カリヨン
カリヨン(仏: carillon、アメリカ: [ˈkærəlɒn] CARE-ə-lon or イギリス: [kəˈrɪljən] kə-RILL-yən;[1] フランス語: [kaʁijɔ̃])は、調律した鐘と鍵盤を組み合わせて演奏する有音程打楽器であり鍵盤楽器[2]、体鳴楽器。日本語では組み鐘と訳される[3]。音色を揃え調律した青銅製の鐘を複数組み合わせ、メロディーと和声を演奏する。現在の形態に近いものは15世紀のオランダで開発されており[3]、現代では世界中に分布している。
概要
カリヨンは通常鐘楼などの塔状の建築物として設置される巨大な楽器であり、その多くは教会、学校、地方自治体などの団体が保有している。台車に乗るよう小型化した移動式のカリヨンもある。演奏にはバトン式鍵盤とペダルを用いる。カリヨンはタワーベルと同じくスイングベルから派生し、カリヨンの練習用の楽器から派生してグロッケンシュピールが作られた。また、カリヨンの持つ自動演奏の仕掛けはオルゴールの元となった[4]。1999年にはベルギー、フランスの古いカリヨンが当時の技術、景観、あるいは重要な建築であると評価され、ベルギーとフランスの鐘楼群が世界遺産に登録されている。
カリヨンを含めて、調律した鐘を並べて演奏する楽器には多彩なバリエーションがある。カリヨンと演奏方法やアクション機構が同じでも鐘が23個以下のものはカリヨンではなくチャイムと呼ばれる[5]。また、鍵盤がなく、自動演奏のみ可能なもの、鍵盤を叩いた力を機械式に伝達しないものは非伝統的カリヨンと呼ばれ、伝統的カリヨンあるいは単にカリヨンと区別されている[5]。中には両方の特徴を持つ楽器もあり、文献、団体などによって境界が異なる[6]。本記事では北アメリカ大陸カリヨン連盟(GCAN)の定義に従い、単にカリヨンと記載した際には「2オクターブ以上の鐘を、人が演奏可能なバトン式鍵盤を持ち、機械式のアクションで人力を伝達して演奏する鍵盤楽器」を中心に記載する。
世界にはカリヨンが約700ある[7]。日本国内にはカリヨンと呼ばれる楽器あるいはモニュメントが1993年時点で300箇所以上ある[8]。そのほぼ全ては鍵盤を持たない自動演奏のみが可能な非伝統的カリヨンであり、この項目でいうカリヨンには該当しない。日本国内でカリヨンに当てはまるものは4つ、そのうち3つが世界カリヨン協会にカリヨンとして登録されている[9]。
楽器の数が限られているため、必然的に演奏者の数も少ない。カリヨン奏者となるには、ベルギーやオランダにあるカリヨン専門の学校や、北アメリカの複数の大学のカリヨン奏者の育成コースで学ぶことがきる。認定カリヨン奏者となるには専門の学校を卒業する、北アメリカカリヨンギルドによるギルド試験に合格するなど、幾つか方法がある。2021年時点で日本出身で認定を受けたカリヨン奏者は数人のみ知られている。日本では2019年に日本カリヨン協会、[10]2020年に日本カリヨン演奏家協会[11]が設立されている。
名称と語源
カリヨンという語は、18世紀ごろに古フランス語の carignon (または quarregon と綴る。「4個組みのベル」の意)から造られた。quarregon はラテン語の quaternionem(クワテルニオ、"4個組"を意味する)、これはさらにラテン語のquater("4回"を意味する)から来ている[12]。[12]最も初期のカリヨンは、4つの鐘を組み合わせてウエストミンスターの鐘のようなメロディーを奏でていたためこう呼ばれた。 carillon という語はかつて楽器ではなく、複数の鐘で演奏するメロディーを指していた可能性がある[1]。ドイツ語ではフランス語の carignon を使ったりドイツ語で Glockenspiel ("鐘の演奏"を意味する)と呼ぶ。これは楽器名のグロッケンシュピール(glockenspiel)と同じ綴りだが区別する必要がある[13]。
カリヨンの演奏者をカリヨン奏者と呼び、英語圏では carillonneur、日本語でもこれを英語風に読んでカリヨネアと呼ぶことがある。この言葉も元はフランス語であり、カリヨン、カリヨネアは18世紀のスペイン継承戦争後にこの楽器がイギリス軍に紹介されて、英語話者の間で使われるようになった[14]。 carillonneur はフランス語ではカリヨンを演奏する男性にのみ使われる言葉であるが、フランス語で女性のカリヨン奏者を表すcarillonneuse は英語圏、日本語圏では使われていない。英語圏では他にカリヨン奏者を表す言葉として carillonistも使われている。carillonist のほうがスペルがわかりやすく発音も明快であるため、一部のカリヨン奏者は carillonneur を carillonist で置き換えることを望んでいる[15]。
