 (戦闘機)|ダッソー ミラージュF1]]、[[サーブ 37 ビゲン]]、[[トーネード ADV|パナビア トーネード ADV]]の争い(実質的にはF-14とF-15であった)になったが、F-15C/D改をF-15J/DJとして採用した。[[1980年]](昭和55年)から[[1999年]]([[平成]]11年)にかけて213機導入。なお、支援戦闘機として運用していたF-4EJ改はFS-X計画で開発された[[F-2 (航空機)|F-2]]で代替された。

<gallery widths="180px" heights="150px">
ファイル:US Navy F-14B Tomcat (2268467788).jpg|F-14B
ファイル:YF-16 and YF-17 in flight.jpg|YF-16(手前)とYF-17(奥)
ファイル:Luftwaffe Tornado.JPG|トーネード ADV
</gallery>

=== 3次までの総括 ===
これら第3次までのF-Xでは、いくつかの騒動あるいは[[汚職]]疑惑([[F-104 (航空機)#日本|F-104J/DJ採用の逆転劇]]や[[ダグラス・グラマン事件]])がありながらも、結局は候補機の中で一番性能が高く、[[アメリカ軍]]でも運用しており[[有事]]の際の[[補給]]を受けやすい機種を採用してきた。

また、いずれの機種も導入前半の数年から数十機は完成機購入(輸入)や[[ノックダウン生産]]で[[調達]]されたものの、すぐに日本国内の航空機産業による[[ライセンス生産]]に移行した。開発元に支払うライセンス生産料が高いことがネックであったが、生産が進行するにつれて徐々に[[国産化率]]が高められていき、国内[[航空宇宙産業|航空機産業]]の技術向上と生産基盤維持に大きな貢献を果たしてきた。

3機種ともにライセンス生産の主契約企業は[[三菱重工業]]であったが、エンジンのライセンス生産をした[[IHI]](旧称:石川島播磨重工業)をはじめ、日本の航空機産業に関わるほぼすべての企業が何らかの形で生産にかかわっていた。

{| class="wikitable" align="none" cellpadding="5" style="background:#fff; text-align:center; font-size:smaller"
!
!F-15J/DJ
!F-4EJ
!F-104J
|-
!三面図・線画
|[[ファイル:McDonnell F-15A DraftSight.svg|120 px]]
|[[ファイル:McDonnell Douglas F-4E Phantom II 3-view.svg|120 px]]
|[[ファイル:F104G-3S.png|120 px]]
|-
!原型機初飛行
|[[1972年]]
|[[1958年]]
|[[1954年]]
|-
!運用状況
|[[1984年]] - 現役
|[[1975年]] - [[2021年]]
|[[1964年]] - [[1986年]]
|-
!価格
|86億 - 101億円
|20億 - 40億円
|
|-
!運用国
|4か国
|11か国
|14か国
|-
!エンジン数
|双発
|双発
|単発
|-
!全長
|19.40 m
|19.20 m
|16.69 m
|-
!全幅
|13.1 m
|11.71 m
|6.68 m
|-
!全高
|5.60 m
|5.02 m
|4.10 m
|-
![[空虚重量]]
|12,973 kg
|13,757 kg
|6,350 kg
|-
!最大[[推力]](A/B使用)
|10,800 kgf × 2
|8,120 kgf × 2
|70.9 kN
|-
!最大速度
|M2.5
|M2.23
|M2.0
|-
!戦闘行動半径
|1,900 km
|680 km
|680 km
|-
!実用上昇限度
|19,000 m
|18,975 m
|15,420 m
|-
![[ハードポイント]]数
|8ヶ所
|9ヶ所
|5ヶ所
|-
!乗員
|1名/2名
|2名
|1名
|}

== 第4次F-X ==
2008年(平成20年)度中に退役がはじまった[[F-4 (戦闘機)#日本|マグダネルダグラス/三菱 F-4EJ改]]の代替となる戦闘機を導入する計画である。2011年(平成23年)度からの[[中期防衛力整備計画 (2011)|中期防衛力整備計画(平成23年度)~]]において導入を予定している。将来的に[[F-15J (航空機)|マクダネルダグラス/三菱 F-15J/DJ]]の一部、初期型(Pre-MSIP)(約100機)の置き換えも検討されている<ref>{{cite news|url=http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131218/k10013915281000.html |title=防衛省、主力戦闘機F-15の代替としてF-35の導入を検討|publisher=NHK|date=2013-12-18|archiveurl=https://archive.is/BJhNR|archivedate=2013-12-23}}</ref>。

=== 選定時の状況と展望 ===
日本は強大な[[空軍力]]を有する[[軍事大国]]に複数隣接するという特殊な防衛環境に置かれており、配備可能な戦闘機の機数も周辺国に比べ少ないという防衛事情があるため、航空自衛隊の採用する[[要撃機]]には他国の戦闘機を圧倒する高い戦闘力と配備機数を補う高い稼働率が要求される。
日本の周辺国では、[[第4世代ジェット戦闘機#第4.5世代ジェット戦闘機|第4.5世代戦闘機]]の配備が進んできており、[[大韓民国|韓国]]においてはF-15C/Dを戦闘爆撃機として改良・再設計したF-15Eの韓国版[[F-15E (航空機)|F-15K]]の配備が始まっている。さらに近い将来に[[ロシア]]は[[Su-57 (航空機)|Su-57]]、韓国はF-35<ref>{{cite news|publisher=共同通信|date=2009-03-16 }}</ref>[[台湾]]はF16V(4.5世代戦闘機)、[[中華人民共和国|中国]]では[[J-31 (航空機)|J-31]]、[[J-20 (戦闘機)|J-20]]<ref>{{cite news|url=http://www.asahi.com/international/update/0104/TKY201101040396.html |title=中国軍、次世代ステルス機試作完成 17年にも実戦配備|publisher= asahi.com|date= 2011-01-05|archiveurl=https://archive.is/o2SKp|archivedate=2011-01-07}}</ref>などの[[第5世代ジェット戦闘機|第5世代戦闘機]]の配備が計画されている。そして、現代において重視されている[[情報戦]]能力([[軍事における革命 #情報におけるRMA|情報におけるRMA]])も中国の[[KJ-2000 (航空機)|KJ-2000]]、韓国の[[ボーイング737 AEW&C|E-737]]といった[[早期警戒管制機]]の配備で向上しているとされる。

上記の通り周辺国では、日本の[[F-15J (航空機)|F-15J]]と同世代の戦闘機が配備され、さらに、第5世代戦闘機の配備計画もある中で、F-Xではそれらの戦闘機を圧倒、または対等に渡り合えるだけの性能を持つ戦闘機が必要となるが、本命であったF-22はアメリカ上院議会で輸出許可が一度却下されている(さらに2009年〈平成21年〉に[[バラク・オバマ|オバマ]]政権が発足して以降、2011年〈平成23年〉末までに、わずか200機弱でF-22の生産そのものが打ち切られることになる)。このため防衛省は2007年(平成19年)12月に、平成21(2009)年度までの[[中期防衛力整備計画 (2005)|中期防衛力整備計画(平成17年度)-(平成21年度)]]でのF-X調達をあきらめ、代替としてF-15の近代化改修を急いだ<ref>{{cite news|url=http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20070727i201.htm |title=FX選定遅れで次期輸送機の調達先送り…防衛省|publisher= YOMIURI ONLINE |date=2007-07-27|archiveurl=|archivedate=}}</ref>。2009年(平成21年)8月30日に実施された[[第45回衆議院議員総選挙]]の結果、同年9月に中期防衛力整備計画(平成22〈2010〉年度)を計画していた与党[[自由民主党 (日本)|自由民主党]]の[[麻生内閣]]から野党[[民主党 (日本 1998-2016)|民主党]]の[[鳩山由紀夫内閣]]へ[[政権交代]]した。新政権により2009年(平成21年)10月16日の基本政策閣僚委員会にて中期防の策定時期を1年先送りすることが決定し<ref>{{cite news|url=http://219.122.3.3/general/news/f-gn-tp3-20091016-556274.html |title=政府が新防衛大綱策定を1年先送り|publisher= nikkansports.com |date=2009-10-16}}</ref>、さらにF-Xの取得が遅れることとなり、平成23([[2011年|2011]])年度からの[[中期防衛力整備計画 (2011)|中期防衛力整備計画(平成23年度)]]で取得することになった。

国内産業面では、三菱重工業が製造するF-2戦闘機の調達数が減少したため、F-Xで決定された機体のライセンス生産が行えない場合、50年にわたり継続して戦闘機の生産を行ってきた部署が浮いてしまうことになる。その際、会社としては技術者を他部署に配置転換することを免れず、後継者の育成が滞り、再度生産の機会が訪れても、技術者が不足する或いは技術力が落ちる、技術が断絶してしまうなどの恐れがある。そのため、国内航空機産業保護の点から、今回のF-Xもライセンス生産が望ましいと三菱は指摘している。また、自衛隊の[[防衛秘密の漏洩]]がアメリカ議会で問題視されており<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.bitway.ne.jp/bunshun/ronten/so-net/sample/keyword/070802a.html|publisher= 文藝春秋 |title=日本の論点PLUS |date=2007-08-02|accessdate=2021-09-07}}</ref>、日本への最新鋭戦闘機輸出承認をしない情勢が強まっており、問題を複雑化している。

この現状を踏まえ、選定期間延長・戦力維持・産業保護を考え以下の策が検討された。

; F-4の運用スケジュール見直し
: 機体寿命は幾許もない(超えている物もある)ため、作戦使用時間の削減や非破壊検査システムの導入による機体寿命の精密な測定等で延ばした余裕<ref name="trafficnews_20150927">{{Cite web|和書|author=関賢太郎|authorlink=関賢太郎|date=2021-09-04 |url=https://trafficnews.jp/post/43528 |title=旧型機が新型機を強くする? ボーイングが示すF-15戦闘機、その未来 |page=2|publisher=乗りものニュース |accessdate=2021-09-07}}</ref>、予備機の削減で数年程度先送りする。
; F-15の近代化改修
: 比較的新しく製造された機体に対して近代化改修を施し、4.5世代相当まで能力向上させて戦力を維持する案<ref name="trafficnews_20150927" />。
{{main|F-15J (航空機)#近代化改修}}
; F-2の再調達
: 次期戦闘機をF-35にした場合、開発国外の導入は早くても2017年(平成29年)になる見通しであり、2008年(平成20年)からすでに退役が始まっているF-4EJの代替には間に合わず、また調達中のF-2も生産終了の予定のため、戦闘機生産の部署が宙に浮くのを避けられない。そのため調達中のF-2を追加導入することによって産業保護を狙う案である<ref name="example" />。しかしこの案は、2011(平成23)年度予算で追加調達予算は計上されなかったため見送られた。

=== 機種選定 ===
周辺諸国に[[Su-27 (航空機)|Su-27]]などのF-15と同水準の第4世代機が拡散しつつある防衛環境にあって、現在[[要撃機#自衛隊|FI(邀撃、要撃)]]任務についているF-4EJ改を代替する機体であるから、要撃任務の能力が高いことが第一の要求であるが、当然時代の趨勢といえる[[マルチロール機|マルチロール]]化(任務の多様性)もある程度要求されている。

[[防衛省]]は[[アメリカ合衆国|アメリカ]]の[[F-22 (航空機)|F-22A]]、[[F/A-18E/F (航空機)|F/A-18E/F]]、[[F-15E (航空機)#概要|F-15FX]]、[[F-35 (航空機)|F-35]]、[[フランス]]の[[ラファール (航空機)|ラファール]]、[[ヨーロッパ|欧州]]の[[ユーロファイター タイフーン|タイフーン]]の6機種をF-Xの候補として挙げ、調査を行っているとされていたが、日本政府が2008年(平成20年)12月末に候補機からF-22を除外し、F-35、タイフーン、F-15FXの3機から選定する旨の発表がなされた<ref>{{cite news|newspaper=読売新聞|date=2008-12-27|title=政府、次期主力戦闘機(FX)の選定、見直し…F22の生産不透明化で}}</ref>。これにより徐々に次期F-Xの候補が絞られた形となったが、各候補機については、その設計技術や機能・性能という機体本来の違いだけでなく、多くの中小国では1個飛行隊クラスの購入にとどまるのに対し、歴史上から見ても、戦闘機の大規模な購入実績がある{{Efn2|今回のF-Xでは予備機を含めた2個飛行隊(一個飛行隊定数 24機)の約50機の導入が予定されている。}}日本のF-Xに売り込むことによって、莫大な利益が見込まれること{{Efn2|日本のF-Xは代々[[ライセンス生産]]方式であることから、完成機輸入、[[ノックダウン生産]]方式と違って自社工場で生産するわけではないためライセンス料やブラックボックスの輸出で利益を出す。}}等から、政治的・経済的要因から発生する各種問題が交錯しており、選定作業が難航していた。(このため2010年(平成22年)7月には防衛省がつなぎとして[[F-2 (航空機)|F-2]]約20機の追加発注を検討していることも報じられていた<ref name="example">{{cite news|url=http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100719/plc1007190053001-n1.htm |title=F2戦闘機を追加調達 FX選定難航で防衛省検討 中国脅威に防空を穴埋め|publisher= 産経新聞|date= 2010-07-19|archiveurl=https://archive.is/58bWo|archivedate=2010-07-21}}</ref>。

航空自衛隊は、次期戦闘機(F-X)の調査対象機種に関する海外調査を行うため欧州とアメリカに調査団を派遣した。これまで調査された機種はタイフーン、F-15FX、F/A-18E/F、F-35である。製造工場などを訪れ性能や特性に関し調査を行い、今後の検討に必要な情報を収集した。販売側では、2009年6月に開催された[[パリ航空ショー]]において、F-35を開発する[[ロッキード・マーティン]]と、タイフーンを開発したユーロファイター社(実質4カ国連合)双方が性能をアピールするなど、日本への売り込みが活発になっていた<ref>{{cite news|url=http://www.nikkei.co.jp/news/main/20090619AT1D1800718062009.html |title=パリ国際航空ショー、対日商戦が白熱 次期主力戦闘機巡り|publisher= 日経新聞|date= 2009-06-19|archiveurl=https://archive.is/GpJNQ|archivedate=2009-06-22}}</ref>。2010年6月、F/A-18E/F、F-35、タイフーンの3機種のなかから選定することが報道された<ref>{{cite news|url=http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2010062602000063.html |title=次期戦闘機の予算計上へ 来年度防衛費、数機分|publisher= 東京新聞|date= 2010-06-26|archiveurl=|archivedate=}} {{リンク切れ|date=2011年5月}}</ref>。

2011年(平成23年)4月13日、防衛省は関係各国政府に対する説明会を実施し、米、英の政府からF/A-18E/F、F-35、タイフーンの申し込みを受け付けた。2011年9月26日、防衛省に提出する機体の性能や価格に関する提案書の申し込みが締め切られ、以上の3機種から選定されることが正式に決定した<ref>{{cite news|url=http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110926/t10015844241000.html |title=次期戦闘機 提案書が出そろう|publisher= NHK|date= 2011-09-26}}</ref>。

2011年12月20日、日本政府は安全保障会議と閣議で、正式にF-35Aを採用すると決定した<ref>{{cite news|url=http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00213921.html |title=日本の次期主力戦闘機FX 政府、ロッキード・マーチン社の「F-35A」を正式決定|publisher= FNNニュース |date=2011-12-20}}</ref>。選定では、加点方式で採点した。選定理由は、以下の通りである<ref>{{cite news|url=http://www.jiji.com/jc/c?g=pol&k=2011122000419 |title=FX選定理由と配点|publisher= 時事通信 |date=2011-12-20}}</ref><ref>[https://web.archive.org/web/20120106114207/http://www.mod.go.jp/j/press/news/2011/12/20a.html 自衛隊:航空自衛隊の次期戦闘機の機種決定について] - 防衛省</ref>。

{| class="wikitable" align="none" cellpadding="4" style="background:#fff;"
!項目
!配点
!最高点を獲得した機体
!理由
|-
!性能
|50
|F-35
|空対地攻撃能力などすべてにおいてバランスが良い。
|-
!経費
|22.5
|F-35
|機体はF/A-18、燃料費はタイフーンがそれぞれ高得点であったが、<br />F-35はそれぞれ次点であり、全体では最高点を獲得。
|-
!国内企業参画
|22.5
|タイフーン
|参画の程度や技術開示の程度が高い。
|-
!後方支援
|5
|F-35
|全機体でほぼ拮抗。<br />故障部位を特定する機能などの要因からF-35が選ばれた。
|-
!総合得点
|合計
|F-35
|評価点を合計した結果、F-35が最高点となった。
|}

=== 機種決定後 ===
防衛省は2011年12月12日、次期戦闘機をF-35に決定する方針を固めた<ref>{{cite news|url=https://web.archive.org/web/20111204230416/http://sankei.jp.msn.com/politics/news/111204/plc11120417000006-n1.htm |title=【防衛オフレコ放談】陰の主役はユーロファイター FX機種選定秘話|newspaper= 産経新聞 |date=2011-12-04}}</ref>が、現在F-35は、米国防総省が開発調達計画を2年延長する見通しであることが報じられたほか、各国の機体開発の遅れに関する懸念は強まっており、開発参加国であるオーストラリアやイタリアでは計画の見直しが検討されているほか、2012年には導入までの不透明さからカナダは導入を検討中であるとしており、軌道に乗った時点で発注するとしているが、当然リスクを恐れずに早くから発注を行っていた国々から先に、完成した機体が納入されることとなる。最も早いアメリカ国外への納入は、2014年から本格化し、まずはF-35A型[[オーストラリア空軍]]向け初号機と[[イタリア空軍]]向け初号機が納入されており、各国が連携する形でパイロットの養成過程が開始されている他、実際に実戦任務に投入可能とされるまでには各種試験をクリアする必要があり、これら一連の紆余曲折を経た後、F-35B型が世界初の初期作戦能力獲得(IOC)を宣言され、正式に[[アメリカ海兵隊]]の各部隊に配備されたのは2015年7月であった。今後は共同開発に参加した国はもちろんのこと、確定発注した同盟国空軍に対して、量産機の納入が進むこととなる<ref>{{cite news |title=F35戦闘機、カナダは白紙撤回 日本は導入強行 |newspaper=[[産経新聞]] |date=2012-12-14 |url=https://web.archive.org/web/20121215204418/http://sankei.jp.msn.com/world/news/121215/amr12121521050009-n1.htm |accessdate=2012-12-14}}</ref>。また、日本政府は導入契約を結んだが、開発の遅れから配備スケジュールは大幅に伸びる懸念があったが、2015年現在では、日本に納入される機体については既に組み立てが開始された。
* 2011年12月13日、産経新聞は関係者の話として米国防総省が開発中の機体から多数の亀裂が発見されたことを受けて、運用開始時期を現行の2017年から2年延長する見通しであることを報じたが、その後、2014年頃から各種試験が順調に進んだこともあり、野田政権下の[[2012年]]の予算で発注済のF-35A型4機が、日本に引き渡される受領開始時期は2017年となる模様だ。とロッキード・マーティン側から正式発表があった。計42機の調達を予定しているが、B型を含めた最終的な発注数は明らかになっていない。<ref>{{cite news|url=https://web.archive.org/web/20111212224459/http://sankei.jp.msn.com/world/news/111213/amr11121301350000-n1.htm |title=F35開発2年延長、米国防総省方針|publisher=MSN産経|date=|accessdate=2011-12-13}}</ref>が、一川保夫防衛相は2011年12月20日午前の記者会見で「米側から16年度の納入について確約を得ている」ことを明らかにしている<ref>{{cite news|newspaper=毎日新聞 |date=2011-12-20}}</ref>。
* 2011年12月16日、産経新聞は米国防総省内部資料を出所とした「ステルス性能に疑問」という記事を報じ、また具体的問題点として、攻撃能力、被弾や事故時の生存可能性、旋回や上昇など飛行性能、空対空ミサイルの発射、電子戦能力がテストパイロットより運用上深刻な、または特別な懸念として挙げられている、としている<ref>{{cite news |title=F35 空対空ミサイルとステルス性能に疑問 米国防総省内部資料 |newspaper=産経新聞 |date=2011-12-15 |url=https://web.archive.org/web/20111216014024/http://sankei.jp.msn.com/world/news/111215/amr11121520070013-n1.htm |accessdate=2012-01-13}}</ref>。
* 2012年2月22日、日本政府も「価格の高騰が続けば、導入計画の中止も否定できない」とアメリカに伝えていることが明らかになった<ref>{{Cite news | url = https://web.archive.org/web/20120222065152/http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120222/plc12022208570002-n1.htm | title = F35戦闘機、高騰続けば導入中止 日本政府、米に価格維持求める | newspaper = | publisher = 産経新聞 | date = 2012-2-22 | accessdate = 2012-2-22 }}</ref>。
* 2012年2月23日、防衛省はアメリカ国防総省に対し、予算削減および開発の遅れで機体価格が上昇しないよう書簡を送る。価格が高騰した場合、調達中止の可能性もあることを示唆した<ref>{{Cite news|url=http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2012022300400 |title=F-35価格維持を要請=「調達中止の可能性」に言及-防衛省が米に書簡|publisher= 時事ドットコム|date= 2012-02-23|archiveurl=|archivedate=}}</ref>。
* 2012年2月29日、衆議院の予算委員会で[[田中直紀]]防衛相は、正式契約の時期になっても提案内容が実現できない場合、契約の取りやめ、機種の再選定も視野に入っていると発言している<ref>{{Cite news | url = http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120229/t10013375181000.html | title = 防衛相 “F35導入中止も | newspaper = | publisher = NHK | date = 2012-2-29 | accessdate =2012-2-29 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20120302220209/www3.nhk.or.jp/news/html/20120229/t10013375181000.html|archivedate=2012-03-02}}</ref>。
* 機種選定時、日本とアメリカの両政府は、アメリカ側が提案した納期や価格などを順守できなければ、取得を取りやめることもあるとの文書を取り交わしている<ref>{{Cite news | url = https://web.archive.org/web/20120302174040/http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120229-OYT1T00902.htm | title = 田中防衛相、F35契約取りやめの可能性言及 | newspaper = | publisher = 読売新聞 | date = 2012-2-29 | accessdate =2012-2-29 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20120302192210/www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120229-OYT1T00902.htm|archivedate=2012-03-02}}</ref>。
* 防衛省は2012年6月の契約を行えるよう調整しており、政府はそれまでに最終判断をする予定である<ref>{{Cite news | url = http://news24.jp/nnn/news89031735.html | title = 防衛省 F35契約を6月までに最終判断 | newspaper = | publisher = 日本テレビ | date = 2012-3-2 | accessdate =2012-3-2 }}</ref>。
* 2012年3月20日、米政府監査院は開発試験の遅れや生産ペースの低下などから、総開発費は4,000億ドルに近づきつつあるとの見通しを発表した。また、ソフトウエア最終型の「ブロック3」の完成は17年になるとの見通しを示し。日本が16年に導入する最初の4機は、ソフトウエアが未完成な状態で納入されることが濃厚となってきている(この場合の機体の改修には、[[対外有償軍事援助]]の為追加費用を払わなければならない)<ref>{{Cite news | url =http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2012032100528 | title = F35開発費さらに超過も=試験遅れ、日本に影響か | newspaper = | publisher = 時事ドットコム | date = 2012-3-21 | accessdate =2012-3-21 }}</ref>。
* 2012年3月31日、米国防総省は、量産時期を2017年から2年延長し、2019年以降に量産を開始する方針を明記した報告書をまとめたことを国防総省筋が明らかにした{{Efn2|その場合の機体価格は1億5,220万ドルから8,340万ドルと大幅値下げした。}}。日本政府は導入にさいし価格維持と2017年3月納期の厳守を求めてきたが、この決定により調達計画の破綻が決定的となる可能性が大きくなった。<ref>{{Cite news | url =https://web.archive.org/web/20120331100321/http://sankei.jp.msn.com/world/news/120331/amr12033100580001-n1.htm | title = F35調達 2年延長 日本の調達計画破綻 米報告書に明記 | newspaper = | publisher = MSN 産経ニュース | date = 2012-3-31 | accessdate = 2012-3-31 }}</ref><ref>{{Cite news | url =http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120403-OYT1T00878.htm | title = F35、納期・価格厳守で米と折衝…田中防衛相 | newspaper = | publisher = Yomiuri online | date = 2012-4-3 | accessdate = 2012-4-3 }}</ref>。
* 2012年5月3日、米国防総省は議会に対し、日本が導入を予定している42機の売却額が計100億ドル(約8千億円、1機あたり190億円。整備費用、ソフトウェアのバージョンアップ費用やパイロット訓練費用などが含まれたパッケージ価格)に上るとの見通しを報告<ref>{{Cite news | newspaper=産経新聞 |date=2012-5-3 |url=http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120503/plc12050321280027-n1.htm | title = 価格上昇のF35、日本への売却総額8000億円 米国防総省見直し |accessdate=2012-05-3}}</ref>。5月30日には、最初に納入される予定の4機の1機当たりの予定価格を、当初の99億円から102億円(予備部品などを含む)となる見通しを明らかにした<ref>{{Cite news | newspaper=毎日jp |date=2012-5-30 |url=http://mainichi.jp/select/news/20120530k0000m030145000c.html| title = F35:1機102億円で最終調整 |accessdate=2012-05-30|archiveurl=https://archive.is/ycCG|archivedate=2012-07-14}}</ref>。
* 2012年6月29日、日本政府は、米国防総省と2016年度に導入する4機について、正式契約を交わした。1機当たりの価格は約96億円(交換部品を含め約102億円)で、2012年度予算に計上した価格は89億円(同99億円)のため約7億円(同3億円)の上昇となった<ref>{{Cite news | newspaper=時事通信 |date=2012-6-29 |url=https://web.archive.org/web/20120702095513/http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120629-00000064-jij-pol| title = F35、本体96億円=7億円上昇―政府が正式契約 |accessdate=2012-6-29|archiveurl=https://web.archive.org/web/20120702095513/headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120629-00000064-jij-pol|archivedate=2012-07-02}}</ref>。
* 2012年9月4日、製造に習熟していない作業員が製造に関わっているためコストが上昇し、一機当たりの価格が当初の1.5倍の150億円に達するとする報道が出た<ref>{{cite news |title=F35:1機当たりの価格150億円に 防衛省概算要求 |newspaper=毎日jp|date=2012-09-04|url=https://web.archive.org/web/20120908041641/http://mainichi.jp/select/news/20120904k0000e010209000c.html |accessdate=2012-09-04|archiveurl=https://web.archive.org/web/20120908041641/mainichi.jp/select/news/20120904k0000e010209000c.html|archivedate=2012-09-08}}</ref>。
* 2013年1月27日、米国防総省の年次報告書により、日本に引き渡されるF35Aの最初の4機は、短射程空対空ミサイルも運用能力を持たない「ブロック3I」レベルの訓練用ソフトウェアを搭載したバージョンであることが報道された<ref>{{cite news |title=F35、実戦配備不可能に 初期納入4機 防衛省性能満たさず |newspaper=産経jp|date=2013-01-27|url=https://web.archive.org/web/20130130101634/http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130127-00000070-san-pol |accessdate=2012-01-27}}</ref>。
* 2013年3月1日、[[第2次安倍内閣|安倍内閣]]はF-35について、[[武器輸出三原則]]の例外とすることを発表した。これにより、部品製造などに日本企業が参加することが可能となった<ref>{{cite news |title=外交ツールとしての武器輸出 |newspaper=[[日経ビジネス|日経ビジネスオンライン]]|date=2013-3-19|url=http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20130314/245020/ |accessdate=2012-3-20}}</ref>。
* 2013年3月19日、[[三菱重工業]]が[[愛知県]][[豊山町]]の小牧南工場に専用の生産ラインを新設することが判明した。小牧南工場は、[[F-2 (航空機)|F-2]]の製造にも携わり、F-2生産終了後も修理を受け持っている工場の一つである<ref>{{cite news |title=F35の組み立て専用ライン 三菱重工、愛知・小牧南工場に新設 |newspaper=[[フジサンケイ ビジネスアイ|サンケイビズ]]|date=2013-3-20|url=https://web.archive.org/web/20130323010338/http://www.sankeibiz.jp/business/news/130320/bsc1303200504007-n1.htm |accessdate=2012-3-20}}</ref>。

