生存率曲線
生存率曲線(せいぞんりつきょくせん、英: survival curve)は、治療を行った後の患者の生存率をグラフにしたものである。生存期間中央値やn年生存率を総合的に読み取ることが可能で、治療方法別の生存率曲線を同一平面にプロットすることにより、治療方法の優劣を評価する事もできる。
なお、確率モデルなどから導出される生存率曲線は滑らかではあるが、実際に観測値を元にしたグラフでは被験者数が限られるため、階段状か、折れ線になり滑らかではない。
生存率曲線の種類
- Kaplan-Meier法
- 全観察対象を死亡または打ち切り時間の小さい順に並べ、死亡発生ごとに生存率を計算する。
- サンプル数が少数のときに用いられる事が多い。
- 階段状のグラフができる。
- 2群の生存時間に差があるかどうかの検定として、Cox-Mantel検定、一般化Wilcoxon検定、Log rank検定を用いることができる。
- Cutler-Ederer法(臨床生命表)
- 生存期間をいくつかの区間に区分して各区間での生存率を求め、それに基づいて累積生存率を求める。
- サンプル数が十分あるときに用いることができる。
- 各区間での生存率を半直線で結んだ折れ線グラフとなる。
- 各区間ごとに標準誤差が観測されるため、2群の生存時間に差があるかどうかの検定として、t検定を用いることができる。
一般的な定式化
生存関数
生存関数(慣例的に S と表記)は下記のように定義される。
ここで、 はある時刻, は死亡時刻を表す確率変数、 は確率(Probability)を表す。 すなわち、生存関数は、時刻 t が死亡時刻よりも前である確率である。 生存関数(survival function)は、生物学的生存問題では survivor function や survivorship function、機械的生存問題では信頼性関数(reliability function; )などとも表記される。
通常は と仮定するが、即死や故障の可能性があれば となることもある。
生存関数は非増加関数、すなわち ならば をみたす必要がある。 これは、 ならば であることから導かれる。 若い年齢を達成できなければ、その後の年齢まで生存できないという考えを反映している。 この性質から、生存時間の分布関数 と確率密度関数 を定義することができる。
生存関数は、通常、年齢が増加するにつれてゼロに近づくと仮定される()。 しかし、永遠の命が可能であれば、その極限はゼロよりも大きくなる。例えば、炭素に生存分析を適用した場合、不安定同位体は遅かれ早かれ崩壊するが、安定同位体は永遠に存続する。