特徴
鍵盤
カリヨンは鍵盤楽器であり、人間が演奏可能なバトン状の鍵盤を持つ。鍵盤の形状はピアノやオルガンとは大きく異なるものの、鍵盤の配列はよく似ている[16]。他の鍵盤楽器のキーに当たるものは丸みを帯びた木の棒(=バトン)で作られており、長さは20cm弱、太さ2cm弱の独特の形状をしている。鍵盤の構成は他の鍵盤楽器同様、ピアノの白鍵にあたる全音階のバトンが横一列に並び、その5cm〜10cmほど上にピアノの黒鍵に相当する半音階のバトンが並ぶ[16]。サイズはピアノやオルガンの鍵盤よりも大きく、隣り合うバトン同士は5cmほど離れている。奏者は手を握り、拳の小指側でバトンを叩くようにして演奏する[17]。そのため基本的には片方の腕で出せる音は一度に1音のみとなり、両手両足を用いても一度に4音となる。低音側の1.5オクターブから2オクターブはペダルにも割り当てられ、鍵盤でもペダルでも音を出すことができる。ペダルと鍵盤は接続されており、ペダルを踏むと同じ音の鍵盤側のバトンも下がる挙動となる[18]。カリヨンのペダルはオルガンのように長いものではなく、短く太く、間隔が広く作られている[19][注釈 1]。
20世紀以降、カリヨンの鍵盤とペダルには、北アメリカカリヨンギルド (GCNA) による規格と、北ヨーロッパ規格の二つが存在していた。二つの規格は外側のペダルが内側に向けて曲がっているかどうか、キーのストロークなど幾つかの点で違いがあった[20]。2006年に世界カリヨン協会がこれらをまとめたWCF Keyboard 2006を発表し、それ以降新たに作るか、既存のキーボードを改修する際の基準として使うよう推奨している[21]。
アクション機構
鍵盤のそれぞれのキーは、ステンレス製のワイヤーによる伝達システムに接続している。キーを押した力でワイヤーを引っ張り、その力を滑車を経由して他のワイヤーに伝達し、最終的にクラッパー(鐘の舌)を鐘にむけて揺れる動きに変換する。クラッパーは静止時には鐘から5cmほどの距離で停止する[22]。音の低い大きな鐘では、クラッパーは音を出した後重力によって元の位置に戻る。高い音の小さな鐘では、元の位置に戻すための戻りバネ (return spring) を取り付けており、一度の打鍵で何度も鳴らないようになっている[23]。鍵盤のすぐ上には、ターンバックル(引き締めネジ)と呼ばれるワイヤーの調節機構を持ち、温度変化で伸び縮みするワイヤーを調節できる[18]。
鐘の収容
カップ型をした青銅製の鐘は、塔の頂上部の鋼鉄や木製の梁に吊り下げられる。鐘の配置は設置する空間、塔の高さと構造、鐘の数とサイズ、重さに大きく依存して異なる配置となる。特に大きく重い鐘の場合は、音のバランスを確保するために演奏室の下に配置されることが多い[24]。
カリヨンでは通常、演奏時に鐘は動かず、クラッパーだけが動いて音を出す[25]。一部の楽器にのみ、一番重い鐘を揺らしてスイングベルのように音を出す機構を持つものがある[22]。
自動演奏機構
カリヨンには、単純な曲やウェストミンスターの鐘の自動演奏機構を備えているものがある[22]。ヨーロッパのカリヨンでは多くの場合、時計に接続した大きな金属製のシリンダー状の演奏ドラムを使用している[26]。演奏ドラムの表面には金属製の杭が打ち込まれており、時刻が来てドラムを回転させると、鐘の外側すぐのところに配置したハンマーを動かすレバーに杭が引っかかり、そのまま回転し続けるとレバーが杭から外れ、その力でハンマーが鐘を鳴らす構造となっている[27]。杭は一時間おき、あるいは15分おきに簡単な曲を演奏するように配列されている。この時計をゼンマイに、シリンダー部分を小型化、鐘をくし型の金属板にしたものが現代のシリンダー型のオルゴールである。
北米のカリヨンでは演奏ドラムのシステムはあまり一般的ではなく、代わりに空気圧による演奏システムを持つものがある[28]。
調律
カリヨンに使用する鐘は、通常の銅よりも大きな剛性と共鳴音を得るためにベルブロンズ(ベルメタル)と呼ばれる銅とスズの特殊な合金で作られている[29]。鐘の音色と音質は、鐘の重さと輪郭、形状によって決まる。形状によって発生する倍音と、調和する事もあるが調和するとは限らない部分音の構成が異なり[30]、心地よい、調和のとれた一連の音色を生み出すために鐘の輪郭を注意深く調整する必要がある。鐘の製作者は通常5つの主要な音程に焦点を合わせて調整を行う。特に、ティアス (tierce) と呼ばれる短三度の倍音は、カリヨンの独特の音を生み出すことが知られており、現在も研究の対象となっている[24] 。