=== 最終候補機 ===
==== F-35 (選定機)====
{{main|F-35 (航空機)}}

アメリカの航空機メーカー、ロッキード・マーティン社を中心に開発された[[第5世代ジェット戦闘機]]。最強の[[第5世代ジェット戦闘機]]として知られるF-22には及ばないが、それでもなお非常に高い[[ステルス性]]を持つ[[マルチロール機|マルチロールファイター(多用途戦闘機)]]であり、[[アメリカ軍]]などが推奨している。F-22と比べて低価格であるが、開発期間の延長などにより、アメリカ軍の調達価格でさえ当初予定の倍額の1機9,500万[[アメリカ合衆国ドル|ドル]](約86億円)に達する見通しとなっている。

機種選定および決定までの作業中、候補とされる機種の中では唯一開発中の機体であり、実戦配備されていないため、購入が可能となるのは2010年代末と見られていたが、現段階では運用開始時期を2017年度からとしている。自衛隊は提案要求書で2016年(平成28年)中に1号機の納入を要求しておりF-35の選定は不可能との見方が出ていた<ref>{{cite news|url=https://web.archive.org/web/20110525002538/http://www.47news.jp/CN/201105/CN2011052001000200.html |title=次期戦闘機、F35絶望的に 開発間に合わず|publisher= 47NEWS|date= 2011-05-20|archiveurl=|archivedate=}}</ref><ref>{{cite news|url=https://web.archive.org/web/20110524183227/http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110520-OYT1T00066.htm|archiveurl=https://web.archive.org/web/20110524183227/www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110520-OYT1T00066.htm|archivedate=2011-05-24 |title=米「F35」計画遅延か、空自FX選定に影響|publisher= 読売新聞|date= 2011-05-20}}</ref>が、日本政府に対して米政府が、2016年度の期限内に1号機納入を確約したり共同開発国ではないにもかかわらず日本の防衛産業へ特例的に機体に関する機密情報開示を表明したこともあって、2011年12月12日、防衛省はFXにF-35を導入する方針を固めた<ref>{{cite news|url=https://web.archive.org/web/20111213122345/http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20111213-OYT1T00088.htm|archiveurl=https://web.archive.org/web/20111213122345/www.yomiuri.co.jp/politics/news/20111213-OYT1T00088.htm|archivedate=2011-12-13 |title=F35、次期主力戦闘機に…最新ステルス機|publisher= 読売新聞 |date=2011-12-13}}</ref>。

[[File:A U.S. Air Force pilot navigates an F-35A Lightning II aircraft assigned to the 58th Fighter Squadron, 33rd Fighter Wing into position to refuel with a KC-135 Stratotanker assigned to the 336th Air Refueling 130516-F-XL333-499.jpg|thumb|250px|F-35A ライトニングII]]

; 機体
:* F-22には及ばないが、それでも他機種と比較して圧倒的なステルス性を持つ。
:* 高推力エンジンと固定インテイクの取り合わせにより騒音が大きく、砂漠の中に存在するネリス空軍基地においてでさえ、周辺住民から環境破壊との声があがっていると報道された<ref>{{cite journal|和書|journal=[[航空ファン (雑誌)|航空ファン]]|year=2009|month= 2|issue=|publisher=|page=}}</ref>。
:* 大出力エンジンを搭載しており、機体内部に武装を格納した状態で最高速度がマッハ1.6である。(また、2019年時点では、マッハ1.2のスーパークルーズにも対応できるとされている。)
:* 国際共同開発機だが、日本は開発メンバー国に加入していない。
; 運用
:* F-22には空対空ミッションで及ばないものの、空対艦ミッション、空対地ミッションでは逆にF-22を上回る能力を持ち、航空自衛隊の要求に見合うだけの能力を持つ。
:*# 空対空ミッションでは、ウェポンベイ内には空対空ミサイルを最大4発搭載可能で、空対地ミッションでは2,000ポンド[[JDAM]]2発搭載に加えて中距離空対空ミサイル2発を搭載可能であるが、爆弾架の部分に装着するタイプのラックを開発中であり、ウェポンベイに装着すれば空対空ミッション時において、胴体内の4発に加えさらに数発の空対空ミサイルを搭載可能になる予定である。
:*# 空対地ミッションでは、F-22同様[[グローバル・ポジショニング・システム|GPS]]誘導弾の投下のほか[[JSOW]]の搭載も可能である。また、左右合計6箇所の翼下パイロンに各種兵装を搭載可能である。航空自衛隊が要求している空対艦ミッションに於いては[[ハープーン (ミサイル)|AGM-84 ハープーン]][[空対艦ミサイル]]の搭載が可能であるなど、F-22には無い能力を備えている。
:* ウェポンベイは中距離[[空対空ミサイル]]として日本では採用していない[[AIM-120 (ミサイル)|AIM-120 AMRAAM]]の搭載を前提としており、開発時に搭載を考慮されていなかった日本製の[[99式空対空誘導弾]] (AAM-4) は、AIM-120に比べ太く制御翼が大きいため機内に搭載することが難しい。機外のハードポイントにパイロンを使用して装着すれば、ステルス性を維持した状態で運用することができない。この問題に関して、AIM-120を販売し、F-35の兵器システムの大部分を担任している[[レイセオン]]は、F-35の胴体内兵器倉へのAAM-4装着は極めて困難で、機体側の改修は可能だろうが、加えて兵器システム用ソフトウエアの書き換えなどの手間と費用を考慮すれば、実績のあるAIM-120をF-35と共に導入することが合理的との見解を示している<ref name="F35-10">{{cite journal|和書|journal=航空ファン|year= 2011|month= 5|issue=|publisher=|page=}}</ref>。それに対して、ロッキード・マーティンのスティーブ・オブライアン副社長は、長さがほぼ同じであればスペース的な問題は生じず、太さ1インチの差というのは大した差ではなく、装着用アタッチメントを変更するだけで済むので、このことが大きな問題になることはないとの見解を示している<ref name="F35-11">{{cite journal|和書|journal=航空ファン|year= 2011|month= 10|issue=|publisher=|page=}}</ref>(ただし、[[指令誘導]]装置J/ARG-1の搭載が必要であるという点や大型の制御翼については触れていない)。これに関しては[[MBDA]]の[[ミーティア (ミサイル)|ミーティア]]を共同で改良の上搭載するという案が挙がっている。その後、AIM-120C-7の輸入が行われている。
:* 航続距離は増加燃料タンク無しの機内搭載の燃料だけでA型は2,220 km飛行することができる。
; 開発・生産
:* 国際共同開発に参加した場合、当時の厳格だった[[武器輸出三原則]]等に抵触する恐れがあるなどの国内の政治的な問題もある。ただし、[[弾道弾迎撃ミサイル]]の[[RIM-161スタンダード・ミサイル3]]のアメリカとの共同開発を行った前例があるため、特例として参加が認められる可能性がある。これについては、[[日本経済団体連合会]]が2009年7月に、戦闘機等、兵器の共同開発に参加できるように武器輸出三原則の見直しを求める提言案を提出している。その後、2014年に武器輸出三原則は大幅に緩和され、各国との共同開発に支障をきたすことはなくなった。長年防衛費の高騰の原因であると指摘されていた武器輸出三原則が改定されたことにより、長期的に莫大な[[防衛費]]の節約が可能となるといわれている<ref>{{cite news|url=http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200907040102a.nwc |title=|publisher=サンケイ・ビジネスアイ |date=2009-07-04}}</ref>。ただし、本機の国際共同開発参加には間に合わなかった。
:* 開発の遅れにより、価格は当初より高騰中であり、2008年(平成20年)現在のコストは一機約150億円以上とF-15Jの[[ライセンス]]料込みの生産コストや[[F-2 (航空機)|F-2]]の価格よりも高価になる{{Efn2|F-2戦闘機の初期生産時は120億円<ref>{{cite news|url=http://mainichi.jp/word/archive/news/2007/10/20071031dde041040012000c.html |title=F2支援戦闘機|publisher=毎日新聞|date=2007-10-31|archiveurl=https://archive.is/LBncU|archivedate=2010-01-05}}</ref>、平成16年度量産価格は98億円}}。日本不参加の国際共同開発機であるため、F-22以上に[[ライセンス生産]]の可能性は低いとされていたが、[[ロッキード・マーティン]]は「全プログラムをロッキード・マーティンがコントロールできることになれば、F-35を、ライセンス生産を含めて提案することが可能になる」としている。レベル1の参加レベルで最も発言力を有する英国を始め、システム開発に関わる全ての国がライセンス生産を認められていないことから、これまで開発に参画していない日本が当機のライセンス生産を認められるかどうかが問題になっていたが、三菱重工、IHI、三菱電機がそれぞれライセンス生産などに参画することになった。<ref name="#1">{{cite news|newspaper=朝日新聞 |date=2011-12-20}}</ref>
:* 2011年(平成23年)5月現在、開発のさらなる遅れが[[アメリカ合衆国上院軍事委員会|アメリカ上院軍事委員会]]で明らかにされた。日本政府の設定した納入期限2017年(平成29年)3月には間に合わない恐れが指摘されていたが、一川保夫防衛相が記者会見において「間違いなく納期に間に合う確約を得た」ことを明らかにしている。<ref name="#1"/>
; 政治・報道
:* 2007年8月17日、[[アメリカ統合参謀本部議長|統合参謀本部議長]]の[[ピーター・ペース]]は、[[東京都]]内のアメリカ大使館で記者会見し、アメリカ軍として米・[[イギリス|英]]などが共同で開発したF-35を日本のF-Xに推薦する立場を初めて公式に明らかにした。
:* 2007年11月7日から3日間、東京都・[[港区 (東京都)|港区]]のニューピアホールで開催された第10回日米安全保障戦略会議にてロッキード・マーティンはF-22ではなく、F-35のコックピット型シミュレーターを展示し、同会議に集まった日本の[[国会議員]]や[[軍需産業|防衛産業]]関係者、防衛省関係者に対して積極的なアピールを行った。
:* 2008年6月、アメリカの有力な航空産業雑誌の{{仮リンク|アビエーションウィーク&スペーステクノロジー|label=Aviation Week|en|Aviation Week & Space Technology}}は本機種が最有力と報じた<ref>{{cite news|publisher=Japan Aviation & Railway News |date=2008-06-26|url=http://www.aviationnews.jp/2008/06/m_2c41.html |title=米紙が報ずる次期戦闘機の有力候補は「F-35」}}</ref>。また、同年7月チャールズ・デービス空軍少将は、[[ロイター|ロイター通信]]に対し、2008年中に日本政府がF-35の価格、性能などの情報開示を求めてくることを明らかにした。<ref>{{Cite news |title=「F35」日本が情報照会 「FX」選定 米軍高官見通し |url=http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080715-00000078-san-int |newspaper=産経新聞 |date=2008-07-15 |accessdate=2013-01-14 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20080720214043/http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080715-00000078-san-int |archivedate=2008-07-20}}</ref>
:* 開発中の機体(2009年11月現在)のため、[[アメリカ国防総省]]は負担軽減を目的に日本に対して開発参加を呼びかけている。[[アメリカ合衆国国防長官|国防長官]]の[[ロバート・ゲーツ]]が2009年5月に行われた日米防衛相会談の際、F-35の機種名を挙げて日本側に採用を打診していたことが明らかになっている。
:* 日本のF-X選定にあたり、日本政府が求めるF-35の性能に関する情報提供料として、米政府は約10億円を要求しており、ステルス性能に関しては購入が決まった段階で提供する意向だとされる<ref>{{cite news|newspaper=共同通信 |date=2009-10-04 }}</ref>
:* 2009年11月23日付の共同通信電にて、防衛省は次期戦闘機にF-35を採用する方向で調整に入ったとの報道があったが、翌24日、[[防衛大臣]]の[[北澤俊美]]は記者会見(8時47分-8時50分)にて、この報道を否定した<ref name="a1">防衛省 大臣会見概要 平成21年11月24日</ref>。
:* 2009年12月29日、F-35の国際共同開発に日本が参加することを日米両政府が検討、武器輸出三原則があるため、日本の開発参加は空自向けに限定する方針であると報じられた<ref>{{cite news|url=https://web.archive.org/web/20100101111652/http://www.47news.jp/CN/200912/CN2009122901000411.html |title=F35国際共同開発に参加検討 日米両政府、空自向け限定|publisher=47NEWS |date=2009-12-29}}</ref>。
:* しかし、F-35の開発がたびたび遅れる事態が発生し、予算超過が相次いで発生したことから、アメリカ空軍向けのF-35の納入を2年遅らせて[[2015年]]に延期されただけでなく<ref>{{cite news|url=https://www.afpbb.com/articles/-/2704903|title= 米空軍、F35導入は2015年に 計画より2年遅れ|publisher= AFP|date= 2010-03-03}}</ref>、[[ナン・マッカーディー制度]](Nunn-McCurdy Provision)の規定(ナン・マッカーディー制度では、開発途上の計画量産単価が15%以上超過した計画は[[アメリカ合衆国議会]]に通知するよう定められ、超過25%超で計画中止を議会で決議すると定められたアメリカ国防関連の法律)を大幅に超えることが確実となったため、この制度が提示された場合、F-35の計画自体がキャンセルされる恐れも出てきている。
:* 2011年1月18日、[[外務大臣 (日本)|外務大臣]]の[[前原誠司]]とルース駐日米大使との間で、F-35の性能情報の秘密保全に関する交換公文に署名した。F-35の性能情報は高度な軍事機密に当たるため、米側は日本に「情報の厳格管理」([[外務省]]筋)を求めており、 それに応じた形となる。
:* 2011年1月18日、防衛省は米側に情報提供料を支払うため、2011年度予算案で約6億円の調査費を計上している。
:* 2011年6月3日、ロッキード・マーティンのF-35日本キャンペーン担当幹部が、日本が次期主力戦闘機にF-35の購入を決めれば、日本企業に一部生産を委託する意向を明らかにしたと報道。
:* 2011年7月23日、ロッキード・マーティンのスティーブ・オブライアン副社長は、F-35が採用されれば、日本にもラインを設立し、日本メーカーと共同で製造ラインを国内に設置し、部材製造や機体組み立てを行う考えを示した。また、1機当たりの価格は米空軍向けとほぼ同水準の「6,500万ドル(約50億7,000万円)を想定している」と発言している<ref>{{cite news|url=http://www.sankeibiz.jp/business/news/110723/bsk1107230501000-n1.htm|archiveurl=https://web.archive.org/web/20110930073049/http://www.sankeibiz.jp/business/news/110723/bsk1107230501000-n1.htm |archivedate=2011-09-30|title=F35受注なら「日本にライン」 ロッキード副社長 次期戦闘機アピール|publisher= SankeiBiz(サンケイビズ)|date=2011-07-23}}</ref>。

==== ユーロファイター タイフーン ====
{{main|ユーロファイター タイフーン}}

[[イギリス]]・[[ドイツ]]・[[イタリア]]・[[スペイン]]の欧州4ヶ国が共同開発した[[第4世代ジェット戦闘機#第4.5世代ジェット戦闘機|第4.5世代ジェット戦闘機]]。アフターバーナーなしでのスーパークルーズに対応しており、F-22Aほどのステルス性能ではないものの、RCS([[レーダー反射断面積]])がF/A-18E/Fやラファールよりも小さいとされる。

[[BAEシステムズ]]社が開設した日本語の公式サイトでは、日本独自の防空ニーズに対応できる点、柔軟な技術開示による運用面での優位性と[[ライセンス生産]]などによる日本の防衛産業への長期的な利益、既に配備されている機体であるためリスクの低さとコスト面での優位を強調していた<ref>[http://www.baesystems.com/Sites/TyphoonforJapan/index.htm Typhoon for Japan] - ユーロファイター・タイフーンの日本語公式サイト</ref>。(一時期に日本の某匿名掲示板では、EF-2000タイフーンのライセンス生産価格込みの価格が30億円というデマが広がっていた。)一方、ほぼ同時期のインドF-Xにおいて提案された際は、ライセンス生産で1機あたり約230億であった。さらに2015年、クウェートに販売された際の価格は1機あたり350億円になっており、ライセンス生産価格だとさらに跳ね上がると思われる。

[[ファイル:Royal Air Force Eurofighter EF-2000 Typhoon F2 Lofting-1.jpg|thumb|250px|ユーロファイタータイフーン]]

