八丈島事件
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八丈島事件(はちじょうじまじけん)は、第二次世界大戦終結直後に伊豆諸島・八丈島で起きた強姦殺人事件、およびそれに付随する冤罪事件。
事件の概要
1946年(昭和21年)4月6日、八丈島の66歳になる女性が強姦のうえ絞殺される事件が発覚した。被疑者には駐屯兵であった人物の疑いが濃厚であったといわれているが、捜査機関は見逃してしまった。
冤罪の発生
捜査機関は7月6日になって、被暗示性の性格を持つ知的障害者の男性Aを自白させ、その供述から共犯者としてBを逮捕した。当時は現在の刑事訴訟法が施行されておらず、令状なしに54日間拘置したうえに拷問し犯行を自白させた。
そうして得られた自白を唯一の証拠に起訴し、東京地裁は1948年1月、Bに懲役8年、Aに懲役3年を言い渡した。ついで、1951年6月東京高裁は被告人の控訴を棄却した。しかし、最高裁は1957年7月19日に、客観性に疑問のある知的障害者の自白や、違法な拘置によって得られた自白を証拠とした2審判決を破棄し、無罪を言い渡した。
参考文献
- 最高裁判所判例 昭和32年7月19日 刑集第11巻7号1882頁
- 「明治・大正・昭和・平成 事件・犯罪大事典」、東京法経学院出版、2002年