「ハーデース」の版間の差分
Star of Sea (会話 | 投稿記録) {{改名}} |
Star of Sea (会話 | 投稿記録) |
(相違点なし)
|
2007年8月19日 (日) 20:04時点における版
ハデス (ハーデース、またはハーデス、‘Άιδης,Hades) は、ギリシア神話の冥府を司る神。一部の神話では、オリュンポス十二神の一人としても伝えられてもいる。
古くはアイドーネウス (Αιδωνεύς 『見えざる者』)と呼ばれていた。
イオニア方言系ではアイデスと呼ばれる。 クロノスとレアの子。ポセイドンとゼウスの兄。ペルセポネの夫。
後に冥府が地下にあるとされるようになった事から、地下の神ともされる。地下の鉱物資源の守護神ともされ「富める者」の意味のプルートーン (Πλούτων)とも呼ばれる。 また、後には豊穣神(作物は、地中から芽を出して成長する)としても崇められるようになった。
概要
生まれた直後、ウラノスの『産まれた子に権力を奪われる』と言う予言を恐れた父クロノスに飲み込まれてしまう。その後、末弟ゼウスに助けられクロノスらティターン神族と戦い勝利した。クロノスとの戦いに勝利した後、ゼウスやポセイドンと供にくじ引きで自らの領域を決め、冥府と地底を割り当てられた。
オリンポス12神の中で唯一席を与えられておらず(12神には含めないとの説もある)、冥府の王というイメージから、弟ゼウスとは不仲とされ、往々にして悪役としての扱いを受けることが多い。しかし、色々な文献や神話の話を見る限りそのようなことは少なく、ハデスの悪評は冥府、死者の世界からくるイメージ的なものや誇張表現であると言えるだろう。
四季との関わり
后はゼウスとデメテルの娘であるペルセポネ。諸説あるものの、一般的にはニュサ(架空の地名)で花を摘んでいたコレー(後のペルセポネ)を誘拐拉致し、自分の后に迎えたとされている。
ハデスがペルセポネに恋をしたのはアプロディテの策略である。ペルセポネが、アテナやアルテミスにならって、アプロディテたち恋愛の神を疎んじるようになったことに対する罰として、冥府にさらわれように仕向けたのだ。ある日ハデスは大地の割れ目から地上を見上げる。そこにニンフ達と花を摘んでいたペルセポネが写る。そこをアプロディテの息子エロスの矢によって射たれ、ハデスはペルセポネに恋をした。しかし、冥府での暮らしが長いハデスは、女性への接し方がわからず、女性経験が豊富で何よりペルセポネの父親であるゼウスに『ペルセポネを后に迎えたい』と相談する。ゼウスは笑いながら『ハデスも律儀な奴だ。女という者は、強引な男に惚れるものだ』と唆し、あろう事かハデスも『ゼウスの言う事だから間違いない』とその話を真に受けてしまう。そして、デメテルに無断で行うことに、引け目を感じ決心の付かないハデスに『なんなら、私が手伝おう』とのゼウスが申し出る。そしてハデスはこの申し出を引き受けてしまった。
そして、ペルセポネを連れ去るべくニュサへやってきたハデスとゼウスは、まずニンフ達からペルセポネを引き離すべく、ゼウスが大変美しい水仙の花を用意する。あまりの美しさに心奪われたペルセポネはニンフ達から離れ、その水仙を摘もうと手を伸ばす。その時、大地が割れ黒い冥府馬に跨ったハデスが現れ、ペルセポネを抱えると冥府へと連れて行ってしまう。オリンピアでは、ペルセポネが行方知れずになった事を不審に思った母・デメテルがヘリオスからゼウスとハデスがペルセポネを冥府へと連れ去った事を聞かされ、彼女の知る事となる。そしてゼウスの元へ抗議に行くも、ゼウスは取り合わず『冥府王であるハデスであれば夫として不釣合いではない』と発言。これを聞いたデメテルは激怒。オリンピアを去り農業の女神としての仕事を放棄する。その為に、地上は凶作に見舞われ、困ったゼウスは仕方なくデメテルに譲歩することになる。神々の取り決めに従い『もし、ペルセポネが冥府の食べ物を口にしていなかったら地上に帰す』と約束したのだ。一方、ペルセポネも拉致されたショックから冥府では何も口にせず、ハデスのアプローチを拒んでいた。そして使者として訪れたヘルメスから、ゼウスの命令で地上に帰れると知って喜ぶペルセポネ。その彼女にハデスはザクロを勧める。冥府のものを口にしたら、冥府の者になるというルールを知らなかった彼女は、地上へ帰還できると解かった安心感で気が緩んだのか、それを受け入れ4粒を食べてしまう。そして地上に返されデメテルとペルセポネが抱き合った瞬間地上に実りが戻った。