; 機体
:* 航空自衛隊に導入経験はない欧州機であるが、完全な[[北大西洋条約機構|NATO]]規格であるため大きな問題はないものとされる。
:* 前面のRCSはF-22に及ばないものの[[電波吸収体|電波吸収材]]の多用によりF/A-18E/Fやラファールよりは小さいとされている。
:* 運動性能はF-22に及ばないが、他の候補機であるF-35やF/A-18Eにくらべ若干優れており、迎撃機としての能力も総じて高い。
:* アフターバーナーなしでのスーパークルーズに対応しており、全備重量でもマッハ1.3を発揮できる。
:* 日本に提案予定のトランシェ3は対地、制空、対艦などあらゆる任務に就くことが出来るバランスの取れた機体とされ、搭載する[[レーダー]]も電子走査方式の[[フェーズドアレイレーダー]]である<ref name="xs1">{{cite journal|和書|journal=[[軍事研究]]|year=2008|month=12|issue=|publisher=}}</ref>。
:* 日本に提案されているトランシェ3の開発が遅れている(特にAESAレーダーの開発)。これには受注の関係もあったが、最終的にトランシェ3のテストが行われたのが2018年、搭載量産機の製造が行われたのが2020年であった。
:* [[空中給油]]の方式はプローブ・アンド・ドローグ方式であるため、対応する[[空中給油機]]を別途用意するか{{Efn2|[[第401飛行隊 (航空自衛隊)|第401飛行隊]]にはプローブ・アンド・ドローグ方式空中給油ポッドを増設した[[C-130 (航空機)|C-130H]]が配備されている}}、 既存の[[KC-767 (航空機)#日本|KC-767]]空中給油機を、プローブ・アンド・ドローグ方式に対応する改修が必要である。タイフーンをフライングブーム方式へ改造した場合、受油口を機体上面に設けると[[空力ブレーキ|エアブレーキ]]がフライングブームと干渉する可能性も考えられ、エアブレーキの位置変更で対応することもありうる{{Efn2|[[BAe ホーク]]→[[T-45 (航空機)|BAe/MD T-45]]では陸上機を艦上機として再設計する際にエアブレーキの位置が変更されている。}}。
:* 予想される機体コストは過去販売実績よりも下がる予定であるとされる{{Efn2|ただし、2011年12月時点でメーカー側は正確な調達価格を公表していない。}}。
:* メーカーが確約している搭載機器の変更やライセンス生産の許可などにより、従来よりも日本国内への経済効果が大きいとされている。
; 運用
:* BAEシステムズでは、日本の広い領空をカバーできる運用能力と、導入国における領空監視任務での実績を強調している。
:* [[空対艦ミサイル]]を最大6発搭載<ref name="a505">イカロスmook 「ユーロファーター タイフーン」 Jウイング編集部 イカロス出版 </ref>でき(なお2018年現在搭載できていない)、しかも同時に外部燃料タンクと6発の[[空対空ミサイル]]を積載できる為、遠距離の海上脅威に対する任務遂行中に航空脅威に遭遇しても十分対応できる能力を備える<ref name="xs1"/>。
:* イギリス防衛評価研究所の試算をもとに、改良型Su-27([[Su-35 (航空機・初代)|Su-35(初代)]]相当)と撃墜/被撃墜(キルレシオ)で比較するとタイフーンは3~4.5となる{{Efn2|ちなみにF-22Aは9~10、F-15Cは0.76、F-16ブロック40は0.26となる。}}。
:* 一部のメディアではタイフーンが欧州製であるため、アメリカ軍との共同作戦が難しいといった誤った報道があるが、[[多機能情報伝達システム]](MIDS)の端末を搭載しており、[[北大西洋条約機構]]の新しい標準的[[戦術データ・リンク]]である[[リンク 16]](TADIL J)のネットワークに参加することができる。リンク 16は、[[海軍]]用の[[戦術データ・リンク#リンク 11 (TADIL-A/B)|リンク 11]]と[[空軍]]用の[[戦術データ・リンク#リンク4 (TADIL-C)|リンク 4]]を統合する新しい規格であり、[[航空自衛隊]]や[[アメリカ軍]]の作戦機、[[早期警戒管制機]]、地上[[レーダーサイト]]に加えて、[[イージス艦]]や[[航空母艦]]、[[パトリオットミサイル|パトリオット地対空ミサイル]]部隊など他軍種の部隊との情報共有をも実現するもので、その情報を元に効率的な[[統合作戦]]行動を可能とする<ref name="air_info1007">{{cite journal|和書|journal=航空情報|year=2010|month=07|issue=|publisher= 酣燈社}}</ref>。
; 開発・生産
:* BAEシステムズは、[[アビオニクス]]をはじめとする日本国産の電子機器類の搭載や、日本独自の[[ミサイル|誘導弾]]等への対応と、F-22やF-35などと違い[[ライセンス生産]]までも認めるなど、競合機と比べてかなり柔軟な売り込み姿勢が採られている。
:* 国産機器が搭載可能であることは、アメリカ製機器のコストの高さやアメリカ側の輸出規制等の問題の影響を受けないという点でアメリカ機よりも有利と受け取れる。メーカー側でも運用コストの低さを強調している。
:* アビオニクス等については国産品が使用できる上に大幅な改良が許容されるため、自由度に関しては他機種より比較的有利。そのため、先進技術実証の結果を一番反映しやすい機と言え、裏を返せばメーカー側も、数十機の大型発注のみならずライセンス料と技術面のフィードバックでメリットがあるとも言える。が、搭載した機器の情報をBAE側に公表する必要がある為、日本と領土問題などで対立している国々に対する技術の漏洩などの可能性がある。
:* BAEシステムズと[[三菱重工業]]がユーロファイターの生産ライセンス供与について交渉中であると、[[ロイター通信]]を引用する形で報じられた。<ref>{{cite news|date=2007-06-01|newspaper=朝日新聞}}</ref>
; 政治・報道
:* BAEシステムズ社のマーケティング資料では、本機が米国製F-22には空戦能力の点では劣ると認めた上で、F-22とF-35の両機それぞれの得意分野である空中戦闘能力と対地攻撃能力の両方を1機種でカバーできる、フォース・ミックスの観点でも優れた戦闘機として各国軍への宣伝を行なっている。
:* BAEシステムズは2008年(平成20年)国際航空宇宙展で「日本とはライセンス生産を前提とした提案活動を行っている」と発表した。またこの時、ブラックボックスも設けないことを明らかにしている。さらに会場で配られた資料によれば、三菱重工業・三菱電機・IHI(旧石川島播磨重工業)とライセンス生産に向けた話し合いが行われていると明記されている。
:* 英[[フィナンシャル・タイムズ]]が2008年8月に報じた、『英国では財政難により、予定数のタイフーンを購入する予算の目途が立たなくなった。既に144機を発注しているが、開発計画参加国としてさらに88機を購入する義務がある。これをキャンセルする場合、莫大な違約金の支払い義務が生じる。そのため、[[国防省 (イギリス)|英国防省]]は、発注分のうち数十機を日本や[[サウジアラビア]]、[[インド]]に対し肩代わり購入をもちかけている<ref>{{cite news|url=http://www.ft.com/cms/s/0/144f2f38-6e2e-11dd-b5df-0000779fd18c.html |title=UK tries to offload Typhoon fighters|publisher=Financial Times online|date= 2008-08-19|language=en}}</ref>。』について、ユーロファイター側では、『2005年3月までに生産されたトランシェ1の148機に続き、トランシェ2の236機の製造と並行してトランシェ3契約交渉を行っている。』とした上で、幾つかの国が関心を示していることから、こう言った報道が行われたのではないかとしている。<ref name="KF200901P59">{{cite journal|和書|journal=航空ファン|issue=673|publisher=文林堂|year=2008|month=|page=51}}</ref>
:* 2011年2月2日に、在日英国大使館におけるユーロファイター説明会において、デイビッド・ウォレン駐日英大使は、「ユーロファイターは米軍との定期的な合同演習で完全な相互運用性が実証されている」と述べ、同機が米軍との相互運用性で問題が無いことを、英国政府として公式に認めている<ref name="asag01">{{cite news|newspaper=朝雲新聞|date=2011-02-10}}</ref>。
:* 元[[イギリス空軍]]参謀長で、現在はBAEシステムズの上級軍事顧問グレン・トーピーは、ユーロファイターの長い航続距離や高高度の戦闘能力をアピールした。また、ユーロファイターのライセンス生産を認める方針を明言し、戦闘機の製造能力を維持したい日本の防衛産業にも配慮を見せた<ref>{{cite news|url=https://web.archive.org/web/20110709110742/http://sankei.jp.msn.com/world/news/110706/erp11070621180003-n1.htm |title=空自FX選定 「ユーロファイター調達が賢明」と前英空軍参謀長PR|publisher= 産経新聞 |date=2011-07-06}}</ref>。
:* [[中華人民共和国国防部|中国国防部]]科技情報網がまとめた情報によると、BAEシステムズの幹部の話として、日本の工業界への比較的高い割合の貿易補償のほか、[[ソースコード]]を含む多くの技術移転を提供する内容を盛り込んだという<ref>{{cite news|url=http://j.people.com.cn/94474/7444436.html |title=英、最新鋭戦闘機のソースコードを日本に譲渡も|publisher= 人民網日本語版|date= 2011-07-18}}</ref>。

==== F/A-18E/F ====
{{main|F/A-18E/F (航空機)}}

アメリカの航空機メーカー、[[マクドネル・ダグラス]]社(現[[ボーイング]]社)が開発した第4.5世代ジェット戦闘機。同社の[[F/A-18 (航空機)|F/A-18A/B/C/D ホーネット]]の改良型で、亜音速域で良好な運動性を持つ。APG-79AESAレーダー等の最新アビオニクスが搭載されている。アメリカ海軍のほか、[[オーストラリア空軍]]でも採用されている。選定時にアメリカが交渉を継続している2機種の戦闘機のうち、開発が完了し実戦配備されていた機体。

なお、F/A-18A/Bは諸コストの高さで[[F-2 (航空機)|FS-X商戦]]で敗れている。
[[ファイル:US Navy 101122-N-6003P-011 Sailors ready an F-A-18E Super Hornet for afternoon flight operations aboard the aircraft carrier USS Harry S. Truman (C.jpg|thumb|250px|F/A-18E スーパーホーネット]]

; 機体
:* 航空自衛隊にとってF-4EJ戦闘機で導入経験のある{{Efn2|ただし、日本仕様のベースとなったE型は空軍仕様であり、通常時は使われることの無い着艦機能は元から省略されている。}}[[艦上戦闘機]]であるが、航空母艦などの着艦絡みの設備を必要としない航空自衛隊の機体としては、折り畳み翼、強化された[[降着装置]]といった不要な装備がある{{Efn2|ただし、F-4EJ改はには折り畳み翼が残されている。}}。また、これに関する再設計も艦上戦闘機採用時のコストの高さの一因になっている{{Efn2|一応F/A-18A/Bの[[カナダ]]仕様として[[CF-18 ホーネット|CF-18]]の前例があるが、こちらは[[北極]]での運用で有効なためである。}}。
:* F/A-18C/Dを改良・大型化したもので、多岐に渡る改修の結果、C/D型とE/F型の共通部品は僅か1割程度となっており、実際には別物と言っても過言ではない程の再設計がなされている。
:* 搭載されている[[ゼネラル・エレクトリック|GE]]製[[ゼネラル・エレクトリック F414|F414-GE-400]]エンジンは、以前より騒音が問題とされてきた従来型F/A-18A-DのF404エンジンよりもさらに騒音が大きく、採用している米国内でも公害として問題となり訴訟や騒動が起きた前例がある。
:* 加速力・上昇率・最高速度等、機動性能の主な指標において他の候補機に劣るため、邀撃機としての運用に不安が残る。
:* F-14, [[EA-6 (航空機)|EA-6B]], [[S-3 (航空機)|S-3B]]、F/A-18A-Cの4機種の後継機であるマルチロール戦闘機。
:* 実質的に米軍唯一の[[電子戦機|電子攻撃機]]であるEA-6Bは、F/A-18Fを元に開発された[[EA-18G (航空機)|EA-18G]]によって置き換えられる。
:* 空中給油装置がプローブアンドドローグ方式であるため、[[KC-767 (航空機)#日本|KC-767]][[空中給油機|空中給油]]・[[輸送機]]のフライングブーム方式とは合わない。そのため、フライングブーム先端に取り付けるドローグアタッチメント(アタッチメントで簡単に変更できる)を追加発注するか、[[イタリア空軍]]の[[KC-767 (航空機)#派生型|KC-767A]]のように機体にドローグ給油装置を取り付け両方式仕様に改造する必要がある。もっとも、KC-767以外にも航空自衛隊はプローブアンドドローグ方式で空中給油が可能なKC-130Hも保有しており、こちらからの空中給油は可能である。
:* 本機は候補機種の中で唯一、専用の給油装備を使っての他機種への空中給油能力(バディ&バディ方式)を持っており、艦上戦闘機として多目的に機能を果たせる様に設計されている{{Efn2|給油方式が合えば他の機種への給油が可能でS・ホーネット同士でも給油が可能である。}}。
; 運用
:* 長期間の運用実績があり幾度となく改修されたF/A-18ではあるが、旧F/A-18(初飛行は[[1978年]])の原型機にあたる[[YF-17 (戦闘機)|YF-17]]の初飛行が1974年(昭和49年)6月9日、初期設計は1960年代半ばに遡る。2008年時点において登場から約30~40年もの歳月が経っており、これから数を増やすであろう第4.5世代ジェット戦闘機やF-22や開発中のSu-57など出現の始まった[[第5世代ジェット戦闘機]]に対して優位を保てるか疑問である。
:* 高い爆撃能力と高性能レーダーによりあらゆる戦闘に対応し多様な兵器運用能力もち、高いマルチロール(多目的任務遂行)性を持つ。
# [[AGM-88 (ミサイル)|AGM-88 HARM]]に代表される[[対レーダーミサイル]]の運用が可能なため、昨今の自衛隊が求める策源地攻撃能力や[[航空作戦#敵防空網制圧|敵防空網制圧]]に対応する。
# [[ハープーン (ミサイル)|AGM-84]][[空対艦ミサイル]]を最大4発搭載可能だが、その場合は戦闘行動半径{{Efn2|C/D型の場合、通常の戦闘行動半径は290海里(約537km)。}}が極端に小さくなる。(F-2の戦闘行動半径が[[対艦誘導弾#航空自衛隊|空対艦誘導弾]]4発を装備した状態で450[[海里]](約833km)を有することから、それはさらに顕著である。)
; 開発・生産
:* 24機のF/A-18Fの購入を決定した[[オーストラリア空軍]]は次のようにスーパーホーネットを表現している。「空軍の既存のF/A-18A/Bクラシックホーネットと似通っているが、新戦闘機はステルス性、大型化された機体、より強力なエンジン、増加された兵装および燃料ペイロード、先進アビオニクス、最新のレーダーを特徴とする<ref>[http://www.defence.gov.au/defencenews/stories/2010/Jul/0706.htm ‘Another six Super Hornets arrive at Amberley']</ref>」。
:* [[在日米軍]]は[[第5空母航空団 (アメリカ海軍)|アメリカ海軍第5空母航空団]]([[厚木海軍飛行場|厚木基地]])や[[第1海兵航空団|アメリカ海兵隊第1海兵航空団]]([[岩国飛行場|岩国基地]])などF/A-18シリーズを運用する部隊が存在するため[[有事]]の際は整備部品や兵器などの融通ができる。また、日本に展開するF/A-18部隊は整備を日本企業に頼ってきた部分が多いので、運用のノウハウがまったくないわけではない。
:* 2011年(平成23年)6月29日、ボーイング社はスーパーホーネットの製造工場を日本の報道陣に公開、エンジンや燃料タンク、兵器の格納部分に日本独自の改良を加え、高性能化できる点をアピールした<ref>{{cite news|url=http://www.asahi.com/politics/update/0630/TKY201106300643.html |work=朝日新聞 |title=FA18アピール 空自次期戦闘機の候補、米工場で公開 |date=2011-06-30}}</ref>。
; 政治・報道
:* 2010年5月14日に[[アメリカ国防総省]]は124機のF/A-18E/F並びにEA-18Gを4年間に渡り購入する複数年契約を認証した<ref>[http://www.defense.gov/releases/release.aspx?releaseid=13531 DOD Certifies F/A-18 Multi-year Procurement]</ref>。
:* 2011年2月2日に、ボーイング・ジャパン社における説明会で、F/A-18E/F Block 2の最新モデル『インターナショナル・ロードマップ』の[[木型|モックアップ]]の写真を公開。

==== 候補機の比較 ====
機種選定時点の候補機の比較(あくまで参考であり搭載される電子機器やエンジンは交渉により変化する可能性はあった。)
{| class="wikitable" align="none" cellpadding="5" style="background:#fff; text-align:center; font-size:smaller"
!
!F-35A
!タイフーン
!F/A-18E/F
!F-2A/B(比較用)
|-
!三面図・線画
|[[ファイル:Lockheed Martin F-35A Lightning II 3-view drawing.png|120px]]
|[[ファイル:Eurofighter Typhoon line drawing.svg|120px]]
|[[ファイル:F18 schem 02.gif|120px]]
|[[ファイル:F2andF16.svg|120px]]<br />(F-16との比較)
|-
!初飛行
|2000年
|1994年
|1995年{{Efn2|原型の[[F/A-18 (航空機)|A/B型]]は1978年}}
|1995年{{Efn2|原型の[[F-16 (戦闘機)|F-16]]は1974年}}
|-
!運用状況
|2016年~現役
|2003年~現役
|1999年~現役
|2000年~現役
|-
!価格
|86億円以上{{Efn2|ただし50億円とする報道あり}}{{Efn2|調達価格は2012年度予算ベースで1機あたり本体のみで約89億円、必要部品を含め約99億円と報道された。}}<br />(米軍調達価格{{Efn2|開発難航によりさらに価格が高騰する可能性あり}})
|40億円{{Efn2|非開発国に約100億円での販売実績あり}}<br />(開発国調達価格)
|40億円<br />(米軍調達価格)
|約120億円<br />(一括調達で約100億円)
|-
!エンジン数
|単発
|双発
|双発
|単発
|-
!全長
|15.70 m
|14.90 m
|18.38 m
|15.52 m
|-
!全幅
|10.67 m
|11.00 m
|13.62 m
|11.13 m
|-
!全高
|4.60 m
|5.30 m
|4.88 m
|4.90 m
|-
!空虚重量
|12,426 kg
|10,995 kg
|14,007 kg
|9,527 kg
|-
!最大推力(A/B使用)
|18,144 kgf
|9,178 kgf × 2
|9,979 kgf × 2
|13,381 kgf
|-
!最大速度
|M1.7{{Efn2|機体内部に武装を格納した状態での最大速度}}
|M2.0
|M1.8
|M2.0
|-
!戦闘行動半径
|1,092 km{{Efn2|機内搭載燃料のみでの戦闘行動半径}}<ref>{{cite book|和書|publisher=並木書房 |title=次世代戦闘機F-35ライトニングII |page=235|isbn=}}</ref>
|1,389 km
|1,231 km
|840 km(対艦攻撃時)
|-
!実用上昇限度
|19,240 m
|19,800 m
|15,25 0m
|機密
|-
!スーパークルーズ
|○{{Efn2|機種選定時は×でスーパークルーズはできないとされていた。2019年時点では、マッハ1.2のスーパークルーズにも対応できるとされている。}}
|◎{{Efn2|全備重量でマッハ1.3を実現}}
|colspan="2"|×
|-
!乗員
|1名
|colspan="3"|1名/2名
|-
!ステルス性能
|◎{{Efn2|第5世代に分類されるステルス機}}
|△{{Efn2|ステルス性を考慮し前方からのRCS低減}}
|△{{Efn2|RCS低減を図るもタイフーンより劣る}}
|△{{Efn2|部分的に電波吸収材を使用}}
|-
!ハードポイント数
|最大11ヶ所<br />ステルス時4ヶ所
|13ヶ所
|11ヶ所
|13ヶ所
|-
!日本製誘導弾への対応
|colspan="2"|△(改造許可)
|◎
|-
!ライセンス生産
|○{{Efn2|機体製造は三菱重工、エンジンはIHI、ミッション系アビオニクスは三菱電機がそれぞれ製造・修理を担当する<ref>[https://web.archive.org/web/20120220154254/http://www.mod.go.jp/j/press/news/2011/12/20b.html 防衛省 航空自衛隊の次期戦闘機の製造及び修理に参画する主たる国内製造企業の決定について]</ref>}}
|◎{{Efn2|日本独自の改造も許可}}
|○{{Efn2|エンジン、レーダーは禁止:供与}}
|国産{{Efn2|製造の度に米に開発経費を支払う必要あり(後述)}}
|}


== 第3次F-X ==
=== 候補脱落機等 ===
==== F-22A・F-22J-Ex ====
[[Image:F-15 1 Yokota Tokyo.jpg|thumb|200px|right|採用されたF-15J]]
{{main|F-15 (戦闘機)#日本}}
{{main|F-22 (航空機)}}
[[F-4 (戦闘機)#日本|マグダネルダグラス/三菱 F-4EJ]]の後継となり、未だ残っていた[[F-104 (戦闘機)#日本|ロッキード/三菱 F-104J/DJ]]の代替となる戦闘機を導入する計画。[[F-15 (戦闘機)|マグダネルダグラス F-15C/D改]]、[[F-14 (戦闘機)|グラマン F-14]]、[[F-16 (戦闘機)|ゼネラルダイナミクス YF-16]]、[[YF-17 (戦闘機)|ノースロップ YF-17]]、[[ミラージュF1 (戦闘機)|ダッソー ミラージュF1]]、[[サーブ 37 ビゲン]]、[[トーネードADV (戦闘機)|パナビア トーネードADV]]の争い(実質的にはF-14とF-15であった)になったが、F-15C/D改をF-15J/DJとして採用した。導入数213機。


アメリカの航空機メーカー、ロッキード・マーティン社が開発した世界初の第5世代ジェット戦闘機。圧倒的な[[撃墜対被撃墜比率|キルレシオ]]を持ち、高いステルス性、[[スーパークルーズ]]性能を持つことから、「航空支配戦闘機」とアメリカ軍が名付けた戦闘機/戦闘攻撃機。高機能であるため防衛省・航空自衛隊は熱望していたと言われるが、高機能に伴う高い価格や政治的課題を解決できていなかった。
== 3次までの総括 ==
これら第3次までのF-Xでは、いくつかの騒動あるいは汚職疑惑([[F-104 (戦闘機)#日本|F-104J/DJ採用の逆転劇]]や[[ダグラス・グラマン事件]])がありながらも、結局は候補機の中で一番性能が高く、米軍でも運用しており有事の際の補給を受けやすい機種を採用してきた。また、いずれの機種も導入前半の数~数十機は完成機購入や[[ノックダウン生産]]で調達されたものの、すぐに日本国内の航空機産業による[[ライセンス生産]]に移行した。生産が進行するにつれて徐々に国産化率が高められていき、国内航空機産業の技術向上と生産基盤維持に大きな貢献を果たした。3機種ともにライセンス生産の主契約企業は[[三菱重工業]]であったが、エンジンのライセンス生産をした[[石川島播磨重工]]はじめ、日本航空機産業におけるほぼすべての企業が何らかの形で生産にかかわっていた。