鋳造だけでは完全に調律した鐘を造ることができないため、鐘はやや厚めに鋳造し、旋盤で表面を削りとって調律を行う。音色の調整が完了すると、以後鐘の音色が変わることはほとんどなく、設置後に鐘を劣化させるのは火事と大気汚染だけであると言われている[31]。 古いヨーロッパのカリヨンは中全音律に調律されていた。現代のカリヨン、特に北米のカリヨンは[[平均]律]]に調整されている[32]。
音量と重量
カリヨンにはピアノと同等か、それ以上のダイナミックレンジを持つ楽器が存在する。演奏時のタッチによって、演奏者は幅広い音量の表現ができる。大きな鐘(低い音)のダイナミックレンジは小さい鐘(高い音)よりも広いものとなる。小さな鐘は質量が少ないため、大きな鐘のごく一部の音量しか表現することができない。
パイプオルガンと並んで、カリヨンは世界で最も重い楽器の一つである。カリヨンの重量は鐘のみでも4.5トン〜15トンほどであり、最も軽いものでも1トン、最も重いニューヨーク、リバーサイド教会にあるローラ・スペルマン・ロックフェラー記念カリヨンのものでは91トンにもなる。一組のカリヨンのなかで最も大きく重い鐘はブルドン (鐘)と呼ばれる。ローラ・スペルマン・ロックフェラー記念カリヨンのブルドンは、カリヨン用に調律された鐘のなかで最も重いキャスティング(鐘の音が出る金属部分)であり、他のカリヨンの一番低い音よりもさらに一オクターブ低い音を出すことができる[33][34]。ロックフェラー記念カリヨンの鐘以外の発音部分、固定鐘、スングベル、クラッパー、梁などの重量を加えると227トン前後の重量になる[35]。
音域
カリヨンの音域は、そのカリヨンが持つ鐘の数に比例する。鐘の数は主に楽器を作成する際の資金で決まる。多くの鐘を鋳造するにはより多くの資金が必要となり、大きな鐘の鋳造コストは小さいものよりも高くなる。カリヨンと呼ぶには、少なくとも23個(2オクターブ)以上の鐘を持津ことが条件となり、それ未満の楽器はチャイム (楽器) と呼ばれる[25][33][32][36][37][38]。カリヨンの音域に標準的な規格はなく[32]、主に鐘の個数によって幾つかの小分類が使用されている。
- 23個 - 27個の鐘を持つものは2オクターブカリヨン、35個から39個の鐘を持つものは3オクターブカリヨンと呼ばれる。これらのカリヨンで演奏するには、狭い音域向けに書かれた楽譜を使用する。
- 4オクターブ、45個 - 50個の鐘を持つカリヨンはコンサートカリヨン、またはスタンダードカリヨンと呼ばれる[39]。
- 50個以上の鐘を持つものはしばしばグレートカリヨンやグランドカリヨンなどと呼ばれる。[注釈 2]
- 23個以下の鐘を持つカリヨンのうち、1940年以前に作られたものは、世界カリヨン協会では歴史的カリヨンと呼んでいる[36]。
鐘の個数では、ミシガン州ブルームフィールドヒルズにあるカーク・イン・ザ・ヒルズ長老派教会にあるカークカリヨンと、韓国の大田広域市にある大田科学技術大学のカリヨンがいずれも77個の鐘を持ち、世界最大となっている。
カリヨンは他の楽器と合奏することがほとんどないため、最低音の鐘(ブルドン)はどの音でも大きな問題はない。そのため、設置する場所、あるいは資金の都合で最低音となる鐘が選ばれる[40]。楽譜の記載と演奏を容易にするため、カリヨンの鍵盤にはCの基準位置を示すことが一般的となっており、古い楽器や、小さいサイズのカリヨンの多くは移調楽器となっている[37]。転置は、完全四度下から1オクターブ上までどこでも可能である。 米国ではカリヨンを本格的なコンサート楽器として確立するために、コンサートピッチ調律されている新しいカリヨンが増えている[33]。
楽器によって音域や鐘、それを演奏する鍵盤のサイズが異なり、鍵盤全体が移調されている楽器もあり、演奏時に必要な動作やタッチが楽器ごとに大きく変わるなどの事情から、多くのカリヨンでは鐘楼ごとに専属のカリヨン奏者を抱えている。
歴史
起源
カリヨンはいくつかの伝統を組み合わせから生まれた。中世のヨーロッパでは、人々に時刻や教会の礼拝開始を知らせたり、その他のイベント、火事や嵐、戦争などを知らせるためにスイングべルが用いられていた。14世紀に、鐘と時計を繋ぐ重量で回転するペグドラム(杭を打ったドラム)が開発された。ドラムを回転させ引っ掛けたワイヤーの力でハンマーが鐘を叩いて音を出していた[43]。時報を告げる鐘は次第に進化し、時刻の鐘の前にウエストミンスターの鐘のような簡単な曲を演奏するようになっていった。この、鐘による音楽演奏の興味関心はネーデルラント(現代のベルギー、オランダ、またフランスのノール=パ・ド・カレー地域圏)で特に高まり、ネーデルラントでは鐘の鋳造技術もヨーロッパの他地域と比較して著しく発達した[38]。
