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L-アラビノースオペロン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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L-アラビノースオペロン (L-arabinose operon) は、大腸菌 (Escherichia coli) がアラビノース異化するために必要な酵素をコードするオペロンである。araやara BADオペロンとも呼ばれる。正負両方の制御を行い、アロステリック効果を実現する。[1]

1970年代から分子生物学の分野で興味を持たれ、遺伝学生化学生理学生物物理学等の分野でも熱心に研究されてきた。

大腸菌では、アラビノースはペントースリン酸経路の中間体であるキシルロース-5-リン酸に変換され[2]、代謝経路に入る。

構造

アラビノース異化に必要な酵素をコードする構造遺伝子araBaraAaraDであり、araBADと総称される。araCは調節遺伝子である。araBADaraCは、反対の方向に転写される[2]

オペレーターaralaraO2で、araCaraBADとの間に位置する。

aral1aral2は、発現を誘導するDNA結合部位である。

オペロンの配列
5' araC araO araI araB araA araD 3'
レギュレーター オペレーター 構造

機能

araオペロンは、AraCタンパク質によって制御される。

アラビノースが存在しない場合は、二量体のAraCタンパク質はaral1araO2に結合し、DNAとの間でループ構造を形成する。このループはプロモーターへのRNAポリメラーゼ結合を阻害して転写を抑制し、構造遺伝子の発現は抑制される[2]

アラビノースが存在する場合は、アラビノースがAraCに結合して二量化を阻害し、DNAとのループ構造は形成されなくなる。これらのAraC-アラビノース複合体はaral1aral2に結合し、転写を促進するアクチベーターとして機能する[2]

大腸菌でのアラビノースの代謝
基質 タンパク質 機能 可逆 生成物
L-アラビノース AraA イソメラーゼ yes L-リブロース
L-リブロース AraB リブロキナーゼ no L-リブロース-リン酸
L-リブロース-リン酸 AraD エピメラーゼ yes D-キシルロース-リン酸

AraC-アラビノース複合体は、RNAポリメラーゼがプロモーターに結合し、araオペロンを転写するために必須である。また、活性化のためには、aralへCRP(カタボライト遺伝子活性化蛋白質、CAPとも)と環状AMPの複合体が結合することも必要である。そのため、活性化はアラビノースと環状AMPの存在に依存する[2]

関連項目

出典

  1. ^ Watson, James (2003). Molecular Biology of the Gene. pp. 503 
  2. ^ a b c d e Schleif, Robert. (2010). “AraC protein, regulation of the l‐arabinose operon in Escherichia coli, and the light switch mechanism of AraC action”. FEMS microbiology reviews 34 (5): 779-796. doi:10.1111/j.1574-6976.2010.00226.x.