また高額な製造・維持コストがかかるにもかかわらず、[[イラク]]や[[アフガニスタン]]などアメリカが直面する戦場では活躍の場がなく、国防予算がひっ迫する中で米政府は当機種の製造中止を決定したため、米政府が政策変更を行わない限りF-Xとして選定される可能性は無かった。
== 現在のF-X (第4次F-X) ==
[[File:Raptor F-22 27th.jpg|thumb|250px|ラプター F-22]]
{{現在進行}}
[[2008年]](平成20年)度中に廃棄がはじまる[[F-4 (戦闘機)#日本|マグダネルダグラス/三菱 F-4EJ改]]の代替となる戦闘機を導入する計画。平成21年度までの中期防にF-X7機分の予算が要求されている。将来的に[[F-15 (戦闘機)#日本|マクダネルダグラス/三菱 F-15J/DJ]]初期型(Pre-MSIP)も置き換える可能性があるが、方針ははっきりしていない。


; 機体
周辺諸国に[[Su-27_(航空機)|Su-27]]などのF-15と同水準の第4世代機が拡散しつつある防衛環境にあって現在FI任務についているF-4EJ改を代替する機体であるから、要撃任務の能力が高いことが第一の要求であるが、当然時代の趨勢といえるマルチロール化もある程度要求されているものと思われる。
:* 他の候補と比較しても圧倒的な戦闘能力を持ち、ロッキード・マーティン社からの売り込みもあり、日本政府は有力候補として、アメリカ側に輸出解禁を求めている。
:* 政府、省レベルでは、候補のひとつに過ぎない扱いではあるが、空自の現場サイドでは、現状で単機対10機を大幅に超えるキルレシオ、[[第4世代ジェット戦闘機]]の約3倍の戦力(単純計算で敵機3機に対し、1機で対抗可能)という絶対的な能力故に、かつて唯一の候補と考えられていた。しかし輸出仕様の性能はF-35程度にされるという一部報道もあり、実際に期待しているだけの戦力になるのか疑問視されている。
:* 日本にとって初の[[ステルス機]]であるだけでなく、実現すれば現状では米国以外で初となるため、保有には単なる最新鋭機導入以上の意味、価値があるとの声も内外から出ている。
; 運用
:* F-22Aはアメリカ空軍仕様。F-22J-Exはロッキード・マーティン社が輸出禁止措置を考慮し立案した航空自衛隊仕様(所謂[[モンキーモデル]])であり、F-22Aに比べ性能面で劣る。
:* 高価であるといわれているF-15J以上に価格が高い機体(単体で約170億円)であるため、たとえ将来価格が下がったとしても、必要数をそろえ運用するにはライセンス料による機体単価の高騰や、ステルスコーティングや一体型のパーツなどによる機体メンテナンスコスト(実際これが一番価格が嵩む要因である)も含め今まで以上に莫大な費用がかかることになる。
:* 旧来の普通の戦闘機に対して強いといわれる当機であるが、電子戦機材を積み、高出力レーダー、[[赤外線]]センサーなどで能力向上策を施している第四世代機に対して、どの程度の強みがあるかは全く不明。
:* 日本政府は、国内航空産業の製造・技術基盤の維持という観点から、機体のライセンス生産が望ましいとしているが、米政府内に技術流出(及び、[[防衛秘密の漏洩#イージス艦情報漏洩|自衛隊における情報流出]])を危惧する声があるため難しく、完成品輸入の場合、部品の調達や技術情報の制限から稼働率が大幅に低下する可能性がある。
:* 国産機器である[[99式空対空誘導弾]]や[[04式空対空誘導弾]]を搭載するには、対象となるミサイル、F-22、どちらかの機体改造が必要となるが、F-22側の改修はコストはもとより技術的側面からも困難である上、技術流出の観点などから米側が認めない可能性がある。また、空対艦ミサイルが搭載できない。
:* 1時間の飛行に対し、30時間のメンテナンスと44,000ドル以上の費用を必要としていた<ref>{{cite news|url=https://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2009/07/09/AR2009070903020.html|title= Premier U.S. Fighter Jet Has Major Shortcomings|publisher=Washington Post|date=2009-07-09|language=en}}</ref>。また、平均1.7時間飛行するごとに重大な障害が発生するとも言われている<ref>{{cite news|url=https://web.archive.org/web/20090717100637/http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/america/276728/|title= |date=2009-07-11|publisher=MSN産経ニュース}}</ref>。
:* 過去において米軍で行われた[[EA-18G (航空機)|EA-18G]]電子戦術機との模擬空中戦において、EA-18Gに[[AIM-120 (ミサイル)|AIM-120]]で撃墜されたと判定され、敗北した<ref name="a100">{{cite journal|和書|journal=航空情報 |year=2009|month= 9 |issue=|publisher=}}</ref>。
; 政治・報道
:* 現在、アメリカの国防予算にはF-22Aの海外輸出を禁止する付帯決議があるため、これが撤回されないかぎり取得することはできない。しかし、[[ロシア]]、[[中華人民共和国|中国]]などが次世代機を大幅に配備しているため、現在のアメリカ空軍の配備予定数を超えた発注が必要と[[2008年]]7月22日の[[アメリカ合衆国上院]]軍事委員会で次期[[アメリカ合衆国空軍長官|空軍長官]]M. ドンレイと次期空軍参謀長ノートン・シュワルツ空軍[[大将]]は証言した。それには2010年11月で閉鎖する予定の生産ラインを維持する必要が生じる。このため、空軍の新規発注までのつなぎとして輸出型のF-22を生産することも考えられる。
:* イラク情勢や今後のアメリカ軍の再編次第でF-22の生産が左右されるとされてきたが、[[2008年アメリカ合衆国大統領選挙]]で[[バラク・オバマ]]が当選しF-22の調達の抑制を指示したことから、生産ラインの閉鎖の可能性が高くなった。2008年12月末にはF-22Aを候補から外したこと、2009年4月にはF-22の新たな発注を見送る方針を米国防総省とロバート・ゲーツ国防長官が表明。近く生産中止に追い込まれる可能性が濃厚になったことから、本機の導入はほぼ絶望的と見られる<ref>{{cite news|newspaper=読売新聞 |date=2008-11-22|title=ステルス戦闘機F22、オバマ政権で生産中止?}}</ref><ref>{{cite news|date=2009-04-07|publisher=時事通信社}}</ref>。
:* 2009年4月[[北朝鮮によるミサイル発射実験 (2009年)|北朝鮮のミサイル発射実験]]、[[北朝鮮の核実験 (2009年)|2か月後の地下核実験]]の強行を受け、[[アメリカ合衆国下院]]で日本への輸出解禁の動きが活発になっている。2009年6月25日、米下院はF-22増産のための初期費用や日本への輸出仕様機の検討を求める条項が含まれた2010年度国防予算の大枠を決める総計5,504億ドルの国防権限法案を圧倒的な賛成多数で可決した。同法案には与党[[民主党 (アメリカ合衆国)|民主党]]からも多数が賛成に回った。一方、上院軍事委員会もこの日可決した同法案で下院と同様の条項を盛り込んだ。オバマ政権は上下両院で可決された場合には[[拒否権#アメリカ合衆国大統領及び州知事の拒否権|拒否権]]を発動する方針を示していた<ref>{{cite news|url=https://web.archive.org/web/20090627010933/http://mainichi.jp/select/world/news/20090626k0000e030063000c.html |title=米下院:「F22増産」を可決 オバマ政権との対立激化|publisher=|date=}}</ref><ref>{{cite news|url=http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2009062600261 |title=F22の追加調達予算案通過=与党が政権の方針無視-米下院|publisher=|date=}}</ref>。これに対し米上院は、2009年7月21日オバマ政権の方針に同意する形で、日本への輸出仕様機の検討を含んだF-22増産のための追加費用1,750億ドルを求める条項を58対40で否決した<ref>{{cite news|url=http://www.usatoday.com/news/washington/2009-07-21-defense-spending_N.htm |title=Senate agrees to cut off new spending for F-22 jets|publisher=|language=|date=}}</ref>。
:* 2009年9月10日、米上院は2010会計年度国防歳出法案にF-22の輸出仕様の研究費を盛り、可決した<ref>{{cite news|url=http://mainichi.jp/select/world/news/20090912ddm007030085000c.html |title=米国:国防歳出法案、上院委で可決 輸出仕様F22の研究費を盛る|publisher=毎日新聞 |date=2009-09-12}}</ref>。F-35を日本に勧めている国防総省が輸出仕様を研究した場合、輸出仕様の性能はF-35よりも劣る可能性もあると一部で報道され<ref>
{{cite news|url=http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2009091200076 |title=F22輸出仕様開発へ修正法案=米軍向け追加調達はせず-上院|publisher=時事ドットコム |date=2009-09-12}}</ref>、過去には国防総省ではない外部にも輸出仕様について調べさせるべきとの動きもあった<ref>{{cite news|url=http://www.jiji.com/jc/zc?k=200907/2009072800510 |title=F-22の輸出調査案を可決=国防相に議会報告要求-米上院|publisher=時事ドットコム |date=2009-07-28}}</ref>。
:* 2009年12月16日、米下院はF-22輸出仕様についての調査、研究を可能とする国防歳出法案の修正案を賛成多数で可決した<ref>{{cite news|url=http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20091217AT2M1702D17122009.html |title=米下院、F22禁輸条項を微修正 輸出仕様の研究にただし書き|publisher=NIKKEI NET |date=2009-12-16}}</ref>。


==== F-15FX ====
[[防衛省]]は[[アメリカ合衆国|米国]]の[[F-22 (戦闘機)|F-22Aラプター]]、[[F/A-18E/F (航空機)|F/A-18E/F]]、[[F-15E (航空機)|F-15FX]]、[[F-35 (戦闘機)|F-35]]、[[フランス]]の[[ラファール]]、[[ヨーロッパ|欧州]]の[[ユーロファイタータイフーン (戦闘機)|ユーロファイター]]の6機種をF-Xの候補として挙げ、調査を行っているとされている。
{{main|F-15E (航空機)}}


アメリカの航空機メーカー、[[マクドネル・ダグラス]]社(現[[ボーイング]]社)が開発した第4.5世代ジェット戦闘機。F-15をベースとした戦闘爆撃機・F-15Eを対空戦闘を重視して再々設計し高機動化した機体で、ボーイング社より提案された。航空自衛隊での運用については不安が一番少ない機体ではあるが、基礎設計が最も古い機体である。2011年に行われた防衛省への最終申込において、ボーイングはF-15FXを提案せず、候補から脱落した。
[[2007年]][[2月14日]]付け[[時事通信社]]の報道では、調査対象6機種の内、14日までに質問書に回答のあった米・英メーカーに対し、2月中にも調査員を現地に派遣する方針を固めたとのことである。対象はF/A-18(米)、F-15FX(米)、ユーロファイター(英)の3機種。もちろん、質問書に回答があったことと導入されることとは別の事象であり、現時点で回答が無いことと導入されないこともまた別の事象である。
[[File:F-15E - Controlling The Sky.JPG|thumb|250px|F-15E]]


; 機体
同年[[4月21日]]付け[[共同通信社]]報では、防衛省はF-22とF-15FXの二段構えの採用(所謂、『ハイローミックス』案)を検討していると報じられた。これは、高価格かつ輸出解禁が不透明で、所要機数の調達が可能かわからないF-22導入までのつなぎとして、高性能かつ整備・運用である程度ノウハウのあるF-15FXを整備するものとされる。米国がF-22の輸出解禁を渋る理由としては、米政府内には、最新の軍事技術を多く含んだF-22Aの販売には、技術流出(及び、[[防衛秘密の漏洩|自衛隊での情報漏洩事件]]による情報管理能力の低下)を危惧する声も少なくないという事情があるからだ。その為に、ライセンス生産が認められる可能性は低く、防衛省は、F-4EJ改(旧型機)の運用期間延長も検討している模様であり、F-Xの選定を2009年夏頃以降に延期することも検討している模様である。
:* [[F-15 (航空機)|F-15D]]と外形はほぼ同じだが、設計変更によって内部構造の6割が再設計になっている等、共通点は少なくなっている。
[[ワシントン・タイムズ]]でも「日本がF-22の100機導入を推進している」と報じ、[[中国]]や[[韓国]]では軍事的バランスが崩れると危険視する声が挙がった。アメリカの一部保守者からは[[北朝鮮]]の[[弾道ミサイル]]発射や、[[台湾有事]]に対する[[中国]]への牽制を担うとして、日本の購入を支持しているとも伝えられている。[[安倍晋三|安倍]][[総理]]は[[4月27日]]から2日間訪米し、[[ジョージ・ウォーカー・ブッシュ|ブッシュ]][[大統領]]と日米首脳会談を行い、これらが議題に挙がる期待されたが、首相から直接「F-22売却」については触れられなかった。(同年[[6月4日]]付け[[朝日新聞]]報によれば、この会談の際「協力を要請した」との報道も有る)
:* ベースのF-15Eは[[戦闘爆撃機]]として設計されており、燃料・武装搭載量の多さから、空対地戦闘では圧倒的な実力を発揮する。
:* 16,000時間(現行F-15Jの場合は半分の8,000時間である)という非常に長い耐用寿命を持つ。
:* F-15Jとは違い複座型が基本であるため、WSO(兵器技術士官)を搭乗させる必要があり、人件費及び訓練に関してのコストが他機と比較して高くなってしまう。もっとも現行のF-4EJ改も複座であるため、さほど問題になる事項ではなく、ボーイングからは日本の運用状況によっては「単座型の開発は可能(元々オリジナルで単座型の生産計画があった)」との提案が出ている。
:* [[プロセッサ]]を[[AN/APG-79]]と同等のものにしたAN/APG-82(V)1を搭載するとしている。このレーダーはAESAレーダーであり、航空自衛隊のF-15Jで使用されているAPG-63の大幅改良版である。F-15Jの旧来及び改修I型のAPG-63及びAPG-63(V)1は、プレナー・アンテナ式パルスドップラーレーダーであり、(V)2以降は、レーダーに[[電子戦|ECM]]能力が付与されている(レーダー内蔵の高出力マイクロ波電界吸収の効果で、相手側のミサイル誘導能力を無効化出来る)。これに加え、[[早期警戒管制機]]による防空体勢が整備されている日本にとって、[[データリンク]]による目標誘導が可能という点においても、非常に有利である。
:* [[大韓民国空軍|韓国空軍]]もF-15Eをベースとした[[F-15E (航空機)#韓国|F-15K]]を導入している(ただし、日本提案型はAN/APG-82(V)1であり、F-15Kに搭載されているレーダーは、プレナー・アンテナ式パルスドップラーレーダーのAN/APG-63(V)1である(v3型への改修は可能である)。加えて[[大韓民国国軍|韓国軍]]は[[早期警戒管制機]]による防空体勢が無いため、性能はF-15FXの方が高いということになる)。
; 運用
:* F-15Jに比べF-15Eは空対地任務に対応するため、搭載機器に大きな違いが生じている。このため、空虚重量が大幅に増大しており翼面荷重は確実に増大することから、空対空戦闘では機動性の低下が問題となる可能性がある。また、『新型の[[プラット・アンド・ホイットニー F100|PW F100]]や同世代型のF100より、中低高度での飛行に適した[[ゼネラル・エレクトリック F110|GE F110エンジン]]等、F-15J以上の戦闘力を得られるという利点もある』との説もあるが、パワーウエイトレシオ(機体重量とエンジン出力の比率)はどちらも1.45前後であり、大きな優位は無い。
:* [[グラスコックピット]]の一部や[[JHMCS]]([[04式空対空誘導弾]]のみ対応)等については、F-15Jの近代化改修によっても得られる能力であり、F-15Eをこれから新規導入するよりは、F-15Jに近代化改修を行う方が先決ではないかという意見が存在する。
:* F-15J/DJが不具合等で飛行停止措置がとられた場合、同系統であるF-15FXも飛行停止になる可能性がある。もし残るF-2も飛行停止になれば、防空任務に就ける機体がなくなるため、別系統の3機種が最低でも必要とする意見が自衛隊内にある<ref>{{cite journal|和書|publisher=イカロス出版|journal= JWings |year=2010|month=7|issue= |page=25}}この意見は2007年11月にF-15J/DJとF-2が同時に飛行停止となり、F-4EJ改のみで運用する事態となったことが背景にある。詳細は[[F-15J (航空機)#飛行停止措置]]を参照</ref>。
; 政治・報道
:* 韓国空軍の2020年代の運用開始を前提としたF-XX計画向けに、[[アラブ首長国連邦]]向けに提案されていたF-15Uと同じF-15の水平尾翼の廃止を含めた大規模発展型が提案されており、この計画が実現した場合に早期の陳腐化は免れない<ref>[http://www.strategypage.com/militaryforums/6-52804.aspx STRATEGY PAGE Saab Offers Supercruising Stealth to South Korea] 。このページ自体は、サーブが韓国空軍のF-XX計画向けに提案したグリペンの大規模改造機がメインであるが、対抗馬の一つとして、ボーイングのF-15大規模改造機の提案に言及している。</ref>(ただし韓国は2014年以降にF-35を導入する<ref>{{cite news|url=http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=81345 |title=韓国、早ければ2014年にF-35導入へ|date=2006-11-01|publisher=中央日報|archiveurl=https://archive.is/nagL|archivedate=2012-07-18}}</ref>とされているので、どちらにしろ([[電子戦]]の問題を除けば)戦力差が付いてしまう恐れがある。もっとも、開発参加国に優先して引き渡される上、開発に遅れが出ている為、最低でも2018年以降になるとの指摘もある)


==== F-2 ====
同年4月29日防衛省は、2008年度予算の概算要求に現在保持しているF-15戦闘機の内、32機を能力向上させる改修のための費用として1123億円を盛り込んだ。F-22の導入交渉が長引き、F-Xの選定が2009年度以降となったため、それまでの防空能力の低下を防ぐ狙いがあるものと見られる。
{{main|F-2 (航空機)}}


日本の[[F-2 (航空機)|FS-X計画]]によってアメリカの[[F-16 (航空機)|F-16]]をベースに開発された、航空自衛隊の第4.5世代ジェット戦闘機。F-X導入までのつなぎの機体として候補に挙がっていた。
各候補機について、以下のようなメリット・デメリット等が指摘されている。区分は[[2007年]][[2月14日]]までに防衛省が回答を受けたか否かである。
[[file:Hyakuri F-2.JPG|thumb|250px|F-2A]]