鐘を鍵盤に相当するもので演奏した最も古い記録は、15世紀末から16世紀初頭にさかのぼることができる。1482年12月30日、アントワープ市は、聖ミカエル修道院 (アントワープ)が備えていた小規模な鐘のセットを「縄と棒」を用いた機構で演奏するためにエリシャ (Eliseus) という男を任命した記録がある。1510年には、ヤン・ファン・シュピーラーという有名な時計職人がアウデナールデのアウデナールデ市庁舎に9つの鐘を持つ「鐘のためのキーボード」を設置している[44]。
開発
16世紀から17世紀にかけて、ネーデルラントの好条件下で新しい楽器の開発が進んだ。この地域は、アムステルダムとアントワープの港を通じて、鐘の鋳造に必要な財政的手段と技術的優位性を獲得して鋳造の技術が発達した[45]。さらにオーストリアのマルグリット・ドートリッシュとカール5世_による政治情勢では、都市に相対的な富と権力をもたらした。カリヨンはすぐに市民の誇るシンボルとして流行した。都市や町はお互いに最も高品質で最も大きな鐘を持つ楽器を所有することを競い合った。都市部では一つの街で複数ののカリヨンを造るところがいくつもあり、田舎の小さな村でもカリヨンを作るための資金・資材を捻出するところがあった[46]。この需要により、鐘の鋳造家が産業としても成功し、ワグヘブンズやファン・デン・ヘインなどの成功者が生まれた[47]。16世紀から17世紀にかけて彼らが作ったカリヨンは50個にのぼる[48]。1600年頃には、初期のカリヨンがこの地域の特徴として確立した[48]。
17世紀に、ヘモニー兄弟とヤコブ・ファン・エイクが協力することで、現代のカリヨンにつながる重要な開発が行われた。ヘモニー兄弟は正確な鐘の調律技術で有名になった鋳造家だった。ヤコブ・ファン・エイクはユトレヒトで活動した盲目のカリヨン奏者で、オランダの幾つかの都市で時計台のチャイムやカリヨンの改善をするよう任命されていた。彼は鐘の音に特に強い興味を抱いており、1633年に鐘のもつ5つの部分音を分離して記述する技術を確立した。また、鐘の厚さを調節することで、それぞれの部分音を互いに調和するよう調律できることを発見した[50]。ヘモニー兄弟は、ヤコブ・ファン・エイクを顧問として、ズトフェンにある Wijnhuistoren の塔に19個の鐘を持つカリヨンの製作を行った。ヤコブ・ファン・エイクの助言に従って鐘を鋳造し、初めて現代の定義でいうカリヨンに相当する調律した楽器を製作した[51]。鐘の品質が非常に良く印象的だったため、ヤコブ・ファン・エイクは2オクターブ(=23個)の鐘を鋳造するよう進言した。この時から、標準的なカリヨンを構成する最小の鐘の数は23個と考えられるようになった[52]。ヘモニー兄弟はその後36年間で51組のカリヨンを製作し[53]、それから18世紀にかけてカリヨン文化の最盛期となった[38]。
衰退
1789年から巻き起こったフランス革命により、ネーデルラントとカリヨンは広範囲に被害を被った。オーストリア領ネーデルラントはフランスに征服され、1975年に併合された。ネーデルラント連邦共和国はバタヴィア共和国、ホラント王国を経て1810年にフランスに併合された。フランス第一共和政の2年目に公安委員会は鐘を鋳つぶして銅を供出する指示を発布した[54]。カリヨンの所有者達は、新政府に要望書を出して「文化的に重要」と認めさせるか、鐘を取り外して埋めるなどして抵抗した[55]。当時110のカリヨンがあったが、そのうち約50個は戦争、火災、人為的破壊などの被害により破壊された。その大部分はフランス革命戦争に使用する大砲を作るために鋳つぶされた[54]。
戦争以外でも1750年から19世紀にかけて、人々のカリヨンへの関心は大幅に低下してしまった。多くの世帯で振り子式置き時計が使えるようになり、懐中時計を持つ人も増えて、カリヨンによる時報の需要が大きく低下していた。また、楽器としても時代に大きく取り残されていた。当時あったカリヨンの多くは中全音律に調律されており、新しい半音階の音楽様式の演奏には不向きだった[56]。カリヨンのための曲が新たに作られることはなくなり[57]、カリヨン演奏の質も大幅に低下したため、1895年に音楽出版社のSchott frères (en) が マティアス・ファン・デン・ギュイエンの『ピアノのための11のカリヨン前奏曲』を出版した際に「現代のカリヨン奏者はこれらをカリヨンで演奏する方法を知らない」と不満を記している[58] 。さらに、カリヨン製作が減少したことにより、ヘモニー兄弟が確立した調律技術のうち、ヤコブ・ファン・エイクの発見に寄らない部分の技術は失われてしまった。そのため、この時代に作られたカリヨンはそれ以前の物よりも品質がよくなかった[38]。
復活
