空騒ぎ
『空騒ぎ』(からさわぎ、Much Ado About Nothing)はウィリアム・シェイクスピアによる喜劇。1598年から1599年頃に初めて上演されたと思われる。1600年に出版された。
あらすじ
この節の加筆が望まれています。 |
シチリア島メッシーナの知事レオナートの屋敷にアラゴン大公ドン・ペドロ一行が到着する。クローディオ伯爵はレオナートの一人娘ヒーローに一目惚れ。独身主義者ベネディックはレオナートの姪ベアトリスと丁々発止の口喧嘩。ボラチオはヒーローの小間使いに色目を使う。ペドロの異母弟ドン・ジョンだけが不機嫌だ。純真なクローディオが恋を打ち明けられずにいるのを知ったペドロは一計を案じ、仮面舞踏会でクローディオになりすまし、ヒーローに求婚するという。それを立ち聞きしたボラチオがドン・ジョンに報告すると、兄を憎むジョンはその企てをぶち壊そうとするが、誤解は簡単に解け、クローディオとヒーローは一週間後に結婚することになる。ドン・ペドロはさらにベネディックとベアトリスもくっつけようと画策、ベネディックが立ち聞きしているのを知りながら、ベアトリスはベネディックに恋焦がれるゆえに悪態をつくのだ、と芝居をする。ベネディックは罠にはまり、ベアトリスを愛してしまう。そしてベアトリスも同様に嘘を信じ込み、ベネディックに恋心を抱くようになる。
一方、最初の計画が失敗したドン・ジョンに、ボラチオが新たな作戦をもちかける。小間使いマーガレットを使ってあたかもヒーローが式の前日に浮気をしているように見せかけて、クローディオに目撃させようというのだ。今度は計画が成功した。クローディオとドン・ペドロは怒りと悲しみに打ちひしがれる。ところが芝居が成功して上機嫌のボラチオが仲間にうっかり計略の詳細を話しているところを夜警に聞かれて逮捕されてしまう。ドグベリー治安官たちが拷問すると、ボラチオの背後にはドン・ジョンがいるという。
翌日、結婚式の前にドグベリーが知事のレオナートに報告をするが、力みすぎて間違いだらけの言葉遣いで真意が伝わらない。そして迎えた結婚式でクローディオは何も知らないヒーローを面罵する。レオナートやベアトリスがとりなそうとしても聞き入れるはずもなく、ヒーローは失神、クローディオは立ち去るが、ベネディックや司祭はこの経緯を不審に思う。そこで司祭がある提案をする。それは、ヒーローが失意の余り死んだことにすれば、クローディオの中から恨みや怒りが消え、後悔と憐憫からかつての愛情が戻るはずだ、というものだった。
ボラチオ逮捕で恐れをなしたドン・ジョンは町から逃亡する。すべてジョンの陰謀だったことを知ったクローディオ。レオナートから娘を殺したのはクローディオだと責められ、自身の罪を悟ったクローディオは、レオナートから突きつけられた要求を承諾する。それはヒーローの無実を世間に知らせて墓前に哀悼の歌を捧げることと、ヒーローに瓜二つの姪と結婚して跡継ぎになることだった。偽りの葬儀の翌朝、結婚に臨んだクローディオの面前に現れたのは、死んだはずのヒーローだった。再会と真実の結婚に喜び沸き立つ二人に加え、ベネディックもまたベアトリスに求婚する。二重の喜びに溢れる一同のもとに、捕らえられたドン・ジョンが引き出されて幕。
登場人物
- ドン・ペドロ:アラゴン大公
- ベネディック:パドヴァの貴族、ドン・ペドロの友人、独身主義者
- クローディオ:フローレンスの貴族、ドン・ペドロの友人
- バルサザール:ドン・ペドロの付き人
- ドン・ジョン:ドン・ペドロの異母弟、悪人
- ボラチオ:ドン・ジョンの家来
- コンラッド:ドン・ジョンの家来
- レオナート:メッシーナの知事
- ヒーロー:レオナートの一人娘
- ベアトリス:レオナートの姪、ヒーローの姉のような存在
- アントニオ:レオナートの兄弟
- マーガレット:ヒーローの侍女
- アースラ:ヒーローの侍女
- ドグベリー:巡査、道化役
- ヴァージス:小役人、ドッグベリーのパートナー、道化役
音楽作品
- ベルリオーズの『ベアトリスとベネディクト』(1862年)は『空騒ぎ』に基づくオペラで、台本(フランス語)はベルリオーズ自身が書いた。
- コルンゴルトは『空騒ぎ』のための付随音楽を1911年に作曲した。これは管弦楽のために書かれたが、後にヴァイオリンとピアノのための組曲にも編曲している。