; 機体
=== 回答のあった機種 ===
:* [[対艦誘導弾#航空自衛隊|空対艦誘導弾]]を4発携行可能であるなど、他の機種と比較しても抜群の対艦攻撃能力を持つ。
[[Image:F-15 eagle USAF.jpg|200px|thumb|right|F-15E ストライクイーグル]]
:* F-16を基にした小型の機体故に能力向上の余地が小さく、今後航空優勢を維持できるかに疑問が残る。ただし、レーダーの探知距離、処理能力の向上や99式空対空誘導弾の搭載により制空能力が格段に向上した。
; [[F-15E (航空機)#日本のF-Xについて|F-15FX]]
:* 高額な機体(開発経費含め1機約120億円一括調達でも一機100億円)となっており、候補とされる他の機種と比較して、価格面及び条件面での優位性に疑問が残る。
* 第4.5世代機。[[F-15E (航空機)|F-15E]]を対空戦闘重視に再設計し高機動化した機体で、ボーイング社より提案中。6機の中で最もデメリットが少ない。また、6機の中では最も設計が古い機体でもある。
; 運用
** [[F-15 (戦闘機)|F-15D]]と外形はほぼ同じだが、改造によって内部構造にほとんど共通点はなくなっている。それゆえ、ライセンス生産前に完成機の分解調査を行う必要がある。
:* [[93式空対艦誘導弾]]×4、[[90式空対空誘導弾]]×2、600ガロン増槽×2を搭載した状態での戦闘行動半径が450[[海里]](約833km)と長く、航空自衛隊の基地航空祭では大バンク角での旋回などから対艦形態でも高い機動性を維持していることがうかがえる。
** 将来性や性能面では問題はないが、F-15シリーズそのものがF-22の登場で近々型落ちになる可能性もある。F-15自体も世代的には比較的古い。(E型でも初配備から約20年であり、6機の中で最もRCS(レーダー断面積)が大きく、エンジンを換装しなければスーパークルーズも使用出来ないが、F-15最大の特徴である時代に合わせたアップデートが出来る事と最新鋭装備が奢られている為、戦闘力としては申し分ない)
; 開発・生産
** F-15Eは戦闘爆撃機であり、機体重量の増加等、F-15Jに比べ導入するメリットがあるか、という問題がある(戦闘爆撃機として改造された機体故、機体重量の増加は仕方の無い事ではあるが、対Gに関しては7Gから9Gに引き上げられており、エンジンもF-15Jより高性能のものを搭載している為重量の面ではさほど問題にはならない。また従来のC型ベースのJ型に比べグラスコクピットや、J及びDJでは使用できない[[JHMCS]]が使用可能となっている利点もある。ただし翼面加重は確実に増大する為低空域での機動性の低下は免れないであろう)。
:* 自国製の為、改修や能力向上などに制約は掛からないが、F-16を基にした日米共同開発機の為、機体を製造する度にアメリカへ開発経費(1機約47億円)を支払う必要がある。
** なお、[[韓国軍|韓国空軍]]もF-15Eをベースとした[[F-15E (航空機)#韓国|F-15K]]を導入している為周辺諸国の戦力対応としての不安が残る。
:* 開発当初は小型の[[支援戦闘機]](実質は[[攻撃機]])として設計されながら、搭載レーダー[[J/APG-1]]の改良や、AAM-4、[[JDAM]]([[グローバル・ポジショニング・システム|GPS]][[誘導爆弾]])、外装型[[FLIR|赤外線前方監視装置]] [[J/AAQ-2]]等の搭載能力追加が行われ、マルチロールファイター(多用途戦闘機)として進化を続けている。
** 韓国同様、精密爆撃を支援する「精密映像位置提供地形情報(DPPDB)」というソフトウェアが輸出規制に引っかかる為爆撃精度が落ちる可能性がある。また、輸出規制にかかる品目を国産品で代用できるかも疑問視されている。(ただしイスラエル空軍に配備されている[[F-15E (航空機)#イスラエル|F-15Iラーム]]についてはDPPDBが搭載されている為、真偽は不明。また、上記にもあるように要撃専用になり、攻撃に関してはF-2支援戦闘機に任せる形になるので(援護として回す事も可能ではあるが)、精密爆撃のソフトウェアは搭載しなくてもいい事になる。)
:* さらなる本機の能力向上のための研究開発も進行中であり、新空対艦誘導弾([[ASM-3]])の開発、自衛隊デジタル戦闘システム(JDCS(F))の開発 、3次元高精度方探システムの研究、FCSレーダーの高機能化等の研究開発が進められている。
** F-15Jとは違い複座型である為、WSO(兵器技術士官)を搭乗させる必要があり、人件費及び訓練に関してのコストが高くなってしまう。(ただしF-15Eにて計画のみに終わった単座型であるF-15Fをベースとした場合はこの限りではないが、F-15Fは、パイロットの負担過多等の理由により、採用されなかった)。もっとも、現行の[[F-4 (戦闘機)|F-4]]は複座であり、単座化は単純に半分の人員をリストラすることでもある。
:* 本機の生産はすでに終了し工場のラインも閉じており再生産するとなると、国内メーカーや米国との交渉、生産を分担するロッキード・マーティンに対して再生産またはライセンス生産の交渉などの煩雑さ考えれば再生産の利点は少ない。
** F-15Eは高い性能を有しているが、最大の欠点として、RCS(レーダー断面積)が他の6機に比べて、あまりに大きいということがある。(RCSが大きいとすぐに敵のレーダーに見つかってしまう)もしも、RCSを削減するならば、大幅な改修と多くの費用や時間がかかってしまう。
; 政治・報道
{{-}}
:* F-2の共同開発元であるロッキード・マーティンは2004年の[[国際航空宇宙展]]にて、F-2の能力向上案(マルチロールファイター化)として'''F-2 Super Kai(F-2スーパー改)'''を提案しているが、発表以後の進展はない。
[[Image:F18E-01.jpg|200px|thumb|right|F/A-18E スーパーホーネット]]
:* 現在でも調達は続いており、2008年12月に日刊航空通信が「官民の一部関係者の間では、現在生産中のF-2戦闘機の性能向上型を推すべきとの意見がある。」と報道した。
; [[F/A-18E/F (航空機)|F/A-18E/F]]
:* 他候補機をライセンス生産する場合、F-4のみの置換えでは高価格化する恐れがあり、新機種となれば教育体系の整備・変更や人員の育成などにも費用と時間がかかるため、その点で本機が有利になる可能性がある。
* 第4.5世代機。亜音速域で良好な運動性を持つ。最新アビオニクスが搭載されている。
:* 一部報道によると、F-Xの遅れにより、防衛省は20機程度の追加発注を検討していることが報じられたが、その後候補機から落選したことが報じられた。
** F/A-18C/Dが諸コストの高さで[[F-2 (支援戦闘機)|FSX商戦]]で敗れている。
** 導入経験のない艦載機であり、航空自衛隊の機体として扱うには不要な装備がある(これもコストの高さの一因になっている)。
** 加速性能・航続性能について問題があり、要撃機としては不向きと言われている。
** 他機種と比べ騒音がとてつもなく大きい(アメリカでも訴訟に発展)。
** 給油装置が[[空中給油#プローブアンドドローグ方式|プローブアンドドローグ方式]]である為、発注済の[[KC-767 (航空機)#KC-767J|KC-767J]]の[[空中給油#フライングブーム方式|フライングブーム方式]]とは合わない。そのため、アタッチメント(アタッチメントで簡単に変更できる)を追加発注する必要がある。
{{-}}
[[画像:Typhoon.t1.zj807.arp.jpg|thumb|200px|ユーロファイタータイフーン]]
; [[ユーロファイター タイフーン]]
* 欧州の第4.5世代機。日本でのライセンス生産のほか、国産機器([[アビオニクス]]等)を搭載するための改造が大幅に許容されるという動きがある。
** 日本側としては、国産機器が搭載出来ることはアメリカ機にあるアメリカ製機器のコストの高さやアメリカ側の'''輸出規制に依存しない'''という意味でアメリカ機よりも有利と受け取れる。また、輸出規制に引っかかる等してアメリカ機の選定が不能になった場合には一番有利な機体である。ただしアメリカ側も最大のマーケットである日本を見過ごす筈が無いのであるが、[[2007年]][[5月31日]]に、[[BAEシステムズ]]が三菱重工業に同機の生産ライセンスを供与する方向であるとの発表があり、F-22の代理店である三菱重工がライセンス生産権を受注した場合、同機の選定の可能性も十分有り得る。導入が実現すれば、戦後史上初の欧州製戦闘機の導入となる。
** 欧州側としては、ライセンス生産及び国産機器搭載改造を許容する見返りとして日本側が持つアビオニクス及び材料関係の技術を取得出来れば、既に配備されている、そして今後生産・配備するタイフーンの能力向上が見込める上、難航しているトランシェ3の開発にも大きく弾みがつくという思惑が見て取れる。しかし日本側には、いわゆる『[[武器輸出三原則]]』等があるため、その実現性に疑問が残る。
** これまで空自に導入経験のない欧州機であり、整備面などで不安が残る。しかし、アビオニクス等については国産品が使用できる為、後述のラファールよりは有利とも言える。
** 性能面で、今後航空優勢を維持出来るかに疑問が残る。但し、[[アフターバーナー]]なしでの[[スーパークルーズ]]に対応しているのは、回答のあった機種ではこの機種だけである。(回答のなかった機種ではF-22Aとラファールがある。)また、F-22A程のステルス性能ではないものの、RCS(レーダー断面積)がF/A-18E/Fやラファールよりも小さいとされている。
** 前述のF/A-18E/Fと同様に給油方式がプローブアンドドローグ方式である。
** 搭載エンジンのEJ200はF/A-18のエンジンと同じような設計思想で作られたため騒音が非常に大きい。
{{-}}


=== 回答のなかった機種 ===
==== ラファール ====
{{main|ラファール (航空機)}}
[[画像:X-35.jpg|thumb|200px|F-35 ライトニングII]]
; [[F-35 (戦闘機)|F-35]]
* 第5世代機。F-22以外の他機に比べ、[[ステルス (軍事)|ステルス性]]が高い(と言われている)。
** ステルス性を維持した状態では[[空対空ミサイル#中射程|中距離空対空ミサイル]]を2発しか搭載出来ず、数の劣勢をカバーしきれない可能性がある。(但し開発中の新しいラックをウエポンベイに装着すれば4-6発の空対空ミサイルを搭載可能であり、[[オーストラリア空軍|豪州空軍]]はそれの採用を示唆している。ベイは左右にあり、現行は各1発の空対空ミサイルとJSOWないし2000ポンド爆弾を搭載可能だが、爆弾架の部分にラックを装着するもの)
** バリエーションのひとつであるF-35Bは、[[航空機の離着陸方法#STOVL機|STOVL機]]であり、[[海上自衛隊]]が[[航空母艦]]の類を運用するなら、この機種も考えられるが、現時点で、[[防衛省]]は、空母保有を計画しておらず、空母に艦形が似ている[[おおすみ型輸送艦]]、及び、[[ひゅうが型護衛艦]]については、その甲板の耐熱性能は、[[垂直離着陸機|VTOL機]]の離着陸を想定していない([[海上自衛隊の航空母艦建造構想]]も参照されたし。)。
** 2009年度までとなる中期防に間に合わない。また、そもそも開発計画に参加していないため、購入するためには、開発計画に参加した国への配備が終了した後(2010年代後半?)になる。
** 開発の遅れにより、価格は当初より高騰中である。また、国際共同開発であるため、F-22以上にライセンス生産の可能性は低い。F-22輸出が解禁されなかった場合に備えて、(また技術情報アクセスのために)保険的に早くから少額パートナーに参加しておけばよかったが、もはや共同開発パートナーに参加するにも遅すぎる。
**ただし、量産効果のためF-35の米軍調達単価は第5世代機にかかわらず、(高騰してもなお)ライセンス国産の空自[[F-15 (戦闘機)#日本|F-15J]]や国産[[F-2 (支援戦闘機)|F-2支援戦闘機]]よりも安価と見込まれている。共同開発の場合、開発費膨張はほぼ確実に起こることであるが、「1国あたりの開発費負担」は経費膨張してもなお割勘効果のため「1国単独開発よりは安価」な場合が多いのに、「経費の膨張」だけを切り出して国際共同開発への参加が有害であるかのような主張がなされている場合が散見されるので注意が必要である。「F-35最終単価」や「[[イギリス|英]]/[[イタリア|伊]]一国あたりの開発費負担額」が「日本単独開発ステルス単価」や「日本単独開発ステルス開発費総額」と比較してどうか?という比較でなければ公正ではない。
**航空機は恐ろしく大量の交換部品を食う。有事の米空軍の来援を考慮すると、米空軍と部品共通性のあるF-35が望ましい。日本にF-35の部品在庫集積がない場合、米空軍のF-35の大量来援は補給部品と整備機器の日本集積が完了するまで遅延する事になる。
**日本の厳しい財政事情では一旦買った戦闘機の寿命半ばでの買い替えは困難であり、2015年に[[第4世代ジェット戦闘機|第4世代非ステルス戦闘機]]を買えば、「世代遅れの戦闘機を30年間も抱え込む」羽目になってしまう。(と言っても、非ステルスの[[F-15E (航空機)|F-15E]]は、近代改修を行なえさえすれば、性能が上がり、世代遅れになる心配はない)つまり、空自の第5世代ステルス化は2045年以降にずれ込んでしまう。それに対して、F-22が購入できなかった場合、F-4の寿命延長なり、F-15のリースで寿命切れ機体の穴を埋めた上で、(待たされるにせよ)2010年代後半からF-35を購入すれば2020年代に空自の総第五世代ステルス化は完了する。[[中国人民解放軍空軍|中国空軍]]も戦闘機数の一時的減少を受忍してまでも、世代の新しい戦闘機が手に入るまで待ち、安易に世代の古い戦闘機を買い込まない姿勢で調達を行っており、第二世代の[[MiG-19 (航空機)|J-6戦闘機]]の寿命が1990年代後半に切れ始め、更新に充当する予定の第四世代の[[J-10 (戦闘機)|J-10戦闘機]]の量産が6年遅れて2006年までずれ込んだのに、第3世代[[J-7 (航空機)|J-7戦闘機]]の調達は極力抑えて戦闘機数の一時的減少を耐え忍ぶ近代化優先政策を行った結果、2010年代に800-1200機前後は、第2世代から第4世代への一足飛びの世代交代を達成する見込みである。つまり、F-Xが第四世代機/非ステルスでは世代優位を維持できない。数的には中国空軍2400機に対して空自260機であり、同一世代非ステルス機同士なら日本上空での空自優位に大きな翳りが発生するのは避けられない。中ロは1990年代からステルス開発を行っており2015年頃に初飛行しても不思議ではない、今、日本が、目先の戦闘機数充足のために近代化を犠牲にし、F-Xで第4世代非ステルス機を買い込んで30年抱え込めば最悪2020年頃に日本側は世代劣位に転落する可能性すらある。


フランスの航空機メーカー、[[ダッソー]]社が開発した第4.5世代ジェット戦闘機。元々前述のユーロファイターの共同開発に加わっていたフランスが、諸事情(艦載機能力の付与、自国製エンジンの採用など)により脱退して独自開発した機種である。
{{-}}
[[Image:Rafale-060427-N-2959L-196.jpg|thumb|200px|ダッソー ラファール]]
[[ファイル:Rafale ag1.jpg|thumb|250px|ダッソー ラファール]]
; [[ラファール]]
* フランスの4.5世代機。元々は前述のユーロファイターをフランスが諸事情から蹴って独自開発した機種である。
** ユーロファイターと違い、国産機器搭載許可が出されていない。
** ユーロファイター同様、これまで空自に導入経験のない欧州機であり、整備面などで不安が残る。
** 同じく性能面で、今後航空優勢を維持できるかに疑問が残る。
{{-}}


; 機体
==== [[F-22 (戦闘機)|F-22A]] ====
:* ユーロファイター同様、これまで航空自衛隊に導入経験のない欧州機である。
[[画像:Lockheed Martin F-22.jpg|250px|thumb|right|F-22 ラプター]]
:* アフターバーナーなしでのスーパークルーズに対応しているが、RCS(レーダー断面積)はユーロファイターより大きい。
* 第5世代機。高い[[ステルス (軍事)|ステルス性]]、[[スーパークルーズ]]性能を持つ事から、「航空支配戦闘機」と米軍が名付けた戦闘機/戦闘攻撃機。
; 運用
** 2007年4月5日、航空自衛隊の次期主力戦闘機について、F-22を有力候補として、アメリカ側に輸出解禁を求める方針と、各メディアで報道された。
:* 性能面で、今後航空優勢を維持できるかに疑問が残る。
** 問題の詳細は、以下の通りである。
:* [[ダッソー]]社が「採用の可能性が低い」として当初からF-Xへの提案自体をしていないため、採用することができない。
{{clear}}


; 価格問題
== 今後F-X ==
=== F-2の代替 ===
: 現在、米空軍のF-22Aの1機あたりの調達価格は1億2000万から1億3000万ドル(1ドル120円として約156億円)と言われている。[[F-15 (戦闘機)|F-15]]戦闘機が約4000万ドル(1ドル120円として約48億円)である事を考えれば、大変高価な機体であることは間違いない。
{{see|次期戦闘機 (F-2後継機)}}
: 日本への輸出にあたってはさらに値を上げ、200億円を超えるのは確実視されている。なお、日本のF-15J/DJの調達価格は一機あたり100億から120億円、同様にF-2は120億円から130億円である。
保有する[[F-2 (航空機)|F-2]]([[FS-X]]){{Efn2|F-2を最後に「要撃」と「支援」の区分をなくしたため、F-Xに統合された。}}は約30年の運用寿命(基準機体寿命6,000時間)で設計されており、2030年代に退役が始まる見通しである。政府としては後継機として国産・国際共同開発・輸入の3案を検討していた。


* 国産案としては、先進技術実証機[[X-2 (航空機・日本)|X-2]]や[[XF9 (エンジン)|XF9]]の各種研究・開発により得られたデータを元に新型ステルス戦闘機『F-3』を開発する計画があるが、数兆円の開発費が必要となり財政負担が大きいとされた<ref>{{Cite news|url=https://www.sankei.com/premium/news/150428/prm1504280001-n1.html |title=【始動するF3(1)】国産ステルス戦闘機開発へ 「航空機大国・日本」復権へ歴史的転換点|page=1|date= 2015-04-28|newspaper=[[産経新聞]]}}</ref>。
; ライセンス生産の問題
* 国際共同開発案には数社が名乗りを上げており、2018年7月時点では[[ロッキード・マーティン]]が提案する[[F-22 (戦闘機)|F-22]]の機体に[[F-35 (戦闘機)|F-35]]のアビオニクスを搭載する混合型機、[[ボーイング]]が提案するF-15をベースとした機体、[[BAEシステムズ]]が提案する[[ユーロファイター タイフーン]]をベースとした機体があり、この中でもロッキード・マーティンの案が本命とされていたが、高額すぎるとの指摘もあった<ref>{{Cite news|url=https://www.yomiuri.co.jp/politics/20180717-OYT1T50017.html |title=F2戦闘機後継「高すぎる」国際共同開発に暗雲 : 政治|newspaper= [[読売新聞]]|date=2018-07-17}}</ref>。
: 日本政府は次期戦闘機について、国内航空産業の製造・技術基盤の維持という観点から見て、機体の[[ライセンス生産]]が望ましいとしているが、先述の通り、米政府内には、最新の軍事技術を多く含んだF-22Aの販売には、技術流出(及び、[[防衛秘密の漏洩|自衛隊での情報漏洩事件]])を危惧する声も少なくなく、その為にライセンス生産が認められる可能性は低い。
* 輸入案については既存機を自衛隊向けに改修するため財政負担は少なく導入時期の見通しも立てやすいが、性能面での優位性は小さいとされた<ref name=nikkei001>{{Cite news|url=https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36698460Z11C18A0EA3000/ |title=次期戦闘機の開発方法決定先送り 新中期防に明記せず|date=2018-10-20|newspaper=[[日本経済新聞]]}}</ref>。
: また仮にライセンス生産が可能になったとしても、米国から輸入しなければならない部品の割合が多くなる可能性が高い。また、ライセンス生産にはライセンス料を始め多額の費用がかかり、需要が少ないのも手伝って、調達価格のさらなる高騰が予想される。
: 尚、ライセンス生産が認められなければ、必然的に完成機を輸入することになる。但し、完成品輸入の場合、ライセンス生産した場合と比べ部品の調達や技術情報の制限(輸入元の事情次第で大きく影響する)から稼働率が大幅に低下する。単純に製造技術という側面だけでなく、運用上の問題も大きくなる。


防衛省は2016年7月にライフサイクルコストを含めて全体で約4兆円規模となる次世代戦闘機の入札の準備に入り、最終決定は[[2018年]]夏頃を見込んでいるとされていた<ref>{{Cite news|url=http://jp.reuters.com/article/japan-defence-jets-idJPKCN0ZH478? |title=日本が7月にF3戦闘機の入札準備、総事業費は最大4兆円規模|publisher= ロイター|date= 2016-07-01}}</ref>。
; 搭載兵装の問題
: F-22Aのウエポンベイには空自の[[99式空対空誘導弾|AAM-4]]や[[04式空対空誘導弾|AAM-5]]は、搭載が出来ない可能性がある。
: ミサイル側のフィンや弾体の小型化などで対応できるならばともかく、機体側のウエポンベイの改修が必要となれば、コストはもとより技術的側面から見て現実的ではないし、そもそも米側が認めない可能性もある。その場合、米国製のAIM-120CとAIM-9Xを使うことになる。


2018年12月18日、[[閣議]]により新たな[[防衛計画の大綱]]と[[中期防衛力整備計画 (2019)|中期防衛力整備計画]]が決定され、中期防の中で「将来戦闘機について、戦闘機(F-2)の退役時期までに、将来のネットワーク化した戦闘の中核となる役割を果たすことが可能な戦闘機を取得する。そのために必要な研究を推進するとともに、国際協力を視野に、我が国主導の開発に早期に着手する。」と明記され<ref>{{Cite web|和書|title=防衛省・自衛隊:「平成31年度以降に係る防衛計画の大綱について」及び「中期防衛力整備計画(平成31年度~平成35年度)について」|url=https://www.mod.go.jp/j/approach/agenda/guideline//2019/index.html|website=www.mod.go.jp|accessdate=2019-09-09|language=ja}}</ref><ref>{{PDFlink|[https://www.mod.go.jp/j/approach/agenda/guideline/2019/pdf/chuki_seibi31-35.pdf 中期防衛力整備計画(平成31年度~平成35年度)について]}}</ref>、国際協力の可能性も含めた日本主導の戦闘機開発が決定した。海外機案は技術上・価格上のメリットが薄いとされ、国内企業が主導する開発方針となった。
; 米国の思惑
: 米国には、上で述べているように生産予定数が減らされたことを受け、総生産機数を増やして一機あたりの生産コストを下げたいとの商業的な思惑が強いと見られる。“顧客”には前提として、米軍のパートナーとして信頼できること、財政的に導入の余裕があり、また戦略的に導入の意義があることなどが求められるが、それらを満たす国家というと、日本が真っ先に挙げられるであろうことは想像に難くない。
: 2006年に米連邦議会に提出され、下院を通過した日本・[[オーストラリア]]・[[イギリス]]に対するF-22Aの輸出解禁法案は上院で否決され、実際に輸出される見通しはまだ立っていない。
:また、2007年7月、米下院歳出委員会は、両院協議会の結果から、F-22Aの海外への輸出禁止条項を継続することを決めた。マーサ同委防衛小委員長は、「高度な技術を海外に渡すことに、神経質になっている。」との旨のコメントを[[産経新聞]]に寄せている。何れにせよ、今後の動向が注目される。


そして、2019年(令和元年)12月に公表された「我が国の防衛と予算 令和2年度予算の概要(案)」において、「我が国主導の次期戦闘機の開発」として戦闘機システム全体の初期的な設計作業に着手するために、開発初年度となる令和2年度防衛予算に111億円を計上することが公表された。また同時に[[防衛装備庁]]長官官房に「装備開発官(次期戦闘機担当)」を新設することが公表された<ref name = "yosan20">{{PDFlink|[https://www.mod.go.jp/j/yosan/yosan_gaiyo/2020/yosan_191220.pdf 我が国の防衛と予算 令和2年度予算の概要(案)]}} 防衛省</ref>。
; 周辺諸国への影響{{要出典}}
: 圧倒的な戦闘能力を持つF-22Aを保有する国の軍事技術的優位は明白であり、周辺地域の軍事バランスを変化させる事は必至である。これに伴い配備国周辺への政治影響が懸念され、既に各界で議論やプロパガンダが盛んになっている{{要出典}}。
: 日本のF-22A配備はアジア情勢に影響を与える大きな要因となり、親密な同盟関係にある米国、政治経済で結びつきが強くなりつつある[[台湾]]、戦略的な結束を強めつつある[[インド]]、また日本同様F-22Aを購入する可能性のある[[オーストラリア]]等、日本と友好的な国、戦略的な結束を強めつつある国、国際政治の場において利害の一致する国々にとっては比較的に歓迎される可能性がある。米共和党の主流は技術流出への懸念から日本へのF-22A輸出に慎重であり、米民主党主流派には中国への配慮から日本へのF-22輸出に慎重であるが、米共和党には日本にF-22Aを販売する代わりに、日本に台湾防衛の共同責任を負担してもらおうという意見もある。オーストラリアのハワード首相は日米豪印の同盟を提案している。21世紀中盤に米中と比肩する大国成長するとみなされているインドはロシアとも密接なつながりをもち、日米側と露中側の両方から同盟のアプローチを受けているが旗幟は鮮明ではない。