1890年代初頭に、イギリスの律修司祭でチェンジリンガーだったアーサー・シンプソンが、鐘の調律に関する一連の記事を出版した。そこには当時の鐘鋳造家達が、彼らの作る鐘の貧弱な調律に無頓着であり、その解決方法を提案していた。ファン・デン・ヘインの鐘の調律技術を再現しようとしていたジョン・ウイリアム・テラーはシンプソンと協力し、1904年に一世紀以上を経て調律した鐘の鋳造に成功した[59]。この技術の復活により、カリヨンの建造も復活し始めた[38]。
ベルギーのメッヘレンではジェフ・デニンが楽器としてのカリヨン復活の中心的役割を担った。1887年に、彼の父親が盲目になり、デニンは聖ロンバウツ大聖堂の都市カリヨンの演奏を引き継ぐことになった。演奏を始めてすぐに彼は演奏性の向上を訴えた。また、彼の父親が開発し、大聖堂に設置しかけていたタンブラー・ラック・システムを設置し、それにより音量コントロールの自由度を増し、速いパッセージ、トレモロを演奏できるようになった[60]。トレモロによって、ロマン派時代のカリヨンでは表現できなかった、長い間持続する音を表現できるようになった。
カリヨン奏者としての技術向上と、改良したカリヨンによって、デニンの演奏は人々を魅了するようになった。市議会からの提案により、彼は毎週月曜日の夜に行う定期コンサートを設立した[62]。最初のコンサートは1892年8月1日にを行っており、これは歴史上初めてのカリヨンによるコンサートとなった[63] 。このステップは、カリヨンは公共のBGMを提供するものから、音楽を提供する楽器として全面に押し出し、それによってカリヨンがコンサート楽器としての評価を獲得した。
王立カリヨン学校の設立
デニンはコンサートを開催したことで、アメリカ合衆国のニューヨーク州と政府の役人だったウィリアム・ゴーラム・ライスとの面識を得る。ライスはハーグを旅してカリヨンを知り、カリヨンの本を執筆するために定期的にこの地を訪れて、カリヨン演奏家達を取材して回っていた。1913年8月18日のデニンのコンサートの後、デニンとライスはカリヨンの社会的影響力と教育的価値について意見を交換した[64]。ライスは著書 Carillons of Belgium and Holland; tower music in the Low Countries[65]を1914年12月に出版し、3度再販した。この本は成功し、1915年と1925年にも出版する動機となった[66]。ライスはアメリカ合衆国内でカリヨンの権威となり、1912年から22年までの間に書籍の出版だけではなく、複数の都市で35の講演、雑誌への記事掲載、ラジオ番組への出演、カリヨンに関する展示資料の提供を行った[67]。1922年にライスは、ハーバート・フーヴァーとジョン・ロックフェラー2世から資金援助を得て、ジェフ・デニンと共にメッヘレンにカリヨン専門の学校を作り、初代校長といて活動した。のちにその学校は王立カリヨン学校ジェフ・デニンと名付けられた[68][69]。
世界大戦による破壊
第一次世界大戦、第二次世界大戦の間にもまたカリヨンが破壊され、ベルギーとオランダの同盟国では独特で民主的な楽器の消滅として広く報道された。第二次世界大戦ではイギリスの調査団が、ナチス・ドイツはベルギーでは全ての鐘の3分の2を、オランダでは全ての鐘を押収したと主張している。1938年から1945年の間に175,000個の鐘が盗まれ、鐘の墓地(ドイツ語: Glockenfriedhöfe)に集められた。そのうち150,000は鋳造所に送られ、銅の材料として使われた[70]。
戦争の後、カナダ最初の州カリヨン奏者 (Dominion Carillonneur) で、アメリカ大陸での最初期のカリヨン奏者[71]パーシバル・プライスが残った鐘の調査と、その返還を手伝うため派遣された。プライスは、またとない機会を利用してヨーロッパの鐘の理想的な音色の性質について研究し、発表している[70]。
国際的認知
1999年に、ユネスコは、建築の多様性と重要性を認めて、ベルギーにある32の鐘楼を世界遺産に指定した。2005年にはフランスにある23塔、ベルギーのジャンブルーの塔を追加指定してベルギーとフランスの鐘楼群となった[72]。2014年には、ベルギーとオランダのカリヨン文化を無形文化遺産としても登録し、フランドルの文化大臣 Sven Gatz (英語版)は「ユネスコは、カリヨン奏者やこの文化的形態が今日の地域社会に関連するものであることを確かにしている人々の創造性を認識している」と述べている[73][74]。
2008年に映画『シュティの国へようこそ』でカリヨンを紹介している。この映画は2021年現在[update]フランス映画として売り上げが最も高い作品となっている[75]。
使用法とレパートリー
