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濱田剛

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
浜田剛から転送)
濱田 剛
業績
専門分野 情報工学
成果 Graphics Processing Unitを並列接続した
スーパーコンピュータの開発
受賞歴 ゴードン・ベル賞価格性能部門
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濱田 剛(はまだ つよし)は、日本工学者情報工学)。元長崎大学先端計算研究センター超並列部門長、准教授。報道などでは浜田 剛(はまだ つよし)と表記されることもある。

概要

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長崎大学の工学部にて、情報システム工学科のテニュアトラック助教として採用された。Graphics Processing Unitを並列に繋げたスーパーコンピュータの開発に取り組み、日本国内最速の演算速度を実現した。これらの業績が評価され、IEEEよりゴードン・ベル賞の価格性能部門を授与された[1][2][3][4][5]。同じくゴードン・ベル賞受賞者である牧野淳一郎の弟子である[6][7]

1999年 3月 東京大学 工学博士

2010年4月、長崎大学に新たに設立された先端計算研究センターの超並列計算部門長、准教授に着任。

2017年3月、長崎大学を辞職。

2020年4月 LocationMind の通信技術顧問に就任[4]と記載されているが、現在はチームメンバーから表示が消えているため所属は不明[5]

現在、東京大学 空間情報科学研究センター全国共同利用施設 特任教授[6]とあるが、リンクが存在しておらず所属は不明[7]

現在、株式会社アークエッジ・スペース所属[8]

研究

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専門は情報工学であり、特にGraphics Processing Unitを応用したGPGPUなどの研究が知られている。情報処理推進機構の2005年度上期未踏ソフトウェア創造事業に、FPGAを用いたスーパーコンピューティング環境の研究で採択される[9]。開発したPROGRAPE-4は無衝突重力多体系の演算で243.2GFLOPSを達成。しかも消費電力はたったの5Wであった。この成果により2006年に天才プログラマー/スーパークリエータに表彰される[10]Central Processing UnitとGraphics Processing Unitとを比較するため、講演会などで両者を用いた銀河衝突のシミュレーションを実演することもある。2008年初頭の実演では、Central Processing Unitを用いた際の実測値が0.2GFLOPSほどだったのに対して、Graphics Processing Unitを用いた際は270〜470GFLOPSを叩き出している [11] [12]

その後もブリストル大学横田理央理化学研究所似鳥啓吾との共同研究を進め、開発費3800万円を投じGraphics Processing Unitを760基並列に繋いだスーパーコンピュータ DEGIMA を完成させた[2]。Graphics Processing Unitを一度に多数繋いで制御するのは複雑で困難だとされていたが、濱田らは新たな手法「マルチウォーク法」を開発することでその課題を克服し、演算速度158TFLOPSのスーパーコンピュータを実現させた[3][13]。この演算速度は当時最速だった「地球シミュレータ」を超えたため、日本国内で最速記録を達成した[2]。従来のスーパーコンピュータ開発には「10億〜100億円ほどかかる」[4][5]といわれていただけに、その開発費の安さが驚きをもって迎えられた。

2010年にも似鳥啓吾との共同研究で、前年に引き続きゴードン・ベル賞の価格性能部門を授与された。2009年のものと比べ、ノード間のネットワークをギガビット・イーサネットからInfiniBandに置き換えた事、GPUを増やした事により、総額を2割弱増やしただけで演算速度190TFLOPSを達成した。

DEGIMA は様々な計算に適用する事が可能である。2011年6月に発表されたTOP500では実効性能42.83TFLOPSで429位にランクインした。Green500では1375.88MFLOPS/Wで3位(1位と2位はBlueGene/Qのプロトタイプなので、実稼働機器では1位)にランクインした[14]

発言

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1990年東京大学が開発したスーパーコンピュータ「GRAPE」について「GPGPUとGRAPEのアイデアはほぼ同じ。GRAPEで試行錯誤してきたノウハウが、GPGPUでも使える」[12]と指摘し、日本が物理シミュレーション等の分野で培った実績を生かせばGPGPUの領域でも貢献できると考えている。また、文部科学省が進める次世代スーパーコンピュータ「汎用京速計算機」開発に対しては、巨額の資金を投じて開発を進める手法について「素直にいいとは言えない。方向性が逆」[2]と指摘し、低価格化が可能との見解を示している。

賞歴

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脚注

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  1. ^ 「ゴードン・ベル賞に浜田・長崎大助教ら――高性能スパコン実現」『NIKKEI NET(日経ネット):企業ニュース-企業の事業戦略、合併や提携から決算や人事まで速報日本経済新聞社2009年11月20日
  2. ^ a b c d 「スパコン開発で『ゴードン・ベル賞』――長崎大助教ら受賞――『国内最速』安価で実現」『スパコン開発で「ゴードン・ベル賞」 長崎大助教ら受賞 「国内最速」安価で実現 / 西日本新聞西日本新聞社2009年11月27日
  3. ^ a b 「『国内最速』スパコン3800万――開発のあり方めぐり議論は必至」『「国内最速」スパコン3800万 開発のあり方めぐり議論は必至 : J-CASTニュースジェイ・キャスト2009年11月27日
  4. ^ a b 「スパコン:開発費3800万円で演算速度日本一」『スパコン:開発費3800万円で演算速度日本一 - 毎日jp(毎日新聞)毎日新聞社2009年11月28日
  5. ^ a b 「ゴードン・ベル賞:スパコン、開発費3800万円――浜田・長崎大助教ら受賞」『ゴードン・ベル賞:スパコン、開発費3800万円 浜田・長崎大助教ら受賞 - 毎日jp(毎日新聞)毎日新聞社2009年11月29日
  6. ^ 牧野淳一郎「濱田君・似鳥君Gordon Bell C/P賞(2009/11/29)」『./note077.html国立天文台理論研究部2009年11月29日
  7. ^ 牧野淳一郎「濱田君・似鳥君Gordon Bell C/P賞(2009/11/29)」『スーパーコンピューティングの将来2009年11月30日、281-282頁。
  8. ^ ArkEdge Space”. ArkEdge Space Inc.. 2023年11月14日閲覧。
  9. ^ 2005年度上期 未踏ソフトウェア創造事業  採択案件評価書 ([1])
  10. ^ 2005年度上期未踏ソフトウェア創造事業  天才プログラマー/スー パークリエータ ([2])
  11. ^ Tsuyoshi Hamada and Toshiaki Iitaka, The Chamomile Scheme: An Optimized Algorithm for N-body simulations on Programmable Graphics Processing Units (astro-ph/0703100).
  12. ^ a b 西村賢「新しい計算処理モデルが普及の兆し――GPGPUのキラーアプリケーションは『グラフィックス』」『GPGPUのキラーアプリケーションは「グラフィックス」 - @ITアイティメディア2008年3月6日
  13. ^ 濱田剛『GPUを使った大規模並列N体シミュレーション』。
  14. ^ The Green500 List - June 2011 ([3])

関連人物

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関連項目

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外部リンク

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