防衛省は、米[[ロッキード・マーティン]]社によるステルス戦闘機F-22とF-35をベースにした"ハイブリッド機"の提案を断り、あくまで日本主導の新型機開発を目指している<ref>{{Cite web|和書|title=空自F2後継機、防衛省がロッキードマーティン提案のF22とF35ベースのハイブリッド型を断る|url=https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/7da7636845c13bb001a0afac0a41273879ba5f27|publisher=[[Yahoo!ニュース]]|work=[[高橋浩祐]]|date=2020-04-02|accessdate=2020-04-02}}</ref>。米英両国との技術提携も検討されていたが<ref>{{Cite news
: 一方で、近年日本と政治的な対立を深める[[中華人民共和国|中国]]・[[大韓民国|韓国]]・[[朝鮮民主主義人民共和国|北朝鮮]]や[[ロシア]]等にとっては大きな脅威となり、対抗策の模索や対日政策の方針が注目されている。現在までのところ、日本・オーストラリア両国へのF-22A導入は可能性の域を超えないが、2007年6月4日付け朝日新聞報によれば、日本への配属には中国と韓国・北朝鮮が反対または重大な疑問・疑念を発表している。
| title = F2戦闘機後継、米英と協力へ 政府、分野ごとの連携も
:ただし、中国空軍は2,400機。うち800〜1,200機は2015年頃までに第四世代機に更新され、800〜1,200機が第三世代のSEAD可能な戦闘攻撃機に更新される見込み。ロシア空軍はは2,200機でやはり半数が第四世代機、半数が第三世代の戦闘攻撃機である。それに比べて空自は260機であるから、正確には「F-22Aが購入できれば日本が軍事的に優位になる」というより「F-22Aが買えればある程度安心であるが、売ってもらえなければ同一世代機で機数1/8では日本の防空の状況がかなり悪化する」というバランスであることに留意すべきであろう。
| newspaper = ノアドット(Nordot)
:米議会の現状は最新技術の保護と対日重視から対中重視にシフトする勢力の思惑を反映しており、2006年の米中間選挙での民主党勝利、[[防衛秘密の漏洩|イージス艦情報漏洩事件]]など、状況は悪化してきており、2006年は米下院は日英豪への輸出を承認/米上院で否決されたが、2007年は下院段階で否決されてしまった。尚、イージス艦情報漏洩事件は海上自衛官の『中国人妻』がF-22A輸出許可について米議会で審議されている最中に「自首」して発覚した。「日本へF-22Aを輸出すると機密情報が漏れる恐れがある」との中国側の米議会ロビー工作との関連が疑われている。
| publisher = ノアドット
| agency = [[共同通信社]]
| date = 2020-12-02
| url = https://web.archive.org/web/20201203093511/https://this.kiji.is/706805018377241697?c=39546741839462401
| accessdate = 2020-12-12}}</ref>、2020年12月、防衛省はロッキードとの提携を行っていくことが明らかとなり<ref name="jiji">{{Cite news
| title = ロッキード社が技術支援へ 次期戦闘機開発で―防衛省
| newspaper = 時事ドットコム(JIJI.COM)
| publisher = [[時事通信社]]
| agency = [[時事通信社]]
| date = 2020-12-11
| url = https://web.archive.org/web/20201211123250/https://www.jiji.com/jc/article?k=2020121101202&g=pol
| accessdate = 2020-12-12}}</ref><ref name="yomiuri">{{Cite news
| title = F2後継機は日米で開発…ロッキード社、三菱重工を技術支援
| newspaper =
| publisher = [[読売新聞オンライン]]
| date = 2020-12-11
| url = https://www.yomiuri.co.jp/politics/20201211-OYT1T50323/
| accessdate = 2020-12-12}}</ref><ref name="sankei">{{Cite news
| title = 次期戦闘機開発、ロッキードで調整 外国支援企業で防衛省
| newspaper = [[産経新聞ニュース|産経ニュース]]
| publisher = [[産業経済新聞社]]
| date = 2020-12-11
| url = https://www.sankei.com/article/20201211-ZM3POCPHBFKXNEQMIIQDYN7E7I/
| accessdate = 2020-12-12}}</ref>、[[F-2 (航空機)|F-2]]開発同様、米国のみと提携することで技術情報の米側による[[ブラックボックス]]化が懸念された<ref name="sankei"/>。しかし2022年5月、一転してBAEシステムズとの共同研究開発事業とする方針で調整に入った事を、複数の政府関係者が明らかにしている<ref>{{Cite news|url=https://www.sankei.com/article/20220514-O7FEJWGHTFKXDCXYQDCFAIAOZU/ |title=<独自>次期戦闘機、日英共同開発へ BAEと協力、伊も参加|newspaper= 産経新聞|date=2022-05-14}}</ref>。同年12月9日、日本、イギリス、イタリアの3カ国での共同開発とすることが発表された<ref>{{Cite news|url=https://mainichi.jp/articles/20221209/k00/00m/010/115000c|title=日英伊が次期戦闘機を共同開発へ 第三国への輸出も目指す|newspaper=毎日新聞|date=2022-12-09|accessdate=2022-12-11}}</ref>。


=== 展望 ===
=== F-15Jの代替 ===
保有する[[F-15J (航空機)|F-15J]] Pre-MSIP約100機はアップデートにコストや時間がかかるため、転用や大規模な近代化改修は予定されておらず、性能の陳腐化が始まっている。このため2018年12月18日、F-35A 63機とF-35B 42機を追加取得しF-35の総取得数を147機とする方針が示された<ref>{{PDFlink|[https://www.mod.go.jp/j/approach/agenda/guideline/2019/pdf/f35a.pdf F-35Aの取得数の変更について]}} 平成30年12月18日 国家安全保障会議決定</ref>。
日本の特殊な防衛事情のため、航空自衛隊の採用する要撃戦闘機には他国の戦闘機を圧倒するレベルの戦闘力が要求される。日本の周辺国では、[[第4世代ジェット戦闘機|第4世代戦闘機]]の配備が進んできており、ロシアや中国では[[Su-27 (航空機)|Su-27]]、[[Su-30]]や、韓国においては[[F-15E (航空機)|F-15E]][[戦闘爆撃機]](第4.5世代ジェット戦闘機)の韓国版:[[F-15E (航空機)#韓国|F-15K]]の配備が始まっている。日本の[[F-15 (戦闘機)#日本|F-15J]][[要撃機]]と同世代の戦闘機が周辺国に配備されたことにより、F-Xではそれ等の戦闘機を圧倒するに足る性能を持つ戦闘機、第5世代戦闘機が必須になると思われる。しかし、本命の[[F-22 (戦闘機)|F-22A]]はアメリカ上院議会で輸出許可が一度却下されており、非常に苦しい状況となっている。


8機を除き<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.clearing.mod.go.jp/hakusho_data/2019/html/nc013000.html |title=令和元年度防衛白書 解説「戦闘機体系の構築」|publisher=|accessdate=2022-12-11}}</ref>、近代化改修されたJ-MSIP94機の後継機に関しては未定である。ボーイング社によれば、適切な延命・能力向上改修措置を施した場合、F-15 C/D(E型含む)の寿命を現在の倍近くに伸ばすことが出来る可能性(MSIP適用C/D型であれば最大18,000時間、単純計算で40~50年の寿命増加)があるとされている。[[中期防衛力整備計画 (2019)]]では近代化改修済みのF-15J単座型68機に対する能力向上改修を開始した。
国内産業面では、[[三菱重工業|三菱]]が製造する[[F-2 (支援戦闘機)|F-2支援戦闘機]]の調達数が減少したため、F-Xで決定された機体の[[ライセンス生産]]が行えない場合、50年にわたり継続して戦闘機の生産を行ってきた部署が浮いてしまうことになる。その際、会社としては技術者を他部署に配置転換することを免れず、後継者の育成が滞り、再度生産の機会が訪れても、技術者が不足する或いは技術力が落ちる、技術が断絶しているなどの恐れがある。そのため、国内航空機産業保護の点から、今回のF-Xもライセンス生産が望ましいと三菱は指摘している。


== 脚注 ==
以上のことを勘案して、何が採用されるか、まったく予想出来ない状況にある。
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
{{notelist2}}
=== 出典 ===
{{Reflist|2}}


== 参考項目 ==
== 関連項目 ==
* [[F-X]] - 各国(現状韓国のみ)の次期戦闘機についての記事
* [[P-X (航空機)]] - 次期固定翼哨戒機(Patrol aircraft-X)
* [[X-2 (航空機・日本)|X-2]] - 防衛省技術研究本部による、先進技術実証機
* [[C-X (輸送機)]] - 次期輸送機(Cargo aircraft-X)
* [[P-1 (哨戒機)]] - 計画名は次期[[固定翼機|固定翼]][[対潜哨戒機|哨戒機]](Patrol aircraft-X)
* [[TK-X]] - 次期主力戦車(TanK-X)
* [[C-2 (航空機・日本)|C-2]] - 計画名は次期[[輸送機]] (Cargo aircraft-X)
* [[心神 (航空機)]]- 防衛省技術研究本部による、先進技術実証機
* [[UH-2]] - 計画名は次期[[汎用ヘリコプター|多用途ヘリコプター]](Utility Helicopter-X)
* [[AH-X]] - 次期[[攻撃ヘリコプター]] (Attack Helicopte-X)
* [[TK-X]] - 次期[[主力戦車]] (TanK-X)


[[Category:航空自衛隊]]
[[Category:航空自衛隊]]
[[Category:戦闘機]]
[[Category:日本の戦闘機]]
[[Category:日本の軍備計画]]
[[Category:日本の計画機]]

2024年12月4日 (水) 21:13時点における最新版

F-X(エフエックス)とは、Fighter-eXperimental(試作戦闘機)の略称で、日本航空自衛隊次期主力戦闘機導入計画を指す略語。次期戦闘機導入にかかわる計画やそれによって選ばれる機体を指す用語であって、"F-X"という制式名称航空機が存在する(あるいは存在した)わけではない。F-X計画と呼ばれていたことのある計画には、1950年代から2010年代までに以下の4つが存在する。

最新の現在進行中のF-2戦闘機の後継機に関しては次期戦闘機を参照。

過去のF-X

[編集]

第1次F-X

[編集]
採用されたF-104J

1950年代後半のノースアメリカン F-86F(435機)とF-86D(122機)の代替となる戦闘機を導入する計画。

ロッキード F-104C/D改グラマン G-98J-11(F11Fの改造型)との争いになった。一旦G-98に内定した[1]ものの、いわゆる第1次F-X問題に伴い白紙化。再度選定となり、F-104Gをベースに日本向け仕様としたタイプをF-104J/DJとして採用した。1963年昭和38年)から1967年(昭和42年)にかけて230機導入。

第2次F-X

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採用されたF-4EJ

1960年代後半のロッキード/三菱 F-104J/DJの後継となり、未だ残っていたノースアメリカン F-86の代替となる戦闘機を導入する計画。

マグダネルダグラス F-4E改ロッキード CL1010-2F-104の発展型)、サーブ 37 ビゲンダッソー ミラージュF1の争いになったが、F-4E改をF-4EJとして採用した。1971年(昭和46年)から1981年(昭和56年)にかけて140機導入。なお、支援戦闘機となったF-86F はFS-X計画を経てF-1で代替された。

第3次F-X

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採用されたF-15J

1970年代中盤のロッキード/三菱 F-104J/DJの後継機として、また、一部のマグダネルダグラス/三菱 F-4EJの代替となる戦闘機を導入する計画。

マグダネルダグラス F-15C/D改グラマン F-14ゼネラルダイナミクス YF-16ノースロップ YF-17ダッソー ミラージュF1サーブ 37 ビゲンパナビア トーネード ADVの争い(実質的にはF-14とF-15であった)になったが、F-15C/D改をF-15J/DJとして採用した。1980年(昭和55年)から1999年平成11年)にかけて213機導入。なお、支援戦闘機として運用していたF-4EJ改はFS-X計画で開発されたF-2で代替された。

3次までの総括

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これら第3次までのF-Xでは、いくつかの騒動あるいは汚職疑惑(F-104J/DJ採用の逆転劇ダグラス・グラマン事件)がありながらも、結局は候補機の中で一番性能が高く、アメリカ軍でも運用しており有事の際の補給を受けやすい機種を採用してきた。

また、いずれの機種も導入前半の数年から数十機は完成機購入(輸入)やノックダウン生産調達されたものの、すぐに日本国内の航空機産業によるライセンス生産に移行した。開発元に支払うライセンス生産料が高いことがネックであったが、生産が進行するにつれて徐々に国産化率が高められていき、国内航空機産業の技術向上と生産基盤維持に大きな貢献を果たしてきた。

3機種ともにライセンス生産の主契約企業は三菱重工業であったが、エンジンのライセンス生産をしたIHI(旧称:石川島播磨重工業)をはじめ、日本の航空機産業に関わるほぼすべての企業が何らかの形で生産にかかわっていた。

F-15J/DJ F-4EJ F-104J
三面図・線画
原型機初飛行 1972年 1958年 1954年
運用状況 1984年 - 現役 1975年 - 2021年 1964年 - 1986年
価格 86億 - 101億円 20億 - 40億円
運用国 4か国 11か国 14か国
エンジン数 双発 双発 単発
全長 19.40 m 19.20 m 16.69 m
全幅 13.1 m 11.71 m 6.68 m
全高 5.60 m 5.02 m 4.10 m
空虚重量 12,973 kg 13,757 kg 6,350 kg
最大推力(A/B使用) 10,800 kgf × 2 8,120 kgf × 2 70.9 kN
最大速度 M2.5 M2.23 M2.0
戦闘行動半径 1,900 km 680 km 680 km
実用上昇限度 19,000 m 18,975 m 15,420 m
ハードポイント 8ヶ所 9ヶ所 5ヶ所
乗員 1名/2名 2名 1名

第4次F-X

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2008年(平成20年)度中に退役がはじまったマグダネルダグラス/三菱 F-4EJ改の代替となる戦闘機を導入する計画である。2011年(平成23年)度からの中期防衛力整備計画(平成23年度)~において導入を予定している。将来的にマクダネルダグラス/三菱 F-15J/DJの一部、初期型(Pre-MSIP)(約100機)の置き換えも検討されている[2]

選定時の状況と展望

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日本は強大な空軍力を有する軍事大国に複数隣接するという特殊な防衛環境に置かれており、配備可能な戦闘機の機数も周辺国に比べ少ないという防衛事情があるため、航空自衛隊の採用する要撃機には他国の戦闘機を圧倒する高い戦闘力と配備機数を補う高い稼働率が要求される。 日本の周辺国では、第4.5世代戦闘機の配備が進んできており、韓国においてはF-15C/Dを戦闘爆撃機として改良・再設計したF-15Eの韓国版F-15Kの配備が始まっている。さらに近い将来にロシアSu-57、韓国はF-35[3]台湾はF16V(4.5世代戦闘機)、中国ではJ-31J-20[4]などの第5世代戦闘機の配備が計画されている。そして、現代において重視されている情報戦能力(情報におけるRMA)も中国のKJ-2000、韓国のE-737といった早期警戒管制機の配備で向上しているとされる。

上記の通り周辺国では、日本のF-15Jと同世代の戦闘機が配備され、さらに、第5世代戦闘機の配備計画もある中で、F-Xではそれらの戦闘機を圧倒、または対等に渡り合えるだけの性能を持つ戦闘機が必要となるが、本命であったF-22はアメリカ上院議会で輸出許可が一度却下されている(さらに2009年〈平成21年〉にオバマ政権が発足して以降、2011年〈平成23年〉末までに、わずか200機弱でF-22の生産そのものが打ち切られることになる)。このため防衛省は2007年(平成19年)12月に、平成21(2009)年度までの中期防衛力整備計画(平成17年度)-(平成21年度)でのF-X調達をあきらめ、代替としてF-15の近代化改修を急いだ[5]。2009年(平成21年)8月30日に実施された第45回衆議院議員総選挙の結果、同年9月に中期防衛力整備計画(平成22〈2010〉年度)を計画していた与党自由民主党麻生内閣から野党民主党鳩山由紀夫内閣政権交代した。新政権により2009年(平成21年)10月16日の基本政策閣僚委員会にて中期防の策定時期を1年先送りすることが決定し[6]、さらにF-Xの取得が遅れることとなり、平成23(2011)年度からの中期防衛力整備計画(平成23年度)で取得することになった。

国内産業面では、三菱重工業が製造するF-2戦闘機の調達数が減少したため、F-Xで決定された機体のライセンス生産が行えない場合、50年にわたり継続して戦闘機の生産を行ってきた部署が浮いてしまうことになる。その際、会社としては技術者を他部署に配置転換することを免れず、後継者の育成が滞り、再度生産の機会が訪れても、技術者が不足する或いは技術力が落ちる、技術が断絶してしまうなどの恐れがある。そのため、国内航空機産業保護の点から、今回のF-Xもライセンス生産が望ましいと三菱は指摘している。また、自衛隊の防衛秘密の漏洩がアメリカ議会で問題視されており[7]、日本への最新鋭戦闘機輸出承認をしない情勢が強まっており、問題を複雑化している。

この現状を踏まえ、選定期間延長・戦力維持・産業保護を考え以下の策が検討された。

F-4の運用スケジュール見直し
機体寿命は幾許もない(超えている物もある)ため、作戦使用時間の削減や非破壊検査システムの導入による機体寿命の精密な測定等で延ばした余裕[8]、予備機の削減で数年程度先送りする。
F-15の近代化改修
比較的新しく製造された機体に対して近代化改修を施し、4.5世代相当まで能力向上させて戦力を維持する案[8]
F-2の再調達
次期戦闘機をF-35にした場合、開発国外の導入は早くても2017年(平成29年)になる見通しであり、2008年(平成20年)からすでに退役が始まっているF-4EJの代替には間に合わず、また調達中のF-2も生産終了の予定のため、戦闘機生産の部署が宙に浮くのを避けられない。そのため調達中のF-2を追加導入することによって産業保護を狙う案である[9]。しかしこの案は、2011(平成23)年度予算で追加調達予算は計上されなかったため見送られた。

機種選定

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周辺諸国にSu-27などのF-15と同水準の第4世代機が拡散しつつある防衛環境にあって、現在FI(邀撃、要撃)任務についているF-4EJ改を代替する機体であるから、要撃任務の能力が高いことが第一の要求であるが、当然時代の趨勢といえるマルチロール化(任務の多様性)もある程度要求されている。

防衛省アメリカF-22AF/A-18E/FF-15FXF-35フランスラファール欧州タイフーンの6機種をF-Xの候補として挙げ、調査を行っているとされていたが、日本政府が2008年(平成20年)12月末に候補機からF-22を除外し、F-35、タイフーン、F-15FXの3機から選定する旨の発表がなされた[10]。これにより徐々に次期F-Xの候補が絞られた形となったが、各候補機については、その設計技術や機能・性能という機体本来の違いだけでなく、多くの中小国では1個飛行隊クラスの購入にとどまるのに対し、歴史上から見ても、戦闘機の大規模な購入実績がある[注 1]日本のF-Xに売り込むことによって、莫大な利益が見込まれること[注 2]等から、政治的・経済的要因から発生する各種問題が交錯しており、選定作業が難航していた。(このため2010年(平成22年)7月には防衛省がつなぎとしてF-2約20機の追加発注を検討していることも報じられていた[9]

航空自衛隊は、次期戦闘機(F-X)の調査対象機種に関する海外調査を行うため欧州とアメリカに調査団を派遣した。これまで調査された機種はタイフーン、F-15FX、F/A-18E/F、F-35である。製造工場などを訪れ性能や特性に関し調査を行い、今後の検討に必要な情報を収集した。販売側では、2009年6月に開催されたパリ航空ショーにおいて、F-35を開発するロッキード・マーティンと、タイフーンを開発したユーロファイター社(実質4カ国連合)双方が性能をアピールするなど、日本への売り込みが活発になっていた[11]。2010年6月、F/A-18E/F、F-35、タイフーンの3機種のなかから選定することが報道された[12]

2011年(平成23年)4月13日、防衛省は関係各国政府に対する説明会を実施し、米、英の政府からF/A-18E/F、F-35、タイフーンの申し込みを受け付けた。2011年9月26日、防衛省に提出する機体の性能や価格に関する提案書の申し込みが締め切られ、以上の3機種から選定されることが正式に決定した[13]

2011年12月20日、日本政府は安全保障会議と閣議で、正式にF-35Aを採用すると決定した[14]。選定では、加点方式で採点した。選定理由は、以下の通りである[15][16]

項目 配点 最高点を獲得した機体 理由
性能 50 F-35 空対地攻撃能力などすべてにおいてバランスが良い。
経費 22.5 F-35 機体はF/A-18、燃料費はタイフーンがそれぞれ高得点であったが、
F-35はそれぞれ次点であり、全体では最高点を獲得。
国内企業参画 22.5 タイフーン 参画の程度や技術開示の程度が高い。
後方支援 5 F-35 全機体でほぼ拮抗。
故障部位を特定する機能などの要因からF-35が選ばれた。
総合得点 合計 F-35 評価点を合計した結果、F-35が最高点となった。

機種決定後

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防衛省は2011年12月12日、次期戦闘機をF-35に決定する方針を固めた[17]が、現在F-35は、米国防総省が開発調達計画を2年延長する見通しであることが報じられたほか、各国の機体開発の遅れに関する懸念は強まっており、開発参加国であるオーストラリアやイタリアでは計画の見直しが検討されているほか、2012年には導入までの不透明さからカナダは導入を検討中であるとしており、軌道に乗った時点で発注するとしているが、当然リスクを恐れずに早くから発注を行っていた国々から先に、完成した機体が納入されることとなる。最も早いアメリカ国外への納入は、2014年から本格化し、まずはF-35A型オーストラリア空軍向け初号機とイタリア空軍向け初号機が納入されており、各国が連携する形でパイロットの養成過程が開始されている他、実際に実戦任務に投入可能とされるまでには各種試験をクリアする必要があり、これら一連の紆余曲折を経た後、F-35B型が世界初の初期作戦能力獲得(IOC)を宣言され、正式にアメリカ海兵隊の各部隊に配備されたのは2015年7月であった。今後は共同開発に参加した国はもちろんのこと、確定発注した同盟国空軍に対して、量産機の納入が進むこととなる[18]。また、日本政府は導入契約を結んだが、開発の遅れから配備スケジュールは大幅に伸びる懸念があったが、2015年現在では、日本に納入される機体については既に組み立てが開始された。