音楽
カリヨンのレパートリーは、歴史的に並ぶ歴史を持つオルガンとは対照的に、大きく近代に偏っている。1900年以前の作品は現代では15個しか知られていない[76]。カリヨンの演奏は、初期のパイプオルガンの様に即興演奏に依存する時代が長く続いた。初期のカリヨン奏者たちは、特に引退が近づくと非常に多くのことを他の人に伝える必要があったことを示す証拠が記録に残されている[77]。バロック後期からルネサンス初期にかけて、鍵盤楽器向けの楽譜は特定の楽器向けではなく、どの鍵盤楽器でも演奏できるように書かれていた。そのため、初期のカリヨン向けの楽譜はチェンバロ、オルガン、ピアノなどと同じものだった可能性がある。その数少ない証拠として、現代まで生き残った1746年出版のJoannes de Gruyttersによる De Gruytters carillon book がある[78]。この本に記されている曲は、明らかにカリヨンのために作曲されたものではなく他の楽器から編曲されており、他の鍵盤楽器でも簡単に演奏することができる。バロックの鍵盤楽器向けの曲はカリヨン向けの編曲に適したものが多く、ヴィヴァルディ、クープラン, コレッリ、バッハ、ヘンデル、モーツアルトなどが特に適している。[38]
鍵盤楽全般向けではなく、カリヨンで演奏するために書かれた最も古い曲はマティアス・ファン・デン・ギュイエンによる11の前奏曲である。彼の作品の構造は、彼が長い間カリヨンで各種のキーボード汎用の曲を演奏していた上で、カリヨンでの音楽演奏を一般的なものにしたいと考えていたことを示唆している[57]。1900年代初頭以降、技術面で挑戦的な彼の前奏曲はカリヨン奏者の標準的なレパートリーとなっている[79]。
ジェフ・デニンは、カリヨンでどのような音楽を演奏するべきかについて発言を行い、今がその音楽を書くときだ、と何人かの作曲家を説得した。その中には、彼の生徒だった Staf Nees (nl) 、レオン・ヘンリー、Jef Rottiers (nl) や、ジェフ・ファン・ホーフのような他分野の作曲家達がいた[80]。カリヨン学校では1925年にカリヨンの楽譜出版を開始した[81]。学校はカリヨン音楽において、高度な装飾音符、素早いパッセージ、トレモロ、バロック、ロマン派的要素などで構成する初期のメッヘレン様式あるいはフランドル様式と呼ばれるスタイルの提案者でもあった[82]。
1950年代、1960年代にはカンザス大学から明らかに異なるアメリカ様式のカリヨン演奏が生み出された。大学のカリヨン奏者ロナルド・バーンズ (カリヨン奏者)が、彼の仲間にカリヨンのために作曲することを勧めて数多くの曲が作られた[83]。バーンズの展開した運動のうち、ロイ・ハムリン・ジョンソンによる、8音音階で作曲したカリヨン向けの一連の曲は最も成功したものである[84]。ジョンソンによるカリヨン向けの曲の多くは名作として知られている[85]。バーンズはレパートリー拡大のためにオリジナル曲を56、数百の編曲を製作した。
20世紀にカリヨン向けの作曲をした主要な作曲家として、Albert Gerken, Gary C. White, Johan Franco, and ジョン・ポズドロなどがいる[86]。アメリカ様式のカリヨンはメッヘレン様式の対局を成す形で発展した。メッヘレン様式の躍動的で素早いパッセージやトレモロに満ちた演奏者の芸の披露に対して、ゆっくりとしたパッセージ、希薄な和声、鐘の自然な音色に聴衆の注意を引きつける印象的なテーマなどを特徴としている。
北アメリカでカリヨンの楽譜が最初出版されたのは、1934年にG. Schirmer, Inc (en) からカーティス音楽学校の学生だったサミュエル・バーバー、ジャン=カルロ・メノッティ、ニーノ・ロータjによる学会の短期出版シリーズのものだった[87] 。北米カリヨンギルドが楽譜の出版を始める1961年まで[88]、北アメリカでは散発的に楽譜が出版されている[89]。
1968年にはボック・タワー・ガーデンズに、世界最大級のカリヨン音楽と関連するリソースを収めたアントン・ブリーズカリヨン図書館が設立された[90]。
組織
1970年代に当時あった国や地域単位のカリヨン組織を連合したカリヨン演奏者と愛好家の中心的な組織として、世界カリヨン連盟(The World Carillon Federation)が設立された[91]。2021年現在[update]、14の組織で構成されている。
- British Carillon Society (イギリスカリヨン協会)
- Brotherhood of Bell Ringers and Carillonists of Catalonia (カタルーニャ、ベルリンガー&カリヨン奏者友愛会)
