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言語入力キー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
漢字キーから転送)

言語入力キー(げんごにゅうりょくキー)は、日本語朝鮮 (韓国) 語キーボードに見られる、インプットメソッドで文字を変換するために使用するキーである。これらのキーのないキーボードでIMEを使用するときはショートカットキーを使用するが、常に言語入力キーと同じ働きをするとは限らない。

日本語キーボードのキー

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日本語キーボード(OADG 109A)
IBM PS/55のキーボード (5576-002)
Appleの日本語キーボード
NEC PC-9800シリーズのキーボード

Microsoft Windowsで標準となっているOADG109キーボード配列には、「半角/全角キー」・「無変換キー」・「変換キー」・「ひらがなキー」・「英数キー」の5つの言語入力キーがある[1]

MaciPad用に設計されたJISキーボードApple Keyboard)には、「英数キー」と「かなキー」がある[2]

1980年代から1990年代にかけて日本で最も優勢であった日本電気 (NEC)のPC-9800シリーズのキーボードには、「カナキー」、「NFERキー」(no transferの略。無変換キーと同じ[3])、「XFERキー」(transferの略。変換キーと同じ[3])の3つの言語入力キーがあった[4]

半角/全角キー

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半角/全角キー(半角/全角)は、WindowsにおいてIMEのオン/オフを切り換えるキーとして使用されている[5]。この機能はもともと漢字キーのもので、Microsoft IME 98において機能が変更された[6]ため、キーの表記と実際の機能に相違がある。それ以前のWindowsやDOS/Vでは半角/全角キーは刻印通り、英数モードやカナモードの全角と半角を切り換えるキーであった[7]

半角/全角キーはIBM 5550用の5556キーボードでは文字キーの左側のエリアに置かれ[8]PS/55向けの5576-002キーボードでタイピングエリアの左上端に移動した[9]。OADG109/109Aキーボードでの刻印は下記のように規定されている[10]が、「漢字」の刻印が省略されたものもある。

半角/
全角


漢字 

Windows VistaのMicrosoft IME(Microsoft Office IME 2007を含む)では既定で直接入力モード(IMEオフ状態)が無効になり、その状態では半角英数モードが直接入力モードと同じ挙動(半角英数モードでの入力は変換できない)になった[11]。そのためIMEのオン/オフも、半角英数モードとそれ以外で直近に使用したモードとの切り替えとなる。直接入力モードを有効化すれば、従来と同じく直接入力モード(IMEオフ)とそれ以外(IMEオンで直近に使用したモードで、半角英数モードを含む)との切り替えとなる。

なお、Microsoft IMEでは半角英数モードと全角英数モードの切り替えは Shift+無変換で可能であり、半角カタカナと全角ひらがな/カタカナは入力後に無変換で相互に変換できる。また、以下のキーを押下することで入力文字の全角・半角への変換ができる[5]

漢字キー

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漢字キー(漢字)は、DOS/Vでは漢字モードに入るためのキーで[7]、Microsoft IMEではIMEのオン/オフを切り換えるキー[6]だった。しかしMicrosoft IME 98以降では半角/全角キー単独でIMEのオン/オフを切り換えられる[6]ため、今日では独立した機能を持たない。IBM5556キーボードでは独立したキーとして文字キーの左側のエリアに置かれ[8]、5576-002では Shift+カタカナ(カタカナキーは無変換キーの左隣)に割り当てられ[9]、5576-A01以降の106/109キーボード配列では Alt+半角/全角に割り当てられている[10]

変換キー

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変換キー(変換)は、かな漢字変換において仮名を漢字に変換し、また次の変換候補にフォーカスするキーである。 Shift+変換で前の変換候補にフォーカスする。ただしこれらの機能は、Microsoft IMEなど多くの日本語IMEのデフォルト設定でスペースキーでも同じ動きをするようになっている(スペースキー#他の用途を参照)。変換キーは106/109キーボード配列ではスペースキーの右隣にある[10]。PC-9800シリーズのキーボードでは同じ位置でXFERと刻印されていた。

OADG 109キーボードではこのキーは下記のように刻印される。

前変換
変換(次候補)


