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カスターズ・リベンジ

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カスターの逆襲(カスターのぎゃくしゅう、原題:Custer's RevengeWestward Ho またはThe White Man Cameとも)は、ミスティーク(Mystique)が開発したAtari 2600用アダルトゲーム。

ジョージ・アームストロング・カスター将軍を主人公とした[1]本作は、1982年10月13日に発売されて以来、本作はアメリカインディアン女性への強姦が(本格的ではないが)疑似体験できるとして、多大な議論を巻き起こした[2][3]

プレイ方法

プレイヤーは主人公・カスター将軍を操作し、画面両脇から飛んでくる矢を交わしながら、"Revenge"というインディアンのいるところまでたどり着く。ゴールにたどり着くと彼女と、セックスすることができる。なお、カスター将軍は騎兵隊帽・ブーツ・バンダナ以外何も身につけてない上ペニスを勃起させており、インディアン女性は巨乳で裸である。

批評

本作はプロットの段階で悪評をもたらした。性描写に慣れていない者に見つからないように、パッケージには封をしたうえで[4]警告表記も書かれ、49.95ドルで売られた[5]。また、パッケージには、「もし子供が本作について尋ねてきたら、カスター将軍と少女がただ踊っているだけだよと言ってあげてください」( "if the kids catch you and should ask, tell them Custer and the maiden are just dancing.")[6]と書かれている。

メーカーは女性団体やインディアン団体から非難を受け、団体の中には売名行為だと批判した者もあった[7]。パッケージ裏面に「彼女を犯そうとするジョージ・アームストロング・カスターからは逃れられない!助けがもう来るわ!ああ、奴が来るわ!」("she's not about to take it lying down, by George! Help is on the way. By God! He's coming." )とあったため、本作はレイプを疑似体験できるということで、女性の権利を守る団体からの抗議がより激しくなった。また、本作について批判した者の中にはポルノ反対婦人同盟や、インディアンの広報担当者やゲーム業界の評論家たちもいた。アンドレア・ドウォーキンは、本作を「大勢のギャングがインディアンの女性を強姦するゲーム」として非難した[8] 。活動家が国会議員にゲームの販売禁止を求めた結果、オクラホマシティが販売を禁止した[9]。メーカーであるマルチプル・インダストリーズは、ニューヨーク州サフォーク郡と郡の議員であるフィリップ・ノーランに対して、 「ゲームの販売中止の取り消し」のために$110,000,000ドルの賠償を求めた[10]

オーストラリアのPCマガジンでは、世界で最も悪いゲームの一つとして取り上げられた[11]

性的描写に関する話題の高まりにもかかわらず、ゲームの操作性の悪さやグラフィックの味気なさから、売り上げは悪かった[12]。 それでも、メディアで取り上げられたため、『バチェラー・パーティー英語版』や『ビーテム&イーテム』といったミスティーク社のAO指定ソフトの売り上げの二倍にあたる80,000個が売れた。プラットフォームであるアタリにも、本作に関する抗議が来て、ミスティーク社を訴えたらどうかという声もあがった[13]。ミスティークの関連会社であるアメリカン・マルチプル・インダストリーズのスチュアート・ケステンは「本作は性的に興奮させるためではなく、楽しむためにあるのです(中略)我々は人々を笑わせるゲームを作りたいのです」("our object is not to arouse, our object is to entertain [...] When people play our games, we want them smiling, we want them laughing." )と話した。ゲームのデザイナーであるジョエル・ミラーは、カスターが少女と両者合意の上で性行為に及んでいると話した[14]。結局、 本作は次第に市場から遠ざかっていった[15]

脚注

  1. ^ Custer's Revenge - Classic Gaming
  2. ^ Digital Press video game database.
  3. ^ Gamespy's Top Ten Shameful Games
  4. ^ Lane, Frederick S.. Obscene profits: the entrepreneurs of pornography in the cyber age. pp. 55–56 
  5. ^ “Atari Trying To Halt X-Rated Video Games”. Ocala Star-Banner: p. 8B. http://news.google.com/newspapers?nid=1356&dat=19821017&id=2OsTAAAAIBAJ&sjid=-wUEAAAAIBAJ&pg=5332,427806 2010年3月1日閲覧。 
  6. ^ Jenkins, Sacha. Ego Trip's Big Book of Racism. p. 825 
  7. ^ Wise, Deborah (1982). “Video-pornography games cause protest”. InfoWorld (November 8): 7. 
  8. ^ Dworkin, Andrea "Letters from a War Zone."
  9. ^ Ledray, Linda E.. Recovering From Rape. p. 254 
  10. ^ “'Custer' Game Is Subject of Two Lawsuits”. Billboard: p. 8. (1982年12月11日). http://books.google.com/books?id=8iMEAAAAMBAJ&pg=PT7 2010年3月1日閲覧。 
  11. ^ Australian PC Magazine
  12. ^ Reiley, Sean. “Seanbaby's EGM's Crapstravaganza: The 20 Worst Video Games of All Time. - #9: Custer's Revenge (2600)”. EGM. 2007年4月8日閲覧。
  13. ^ Herman, Leonard (1997). Phoenix: The Fall & Rise of Videogames. p. 88 
  14. ^ “Atari Trying To Halt X-Rated Video Games”. Ocala Star-Banner: p. 8B. http://news.google.com/newspapers?nid=1356&dat=19821017&id=2OsTAAAAIBAJ&sjid=-wUEAAAAIBAJ&pg=5332,427806 2010年3月1日閲覧。 
  15. ^ Talbot, David (1983). “Pac-Man Kills Kids, Self: Video Horrors”. Mother Jones (April). 
  • Kent, Steven L. (2001). The Ultimate History of Video Games. Roseville, California: Prima. ISBN 0-7615-3643-4 

関連項目

外部リンク