  • 2011年12月13日、産経新聞は関係者の話として米国防総省が開発中の機体から多数の亀裂が発見されたことを受けて、運用開始時期を現行の2017年から2年延長する見通しであることを報じたが、その後、2014年頃から各種試験が順調に進んだこともあり、野田政権下の2012年の予算で発注済のF-35A型4機が、日本に引き渡される受領開始時期は2017年となる模様だ。とロッキード・マーティン側から正式発表があった。計42機の調達を予定しているが、B型を含めた最終的な発注数は明らかになっていない。[19]が、一川保夫防衛相は2011年12月20日午前の記者会見で「米側から16年度の納入について確約を得ている」ことを明らかにしている[20]
  • 2011年12月16日、産経新聞は米国防総省内部資料を出所とした「ステルス性能に疑問」という記事を報じ、また具体的問題点として、攻撃能力、被弾や事故時の生存可能性、旋回や上昇など飛行性能、空対空ミサイルの発射、電子戦能力がテストパイロットより運用上深刻な、または特別な懸念として挙げられている、としている[21]
  • 2012年2月22日、日本政府も「価格の高騰が続けば、導入計画の中止も否定できない」とアメリカに伝えていることが明らかになった[22]
  • 2012年2月23日、防衛省はアメリカ国防総省に対し、予算削減および開発の遅れで機体価格が上昇しないよう書簡を送る。価格が高騰した場合、調達中止の可能性もあることを示唆した[23]
  • 2012年2月29日、衆議院の予算委員会で田中直紀防衛相は、正式契約の時期になっても提案内容が実現できない場合、契約の取りやめ、機種の再選定も視野に入っていると発言している[24]
  • 機種選定時、日本とアメリカの両政府は、アメリカ側が提案した納期や価格などを順守できなければ、取得を取りやめることもあるとの文書を取り交わしている[25]
  • 防衛省は2012年6月の契約を行えるよう調整しており、政府はそれまでに最終判断をする予定である[26]
  • 2012年3月20日、米政府監査院は開発試験の遅れや生産ペースの低下などから、総開発費は4,000億ドルに近づきつつあるとの見通しを発表した。また、ソフトウエア最終型の「ブロック3」の完成は17年になるとの見通しを示し。日本が16年に導入する最初の4機は、ソフトウエアが未完成な状態で納入されることが濃厚となってきている(この場合の機体の改修には、対外有償軍事援助の為追加費用を払わなければならない)[27]
  • 2012年3月31日、米国防総省は、量産時期を2017年から2年延長し、2019年以降に量産を開始する方針を明記した報告書をまとめたことを国防総省筋が明らかにした[注 3]。日本政府は導入にさいし価格維持と2017年3月納期の厳守を求めてきたが、この決定により調達計画の破綻が決定的となる可能性が大きくなった。[28][29]
  • 2012年5月3日、米国防総省は議会に対し、日本が導入を予定している42機の売却額が計100億ドル(約8千億円、1機あたり190億円。整備費用、ソフトウェアのバージョンアップ費用やパイロット訓練費用などが含まれたパッケージ価格)に上るとの見通しを報告[30]。5月30日には、最初に納入される予定の4機の1機当たりの予定価格を、当初の99億円から102億円(予備部品などを含む)となる見通しを明らかにした[31]
  • 2012年6月29日、日本政府は、米国防総省と2016年度に導入する4機について、正式契約を交わした。1機当たりの価格は約96億円(交換部品を含め約102億円)で、2012年度予算に計上した価格は89億円(同99億円)のため約7億円(同3億円)の上昇となった[32]
  • 2012年9月4日、製造に習熟していない作業員が製造に関わっているためコストが上昇し、一機当たりの価格が当初の1.5倍の150億円に達するとする報道が出た[33]
  • 2013年1月27日、米国防総省の年次報告書により、日本に引き渡されるF35Aの最初の4機は、短射程空対空ミサイルも運用能力を持たない「ブロック3I」レベルの訓練用ソフトウェアを搭載したバージョンであることが報道された[34]
  • 2013年3月1日、安倍内閣はF-35について、武器輸出三原則の例外とすることを発表した。これにより、部品製造などに日本企業が参加することが可能となった[35]
  • 2013年3月19日、三菱重工業愛知県豊山町の小牧南工場に専用の生産ラインを新設することが判明した。小牧南工場は、F-2の製造にも携わり、F-2生産終了後も修理を受け持っている工場の一つである[36]

最終候補機

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F-35 (選定機)

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アメリカの航空機メーカー、ロッキード・マーティン社を中心に開発された第5世代ジェット戦闘機。最強の第5世代ジェット戦闘機として知られるF-22には及ばないが、それでもなお非常に高いステルス性を持つマルチロールファイター(多用途戦闘機)であり、アメリカ軍などが推奨している。F-22と比べて低価格であるが、開発期間の延長などにより、アメリカ軍の調達価格でさえ当初予定の倍額の1機9,500万ドル(約86億円)に達する見通しとなっている。

機種選定および決定までの作業中、候補とされる機種の中では唯一開発中の機体であり、実戦配備されていないため、購入が可能となるのは2010年代末と見られていたが、現段階では運用開始時期を2017年度からとしている。自衛隊は提案要求書で2016年(平成28年)中に1号機の納入を要求しておりF-35の選定は不可能との見方が出ていた[37][38]が、日本政府に対して米政府が、2016年度の期限内に1号機納入を確約したり共同開発国ではないにもかかわらず日本の防衛産業へ特例的に機体に関する機密情報開示を表明したこともあって、2011年12月12日、防衛省はFXにF-35を導入する方針を固めた[39]

F-35A ライトニングII
機体
  • F-22には及ばないが、それでも他機種と比較して圧倒的なステルス性を持つ。
  • 高推力エンジンと固定インテイクの取り合わせにより騒音が大きく、砂漠の中に存在するネリス空軍基地においてでさえ、周辺住民から環境破壊との声があがっていると報道された[40]
  • 大出力エンジンを搭載しており、機体内部に武装を格納した状態で最高速度がマッハ1.6である。(また、2019年時点では、マッハ1.2のスーパークルーズにも対応できるとされている。)
  • 国際共同開発機だが、日本は開発メンバー国に加入していない。
運用
  • F-22には空対空ミッションで及ばないものの、空対艦ミッション、空対地ミッションでは逆にF-22を上回る能力を持ち、航空自衛隊の要求に見合うだけの能力を持つ。
    1. 空対空ミッションでは、ウェポンベイ内には空対空ミサイルを最大4発搭載可能で、空対地ミッションでは2,000ポンドJDAM2発搭載に加えて中距離空対空ミサイル2発を搭載可能であるが、爆弾架の部分に装着するタイプのラックを開発中であり、ウェポンベイに装着すれば空対空ミッション時において、胴体内の4発に加えさらに数発の空対空ミサイルを搭載可能になる予定である。
    2. 空対地ミッションでは、F-22同様GPS誘導弾の投下のほかJSOWの搭載も可能である。また、左右合計6箇所の翼下パイロンに各種兵装を搭載可能である。航空自衛隊が要求している空対艦ミッションに於いてはAGM-84 ハープーン空対艦ミサイルの搭載が可能であるなど、F-22には無い能力を備えている。
  • ウェポンベイは中距離空対空ミサイルとして日本では採用していないAIM-120 AMRAAMの搭載を前提としており、開発時に搭載を考慮されていなかった日本製の99式空対空誘導弾 (AAM-4) は、AIM-120に比べ太く制御翼が大きいため機内に搭載することが難しい。機外のハードポイントにパイロンを使用して装着すれば、ステルス性を維持した状態で運用することができない。この問題に関して、AIM-120を販売し、F-35の兵器システムの大部分を担任しているレイセオンは、F-35の胴体内兵器倉へのAAM-4装着は極めて困難で、機体側の改修は可能だろうが、加えて兵器システム用ソフトウエアの書き換えなどの手間と費用を考慮すれば、実績のあるAIM-120をF-35と共に導入することが合理的との見解を示している[41]。それに対して、ロッキード・マーティンのスティーブ・オブライアン副社長は、長さがほぼ同じであればスペース的な問題は生じず、太さ1インチの差というのは大した差ではなく、装着用アタッチメントを変更するだけで済むので、このことが大きな問題になることはないとの見解を示している[42](ただし、指令誘導装置J/ARG-1の搭載が必要であるという点や大型の制御翼については触れていない)。これに関してはMBDAミーティアを共同で改良の上搭載するという案が挙がっている。その後、AIM-120C-7の輸入が行われている。
  • 航続距離は増加燃料タンク無しの機内搭載の燃料だけでA型は2,220 km飛行することができる。
開発・生産
  • 国際共同開発に参加した場合、当時の厳格だった武器輸出三原則等に抵触する恐れがあるなどの国内の政治的な問題もある。ただし、弾道弾迎撃ミサイルRIM-161スタンダード・ミサイル3のアメリカとの共同開発を行った前例があるため、特例として参加が認められる可能性がある。これについては、日本経済団体連合会が2009年7月に、戦闘機等、兵器の共同開発に参加できるように武器輸出三原則の見直しを求める提言案を提出している。その後、2014年に武器輸出三原則は大幅に緩和され、各国との共同開発に支障をきたすことはなくなった。長年防衛費の高騰の原因であると指摘されていた武器輸出三原則が改定されたことにより、長期的に莫大な防衛費の節約が可能となるといわれている[43]。ただし、本機の国際共同開発参加には間に合わなかった。
  • 開発の遅れにより、価格は当初より高騰中であり、2008年(平成20年)現在のコストは一機約150億円以上とF-15Jのライセンス料込みの生産コストやF-2の価格よりも高価になる[注 4]。日本不参加の国際共同開発機であるため、F-22以上にライセンス生産の可能性は低いとされていたが、ロッキード・マーティンは「全プログラムをロッキード・マーティンがコントロールできることになれば、F-35を、ライセンス生産を含めて提案することが可能になる」としている。レベル1の参加レベルで最も発言力を有する英国を始め、システム開発に関わる全ての国がライセンス生産を認められていないことから、これまで開発に参画していない日本が当機のライセンス生産を認められるかどうかが問題になっていたが、三菱重工、IHI、三菱電機がそれぞれライセンス生産などに参画することになった。[45]
  • 2011年(平成23年)5月現在、開発のさらなる遅れがアメリカ上院軍事委員会で明らかにされた。日本政府の設定した納入期限2017年(平成29年)3月には間に合わない恐れが指摘されていたが、一川保夫防衛相が記者会見において「間違いなく納期に間に合う確約を得た」ことを明らかにしている。[45]
政治・報道
  • 2007年8月17日、統合参謀本部議長ピーター・ペースは、東京都内のアメリカ大使館で記者会見し、アメリカ軍として米・などが共同で開発したF-35を日本のF-Xに推薦する立場を初めて公式に明らかにした。
  • 2007年11月7日から3日間、東京都・港区のニューピアホールで開催された第10回日米安全保障戦略会議にてロッキード・マーティンはF-22ではなく、F-35のコックピット型シミュレーターを展示し、同会議に集まった日本の国会議員防衛産業関係者、防衛省関係者に対して積極的なアピールを行った。
  • 2008年6月、アメリカの有力な航空産業雑誌のAviation Week英語版は本機種が最有力と報じた[46]。また、同年7月チャールズ・デービス空軍少将は、ロイター通信に対し、2008年中に日本政府がF-35の価格、性能などの情報開示を求めてくることを明らかにした。[47]
  • 開発中の機体(2009年11月現在)のため、アメリカ国防総省は負担軽減を目的に日本に対して開発参加を呼びかけている。国防長官ロバート・ゲーツが2009年5月に行われた日米防衛相会談の際、F-35の機種名を挙げて日本側に採用を打診していたことが明らかになっている。
  • 日本のF-X選定にあたり、日本政府が求めるF-35の性能に関する情報提供料として、米政府は約10億円を要求しており、ステルス性能に関しては購入が決まった段階で提供する意向だとされる[48]
  • 2009年11月23日付の共同通信電にて、防衛省は次期戦闘機にF-35を採用する方向で調整に入ったとの報道があったが、翌24日、防衛大臣北澤俊美は記者会見(8時47分-8時50分)にて、この報道を否定した[49]
  • 2009年12月29日、F-35の国際共同開発に日本が参加することを日米両政府が検討、武器輸出三原則があるため、日本の開発参加は空自向けに限定する方針であると報じられた[50]
  • しかし、F-35の開発がたびたび遅れる事態が発生し、予算超過が相次いで発生したことから、アメリカ空軍向けのF-35の納入を2年遅らせて2015年に延期されただけでなく[51]ナン・マッカーディー制度(Nunn-McCurdy Provision)の規定(ナン・マッカーディー制度では、開発途上の計画量産単価が15%以上超過した計画はアメリカ合衆国議会に通知するよう定められ、超過25%超で計画中止を議会で決議すると定められたアメリカ国防関連の法律)を大幅に超えることが確実となったため、この制度が提示された場合、F-35の計画自体がキャンセルされる恐れも出てきている。
  • 2011年1月18日、外務大臣前原誠司とルース駐日米大使との間で、F-35の性能情報の秘密保全に関する交換公文に署名した。F-35の性能情報は高度な軍事機密に当たるため、米側は日本に「情報の厳格管理」(外務省筋)を求めており、 それに応じた形となる。
  • 2011年1月18日、防衛省は米側に情報提供料を支払うため、2011年度予算案で約6億円の調査費を計上している。
  • 2011年6月3日、ロッキード・マーティンのF-35日本キャンペーン担当幹部が、日本が次期主力戦闘機にF-35の購入を決めれば、日本企業に一部生産を委託する意向を明らかにしたと報道。
  • 2011年7月23日、ロッキード・マーティンのスティーブ・オブライアン副社長は、F-35が採用されれば、日本にもラインを設立し、日本メーカーと共同で製造ラインを国内に設置し、部材製造や機体組み立てを行う考えを示した。また、1機当たりの価格は米空軍向けとほぼ同水準の「6,500万ドル(約50億7,000万円)を想定している」と発言している[52]

ユーロファイター タイフーン

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イギリスドイツイタリアスペインの欧州4ヶ国が共同開発した第4.5世代ジェット戦闘機。アフターバーナーなしでのスーパークルーズに対応しており、F-22Aほどのステルス性能ではないものの、RCS(レーダー反射断面積)がF/A-18E/Fやラファールよりも小さいとされる。

BAEシステムズ社が開設した日本語の公式サイトでは、日本独自の防空ニーズに対応できる点、柔軟な技術開示による運用面での優位性とライセンス生産などによる日本の防衛産業への長期的な利益、既に配備されている機体であるためリスクの低さとコスト面での優位を強調していた[53]。(一時期に日本の某匿名掲示板では、EF-2000タイフーンのライセンス生産価格込みの価格が30億円というデマが広がっていた。)一方、ほぼ同時期のインドF-Xにおいて提案された際は、ライセンス生産で1機あたり約230億であった。さらに2015年、クウェートに販売された際の価格は1機あたり350億円になっており、ライセンス生産価格だとさらに跳ね上がると思われる。

ユーロファイタータイフーン
機体
  • 航空自衛隊に導入経験はない欧州機であるが、完全なNATO規格であるため大きな問題はないものとされる。
  • 前面のRCSはF-22に及ばないものの電波吸収材の多用によりF/A-18E/Fやラファールよりは小さいとされている。
  • 運動性能はF-22に及ばないが、他の候補機であるF-35やF/A-18Eにくらべ若干優れており、迎撃機としての能力も総じて高い。
  • アフターバーナーなしでのスーパークルーズに対応しており、全備重量でもマッハ1.3を発揮できる。
  • 日本に提案予定のトランシェ3は対地、制空、対艦などあらゆる任務に就くことが出来るバランスの取れた機体とされ、搭載するレーダーも電子走査方式のフェーズドアレイレーダーである[54]
  • 日本に提案されているトランシェ3の開発が遅れている(特にAESAレーダーの開発)。これには受注の関係もあったが、最終的にトランシェ3のテストが行われたのが2018年、搭載量産機の製造が行われたのが2020年であった。
  • 空中給油の方式はプローブ・アンド・ドローグ方式であるため、対応する空中給油機を別途用意するか[注 5]、 既存のKC-767空中給油機を、プローブ・アンド・ドローグ方式に対応する改修が必要である。タイフーンをフライングブーム方式へ改造した場合、受油口を機体上面に設けるとエアブレーキがフライングブームと干渉する可能性も考えられ、エアブレーキの位置変更で対応することもありうる[注 6]
  • 予想される機体コストは過去販売実績よりも下がる予定であるとされる[注 7]
  • メーカーが確約している搭載機器の変更やライセンス生産の許可などにより、従来よりも日本国内への経済効果が大きいとされている。
運用
開発・生産
  • BAEシステムズは、アビオニクスをはじめとする日本国産の電子機器類の搭載や、日本独自の誘導弾等への対応と、F-22やF-35などと違いライセンス生産までも認めるなど、競合機と比べてかなり柔軟な売り込み姿勢が採られている。
  • 国産機器が搭載可能であることは、アメリカ製機器のコストの高さやアメリカ側の輸出規制等の問題の影響を受けないという点でアメリカ機よりも有利と受け取れる。メーカー側でも運用コストの低さを強調している。
  • アビオニクス等については国産品が使用できる上に大幅な改良が許容されるため、自由度に関しては他機種より比較的有利。そのため、先進技術実証の結果を一番反映しやすい機と言え、裏を返せばメーカー側も、数十機の大型発注のみならずライセンス料と技術面のフィードバックでメリットがあるとも言える。が、搭載した機器の情報をBAE側に公表する必要がある為、日本と領土問題などで対立している国々に対する技術の漏洩などの可能性がある。
  • BAEシステムズと三菱重工業がユーロファイターの生産ライセンス供与について交渉中であると、ロイター通信を引用する形で報じられた。[57]
政治・報道
  • BAEシステムズ社のマーケティング資料では、本機が米国製F-22には空戦能力の点では劣ると認めた上で、F-22とF-35の両機それぞれの得意分野である空中戦闘能力と対地攻撃能力の両方を1機種でカバーできる、フォース・ミックスの観点でも優れた戦闘機として各国軍への宣伝を行なっている。
  • BAEシステムズは2008年(平成20年)国際航空宇宙展で「日本とはライセンス生産を前提とした提案活動を行っている」と発表した。またこの時、ブラックボックスも設けないことを明らかにしている。さらに会場で配られた資料によれば、三菱重工業・三菱電機・IHI(旧石川島播磨重工業)とライセンス生産に向けた話し合いが行われていると明記されている。
  • フィナンシャル・タイムズが2008年8月に報じた、『英国では財政難により、予定数のタイフーンを購入する予算の目途が立たなくなった。既に144機を発注しているが、開発計画参加国としてさらに88機を購入する義務がある。これをキャンセルする場合、莫大な違約金の支払い義務が生じる。そのため、英国防省は、発注分のうち数十機を日本やサウジアラビアインドに対し肩代わり購入をもちかけている[58]。』について、ユーロファイター側では、『2005年3月までに生産されたトランシェ1の148機に続き、トランシェ2の236機の製造と並行してトランシェ3契約交渉を行っている。』とした上で、幾つかの国が関心を示していることから、こう言った報道が行われたのではないかとしている。[59]
  • 2011年2月2日に、在日英国大使館におけるユーロファイター説明会において、デイビッド・ウォレン駐日英大使は、「ユーロファイターは米軍との定期的な合同演習で完全な相互運用性が実証されている」と述べ、同機が米軍との相互運用性で問題が無いことを、英国政府として公式に認めている[60]
  • イギリス空軍参謀長で、現在はBAEシステムズの上級軍事顧問グレン・トーピーは、ユーロファイターの長い航続距離や高高度の戦闘能力をアピールした。また、ユーロファイターのライセンス生産を認める方針を明言し、戦闘機の製造能力を維持したい日本の防衛産業にも配慮を見せた[61]
  • 中国国防部科技情報網がまとめた情報によると、BAEシステムズの幹部の話として、日本の工業界への比較的高い割合の貿易補償のほか、ソースコードを含む多くの技術移転を提供する内容を盛り込んだという[62]

F/A-18E/F

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アメリカの航空機メーカー、マクドネル・ダグラス社(現ボーイング社)が開発した第4.5世代ジェット戦闘機。同社のF/A-18A/B/C/D ホーネットの改良型で、亜音速域で良好な運動性を持つ。APG-79AESAレーダー等の最新アビオニクスが搭載されている。アメリカ海軍のほか、オーストラリア空軍でも採用されている。選定時にアメリカが交渉を継続している2機種の戦闘機のうち、開発が完了し実戦配備されていた機体。

なお、F/A-18A/Bは諸コストの高さでFS-X商戦で敗れている。

F/A-18E スーパーホーネット
機体
  • 航空自衛隊にとってF-4EJ戦闘機で導入経験のある[注 9]艦上戦闘機であるが、航空母艦などの着艦絡みの設備を必要としない航空自衛隊の機体としては、折り畳み翼、強化された降着装置といった不要な装備がある[注 10]。また、これに関する再設計も艦上戦闘機採用時のコストの高さの一因になっている[注 11]
  • F/A-18C/Dを改良・大型化したもので、多岐に渡る改修の結果、C/D型とE/F型の共通部品は僅か1割程度となっており、実際には別物と言っても過言ではない程の再設計がなされている。
  • 搭載されているGEF414-GE-400エンジンは、以前より騒音が問題とされてきた従来型F/A-18A-DのF404エンジンよりもさらに騒音が大きく、採用している米国内でも公害として問題となり訴訟や騒動が起きた前例がある。
  • 加速力・上昇率・最高速度等、機動性能の主な指標において他の候補機に劣るため、邀撃機としての運用に不安が残る。
  • F-14, EA-6B, S-3B、F/A-18A-Cの4機種の後継機であるマルチロール戦闘機。
  • 実質的に米軍唯一の電子攻撃機であるEA-6Bは、F/A-18Fを元に開発されたEA-18Gによって置き換えられる。
  • 空中給油装置がプローブアンドドローグ方式であるため、KC-767空中給油輸送機のフライングブーム方式とは合わない。そのため、フライングブーム先端に取り付けるドローグアタッチメント(アタッチメントで簡単に変更できる)を追加発注するか、イタリア空軍KC-767Aのように機体にドローグ給油装置を取り付け両方式仕様に改造する必要がある。もっとも、KC-767以外にも航空自衛隊はプローブアンドドローグ方式で空中給油が可能なKC-130Hも保有しており、こちらからの空中給油は可能である。
  • 本機は候補機種の中で唯一、専用の給油装備を使っての他機種への空中給油能力(バディ&バディ方式)を持っており、艦上戦闘機として多目的に機能を果たせる様に設計されている[注 12]
運用
  • 長期間の運用実績があり幾度となく改修されたF/A-18ではあるが、旧F/A-18(初飛行は1978年)の原型機にあたるYF-17の初飛行が1974年(昭和49年)6月9日、初期設計は1960年代半ばに遡る。2008年時点において登場から約30~40年もの歳月が経っており、これから数を増やすであろう第4.5世代ジェット戦闘機やF-22や開発中のSu-57など出現の始まった第5世代ジェット戦闘機に対して優位を保てるか疑問である。
  • 高い爆撃能力と高性能レーダーによりあらゆる戦闘に対応し多様な兵器運用能力もち、高いマルチロール(多目的任務遂行)性を持つ。
  1. AGM-88 HARMに代表される対レーダーミサイルの運用が可能なため、昨今の自衛隊が求める策源地攻撃能力や敵防空網制圧に対応する。
  2. AGM-84空対艦ミサイルを最大4発搭載可能だが、その場合は戦闘行動半径[注 13]が極端に小さくなる。(F-2の戦闘行動半径が空対艦誘導弾4発を装備した状態で450海里(約833km)を有することから、それはさらに顕著である。)
開発・生産
  • 24機のF/A-18Fの購入を決定したオーストラリア空軍は次のようにスーパーホーネットを表現している。「空軍の既存のF/A-18A/Bクラシックホーネットと似通っているが、新戦闘機はステルス性、大型化された機体、より強力なエンジン、増加された兵装および燃料ペイロード、先進アビオニクス、最新のレーダーを特徴とする[63]」。
  • 在日米軍アメリカ海軍第5空母航空団厚木基地)やアメリカ海兵隊第1海兵航空団岩国基地)などF/A-18シリーズを運用する部隊が存在するため有事の際は整備部品や兵器などの融通ができる。また、日本に展開するF/A-18部隊は整備を日本企業に頼ってきた部分が多いので、運用のノウハウがまったくないわけではない。
  • 2011年(平成23年)6月29日、ボーイング社はスーパーホーネットの製造工場を日本の報道陣に公開、エンジンや燃料タンク、兵器の格納部分に日本独自の改良を加え、高性能化できる点をアピールした[64]
政治・報道
  • 2010年5月14日にアメリカ国防総省は124機のF/A-18E/F並びにEA-18Gを4年間に渡り購入する複数年契約を認証した[65]
  • 2011年2月2日に、ボーイング・ジャパン社における説明会で、F/A-18E/F Block 2の最新モデル『インターナショナル・ロードマップ』のモックアップの写真を公開。

