ベルリン市街線
ベルリン市街線(ベルリンしがいせん、ドイツ語: Berlin Stadtbahn)は、ベルリンの壁崩壊後に再構築された統一ベルリン市の象徴的建物であるベルリン中央駅を基点として、市内各所の主要駅・地区・空港などを結ぶ公共交通機関(SバーンおよびUバーンとその他公共交通手段)の総称である。大きく分けて地上路線のSバーンと地下鉄路線中心のUバーンがある
概要
東西ドイツ再統一後のドイツ連邦共和国(統一ドイツ)の首都ベルリンにおける主要な地区は、戦間期1924年に建設が始まったSバーン各路線によって結ばれている他に、近郊列車やUバーン(Uバーンとはベルリン地下鉄路線網の総称である)といった公共交通機関で効率的に移動することが可能である。かつて東西ベルリンに分断されていた時代が終わった直後は、国境に遮られていた一部区間で不自然な方向に敷設されている路線もあったが、ドイツ再統一から約5年間かけてベルリン交通網の再構築が行われた。1995年が始まる頃には統合運行を担当するドイツ鉄道(DB)も設立されて市内路線の再構築作業は完了した。その後路線の設備強化と効率化が進んだ現在では、パリ地下鉄やロンドン地下鉄および近郊電車網に並ぶ、欧州を代表する都市鉄道網となっている。
各種路線データ
- SバーンとUバーンの路線情報
- Sバーン総営業距離(Uバーンを除いた数値):327.4km(2014年)
- 駅数:166駅(2014年)
- 営業用車両数:1,355両(2005年)
- 年間旅客輸送量:4億1,390万人(2014年)
- 電化方式:直流800 V 第三軌条方式(下面接触式)全線電化済
- Uバーン総延長距離:約146km、計10路線、総駅数173駅がベルリン市内に存在する
Sバーン
ベルリン大都市圏において、地下鉄網Uバーンとともに市民の通勤・通学路線での主力であるベルリンSバーン(S-Bahn Berlin) は、ベルリンにおける都市近郊鉄道網である。日本国の東京都で例えると山手線や中央線といった都心部まで乗り入れているJR路線(旧国鉄路線)に相当する物がSバーンである。Sバーンを運航するドイツ鉄道(DB)は、旧西ドイツ国鉄(DB, Deutsche Bundesbahn:ドイツ連邦鉄道)と旧東ドイツ国鉄(DR, Deutsche Reichsbahn:ドイツ国営鉄道)が1994年初頭に統合、民営化された際に誕生したDBグループの中核会社である。またDBグループの意味でも用いる。ドイツ再統合後に民営化はしたものの依然として実質的に国家が所有する会社であり、事実上ドイツ連邦共和国の国鉄組織とされている。
Sバーンは、実質的に西ドイツの飛び地であった西ベルリンと東ドイツの首都東ベルリンに分断されていた時代に別々に路線増設と車両製造などが行われたため、1980年代末にドイツ再統一を達成した後も、比較的長期間にわたる運行規格の統一など再統合作業及び早期退職を含む大規模な人員整理作業が必要となった。そのため、東西ドイツ統一以降も約5年間は、旧西ベルリン側と旧東ベルリン側で、暫定的に設けられたそれぞれの暫定事業者が運営していたが、ボンからの国会議事堂や最高裁判所などの首都機能移転作業にも、ある程度の目途が立ち始めた1994年1月1日に新たにドイツ鉄道が発足したことで、Sバーンは同日からDBによる一元運営となり、さらに1995年1月1日からはDBの完全子会社であるS-Bahn Berlin GmbH(Sバーン・ベルリン社)に移管されている。
DBとの人的交流はあるが、地下鉄中心のUバーンは「ベルリン市交通局」(BVG:Berliner Verkehrsbetriebe)が運営している。Uバーン路線は現在市内10路線、173駅、線路の総延長は約146kmである。
ドイツ鉄道による統合運航が始まった1995年当時、Sバーンの年間輸送量は約2億4,500万人であったが、その後毎年、年平均で2%程度の利用客増加があり、10年後の2005年の年間輸送量は3億5,600万人となっている。2006年にはドイツで開催された2006 FIFAワールドカップによる特需景気や外国人旅行客の急増もあり、Sバーンとしても東西ベルリン統一後として単年度における最大の利用客数を記録した。近隣諸国におけるフランスの首都パリやベルギーの首都ブリュッセルなどの近郊路線と比べた場合に、ドイツの首都ベルリン市内公共交通機関における定時運行の正確さには定評があり、全体的に車両内の清掃が行き届いており、治安的にも安定していると外国人旅行客からも高い評価を受けているのも路線の特徴とされる[要出典]。
主要な路線としては環状線(リング・バーン)を含む東西南北への路線網が敷かれており、市内各地の副都心機能を持つ地区や主要商業駅にてUバーンと連絡している。1995年のドイツ鉄道]発足後も、Sバーンでは基本的には経年化の目立つ旧西ドイツ製車両が使われていたが、ベルリンへの首都機能移転完了後、本格的に統一ベルリン市が本来の姿を取り戻した象徴としての意味も込められ、現在では旧東西ドイツ国民双方が開発に参加して製造に至った統一ドイツ製の新車両「BR481型」の導入及び旧西ドイツ製車両との置き換え作業が完了している。ベルリン市中心部の周囲を、円形を描いて環状運行されている環状線は、ドイツ語でリングバーン(Ring bahn)と呼ばれており、この環状線の内側が都市機能が集中する地域となっている。ベルリンの空の玄関口は2016年現在では元東側地域に存在した空港を再整備し滑走路増設など規模拡大後、ドイツを代表する国際空港としてリニューアルオープンしたベルリン・シェーネフェルト国際空港が存在し、現在では冷戦中のような特定の国以外の国際線運航を制限する規定も無くなっているため、アジア各地や北米大陸及び南米大陸や中近東からも新規乗り入れが相次いでおり、様々な国のフラッグキャリアがベルリンに直接乗り入れている。シェーネフェルト空港に向かう路線も運航されている。なおシェーネフェルト空港自体はベルリンから少し離れた場所に位置しており、ドイツ再統一後にプロイセン王国以来の州名が復活したブランデンブルク州近郊地区に所在している。
Uバーン
観光地へのアクセス
市内を走るUバーンを使って、戦勝記念塔やティーアガルテン(ミッテ区にある大規模都市庭園)、東西冷戦の象徴として有名であったブランデンブルグ門や、ドイツを代表するプロテスタント教会として有名なカイザー・ヴィルヘルム記念教会(別名:ヴィルヘルム皇帝記念教会)、ティーアガルテンに隣接した地区にある国会議事堂などの観光地に、効率よく訪問することができる。