しかし、デメテルとペルセポネが喜んだのもつかの間、ペルセポネがザクロを食べてしまった事が発覚。取り決め通り、冥府のものを口にしたために、ペルセポネはハデスとの結婚をせざるをえなくなった。しかし、このままではデメテルが再び実りを齎さなくなると考えたゼウスは、一年を食べたザクロの数4粒で割り、一年の三分の一をハデスのいる冥府で、残り三分の二をデメテルのそばでという妥協案を示した。不服ながらもハデス、デメテル、ペルセポネの3者はこれを受け入れ 、ペルセポネはハデスの妻に納まることになった。そして、ペルセポネが地上にいる間は、デメテルが喜び、地上には春が訪れ大地が実るが、彼女が冥府に降りると、デメテルが悲しむ為に冬が訪れるようになった。これが四季の始まりである。
尚、ペルセポネは、その後は、英雄ヘラクレスなどが冥府に降りてきた際には常にハデスと共にいることから、冥府の王妃としての立場をそれなりに受け入れたようだ。更にハデスの身の上や、ゼウス達他の兄弟と違い本来無垢で真面目な性格である事を知ってか冥府にいるときは常に彼のそばに寄り添うようになる。さらに浮気相手に対し制裁を与えている事から、それなりに夫を愛していたようである。ハデスにとってはペルセポネ誘拐事件が唯一の有名なエピソードであり、他にはぱっとした話はない。それは、ハデスがギリシャ人の崇拝の対象にはならなかったからである。
その他の説&補足
大まかな経緯は上記に述べたとおりだが、ハデスのペルセポネ誘拐には諸説伝えられている。
- ハデスはエロスの矢で射たれたのではなく、純粋に一目ぼれしたとの説。
- 一目惚れをハデスが独断でペルセポネを拉致したとの説(これは主にハデスを悪役として描かれる場合に多い)。
- ゼウスがハデスの申し出に、あっさり許可を出したのは、デメテルがOKを出さない事を見越しての事だったとの説がある。一説には、実はハデスも同じ意見で、二人は最初からデメテルに無断で浚うつもりだったと言われている。
- ちなみに、ハデスはデメテルの許可も取ろうと考えていたが、ゼウスが『私から説得しておこう』と言ったのでデメテルには黙っていた。ちなみにゼウスは説得に行かなかったとの説や、行ったがデメテルの機嫌が悪く、言い出せなかったと言う話もある。
- ペルセポネがザクロを食べてしまった理由は上記の他に、空腹に耐えかねて食べてしまったとの説、冥府の庭師が騙して食べさせた説、掟を知らない彼女が冥府でハデスに丁重に扱われた感謝の意味で軽い気持ちで食べてしまったとの説、またペルセポネが地上に帰れることになって喜んだとき、そのほころんだ口元にハデスがすかさずねじこんだという説もある。
- ペルセポネの食べたザクロの数は6粒との説もある。
- ゼウスの発言である『冥界の王であるハデスならば夫として不釣合いではないだろう』だが、ハデスとペルセポネの結婚が決定して、意気消沈していたデメテルにヘリオスが言ったとの説がある。
- 上記にもあるようにペルセフォネが結婚を承諾した理由に、冥府で孤独に苛まれていたハデスの身の上を知ったからとの説があるが、これはハデスが誘拐したペルセフォネに自分の身の上を嘆いたからと言われている。
その他
ハデスには他にも、人間にあっさりと騙されたりする場面や、オルペウスの琴に涙を流すシーンもあり、非常に感情豊かで無垢な優しい神であると思われる。12神の席については、冥府は絶えず死人が訪れるため管理を疎かにする事が出来ず、オリンポスに行く余裕が無いからだとされている(冥府の管理に専念するため12神に加わる事を辞退したとの説ある)。
ハデスの恋愛については、妖精のメンテやレウケとの悲恋も伝えられている。
ハデス信仰はヌマ・ポンピリウスによってローマ神話にも取り入れられ、プルートと呼ばれる。
のちに、「ハデス」という言葉はギリシア語において、死後の世界、黄泉を指す言葉となった。新約聖書にも頻出する単語である。
関連項目
- レナ・ハデス - このハデスから筆名を採っているが、ロシアの芸術家である。 『ツァラトゥストラはこう語った』も参照。
- 聖闘士星矢 - 冥王ハーデスの名で登場。
- ヘラクレス - ディズニー映画の一作。その中に炎の鬘を被ったハデスが登場。ジェームズ・ウッズが演じた。
- タルタロス - 冥府よりもさらに深い、奈落を司る神。
- ケルベロス - 冥府の番犬。ハデスの忠犬とも。
- ザ・サード - この世界に登場するハデスは、「大戦」前から存在し続けている一種の情報生命体。「石の街」を拠点とする闇組織のボスで、パイフウを超一流の暗殺者に育て上げた張本人。「四神」と呼ばれる己の分身を部下に持ち、LB(ルナティック・ブラッド)などの麻薬取引、暗殺業などを生業とする。
- BLACK CAT - 主人公トレイン・ハートネットが所有する、オリハルコン製の黒い装飾銃が「ハーディス」。
- 探偵学園Q - 犯罪集団「冥王星」の首領がキング・ハデスと呼ばれる。