候補機の比較

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機種選定時点の候補機の比較(あくまで参考であり搭載される電子機器やエンジンは交渉により変化する可能性はあった。)

F-35A タイフーン F/A-18E/F F-2A/B(比較用)
三面図・線画
(F-16との比較)
初飛行 2000年 1994年 1995年[注 14] 1995年[注 15]
運用状況 2016年~現役 2003年~現役 1999年~現役 2000年~現役
価格 86億円以上[注 16][注 17]
(米軍調達価格[注 18]
40億円[注 19]
(開発国調達価格)
40億円
(米軍調達価格)
約120億円
(一括調達で約100億円)
エンジン数 単発 双発 双発 単発
全長 15.70 m 14.90 m 18.38 m 15.52 m
全幅 10.67 m 11.00 m 13.62 m 11.13 m
全高 4.60 m 5.30 m 4.88 m 4.90 m
空虚重量 12,426 kg 10,995 kg 14,007 kg 9,527 kg
最大推力(A/B使用) 18,144 kgf 9,178 kgf × 2 9,979 kgf × 2 13,381 kgf
最大速度 M1.7[注 20] M2.0 M1.8 M2.0
戦闘行動半径 1,092 km[注 21][66] 1,389 km 1,231 km 840 km(対艦攻撃時)
実用上昇限度 19,240 m 19,800 m 15,25 0m 機密
スーパークルーズ [注 22] [注 23] ×
乗員 1名 1名/2名
ステルス性能 [注 24] [注 25] [注 26] [注 27]
ハードポイント数 最大11ヶ所
ステルス時4ヶ所
13ヶ所 11ヶ所 13ヶ所
日本製誘導弾への対応 × △(改造許可)
ライセンス生産 [注 28] [注 29] [注 30] 国産[注 31]

候補脱落機等

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F-22A・F-22J-Ex

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アメリカの航空機メーカー、ロッキード・マーティン社が開発した世界初の第5世代ジェット戦闘機。圧倒的なキルレシオを持ち、高いステルス性、スーパークルーズ性能を持つことから、「航空支配戦闘機」とアメリカ軍が名付けた戦闘機/戦闘攻撃機。高機能であるため防衛省・航空自衛隊は熱望していたと言われるが、高機能に伴う高い価格や政治的課題を解決できていなかった。

また高額な製造・維持コストがかかるにもかかわらず、イラクアフガニスタンなどアメリカが直面する戦場では活躍の場がなく、国防予算がひっ迫する中で米政府は当機種の製造中止を決定したため、米政府が政策変更を行わない限りF-Xとして選定される可能性は無かった。

ラプター F-22
機体
  • 他の候補と比較しても圧倒的な戦闘能力を持ち、ロッキード・マーティン社からの売り込みもあり、日本政府は有力候補として、アメリカ側に輸出解禁を求めている。
  • 政府、省レベルでは、候補のひとつに過ぎない扱いではあるが、空自の現場サイドでは、現状で単機対10機を大幅に超えるキルレシオ、第4世代ジェット戦闘機の約3倍の戦力(単純計算で敵機3機に対し、1機で対抗可能)という絶対的な能力故に、かつて唯一の候補と考えられていた。しかし輸出仕様の性能はF-35程度にされるという一部報道もあり、実際に期待しているだけの戦力になるのか疑問視されている。
  • 日本にとって初のステルス機であるだけでなく、実現すれば現状では米国以外で初となるため、保有には単なる最新鋭機導入以上の意味、価値があるとの声も内外から出ている。
運用
  • F-22Aはアメリカ空軍仕様。F-22J-Exはロッキード・マーティン社が輸出禁止措置を考慮し立案した航空自衛隊仕様(所謂モンキーモデル)であり、F-22Aに比べ性能面で劣る。
  • 高価であるといわれているF-15J以上に価格が高い機体(単体で約170億円)であるため、たとえ将来価格が下がったとしても、必要数をそろえ運用するにはライセンス料による機体単価の高騰や、ステルスコーティングや一体型のパーツなどによる機体メンテナンスコスト(実際これが一番価格が嵩む要因である)も含め今まで以上に莫大な費用がかかることになる。
  • 旧来の普通の戦闘機に対して強いといわれる当機であるが、電子戦機材を積み、高出力レーダー、赤外線センサーなどで能力向上策を施している第四世代機に対して、どの程度の強みがあるかは全く不明。
  • 日本政府は、国内航空産業の製造・技術基盤の維持という観点から、機体のライセンス生産が望ましいとしているが、米政府内に技術流出(及び、自衛隊における情報流出)を危惧する声があるため難しく、完成品輸入の場合、部品の調達や技術情報の制限から稼働率が大幅に低下する可能性がある。
  • 国産機器である99式空対空誘導弾04式空対空誘導弾を搭載するには、対象となるミサイル、F-22、どちらかの機体改造が必要となるが、F-22側の改修はコストはもとより技術的側面からも困難である上、技術流出の観点などから米側が認めない可能性がある。また、空対艦ミサイルが搭載できない。
  • 1時間の飛行に対し、30時間のメンテナンスと44,000ドル以上の費用を必要としていた[68]。また、平均1.7時間飛行するごとに重大な障害が発生するとも言われている[69]
  • 過去において米軍で行われたEA-18G電子戦術機との模擬空中戦において、EA-18GにAIM-120で撃墜されたと判定され、敗北した[70]
政治・報道
  • 現在、アメリカの国防予算にはF-22Aの海外輸出を禁止する付帯決議があるため、これが撤回されないかぎり取得することはできない。しかし、ロシア中国などが次世代機を大幅に配備しているため、現在のアメリカ空軍の配備予定数を超えた発注が必要と2008年7月22日のアメリカ合衆国上院軍事委員会で次期空軍長官M. ドンレイと次期空軍参謀長ノートン・シュワルツ空軍大将は証言した。それには2010年11月で閉鎖する予定の生産ラインを維持する必要が生じる。このため、空軍の新規発注までのつなぎとして輸出型のF-22を生産することも考えられる。
  • イラク情勢や今後のアメリカ軍の再編次第でF-22の生産が左右されるとされてきたが、2008年アメリカ合衆国大統領選挙バラク・オバマが当選しF-22の調達の抑制を指示したことから、生産ラインの閉鎖の可能性が高くなった。2008年12月末にはF-22Aを候補から外したこと、2009年4月にはF-22の新たな発注を見送る方針を米国防総省とロバート・ゲーツ国防長官が表明。近く生産中止に追い込まれる可能性が濃厚になったことから、本機の導入はほぼ絶望的と見られる[71][72]
  • 2009年4月北朝鮮のミサイル発射実験2か月後の地下核実験の強行を受け、アメリカ合衆国下院で日本への輸出解禁の動きが活発になっている。2009年6月25日、米下院はF-22増産のための初期費用や日本への輸出仕様機の検討を求める条項が含まれた2010年度国防予算の大枠を決める総計5,504億ドルの国防権限法案を圧倒的な賛成多数で可決した。同法案には与党民主党からも多数が賛成に回った。一方、上院軍事委員会もこの日可決した同法案で下院と同様の条項を盛り込んだ。オバマ政権は上下両院で可決された場合には拒否権を発動する方針を示していた[73][74]。これに対し米上院は、2009年7月21日オバマ政権の方針に同意する形で、日本への輸出仕様機の検討を含んだF-22増産のための追加費用1,750億ドルを求める条項を58対40で否決した[75]
  • 2009年9月10日、米上院は2010会計年度国防歳出法案にF-22の輸出仕様の研究費を盛り、可決した[76]。F-35を日本に勧めている国防総省が輸出仕様を研究した場合、輸出仕様の性能はF-35よりも劣る可能性もあると一部で報道され[77]、過去には国防総省ではない外部にも輸出仕様について調べさせるべきとの動きもあった[78]
  • 2009年12月16日、米下院はF-22輸出仕様についての調査、研究を可能とする国防歳出法案の修正案を賛成多数で可決した[79]

F-15FX

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アメリカの航空機メーカー、マクドネル・ダグラス社(現ボーイング社)が開発した第4.5世代ジェット戦闘機。F-15をベースとした戦闘爆撃機・F-15Eを対空戦闘を重視して再々設計し高機動化した機体で、ボーイング社より提案された。航空自衛隊での運用については不安が一番少ない機体ではあるが、基礎設計が最も古い機体である。2011年に行われた防衛省への最終申込において、ボーイングはF-15FXを提案せず、候補から脱落した。

F-15E
機体
  • F-15Dと外形はほぼ同じだが、設計変更によって内部構造の6割が再設計になっている等、共通点は少なくなっている。
  • ベースのF-15Eは戦闘爆撃機として設計されており、燃料・武装搭載量の多さから、空対地戦闘では圧倒的な実力を発揮する。
  • 16,000時間(現行F-15Jの場合は半分の8,000時間である)という非常に長い耐用寿命を持つ。
  • F-15Jとは違い複座型が基本であるため、WSO(兵器技術士官)を搭乗させる必要があり、人件費及び訓練に関してのコストが他機と比較して高くなってしまう。もっとも現行のF-4EJ改も複座であるため、さほど問題になる事項ではなく、ボーイングからは日本の運用状況によっては「単座型の開発は可能(元々オリジナルで単座型の生産計画があった)」との提案が出ている。
  • プロセッサAN/APG-79と同等のものにしたAN/APG-82(V)1を搭載するとしている。このレーダーはAESAレーダーであり、航空自衛隊のF-15Jで使用されているAPG-63の大幅改良版である。F-15Jの旧来及び改修I型のAPG-63及びAPG-63(V)1は、プレナー・アンテナ式パルスドップラーレーダーであり、(V)2以降は、レーダーにECM能力が付与されている(レーダー内蔵の高出力マイクロ波電界吸収の効果で、相手側のミサイル誘導能力を無効化出来る)。これに加え、早期警戒管制機による防空体勢が整備されている日本にとって、データリンクによる目標誘導が可能という点においても、非常に有利である。
  • 韓国空軍もF-15EをベースとしたF-15Kを導入している(ただし、日本提案型はAN/APG-82(V)1であり、F-15Kに搭載されているレーダーは、プレナー・アンテナ式パルスドップラーレーダーのAN/APG-63(V)1である(v3型への改修は可能である)。加えて韓国軍早期警戒管制機による防空体勢が無いため、性能はF-15FXの方が高いということになる)。
運用
  • F-15Jに比べF-15Eは空対地任務に対応するため、搭載機器に大きな違いが生じている。このため、空虚重量が大幅に増大しており翼面荷重は確実に増大することから、空対空戦闘では機動性の低下が問題となる可能性がある。また、『新型のPW F100や同世代型のF100より、中低高度での飛行に適したGE F110エンジン等、F-15J以上の戦闘力を得られるという利点もある』との説もあるが、パワーウエイトレシオ(機体重量とエンジン出力の比率)はどちらも1.45前後であり、大きな優位は無い。
  • グラスコックピットの一部やJHMCS04式空対空誘導弾のみ対応)等については、F-15Jの近代化改修によっても得られる能力であり、F-15Eをこれから新規導入するよりは、F-15Jに近代化改修を行う方が先決ではないかという意見が存在する。
  • F-15J/DJが不具合等で飛行停止措置がとられた場合、同系統であるF-15FXも飛行停止になる可能性がある。もし残るF-2も飛行停止になれば、防空任務に就ける機体がなくなるため、別系統の3機種が最低でも必要とする意見が自衛隊内にある[80]
政治・報道
  • 韓国空軍の2020年代の運用開始を前提としたF-XX計画向けに、アラブ首長国連邦向けに提案されていたF-15Uと同じF-15の水平尾翼の廃止を含めた大規模発展型が提案されており、この計画が実現した場合に早期の陳腐化は免れない[81](ただし韓国は2014年以降にF-35を導入する[82]とされているので、どちらにしろ(電子戦の問題を除けば)戦力差が付いてしまう恐れがある。もっとも、開発参加国に優先して引き渡される上、開発に遅れが出ている為、最低でも2018年以降になるとの指摘もある)

F-2

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日本のFS-X計画によってアメリカのF-16をベースに開発された、航空自衛隊の第4.5世代ジェット戦闘機。F-X導入までのつなぎの機体として候補に挙がっていた。

F-2A
機体
  • 空対艦誘導弾を4発携行可能であるなど、他の機種と比較しても抜群の対艦攻撃能力を持つ。
  • F-16を基にした小型の機体故に能力向上の余地が小さく、今後航空優勢を維持できるかに疑問が残る。ただし、レーダーの探知距離、処理能力の向上や99式空対空誘導弾の搭載により制空能力が格段に向上した。
  • 高額な機体(開発経費含め1機約120億円一括調達でも一機100億円)となっており、候補とされる他の機種と比較して、価格面及び条件面での優位性に疑問が残る。
運用
  • 93式空対艦誘導弾×4、90式空対空誘導弾×2、600ガロン増槽×2を搭載した状態での戦闘行動半径が450海里(約833km)と長く、航空自衛隊の基地航空祭では大バンク角での旋回などから対艦形態でも高い機動性を維持していることがうかがえる。
開発・生産
  • 自国製の為、改修や能力向上などに制約は掛からないが、F-16を基にした日米共同開発機の為、機体を製造する度にアメリカへ開発経費(1機約47億円)を支払う必要がある。
  • 開発当初は小型の支援戦闘機(実質は攻撃機)として設計されながら、搭載レーダーJ/APG-1の改良や、AAM-4、JDAMGPS誘導爆弾)、外装型赤外線前方監視装置 J/AAQ-2等の搭載能力追加が行われ、マルチロールファイター(多用途戦闘機)として進化を続けている。
  • さらなる本機の能力向上のための研究開発も進行中であり、新空対艦誘導弾(ASM-3)の開発、自衛隊デジタル戦闘システム(JDCS(F))の開発 、3次元高精度方探システムの研究、FCSレーダーの高機能化等の研究開発が進められている。
  • 本機の生産はすでに終了し工場のラインも閉じており再生産するとなると、国内メーカーや米国との交渉、生産を分担するロッキード・マーティンに対して再生産またはライセンス生産の交渉などの煩雑さ考えれば再生産の利点は少ない。
政治・報道
  • F-2の共同開発元であるロッキード・マーティンは2004年の国際航空宇宙展にて、F-2の能力向上案(マルチロールファイター化)としてF-2 Super Kai(F-2スーパー改)を提案しているが、発表以後の進展はない。
  • 現在でも調達は続いており、2008年12月に日刊航空通信が「官民の一部関係者の間では、現在生産中のF-2戦闘機の性能向上型を推すべきとの意見がある。」と報道した。
  • 他候補機をライセンス生産する場合、F-4のみの置換えでは高価格化する恐れがあり、新機種となれば教育体系の整備・変更や人員の育成などにも費用と時間がかかるため、その点で本機が有利になる可能性がある。
  • 一部報道によると、F-Xの遅れにより、防衛省は20機程度の追加発注を検討していることが報じられたが、その後候補機から落選したことが報じられた。

ラファール

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フランスの航空機メーカー、ダッソー社が開発した第4.5世代ジェット戦闘機。元々前述のユーロファイターの共同開発に加わっていたフランスが、諸事情(艦載機能力の付与、自国製エンジンの採用など)により脱退して独自開発した機種である。

ダッソー ラファール
機体
  • ユーロファイター同様、これまで航空自衛隊に導入経験のない欧州機である。
  • アフターバーナーなしでのスーパークルーズに対応しているが、RCS(レーダー断面積)はユーロファイターより大きい。
運用
  • 性能面で、今後航空優勢を維持できるかに疑問が残る。
  • ダッソー社が「採用の可能性が低い」として当初からF-Xへの提案自体をしていないため、採用することができない。

今後のF-X

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F-2の代替

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保有するF-2(FS-X)[注 32]は約30年の運用寿命(基準機体寿命6,000時間)で設計されており、2030年代に退役が始まる見通しである。政府としては後継機として国産・国際共同開発・輸入の3案を検討していた。

  • 国産案としては、先進技術実証機X-2XF9の各種研究・開発により得られたデータを元に新型ステルス戦闘機『F-3』を開発する計画があるが、数兆円の開発費が必要となり財政負担が大きいとされた[83]
  • 国際共同開発案には数社が名乗りを上げており、2018年7月時点ではロッキード・マーティンが提案するF-22の機体にF-35のアビオニクスを搭載する混合型機、ボーイングが提案するF-15をベースとした機体、BAEシステムズが提案するユーロファイター タイフーンをベースとした機体があり、この中でもロッキード・マーティンの案が本命とされていたが、高額すぎるとの指摘もあった[84]
  • 輸入案については既存機を自衛隊向けに改修するため財政負担は少なく導入時期の見通しも立てやすいが、性能面での優位性は小さいとされた[85]

防衛省は2016年7月にライフサイクルコストを含めて全体で約4兆円規模となる次世代戦闘機の入札の準備に入り、最終決定は2018年夏頃を見込んでいるとされていた[86]

2018年12月18日、閣議により新たな防衛計画の大綱中期防衛力整備計画が決定され、中期防の中で「将来戦闘機について、戦闘機(F-2)の退役時期までに、将来のネットワーク化した戦闘の中核となる役割を果たすことが可能な戦闘機を取得する。そのために必要な研究を推進するとともに、国際協力を視野に、我が国主導の開発に早期に着手する。」と明記され[87][88]、国際協力の可能性も含めた日本主導の戦闘機開発が決定した。海外機案は技術上・価格上のメリットが薄いとされ、国内企業が主導する開発方針となった。

そして、2019年(令和元年)12月に公表された「我が国の防衛と予算 令和2年度予算の概要(案)」において、「我が国主導の次期戦闘機の開発」として戦闘機システム全体の初期的な設計作業に着手するために、開発初年度となる令和2年度防衛予算に111億円を計上することが公表された。また同時に防衛装備庁長官官房に「装備開発官(次期戦闘機担当)」を新設することが公表された[89]

防衛省は、米ロッキード・マーティン社によるステルス戦闘機F-22とF-35をベースにした"ハイブリッド機"の提案を断り、あくまで日本主導の新型機開発を目指している[90]。米英両国との技術提携も検討されていたが[91]、2020年12月、防衛省はロッキードとの提携を行っていくことが明らかとなり[92][93][94]F-2開発同様、米国のみと提携することで技術情報の米側によるブラックボックス化が懸念された[94]。しかし2022年5月、一転してBAEシステムズとの共同研究開発事業とする方針で調整に入った事を、複数の政府関係者が明らかにしている[95]。同年12月9日、日本、イギリス、イタリアの3カ国での共同開発とすることが発表された[96]

F-15Jの代替

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保有するF-15J Pre-MSIP約100機はアップデートにコストや時間がかかるため、転用や大規模な近代化改修は予定されておらず、性能の陳腐化が始まっている。このため2018年12月18日、F-35A 63機とF-35B 42機を追加取得しF-35の総取得数を147機とする方針が示された[97]

8機を除き[98]、近代化改修されたJ-MSIP94機の後継機に関しては未定である。ボーイング社によれば、適切な延命・能力向上改修措置を施した場合、F-15 C/D(E型含む)の寿命を現在の倍近くに伸ばすことが出来る可能性(MSIP適用C/D型であれば最大18,000時間、単純計算で40~50年の寿命増加)があるとされている。中期防衛力整備計画 (2019)では近代化改修済みのF-15J単座型68機に対する能力向上改修を開始した。

脚注

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注釈

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  1. ^ 今回のF-Xでは予備機を含めた2個飛行隊(一個飛行隊定数 24機)の約50機の導入が予定されている。
  2. ^ 日本のF-Xは代々ライセンス生産方式であることから、完成機輸入、ノックダウン生産方式と違って自社工場で生産するわけではないためライセンス料やブラックボックスの輸出で利益を出す。
  3. ^ その場合の機体価格は1億5,220万ドルから8,340万ドルと大幅値下げした。
  4. ^ F-2戦闘機の初期生産時は120億円[44]、平成16年度量産価格は98億円
  5. ^ 第401飛行隊にはプローブ・アンド・ドローグ方式空中給油ポッドを増設したC-130Hが配備されている
  6. ^ BAe ホークBAe/MD T-45では陸上機を艦上機として再設計する際にエアブレーキの位置が変更されている。
  7. ^ ただし、2011年12月時点でメーカー側は正確な調達価格を公表していない。
  8. ^ ちなみにF-22Aは9~10、F-15Cは0.76、F-16ブロック40は0.26となる。
  9. ^ ただし、日本仕様のベースとなったE型は空軍仕様であり、通常時は使われることの無い着艦機能は元から省略されている。
  10. ^ ただし、F-4EJ改はには折り畳み翼が残されている。
  11. ^ 一応F/A-18A/Bのカナダ仕様としてCF-18の前例があるが、こちらは北極での運用で有効なためである。
  12. ^ 給油方式が合えば他の機種への給油が可能でS・ホーネット同士でも給油が可能である。
  13. ^ C/D型の場合、通常の戦闘行動半径は290海里(約537km)。
  14. ^ 原型のA/B型は1978年
  15. ^ 原型のF-16は1974年
  16. ^ ただし50億円とする報道あり
  17. ^ 調達価格は2012年度予算ベースで1機あたり本体のみで約89億円、必要部品を含め約99億円と報道された。
  18. ^ 開発難航によりさらに価格が高騰する可能性あり
  19. ^ 非開発国に約100億円での販売実績あり
  20. ^ 機体内部に武装を格納した状態での最大速度
  21. ^ 機内搭載燃料のみでの戦闘行動半径
  22. ^ 機種選定時は×でスーパークルーズはできないとされていた。2019年時点では、マッハ1.2のスーパークルーズにも対応できるとされている。
  23. ^ 全備重量でマッハ1.3を実現
  24. ^ 第5世代に分類されるステルス機
  25. ^ ステルス性を考慮し前方からのRCS低減
  26. ^ RCS低減を図るもタイフーンより劣る
  27. ^ 部分的に電波吸収材を使用
  28. ^ 機体製造は三菱重工、エンジンはIHI、ミッション系アビオニクスは三菱電機がそれぞれ製造・修理を担当する[67]
  29. ^ 日本独自の改造も許可
  30. ^ エンジン、レーダーは禁止:供与
  31. ^ 製造の度に米に開発経費を支払う必要あり(後述)
  32. ^ F-2を最後に「要撃」と「支援」の区分をなくしたため、F-Xに統合された。

出典

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関連項目

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