ノット
ノット (knot) | |
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記号 | kt(計量単位規則),kn(SI国際文書の記載例) |
系 | SIに属さない単位(その他の非SI単位) |
量 | 速さ |
SI | 約 0.514 444 m/s |
定義 | (1852/3600)m/s = 1時間に1海里進む速さ |
ノット(knot、記号 kn, kt)は速さの単位であり、1時間に1海里(1.852km)進む速さである。
概要
国際単位系の文書には非SI単位の一つとして掲げられており、その定義は、1ノット = (1852/3600) m/s である[1]。換算すると、約 0.514 444 m/s ということになる。1時間に1海里進む速さということである。1海里(国際海里)は1852メートルであるので、1ノットは正確に1852メートル毎時となる。
ノットは「国際単位系 (SI)に属さない単位」 であるが、海里とともに「特別な状況でのみ使用される単位」とされ[2]、現在も船舶や航空機の速度をあらわす単位としてよく用いられている。これは海図上や航空図上で距離を測るには緯度1分に相当する海里を用いて計算するほうが容易であり、したがって速度もノットを用いる方が便利であるためである[3]。ノットを使用する際には、SI単位(この場合はキロメートル毎時など)との対応関係を示す必要がある。日本の計量法では「航海又は航空に係る速さの計量」に限定して使用が認められている[4]。
ノットは、漢字で"節"という表記が用いられたことがある。しかし、この漢字表記は計量法では認められていない。
ノットの単位記号には、国際的に合意された記号はないが、kn がよく使われる[5]。ただし、日本の計量法では、単位記号は「kt」のみと定められている[6]。
かつては海里の定義が様々に異なっていたので、ノットの定義も異なっていたが、現在では国際海里を基にしたものに統一されている[注釈 1][7]。国際海里は1929年に定められたが、アメリカは1954年まで1海里 = 正確に6080.20 測量フィート = 約1853.248 666メートル、イギリスは1970年まで1海里 = 正確に6080 国際フィート = 正確に1853.184メートルという定義を使っていた(この値は現在でも、イギリスの公式のノットの定義の算出に用いられている)。
起源
ノットという言葉は英語で「結び目」を意味する。
大航海時代、船の緯度を知るには時計と太陽の高度を、経度を知るためには速度を計測する必要があった。
当初、船の船首から丸太(Log)を投げ込み、船尾までの時間を砂時計で計り、記録したが船によってマチマチで経験豊富な航海長が必要であったし、夜や嵐の中では計測不能と言う欠点があった。そこで、ロープの先端に丸太や板をしばり、ロープに一定の間隔で結び目を作り、丸太や板を海に投げ込んでから一定時間の間に結び目がいくつ手の中を通過するかをカウントして記録するようになった。結び目は「ノッチ」であるので、この複数形「ノット」が速度の語源になった。なお、1 NM(海里)は緯度の 1 分の距離であるので、どの緯度であっても地図とディパイダがあれば計算できる。
速度計の登場以前においては「ハンドログ」という器具を用いて「28秒砂時計の砂が落ちきる前にロープの等間隔の結び目(knot)をいくつ繰り出したか」で速度を測っていた[8]。結び目と結び目との間は 15.4 mであった。
目立った目印のない海上や空中では、自船の位置は進行する方位と速さを求め、その速度で航行した時間を用いて把握していた。1海里は緯度1分に相当する平均的な子午線弧長に等しいことから、海図上では非常に分かりやすい単位となる。このため、海里を単位に含むノットは、船舶や航空機でよく使用されることになった。
航海・航空分野以外でも、気象観測における風速の単位として使われることがある。例えば、国際的な海上気象データの収集・保管には、ノットが現在も使用されている[9]。
換算
メートル毎秒 (SI単位) |
キロメートル毎時 | ノット | マイル毎時 | フィート毎秒 | |
---|---|---|---|---|---|
1 m/s | = 1 m/s | = 3.6 km/h | ≈ 1.9438 kt | ≈ 2.2369 mph | ≈ 3.2808 fps |
1 km/h | ≈ 0.27778 m/s | = 1 km/h | ≈ 0.53996 kt | ≈ 0.62137 mph | ≈ 0.91134 fps |
1 kt | ≈ 0.51444 m/s | = 1.852 km/h | = 1 海里/h | ≈ 1.1508 mph | ≈ 1.6878 fps |
1 mph | = 0.44704 m/s | = 1.609344 km/h | ≈ 0.8690 kt | = 1 mi/h | ≈ 1.4667 fps |
1 fps | = 0.3048 m/s | = 1.09728 km/h | ≈ 0.59248 kt | ≈ 0.68181 mph | = 1 ft/s |
簡便な換算
1ノットは、約0.514 m/s なので、概数として、1ノットの2倍が 1 m/s であるとして、簡便に換算することが多い。さらに、1ノットを1.9 km/h、1海里を 1.9kmとして簡便に換算されることもある[10][11]。
例えば、
- 10ノット → 約5 m/s
- 10ノット → 約19 km/h (10海里 → 約19 km)
脚注
注釈
出典
- ^ 国際文書第8版 (2006) 国際単位系(SI)日本語版 [1] p.40 表 8 その他の非SI単位
- ^ 国際文書第8版 (2006) 国際単位系(SI)日本語版 [2] pp.35,36,39-40
- ^ 004 ロープの結び目から生まれた、船の速力の単位「ノット」 日本船主協会:海運資料室:海運雑学ゼミナール
- ^ [3] 計量単位令 別表第6、第9号、「航海又は航空に係る速さの計量、 ノット、 一時間に千八百五十二メートルの速さ」
- ^ 国際文書第8版 (2006) 国際単位系(SI)日本語版 [4] p.40、表8、注(f)「ノットは 1 時間に 1 海里進む速さである.国際的に合意された記号はないが,kn がよく使われる.」
- ^ [5] 計量単位規則 別表第4
- ^ [6] RELEVANT IMPERIAL UNITS, CORRESPONDING METRIC UNITS AND METRIC EQUIVALENTS 最下段
- ^ http://www.jrtt.go.jp/01Organization/publicity/pdf/prm/no9_007.pdf
- ^ [7] 海上気象データの長期保管フォーマット、測候時報第75巻特別号(2008)、第 2.3.1 表 IMMPC(1982 年版) けた位置25-26、p.S147
- ^ [8] 速度・風速・距離の換算表、気象等の知識、気象庁
- ^ [9]