全候補 

これは、DOS/Vでは変換候補はインラインで1つずつ表示されるのが基本であり、変換キーで変換した後再度変換で次の変換候補が、 Shift+変換で前の変換候補が表示され、 Alt+変換で最下段に変換候補が一度に表示される[12]という挙動だったためである。Windowsでは何度か変換キーを押せば変換候補が複数表示されるようになり、OADG 109Aキーボードでは単に「変換」の刻印に変更された[10]

無変換キー

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無変換キー(無変換)は、元々はかな漢字変換を行わずに(入力モードに応じてひらがなまたはカタカナのまま)確定するキーだったが、Microsoft IMEでは入力中のひらがな、全角カタカナ、半角カタカナを相互に変換するキーである[5]。106/109キーボード配列ではスペースキーの左隣にある[10]。PC-9800シリーズのキーボードでは同じ位置でNFERと刻印されていた。

ひらがなキー

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ひらがなキー(ひらがな)は、ひらがなモードに入るキーである[5]。106/109キーボードでは変換キーの右隣にある[10] Shift+ひらがなでカタカナキー、 Alt+ひらがなでローマ字キーとして機能し[5]、下記のように刻印される。

カタカナ
ひらがな


ローマ字

Appleのキーボードでは、かなキー(かな)がスペースキーの右隣(106/109キーボードにおける変換キーの位置)にあり、MacやiPadで106/109キーボードを使用する際は変換キーがかなキーとして動作する。このキーは元々は英数字入力モードとひらがな入力モードを切り替えるキーであったが、Apple Keyboard II JIS(1990年)以降はひらがな入力モードに入るキーである[2]

カタカナキー

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カタカナキー(カタカナ)は、カタカナモードに入るキーである。カタカナキーはIBM 5556キーボードで「A」キーの左隣に[8]、5576-002では無変換キーの左隣に独立して存在した[9]が、5576-A01以降の106/109キーボードでは Shift+ひらがなに割り当てられている[5]。カタカナモードになっている状態を「カナロック」と言い[13]、Windowsでは言語バーの"KANA"が反転して表示される。

PC-9800シリーズではカナキーが独立して存在した[4]。またAppleのキーボードでは Shift+かなでカタカナモードに入る[14]

ローマ字キー

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ローマ字キー(ローマ字)はかな入力ローマ字入力を切り替えるキーである。IBM 5556キーボードから106/109キーボードでは Alt+ひらがなに割り当てられている[8][5]

英数キー

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英数キー(英数)は、DOS/Vでは英数モードへ入るキーで、Microsoft IMEではひらがなモードと英数モードを切り替えるキーである[5]。IBM 5556キーボードでは無変換キーの右隣に[8]、5576-002以降の106/109キーボードではAの左隣(101/104キーボードのCapsLockキーの位置)にある[9]。CapsLockキーは日本語入力において多用されず、 Shift+英数に割り当てられている。

OADG 109キーボードでは英数キーの前面に「漢字番号」と刻印されていた。これはDOS/Vにおいて Alt+英数が漢字の番号入力(IBM漢字番号またはJIS句点を使い漢字を入力する機能)に割り当てられていた[15]ためで、この機能はWindowsには存在せず、OADG 109Aキーボードでは刻印が削除された。

Appleのキーボードでは、英数キーはスペースキーの左隣(106/109キーボードにおける無変換キーの位置)にあり、MacやiPadで106/109キーボードを使用する際は無変換キーが英数キーとして動作する。このキーは英字入力モードに入るキーで、Apple Keyboard II JIS(1990年)において導入された[2]

ImeOnキー・ImeOffキー

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ImeOnキー([あ])は日本語入力モードに入るキー、ImeOffキー([A])は半角英数字モードに入るキーである[5]。Windows 10 May 2020 Updateで導入された新しいキーで[5]、ImeOnキーは従来の変換キーとひらがなキーを置き換えスペースキーの右隣に、ImeOffキーは従来の無変換キーを置き換えスペースキーの左隣にある[16]

従来の半角/全角キーは日本語入力モードと半角英数字モードをトグルするため、意図するモードと異なるモードで文字を書き出してしまう問題があり[16]、これへの対処として導入された。なおImeOnキー・ImeOffキーを搭載していない従来のキーボードでも、Microsoft IMEの設定で変換キーおよび無変換キーに同様の機能を持たせることが可能である[17]

