コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

「木綿」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
編集の要約なし
綿へ分割。ノート参照。
1行目: 1行目:
{{Redirect|コットン}}
{{Redirect|コットン}}
'''木綿'''・'''木棉'''
{{Anotheruse|繊維物質の綿(コットン/木綿)|植物としてのワタ|ワタ|日本における中世以前の綿|真綿}}
*もめん - [[ワタ]]。[[アオイ科]]ワタ属の多年草の総称、およびその[[種子]]から取れる[[繊維]]。
*きわた - [[キワタ]]。[[パンヤ科]]の落葉高木、およびその種子から取れる繊維。
*ゆう - [[コウゾ]](楮)の[[樹皮|皮]]から取った繊維を紡いだ[[糸]]。

----
[[画像:CottonPlant.JPG|thumb|300px|収穫期の綿]]
[[画像:CottonPlant.JPG|thumb|300px|収穫期の綿]]
'''綿'''(めん/わた・'''棉'''、英cotton)は、[[アオイ科]]ワタ属の多年草の総称。また、これらの植物の種子のまわりについた[[繊維]]を指す。繊維を指す場合、'''木綿'''(もめん、きわた。[[コウゾ|楮]]の繊維から作った糸である木綿(ゆう)とは別)、'''綿花'''(めんか、元の用字は'''棉花''')とも呼ばれる。本項目では、繊維としての綿について述べる。


'''木綿'''・'''木棉'''(もめん)は、[[ワタ]]の[[種子]]から取れる[[繊維]]。'''コットン''' ([[英語]] cotton)。ワタ自体のことを木綿と呼ぶこともあるが、ここでは繊維としての木綿について述べる。
繊維としては伸びにくく丈夫であり、吸湿性があって肌触りもよい。このため、現代では下着などによく使われるが、縮みやすいという欠点もある。主成分は[[セルロース]]。

ワタとは[[アオイ科]]ワタ属の多年草の総称で、木綿は種子の周りに付いている。繊維としては伸びにくく丈夫であり、吸湿性があって肌触りもよい。このため、現代では下着などによく使われるが、縮みやすいという欠点もある。主成分は[[セルロース]]。

単に'''棉'''・'''綿'''(めん)とも言う。摘み取った状態までのものが綿、種子を取り除いた後の状態のものが棉だが、区別しないことも多い。

ただし、「[[綿]]」と書いて「わた」と読むのは、本来は塊状の繊維全般を指す語である。[[布団]]や[[座布団]]の中身を繊維の種類を問わず「綿(わた)」と呼ぶが、これはその本来の用法である。古くは、中でも[[真綿]]([[絹]]の原料)を意味することが多かった。


==性質==
==性質==
28行目: 38行目:
*[[パキスタン]] - 183万トン
*[[パキスタン]] - 183万トン
*[[インド]] - 175万トン
*[[インド]] - 175万トン

==いろいろな「わた」==
'''わた'''とは、繊維、または繊維状のものが絡まりあってひとまとまりの状態になっているものを言う。日本では、[[戦国時代_(日本)|戦国時代]]に[[木綿]]綿が普及する以前、すなわち[[古代]]や[[中世]]において「綿・わた」と表記されるもののほとんどは、[[蚕]]の[[繭]]から作られた[[絹]]の[[真綿]]の事を指している。
*「綿」(わた:Cotton)は一般には木綿繊維や[[化学繊維]]からなり、布団の詰め物などに用いられる。
**「[[真綿]]」(まわた:Floss silk)は[[絹]]繊維による「わた」。光沢があり、保温性・通気性・吸放湿性が良く軽い。高級詰め物に多く見られる。
**「麻綿」は[[麻]]繊維による「わた」。吸放熱性が良く、さらっとした肌触りが特徴。夏用布団に用いられる事が多い。
**「羊毛綿」は[[羊毛]]繊維による「わた」。表面は鱗が重なり合ったような形状をしており、クリンプと呼ばれる独特の縮れを有する。[[ヨーロッパ]]では古くから用いられ、弾力性・保湿性・吸放熱性に優れている。
**「合繊綿」は[[合成繊維]]による「わた」。主に[[ポリエステル]]製が多い。木綿綿の2倍の[[かさ高]]があり、保温性に優れて軽く、体に馴染み易い。木綿綿と混合されて使われる場合も多い。
**これらに関連して、綿の代わりに[[ガチョウ]]や[[鴨]]の[[羽毛]]を使ったものが高級かけ布団の材料として用いられる場合もある。
*「[[石綿]]」(いしわた:Asbestos)は天然の[[鉱物]]が[[繊維]]状に変形したもの。耐久性、耐熱性、耐薬品性、電気絶縁性などに優れる反面、その繊維が肺疾患を惹き起こすことが分かり社会問題にもなっている。
*「[[海綿]]」(かいめん:Sponge)は動物の一種。繊維状の骨格が[[スポンジ]]に用いられる。
*「スチールウール」は[[鉄]]の繊維による「わた」。非常に酸化しやすく、酸素中で激しく燃焼する。
*その他「わた」の状態になったもの。[[綿菓子]]、綿毛など。


