無垢と経験の歌
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(無垢と経験のうたから転送)
『無垢と経験の歌』(むくとけいけんのうた、Songs of Innocence and of Experience)は、イギリスの詩人、画家、銅版画職人ウィリアム・ブレイクの詩集。
銅版画職人だったブレイクは1787年頃、独自のレリーフ・エッチングの手法を開発し、それを用いた彩色印刷(illuminated printing)により、1789年に詩集『無垢の歌』(Songs of Innocence)を発行した。これはブレイクの彩色印刷による詩作品の最初のものである。その後、詩集『経験の歌』(Songs of Experience)の広告が1793年に出たが、結局発行されることはなかった。『無垢の歌』と『経験の歌』が合本となり、ひとつの詩集として1794年に発行されたのが『無垢と経験の歌』である。この詩集は『二つの対立する人間の魂の状態を示す』(Shewing the Two Contrary Sates of the Human Soul)という副題を持ち、各詩にはすべて手書きで彩色されたイラストレーションが施されている。
『無垢と経験の歌』に収められた詩
[編集]無垢の歌
[編集]- 序詩(Introduction)
- 羊飼い(The Shepherd)
- こだまする草原(The Ecchoing Green)
- 子羊(The Lamb)
- 黒人の男の子(The Little Black Boy)
- 花(The Blossom)
- 煙突掃除の子(The Chimney Sweeper)
- 迷子になった男の子(The Little Boy lost)
- 見つかった男の子(The Little Boy Found)
- 笑いの歌(Laughing Song)
- ゆりかごの歌(A Cradle Song)
- 神さまのイメージ(The Divine Image)
- 聖木曜日(Holy Thursday)
- 夜(Night)
- 春(Spring)
- 乳母の歌(Nurse's Song)
- 生まれたての歓び(Infant Joy)
- ひとつの夢(A Dream)
- 他のひとの悲しみ(On Anothers Sorrow)
経験の歌
[編集]- 序詩(Introduction)
- 大地の答え(Earth's Answer)
- 土塊と小石(The Clad & the Pebble)
- 聖木曜日(Holy Thursday)
- 迷子になった女の子(The Little Girl Lost)
- 見つかった女の子(The Little Girl Found)
- 煙突掃除の子(The Chimney Sweeper)
- 乳母の歌(Nurses Song)
- 病める薔薇(The Sick Rose)
- 蠅(The Fly)
- 天使(The Angel)
- 虎(The Tyger)
- わが愛しの薔薇の木(My Pretty Rose Tree)
- ひまわりよ(Ah! Sun-flower)
- ゆりの花(The Lilly)
- 愛の園(The Garden of Love)
- 浮浪児(The Little Vagabond)
- ロンドン(London)
- 人間の抽象(The Human Abstract)
- 幼児の悲しみ(Infant Sorrow)
- 毒の樹(A Poison Tree)
- 迷子になったある男の子(A Little Boy Lost)
- 見つかったある女の子(A Little Girl Found)
- テルザへ(To Tirzah)
- 学童(The School Boy)
- 古の吟遊詩人の声(The Voice of the Ancient Bard)
- ある神のイメージ(A Divine Image)
本作による音楽作品
[編集]- ベンジャミン・ブリテン
- 『春の交響曲』第12曲「笛を鳴らせ」(無垢の歌の『春』)
- 『セレナード』第4曲「エレジー」(経験の歌の『病める薔薇』)
- レイフ・ヴォーン・ウィリアムズ
- 『10のブレイク歌曲』
- ウィリアム・ボルコム
- 『無垢と経験の歌』(全曲への付曲)
日本語訳
[編集]- 『対訳 ブレイク詩集』 岩波文庫(松島正一訳)
- 『ブレイク詩集 ― 無心の歌、経験の歌』 平凡社ライブラリー(土居光知訳)
- 『無心の歌、有心の歌 ― ブレイク詩集』 角川文庫(寿岳文章訳)
- 『向日庵本「無染の歌」「無明の歌」』(寿岳文章訳)
関連項目
[編集]- 虎よ、虎よ!:アルフレッド・ベスターのSF小説。タイトルは『経験の歌』の「虎」の冒頭に由来する。
- タイガー (アルバム):タンジェリン・ドリーム のアルバム。表題曲などでブレイクの詩を歌詞として使っている。