なおImeOnキー・ImeOffキーの機能および位置は、Appleのキーボードにあるかなキー・英数キーのそれと同一である。

韓国語キーボードのキー

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韓国で一般的な2ボル式(두벌식)配列のキーボード

韓国PC/AT互換機の標準的なキーボードには、한/영ハングル/英数)キーと한자(漢字)キーの2つの言語入力キーがある。いくつかのキーボードでは、独立のキーになっていない場合もある。

한/영キー

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韓国語(ハングル)入力モードと英語(ISO基本ラテンアルファベット)入力モードを切り換えるのに使用する。「한」はハングル(한글)、「영」は英語(영어)の意味である。

多くのコンピュータシステムでは、한/영キーを使わなくても、同じ動作をする別のキーかキーシーケンスが用意されている。韓国で使われている多くのポータブルコンピュータでは한/영キーがなく、代わりに右の Altキーを使用する。そのようなキーボードでは右Altキーに「한/영」とだけ書かれているか、「한/영」と「Alt」が書かれている。

한자キー

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ハングルを漢字やその他の記号に変換するのに使用する。「한자」は朝鮮語で「漢字」の意味である。

多くのコンピュータシステムでは、한자キーを使わなくても、同じ動作をする別のキーかキーシーケンスが用意されている。韓国で使われている多くのポータブルコンピュータでは한자キーがなく、代わりに右のCtrlキーを使用する。そのようなキーボードでは右Ctrlキーに「한자」とだけ書かれているか、「한자」と「Ctrl」が書かれている。

関連項目

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出典

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  1. ^ OADG 109Aキーボード JISによる参照キーボードに!”. 24 July 2012閲覧。
  2. ^ a b c 松尾公也 (2016年3月11日). “MacからiOSまで、Apple日本語環境の知られざる歴史が明らかに”. ITmedia. 2024年2月10日閲覧。
  3. ^ a b 「お答えします : XFERキーの意味は何?」『日経パソコン』、日経BP、1993年4月26日、207頁、ISSN 0287-9506 
  4. ^ a b Keyboard Collection”. 24 July 2012閲覧。
  5. ^ a b c d e f g h i j Microsoft 日本語 IME”. Microsoft サポート. 2024年2月10日閲覧。
  6. ^ a b c マイクロソフト、WordとIMEの次期バージョンを3月に発売”. ASCII.jp (1998年1月6日). 2024年2月10日閲覧。
  7. ^ a b PC DOS J7.0/V ユーザーズ・ガイド』(1版)日本IBM、1995年8月https://archive.org/embed/PCDOSJ7.0IBM1199582024年2月10日閲覧 
  8. ^ a b c d e IBM Japan 5556 1型 ?”. 2024年2月10日閲覧。
  9. ^ a b c d 5576-002”. KEYBOARD RESEARCH. 2024年2月10日閲覧。
  10. ^ a b c d e f OADGテクニカル・リファレンス(ハードウェア). PCオープン・アーキテクチャー推進協議会. (2000). オリジナルの2014-10-18時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20041018151651/http://www.oadg.or.jp:80/techref/download.cgi 
  11. ^ Microsoft IMEの入力モードについて”. 初心者のためのOffice講座 (2017年11月8日). 2024年2月10日閲覧。
  12. ^ PC DOS J7.0/V ユーザーズ・ガイド』(1版)日本IBM、1995年8月、20-17 - 20-19頁https://archive.org/embed/PCDOSJ7.0IBM1199582024年2月10日閲覧 
  13. ^ 041395 ローマ字入力をしていると、勝手にカナ入力に切り替わってしまう”. ジャストシステム. 2016年4月7日閲覧。
  14. ^ Macで日本語入力ソースに切り替える”. Apple サポート. 2024年2月10日閲覧。
  15. ^ PC DOS J7.0/V ユーザーズ・ガイド』(1版)日本IBM、1995年8月、20-27頁https://archive.org/embed/PCDOSJ7.0IBM1199582024年2月10日閲覧 
  16. ^ a b Windows 10 における日本語入力の改善の取り組み”. Windows Blogs (2021年5月10日). 2024年2月10日閲覧。
  17. ^ 山田 祥平 (2020年7月4日). “今こそすべての日本国民に問うIMEのオンとオフ”. PC Watch. 2024年2月10日閲覧。

外部リンク

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