- Carillon Society of Australia(カタルーニャ、ベルリンガー&カリヨン奏者友愛会)
- Dutch Carillon Association(オランダカリヨン協会)
- Flemish Carillon Association(フランドルカリヨン協会)
- German Carillon Association(ドイツカリヨン協会)
- Guild of French Carillonneurs(フランスカリヨン奏者ギルド)
- Guild of Carillonneurs in North America(北アメリカカリヨン奏者ギルド)
- Lithuanian Carillonist Guild(リトアニアカリヨン奏者ギルド)
- Nordic Society for Campanology and Carillons(ノルウェー鐘史学&カリヨン協会)
- Polish Carillon Association(ポーランドカリヨン協会)
- Russian Carillon Foundation(ロシアカリヨン協会)
- Swiss Carillonneurs and Campanologists Guild(スイスカリヨン奏者&鐘史学者ギルド)
- Walloon Campanaire Association(ワロン鐘奏者協会)
メンバー組織の多くは地域でのカリヨンの情報や会員の更新を知らせるために、会報を定期刊行している[92]。連盟は3年おきにメンバー組織の母国で国際カリヨン会議 (World Carillon Congress) を開催している。会議では、カリヨンに関する講義、ワークショップ、委員会を開催し、ニュース、個別指導、研究開発などのテーマを扱う[92]。
カリヨン奏者の教育
カリヨンの演奏はオルガン奏者が行うこともあるが、カリヨンの演奏者となるための訓練を受けられる機関が世界に複数あり、専門のカリヨン奏者の育成を行っている。王立カリヨン学校ジェフ・デニンは依然として世界で最も人気があるカリヨン演奏者育成のための教育プログラムである[92]。ベルギーのルーヴェンにあるLCUA芸術大学では修士課程にカリヨンのコースを持ち、オランダのアメルスフォールトにあるユトレヒト芸術学校にはカリヨン専門の学科がある[93]。イギリス[94] 、フランス、デンマーク[95]にも学校が存在する。
北アメリカカリヨンギルドは、毎年定期的に行う会議の会期中にカリヨン演奏者の試験を行っている。合格者はギルドのカリヨン会員として認められる。このプログラムは2012年に王立カリヨン学校ジェフ・デニンが北米に開設した関連学校の北アメリカカリヨン学校 (North American Carillon School) と提携して行われている[92][96]。
アメリカ合衆国のいくつかの大学にはカリヨン演奏の教育プログラムがある[92]。カリフォルニア大学バークレー校[97]、カリフォルニア大学サンタバーバラ校[98]、ミシガン大学[99]、フロリダ大学[100]、デンバー大学[101]では、カリヨン演奏についての全過程を学ぶことができる。クレムゾン大学、[102]、カンザス大学[103]、アイオワ州立大学,[104] 、マーケット大学[105]、インディアナ大学[106]では、カリヨン演奏に関する限定したプログラムを受けることができる。また、大学で雇用されているカリヨン奏者や、大学以外の施設が持つカリヨンでは、個人レッスンを提供しているところがある[96]。学校でカリヨンを持っていてもカリヨンのコースを持たない学校では、多くの場合クラブ活動や、イェール記念カリヨンのイェール・カリヨン演奏者ギルドのように学生が自主的に行う教育プログラムがある。
2021年現在[update]、日本国内には現在カリヨンの演奏を学べる学校や機関、団体は存在していない。
楽器の分布
世界的にカリヨンの数を集計している機関が幾つか存在する。一部の機関は特定の種類のカリヨンのみの集計を専門としており、例えば戦争記念・平和カリヨン登録機関(War Memorial and Peace Carillons registry)では、戦争記念施設や世界平和を志して造られたカリヨンのみを集計している[107]。世界カリヨン連盟では、伝統的カリヨン、すなわちバトン式鍵盤を使い、コンピューターや電子的なメカニズムを使用せずに演奏するものを集計している[108]。TowerBellsでは伝統的カリヨンも非伝統的なカリヨンも合わせて集計しており、地図や技術仕様、仕様の要約を公開している[109]。