==関連項目==
==関連項目==

2007年6月25日 (月) 12:34時点における版

木綿木棉


収穫期の綿

木綿木棉(もめん)は、ワタ種子から取れる繊維コットン (英語 cotton)。ワタ自体のことを木綿と呼ぶこともあるが、ここでは繊維としての木綿について述べる。

ワタとはアオイ科ワタ属の多年草の総称で、木綿は種子の周りに付いている。繊維としては伸びにくく丈夫であり、吸湿性があって肌触りもよい。このため、現代では下着などによく使われるが、縮みやすいという欠点もある。主成分はセルロース

単に綿(めん)とも言う。摘み取った状態までのものが綿、種子を取り除いた後の状態のものが棉だが、区別しないことも多い。

ただし、「綿」と書いて「わた」と読むのは、本来は塊状の繊維全般を指す語である。布団座布団の中身を繊維の種類を問わず「綿(わた)」と呼ぶが、これはその本来の用法である。古くは、中でも真綿の原料)を意味することが多かった。

性質

綿の種子は硬い蒴果のなかにあり成熟するにつれ、はじけて綿花が現れる。蒴果の内部は隔壁によって数室に分かれ、各室に数個の種子があり、それに綿毛が密生している。この綿毛は外皮細胞が変形したもので、綿の種類によって長短に分かれる。

生の綿毛は管の中に水を入れたようなもので、熱するにつれて内部の水分が枯れて中空になり、さらに繰綿すれば、管内の水分はまったく乾燥して綿毛が自然によじれる。綿を顕微鏡で観察した際に見られるよじれはこのようにできる。

歴史

原産地はインドアフリカといわれ、紀元前2000年にはインドで既に栽培され、繊維として使われていたことが分かっている。紀元前には既に西アジア、ヨーロッパに伝わっていたが、ヨーロッパではあまり多量には生産されなかった。南アメリカでも紀元前に綿が使用されていた。

中国への伝来は晩唐とも北宋とも言われている。朝鮮半島へは1364年文益漸が国禁を犯してから伝えたという記録が残されている。

16世紀以降、交易を通じてインド産などの綿が、主にイギリスにもたらされ、18世紀ごろにはイギリスの羊毛業をおびやかすまでになった。1780年代になると、自動紡績機や蒸気機関が相次いで実用化され、イギリスは綿輸入国から一気に世界最大の輸出国に転換した。この綿産業の発展を主軸にした産業構造の変革は、産業革命ともいわれる。なお、イギリス産の綿の原綿は、主にアメリカで栽培されたものである。

日本へは799年三河国(愛知県西尾市天竹町と言われるが、日本後紀には、三河国としか書いてない。)に漂着した自称インド人によってもたらされ栽培されたが、1年で途切れたという。この後、綿は朝鮮からの輸入に頼ることになり、長い間高級品であった。その後、連続して栽培され一般的になるのは、16世紀以降とされる。

明治以降、政策により綿布の生産が強化されたこともあり、1930年代には輸出量が世界一となった。第二次世界大戦時は輸出は停止したが、戦後復活し、再び世界一になった。ただしその後は安価なアジア産の綿布に押され、生産量は減少している。

生産

世界の綿の生産量は2100万トン。(2001年 概略値)

関連項目

  • コットンベルト(ノースカロライナ州からカリフォルニア州までの16州を横断するコットンベルト(または綿花地帯)とよばれる、米国における綿花栽培のほぼ全てが行われるベルト地帯の一つ)
  • 海綿体
  • キャラコ

外部リンク