福島悪魔払い殺人事件
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福島悪魔払い殺人事件(ふくしまあくまばらいさつじんじけん)とは、1995年7月に福島県須賀川市で発覚した殺人・傷害致死事件[1]。
自称祈祷師の女とその信者らが「除霊」と称して信者7人に激しい暴行を加えて6人を死亡させ(5人に殺人罪・1人に傷害致死罪適用)2人に重傷を負わせた[1]。
事件
1994年の暮れから1995年の6月まで、祈祷師の女E宅にて「キツネが憑いている」などとお告げを受けた信者7人を、Eの娘Fと信者の男で愛人のG、同じく信者の男のHが中心となって『悪魔払い』や『御用』と称して太鼓のばちで殴る、蹴るなどの暴行を加え、4名を殺害、2名を傷害致死、1名に重傷を負わせた。
同年7月5日、重傷を負った女性信者Iの入院をきっかけに須賀川警察署(福島県警察)がE宅を家宅捜査したところ、信者6名の腐乱遺体を発見、4人を逮捕した。後に被害者であるIも、暴行に加わっていたことが発覚して逮捕された。
この事件による死亡者は、逮捕されたHの妻、男性信者J、Jの妻、Jの娘、男性信者K、女性信者Nの6名。
裁判
- 1997年3月、仙台高裁にてIに懲役3年・執行猶予5年の判決(上告せず確定)。
- 2001年11月16日、福島地裁の論告求刑にて福島地方検察庁は被告人Eに死刑、F・G両被告人に無期懲役、被告人Hに懲役20年をそれぞれ求刑。
- 2002年5月10日、福島地裁で開かれた第一審判決公判にて被告人Eに死刑、F・G両被告人に無期懲役、被告人Hに懲役18年の判決が言い渡された。Hに言い渡された判決が、他の者より刑期が短いのは、妻を殺されたことで正常な判断ができなくなったと認定されたためである。日本脱カルト研究会(現:日本脱カルト協会)代表理事の高橋紳吾・東邦大助教授(精神医学)は、「オウム真理教の一連の公判と全く同じ構図」であると分析している[2]。
- 2003年11月11日、仙台高裁の控訴審にてF・G両被告人に無期懲役、被告人Hに懲役18年の判決が言い渡された(いずれも上告せず確定)。
- 2005年11月12日、仙台高裁の控訴審にて、被告人Eに死刑判決が言い渡された(即日上告)。
- 2008年9月16日、最高裁がEの上告を棄却し、死刑が確定[3]。戦後日本では10人目の女性死刑囚である。
- 2012年9月27日、宮城刑務所において死刑囚Eの死刑が執行された。女性死刑囚の執行は、1997年の夕張保険金殺人事件の死刑囚以来15年ぶりで、1950年以降では4人目である[4][5]。
出典
- ^ a b “<平成事件回顧・東北>(6)須賀川祈祷師殺人(7年)除霊名目集団で暴行”. 河北新報 (河北新報社). (2019年4月14日). オリジナルの2019年4月16日時点におけるアーカイブ。 2019年4月16日閲覧。
- ^ 悪魔払いと信者暴行死させた祈とう師に死刑判決 福島 朝日新聞 2002年5月10日
- ^ 【社会】「女祈祷師」の死刑確定へ…福島の「悪魔払い」信者暴行死事件 - 最高裁
- ^ 2人の死刑執行 2カ月連続 日本経済新聞 2012年9月27日
- ^ 2人の死刑執行 法相「しっかり調査した」 日本経済新聞 2012年9月27日
関連項目
- 狐憑き
- 藤沢悪魔払いバラバラ殺人事件
- 私刑
- 期待可能性
- ストックホルム症候群
- ザ!世界仰天ニュース - 2013年8月7日の「誰もがはまる恐怖・・・洗脳スペシャルpart2」内にて特集・放送された。
- カルト
- ポア (オウム真理教)