TowerBellsと世界カリヨン連盟によると、世界には約700の伝統的カリヨンが存在している。南極大陸を除くすべての大陸に3つ以上のカリヨンが存在しているものの、20を超えるカリヨンを持つ国は6カ国しかない。「偉大なカリヨンの国」と呼ばれる[110]これらの国のうち、オランダ、ベルギー、アメリカ合衆国の3カ国に世界のカリヨンの2/3が存在する。また、ネーデルラント周辺の西ヨーロッパとアメリカ合衆国にあるカリヨンを合わせると90%以上になる。
北米のカリヨンのうち約80%は宗教機関と教育機関が保有しており[111] 、一方ヨーロッパではほぼすべてのカリヨンを地方自治体が保有している[112]。
現存しているほぼすべてのカリヨンは100年以内に作られたものであり、18世紀以前に造られて現存するカリヨンは15個のみと考えられている[33]。TowerBellによると、さらに483の非伝統的カリヨンがアメリカとヨーロッパに存在している。
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アイオワ州立大学の鐘楼「マクドナルド・スタントン記念カリヨン」MacDonald Stanton Memorial Carillon]]
日本国内のカリヨン
現在日本国内に設置されているカリヨンのうち、本格的な鍵盤を有するカリヨンは次の4基である。
- インテックス大阪
- ハウステンボス
- 「カロヨン」と称する。37鐘、3オクターブあり、屋内にタワー型で設置されている。開園当時は50鐘のトラベリングカロヨン(電動自動車に搭載)が園内を運行していた。
- 神慈秀明会神苑(非公開)
- JR伊丹駅西側広場
夙川教会には1926年-1932年にかけて設置されたフランス製の歴史的カリヨンが存在する[115]。機械式のアクションと演奏できるコンソール、自動演奏機構、スイングベルの機構も持つ。
ほか、伝統的カリヨンではないが、日本にはデザインに優れた様々な非伝統的カリヨンが数多くある。宇都宮市のベルモールのカリヨンは、ツリー型で49鐘、コンピュータでの音量調整機能で室内設置に対応しており、自動演奏はもとよりキーボードで演奏もできる。国立音楽大学の講堂前には電子式アクションで鍵盤を使って演奏できる47鐘のグロッケンシュピールがある[116]。
移動式カリヨン
塔に鐘を納めるのではなく、小型のフレームに鐘と鍵盤を納め、移動できるようにした移動式カリヨン、あるいはトラベリングカリヨン(Traveling, mobile carillons) と呼ばれる形態のカリヨンは、塔に納めるものに比べて非常に軽く小さい[117]。移動式カリヨンは1933年から1938年の間にイギリスのノーラ・ジョンストンが考案した。彼女は伝統的なバトン式鍵盤をチャイムバーのシステムに接続したものを、移動可能なフレームに固定した。ジョンストンはラジオのドキュメンタリー番組、オーケストラのコンサート、コマーシャル出演で演奏するためにそれに乗ってアメリカ合衆国に二回訪れた[118] 。のちに別の人の手によって、カリヨンの鐘を使ったものが作られた[119]。
世界カリヨン連盟[120]とTowerBells[121]によると、世界に約20の移動式カリヨンがあり、そのうち17が伝統的カリヨンとされている。ほとんどの移動式カリヨンは西ヨーロッパとアメリカにあり、販促用の道具として鐘の鋳造社が保有している。
アメリカ合衆国にある二つの移動式カリヨンはいずれも「ベルの精神」を特徴として他の楽器と一緒に鐘を演奏する音楽グループ Cast in Bronze が所有している。Cast in Bronze は楽器の保存と宣伝を使命としており、アメリカ合衆国の大衆にカリヨンを広く紹介したことで知られている[122]。
日本国内には、ハウステンボス開演時に運行していた電気自動車にカリヨンをのせたトラベリングカロヨン(50鐘)と、ベルギーから大阪市に寄贈されたトラベリングカリヨン(37鐘)がある。いずれも2021年現在[update]演奏はされていない。
脚注
注釈
- ^ WCF keyboard 2006 の規格ではナチュラルのペダルの長さはB1の音で129mm, 太さ 30mm、ペダル間隔は85mm
- ^ 例:
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外部リンク
- 世界カリヨン連盟 (World Carllon Federation)
- 北アメリカカリヨン学校 (Noth American Carillon School)
- 世界カリヨン連盟によるカリヨン紹介の短い映像
- TowerBellによる世界のカリヨン一覧
- Adelheid Rech による古代からのカリヨンの歴史 essentialvermeer.com掲載
- 日本カリヨン協会
- 日本カリヨン演奏家協会